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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】敗血症への2回目の抗菌薬投与の遅延の影響

■敗血症においては,質の高いエビデンスではありませんが,初期抗菌薬投与はできるだけ早く,診断から1時間以内に行うこととされ,これが日本版敗血症診療ガイドラインでもSSCGでも推奨されています.実際に抗菌薬投与が遅れるほど死亡率が増加したという観察研究もいくつもあります.しかし,2回目の抗菌薬投与が遅れたらどうなるかということを検討した研究は私の知る限りありません.今回,2回目の抗菌薬投与タイミングの遅延について検討した珍しい研究が報告されましたので御紹介します.

■結果は,その抗菌薬の推奨投与間隔が短いほど2回目の抗菌薬投与の遅延発生率が高く,2回目の抗菌薬投与の遅延は院内死亡,人工呼吸器装着に関連している,というもので,思った以上に影響があるという印象です.ただし,データを見ていただいても分かる通り,遅延時間の中央値が異常に長いです.まるまる1回ぶん投与し忘れてるかのうような遅れ方で,さすがにこの研究を行った病院のシステムに致命的な問題があるのではないかと疑うレベルです.ここまで遅れたらインシデントレポートものじゃないでしょうか?そりゃここまで遅れたら予後にまで影響しますよね・・・
敗血症で救急部門から入院した患者の2回目の抗菌薬投与の遅延:頻度,リスク因子,アウトカム
Leisman D, Huang V, Zhou Q, et al. Delayed Second Dose Antibiotics for Patients Admitted From the Emergency Department With Sepsis: Prevalence, Risk Factors, and Outcomes. Crit Care Med 2017 Mar 21 [Epub ahead of print]
PMID: 28328652

Abstract
【目 的】
1) 敗血症で入院した患者の2回目の抗菌薬投与の遅延の頻度と大きさを検討する;2) 遅延のリスク因子を検出する;3) 探索的検討:遅延と患者アウトカム(2回目投与後の死亡,人工呼吸器装着)の関連性を検討する.

【方 法】
本研究は三次の大学病院の単施設で行った10ヶ月間の連続的敗血症コホートの後ろ向き研究である.敗血症または敗血症性ショック(定義:感染症,SIRS基準2項目以上,低灌流/臓器障害)で救急部門から入院した全患者を前向きに抽出した.18歳未満,救急部門で初期抗菌薬投与を受けていない,2回目の投与前の死亡,患者の抗菌薬拒否は除外とした.我々は初回から2回目までの抗菌薬投与の時間と遅延の頻度を検討した.初回から2回目投与までの時間が推奨されている間隔より25%以上長ければ遅延とした.注目した因子は,患者背景,推奨投与間隔,併存疾患,臨床症状,2回目投与時の場所,初期蘇生治療,抗菌活性機序とした.

【結 果】
敗血症828例のうち,272例(33%)で投与間隔の25%以上の遅延発生があった.遅延発生率は推奨投与間隔が短くなるにつれて依存的に増加していた:24時間間隔で11例(4%)が遅延(中央値18.52時間),12時間間隔で31例(26%)が遅延(中央値10.58時間),8時間間隔で117例(47%)が遅延(中央値9.60時間),6時間間隔で113例(72%)が遅延(中央値9.55時間).多変量回帰では,投与間隔は主要な遅延を有意に予測していた(12時間:OR 6.98, 95%CI 2.33-20.89; 8時間:OR 23.70, 95%CI 8.14-69.11; 6時間 OR 71.95, 95%CI 25.13-206.0).さらなる独立危険因子は,救急部門での入院(OR 2.67, 95%CI 1.74-4.09),最初の3時間の敗血症バンドル遵守(OR 1.57, 95%CI 1.07-2.30),高齢(OR 1.16/10歳, 95%CI 1.01-1.34)であった.探索的多変量解析では,主要な遅延は院内死亡(OR 1.61, 95%CI 1.01-2.57)や人工呼吸器装着(OR 2.44, 95%CI 1.27-4.69)であった.

【結 論】
2回目の抗菌薬投与遅延は,特により半減期の短い薬物治療を受けた救急部門の患者でよく見られた.これらは遵守されるべき初期治療を受けた患者において逆により多い頻度であった.主要な2回目の抗菌薬投与遅延と死亡率増加,入院期間延長,人工呼吸器装着率増加との間に関連が見られた.

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by DrMagicianEARL | 2017-04-12 14:48 | Comments(0)

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