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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

日本版重症敗血症診療ガイドライン2016 CQ案パブリックコメント募集(2)

CQ8.血糖コントロール
CQ8-1.強化インスリン療法(目標血糖値80-110mg/dL)を行うか?

CQ8-2.目標血糖値はいくつにするか?

CQ8-3.血糖測定はどのような機器を用いて行うか?

CQ9.栄養管理
CQ9-1.経腸栄養と静脈栄養のどちらを優先するか?

CQ9-2.経腸栄養をいつ始めるか?

CQ9-3.経腸栄養の至適投与エネルギー量は?

CQ9-4.経静脈栄養をいつ始めるか?

CQ9-5.経静脈栄養の至適投与エネルギー量は?
 CQ9-1がどのような推奨になるかに注目している.EPaNIC trialでは経腸栄養が有用,Swiss SPN studyでは経静脈栄養併用が有用との結果で激論が交わされている.そのような中,最新の研究である大規模RCTのCALORIES trialでは経腸栄養と経静脈栄養とで死亡率に有意差はなく,低血糖や嘔吐は経腸栄養群の方が多く,感染症合併率に有意差はないという結果であり,この研究をもって経腸栄養をやめる施設はあまりないであろうが,エビデンス上はどのような扱いとなるかである.この部分については先に日本集中治療医学会より栄養管理のガイドラインが発表される予定であり,新たな研究結果がでない限りそれを踏襲する形になると思われる.

 今回,免疫栄養がCQから姿を消した.大規模RCTであるREDOXS study,MetaPlus studyによって免疫栄養はむしろ有害事象を増加させる可能性を指摘された.その一方でn-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含んだ脂肪乳剤に関してはICU Lipid studyでポジティブな結果であった.ただし,いずれも日本の環境にそぐわない(栄養剤が異なる,グルタミンの投与量が非常に多い上に静脈投与している,魚油由来の脂肪乳剤を用いている)ため,現時点では日本において何らかの推奨は出しにくいと思われる.
CQ10.ステロイド
CQ10-1.敗血症性ショック患者にステロイドの投与を行うか?

CQ10-2.ステロイドの投与時期は早期投与か晩期投与か?

CQ10-3.ステロイドの至適投与量,投与期間は?

CQ10-4.どの種類のステロイドを投与するか?

CQ10-5.小児の敗血症患者に対するステロイド投与の適応と有効性は?
 ステロイドに関しては目立ったエビデンスの変化はないと思われる.この部分については,ANZICSが開始した,大規模RCTのADRENAL studyを待つことになる.本研究は登録予定患者数が敗血症研究史上最大の3800例を予定されており,ステロイド療法に決着がつくかもしれない.
CQ11.DIC対策
CQ11-1.敗血症性DICの診断を急性期DIC診断基準で行うことは有用か?

CQ11-2.敗血症性DICにリコンビナントトロンボモデュリンは有用か?

CQ11-3.敗血症性DICにアンチトロンビンの補充は有用か?

CQ11-4.敗血症性DICにタンパク分解酵素阻害薬は有用か?

CQ11-5.敗血症性DICにヘパリン,ヘパリン類は有用か?

CQ11-6.凝固異常改善を目的とした新鮮凍結血漿投与を行うか?

CQ11-7.敗血症において赤血球輸血はいつ開始するか?

CQ11-8.重症敗血症に対して血小板輸血を行うか?
 DIC以外の範囲までをカバーした内容になっているが,赤血球輸血に関しては循環管理においても取り上げられており,混乱しないだろうか?
CQ12.AKI・急性血液浄化療法
CQ12-1.敗血症においてAKI診断・重症度分類は予後予測に有用か?

CQ12-2.敗血症性AKIに対する腎代替療法(RRT)の早期導入を行うか?

CQ12-3.敗血症性AKIに対する血液浄化法は持続,間歇のどちらが推奨されるか?

CQ12-4.敗血症性AKIに対して血液浄化量を増やすことは有用か?

CQ12-5.敗血症性ショック患者に対してPMX-DHPの施行は推奨されるか?

CQ12-6.重症敗血症患者に腎補助以外の目的で血液浄化を行うか?

CQ12-7.敗血症性AKIの予防・治療目的に薬物治療は推奨されるか?
 注目すべきはPMX-DHP,non-renal indication(とりわけAN69ST(SepXiris®))であろう.PMX-DHPについては既に昨年の国際救急集中治療学会においてABDO-MIX studyの結果が発表されている.死亡率はITT解析で27.7% vs 19.5%(p=0.1391),PP解析で26.7% vs 19.5%(p=0.1931)となっており,有意差はないもののPMX-DHP群で7-8%ほど死亡率が高い傾向がみられている.これに関してはPMX-DHP続行不能症例(PMX-DHP群の32%が該当,死亡率47%)がPMX-DHP群の死亡率を大きく引き上げており,原因は明らかにされていない.しかし,このABDO-MIXが論文化されれば本ガイドラインにエビデンスとして採用されることになり,逆風になると思われる.

 また,余談ではあるが,現在スイスでもEndox studyが開始されている.この研究はAN69STのカラムの電荷を少し変えてエンドトキシンを効率よく除去できるようにしたoXirisというもので,このoXiris群,PMX-DHP群,標準治療群を比較した3アームのRCTである.この結果でPMX-DHPが優位性を示せなければ,コスト面も考慮すると優先順位は下がることになるかもしれない.
CQ13.免疫グロブリン
CQ13-1.敗血症患者に対する免疫グロブリン投与を行うか?
 RCT全体のメタ解析ではポジティブ(ただし,N数が最も多い本邦のRCTの研究デザインは質が低い),質の高いRCTのメタ解析ではネガティブ,その後に報告された大規模RCTのSBITSもネガティブという結果であった.ただし,SSCGが発表されて以降の大規模RCTでの検証はない.これについては近年,日本救急医学会,日本集中治療医学会からSepsis Registryデータの多変量ロジスティック回帰解析,Propensity Score Matching解析などが試みられ,免疫グロブリンが死亡率を改善させている可能性が示唆されている.ただし,本結果はいまだpublishされていないことに加え,第42回日本集中治療医学会での委員会報告を見る限りデータクリーニング不十分でデータそのものの信頼性に問題があると思われ,現時点でエビデンスとして組み込むことは好ましくないと思われる.
CQ14.鎮痛鎮静
CQ14-1.成人の重症敗血症患者に対し,鎮痛を優先させる管理を行うか?

CQ14-2.成人の重症敗血症患者に対し,1日1回覚醒させる鎮静管理または浅めの鎮静深度を維持する鎮静管理を行うか?

CQ14-3.成人の重症敗血症患者において,せん妄の早期診断と介入を行うか?
 今回新たにPADが加わった.PADガイドライン以降,敗血症に関して新たなエビデンスは出ていないため,既出のガイドラインを踏襲することになると思われる.
CQ15.PICS,ICUAW
CQ15-1.ICUAWの予防に電気筋刺激を行うか?

CQ15-2.PICS/ICUAWの予防に早期リハビリテーションを行うか?
 今回新たな項目として長期機能予後やQOLにかかわるPICS(post-intensive care syndrome),ICU患者に生じる原因不明の麻痺であるICUAW(ICU-acquired weakness)が追加された.現時点ではこれらに対する介入として質の高いエビデンスはない.今後,PICS/ICUAWの周知,研究推進などがなされていくだろう.
CQ16.体温管理
CQ16-1.発熱した敗血症患者に解熱療法は有用か?

CQ16-2.低体温の敗血症患者は復温させるか?
 本項目も新たに追加となった領域である.敗血症では低体温は予後が悪いこと,FACE studyで示された解熱療法が有害である可能性等から,体温管理について何らかの言及が必要であろう.日常診療において高熱があれば解熱薬で下げなければならないという誤解は払拭されるべきである.
CQ17.小児
CQ17-7.小児患者では小児用血液培養ボトルを使用するか?

CQ17-8.小児敗血症性ショックに対する循環作動薬はどのようにするか?

CQ17-9.小児敗血症患者の循環管理の指標としてのCRTの使用は用いるか?

CQ17-10.小児敗血症患者の循環管理の目標としてScvO2またはLactateを用いるか?

CQ17-11.小児敗血症患者の目標ヘモグロビン値はどうするか?

CQ17-12.小児敗血症患者に対するステロイド投与は有用か?

CQ17-13.腎補助以外の目的で血液浄化療法を行うか?

CQ17-14.小児敗血症患者に対する免疫グロブリン療法は有用か?

CQ17-15.小児敗血症患者の目標血糖値はどのようにするのか?

CQ17-16.小児敗血症性ショックの管理にACCM-PALSアルゴリズムは有用か?

CQ17-17.小児敗血症性ショックの管理に輸液および循環作動薬の一時的投与経路として骨髄路の使用はするか?

CQ.敗血症の定義と診断に関する総論的な記述内容
CQ1-1.敗血症の定義は?

CQ1-2.敗血症の重症度分類は?

CQ17-1~6.小児患者で敗血症・重症敗血症・敗血症性ショックの診断をどのように行うか?
CQ17-1.現行の定義の妥当性の評価
CQ17-2.感染症(可能性を含む)+SIRSでよいか?
CQ17-3.SIRSを採用するとき,4項目中2項目でよいか?
CQ17-4.SIRS項目の心拍数と呼吸数は現行の基準でよいか?
CQ17-5.重症敗血症の臓器障害基準を小児用に設定する必要があるか?
CQ17-6.敗血症性ショックの基準としての低血圧基準をどうするか?



日本版重症敗血症診療ガイドライン2016 CQ案パブリックコメント募集(1)

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by DrMagicianEARL | 2015-03-09 19:04 | 敗血症 | Comments(0)

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