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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

2017年 09月 24日 ( 1 )

■免疫不全があると敗血症性ショックの治療が難渋することは多々あります.今回はそのような免疫不全をベースとした敗血症性ショック患者の死亡やICU関連合併症を検討した後ろ向き研究を紹介します.ただ,一口に免疫不全と言っても多種多様です.たとえば固形癌があるからといってそれが即免疫不全に結びつくわけでもありませんし,どのような抗癌剤治療を行っているかでも変わりますし,固形癌で生じる感染症はどちらかというと腫瘍による閉塞等に伴う物理的要因での免疫不全の方が問題になりやすいため,この研究はちょっとざっくりしすぎかもしれません.
免疫不全および非免疫不全における敗血症性ショックの経過
Jamme M, Daviaud F, Charpentier J, et al. Time Course of Septic Shock in Immunocompromised and Nonimmunocompromised Patients. Crit Care Med 2017 Sep 20 [Epub ahead of print]
PMID: 28937407

Abstract
【目 的】
死亡,急性感染症,非感染性合併症の発症に関する敗血症ショックの経過における免疫状態の影響を検討する.

【方 法】
本研究は,ICU入室の48時間以内に敗血症性ショックと診断された患者を登録した8年間(2008-2015)の三次施設内科ICUの単施設後ろ向き研究である.患者は免疫状態に応じて4つのサブグループ(非免疫不全,免疫不全(血液疾患,固形悪性腫瘍,非悪性免疫抑制))に分類された.評価項目は院内死亡,虚血性・出血性合併症の発生,ICU関連感染症とした.死亡と合併症の決定要因は多変量競合リスク解析で検討した.

【結 果】
801例の患者が登録された.そのうち,305例(38%)が免疫不全であり,固形腫瘍122例,血液悪性疾患106例,非悪性免疫抑制77例であった.3日死亡,ICU死亡,院内死亡はそれぞれ14.1%,37.3%,41.3%であった.固形腫瘍患者は院内死亡が増加していた(原因特異的HR 2.20 [95%CI 1.64-2.96]; p<0.001).ICU関連感染症は3日間生存者のうちの211例(33%)に生じていた.加えて,ICU入室中に重篤な虚血性合併症が95例(11.8%),出血性合併症が70例(8.7%)発生していた.免疫状態とICU関連感染症の発生に関連性はみられなかった.非悪性免疫抑制と血液悪性疾患は,重篤な虚血性イベント(原因特異的HR 2.12 [95%CI 1.14-3.96]; p=0.02)と出血性イベント(原因特異的HR 3.17 [95%CI 1.41-7.13]; p=0.005)の増加に関連した独立危険因子であった.
※原文から:非免疫不全vs固形腫瘍vs血液悪性疾患vs非悪性免疫抑制状態で
好中球減少:0.8% vs 13.1% vs 73.8% vs 6.9%(p<0.001)
入院時SOFAスコア中央値[IQR]: 9[6-12] vs 9[6-12] vs 10[6-13] vs 8[5-11](p=0.02)
虚血性イベント:4.6% vs 2.4% vs 0.9% vs 7.8%
重篤な出血:1% vs 0% vs 1.9% vs 3.9%
Withdrawal:9.5% vs 24.6% vs 17% vs 11.7%(p<0.001)
3日死亡率:12.1% vs 24.6% vs 18.9% vs 3.9%(p<0.001)
ICU死亡率:32,9% vs 54.9% vs 39.6% vs 35.1%(p<0.001)
院内死亡率:36.1% vs 59% vs 44.3% vs 42.8%(p<0.001)

【結 論】
ベースの免疫状態は,敗血症性ショックの経過およびICUに関連した合併症の感受性に影響を及ぼす.これは,併存疾患と関連する敗血症症候群の複雑さを強調し,臨床研究における関連エンドポイントの問題を提起する.

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by DrMagicianEARL | 2017-09-24 16:01 | 敗血症 | Comments(0)

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