「ほっ」と。キャンペーン
ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】仮眠時間に関係なく当直明けは認知機能が低下する

■もう既に話題になっていますが,ICM誌に当直後の認知機能悪化が報告されました.まあ経験的にみなさんも体感していることだと思います.私も当直後はそのまま日勤に連続して突入しますが,その日勤では極力検査・処置が入らないようにはしています.

■じゃあ実際に医療過誤が起こるか?というのが気になるところですが,カナダの1448名の外科医の調査では,処置・手術が日中と夜間で患者の死亡・再入院・合併症の複合アウトカムに差はないと報告しています(N Engl J Med 2015; 373: 845-53).差がつかなかった理由については経験でカバーしている,安全かどうか自分で判断している,という考察がなされています.ただし,夜間に複数回の処置・手術があると合併症頻度は1.14倍に有意に増加してはいます.また,夜勤明けの運転では37.5%が急ブレーキを使用し,半数近くが車を制御しきれず,その運転能力の低下は運転開始から15分以内に出現していたとの報告もあります(Proc Natl Acad Sci U S A 2016;113:176-81)
ICUの医師の夜勤は認知機能を低下させる
Maltese F, Adda M, Bablon A, et al. Night shift decreases cognitive performance of ICU physicians. Intensive Care Med. 2016 Mar;42(3):393-400
PMID:26556616

Abstract
【背 景】
疲労と医療過誤のリスクとの関係は一般的に知られている.本研究の主な目的は,集中治療医の集団の認知機能における集中治療室(ICU)夜間シフトの影響を評価することである.認知機能における専門的経験と睡眠量の影響も検討した.

【方 法】
3つのICU(シニア24名,研修医27名)から全51名の集中治療医が登録された.研究参加者は休みの夜の後と夜勤後を無作為に割り付けて評価した.Wechsler Adult Intelligence ScaleとWisconsin Card Sorting Testに基づいて4つの認知能をテストした.

【結 果】
作業記憶能力(11.3±0.3 vs 9.4±0.3; p<0.001),情報処理能力(13.5±0.4 vs 10.9±0.3; p<0.001),知覚推理能力(10.6±0.3 vs 9.3±0.3; p<0.002),認知柔軟性(41.2±1.2 vs 44.2±1.3; p=0.063)のすべての認知能が夜勤後で悪化していた.研修医とICU医師の間で認知機能障害のレベルでは有意差はみられなかった.認知柔軟性のみが2時間の睡眠後に回復していた.他の3つの認知能は夜勤中の睡眠量が十分でも低下していた.

【結 論】
集中治療医の認知能は,専門的経験量や夜勤中の睡眠時間に関係なくICUの夜勤後に有意に低下していた.患者の安全性と医師の健康への影響についてさらなる評価がなされるべきである.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-02-18 17:42 | 文献 | Comments(0)

by DrMagicianEARL