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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】院外心停止への病院前アドレナリン投与は生存率を改善せず神経学的予後を悪化させる(メタ解析)

■院外心停止例に対するプレホスピタルでのアドレナリン投与が救命のために行われていますが,結果的に神経学的予後不良の患者を大量に生み出している,という可能性があることは近年の複数の報告で知られています.今回,そのシステマティックレビューおよびメタ解析が報告されましたので紹介します.論文タイトルから既に悲壮感がただよっていますが・・・.

■ただ,こういったデータはあくまでもデータベース解析であり,ER搬入後の家族との詳しい話し合いの結果等は反映されません.また,あくまでも統計学的相関による関連性の評価であり,前後関係と因果関係の判別は困難とも言えます.ならばRCTで評価を,ということになりそうですが,それでも解決しないような気もします.たとえ,プレホスピタルのアドレナリンが生存率を改善させず神経学的予後を悪化させるものだとしても,ERでの自己心拍再開率を改善させるのであれば,救急医療の現場では行わざるを得ない,あるいは家族も心拍再開をその時点では強く希望する,ということは変わらないかもしれません.どのアウトカムを最も重視するのか,難しい問題です.
神経学的予後を犠牲にした自己心拍の再開:院外心停止に対する病院前エピネフリンは本当に意味があるのか?
Loomba RS, Nijhawan K, Aggarwal S, et al. Increased return of spontaneous circulation at the expense of neurologic outcomes: Is prehospital epinephrine for out-of-hospital cardiac arrest really worth it? J Crit Care. 2015 Sep 1 [Epub ahead of print]
PMID:26428074

Abstract
【背 景】
院外心停止(OHCA)の管理に関する近年のガイドラインでは初期対応において病院前エピネフリンの使用が推奨されている.この推奨は心停止の動物モデルのデータとごくわずかのヒトのデータに基づいているが,その開始以降,この状況での病院前エピネフリンに関するより多くのヒトのデータが利用できるようになった.院外での自己心拍再開(ROSC)はエピネフリンの使用によって高まった可能性があるが,その使用が神経学的予後悪化と関連している可能性がある.

【方 法】
病院到着前にエピネフリン投与を受けた患者と受けなかった患者を比較したOHCA患者の研究抽出のため,PubMed,Embase,OVIDに登録されたデータベースの検索を行って,文献のシステマティックレビューを行った.研究は,質,バイアスを評価し,登録するのに適切と考えられた研究からデータを抽出した.メタ解析は,二値的アウトカムのMantel-Haenszelモデルを用いて行った.評価項目は,病院前ROSC,1ヵ月生存,退院時生存,神経学的予後とした.

【結 果】
計14研究,655853例の患者がメタ解析に登録された.病院到着前のOHCAに対するエピネフリンn使用はROSCの有意な増加に関連しており(OR 2.86; p<0.001),退院時の神経学的予後不良リスクを有意に増加させた(OR 0.51; p=0.008).1ヵ月および退院時生存は有意差がみられなかった.

【結 論】
OHCAの病院到着前のエピネフリンの使用は退院時生存を増加させず,退院時の神経学的予後不良の患者を増加させていた.さらなる無作為化比較試験が必要である.

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by DrMagicianEARL | 2015-10-05 12:29 | 文献 | Comments(0)

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