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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】ERにおいて,qSOFAスコアは前向き検討でも有用

■Sepsis-3が発表されてから1年弱がたちました.この新基準はあくまでも後ろ向きデータから検討されたもののため,前向きでの精度評価が必要とされていました.ただ,こんなにすぐに出てくるとは思いませんでしたが・・・発表からわずかな期間で研究デザインを組んで倫理委員会を通し,わずか約2か月後には患者登録スタート,3か月間の間に多国籍多施設でN数を集めてJAMA誌にpublishはさすがとしか言いようがありません.

■さて,結果は,qSOFAスコア2点以上の院内死亡率は24%,死亡予測精度のAUROCは0.8,感度70%特異度79%というのはおおむね私の実臨床でも合致する印象です.さらに,この研究ではqSOFAがSIRS基準や旧基準の重症敗血症よりも死亡予測精度が高いという結果も得られていますが,重症敗血症が「SIRS+乳酸値>2mmol/L」となっていてちょっとこれと比較するのはフェアではないなと思います.これだけで旧基準より優れているとの判断はすべきではないなとは思います.
救急部門での感染症疑いの患者の院内死亡におけるSepsis-3基準の予後予測正確性
Freund Y, Lemachatti N, Krastinova E, et al. Prognostic Accuracy of Sepsis-3 Criteria for In-Hospital Mortality Among Patients With Suspected Infection Presenting to the Emergency Department. JAMA. 2017; 317(3): 301-308

【背 景】
最近,国際的なタスクフォースが敗血症の概念を再定義した.本タスクフォースは,死亡のハイリスク患者の検出のため,全身性炎症反応症候群(SIRS)基準の代わりにquick SOFA(qSOFA)スコアの使用を推奨した.しかしながら,新基準はいくつかの状況で前向きに検証されておらず,救急部門における付加価値はまだ知られていない.

【目 的】
死亡予測としてqSOFAを前向きに検証し,新しい敗血症の基準と以前の基準のパフォーマンスを比較する.

【方 法】
本研究は,2016年5月から7月まで,フランス,スペイン,ベルギー,スイスで行われた国際前向きコホート研究である.30施設の救急部門において,4週間,感染症疑いで救急部門を受診した患者を連続的に登録した.敗血症の旧基準および新基準における全ての変数を収集した.患者は退院もしくは院内死亡までを追跡した.計測はqSOFAスコア,SOFAスコア,SIRSスコアとした.主要アウトカムは院内死亡とした.

【結 果】
1088例の患者がスクリーニングされ,879例が解析に組み込まれた.年齢中央値は67歳(四分位範囲47-81歳)であり,414例(47%)が女性であり,379例(43%)が呼吸器感染症であった.院内全死亡は8%であり,qSOFAスコア2点未満の患者と2点以上の患者の死亡率は3% vs 24%(絶対差21%; 95%CI 15-26%).qSOFAはSIRSおよび重症敗血症の両方よりも院内死亡予測パフォーマンスが良好であり,受信者作動曲線下面積(AUROC)は0.80(95%CI 0.74-0.85) vs 0.65(95%CI 0.59-0.70)であった(p<0.001; AUROC上昇 0.15; 95%CI 0.09-0.22).死亡におけるqSOFAスコアと重症敗血症のハザード比は.6.2(95%CI 3.8-10.3)vs3.5(95%CI 2.2-5.5)であった.

【結 論】
感染症が疑われた救急部門の患者において,qSOFAスコアの使用はSIRSや重症敗血症基準に比して院内死亡の予後予測精度が優れていた.本知見は,救急部門におけるSepsis-3基準を支持するものである.

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by DrMagicianEARL | 2017-01-18 18:29 | 敗血症 | Comments(0)

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