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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】早期にHIVの治療を開始した患者の平均余命は一般人と変わらない

■一般市民の間でHIV検査がなかなか進まない理由のひとつに「HIVに感染すると助からないから検査するのが恐い」というのがあります.検査を受けたくないという若い人に聞くと帰ってくる答えはだいたいこれです.世代によってはドラマ「神様もう少しだけ」を鮮明に覚えておられる方もいて,今はHIVに感染しても死なない時代に変わったということを教えると非常に驚かれます.それくらい,HIV/AIDSの治療が進歩したことはまだあまり知られておらず,悲しいことに医療従事者の間でも認識されていない,HIV/AIDSの疾患の知識が不十分と感じることがよくあります.

■HIV治療薬の進歩は目覚ましく,毎年新薬が出続け,ガイドラインも毎年のように更新されます.片手いっぱいの錠剤を飲まなければいけなかった時代はもう過去の話,今は内服薬は非常に少なくてすみ,副作用も少なくなっていて,一般人と変わらない生活を送ることができます.日本では1日あたり4人ずつHIV/AIDS患者が増加しており,いつどこで自分が感染するか分かりません.推計では依然8人に1人のHIV感染者が自身の感染の事実を知らずに生活しているとされています.HIV検査は保健所で無料で受けることができますので,一度でも性交渉があるなら検査をぜひ受けてください.たとえ感染が分かっても今は様々なサポート体制が整っています.

■今回,HIV感染者で治療を受けた患者の大規模コホートデータの解析結果がLancet HIV誌に報告されました.結果は,HIV患者の平均余命は今や一般人と変わらない,という結果でした.また,まだウイルス量が少ない状態で治療を開始した20歳のHIV感染者の平均余命は78歳と報告されており,できるだけ早いうちに検査を受けて治療を開始した方がいいのです.

■同時に,HIV感染患者は治療の進歩により高齢化が進んでいます.現時点でそのHIV患者の高齢化を受け入れる社会体制はまだ整っているとは言えず,これは医療機関でも同様で,今後の課題になっていくでしょう.
1996年から2013年に抗レトロウイルス治療を開始したHIV陽性患者の生存:コホート研究の共同解析
The Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration. Survival of HIV-positive patients starting antiretroviral therapy between 1996 and 2013: a collaborative analysis of cohort studies. Lancet HIV 2017, May.10 [Epub ahead of print]

【背 景】
過去20年間でHIV感染患者の医療福祉は大幅に改善している.これらの改善が予後および平均余命にどのように影響したのかについての推定は,患者,臨床医およびヘルスケアプランナーにとって最も重要である.我々は1996年から2013年に抗レトロウイルス治療(ART)を開始した患者の3年生存と平均余命の変化について検討した.

【方 法】
我々は欧州および北米の18のHIV-1コホートからデータ解析を行った.患者(16歳以上)は1996年から2010年に3種類以上の薬剤によるARTを開始され,少なくとも3年間観察されている場合に解析に組み込んだ.ART開始後の最初の年およびART開始後の2年目および3年目の4期間(1996-99年,2000-03年,2004-07年,2008-年)における,ART開始時の年齢,性別,AIDS,リスク群,CD4細胞数,HIV-1 RNAで調整された全死亡と原因別死亡ハザード率(HRs)を推定した.ART導入の期間から平均余命を推定した.

【結 果】
88504例の患者が我々の解析に登録され,そのうち2106例がART導入の最初の1年で死亡し,ART導入の2年目または3年目で2302例が死亡した.2008-10年にARTを開始した患者は,2000-03年にARTを開始した患者よりも,ART導入後の最初の1年間の全死亡率が低かった(調整HR 0.71, 95%CI 0.61-0.83).ART導入後2年目および3年目の全死亡率もまた,2008-10年にARTを開始した患者の方が,2000-03年に開始した患者よりも低く(調整HR 0.57, 95%CI 0.49-0.67),この減少は1年時点でのウイルス量やCD4細胞数では十分に説明しえなかった.2000-03年のART導入と比較して2008-10年の方が,1年目(調整HR 0.48, 95%CI 0.34-0.67),2年目と3年目(調整HR 0.29, 95%CI 0.21-0.40)のAIDSでない死亡率は低かった.1996年から2010年までの間,ARTを開始した20歳の患者の平均余命は女性で9年,男性で10年延びていた.

【結 論】
後期ART時代であっても,ARTの最初の3年間の生存率は改善し続けており,おそらくは毒性の低い抗レトロウイルス薬への移行,服薬遵守の改善,予防措置,および併存疾患の管理を反映している.これらの改善を考慮に入れて,予後モデルおよび平均余命予測を更新する必要がある.

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by DrMagicianEARL | 2017-05-12 18:04 | 感染症 | Comments(0)

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