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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】カテコラミンは末梢静脈投与でも安全かも?

■カテコラミンと言えば中心静脈カテーテルからの投与,と決めている施設は非常に多いと思いますし,そのように推奨されています.理由としては,末梢静脈からだと血管外漏出に伴う組織傷害リスクがあること,中心静脈カテーテルであれば心臓近傍の上/下大静脈に先端留置できること,などが挙げられます.

■私は様々な状況下で敗血症性ショック患者において末梢静脈ラインのみ(CVも動脈ラインもなし)で管理を行わざるを得なかった経験が十数例ありましたが,血管外漏出による組織傷害やカテコラミン反応性が低いといったことはなく,全例が挿管拒否症例であったものの,死亡率は2割程度と良好な救命率でした.第39回日本集中治療医学会学術集会においても,信州大学の高度救命救急センターの望月先生が中心静脈カテーテルを使用せずに治療した敗血症性ショック患者の症例集積報告をされており,死亡率は5.9%という結果でした.このように臨床的には末梢静脈ラインからのカテコラミン投与でも大きなトラブルもなくCVを使用した場合と遜色ない治療成績が出せる可能性はあるのではとずっと思っていました.また,過去のエビデンス上,末梢静脈カテーテルは中心静脈カテーテルよりも血流感染リスクが1/4まで減少するのはメリットと言えます.

■今回,カテコラミンを末梢静脈から投与することが安全かどうかを検討した観察研究が報告されました.単一アームのため評価は難しいですが,数字的には安全な可能性が高いと思われます.今後RCTで評価されることを期待します.なお,カテコラミンの末梢静脈投与のシステマティックレビュー(J Crit Care. 2015 Jun;30(3):653.e9-17)も報告されていますが,ほとんどがCase Reportです.
循環作動薬の末梢静脈内投与の安全性
Cardenas-Garcia J, Schaub KF, Belchikov YG, et al. Safety of peripheral intravenous administration of vasoactive medication. J Hosp Med. 2015 Sep;10(9):581-5
PMID: 26014852

Abstract
【背 景】
中心静脈ラインは循環作動薬のために一般的に行われている.末梢静脈ラインによる循環作動薬投与は中心静脈ラインの必要性を減じる手段となる可能性がある.本研究の目的は,末梢静脈ラインからの循環作動薬投与の安全性を評価することである.

【方 法】
2012年9月から開始して20カ月以上の期間で,18床の内科集中治療室において末梢静脈ラインからの循環作動薬の使用をモニタリングした.ノルアドレナリン,ドパミン,フェニレフリンが末梢静脈ラインからの使用で承認された.

【結 果】
計734例の患者(年齢72±15歳,男性/女性 398/336例,SAPSⅡスコア75±15)が末梢静脈ラインから783回循環作動薬を投与された.循環作動薬は,ノルアドレナリンが506例,ドパミンが101例,フェニレフリンが176例使用された.末梢静脈ラインからの循環作動薬の投与期間は49±22時間であった.循環作動薬投与中の末梢静脈ラインからの血管外漏出は19例(2%)の患者で発生し,局所フェントラミン注射と局所ニトログリセリンペーストを適用することでいかなる組織傷害もみられなかった.末梢静脈ラインからの循環作動薬投与を受け,最終的に中心静脈ラインを必要とした患者は95例(13%)であった.

【結 論】
単施設内科集中治療室において,末梢静脈ラインからのノルアドレナリン,ドパミン,フェニレフリンの投与は実用的かつ安全であった.末梢静脈ラインからの血管外漏出は多くなく,ニトログリセリンペーストとフェントラミンは局所虚血性傷害の予防に有効であった.臨床医は血管内作動薬の使用において,中心静脈ラインからの投与をルーチンとすべきではない.

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by DrMagicianEARL | 2015-09-19 14:42 | 文献 | Comments(2)
Commented by racomp at 2015-09-19 22:23 x
Nad 100/1000 mcg/kg/min超えてくると、なんとなく末梢じゃない方がいいのかなとか思ってしまってCV入れちゃうのですが、容量とかの問題じゃないのですね。
Commented by DrMagicianEARL at 2015-09-23 13:40
>racompさん
どのような組成で使用しているかにもよるかとは思います。当院ではノルアドレナリン2mgを生食48mLに溶解して使用していますのでかなり薄い方かと思います。

by DrMagicianEARL