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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】心肺蘇生の認識されていない有益性:臓器移植

■今回紹介する論文は救急蘇生と移植医療の分野から,Critical Care Medicine誌の報告です.今回は特にレビューはしません(というよりこれまでこのような報告は全くなく,PubMedでもRelated Citationsが表示されません).結論を読んでちょっと感動した論文です.心肺蘇生でたとえその患者が助からなくても,その心肺蘇生が実は他の誰かを助けているのかもしれない,心肺蘇生の決して報告されることのなかった一面で,移植の敷居が高い日本ではこのような報告はなかなか出せないでしょう.
心肺蘇生の認識されていない有益性:臓器移植
An Under-Recognized Benefit of Cardiopulmonary Resuscitation: Organ Transplantation.

Orioles A, Morrison WE, Rossano JW, Shore PM, Hasz RD, Martiner AC, Berg RA, Nadkarni VM.
Crit Care Med. 2013 Aug 14. [Epub ahead of print]
PMID:23949474

【目 的】
 多くの心停止患者において,心肺蘇生は長期生存に終わらない.これらの患者の一部においては,臓器提供がオプションとなる.心肺蘇生後の臓器移植は心肺蘇生のアウトカムとして報告されることなく,見向きもされていない.我々は米国で心停止の後に心肺蘇生を受けた臓器提供者から異色される臓器の数と割合を算出し,心肺蘇生を受けた提供者(心肺蘇生臓器)と受けなかった提供者(非心肺蘇生臓器)の臓器の生存を比較検討した.

【方 法】
 1999年7月から2011年6月までの米国臓器共有ネットワークから,全臓器の提供者および受容者の人口ベースのデータベースを全国規模で後ろ向きに解析した.

 1999年7月から2011年6月までの亡くなった提供者からの全臓器のデータベースを確認した.生存提供者からの臓器(76015例),心肺蘇生データが欠落した全臓器(59例),循環停止後の死亡患者からの臓器(12030例)は除外した.

 心肺蘇生を受けた提供者からの臓器(心肺蘇生臓器)および心肺蘇生を受けなかった臓器(非心肺蘇生臓器)に関する,提供者の過去のデータと臓器生存アウトカムを報告する.心肺蘇生臓器と非心肺蘇生臓器の移植片生存はKaplan-Meier推定・層別log-rank検定を用いて比較した.

【結 果】
 米国では,1999年から2011年の間に神経学的基準によって死亡と認定された提供者から提供された224076臓器のうち,少なくとも12351臓器(5.5%)が心肺蘇生を受けた提供者からのものであった.心肺蘇生臓器の移植片の生存は非心肺蘇生臓器と比較して有意な差は認められなかった.

【結 論】
 米国では,年間に少なくとも1000臓器(神経学的死亡患者から移植される全臓器の5%超)が心肺蘇生を受けた患者から提供されていた.臓器回復と移植成功は,心肺蘇生における,報告されることのない有益なアウトカムである.

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by DrMagicianEARL | 2013-08-24 00:00 | 文献 | Comments(0)

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