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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】身体をあまり動かさない高齢者への身体活動プログラムは認知機能を改善せず(LIFR trial)

■リハビリテーション領域の受難は続きます.よかれと思っていたことでもRCTで評価するとなかなか厳しい結果となるようですね.歩行,筋力トレーニング,柔軟体操といった介入は,上肢ストレッチと研修会の教育プログラムと比較して認知機能をより改善させる,ということはないようです.ベースラインのパフォーマンスレベルが悪いか80歳以上であれば有用とのことですがあくまでもサブ解析結果です.
身体をほとんど動かさない高齢者の認知機能に対する24ヵ月間の身体活動介入vs健康教育の効果:LIFE trial
Sink KM, Espeland MA, Castro CM, et al; LIFE Study Investigators. Effect of a 24-Month Physical Activity Intervention vs Health Education on Cognitive Outcomes in Sedentary Older Adults: The LIFE Randomized Trial. JAMA. 2015 Aug 25;314(8):781-90
PMID:26305648

Abstract
【背 景】
疫学的エビデンスでは身体活動性は認知機能において有益性があることが示唆されているが,無作為化比較試験による報告は限られている.

【目 的】
認知機能,軽度認知障害(MCI)や認知症の低リスク,あるいはその両方において健康教育プログラムと比較して,24カ月の身体活動性プログラムがより有益性をもたらすかについて検討した.

【方 法】
本無作為化臨床試験the Lifestyle Interventions and Independence for Elders (LIFE) studyでは2010年2月から2011年12月までの米国8施設における市中で生活する患者1635例を登録した.参加者は,運動機能障害のリスクを有しているが,400m歩行は可能である,ほとんど身体を動かさない70-89歳の成人であった.参加者は歩行,筋力トレーニング,柔軟体操を含む体系化した適度な身体活動プログラム(n=818),もしくは研修会と上肢ストレッチによる健康教育プログラムの介入を受けた.LIFE studyの事前に規定された副次評価項目はWechsler Adult Intelligence Scale(スコア域:0-133;高いスコアほど機能良好)によるDigit Symbol Coding(DSC)タスクサブセット,および改訂Hopkins Verbal Learning Test(HVLT-R;12単語リストの想起タスク)による評価が1476例(90.3%)で行われた.また,3次アウトカムとして,24ヵ月時点の総合認知機能および実行認知機能,MCIまたは認知症の発生などが含まれた.

【結 果】
24ヵ月月時点で,DSCタスクとHVLT-Rスコア(施設,性別,ベースライン値で補正)は両群で差はなかった.平均DSCタスクスコアは,身体活動群で46.26ポイント,健康教育群で46.28ポンとであった(平均差 -0.01ポイント,95%CI -0.80 to 0.88ポイント,p=0.97).平均HVLT-R遅延想起スコアは,運動介入群で7.22,健康教育介入群7.25であった.(平均差 -0.03単語,95%CI -0.29 to 0.24単語,p=0.84)であった.他のいかなる認知機能および複合評価においても差はみられなかった.80歳以上(n=307)またはベースラインの身体パフォーマンスが低い(n=328)身体活動群の患者は,健康教育群と比較して実行認知機能複合スコアの変化が有意に良好であった(両群間比較の相互作用p=0.01).MCIまたは認知症の発生は,身体活動群で98例(13.2%),健康教育群で91例(12.1%)であった(OR 1.08, 95%CI 0.80 to 1.46).

【結 論】
ほとんど身体を動かさない高齢者において,24ヵ月間の中等度に強化した身体活動プログラムは,健康教育プログラムと比較して総合あるいは特定の領域の認知機能の改善はみられなかった.

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by DrMagicianEARL | 2015-09-10 17:10 | 文献 | Comments(0)

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