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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

2014年 07月 28日 ( 1 )

■ちょっと古いものも含まれますが,ARDSおよびECMO(その他体外生命維持装置含む)に関する重要文献2つを紹介します.1つ目はAnnals Intensive Care誌に掲載されたガイドライン(2013年12月に欧州のコンセンサスカンファレンスで取り決められたARDS患者における体外生命維持装置に関する65の推奨がGRADEシステムを用いて示されました).これは全文フリーで閲覧できますので是非御参照ください.もう1つはIntensive Care Medicine誌に掲載されたARDS治療に関する過去のRCT,メタ解析のすべてがつまった網羅的レビューで,文献整理にも非常に便利です.
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者における体外式生命維持装置:コンセンサスカンファレンスレポート
Richard C, Argaud L, Blet A, et al. Extracorporeal life support for patients with acute respiratory distress syndrome: report of a Consensus Conference. Ann Intensive Care 2014; 4: 15
PMID:24936342
全文フリー閲覧可

Abstract
2009年のインフルエンザH1N1エピデミックは相当数の人々が重症急性呼吸窮迫症候群と難治性低酸素血症に進展した.これらの患者において,体外式膜型人工肺(ECMO)が可及的酸素化治療として用いられた.いくつかの無作為化臨床試験や観察研究では,肺保護換気療法と関連するECMOはアウトカムを改善できることを示唆したが,その効果はいまだに不明確なままである.Société de Réanimation de Langue Française (SRLF),Société Française d'Anesthésie et de Réanimation (SFAR),Société de Pneumologie de Langue Française (SPLF),Groupe Francophone de Réanimation et d'Urgences Pédiatriques (GFRUP),Société Française de Perfusion (SOFRAPERF),Société Française de Chirurgie Thoracique et Cardiovasculaire (SFCTV),Sociedad Española de Medecina Intensiva Critica y Unidades Coronarias (SEMICYUC)で組織されたコンセンサスカンファレンスが2013年12月に開催され,急性呼吸窮迫症候群の患者における体外式生命維持装置の位置づけに必要な,次に示す5つの疑問点についての回答として,13人のメンバーが65の推奨を記載した.
1) 利用可能な体外式生命維持装置は何か?
2) どの患者が体外式生命維持装置の恩恵を受けうるか?
3) 体外生命維持をどのように行うか?
4) いつ,どのように体外式生命維持を中止するか?
5) どの組織が推奨を行うべきか?
推奨を記載する上で,科学的根拠に基づいた医療(GRADE法),専門家の意見,コンセンサスカンファレンスの13人のメンバー全員の共有決定が考慮されている.
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の生存における介入効果:159の無作為化試験と29のメタ解析の網羅的レビュー
Tonelli AR, Zein J, Adams J, et al. Effects of interventions on survival in acute respiratory distress syndrome: an umbrella review of 159 published randomized trials and 29 meta-analyses. Intensive Care Med 2014; 40: 769-87
PMID:24667919

Abstract
【目 的】
多数の介入が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)において試みられている.我々はARDSにおいて死亡率を報告している,出版された無作為化比較試験(RCT)または各メタ解析のすべての項目を検討した.

【方 法】
我々は,2013年7月まででPubMed,the Cochrane Library,Web of Knowledge untilから検索を行った.英語で出版されたARDSのRCTを登録した.新生児や小児,あるいは短期介入,ARDS予防,外傷後肺傷害の試験は除外した.また,死亡率を明示しているRCTのメタ解析もレビューを行った.治療法は5つのカテゴリー(人工呼吸管理戦略と呼吸ケア,経腸または静脈栄養,吸入・経気管的薬剤投与,栄養支持療法,循環動態モニタリング)に分類した.

【結 果】
159の出版されたRCTが抽出され,そのうち93報は全死亡率を報告しており(n=20671),44報は主要評価項目として死亡率を報告していた(n=14426).統計学的に有意な生存有益性は8報(7つの介入)で観察され,2報は有害事象を報告していた.少なくとも1つの治療アームにおいて50例以上の死亡を有するRCTでは,2報が介入(低1回換気,腹臥位)により死亡率の統計学的に有意な改善を示し,1報(筋弛緩薬cisatracurium)は統計学的に有意な死亡率改善効果を調整解析においてのみ示し,1報(HFOV)が有意な有害性を示した.29報のメタ解析では,最も一貫していたエビデンスは低1回換気と重症ARDSにおける腹臥位においてのみ見られた.

【結 論】
ARDSにおいて死亡率を改善しうる特異的介入を支持するエビデンスは限られている.低1回換気と重症ARDSにおける腹臥位は効果的である一方で,死亡率減少を示唆する介入の大部分の知見はメタ解析を含む大規模エビデンスにおいて一貫して補強されていない.

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by drmagicianEARL | 2014-07-28 16:36 | 敗血症性ARDS | Comments(0)

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