ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

更新履歴
2016年11月28日「八戸敗血症セミナー(12月2日青森)」更新


研究会,講演会,学会日程
※学会総会に加え,主に敗血症,救急集中治療,感染症の研究会,講演会を適宜掲載していきます(本記事を更新していきます).あくまでも私の知る範囲でのものだけです.これまで研究会については関西圏ばかりでしたが,2016年4月以降私が関西を離れますので,開催地制限ははずします.私自身は東北に移るためそちらの案内が増えるかもしれません.

※ここに掲載されていない研究会・講演会で掲載希望等あればコメント欄に記入するか,以下までメールで御連絡下さい.開催場所に制限はありませんが,内容は本ブログの内容の関係上,敗血症,感染症,救急/集中治療に関連するものに限ります.日時,演題名,会の主な対象や主旨等を記載して下さい.
⇒メールはこちらcum_earl@yahoo.co.jp
八戸敗血症セミナー
2016年12月2日(金)18:50~20:30
グランドサンピア八戸2階「白神の間」
八戸市東白山台1-1-1

18:50-19:00
製品紹介:リコモジュリン点滴静注用12800
旭化成ファーマ株式会社

19:00-19:30
座長:藤田 健亮先生(八戸市立市民病院救命救急センター)

一般演題1:「invasive liver abscess syndrome 3例の検討」
伊沢 朋美先生(八戸市立市民病院救命救急センター)

一般演題2:「さまざまな合併症を伴った重症急性膵炎の1例」
貫和 亮太先生(八戸市立市民病院救命救急センター)

一般演題3:「CRRTと凝固に関する一考察」
小橋 秀一先生(八戸市立市民病院臨床工学科)

座長:今 明秀先生(八戸市立市民病院 副院長 兼 救命救急センター/臨床研修センター所長)
特別講演:「シン・セプシス ~Sepsis-3,DIC,PICS,GRADE system~」
演者:DrMagicianEARL(EARLの医学ノート管理人)

主催:旭化成ファーマ株式会社
 個人的にこれまでの行った講演の中では最北端になります.これも東北に移った御縁でしょうか.敗血症診療やエビデンスはここ数年間,大きな変化の中にあります.Sepsis-3,DIC,さらにはPICS,そしてGRADEシステムによるエビデンス評価など,最近の敗血症を取り巻く環境について講演させていただきます.タイトルは御察しの通り,夏から秋にかけて流行った某映画からです.
[PR]
# by DrMagicianEARL | 2016-11-16 11:02 | 研究会・講演会・学会 | Trackback | Comments(8)
■世界保健機関WHOにより2015年から11月の特定の週が世界抗菌薬啓発週間(World Antibiotic Awareness Week)と定められました(2016年は11月14~20日).この流れに合わせる形で,日本政府は今年2016年から,11月を「対策推進月間」と定めて対策強化に乗り出し,感染症と抗菌薬の基本的な知識を広げるため,国民啓発会議を立ち上げることになりました.
e0255123_17264777.jpg

1.薬剤耐性菌の脅威

■これまで多数の抗菌薬が開発されてきましたが,なかでも1970年代以降は広範囲の菌に有効な抗菌薬が多数登場し,一時は「これで細菌感染症は撲滅できる」という楽観的な予測をしていた専門家もいたくらいでした.しかし,近年状況は大きく変わりました.米国でポピュラーな感染症診療の教科書であるInfection Diseasesは,Frederick Southwickの「われわれは抗菌薬の時代の終焉にいるのか?」という衝撃的な見出しから始まっています.抗菌薬の乱用により数多くの薬剤耐性菌(抗菌薬が効かない菌)が発生し,病院内に留まらず,その地域にまで拡大しており,その速度は医師の想像の範疇を大きく越えるものでした.感染症に対する武器である抗菌薬を手にしたにもかかわらず,我々は今抗菌薬を失い始めています.

■1925年にAlexander Flemingがアオカビからペニシリンを発見し,1940年にはペニシリンが実用化となりましたが[1],それから20年足らずでペニシリンが効かない黄色ブドウ球菌が急増しました.しかし,実際にはペニシリン耐性菌は本剤が臨床で使用されるようになる以前から存在していたことが報告されています[2].自然環境においてはペニシリンをはじめとする抗菌物質を菌が産生することにより自分のなわばりのようなものを作ることが知られていて,この抗菌物質に曝露される菌は多数存在しており,それらが生き延びるためには抗菌物質に対する耐性を持つ必要がありました.つまり,環境微生物に由来する抗菌性物質には古くから耐性菌が存在することは必然的なことであり,同時に抗菌薬に対する耐性獲得も時間の問題であったということです.

■これまでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のアウトブレイクにより認識が広がりだした多剤耐性菌は,現在,ほとんどの抗菌薬が効かないESBL,NDM-1,KPC,MBLといった驚異的な耐性度をもつタンパクを有する菌が発見されるまでになっています.このような多剤耐性菌は免疫が弱った患者が感染するものと考えられてきましたが,近年,一般市民に感染するMRSAが増加傾向にあり[3,4],2011年にドイツで食中毒により大流行した大腸菌O-104はESBL産生株という耐性菌であることも分かっており[5],2011年には京都でほとんどの抗菌薬が無効の淋菌が報告されています[6,7].最近では,「スーパー耐性菌」として米国等で高度耐性菌の発生がメディアで報じられるようになりました.

■このように菌の耐性化と新たな抗菌薬創薬のイタチゴッコが繰り広げられてきた中,抗菌薬開発はビジネスとしてリスクが高い割には(ジェネリック医薬品の登場もあり)あまり収益が見込めない分野であり[8],採算性などの観点から最近は抗菌薬開発から撤退する企業が増加しています[9].米国でも2020年までに新たな10種類の抗菌薬を開発するプロジェクトが行われていますが,その背景には,1980年代以降,新規開発の抗菌薬の数が減少し続けているという厳しい現状があります[10].2016年のEUの報告書でも,2003年から2013年にかけての医薬品ベンチャー投資のうち抗微生物薬開発に充てられたのはわずか5%未満でした[11].抗菌薬の効果を維持するとともに,新薬を開発するため,資金を含めた各国政府の支援と求める宣言を85の製薬会社が共同で発表しています[12]

2.耐性菌危機に対する急速な世界の動き

■2015年6月にドイツはシュロス・エルマウで開催されたG7首脳会議(サミット)において,抗菌薬の効かない薬剤耐性菌の拡大を防ぐため,先進7カ国(G7)が協調して新薬を開発し,家畜への抗菌薬の不適切な使用を減らすなどの対策強化を盛り込んだ共同声明が出されました.2016年9月の神戸で行われたG7保険大臣会合でも4つの共同声明の中で3番目に薬剤耐性(AMR)対策が盛り込まれています[13].また,同時期に行われた国連総会でも,薬剤耐性菌についてのハイレベルミーティングが行われました[14].さらに,世界銀行は,「薬剤耐性菌感染症は未来の経済への脅威である」というレポートを出しています[15].このように,世界首脳の集まりにおいて重要な議案に取り上げられるほどに事態は危機を迎えつつあります.
2016年国連総会ハイレベルミーティングの内容
(1) 人,動物に対する抗菌薬の使用・販売量のサーベイランスと規制の仕組みを充実させる.
(2) 新規抗菌薬の開発や迅速診断の改善のため革新的な研究を推進する.
(3) 薬剤耐性菌の感染症をいかに防ぐかについて医療従事者や市民の教育を行う.
■また,これらの問題は単にヒトの医療のみにとどまりません.ヒトの衛生のみならず,家畜の衛生,環境の衛生の関係者が連携して対策に取り組むべきであるとする「One Health」の理念が普及・推進されています.2016年11月10・11日に北九州市で「第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議」が開催されます.

■今や耐性菌対策は国家レベルの問題となっており,放置すれば2050年には癌よりも多い年間1千万人が耐性菌によって死亡するとの予測もあります.現在世界各国がアクションプランを開始しています.新規の抗菌薬開発を促進させること,抗菌薬を適切に使用すること,感染症を予防することで抗菌薬使用を減少させることが必要であり,今ある抗菌薬を未来に残す必要があります.

3.日本での対策

■世界の流れに日本が乗り遅れていた中,日本では2015年の抗菌薬啓発週間から感染症医の有志によるキャンペーンが行われました.さらに,2016年2月には感染症関連の8学会(日本感染症学会,日本化学療法学会,日本環境感染学会,日本臨床微生物学会,日本細菌学会,日本薬学会,日本医療薬学会,日本TDM学会)合同創薬促進検討委員会・抗微生物薬適正使用推進委員会が厚労省,文科省,経産省への提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」[16,17]を出しています.
8学会合同の提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」の主な内容
(1) 戦略的な耐性菌サーベイランスの実施
(2) 院内感染対策・制御のさらなる徹底
(3) 行政との連携による抗菌薬適正使用支援の推進
(4) 新規創薬を促進するための施策・連携・協力(日本版GAIN法制定など産官学連携施策が必要)
e0255123_1134362.png
■日本政府もようやくこれらの問題に対応する形で,2016年4月5日に我が国の行動計画(アクションプラン)が策定・公表され[18,19],「抗菌薬の使用量を3分の2に減らす」「耐性菌に効果のある新薬の開発」など具体的なプランを立て始めました.
日本政府が提示した2020年までの目標
(1) 2020年の人口千人当たりの1日抗菌薬使用量を2013年水準の3分の2に減少させる.
(2) 2020年の経口セファロスポリン系(≒セフェム系),フルオロキノロン系,マクロライド系の人口千人あたりの1日使用量を2013年水準から50%削減する.
(3) 2020年の人口千人当たりの1日静注抗菌薬使用を2013年水準から20%削減する.
(4) 2020年の肺炎球菌のペニシリン耐性率を15%以下に低下させる.
(5) 2020年の黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を20%以下に低下させる.
(6) 2020年の大腸菌のフルオロキノロン耐性率を25%以下に低下させる.
(7) 2020年の緑膿菌のカルバペネム(イミペネム)耐性率を10%以下に低下させる.
(8) 2020年の大腸菌および肺炎桿菌のカルバペネム耐性率0.2%以下を維持する.
■また,日本での耐性菌の調査・研究を行う新たな組織を国立感染症研究所と国立国際医療研究センターに2つ設置し,2017年度予算の概算要求に2組織の設置など耐性菌対策費5.7億円を盛り込んでいます.

■このアクションプランを受けて農林水産省は家畜における耐性菌対策について活動を行っています[20]

■2016年10月に内閣官房・厚生労働省はYahoo!でネットアンケート調査を行いました.
内閣官房・厚生労働省によるネットアンケート

アンケート1:体調が悪いときに薬を飲む方は多いと思いますが,抗菌薬(抗生物質)は,風邪やインフルエンザに効果がないということを知っていますか?[21]
投票数:135137票
知っている:57%
知らなかった:43%

アンケート2:抗菌薬(抗生物質)の不適切な使用は,薬の効かない細菌の出現,いわゆる薬剤耐性問題の原因と言われています.あなたは,「薬剤耐性」について知っていますか?[22]
投票数:11月1日12時現在で36000票,投票継続中


4.一般市民の方へ

■一般市民レベルでは,抗菌薬の不適切使用をなくし,感染症を防ぐことが必要です.
(1)風邪などのウイルス感染症に抗菌薬は効きません.
■抗菌薬が効かない風邪やインフルエンザなのに,よく外来で「抗菌薬がほしい」とおっしゃる患者さんは大勢おられます.中には,抗菌薬を使わなくても普通に治っただけなのに,病院で処方された抗生剤を飲んだタイミングでよくなったから「抗生剤がよく効いた,今後も飲もう」なんて勘違いされるケースもよくあります(これを言う医療従事者も中にはいるんですよね・・・).上の内閣官房・厚生労働省のアンケート調査における回答者のコメントを見てもこのような方が大勢おられることがうかがえます.

■もちろんこれは一般市民の方が悪いわけではありません.抗菌薬が不要な患者さんに漫然と抗菌薬を処方してきた医療側に大きな問題があり,これが医療・市民の両方で慣例化してしまっているという現状があります.実際には,医療現場で使用されている抗菌薬の半分は不必要あるいは不適切であるとされています[23]

■本記事は世界的な耐性菌対策として書いてはいますが,不必要な抗菌薬を処方しない理由としては耐性菌以外にも理由はあります(というより,抗菌薬を処方しない理由として耐性菌の話しかしないのでは患者さんも納得されないと思いますが・・・).急性呼吸器感染症1531019例の研究[24]では,肺炎による入院は抗菌薬投与群で18例/10万回受診,非投与群で22例/10万回受診であり,1人の入院を予防するために12255人に抗菌薬を投与する必要があるとの結果で,抗菌薬はほぼ効果がないに等しい数値であり,むしろアレルギーや下痢などの副作用(場合によってはアナフィラキシーショックや重症の腸管感染症を引き起こして腸切除に至るケースもあります)のリスクの方がはるかに高いです.要するに,風邪程度で抗菌薬を服用するのは害の方が益を上回る可能性が高く,当然ながらコストもかかります(ただし,A群溶血性連鎖球菌による咽頭扁桃炎や百日咳では抗菌薬は必要です).

■風邪と思っても抗菌薬が必要となるケースも中にはありますが,それを正確に判断することは困難です.しかし,最初はただちに抗菌薬を処方せず症状軽減の薬剤のみを処方して様子を見て,その後悪化したときだけ使用する,という方法が,抗菌薬を最初から処方する場合と比較して症状の期間にほぼ差はなく,抗菌薬使用量が減少した,と報告されています[25]
(2)抗菌薬は医師から処方されたときのみ服用しましょう.(たとえ家族であっても)他人に抗菌薬をあげない・もらわないようにしましょう.
■家に昔病院でもらった抗菌薬が残っていたり,友人・知人・家族から抗菌薬をもらったりすることがあるかもしれません.あるいは最近は抗菌薬をインターネットで海外から購入することもできます.しかし,医師の診察による感染症の診断なしに勝手に抗菌薬を内服するのは効果も安全性もまったく保障できないばかりか診断を遅らせてしまう要因になりかねません.必ず病院を受診して感染症の診断を受け,抗菌薬の必要性有無を判断してもらい,その上で処方をされたときだけ内服しましょう.
(3)処方された抗菌薬は途中でやめず,必ず処方内容通りきっちり内服しましょう.
抗菌薬は効果を考えて投与間隔や投与期間を設定して処方されます.勝手にやめてしまったり服用を忘れたりすると効果が不十分になったり,菌が抗菌薬に耐性を獲得してしまう可能性があります.
(4)手洗いは感染症の予防となり,抗菌薬の使用を減少させます.
■手洗いが感染症を予防することは既に数多くの報告がなされており,日常生活で最も簡単な予防手段です.当然ながら抗菌薬が必要となる感染症の予防にもつながりますし,耐性菌が体内に入ることも防いでくれます.

[1] Bush K. The coming of age of antibiotics: discovery and therapeutic value. Ann N Y Acad Sci 2010; 1213: 1-4
[2] Abraham EP, Chain E. An enzyme from bacteria able to destroy penicillin. 1940. Rev Infect Dis 1988; 10: 677-8
[3] Naimi TS, LeDell KH, Como-Sabetti K, et al. Comparison of community- and health care-associated methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. JAMA 2003; 290: 2976-84
[4] Moran GJ, Krishnadasan A, Gorwitz RJ, et al. Methicillin-resistant S. aureus infections among patients in the emergency department. N Engl J Med 2006; 355: 666-74
[5] Christina F, et al. Epidemic Profile of Shiga-Toxin–Producing Escherichia coli O104:H4 Outbreak in Germany. N Engl J Med 2011; 365:1771-80
[6] Ohnishi M, Saika T, et al. Ceftriaxone-resistant Neisseria gonorrhoeae, Japan. Emerg Infect Dis 2011; 17: 148-9
[7] Ohnishi M, Golparian D, et al. Is Neisseria gonorrhoeae initiating a future era of untreatable gonorrhea?: detailed characterization of the first strain with high-level resistance to ceftriaxone. Antimicrob Agents Chemother 2011; 55: 3538-45
[8] Livermore D. Can better prescribing turn the tide of resistance? Nat Rev Microbiol 2004; 2: 73-8
[9] French GL. What’s new and not so new on the antimicrobial horizon? Clin Microbiol Infect 2008; 14: S19-29
[10] Infectious Diseases Society of America. The 10 x ’20 Initiative: pursuing a global commitment to develop 10 new antibacterial drugs by 2020. Clin Infect Dis 2010; 50: 1081: 3
[11] https://english.eu2016.nl/documents/reports/2016/02/10/2016-report-on-antibiotic-rd-initiatives
[12] http://www.bbc.com/news/health-35363569
[13] http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kokusai/g7kobe/communique.html
[14] http://www.bbc.com/news/health-37420691
[15] http://www.worldbank.org/en/topic/health/publication/drug-resistant-infections-a-threat-to-our-economic-future
[16] 門田淳一,館田一博,二木芳人.新規抗菌薬の開発に向けた8学会提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」—提言発表の背景と目的ー.日化療会誌 2016; 64: 131-2
[17] 創薬促進検討委員会・抗微生物薬適正使用推進委員会.世界的協調の中で進められる耐性菌対策.日化療会誌 2016; 64: 133-7
[18] http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/pdf/yakuzai_gaiyou.pdf
[19] http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/pdf/yakuzai_honbun.pdf
[20] http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/koukinzai.html
[21] http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/25663/result
[22] http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/26082/result
[23] Hughes JM. Preserving the lifesaving power of antimicrobial agents. JAMA 2011; 305: 1027-8
[24] Meropol SB1, Localio AR, Metlay JP. Risks and benefits associated with antibiotic use for acute respiratory infections: a cohort study. Ann Fam Med 2013; 11: 165-72
[25] de la Poza Abad M, Dalmau GM, Bakedano MM, et al; for the Delayed Antibiotic Prescription (DAP) Group. Prescription Strategies in Acute Uncomplicated Respiratory Infections: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med 2016; 176: 21-9
[PR]
# by DrMagicianEARL | 2016-11-01 12:15 | 抗菌薬 | Trackback | Comments(0)
■私は普段から口酸っぱく「高酸素血症は(挿管処置時をのぞく)一利なしどころか有害,SpO2が98%以上なら投与酸素量はすみやかに下げるべき」と言っています.医療従事者は低酸素血症には敏感ですが,高酸素血症は放置してしまうことが多々あり,その根底には,高酸素血症は有害でないという勘違い,SpO2 98%以上はPaO2 100-500mmHgに相当することが周知されていない,SpO2が高いときにモニターアラームが鳴るような設定がほとんどされていない,ということが挙げられると思います.

■高酸素血症のデメリットは何かと聞くと,多くの人は高炭酸ガス血症による呼吸性アシドーシス,さらにはCO2ナルコーシスを挙げると思いますが,それ以外のデメリットを挙げられますか?これまで分かっている知見では,肺胞内酸素が急激に吸収されることによる肺胞虚脱,肺サーファクタントの減少が生じることによる気道閉塞,吸収性無気肺,さらにはこれらの影響によるずり応力(shear stress)による肺傷害(atelectrauma)から炎症を惹起してARDS悪化の要因となりえます.また,気管支繊毛が不全状態となり気道クリアランスが低下することによる感染リスク増大,急性心筋梗塞における冠血流量低下や梗塞範囲増加などがあります.実際,観察研究では高酸素血症で死亡率が増加している報告が救急集中治療領域でいくつも報告されており,そのうちのいくつかは低酸素血症よりも死亡率が高くなっています.

■今回御紹介するRCT,Oxygen-ICU trialは高酸素血症を回避する酸素療法プロトコル(SpO2 94-98%に管理)と,高酸素血症を許容する従来の酸素療法(SpO2 98-100%,上限PaO2 150mmHg)を比較したところ,高酸素を回避した方が死亡リスクが43%有意に低下したという結果(NNT 11.6)となり,これまでの観察研究結果を指示する結果となりました.ちなみに私はICU患者に対しては本研究の高酸素回避プロトコルよりもさらに低いSpO2(目標値88-92%)で管理しています.

■なお,高酸素血症の有害性等は以下の記事にまとめておりますのでご参照ください.
SpO2の落とし穴 ~酸素投与患者の「SpO2 99%」を見て安心してませんか?~
http://drmagician.exblog.jp/22262792/
集中治療室の患者の死亡率における保守的vs従来型酸素療法の効果:Oxygen-ICU無作為化比較試験
Girardis M, Busani S, Damiani E, et al. Effect of Conservative vs Conventional Oxygen Therapy on Mortality Among Patients in an Intensive Care Unit: The Oxygen-ICU Randomized Clinical Trial. JAMA 2016, Oct.5 [Epub ahead-of-print]

Abstract
【背 景】
不必要な酸素療法による潜在的有害性が示唆されているにもかかわらず,重症疾患患者は相当な期間高酸素血症状態となっている.動脈血酸素化のコントロール戦略は合理的ではあるが,臨床においては評価されていない.

【目 的】
酸素投与の保守的プロトコルは集中治療室(ICU)に入室した患者の予後を改善しうるかを評価する.

【方 法】
Oxygen-ICU試験は2010年3月から2012年10月までに,イタリアのモデナ大学病院の内科外科ICUに72時間以上入室することが予測された全患者を登録して行われた単施設オープンラベル無作為化臨床試験である.原案でのサンプルサイズは660例であったが,480例を登録した後,登録が困難との判断で早期中止となった.

【介 入】
患者は,PaO2を70-100mmHgまたは動脈血酸素飽和度SpO2を94-98%に維持するように酸素療法を受ける群(保守群)と,標準的ICUに沿ってPaO2を150mmHgまでまたはSpO2を97-100%まで許容する群(従来群)に無作為に割り付けられた.主要評価項目はICU死亡率とした.副次評価項目は,ICU入室から48時間以上後の新規の臓器不全と感染症の発生率とした.

【結 果】
計434例(年齢中央値64歳,188[43.3%]が女性)が,保守的(218例)または従来的(216例)の酸素療法を受け,修正intent-to-treat解析に登録された.ICU在室中の毎日の時間加重平均PaO2は,保守群(PaO2中央値87mmHg [四分位範囲79-97])よりも従来群(PaO2中央値102mmHg [四分位範囲88-116])の方が有意に高かった(p<0.001).ICU在室中に,保守的酸素療法群で25例(11.6%),従来型酸素療法群は44例(20.2%)が死亡した(絶対リスク減少[ARR] 0.086 [95%CI 0.017-0.150]; 相対リスク[RR] 0.57 [95%CI 0.37-0.90]; p=0.01).新規のショックエピソード(ARR 0.068 [95%CI 0.020-0.120]; RR 0.35 [95%CI 0.16-0.75]; p=0.006),肝不全(ARR 0.046 [95%CI 0.008-0.088]; RR 0.29 [95%CI 0.10-0.82]; P =0.02),新規の血流感染(ARR 0.05 [95%CI 0.00-0.09]; RR 0.50 [95%CI 0.25-0.998; P =0.049)の発生率はは保守的酸素療法群の方が低かった.

【結 論】
72時間以上ICUに在室する重症疾患患者において,保守的酸素療法プロトコルは従来型治療と比較して低いICU死亡率であった.これらの予備的知見は計画されていなかった試験の早期中止に基づいており,本アプローチの潜在的利益の評価のためにはより大規模の多施設試験が必要である.

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2016-10-17 00:00 | 文献 | Trackback | Comments(1)
2012年10月15日作成
2014年10月15日改訂


世界手洗いの日(Global Handwashing Day)
e0255123_230748.png
■10月15日は世界手洗いの日(Global Handwashing Day)である.これは,UNICEF・世界銀行などからなる「せっけんを使った手洗いのための官民パートナーシップ」が2008年から実施されているもので,感染症の予防のため、石鹸を使った正しい手洗いの方法を広めるための活動が世界各地で行われる.

1.医療従事者の手指衛生

(1) WHO,CDCの推奨

■世界保健機関(WHO)は,手洗い・手指衛生(hand hygiene)を「決して付加的な行為ではなく,それ自体が不可欠な医療行為である」としている.しかしながら手指衛生はどの病院においてもきっちり守られているとはいえない現状がある.WHOガイドライン作成者でもあるPittetらの報告では,手指衛生実施率はほぼ50%を下回っている[1].仕事が忙しい(=ケアの頻度が増す)につれて,通常ならば手洗いの必要回数が増えるにもかかわらず,実際には手洗い実施率が極端に低下することも報告されている[2].手指衛生は耐性菌保有患者に接触するときのみに行うものではなく,全患者のケアにおいてなされるべきものである.

■医療従事者の手指が媒体となり,病原体の感染伝播が発生する5段階についてPittetらは警鐘をならしている[3]
e0255123_2304438.png
第1段階:患者の皮膚や患者周囲環境に病原体が存在する
皮膚には100-100万個/cm^2の常在菌が存在し,腋窩部や鼠径部には特に多い.健常な皮膚からは1日に100万個の落屑があり,細菌と一緒に剥がれ落ちる.MRSAなどの耐性菌が皮膚に定着している患者においては患者の皮膚のみならず周囲の環境から大量に耐性菌が検出される.Kramerらが各病原体の乾燥環境下での感染性持続時間を報告しているので参考にされたい[4].この報告を見ても分かる通り,数ヶ月以上生存可能な菌は非常に多い.

第2段階:医療従事者の手によって微生物が運搬される
医療ケアを行えば医療従事者の手指は10-20%が病原体で汚染され,菌が100-1000CFU付着する.これが衣服,パソコンのキーボードやPHS,ドアの取っ手をはじめさまざまな部位に触ることで他の医療従事者にも伝播されていく.実際,聴診器,ネクタイ,あごひげ,ネクタイなども汚染されていることが多数報告されている[5-11].医療現場ではネクタイ着用はしないよう英国医師会が提案しており[12],あごひげがある男性も剃るべきである[10]

第3段階:微生物は手の皮膚上で最低数分間は生存している
手指に付着した病原体はアシネトバクター属で60分,緑膿菌で30分程度は生存している.

第4段階:医療従事者による手指衛生が未実施,または,不適切である

第5段階:汚染された手指が別の患者と直接接触,あるいは患者が直接触れる可能性のある環境に付着する.

■米国CDCの隔離予防策ガイドライン[13]においては,手指衛生は標準予防策の構成要素の第1番目に挙げられており,①血液・体液などに触れた後,②手袋を外した直後,③次の患者をケアする前,の3つのタイミングが示されている.WHOでは“Clean care is safer care〝をスローガンに手指衛生の実施率改善に努めており,手指衛生の必要な5つの具体的場面を設定している[14]
① 患者に接する前(Before Patient Contact)
② 無菌的処置を行う前(Before Aseptic Task)
③ 体液曝露の可能性があった後(After Body Fluid Exposure Risk)
④ 患者に接した後(After Patient Contact)
⑤ 患者周囲環境に接した後(After Contact With Patient Surroundings)

■手指衛生には通常石鹸または消毒薬成分含有石鹸(スクラブ剤など)と水による手洗いと,水をしようしないアルコールをベースにした製剤の使用が含まれる.特に前述のCDCガイドラインで挙げられた3つの場面での手指衛生の必要性を述べた報告は多い[15-20]

(2) 手袋は手洗いの代用とはならない

■手袋の着用は手洗いの代用ではなく,手袋の着用が手洗い不要の理由とはならない.手袋を外す際にどれだけ注意を払っても手指は汚染される.また,手袋には微小孔(ピンホール)が医療従事者が考えているよりはるかに多く存在し,着用後にもピンホールは生じうる.実際,未使用の手袋でも微小な穴が1-7%存在し,再生処理したものでは10-75%の微小孔を認めたと報告されている[21].日本グローブ工業会によると,たとえ手術時の滅菌グローブであっても少なくとも1.5%にピンホールが空いているとされている.実際に手袋を脱いだ手から患者と同一菌が1.7-4.2%の割合で検出されている[22]

※2014年10月,テキサス州でエボラ出血熱患者がでた際に,ケアにあたった看護師がエボラ出血熱に感染した.この看護師はPPE(シールド付きマスク,キャップ,ガウン,手袋)によるmaximal barrier precautionをしていたにもかかわらず感染しており,PPEを脱ぐ際に手指に付着した可能性が指摘されている.適切なPPE着脱のチェックが必要である.

(3) 手指衛生の方法,流水手洗い後の乾燥について

■手の除菌という観点からは多くの場合,消毒薬成分含有石鹸や速乾性手指消毒薬の使用が,普通石鹸による手洗いより優れている[23,24].よって,目に見える汚染がある場合には流水による手洗いが推奨されるが,簡便さや除菌効果を考慮すると,それ以外の場合にはアルコール系消毒薬を含有した速乾性手指消毒薬の使用が適している.また,石鹸と流水による手指衛生のエビデンスの多くが,手洗い時間が30秒~1分の検討であるのに対し,実際の臨床現場では平均15秒未満である.なお,時間が短いほど石鹸成分が残留し,手荒れの原因となる.

■また流水の場合,乾燥に時間もかかる.これに対し,特定の洗い場の必要がなく,即効性があり,自然乾燥に時間のかからないアルコール製剤は臨床現場の実情に合っており,手指衛生遵守率を上昇させる可能性が高い.手洗い後の手指の乾燥はしばしば軽視されており,ペーパータオル3枚程度を使わなければ十分な乾燥はできない.濡れた手は乾燥した手の100-1000倍の菌を運ぶ[25].また,不十分な乾燥ではその後の手袋装着時に手指に余計な刺激を与えたり手袋が損傷する原因となる.手荒れを最小限に抑えるため,温水は使用せず,品質のよい紙タオルで(ゴシゴシこするのではなく)軽く叩くようにして水気をきるようにする.

■ただし,ノロウイルスなどの一部のウイルスや芽胞(Clostridium difficileなど)などにはアルコール系消毒薬は効果が低いことを確認し,石鹸や流水による手洗いを適宜組み合わせることが望ましい.ノロウイルスにおいてはin vitroで,30分間のエタノール製剤曝露によっても除去できないことが報告されている[26]

Clostridium difficile関連下痢が治癒してから間もない患者の皮膚,特に腹部,胸部にはCDが保菌されていることが報告されている[27].下痢が治ってからClostridium difficileの保菌率が50%以下になるのに7日間を要している.これは今後の院内での感染対策において大きな影響がある可能性がある.下痢症状が治ってもなお皮膚にClostridium difficileが保菌されている場合,院内伝播のリスクが大きく,下痢が治ってからも接触感染対策の期間を考慮しなければならない.

■手指消毒薬に菌が耐性化することは通常濃度で使用される限りはありえないため,抗菌薬のように消毒薬をローテーションさせる必要はない.

■ICUでの手洗いの水の水質に関してはCDCガイドラインにもはっきりした記載はなく,水道水でも十分であるという意見もあり,水質の定期的な細菌培養検査を行って十分な監視体制がとられている施設では水道水でよいが,そうでない施設では滅菌水が望ましい.また,水道管内に滞留している水にレジオネラが増殖することがある.このため,水を使用するときは最初の水をある程度流してから使用すべきかもしれない.

(4) 手指衛生遵守率の実態とその改善のために何をすべきか?

■どの施設でも指摘されているが,手指衛生の遵守率が最も低いのは医師である.大学病院多施設調査では,手の汚染と遵守率が最もひどいのは教授であり,若い医師ほど手指衛生遵守率が高いとされている.しかしながらその若い医師ですら看護師と比較すると手指衛生遵守率ははるかに低いのが現状である.手指衛生を調査した本邦4施設共同3545例観察研究[28]では,適切な手指衛生順守率は19%(医師15%,看護師23%)と報告されている.

■この数値から,院内感染・耐性菌水平伝播の原因に手指衛生不足がかかわっている可能性がかなり高いことが伺える.中には患者に触れさえしなければ院内感染は起こらないと考えている医師すらいるが大きな間違いである.これらの意識啓発をベテラン医師に行ってもおそらくは遵守率改善は望めない.よって,「鉄は熱いうちに打て」の通り,研修医から手指衛生を体で覚えさせる必要がある.また,サーベランスで,同一主治医から同一耐性菌を検出している場合は,ICTからその医師に対して手指衛生指導を行う必要もあるだろう.

■医療従事者以外,すなわち患者や患者家族などの手指衛生はついつい忘れられがちである.病院訪問者の手洗いの順守率は25%と非常に低いが,積極的な手洗い励行の介入によって遵守率は68%まで著明に改善し,長時間訪問者では77%まで改善したと報告されている[29].感染対策上必要であることを説明し,病室の出入りの際の手指衛生実施に協力いただけるようにすべきである.

■手指衛生を改善するための方策をWHOが提案している.
① システム変更(インフラ整備)
・アルコール式手指消毒剤をケア現場のすべてに配置
・手洗い場には液体石鹸,ペーパータオル,ごみ箱の設置
② 訓練と教育
・WHOが推奨する手指衛生の必要な5つの場面に基づく定期的な教育と正しい手指衛生手技の訓練
③ 評価と還元
・職員間で知識を共有および手指衛生実施状況調査の実施とその還元
④ 現場に手洗いのポスター掲示
・手指衛生の重要性を忘れないための手技やタイミングに関するポスターの掲示
⑤ 施設での医療安全の文化づくり
・手指衛生の改善を最重要事項とし,患者の安全を意識させる環境づくり
※個々の医療スタッフが速乾性消毒剤を持ち歩くのも有効である.

■知識・認識・行動制御・促進といった因子だけでは手指衛生の改善には十分でなく,行動の変化の決定要素に焦点をあてることでより手指衛生の改善がより有効なものとなる[30]

■各病院の手指衛生の状況を数値化する最も簡便な手段は手指消毒薬使用量データであり,各病院の感染対策室はこの数値を算出すべきと思われる.これに関しては,アルコール消毒薬の使用量で評価すると参考になる.具体的には,1回あたりの使用量が3cc(ヒビスコール®では1プッシュ1.5ccで1回あたり2プッシュ必要)として,全使用量を患者数×期間で割った「1人の患者につき1日に使用される量」を算出する.一般的には15cc/患者人/日が最低の標準ラインとされている.ただし,病室に入るときと出るときの最低2回を考えても,15cc/患者人/日だと消毒回数5回,すなわち2.5回しか病室に出入りがない計算になるため,実はこれでも少ない.

■手指衛生用速乾性アルコール消毒薬の使用量を増加させる一手段として,各スタッフが携帯式の消毒薬を持つことであり,これにより多くの施設で消毒薬使用量が増加した.

■SHEA/IDSAによる手指衛生のガイドライン[31]が発表されているので参考にされたい.

[1] Pittet D. Improving adherence to hand hygiene practice : a multidisciplinary approach. Emerg Infect Dis 2001; 7: 234-40
[2] Hugonnet S, Perneger TV, Pittet D. Alcohol-based handrub improves compliance with hand hygiene in intensive care units. Arch Intern Med 2002; 162: 1037-43
[3] Pittet D, Allegranzi B, Sax H, et al. Evidence-based model for hand transmission during patient care and the role of improved practices. Lancet Infect Dis 2006; 6: 641-52
[4] Kramer A, Schwebke I, Kampf G. How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A systematic review. BMC Infect Dis 2006; 6: 130
[5] Hota B. Contamination, disinfection, and cross-colonization: are hospital surfaces reservoirs for nosocomial infection? Clin Infect Dis 2004; 39: 1182-9
[6] Marinella MA, Pierson C, Chenoweth C. The stethoscope. A potential source of nosocomial infection? Arch Intern Med 1997; 157: 786-90
[7] Jones JS, Hoerle D, Riekse R. Stethoscopes: a potential vector of infection? Ann Emerg Med 1995; 26: 296-9
[8] Parmar RC, Valvi CC, et al. A prospective, randomised, double-blind study of comparative efficacy of immediate versus daily cleaning of stethoscope using 66% ethyl alcohol. Indian J Med Sci 2004; 58: 423-30
[9] Steven N, Urban C, Mangini ED, et al. "Is the Clinicians' Necktie a Potential Fomite for Hospital Acquired Infections?" Paper presented at the 104th General Meeting of the American Society for Microbiology May 23-27 2004. New Orleans. Louisiana, p.204
[10] McLure HA, Mannam M, Talboys CA, et al. The effect of facial hair and sex on the dispersal of bacteria below a masked subject. Anaesthesia 2000; 55: 173-6
[11] Waterman TR, Smeak DD, Kowalski J, et al. Comparison of bacterial counts in glove juice of surgeons wearing smooth band rings versus those without rings. Am J Infect Control 2006; 34: 421-5
[12] Roger D. Doctors should abandon ties and avoid nose rings. BMJ 2003; 326: 1231
[13] Siegel JD, Rhinehart E, Jackson M, et al. 2007 Guideline for Isolation Precautions : Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings. http://www.cdc.gov/hicpac/pdf/isolation/Isolation2007.pdf
[14] World Health Organization. WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care. http://whqlibdoc.who.int/publications/2009/9789241597906_eng.pdf
[15] Gokdmann DA. The role of barrier precautions in infection control. J Hosp Infect 1991; 18: 515-23
[16] Doebbeling BN, Pfaller MA, et al. Removal o nosocomial pathogens from the contaminated glove : implications for glove reuse and handwashing. Ann Intern Med 1988; 109: 394-8
[17] Larson EL. 1992, 1993 and 1994 Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology Guidelines Committee. APIC guideline for handwashing and hand antisepsis in health care settings. Am j Infect Control 1995; 23: 251-69
[18] HICPAC/SHEA/APIC/IDSA Hand Hygiene Task Force : Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings. MMWR 2002; 51: RR-16
[19] DeGroot-Kosolcharoen J, jones JM. Permeability of latex and vinyl gloves to water and blood. Am J Infect Control 1989; 17: 196-201
[20] Olsen RJ, Lynch P, Coyle MB, et al. Examination gloves as barriers to hand contamination and clinical practice. JAMA 1993; 27: 350-3
[21] Adams D, Bagg J, Limaye M, et al. A clinical evaluation of glove washing and re-use in dental practice. J Hosp Infect 1992; 20: 153-62
[22] Morgan DJ, Rogawski E, Thom KA, et al. Transfer of multidrug-resistant bacteria to healthcare workers' gloves and gowns after patient contact increases with environmental contamination. Crit Care Med 2012; 40: 1045-51
[23] Zaragoza M, Sallés M, Gomez J, et al. Handwashing with soap or alcoholic solutions? A randomized clinical trial of its effectiveness. Am J Infect Control 1999; 27: 258-61
[24] Paulson DS, Fendler EJ, et al. A close look at alcohol gel as an antimicrobial sanitizing agent. Am J Infect Control 1999; 27: 332-8
[25] Patrick DR, Findon G, Miller TE. Residual moisture determines the level of touch-contact-associated bacterial transfer following hand washing. Epidemiol Infect. 1997; 119: 319-25
[26] Duizer E, et al. Inactivation of calicivirus. Appl Environ Microbiol 2004; 70: 4538-43
[27] Bobulsky GS, Al-Nassir WN, Riggs MM, et al. Clostridium difficile skin contamination in patients with C. difficile-associated disease. Clin Infect Dis 2008; 46:447-50
[28] Sakihama T, Honda H, Saint S, et al. Hand Hygiene Adherence Among Health Care Workers at Japanese Hospitals: A Multicenter Observational Study in Japan. J Patient Saf 2014 Apr 8
[29] Willison-Parry TA, Haidar EA, Martini LG, et al. Handwashing adherence by visitors is poor: is there a simple solution? Am J Infect Control 2013; 41: 928-9
[30] Huis A, van Achterberg T, de Bruin M, et al. A systematic review of hand hygiene improvement strategies: a behavioural approach. Implement Sci 2012; 7: 92
[31] Ellingson K, Haas JP, Aiello AE, et al. Strategies to prevent healthcare-associated infections through hand hygiene. Infect Control Hosp Epidemiol 2014; 35: 937-60
[PR]
# by DrMagicianEARL | 2016-10-15 07:00 | 感染対策 | Trackback | Comments(0)
■ICUにおけるストレス潰瘍予防でPPIがよく使用されていますが,その適用範囲はあまり周知されていません.ガイドラインとしては17年前のものになりますが,American Society of Health-System Pharmacists(ASHP)からストレス潰瘍予防のガイドライン(Am J Health Syst Pharm 1999; 56: 347-79)が発表されており,ICU患者でのストレス潰瘍予防介入の適応基準(成人)が定められています.その後,各種RCTのメタ解析が行われ,PPIがH2RAよりもストレス潰瘍を予防するためPPIが推奨されるようになりましたが,このメタ解析においては,includeされたRCTはどれも有意差が出せていません.加えて,これらのRCTのほとんどは2000年以前のものであり,出血リスクが5%程度であるのに対し,2000年以降のストレス潰瘍による出血リスクは複数の観察研究で1%以下と報告されています.すなわち,集中治療の進歩とともにストレス潰瘍自体がかなり減少しており,現在では胃酸抑制薬の益は乏しくなり,むしろ肺炎やCDIといった感染症のリスクが問題となっています.それもあってか,敗血症でもSSCG 2008では積極推奨だったストレス潰瘍予防薬投与はSSCG 2012ではトーンダウンし,適用は出血リスクがない患者には投与すべきでないという推奨に変わりました.

■集中治療の進歩に伴ってストレス潰瘍出血率が低下してきた背景には早期経腸栄養の普及が関連していると言われています.実際,経腸栄養時にストレス潰瘍予防が必要かについては,経腸栄養を行った方がむしろ消化管出血を抑えるという報告が以前からあります.近年のMarikらのメタ解析(Crit Care Med 2010; 38: 2222-8)では,H2RAの消化管出血予防効果は全体では認められるが,経腸栄養を施行した患者に限定したサブ解析ではH2RA投与有無で消化管出血リスクに影響はなく,経腸栄養そのものが上部消化管出血を予防する可能性を示唆する結果となっています.

■これは,経腸栄養によってプロスタグランジン分泌と消化管血流が改善する,胃内pHが経腸栄養によって希釈され上昇する,ストレス起因性の迷走神経刺激伝達系を経腸栄養が抑制することなどが理由と考えられています.さらに,H2RAは全体では肺炎,死亡率を増加させなかったが,経腸栄養患者ではH2RAを投与した方が肺炎や死亡率が増加しています.以上から,経腸栄養はストレス潰瘍に対する予防効果があり,経腸栄養施行患者へのストレス潰瘍予防薬投与は合併症リスクが増加する可能性があることを考慮すると必要性は低いかもしれない,ということが言われるようになりました.

■今回紹介する論文はまさに早期経腸栄養患者でのPPIの必要性可否を問うものです.結果は,PPI群・プラセボ群いずれも臨床的に意義のある出血はゼロ,その他あらゆるアウトカムに有意差なしという結果.サンプル数が少ないですが,前述の流れも考慮すれば予想された結果ではあり,少なくともPPIをルーチンで使用する必要はないのかなという印象です.使用するにしてもASHPガイドラインの適用範囲を超えて使用する必要性はないと思われます.
ストレス潰瘍予防におけるパントプラゾールとプラセボ(POP-UP):無作為化二重盲検探索比較試験
Pantoprazole or Placebo for Stress Ulcer Prophylaxis (POP-UP): Randomized Double-Blind Exploratory Study. Crit Care Med 2016; 44: 1842–50

Abstract
【目 的】
パントプラゾールは消化管出血の予防として重症患者に頻回に投与されている.しかし,プラセボとの比較は不適切に評価されており,パントプラゾールは潜在的な有害を有する.我々の目的は,パントプラゾール投与の益と害を評価することである.

【方 法】
本研究は前向き二重盲検無作為化並行群間比較試験である.研究は大学病院の内科外科混合ICUで行った.患者は経腸栄養が適用となった人工呼吸器を装着した重症疾患患者である.我々は患者を毎日プラセボ静注群とパントプラゾール静注群に無作為に割り付けた.主要評価項目は臨床的に意義のある消化管出血,感染による人工呼吸器関連合併症もしくは肺炎,Clostridium difficile感染症とした.副次評価項目は明らかな出血,ヘモグロビン濃度,死亡率とした.

【結 果】
無作為化された214例の患者のうち,臨床的に意義のある消化管出血エピソードを有した患者はいなかった.3例(プラセボ群1例 vs パントプラゾール群2例)の患者は感染による人工呼吸器関連合併症または肺炎の基準を満たし,1例(0例 vs 1例)がClostridium difficile感染症と診断された.パントプラゾールの投与は明らかな出血率(6例 vs 3例; p=0.50),赤血球輸血施行で調整した毎日のヘモグロビン濃度(p=0.66)においていかなる差も認められなかった.死亡率は両群間で同等であった(log-rank検定 p=0.33: 調整後のパントプラゾールのハザードリスク 1.68 [95% CI0.97–2.90]; p=0.06).

【結 論】
経腸栄養を受ける人工呼吸器を装着した重症疾患患者に対するパントプラゾールの予防的投与において益と害の根拠は得られなかった.ストレス潰瘍予防のための重症疾患患者への酸抑制薬ルーチン投与のプラクティスについてはさらなる評価が必要である.

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2016-10-14 20:53 | 文献 | Trackback | Comments(0)

by DrMagicianEARL