ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】敗血症で3時間バンドルや抗菌薬投与開始が1時間遅れると4%死亡率が増加する

■敗血症は迅速な認知とそこから迅速な治療へのスムーズな移行が課題となっています.今回御紹介するNEJMの論文はSSCG2012で定められた敗血症治療の3時間ケアバンドル,抗菌薬投与,輸液負荷が開始されるまでの時間と死亡率の関連性について大規模データを用いて検証されたものです.輸液負荷開始までの時間については統計学的に有意な関連性はみられなかったものの,3時間ケアバンドル,抗菌薬投与はいずれも1時間遅れるごとに4%有意に死亡率が上昇するという結果であり,迅速な治療開始の重要性を示唆する論文です.
敗血症の指定された緊急治療における治療までの時間と死亡
Seymour CW, Gesten F, Prescott HC, et al. Time to Treatment and Mortality during Mandated Emergency Care for Sepsis. N Engl J Med 2017, May 21[Epub ahead of print]

Abstract
【背 景】
2013年にニューヨークでは,敗血症の早期発見と治療のためのプロトコルを病院に求めるようになった.しかし,より迅速な敗血症の治療が患者の転帰を改善するか否かについては議論されている.

【方 法】
2014年4月1日から2016年6月30日までのニューヨーク州健康局に報告された敗血症および敗血症性ショックの患者データを研究した.患者は,救急部門に到着後6時間以内に敗血症プロトコルが導入され,敗血症患者の3時間ケアバンドル(血液培養,広域抗菌薬,乳酸値計測)の全項目を12時間以内に完遂された.マルチレベルモデルを使用して,3時間バンドルの完了までの時間とリスク調整死亡との間の関連性を評価した.また,抗菌薬の投与および最初の静脈内輸液のボーラスの完了までの時間も調査した.

【結 果】
149病院の49331例の患者のうち,40696例(82.5%)が3時間以内に3時間バンドルを完遂されていた.3時間バンドルの完遂までの時間の中央値は1.30時間(四分位範囲 0.65 to 2.35),抗菌薬投与までの時間の中央値は0.95時間(四分位範囲0.35 to 1.95),最初の輸液ボーラス投与完遂までの時間の中央値は2.56時間(四分位範囲1.33 to 4.20)であった.12時間以内に3時間バンドルを完遂した患者において,バンドル完遂までの時間がより長いこと(OR 1.04/hour; 95%CI 1.02 to 1.05; p<0.001),抗菌薬投与開始までの時間がより長いこと(OR 1.04/hour; 95%CI 1.03 to 1.06; p<0.001)は高いリスク調整後院内死亡と関連していたが,最初の輸液ボーラス投与完遂までの時間がより長いことは関連していなかった(OR 1.01/hour; 95%CI 0.99 to 1.02; p=0.21).

【結 論】
より迅速な敗血症治療の3時間バンドルの完遂と迅速な抗菌薬投与は低いリスク調整後院内死亡と関連していたが,最初の輸液ボーラス投与の迅速な完遂は関連していなかった.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2017-05-22 14:45 | 敗血症 | Comments(0)

by DrMagicianEARL