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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】ハイブリッドERは重症外傷患者の死亡率を改善する

■世界に先駆けてハイブリッドER(外傷初療室でIVRやCTも可能)を導入した大阪急性期・総合医療センターからその成果となる論文が発表されました.前後比較研究になりますが素晴らしい治療成績です.患者移送リスクを排除し,迅速なdamage control resuscitationを実現した影響は大きいと思います.現在日本各地の施設でハイブリッドERが導入されつつあり,海外からも日本式ERとして注目が集まっています.
迅速な全身CT,手術,IVRをすべて1つの外傷蘇生室で行う最新のワークフローによる生存利益:後ろ向き歴史的対照研究
Kinoshita T, Yamakawa K, Matsuda H, et al. The Survival Benefit of a Novel Trauma Workflow that Includes Immediate Whole-body Computed Tomography, Surgery, and Interventional Radiology, All in One Trauma Resuscitation Room: A Retrospective Historical Control Study. Ann Surg 2017 Sep 26[Epub ahead of print]
PMID: 28953551

Abstract
【目 的】
本研究の目的は,重症外傷におけるIVR(interventional radiology)-CT(computed tomography)システムを用いた新しい外傷ワークフローの影響を評価することである.

【背 景】
2011年8月に我々の外傷蘇生室においてIVR-CTシステムを導入した.我々はこれを,1つの場所で外傷で必要な全検査と治療が行えるものとして,ハイブリッド救命救急室(ER)と名付けた.

【方 法】
日本で行われた本後ろ向き歴史的対照研究では,重症(外傷重症度スコア≧16)鈍的外傷患者を連続的に登録した.患者は,標準群(2007年8月から2011年7月)とハイブリッドER群(2011年8月から2015年7月)の2つに分類した.主要評価項目は28日死亡率に設定した.副次評価項目は,死亡原因と到着からCTおよび手術までの時間とした.臨床的に重要な変数で調整した多変量ロジスティック回帰解析を臨床アウトカムを評価するために行った.

【結 果】
696例の患者が登録され,360例が標準群,336例がハイブリッドER群に登録された.ハイブリッドER群は死亡リスク減少に有意に関連し(調整後OR 0.50; 95%CI 0.29-0.85; p=0.011),出血による死亡を減少させた(調整後OR 0.17; 95%CI 0.06-0.47; p=0.001).CT導入までの時間(標準群26分(21-32) vs ハイブリッドER群11分(8-16); p<0.0001),緊急処置までの時間(68分(51-85) vs 47分(37-57);p<0.0001)はいずれもハイブリッドER群の方が短かった.

【結 論】
ハイブリッドERで実現される,患者の移動なしでの迅速なCT診断と出血コントロールを含むこの新しい外傷ワークフローは重症外傷の死亡率を改善させる可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2017-10-06 11:09 | 文献 | Comments(0)

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