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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】敗血症性ショックの死亡原因 ~全死亡をアウトカムとするのは妥当か?~

■ある疾患の死亡について解析・評価する際にアウトカムを全死亡でまとめるのは主流といえば主流ですが,この全死亡をもって多変量解析などを行うと誤った結論や推奨を導きだしてしまうリスクがあります.私自身,肺炎のデータ解析の際に目的変数を全死亡と肺炎関連死亡と別々に多変量解析してみるとまったく異なる結果になりました.現在は次々と否定されていっている米国での肺炎ガイドラインの推奨ももとはといえば大規模観察研究で全死亡をアウトカムとして多変量解析を行った結果でてきたもので,臨床現場感覚との乖離が生じました.治療介入の推奨まで踏み込むのであれば,死亡原因を分けて解析するなど何らかの工夫が必要です.

■全死亡をアウトカムとすることも大事ですが,それをもって多変量解析を行えば,前後関係や因果関係を無視した結果を導きだす可能性があることに注意が必要です(統計学上有意な相関があってもそれそのものは因果関係を示すとは限りません).今回は敗血症性ショックについて,死亡関連因子をより細かく見ようという報告がでましたので紹介します.このような検討を行うことでどの時期にどのような状況でどのような介入を行えば死亡を防げるのか,ということが解明できてくるのではないかと思いますし,同時にガイドラインの推奨が大きく変わるような結論が得られるかもしれません.
敗血症性ショックにおける死亡時期と原因
Daviaud F, Grimaldi D, Dechartres A, et al. Timing and causes of death in septic shock. Ann Intensive Care. 2015 Dec;5(1):58
PMID:26092499

Abstract
【背 景】
敗血症性ショックに関するほとんどの研究は,早期死亡か後期死亡の区別や直接死亡原因を考慮することなく粗死亡率を報告している.本研究の目的は敗血症性ショックの死亡原因を明らかにすることである.

【方 法】
本研究は6年間(2008-2013年)の単施設後ろ向き観察研究である.集中治療室(ICU)入室から48時間以内の敗血症性ショックと診断された患者を登録した.早期および後期死亡は,それぞれICU入室から3日以内と3日超に生じたものと定義した.ICUにおける主要な死亡原因はカルテ記録から決定した.早期および後期死亡の予測関連因子の検出のため,参照カテゴリーとして生存状態を用いての多変量ロジスティック回帰解析を行った.

【結 果】
543例が登録され,平均年齢は66±15歳で合併症を有する率は高かった(67%).ICU死亡率と院内死亡率はそれぞれ37.2%と45%であった.死亡はICU(124例)および院内(42例)において,早期が78例(32%),後期が166例(68%)であった.早期死亡は,原因となる感染症に関連した治療困難な多臓器不全(82%)と腸管虚血(6.4%)が主要原因であった.ICU後期死亡は,29%がend-of-lifeの意思表示に直接関連したもので,その他のほとんどは,院内感染(20.4%),腸管虚血(16.6%)を含むICU関連合併症が関連していた.早期死亡の独立関連因子は,年齢,悪性疾患,糖尿病,病原体非検出,初期重症度であった.3日生存者における後期死亡の独立した危険因子は,年齢,肝硬変,病原体非検出,それまでのコルチコステロイド治療の曝露であった.

【結 論】
我々の研究は敗血症性ショック関連死亡の包括的な評価を示すものである.早期および後期死亡の危険因子の検出は異なった予後パターンを見出す可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2015-06-22 11:53 | 敗血症 | Comments(0)

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