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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

Intensivist誌『ICUルーチン』発売

今回はちょっと宣伝です
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■JSEPTIC(日本集中治療教育研究会)の機関誌であるIntensivist誌の最新号『ICUルーチン』(メディカル・サイエンス・インターナショナル,¥4,600)が発売となりました.今回は長谷川隆一先生(公立陶生病院救急部)と真弓俊彦先生(産業医科大学救急医学講座)がエディターとなり,本邦のICUで頻繁に行われている処置・検査・ケアのルーチンの計16項目を取り上げ,その現状とエビデンスのギャップ,どのように改めるべきかについてをまとめています.本ブログ記事の下の方に特集内容を並べてありますが,見て分かる通り,看護師さんにも大きくかかわる項目が約半数を占めていますし,ICUのみならず一般病棟でも参考になる内容がてんこ盛りです.

■今回私も『消化性潰瘍予防・治療』の項目を担当執筆させていただきました.入院患者にPPIやH2RAが特にリスクもないのにルーチンで投与されているのをよく見かけます.これはICU患者でも言えることで,ICU患者だからといって全例に消化性潰瘍が必要というわけではありません.American Society of Health-System-Pharmacistsの消化性潰瘍予防ガイドラインにICU患者での消化性潰瘍予防の適用基準があり,ICU入室だけでは適用にならないことが分かります.また,敗血症の国際ガイドラインSSCG2012においても,PPIが第一選択という推奨ばかりが知れ渡っていますが,「出血リスクを有する患者」「危険因子のない患者には投与すべきでない」という記載があり,敗血症だからといって適用があるわけではありません.

■ICU患者におけるPPI,H2RAについてはいくつものRCTとメタ解析がありますが,これらのエビデンスはほとんどが10年以上前のデータに基づくものであり,当時の消化管出血発生リスクは1-5%であったのが2000年以降は1%未満とされており,集中治療の進歩が消化管出血発生を大きく減少させていることから,これらのエビデンスは再検証される必要があります.

■同時に,不適切な消化性潰瘍予防薬投与は主に肺炎などの感染症といった有害事象やコストを増加させてしまうため,不適切使用を減じる方法が必要であり,この方策について,普段感染対策で抗菌薬適正使用を推進している経験をもとに述べさせていただきました.

※校正終了後に書き忘れていたことに気がついたのですが,頻度はかなり少ないですが,PPIの副作用にはcollagenous colitisもありますので注意してください.

Intensivist 2014, Volume 6, No.2『ICUルーチン』
序章.ルーチンの功罪
第1章.ICUにおけるケア
1.体位変換・褥瘡予防
2.口腔ケア:ケアの要は「歯垢の除去」だけでなく「汚染物の回収」
3.気管吸引:ルーチンの吸引は不要
4.家族ケア(心理サポート):多重ストレスを抱える家族にはどう介入するか
5.体温測定・クーリング:ルーチンの解熱療法は有効か?
6.カフ上部吸引孔付き気管チューブをルーチン使用してよいか?:適正使用される前提のもと全例でルーチン使用を
【コラム】頭高位は人工呼吸器管理患者のルーチン体位か?:エビデンスの検討と他体位の比較

第2章.ICUにおける検査・処置
7.レントゲン(胸部単純X線撮影):毎日のルーチン撮影は本当に必要か
8.採血・尿定性培養:ICUにおける血液ガス分析を減らすことはできるのか
9.消化性潰瘍の予防・治療:予防薬の適応について再考すべき時期にある
10.ICU入室中の心房細動の予防・治療:原疾患の治療と補正可能な併存病態の改善を優先する
11.抗凝固薬の使用方法:個々の症例ごとに血栓形成と出血のリスクを勘案し投与する
12.ICUにおけるリハビリテーション:早期離床・運動療法の有効性の検証と今後の課題
13.末梢静脈カテーテル:安全管理のために

第3章.ICUの環境整備・スタッフ関連
14.ICUの面会事情:愛する家族に会うことは制限されるべきなのか
15.清拭・環境整備と除菌:見た目が変われば周りも変わる
16.バーンアウト予防:医療崩壊にもつながるバーンアウトは,組織として予防に取り組むべし
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by DrMagicianEARL | 2014-04-14 12:57 | 敗血症 | Comments(0)

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