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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

2014年 08月 15日 ( 1 )

■Ronco先生がCritical Care誌にエンドトキシン吸着カラムを用いたPMX-DHPに関するレビューを書いています.どのような仕組みなのかが分かりやすい他,現時点でのエビデンスをコンパクトにまとめており,全文フリーで閲覧できます.
ポリミキシンB血液浄化:機械論的視点
Ronco C, Klein DJ. Polymyxin B hemoperfusion: a mechanistic perspective. Crit Care 2014; 18: 309
PMID:25043934

ポリミキシンBファイバーカートリッジによる血液浄化療法(PMX-DHP)は日本と一部に西ヨーロッパでは敗血症性ショックの治療戦略なっている.PMX-DHPは現在,敗血症性ショックでエンドトキシン活性分析で計測したエンドトキシン血症を伴った患者における重要な北米の無作為化試験(EUPHRATES)が行われている.この治療法の主要なメカニズムは循環血液中のエンドトキシンを除去することにある.PMX-DHPカラムによる循環エンドトキシンとの高い親和性結合は循環血液中エンドトキシンレベルを2回の標準的治療によって最大で90%減少させる可能性がある.基礎研究では,循環サイトカインレベルと腎尿細管アポトーシスを減少させることが示されている.臨床研究では,PMX-DHPは循環動態を改善し,酸素化や腎機能を改善し,死亡率を減少させることが示されている.用量,タイミング,そしてメカニズムに関するさらなる情報を得るのと同様に,PMX-DHPによって恩恵を受けるであろうエンドトキシン血症を合併する患者集団を定義するためにもさらなる研究が必要である.本レビューでは,臓器機能の回復におけるPMX-DHPの特異的効果と臨床的改善効果のエビデンスの蓄積の両方に焦点をあてながら,エンドトキシン血症を伴う敗血症患者におけるPMX-DHP使用によるエンドトキシン除去を目標とした戦略での機械論的根拠を提示する.
■PMX-DHPについては当ブログでも書かせていただきました.

EARLの医学ノート 2013年9月4日記事
敗血症とエンドトキシン計測&PMX-DHP(2) ~PMX-DHPは敗血症の予後を改善しうるか?~
http://drmagician.exblog.jp/20996440/
■ところで,PMX-DHPについては,予後改善効果があるのかまだまだ議論されている段階であり,その検証として2つの大規模RCTである欧州のABDO-MIXと米国カナダのEUPHRATESがあります.そのうおちのABDO-MIXは既に終了しており,実はその結果が今年の2014 ISICEM conferenceにおいて発表され,PMX-DHPに敗血症の死亡率改善効果なしとの結果でしたが,これについてRonco先生がこのレビューで以下の通り触れています(ざっと日本語訳).
ABDO-MIX

敗血症性ショックを伴う腹膜炎におけるPMX-DHPの効果は,28日死亡率を評価したフランスの無作為化オープンラベル多施設共同試験で検討された(ABDO-MIX; ClinicalTrials.gov NCT01222663).登録患者(240例)は術後36時間以内に標準治療群と標準治療+PMX-DHP群に無作為に割り付けられた.本研究はまだ出版されていないが,結果が2014年のISICEM conference(国際救急集中治療医学会議)で発表された.本研究は両群間で死亡率に差を示せなかったが,この研究はこの結果に影響を与えた可能性があるいくつもの潜在的問題をかかえていた.カートリッジの詰まり・失敗率が他の試験や臨床経験に比して劇的に高かった.また,観察された死亡率は予想より低く,差を検出するにはパワー不足であった.ABDO-MIXが出版されても,他のデータと照らし合わせて慎重に見る必要がある.
■敗血症の治療の進歩に伴い,対照群の死亡率が低くなり,特定の治療介入を行っても死亡率に差がでにくくなってきていることは近年報告されたProCESS trialやPROWESS-SHOCK study等を見ても分かることで,ABDO-MIXでもその傾向がでたということであろう.カートリッジの詰まりが異常に多かった原因の詳細はまだ不明である.使用した抗血栓薬の種類,用量用法がまずかったのか,DICの合併が多かったのか(フランスではDICはあまり治療されない.また,rTMを使うとカラムが詰まりにくくなったという報告はある)・・・.publishを待ちたい.
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by drmagicianEARL | 2014-08-15 19:58 | 敗血症 | Comments(2)

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