ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

更新履歴
2017年9月25日「第45回日本救急医学会総会・学術集会(10月24日~26日大阪)」更新

2017年10月23日「第22回エンドトキシン救命治療研究会(2018年1月19・20日東京)」追加2017年10月23日「第33回体液・代謝管理研究会年次学術集会(2018年1月27日札幌)」追加
研究会,講演会,学会日程
※学会総会に加え,主に敗血症,救急集中治療,感染症の研究会,講演会を適宜掲載していきます(本記事を更新していきます).あくまでも私の知る範囲でのものだけです.これまで研究会については関西圏ばかりでしたが,2016年4月以降私が関西を離れますので,開催地制限ははずします.私自身は東北に移るためそちらの案内が増えるかもしれません.

※ここに掲載されていない研究会・講演会で掲載希望等あればコメント欄に記入するか,以下までメールで御連絡下さい.開催場所に制限はありませんが,内容は本ブログの内容の関係上,敗血症,感染症,救急/集中治療に関連するものに限ります.日時,演題名,会の主な対象や主旨等を記載して下さい.
⇒メールはこちらcum_earl@yahoo.co.jp
第45回日本救急医学会総会・学術集会
テーマ:「Love EM(Emergency Medicine):救急への想い」
【日時】2017年10月24日(火)~26日(木)
【会場】リーガロイヤルホテル大阪,大阪国際会議場(グランキューブ大阪)

日本救急医学会・日本集中治療医学会ジョイントセッション「世界からみた敗血症~いま自分たちにできること~」
10月25日(水)16:30~17:30
第3会場(リーガロイヤルホテル大阪 タワーウイング3階 光琳Ⅱ)
司会:松嶋麻子先生(名古屋市立大学大学院医学研究科先進急性期医療学)
世界では、毎年約600万人が敗血症で命を落としており、その多くが「防ぎ得た死」であると言われています。2017年5月、WHO(世界保健機構)は「敗血症の予防、診断、治療を先進国、発展途上国に関わらず推進すること」を世界の健康課題として認定しました。このセッションでは日本集中治療医学会と合同で、世界および日本における敗血症の現状、課題を皆様と共有し、今後の日本の敗血症対策につなげたいと思っています。世界に目を向けた若い先生方の積極的なご参加を期待しています。
演題1:「Global Sepsis Alliance (GSA) の活動と世界敗血症デー」
演者:中川 聡先生(国立成育医療研究センター病院集中治療科)
演題2:「加齢と敗血症」
演者:井上 茂亮先生(東海大学医学部付属八王子病院救命救急医学)
演題3:「小児敗血症を世界的視野で俯瞰する」
演者:川崎 達也先生(静岡県立こども病院小児集中治療科)
演題4:「世界の多剤耐性菌対策による敗血症死の予防 ~AMR対策アクションプラン~」
演者:DrMagicianEARL(EARLの医学ノート管理人)
演題5:「敗血症の研究について(仮題)」
演者:松田 直之先生(名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野)
演題6:「世界の敗血症対策 WHOからの提言」
演者:松嶋 麻子先生(名古屋市立大学大学院医学研究科先進急性期医療学)

ホームページ:http://www2.convention.co.jp/45jaam
※アクセスすると突然音声が流れますので音量に注意してください
 学会2日目に救急医学会と集中治療医学会のジョイントセッションで「世界から見た敗血症」をテーマにGlobal Sepsis Alliance委員会メンバー6人での講演を行います。私は4演題目に世界の多剤耐性菌対策について講演させていただきます。
第87回日本感染症学会西日本地方会学術集会/第60回日本感染症学会中日本地方会学術集会/第65回日本化学療法学会西日本支部総会合同学会
テーマ:「進化する感染症学と化学療法~魅力ある領域への展開~」
【日時】2017年10月26日(木)~28日(土)
【場所】長崎ブリックホール

ホームページ:http://www.c-linkage.co.jp/wm-jciid2017/
第66回日本感染症学会東日本地方会学術集会/第64回日本化学療法学会東日本支部総会合同学会
テーマ:「感染症病態の探究と創意ある治療をめざして―基礎と臨床との連携―」
【日時】2017年10月31日(火)~11月2日(木)
【会場】京王プラザホテル新宿

ホームページ:http://www.pcoworks.jp/godo2017/
第22回エンドトキシン救命治療研究会
テーマ:「北からの発信」
【日時】2018年1月19日(金)~20日(土)
【会場】東京コンファレンスセンター・品川

ホームページ:http://jscce.umin.jp/index.html
第33回体液・代謝管理研究会年次学術集会
テーマ:「北からの発信」
【日時】2018年1月27日(土)
【会場】札幌医科大学臨床教育研究棟1階講堂

一般演題募集中(締切11月30日)

ホームページ:http://web.sapmed.ac.jp/masui/taieki33/
第45回日本集中治療医学会学術集会
テーマ:「一歩先へ;One Step Forward」
【日時】2018年2月21日(水)~23日(金)
【会場】幕張メッセ,ホテルニューオータニ幕張

ホームページ:http://jsicm2018.jp/
第33回日本環境感染学会総会・学術集会
テーマ:「感染制御におけるBest Practiceの追求」
【日時】2018年2月23日(金)~24日(土)
【会場】グランドプリンスホテル新高輪,国際館パミール

http://www.congre.co.jp/33jsipc/index.html

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2017-10-23 16:09 | 研究会・講演会・学会 | Comments(8)
■世界に先駆けてハイブリッドER(外傷初療室でIVRやCTも可能)を導入した大阪急性期・総合医療センターからその成果となる論文が発表されました.前後比較研究になりますが素晴らしい治療成績です.患者移送リスクを排除し,迅速なdamage control resuscitationを実現した影響は大きいと思います.現在日本各地の施設でハイブリッドERが導入されつつあり,海外からも日本式ERとして注目が集まっています.
迅速な全身CT,手術,IVRをすべて1つの外傷蘇生室で行う最新のワークフローによる生存利益:後ろ向き歴史的対照研究
Kinoshita T, Yamakawa K, Matsuda H, et al. The Survival Benefit of a Novel Trauma Workflow that Includes Immediate Whole-body Computed Tomography, Surgery, and Interventional Radiology, All in One Trauma Resuscitation Room: A Retrospective Historical Control Study. Ann Surg 2017 Sep 26[Epub ahead of print]
PMID: 28953551

Abstract
【目 的】
本研究の目的は,重症外傷におけるIVR(interventional radiology)-CT(computed tomography)システムを用いた新しい外傷ワークフローの影響を評価することである.

【背 景】
2011年8月に我々の外傷蘇生室においてIVR-CTシステムを導入した.我々はこれを,1つの場所で外傷で必要な全検査と治療が行えるものとして,ハイブリッド救命救急室(ER)と名付けた.

【方 法】
日本で行われた本後ろ向き歴史的対照研究では,重症(外傷重症度スコア≧16)鈍的外傷患者を連続的に登録した.患者は,標準群(2007年8月から2011年7月)とハイブリッドER群(2011年8月から2015年7月)の2つに分類した.主要評価項目は28日死亡率に設定した.副次評価項目は,死亡原因と到着からCTおよび手術までの時間とした.臨床的に重要な変数で調整した多変量ロジスティック回帰解析を臨床アウトカムを評価するために行った.

【結 果】
696例の患者が登録され,360例が標準群,336例がハイブリッドER群に登録された.ハイブリッドER群は死亡リスク減少に有意に関連し(調整後OR 0.50; 95%CI 0.29-0.85; p=0.011),出血による死亡を減少させた(調整後OR 0.17; 95%CI 0.06-0.47; p=0.001).CT導入までの時間(標準群26分(21-32) vs ハイブリッドER群11分(8-16); p<0.0001),緊急処置までの時間(68分(51-85) vs 47分(37-57);p<0.0001)はいずれもハイブリッドER群の方が短かった.

【結 論】
ハイブリッドERで実現される,患者の移動なしでの迅速なCT診断と出血コントロールを含むこの新しい外傷ワークフローは重症外傷の死亡率を改善させる可能性がある.

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2017-10-06 11:09 | 文献 | Comments(0)
■ARDS患者においてPEEPを高く設定して虚脱した肺胞を開通させ,かつ再虚脱を防止するオープンラング戦略はまだエビデンスが少ないものの酸素化の改善において有用であるという報告がいくつも出ています.その中でも45cmH2Oといったような非常に高いPEEPに設定し,その後PEEPを漸減するという肺リクルートメント手技が知られています.しかし,この方法はこれまで小規模の研究しかなく,統一された手法もありません.また,酸素化は改善しますが死亡率に与える影響までは不明でした.

■今回紹介する論文は,中等症以上のARDS患者1010例を登録し,肺リクルートメント手技を検討した大規模RCT(ART)です.結果は,肺リクルートメント手技を行った方が死亡率が悪化し,圧傷害や気胸が増加したという惨憺たる結果でした.私もARDS患者に肺リクルートメント手技はやりますが,このARTのような介入プロトコルほどは攻めませんし,やるにしてもICU入室初日か2日目までですし(急性期は日数がたつほど肺は硬くなるため損傷リスクがある),リクルートメントの非常に高いPEEPをかけている時間はかなり短めで,PEEPも35cmH2Oまで上げたりはしません.漸減も比較的すみやかに行っています.このためか,肺リクルートメント手技を行ってもbarotraumaや気胸をきたした経験は今のところありません.酸素化改善を得るためならもっと肺に優しいプロトコルにできるのでは?とずっと思っています.

■さて,このARTは,ブラジル,アルゼンチン,コロンビア,イタリア,ポーランド,ポルトガル,マレーシア,スペイン,ウルグアイの9カ国120のICUで行われた大規模RCTになります.患者は中等度から重症のARDS患者で,2/3が敗血症性ショック,2/3がdirect ARDSです.腹臥位療法を受けたのは1割,ARDS発症から無作為化までの時間は15時間程度,平均P/F比は120程度,TVは5.8mL/kg理想体重(研究プロトコルでは4-6mL/kg理想体重を目標),プラトー圧は26cmH2O程度です.

■リクルートメントを行う群は無作為化後すぐに神経筋遮断薬の投与を開始されています.肺リクルートメントのやり方は以下の図の通りです(論文Supplemental contentより).この手技を,初回が成功(P/F比が50以上増加)し,かつP/F比が250未満または50超の低下があれば24時間ごとに行います.
e0255123_17342538.png
■対照群は低いPEEPといってもあくまでも肺リクルートメント群と比して,という意味合いで,PEEPレベルは10cmH2O前後(day 1, 3, 7で12.0→10.5→9.6).肺リクルートメントを行った群は16.2→14.2→11.6でいずれも対照群より有意に高く,プラトー圧>30cmH2Oとなった患者の割合もday3までは肺リクルートメント群の方が有意に多いという結果でした.P/F比は一貫して肺リクルートメント群の方が平均で50前後高い状態が維持されていました.ARDSの研究を見ていると,酸素化が改善したという結果に飛びつくのはどうも危険なようです.例えば,1回換気量にしても現在一般的に行われている低1回換気よりも高い換気量の方がRCTでは酸素化は良好だったにもかかわらず死亡率は悪化しています.

急性呼吸窮迫症候群の患者の死亡率における肺リクルートメントと呼気終末陽圧(PEEP)の漸減vs低いPEEPの効果:無作為化比較試験(ART)
Cavalcanti AB, Suzumura ÉA, Laranjeira LN, et al; Writing Group for the Alveolar Recruitment for Acute Respiratory Distress Syndrome Trial (ART) Investigators. Effect of Lung Recruitment and Titrated Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) vs Low PEEP on Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial. JAMA 2017 Sep 27 [Epub ahead of print]
Abstract
【背 景】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の臨床アウトカムにおけるリクルートメント手技と呼気終末陽圧(PEEP)漸減の効果はいまだに不明確である.

【目 的】
標準的な低いPEEP戦略と比較して,最良の呼吸器系コンプライアンスのためのPEEP漸減に関連した肺リクルートメントが中等度から重症のARDS患者の28日死亡率を減少させるかについて検討した.

【方 法】
本研究は,中等度から重症のARDS成人患者を登録した,2011年11月17日から2017年4月25日までに9か国120の集中治療室(ICU)で行われた多施設共同無作為化試験である.肺リクルートメント手技と最良の呼吸器系コンプライアンスのためのPEEP漸減による実験戦略(501例;実験群)または低いPEEPの対照戦略に割り付けた.全患者はweaningまで従量式アシストコントロールモードを受けた.主要評価項目は,28日目までの全死亡率とした.副次評価項目は,ICU在室期間と入院期間,28日間での人工呼吸器非装着日数,7日間以内のドレナージを要する気胸,7日間以内の圧傷害,ICU死亡率,院内死亡率,6ヶ月死亡率とした.

【結 果】
計1010例の患者(女性37.5%; 平均[標準偏差]年齢 50.9歳[17.4])が登録・フォローアップされた.28日時点で,実験群501例のうち277例(55.3%),対照群509例のうち251例(49.3%)が死亡した(HR 1.20; 95%CI 1.01 to 1.42; p=0.041).対照群と比較して,実験群は6ヶ月死亡率を増加させ(65.3% vs 59.9%; HR 1.18; 95%CI 1.01 to 1.38; p=0.04),平均人工呼吸器非装着日数を減少させ(5.3 vs 6.4; 絶対差 −1.1; 95%CI −2.1 to −0.1; p=0.03),ドレナージを要する気胸リスクを増加させ(3.2% vs 1.2%; 絶対差 2.0%; 95%CI 0.0% to 4.0%; p=0.03),圧傷害リスクを増加させた(5.6% vs 1.6%; 絶対差 4.0%; 95%CI 1.5% to 6.5%; p=0.001).ICU在室期間,入院期間,ICU死亡率,院内死亡率に有意差はみられなかった.

【結 論】
中等度から重症のARDS患者において,低いPEEPと比較した肺リクルートメントとPEEP漸減は28日全死亡率を増加させた.本知見は,これらの患者における肺リクルートメント手技とPEEP漸減のルーチンの使用を支持しない.

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2017-09-29 00:00 | 敗血症性ARDS | Comments(0)
■ICU患者の終末期と考えられる状況でのwithdrawal(ECMOや人工呼吸器,投与中の薬剤中止)やwithholding(これ以上の積極的な治療を行わない)はどのようにされているでしょうか?これらのEnd-of-Lifeケアについては3学会合同の指針が示されており,(1)人工呼吸器,ペースメーカー(ICDの設定変更を含む),補助循環装置などの生命維持装置を終了する,(2)血液透析などの血液浄化を終了する,(3)人工呼吸器の設定や昇圧薬,輸液,血液製剤などの投与量など呼吸や循環の管理方法を変更する,(4)心停止時に心肺蘇生を行わない,が提示されており,いずれを行うにしても患者や家族らに十分説明して合意を得て進め,同時に緩和ケアを行う(筋弛緩薬投与などの手段により死期を早めるようなことは行わない),としています.終末期の定義は日本救急医学会の「救急医療における終末期医療に関する提言」で以下のように定められています(ただし,実臨床ではこの判断が難しいことは当然ながらしばしばある).
①不可逆的な全脳機能不全(脳死診断後や脳血流停止の確認後なども含む)と診断された場合
②生命が新たに開始された人工的な装置に依存し,生命維持に必須な臓器の機能不全が不可逆的であり,移植などの代替手段もない場合
③その時点で行われている治療に加えて,さらに行うべき治療方法がなく,現状の治療を継続しても数日以内に死亡することが予測される場合
④悪性疾患や回復不可能な疾病の末期であることが,積極的な治療の開始後に判明した場合

■では実際にはどのように家族に説明するかですが,ICU患者である場合,癌患者や超高齢者と比較してなかなか説明のハードルが高いと感じる医師も多いです.その結果,治る見込みがほぼない状況にある患者にずるずると侵襲的治療が継続されてしまうケースもあります.どのように説明するかの正解となるようなものがあるわけではないですが,私自身は,毎日家族に病状の詳しい説明を行い(時には1日に2回),ベッドサイドでもモニターを含め一緒に状態を見てもらい,徐々に助からないであろう状況を受け入れてもらうようにしています.この過程で,緩和ケアとwithholdingは最初の段階で同意を得て開始します.そして日々の家族への説明等で受け入れ具合を見てwithdrawalの話を出します.このようなEnd-of-Lifeケアを行っていく上で,日本緩和医療学会が行っている緩和ケア研修会(PEACE)は参考になりますので,ぜひ受けられた方がいいと思います.

■ただし,これまでの経験で,私も抜管を行ったことはまだありません.ここに踏み込むにはかなり勇気がいりますし,まさに「withdrawalよりもwithholdingの方が医療者の心理的負担は少ない」というエビデンスをダイレクトに痛感します(Am J Public Health 1993; 83: 14-23).実際に,人工呼吸器のwithdrawalは日本ではほぼ行われていないに等しい行為です.終末期で抜管すれば患者は平均して1時間で確実に死に至るため(Chest 2010; 138: 289-97)躊躇するのは当然のことかと思われます.仮にもし行うにしても倫理委員会にお伺いをたてるなどする必要があるでしょう.今回紹介する論文はそのICU患者の人工呼吸管理の中止について検討した報告です.

■このARREVE studyでは,前向き観察研究で,終末期のICU人工呼吸患者のwithdrawの手段としてimmediate extubation(即時抜管)とterminal weaning(終末期weaning) を比較しています.即時抜管では,口腔内の分泌物や喀痰を十分に吸引した後に抜管し,すぐに加湿された酸素をマスクで投与して経過をみます.一方,終末期weaningは,呼吸回数やPEEP,酸素濃度を30~60分ごとに低下させていき,最終的にチューブを残した状態で維持できるのであればTピースで過ごすなどします.結果は,即時抜管の方が気道閉塞や喘ぎ呼吸,疼痛のBPSスコアが高いなどが生じやすいが,ICUスタッフの仕事量は少なく,複雑な悲嘆・PTSD・不安・抑うつは同等という結果でした.これらの結果から,緩和ケアの観点からいけば私自身は終末期weaningを選びたいところですが,海外では即時抜管もそれなりにあるようです.抜管すれば家族と肉声で会話できるというメリットがあるのかもしれません.
重症疾患患者の人工呼吸換気の中止(withdraw)における終末期weaningまたは即時抜管(ARREVE study)
Robert R, Le Gouge A, Kentish-Barnes N, et al. Terminal weaning or immediate extubation for withdrawing mechanical ventilation in critically ill patients (the ARREVE observational study). Intensive Care Med 2017 Sep 22 [Epub ahead of print]
PMID: 28936597

【目 的】
人工呼吸器の中止(withdrawal)において,即時抜管か終末期weaningかの相対的なメリットは,特に患者や近親者においては議論の余地がある.

【方 法】
本前向き観察多施設共同研究(ARREVE)は,ICUチームによる選択での終末期weaningと即時抜管を比較するためフランスの43のICUにおいて行われた.終末期weaningは換気補助の量の漸減とし,即時抜管は換気補助の事前の減量なしの抜管とした.主要評価項目は,死後3ヶ月後の近親者の心的外傷後ストレス症状(Impact of Event Scale Revised, IES-R)とした.副次評価項目は,近親者の複雑な悲嘆(complocated grief),不安,抑うつ症状,死までの経過における患者の快適さ,スタッフの仕事量とした.

【結 果】
我々は終末期weaningした248例の患者の近親者212名(85.5%),即時抜管した210例の患者の近親者190名(90.5%)を登録した.即時抜管は,終末期weaningと比較して,気道閉塞や高い平均Behavioural Pain Scaleスコアと関連していた.近親者において,3ヶ月後のIES-Rスコアは両群間で有意差はみられず(31.9±18.1 vs 30.5±16.2; 調整差 −1.9; 95%CI −5.9 to 2.1; p=0.36),複雑な悲嘆,不安,抑うつスコアにおいても差はみられなかった.ナースは,即時抜管群の方が仕事量スコアが低かった.

【結 論】
終末期weaningと比較して,即時抜管は,それぞれの方法が適用されたICUにおいて標準的な診療を構成する場合,近親者の心理的状態の差異と関連していなかった.患者は即時抜管の方が気道閉塞と喘ぎ呼吸が多かった.

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2017-09-28 00:00 | 文献 | Comments(0)
■オーストリアはウィーンで第30回欧州集中治療医学会(ESICM 2017)が開催されている関係で,Intensive Care Medicine誌も次々と論文をonline publishしています.今回紹介するのは侵襲性カンジダ感染症が疑われた重症患者への経験的抗真菌薬の投与期間を0日目と4日目に計測したバイオマーカーに基づいて決定するアルゴリズムを用いて決定する介入群と,国際ガイドライン通り2週間投与を目安とする群を比較したRCTです.バイオマーカーによるアルゴリズムの図はICMのTwitter公式アカウントが公開していましたのでそちらから拝借してAbstractの下に掲載しました.

■結果は,バイオマーカーによるアルゴリズムを用いた方が早期に抗真菌薬を中断できたという結果です.単施設研究であり,もう少し検証は必要ですが,7日以内に約半数が安全に抗真菌薬を終了できるのであればかなり心強いエビデンスになります.気になるのは,バイオマーカー群は中央値にしてほぼ半分の投与期間であるにもかかわらず,コストに有意差がなかったことです.何にそこまでコストがかかったんでしょうね?
重症患者における経験的抗真菌薬の早期中断のためのバイオマーカーに基づいた戦略:無作為化比較試験(S-TAFE study)
Rouzé A, Loridant S, Poissy J, et al; S-TAFE study group. Biomarker-based strategy for early discontinuation of empirical antifungal treatment in critically ill patients: a randomized controlled trial. Intensive Care Med 2017 Sep 22 [Epub ahead of print]
PMID: 28936678

Abstract
【目 的】
本研究の目的は,経験的抗真菌薬の早期中断におけるバイオマーカーに基づいた戦略の影響を検討することである.

【方 法】
この前向き無作為化比較単施設非盲検研究は混合ICUで行われた.計110例の患者が,経験的抗真菌薬投与期間を,0日目と4日目に(1,3)-β-D-グルカン,マンナン抗原,抗マンナン血清アッセイの測定によって決定する戦略群(バイオマーカー群)か,14日間治療を推奨している国際ガイドラインに基づいたルーチンケア群に無作為に割り付けた.バイオマーカー群では,早期中止の推奨を,バイオマーカー計測結果に基づいたアルゴリズムを用いて決定した.主要評価項目は,経験的抗真菌薬を7日目までに中止と定義された早期中止を行った生存者の割合とした.

【結 果】
109例の患者が解析された(1例が治療中止(withdrawal)で同意).経験的抗真菌薬の早期中止は,ルーチンケア群で55例中1例であったのに対し,バイオマーカー群で54例中29例であった(54% vs 2%, p<0.001, OR 62.6, 95%CI 8.1–486).全抗真菌薬投与期間はルーチンケア群と比較してバイオマーカー群の方が有意に短かった(
中央値(四分位範囲) 6日(4–13) vs 13日(12–14), p<0.0001).両群間で,侵襲性カンジダ感染確定診断,人工呼吸管理のない日数,ICU滞在日数,コスト,ICU死亡の患者の割合に有意差はみられなかった.

【結 論】
バイオマーカーに基づいた戦略の使用は,侵襲性カンジダ感染症が疑われた重症患者における経験的抗真菌薬の早期中止の割合を増加させた.本結果は,経験的抗真菌薬の早期中止が予後にネガティブな影響を与えなかったことを示唆する既知の知見を裏付けるものである.しかしながら,この戦略の安全性を確認するためにはさらなる研究が必要である.本研究はClinicalTrials.gov NCT02154178で登録した.
本研究のバイオマーカー群のアルゴリズム
e0255123_16164535.png

[PR]
# by DrMagicianEARL | 2017-09-27 00:00 | 抗菌薬 | Comments(0)

by DrMagicianEARL