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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】低酸素血症のない心筋梗塞に対する酸素投与は有害である可能性(AVOID study)

■2014年にAHAで報告されたAVOID studyがようやくpublishされました.結果は,どうやら低酸素血症のない急性心筋梗塞に酸素投与はよくないという結果.ただし,死亡率の評価はこれからです.現在DETO2X-AMI trial(Am Heart J 2014; 167: 322-8)とICEREA Study(Circulation. 2015 Jun 19)がongoingとなっています.

■このブログでも,高酸素血症は決して安全ではないという記事を書きました.不必要な酸素投与は無害ではないことを認識しておかなければなりません
SpO2の落とし穴 ~酸素投与患者の「SpO2 99%」を見て安心してませんか?~
http://drmagician.exblog.jp/22262792
特にCOPDや心肺停止蘇生後患者などの重症疾患患者においては不必要な酸素投与は死亡率を増加させる傾向があり,心筋梗塞でもそのようなことがあるのではないかと考えられています.実際に,冠血流を減少させることが知られていますし,サンプル数が少ないものの,心筋梗塞に対する酸素投与で死亡リスクが3倍に増加するとするコクランレビュー(Cochrane Database Syst Rev 2010; 6: CD007160)もあります.
ST上昇型心筋梗塞における空気と酸素(AVOID study)
Stub D, Smith K, Bernard S, et al; AVOID Investigators. Air Versus Oxygen in ST-Segment-Elevation Myocardial Infarction. Circulation. 2015 Jun 16;131(24):2143-50
PMID:26002889

Abstract
【背 景】
酸素は,冠血管収縮と高い酸化ストレスによって心筋の傷害を増加させる可能性が既知の研究で示唆されているにもかかわらず,ST上昇型心筋梗塞の患者に広く投与されている.

【方 法】
我々は,救急隊による12誘導心電図でST上昇型心筋梗塞と診断された患者において酸素投与を行わない群と酸素投与群(8L/分)を比較した多施設共同前向き無作為化比較試験を行った.
無作為化された患者638例のうち,441例がST上昇型心筋梗塞と診断され,主要評価項目の解析に組み込まれた.主要評価項目は心筋酵素,トロポニンI,クレアチンキナーゼで評価した心筋梗塞のサイズとした.副次評価項目は,心筋梗塞の再発,不整脈,6カ月時点でのMRIによる心筋梗塞サイズとした.

【結 果】
平均ピークトロポニン値は酸素投与群と非投与群で同等であった(57.4 vs 48.0 μg/L; 平均比率 1.20; 95%CI 0.92-1.56; P=0.18).非投与群と比較して,酸素投与群では平均ピーククレアチンキナーゼが有意に増加した(1948 vs 1543 U/L; 平均比率 1.27; 95%CI 1.04-1.52; P=0.01).非投与群と比較して,酸素投与群では心筋梗塞再発率が増加し(5.5% vs 0.9%; P=0.006),不整脈の頻度も増加した(40.4% vs 31.4%; P=0.05).6カ月時点で,酸素投与群はMRIで評価した心筋梗塞サイズが有意に増加していた(n=139; 20.3 vs 13.1 g; P=0.04).

【結 論】
低酸素血症を有さないST上昇型心筋梗塞患者に対する酸素療法は早期の心筋傷害を増加させ,6カ月時点での心筋梗塞サイズを増加させる可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2015-06-23 18:19 | 文献 | Comments(0)

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