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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】急性肝障害に対するrTMはHMGB1を減じ生存を改善させる

■急性肝障害マウスモデルでのrTM投与効果とHMGB1や好中球集積抑制の基礎研究を紹介します(筆頭執筆者は私の大学時代の先輩です).これまでrTMがHMGB1を減少させるとした報告は基礎・臨床ともに複数ありますが,代謝による減少も考慮する必要がありました.肝虚血再灌流モデルにおいてはHMGB1が対照群よりも有意に消失しにくいという報告(Crit Care Med 2010; 38: 879-85)があり,HMGB1は肝代謝である可能性が指摘されています.よって,HMGB1の動態を調べるのであれば肝障害モデルがbetterなのではないかと私は思っています.

■今回の報告では,LPS/GalN誘発性急性肝障害モデルに対するrTMの投与でHMGB1や好中球集積が抑制され,生存が改善したという結果です.もっとも,rTMはNETs放出抑制作用もあるようですので機序としてはそちらの考慮も必要です.実臨床では急性肝障害に対してrTMはどうなのかというのは気になるところですが,DICに対するrTMの市販後調査ではやはり肝障害がベースにあると出血リスクが増加するというデータがでており,安全性の懸念はあります.
遺伝子組換えヒト可溶性トロンボモデュリンはマウスにおいてリポポリサッカライド/d-ガラクトサミン誘発性急性肝障害を改善する
Osumi W, Jin D, Imai Y, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin improved lipopolysaccharide/d-galactosamine-induced acute liver failure in mice. J Pharmacol Sci. 2015 Dec;129(4):233-9
PMID:26712705

Abstract
【背 景】
急性肝障害(ALF)における遺伝子組換えヒト可溶性トロンボモデュリン(TM-α)の効果は不明確であり,我々はマウスでのリポポリサッカライド(LPS)/d-ガラクトサミン(GalN)誘発性ALFにおいてTM-αの効果を解明した.

【方 法】
LPS/GalN投与1時間後にプラセボ(生理食塩水)またはTM-α(100mg/kg)を投与した.LPS/GalN投与24時間後に生存率を評価した.血漿および肝検体はLPS/GalN投与から1,3,7時間後に評価した.

【結 果】
生存率はプラセボ群よりもTM-α治療群の方が有意に高かった.LPS/GalN投与7時間後に血漿high-mobility group box 1タンパク(HMGB1)の有意な増強が観察された.TM-α治療マウスでは,血症HMGB1はプラセボ群よりも有意に低かった.プラセボ治療群では肝NF-κB p65の有意な増強が観察された一方,TM-α治療群ではプラセボと比較して有意な減少が観察された.TNF-αとミエロペルオキシダーゼの肝発現はプラセボ群で有意に増加しており,TM-α治療群では減衰していた.TM-α治療はLPS/GalN投与後に肝への好中球集積も有意に減じていた.

【結 論】
従って,TM-αはLPS/GalN誘発性のHMGB1レベルを減じることでALFの症状を減じる有用な治療戦略となる可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2016-01-19 12:12 | 敗血症性DIC | Comments(0)

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