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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】敗血症患者においてβラクタム系抗菌薬濃度上昇は神経変性と関連する

βラクタム系抗菌薬に神経変性作用があるとは知りませんでした.感染症治療の主軸となるため投与は避けられませんが,不必要に長々と投与すべきではない,ということになるのでしょうか.認知症,せん妄,PICS/ICUAWと関連性があるのかについても知りたいところです.
ICUの敗血症患者において,βラクタム系濃度上昇は神経変性と関連する
Beumier M, Casu GS, Hites M, et al. Elevated Beta-lactam concentrations are associated with neurological deterioration in ICU septic patients. Minerva Anestesiol 2014 Sep 15 [Epub ahead of print]
PMID: 25220556

Abstract
【目 的】
βラクタム系抗菌薬は安全な治療薬と考えられているが,神経毒性が報告されている.本研究の目的は,ICUの敗血症患者においてβラクタム系濃度と神経変性の関連性を評価することである.

【方 法】
メロペネム(MEPM),ピペラシリン/タゾバクタム(TAZ/PIPC),セフタジジム・セフェピム(CEF)で治療を受け,少なくとも1回のβラクタム系トラフ濃度(Cmin)を規則した全ICU患者を対象とした後ろ向き研究である.薬剤レベルは高速液体クロマトグラフィーを用いて計測した.Cminは,各薬剤ごと(Cmin/MIC)の緑膿菌の臨床的ブレイクポイント(EUCASTの定義)を正常値とした.神経学的状態に変化は,神経学的SOFAスコアの変化(ΔnSOFA=nSOFA(TDMを施行した日)-nSOFA(ICU入室時))を用いた.神経学的状態の悪化は,入室時のnSOFAが0-2で,ΔnSOFA≧1と定義した.

【結 果】
199例の患者(MEPM 130例,TAZ/PIPC 85例,CEF 47例)から262のCmin値が得られた.入室時のAPACHE IIとGCSの中央値はそれぞれ17と15であった.ICU全死亡率は27%であった.神経学的状態の悪化は,各抗菌薬間で差はなかった(MEPM 39%,TAZ/PIPC 32%,CEF 35%).神経学的状態悪化の発生は,Cmin/MICの増加を伴っており(p=0.008),この相関はTAZ/PIPC(p=0.05)とMEPM(p=0.01)で見られたが,CEFでは見られなかった.Cmin/MICは神経学的状態悪化の独立した予測因子であった(OR 1.12, 95%CI 1.04-1.20).

【結 論】
ICUの敗血症患者において,高いβラクタムトラフ濃度と神経変性発生増加の間に相関を認めた.我々のデータは因果関係を断定しえないが,重症疾患で神経変性が生じたときにβラクタム系抗菌薬濃度のモニタリングが考慮されるべきである.

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by DrMagicianEARL | 2014-09-29 00:00 | 敗血症 | Comments(0)

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