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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】抗精神病薬は年齢に関係なく誤嚥性肺炎リスクを増加させる(メタ解析)

■救急外来に来た20代の若年患者のCT(両側肺背側に気管透亮像を伴う浸潤陰影を有する典型的な誤嚥性肺炎像)を見た研修医が,こんなに若い患者が誤嚥性肺炎になるわけがないという思い込みから「間質性肺炎を疑います」と報告してきたことがありました.確かに誤嚥性肺炎自体は50歳代から生じることが報告されており,20代では考えにくいですが,「抗精神病薬とか内服していないか?」と聞くとビンゴでした.

■抗精神病薬(睡眠薬含む)が必要ならば仕方がありませんが,不必要に処方されているケースも多く,それが誤嚥性肺炎の引き金となっていることはよく経験されます.そしてそれは若い患者であっても生じます.以下は抗精神病薬が誤嚥性肺炎リスクを増加させるとするメタ解析ですが,特筆すべきは,高齢でも若年でもそのリスクは同等という結果です.
抗精神病薬曝露と肺炎のリスク:観察研究のシステマティックレビューとメタ解析
Nosè M, Recla E, Trifirò G, et al. Antipsychotic drug exposure and risk of pneumonia: a systematic review and meta-analysis of observational studies. Pharmacoepidemiol Drug Saf 2015; 24: 812-20
PMID:26017021

Abstract
【目 的】
肺炎は65歳の患者において有病や死亡の主要な原因の1つである.近年,高齢患者において複数の研究で抗精神病薬(AP:antipsychotic)の使用と肺炎リスクの関連性が示唆されている.この観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析の目的は,第一世代および第二世代抗精神病薬が高齢者,さらには若年層においても肺炎リスクを増加させるのかについて検討し,薬剤の曝露に関連したリスクを明らかにすることである.

【方 法】
APに曝露されていない患者あるいは過去にAPを使用した患者とAP曝露患者を比較した肺炎アウトカムについてのデータを報告した全観察コホート研究または症例対照研究をシステマティックレビューおよびメタ解析に含めた.研究参加者は,診断カテゴリーにおいて制限のない任意の性別,年齢を含めた.

【結 果】
肺炎リスクは第一世代AP曝露(OR 1.68; 95%CI 1.39-2.04, I2=47%),第二世代AP曝露(OR 1.98; 95%CI 1.67-2.35, I2=36.7%)で有意に増加した.そのリスクは,高齢者および若年成人層において,異なる診断カテゴリーや年齢別グループ間でも同等であった.年齢と肺炎リスクのいかなる関連性も検出されなかったメタ解析によって年齢の知見は裏付けられた.いくつかの研究のみが個々の薬剤についてのデータを報告していた.

【結 論】
近年の観察研究のエビデンスのシステマティックレビューでは,第一世代および第二世代のAP曝露は肺炎リスクの増加に関連していることが示唆された.本システマティックレビューは,高齢患者のみならず若年患者においてもリスクが増加するを示したことで既知の知見を拡張するものである.個々の交絡因子における肺炎リスクについての情報はまだ非常に限定されている.

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by DrMagicianEARL | 2015-08-08 00:00 | 肺炎 | Comments(0)

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