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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】救急集中治療でのRCTとリアルワールドの違い,外的妥当性の検討

■救急集中治療領域に限った話ではありませんが,RCTで得られたエビデンスを,そのRCTの患者登録基準の範囲を超えて解釈してしまうということが臨床現場ではよくあり,結果的にその医療介入が不適切になる,効果が得られない,有害事象が増す,ということが起こってきます.エビデンスを臨床に活かす際は必ずそのRCTの登録基準,除外基準を熟読しておく必要がありますし,また,実際に登録された患者の背景データもチェックし,それが実臨床において目の前の患者に適応できるかを見極める必要があります.そしてその乖離が目に見える形でまとめられたのが観察研究です.当然ながらRCTよりエビデンスの質は落ちますが,観察研究の方が圧倒的にリアルワールドに近いものであるという大きなメリットがあり,私はRCT論文だけを読むというスタイルはおすすめしません.

■今回紹介する研究は,過去の救急集中治療領域でのメジャーな15のRCTの登録・除外基準を抽出し,それがリアルワールドでどのくらいの患者が適格性を有するのかを検討したものです.結果は,半数以上が脱落.救急集中治療でのRCTは「質のいい」「きれいな」重症患者を対象にしていますので,いざ実臨床に応用してみると違った結果になってくることはよく経験されるかと思います.
救急集中治療の無作為化比較試験における患者適格性:国際的2施設観察研究
Ivie RM, Vail EA, Wunsch H, et al. Patient Eligibility for Randomized Controlled Trials in Critical Care Medicine: An International Two-Center Observational Study. Crit Care Med. 2016 Oct 24. [Epub ahead of print]
PMID: 27779514

Abstract
【目 的】
本研究の目的は,各試験の患者適格性の率を評価することにより,重症患者における無作為化比較試験(RCT)から得られた情報が一般化できるかを検討した.

【方 法】
本研究は前向き観察コホート研究である.我々は1998年から2008年の間に出版された,救急領域で最も引用された15のRCTを抽出した.各RCTの登録基準と除外基準を検討し,各RCTごとに本研究ICUに入室した各患者の適格性を評価し,コホートにおける潜在的試験適格性の率を計算した.研究はカナダおよび米国の2つの大学病院の3つのICUで行った.対象は,2010年11月または2011年7月に内科または外科ICUに入室した成人患者とした.

【結 果】
15の研究のうち,特によく見られた登録基準は,敗血症(6研究)または急性呼吸窮迫症候群(4研究),侵襲的人工呼吸(5研究),ICUタイプやICU在室期間関連(5研究)の臨床基準であった.本研究ICUに入室した93例の患者のうち,52%(48例)の患者はいかなるRCTの登録基準も満たさなず,30%(28例)は適格性が15研究のうち1つしか満たさなかった.試験の非適格性は,特異的除外基準への該当(スクリーニング評価で52%)よりもむしろ,ほとんどが登録基準を満たさなかった(87%)ことによるものであった.陽性スクリーニング評価のうち,85%はICU入室初日に満たしていた.

【結 論】
評価された患者の半数以上が,救急領域の15の主要なRCTのいずれにも登録する適格性がなく,ほとんどが研究の特定の臨床的条件がないことによるものであった.RCTの登録基準を満たした患者のほとんどはICU入院初日にその基準を満たしていた.

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by DrMagicianEARL | 2016-12-15 11:16 | 文献 | Comments(0)

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