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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】CVカテ挿入部位での血管内合併症リスクは鼠径=頸部>鎖骨下(3SITES study)

■中心静脈カテーテル挿入部位による血流感染症合併リスクは鼠径>頸部>鎖骨下であることが言われていましたが,近年の感染対策の進歩により最近のRCTやメタ解析では鼠径と頸部は同等レベルという結果がでてきていることは御承知の通りです.ほぼ1年前にNEJMに報告された,成人重症患者における早期経腸栄養vs早期静脈栄養の大規模RCT(CALORIES trial)でも,カテーテル血流感染症発生リスクに有意差がなかったことから,カテーテル管理がかなり進歩してきていることがうかがわれます.今回紹介する3SITES Studyは,鼠径,頸部,鎖骨下の中心静脈カテーテル挿入による合併症リスクを検討したRCTであり,結果は鼠径=頸部>鎖骨下という結果で,近年の研究結果を反映する形となりました.

■ただし,注意しなければならないのは,鼠径と頸部が同等とする結果はRCTによって示されたものであり,外的妥当性に欠ける点です.RCTで行われている以上,厳格なプロトコルが採用され,プロトコル違反例は除外されます.このため,極めて厳密な感染対策や血栓予防がなされた結果を見ていることになり,実臨床との乖離がでてくる可能性大です.このあたりはリアルワールドを反映する観察研究も合わせて考える必要があります.実際に,ICU患者での中心静脈カテーテルでは一定の割合で血流感染症が生じうることは知られていますが,私も参加した中心静脈/動脈カテーテル挿入時の消毒薬によるだ施設共同RCT(JSEPTIC-CRBSI trial)では,数百本のカテーテルが挿入されたにもかかわらず,血流感染症発生数はゼロでした.この研究で使用したプロトコルもかなり厳格なもので,これくらいやれば血流感染はゼロにできる,逆に言えばそれくらいやらないと血流感染症は起こってしまうということです.また,基本原則として,不要なカテーテルは入れない,挿入しても不要になったらとっとと抜く,です.
中心静脈カテーテルの挿入部位による血管内合併症(3SITES Study)
Parienti JJ, Mongardon N, Mégarbane B, et al; 3SITES Study Group. Intravascular Complications of Central Venous Catheterization by Insertion Site. N Engl J Med. 2015 Sep 24;373(13):1220-9
PMID:26398070

Abstract
【背 景】
3つの解剖学的部位が中心静脈カテーテル挿入において一般的に使用されているが,各々の挿入部位は主要な合併症のリスクがある.

【方 法】
本多施設共同試験において,我々は成人集中治療室(ICU)において中心静脈カテーテル挿入部位を鎖骨下,頸部,鼠径部に無作為に割り付けた(3つの部位がすべて適している場合,患者を1:1:1の割合で割り付け [3選択肢比較],2つの部位が適している場合,患者を1:1の割合で割り付けた[2選択肢比較]).主要評価項目はカテーテル関連血流感染症と症候性深部静脈血栓症の複合とした.

【結 果】
全部で3471本のカテーテルが3027例の患者に挿入された.3群の比較において,主要評価項目イベント数は鎖骨下,頸部,鼠径部でそれぞれ8,20,22であった(1.5,3.6,4.6 /1000カテーテル-日; p=0.02).2群間比較では,主要評価項目のリスクは鎖骨下群よりも鼠径群で有意に高く(HR 3.5; 95%CI 1.5-7.8; p=0.003),鎖骨下群よりも頸部群の方が有意に高く(HR 2.1; 95%CI 1.0-4.3; p=0.04),鼠径群のリスクは頸部群と同等であった(HR 1.3; 95%CI 0.8-2.1; p=0.30).3群比較において,胸腔チューブ挿入を要する気胸が鎖骨下群で13例,(1.5%),頸部群で4例(0.5%)発生した.

【結 論】
本試験において,鎖骨下静脈でのカテーテル挿入は,内頸静脈カテーテル挿入,大腿静脈カテーテル挿入と比較して,血流感染と症候性血栓症のリスクが低いこと,気胸のリスクが高いことと関連していた.(フランス保健省臨床研究病院プログラムから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01479153)

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by DrMagicianEARL | 2015-09-26 14:21 | 文献 | Comments(0)

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