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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】米国での麻疹・百日咳アウトブレイクとワクチン接種拒否の関連性

■米国ではワクチンによって麻疹が排除され,「日本人を見たら麻疹と思え」なんて言われていたこともありました.しかし,その後,「もはやワクチンは不要」と言わんばかりの手の平の返しようで麻疹ワクチンを非科学的根拠で叩く人たちが増え,その結果米国で麻疹のアウトブレイクが起こることとなりました.

■Wakefieldの論文(後に捏造と判明)によって起こってしまった反ワクチン主義の方々のデマの吹聴により,それを鵜呑みにした親がワクチンを接種しなくなってしまう,なんて現象は国内外でよく見られます(Wakefieldの捏造,およびBrian Hookerの不適切論文撤回は以下を参照).
【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析(Wakefieldの論文捏造の詳細含む)
http://drmagician.exblog.jp/22025386/

MMRワクチンと自閉症の関連性に関する2014年8月の騒動について(Brian Hookerの不適切論文撤回)
http://drmagician.exblog.jp/22464500/
■SNS上でも私はよく反ワクチン主義者から突然喧嘩をふっかけられますが,彼らの口からは科学的根拠がまったく出てこず,議論しても陰謀論しか出てきません(論文は全部嘘だの金儲けだの人口削減計画だの).知識の元も怪しいブログばかりからしか引用してこないので嘘ばかりでてきます.挙句の果てに職場を教えろだのワクチン推進してるなら医師失格だのまあいろいろ言われますよ(笑).ちなみに,残念なことに医療従事者でワクチン関連で陰謀論を言ってる人もたまにいます・・・

■今回紹介する論文は,JAMA誌に掲載された,米国での麻疹・百日咳のアウトブレイクとワクチン接種拒否との関連性についてのレビューです.ワクチンでその疾患がほとんどみられなくなってもワクチン拒否している人がいればそのうちアウトブレイクが起こるべくして起こるわけです.日本でも他人事ではありません.日本脳炎や狂犬病等・・・
米国におけるワクチン拒否とワクチンで予防可能な疾患の関連性:麻疹と百日咳のレビュー
Phadke VK, Bednarczyk RA, Salmon DA, et al. Association Between Vaccine Refusal and Vaccine-Preventable Diseases in the United States: A Review of Measles and Pertussis. JAMA 2016 Mar 15;315(11):1149-58
PMID:26978210

Abstract
【背 景】
親が子供へのワクチン接種を躊躇することは,ルーチンでの予防接種を遅らせたり,州が義務付けているワクチン接種の免除を求めたりする可能性がある.米国においてワクチンで予防可能な疾患の最近起こったアウトブレイクはこの現象が注目されている.ワクチン接種拒否とこれらの疾患の疫学との間の関連性について改善された理解が必要である.

【目 的】
最近米国でアウトブレイクが生じた,ワクチンによって予防可能な疾患である麻疹および百日咳のワクチン接種遅延・拒否・免除とその疫学との関連性を評価するため,出版された文献のレビューを行った.

【方 法】
米国において麻疹が排除されたと宣言されて以降(2000年1月1日以降)に生じた米国の麻疹アウトブレイクの報告,米国での百日咳発生率が最も低いとき以降(1977年1月1日以降)の百日咳のエンデミックおよびエピデミック,およびワクチン接種遅延や免除において疾患のリスクを評価した研究について2015年11月30日にPubMedでの検索を行った.

【結 果】
18報の麻疹の研究(9報の年次要約と9報のアウトブレイク報告)が抽出され,麻疹例は1416例(年齢幅2週-84歳;178例は12か月未満)であり,麻疹ワクチン接種歴のない患者が過半数(56.8%)であった.詳細なワクチンデータのある970例の麻疹例のうち,574例はワクチン接種可能であったにもかかわらずワクチンを接種しておらず,405例(70.6%)は非医学的な免除であった(医学的禁忌とは対照的に,例えば,宗教や信条による理由が全部で41.8%であった).百日咳アウトブレイクの32報では,ワクチン接種状態が報告されている10609例(年齢幅10日-87歳)が含まれ,5つの最大の州全体でのエピデミックではワクチン未接種またはワクチン接種不十分(追加接種を受けていない)な人がかなりの比率であった(24-45%).しかしいくつかの百日咳アウトブレイクはワクチン接種率の高い集団においても発生しており,免疫の減衰が示唆されている.9報(12件のアウトブレイクを記載)がワクチン非接種例の詳細なワクチンデータが得られており,そのうちの8つのアウトブレイクではワクチン未接種者の59-93%がワクチン接種を意図的に避けていた.

【結 論】
排除された後の年において,米国の麻疹例のかなりの割合が意図的にワクチン接種を避けていた.ワクチン拒否の現象は,ワクチンを拒否した人とワクチン接種を完了した人における麻疹リスク増加に関連していた.百日咳の再興は,免疫の減衰やその他の要因に起因しているが,ワクチン拒否はいくつかの集団における百日咳リスクの増加と関連していた.

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by DrMagicianEARL | 2016-04-13 11:57 | 感染対策 | Comments(0)

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