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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】急性心不全に対するハンプ(カルペリチド)は死亡リスクを2.13倍有意に増加させる

■急性心不全でカルペリチド(商品名ハンプ®;hANP;α-human arterial natriuretic peptide;α型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)が本邦ではよく用いられています.この薬剤,私自身は使ったことありません.なにぶん海外では使われていない薬剤なのでカルペリチドの論文に接触することがまずなく,質の高いRCTがあるわけでもないというのもあります.しかもお値段は3500円前後と高い薬剤です.近年はトルバプタン(サムスカ®)もありますし,カルペリチドよりもコストがかからず有害事象が有意に少ないという報告(J Clin Pharmacol 2013;53:1277-85)もでている以上,今後も心不全では使う気はあまりありませんでした.

■なので私自身はカルペリチドの使い勝手はさっぱり分かりません.現在,このカルペリチドが非小細胞肺癌に有効な可能性があるとして国立循環器病センターをはじめとする国内複数施設での共同試験が行われており,それを期待してはいますが・・・.

■そのカルペリチドが急性心不全で使用するとむしろ死亡リスクを増加させる可能性があるという報告が亀田総合病院,安房地域医療センター,川崎医科大学の3施設共同で5月にonline publishされていましたので紹介します.後ろ向き研究ではありますが,そこそこのN数でpropensity score matchig解析を行って死亡リスクは2倍以上に有意に増加するという結果でした.
急性心不全においてカルペリチドは院内死亡率の増加に関連している:傾向スコアマッチング解析
Matsue Y, Kagiyama N, Yoshida K, et al. Carperitide Is Associated With Increased In-Hospital Mortality in Acute Heart Failure: A Propensity Score-Matched Analysis. J Card Fail. 2015 May 18 [Epub ahead of print]
PMID:25999241

Abstract
【背 景】
日本ではカルペリチド(αヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)はすべての急性心不全患者の半数う以上で使用されている.しかし,その臨床効果はまだよく検討されていない.

【方 法】
我々は症状の急性発症または増悪を呈し,参加3施設に入院した急性心不全患者を後ろ向きに抽出し,傾向スコアマッチング解析を行った.主要評価項目は院内死亡とした.

【結 果】
本研究に登録されたすべての急性心不全患者のうち,402例(38.7%)がカルペリチドで治療を受け,全コホートでの院内死亡率は7.6%であった.傾向スコアによってカルペリチドによる治療有無で367ペアをマッチさせた.このマッチングコホートでは,カルペリチドによる治療は院内死亡に関連していた(OR 2.13; 95%CI 1.17-3.85; p=0.013).潜在的により有害な影響が高齢患者で観察された(OR 2.93; 95%CI 1.54-5.91).

【結 論】
急性心不全患者においてカルペリチドは院内死亡率の増加に関連していた.我々の結果は,カルペリチドの臨床的安全性と有効性を検討するためのより良いデザインの無作為化臨床試験の必要性を強く示唆するものである.

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by DrMagicianEARL | 2015-08-06 19:17 | 文献 | Comments(0)

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