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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】魚油由来n-3系脂肪酸は院内感染を減少させる.ICU Lipid study

■日本の脂肪乳剤は大豆由来であり,n-6系脂肪酸が炎症を悪化させる懸念があるため急性期に使いにくい製剤です.一方,海外の脂肪乳剤には魚油由来のものがあり,こちらはn-3系脂肪酸であるため炎症病態でも使用しやすく,近年その効果が期待されています.現在神戸の方でn-3系脂肪酸が開発されていると聞いていますが,日本での製剤化販売は実現するんでしょうか?今回,ICU患者を対象にしたn-3系脂肪酸のRCTが発表されたので紹介します.OMEGA studyで推奨度が多少下がりましたが,このICU Lipid studyで復活するでしょうか?
重症患者における院内感染と臨床アウトカムにおけるn-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含んだ脂肪乳剤:ICU Lipid study
Grau-Carmona T, Bonet-Saris A, García-de-Lorenzo A, et al. Influence of n-3 Polyunsaturated Fatty Acids Enriched Lipid Emulsions on Nosocomial Infections and Clinical Outcomes in Critically Ill Patients: ICU Lipids Study. Crit Care Med 2014 Sep.15 [Epub ahead of print]
PMID: 25226273

Abstract
【目 的】
外科患者においてn-3系多価不飽和脂肪酸(魚油を含む)は免疫修飾作用により,感染率と臨床アウトカムに有益であることが示されている.一方で,重症患者における魚油の投与の研究結果については議論がなされている.本研究の目的は,内科・外科重症患者での院内感染発生と臨床アウトカムにおけるn-3系多価不飽和脂肪酸の効果を検討することである.

【方 法】
研究デザインは,前向き多施設共同二重盲検無作為化比較試験である.研究は4年間で,スペインの17のICUで行われた.対象は,APACHE IIスコアが13以上で,高カロリー輸液を少なくとも5日間必要と予想される内科外科ICU患者159例である.高カロリー輸液を投与されている患者は,10%魚油含有脂肪乳剤または魚油を含まない脂肪乳剤のいずれかに割り付けられた.院内感染発生率はICU在室中の28日間で検出した.入院期間,院内死亡率,6か月死亡率について,ICU退室後から6か月フォローした.

【結 果】
院内感染を呈した患者数は魚油含有脂肪乳剤群の方が有意に減少し(21.0% vs 37.2%, p = 0.035),感染のない期間が長かった(21±2日 vs 16±2日, p = 0.03).ICU,院内,6カ月の死亡率に有意差は見られなかった.

【結 論】
本結果は,重症内科・外科患者において,n-3系多価不飽和脂肪酸の投与が院内感染リスクを減少させかつ感染のない期間を増加させることを示している.n-3系多価不飽和脂肪酸の投与は安全であり良好な忍容性がある.

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by DrMagicianEARL | 2014-09-17 18:35 | 文献 | Comments(0)

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