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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】米国ではサプリメントに関連した有害事象で年間2万3千人の救急受診がある

■基本的に私はサプリメントの摂取を推奨していません.サプリメントの多くが効果をRCTによって検証されていないにもかかわらず,一般市民が盲目的に購入し,摂取しているのが現状です.百歩譲って害がなければ問題ないとしてもいいかもしれませんが,有害との報告が実は多数でています.しかしながらマスコミはスポンサーの関係もあるのかなぜかこの事実を報道しません.

■閉経後女性のサプリメント内服で死亡率が上昇することが知られており(Arch Intern Med 2011; 171: 1625-33),38772名の調査による多変量解析で,マルチビタミンで2.4%増加,ビタミンB6で4.1%増加,葉酸で5.9%増加,鉄で3.9%増加,マグネシウムで3.6%増加,亜鉛で3.0%増加,銅で18.0%増加という結果でした.バイアスが低いRCT47報180938名のメタ解析(JAMA 2007; 297: 842-57)でも,ビタミンCをはじめとする抗酸化サプリメントは有意に死亡リスクが増加していた(RR 1.05; 95%CI 1.02-1.08).最近では,抗酸化物質がむしろ癌の遠隔転移を促進してしまうという報告も出ています(Nature 2015, PMID:26466563).サプリメントは決して安全なものではありません.

■今回,サプリメントに関連した有害事象により救急受診した患者の調査結果が方向されたので紹介します.掲載誌は医療系では最もメジャーなthe New England Journal of Medicineであり,それだけeditorが重要視したのでしょう.人口で単純計算すると日本でも年間1万人弱がサプリメントによる副作用で救急受診していることになります.
サプリメントに関連した有害事象による救急受診
Geller AI, Shehab N, Weidle NJ, et al. Emergency Department Visits for Adverse Events Related to Dietary Supplements. N Engl J Med 2015; 373: 1531-40
PMID:26465986

Abstract
【背 景】
漢方や補完的な栄養製品といったサプリメントや微量栄養素(ビタミンやミネラル)は米国において一般的に使用されているが,有害事象の全国データは限られている.

【方 法】
サプリメントに関連する有害事象を原因とする米国内の救急部受診の状況を明らかにするため,2004から2013 年にかけて63の救急部から得た米国を代表するサーベイランスデータを利用した.

【結 果】
3667例が同定され,1年あたり23005件(95%CI 18611-27398)の救急受診がサプリメントに関連する有害事象に起因するものと推定された.これらの受診において,年間2154件(95% CI 1342-2967)の入院が生じたと推定された.このような受診の頻度は,20-34歳の若年成人(受診の28.0%,95%CI 25.1-30.8)と,監督下になかった小児(受診の21.2%,95%CI 18.4-24.0)で高かった.監督下にない状況で小児がサプリメントを摂取した場合を除くと,1種類のサプリメントに関連する有害事象による救急受診の65.9%(95% CI 63.2-68.5)は,ハーブ系製品または栄養補助製品に関連するものであり,31.8%(95% CI 29.2-34.3)は微量栄養素に関連していた.ハーブ系製品または栄養補助製品のうち,減量用(25.5%,95%CI 23.1-27.9),体力増強用(10.0%,95%CI 8.0-11.9)が関連している割合が高かった.動悸,胸痛,頻拍といったサプリメントに関連する有害事象の71.8%(95% CI 67.6-76.1)は減量用製品または体力増強用製品が原因であり,これらの心症状による受診の58.0%(95%CI 52.2-63.7)は 20-34 歳の人によるものであった.65歳以上の成人では,サプリメントに関連する有害事象による救急受診全体の37.6%(95%CI 29.1-46.2)が,窒息,錠剤による嚥下障害または咽頭異物感によるものであり,これらの症状による受診の83.1%(95% CI 73.3-92.9)には微量栄養素が関連していた.

【結 論】
米国では毎年23000件の救急受診がサプリメントに関連する有害事象に起因するものと推定される.このような受診は,若年成人では減量用製品または体力増強用製品を原因とする心血管症状,高齢成人では嚥下障害によるものが多く,嚥下障害は微量栄養素の摂取に関連していることが多い.

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by DrMagicianEARL | 2015-10-19 14:35 | 文献 | Comments(0)

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