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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:未分類( 17 )

■2016年6月20日付発売のWedgeに村中璃子氏の記事が掲載された.内容は,HPVV(ヒトパピローマウイルスワクチン,子宮頸がんワクチン)を投与されたマウスに脳障害が出たとする信州大学の池田修一氏らの研究に捏造疑惑,というものである.この不正が事実であれば,HPVVが脳障害を起こすという根拠はなく,日本だけで騒がれているHPVV薬害の根拠が崩壊し,まさに「日本版Wakefield[1]」ともいえるべき事態となる.スポンサーは厚生労働省であるが,今後どう対応をするのであろうか.

■詳細はWedge誌をご覧いただきたいが,この研究の内容は見れば見るほどおかしい.まず,研究デザインの時点で意味不明である.本研究では,NF-κB p50欠損マウスをHPVV(サーバリックスのみでガーダシルは検証せず),インフルエンザワクチン,B型肝炎ワクチン,生理食塩水の4種類の接種に割り付けて比較を行っているが,具体的には以下の方法となっている.
・研究で用いたNF-κB p50欠損マウスは放置していても脳障害を起こすモデル
・実際に用いたマウスは欠損マウスと正常マウスの交雑種
・マウスに投与したワクチンの量はヒトに換算すれば通常のワクチン接種の100倍以上の量
・各群のマウスの数は3-5匹ずつしかいない
■ここまではlimitationの範疇とも言える.たが,実際に行われた研究や解析は以下の通りとのことで,これは許容されるものではない(そもそも3月の発表ではHPVVワクチン接種マウスの脳に障害が生じたとしかとらえられない発表であった).
・発表された解析マウスの写真は,ワクチンを接種したマウスではなく,接種マウスの血清を脳にふりかけられた別のマウスのものであり,マウスが異なる上に血液脳関門(BBB)を無視している
・HPVV群以外のマウスでも脳に障害がでていた(どのマウスも自己抗体があるので当然の結果)
・HPVV群だけ緑色に染色(脳に抗体沈着があることを示す結果)された写真をチョイスし,その他の群では染色されていない写真を池田氏がチョイスした
・解析データはすべて1匹のものである(N=1,すなわちチャンピオンデータ)
■これではHPVV接種が脳障害を起こす根拠などまったく示せていないに等しい.子宮頸がんという人命がかかる疾患,あるいはHPVV副作用,その両方にとって重要な研究であるにもかかわらずこのようなことをやっているとしたらSTAP騒動どころではなく,罪は重い.

[1]DrMagicianEARL. 【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析(Wakefieldの論文捏造の詳細含む) 2014年5月21日 http://drmagician.exblog.jp/22025386/
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by DrMagicianEARL | 2016-06-20 11:52 | Comments(0)
2016年4月18日12時作成
2016年4月18日21時更新
2016年4月19日17時更新
2016年4月20日11時更新

■この度の熊本・大分の地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます.また,被災された方々の1日でも早い復興をお祈りいたします.

■さて,先日は仙台で開催された第90回日本感染症学会の後のICD講習会において,最後に学会長から「熊本で大きな地震があった.大規模災害では感染症が必発である.特にレジオネラと破傷風には気をつける必要がある」との特別発言がありました.とりわけ破傷風は致死率の高い感染症です.今後さらに医療支援やボランティアで被災地入りする人も多数でてきますが,必ず破傷風ワクチン接種を推奨してください(東日本大震災では災害ボランティアの感染例が報告されています).

■被災地での医療は通常の状況とはかなり異なり,疫学的状況が大きく変化します.以下に感染制御をはじめとする種々の医療関連マニュアルや各学会からの注意喚起を掲載します.被災地での活用や,今後の災害に備えての参考にしていただければ幸甚です.また,「こんなマニュアルもあるよ」というのがあれば御教授ください.こちらに掲載いたします.
【緊急】「平成28年熊本地震」への対応(日本内科学会)
http://www.naika.or.jp/saigai/kumamoto/
日本薬剤師会熊本地震専用ホームページ
http://www.nichiyaku.or.jp/saigai2016/index.html
大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き
http://www.kankyokansen.org/other/hisaiti_kansenseigyo.pdf


災害と感染症対策
http://www.kansensho.or.jp/disaster/index.html

やむを得ない場合の抗HIV薬内服中断の方法について(東日本大震災時情報)
http://www.acc.ncgm.go.jp/earthquake/020/110315_001.html

医療資源の限られた状況における敗血症治療の推奨(欧州集中治療医学会:英文,フルテキスト無料)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22349419
災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2014_shimokawa_h.pdf


循環器系学会からの被災地の皆様への注意とお知らせ~避難所生活の方と車中で避難をされておられる方へ~いわゆるエコノミークラス症候群の予防について
http://www.j-circ.or.jp/topics/20160418_vte.htm
厚生労働省からの周知依頼「平成28 年熊本地震で被災した妊産婦及び乳幼児等に対する支援のポイント」
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20160418_kumamoto.pdf
平成28年熊本・九州地震に伴う「日本糖尿病学会 熊本・九州地震対策本部」の設置について
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=62
高齢者災害時医療ガイドライン(試作版)第2版
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/member/kaikai/koku_saigai-guideline.html
日本透析医会災害情報ネットワーク
https://www.saigai-touseki.net/

熊本県透析施設協議会
https://www.saigai-touseki.net/?bid=100
リウマチ性疾患あるいは膠原病患者の内服薬について(東日本大震災時情報)
http://www.ryumachi-jp.com/info/news110314.html
熊本県災害時の栄養管理ガイドライン~市町村における避難所栄養管理のための手引き~
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_2574.html
災害精神保健医療マニュアル
http://www.ncnp.go.jp/nimh/seijin/H22DisaManu110311.pdf

子どもの心のケアのために(日本小児科医会)
http://jpa.umin.jp/download/kokoro/PTSD.pdf

災害時の発達障害児・者支援エッセンス-発達障害のある人に対応するみなさんへ-
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%85%90%E3%83%BB%E8%80%85%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/?action=common_download_main&upload_id=813
大規模災害リハビリテーション対応マニュアル
http://www.jrat.jp/images/PDF/manual_dsrt.pdf
災害ボランティアの安全衛生対策マニュアル VER4.1
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/volunteer/bousai-volunteer/link/pdf/anzen_manual_ver4.1.pdf

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by DrMagicianEARL | 2016-04-20 11:07 | Comments(0)
■一昨日(2015年12月12日)の朝方あたりからSNSの方でSTAP細胞の名前があちらこちらで出現し,何事かと思って見に行ったら,「米国での研究でSTAP現象が再現され,小保方氏の主張が正しかった」という旨のブログが拡散されていました.そのせいか多数の人が信じ込んでしまったようですが,結論から言うと,STAP細胞はありません.もうあちらこちらで既に指摘されてるとは思いますが,ここでも記載しておきます.

■まず,該当論文は11月27日に発表された以下のものです.Nature誌に掲載されたという誤情報が流れてますが,NatureではなくScientific Reports誌です.再現性の課題はこれからですが,論文内容自体は興味深いものですので,全文フリーなので是非御一読を.
傷害誘導性骨格筋由来幹細胞様細胞集団の特性
Vojnits K, Pan H, Mu X, et al. Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells. Sci Rep. 2015 Nov 27;5:17355
PMID: 26611864
http://www.nature.com/articles/srep17355
■簡単に内容を述べると,「マウスの骨格筋傷害モデル(ひっかいた)を作成したところ,その骨格筋から新しい幹細胞の集団を発見し,この幹細胞(筋細胞由来幹細胞iMuSCs)は部分的に初期化され,多分化能を示した.」というものです.これまで炎症による臓器傷害では傷害部位からのシグナルにより骨髄等から間葉系幹細胞様の細胞が誘導され組織修復されているのではないかという仮説が検討されており(これがMuse細胞ではないかという説もある),このiMuSCsは筋由来なんだろうか?という疑問もあります.傷害された細胞が幹細胞化したわけでもないということでちょっとまだ不明瞭な研究です.これから再現性の実験がなされていくのでしょう(骨格筋をどうやって傷つけたのかが争点になりそうな予感も).もっとも掲載誌がScientific Reportsという点があれなんですが・・・(御存知の方も多いと思いますが,査読が緩く,かつお金を払ってオープンアクセスで掲載する雑誌です).

■今回の騒動は,このiMuSCsの研究内容を見た「小保方晴子さんへの不正な報道を追及する有志の会」のブログがこの研究をバイアスをかけて紹介したのがきっかけです.そしてこの紹介をアフィリエイト系のブログが「STAP細胞は存在した」という内容を流布したことでSNS上で「小保方氏の発見は真実だった」と拡散されていったわけです.小保方らの研究で用いたプロトコルで再現したわけでもないのにSTAP細胞が存在しただの小保方氏が正しかっただのと結びつけるのは無理があります.

■まず,論文を見れば一目瞭然ですが,iMuSCsはSTAP細胞とは全く別物です.刺激による万能細胞化は,確かにSTAP現象が指し示すものではありますが,STAPよりも以前から知られているもので,植物ではよく観察され,一部の動物でも生じています.これが哺乳類でも起こるのだろうかという検討はずっとなされてきたことです.その上で,ガラスの細管と弱酸性溶液を使うという処理によってできるのがSTAP細胞ということになります.小保方氏をはじめとするSTAP研究グループが行ったのは仮説に基づいた捏造だったことで既に決着がついています.iMuSCsは全く異なる手法,異なる細胞から作られたものです.これを「STAP細胞は存在した」とするのは的外れですし,iMuSCsの研究者にも失礼です.最初に刺激による体細胞の万能化を示した研究グループの功績になるのであって,不正捏造によって作られ再現性も得られなかったSTAP細胞が認められるものではありません.よって,このiMuSCsの論文は,以前から検討されていた「哺乳類の細胞において刺激により多分化能を獲得しうる」という仮説が示されたということであり(ただし繰り返しますが再現性の検証はこれからです),STAP細胞が存在することを示したものではありません.

■なお,iMuSCsの論文の中では小保方氏の過去の論文の引用がありますが,その引用された論文はNature誌に掲載されたあのSTAP論文ではなく,2011年にTissue Eng Part A誌に掲載された論文であり,この小保方氏の論文を含めた7つの研究論文(ようするに小保方氏以外のグループも研究していたわけです)を考察で提示した上で「しかし,どの研究も多能性幹細胞が分化した身体組織から発生する可能性を証明していない」と記述しています.なのでこの研究者もSTAP細胞は認めていません.

■今後も体細胞に刺激を加えて初期化・多能性幹細胞を作成した研究が発表されるたびに「STAPは存在した」なんて言うのはやめましょう.科学研究への冒涜ですし日本の恥を発信してるようなもんです.
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by DrMagicianEARL | 2015-12-14 16:29 | Comments(0)
■この件はこのブログで触れる予定ではなかったのですが,インターネット上のとある場所に書き込みがあり,思うところがあって記事を書きました.

■東日本大震災に伴う福島第一原発事故においてはインターネット上で様々な情報が飛び交っているのは御承知の通りで,その中にはデマが多数混じっていること,これらのデマに便乗して活動している学者がいることも事実です.その上で,とりわけ注目されている小児の甲状腺の問題はこの4年間で多数のデータ報告が出てきました.放射能の影響がどの程度あるのか,今後も見ていく必要がありますが,少なくともデータを客観的かつ公平にバイアスなく解析・考察する必要性がでてきます.

■そのような中,先日,岡山大学の津田敏秀先生の論文がEpidemiology誌にpublishされました.甲状腺癌の推移のモニタリングは今後も必要であり,データを解析しようとした津田先生の姿勢は,内容の妥当性は別にすれば評価されるべきではあると思います.疫学調査とその解析は誰かがやらねばなりません.
Tsuda T, Tokinobu A, Yamamoto E, et al. Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014. Epidemiology 2015 Oct 5 [Epub ahead of print]

■この論文を見ると,まずethicsに関する記載がありませんのでこの時点で論外で,「はたして倫理委員会をちゃんと通して論文を書いたのだろうか?」という疑問があります(Epideiology誌では記載が求められるはずですが査読でなぜひっかからなかったんでしょうね?).そこは置いといて,中身を見ると,年齢調整がなされていない,放射線量がより低い会津地方をベースにしていない,多重比較になってしまっている等いろいろな統計解析上の問題が見えます.どんな論文にもなんらかの瑕疵があるとはいえちょっとこの解析はさすがにないんじゃないでしょうか.

■external comparisonにおいては国立がんセンターのデータを震災前のデータとして比較を行っており,結果は「甲状腺癌が震災前データの30倍」というもので,この数字がネットで多数流れています.この程度ならスクリーニング検査バイアスの可能性が高いと思われます.しかしなぜか津田先生は「30倍という数字はスクリーニングバイアスや誤差では説明できない」と述べておられ,その一方でなぜそう言えるのかについて根拠を示していません.この津田先生の比較のやり方を用いれば,平成24年から行われた甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果と比較すると,青森県・山梨県・長崎県でも甲状腺癌発症率は70倍近くになってしまいます(極端な比較ではありますが).また,昨年のthe New England Journal of Medicineで,甲状腺癌のスクリーニング検査を行うだけで30倍程度は簡単にいってしまうことが報告されています.これらから考えてもなぜあのような考察の表現になるのかおおいに疑問です.

■そもそも,この論文では甲状腺癌の潜伏期間を4年と仮定しており,この仮定を置いてしまうと論文が成り立たなくなります.本論文の最大のトリックだと思われますが,本研究の計算方法であれば,潜伏期間を短く設定すればするほど国立がんセンターの年間罹患率よりいくらでも大きな「〇〇倍」という数字が出せてしまいます.そして,潜伏期間を4年と仮定した根拠が「福島第一原発事故からと仮定した」であり,これでは福島第一原発事故以外が要因のケースもすべて4年としてしまうということになり,論法がここで崩壊します.ようするに,「Aが生じたことでBが生じたかどうか検討する」おいう因果関係に言及する研究において,「Aが原因でBが生じたという仮定の設定下での解析」を津田氏は行っていることになります.完全に循環論法というか,結論ありきの自分の主張バイアスがかかってしまっていて,これでは滅茶苦茶です.

■この論文データから結論を得ることはできません.統計解析手法の不備を無視したとしても,多いとも多くないとも言えないはずの結果です.しかし,この論文の考察や結論は甲状腺癌増加ありきのかなりバイアスがかかった表現になっています.まあここまでは,ニュース等で震災後の津田先生の発言や考えを知っていれば想定の範囲内とも言えますし,私も「ああまたか」程度に思っていましたが・・・.
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by DrMagicianEARL | 2015-10-14 16:59 | Comments(0)
※宣伝で申し訳ありません

8月より日経メディカルの看護師向けサイト「日経Aナーシング」に連載を月2回ペースで執筆しております.看護ケアを行う上で,現場にありがちな勘違いや落とし穴など,ベッドサイドですぐに活かせるエビデンスをまとめて発信していきます.日々のケアの見直しや新たな取り組みに活かしていただければ幸甚です.
日経Aナーシング
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/fuke/201509/543886.html
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by DrMagicianEARL | 2015-09-29 13:09 | Comments(0)
※今回はエビデンスレビューではありません

■今年の春より新しい糖尿病治療薬であるSGLT-2(sodium-dependent glucose transporter 2:ナトリウム/グルコース共輸送体2)阻害薬が各メーカーから続々と発売されている.具体的にはイプラグリフロジン(スーグラ®),ダパグリフロジン(フォシーガ®),ルセオグリフロジン(ルセフィ®),トホグリフロジン(デベルザ®,アプルウェイ®),カナグリフロジン(カナグル®),エンパグリフロジンである.SGLT-2は尿細管において,ろ過された原尿に含まれているブドウ糖をナトリウムと共に尿細管細胞内に再吸収することでブドウ糖の過剰は排泄を防止する作用がある.SGLT-2阻害薬はこの機序を阻害することで「尿から糖をだす」薬剤である.

■基本的に「新薬」とは非常にいい響きで魅力的であり,製薬メーカーの宣伝も力が入り,そこに飛びつく医師もいるだろう.この新薬をどう扱うかは医師の裁量に任されることになる.①新薬なのでしばらく処方せず市販後の様子を見てから判断する医師,②いろいろ調べて患者を限定してしっかり観察しながら処方する医師,③とりあえず使ってみようという医師などさまざまである.私自身は②のスタンスをとることが多い.

■これまで分かっていることとして,他の経口血糖降下薬との併用試験があるものの,3種類以上の併用試験は存在しない,(ダパグリフロジンのデータでは)ビグアナイド系との併用で有害事象が最も多くその有害事象はほとんどが低血糖ではない(詳細が公開されていないが高乳酸血症と推察される),尿量が増えるため脱水リスクが生じうる,尿路感染・膣感染が生じうる,肥満患者で特に有効などがある.これらの情報から血糖コントロールのみならず,ADL,尿路感染既往,自己衛生,コンプライアンス,併用薬,その他様々な因子を考えなければならず,これらを考慮すれば投与対象となりうる患者はかなり限られるはずであり,他の経口糖尿病治療薬のエビデンス蓄積や薬価での優先順位も考慮すればそう簡単には見つからないだろう.実際,私自身は②のスタンスでSGLT-2阻害薬を処方を検討しているが,いまだに1例も処方対象となる患者が見つからない.

■しかし,臨床試験を経て発売開始となったSGLT-2阻害薬処方例において,わずか半年で7例(因果関係不明の2例を含む)もの死亡例がでている.市販後調査での有害事象や死亡例の一覧を見たが,複数の糖尿病治療薬との併用例やコンプライアンスが悪い患者がずらりとならび,死亡例には脱水要素がある患者が目立った.また,SGLT-2阻害薬の研究会やWebセミナーをいくつか聴講したことがあるが,いずれにおいても質疑応答で「このような処方をしているがどうか?」「こんな症例にこういう使い方をしているがどうだろう?」という質問が多く,その大半が到底適切とは考えられない処方のやり方で驚いた.これは濫用に他ならない.これでは有害事象は後をたたないであろう.

■臨床試験においては厳格な登録基準,除外基準,プロトコルが組まれて行われる.よって臨床試験の結果のみならず方法も非常に重要となる.一方,市販後は医師がこれらを理解していない限りは臨床試験と乖離した結果となることがしばしばあり,近年の肺癌でのイレッサ訴訟はそれを反映したものである.現実的には適正使用できない医師も非常に多いことは様々な薬剤で経験されていることであり,ことSGLT-2阻害薬ですでにこれだけの死亡例が出たのであれば,薬剤メーカーは宣伝の自粛をするとともに,学会はいったんSGLT-2阻害薬の処方権限を専門医に限定するなりe-learningを義務付けるなり何らかの対処をすべきであろう.現時点ではこの薬剤はプロ仕様の薬剤ととらえるべきである.
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by DrMagicianEARL | 2014-11-19 16:40 | Comments(0)
Summary
・パルスオキシメータ普及により,臨床現場においてバイタルサイン計測の際,呼吸数は計測されないことが多い実態がある.SpO2は呼吸数の代替指標にはならず,急性変化においては呼吸数がより早期に鋭敏に反応するが,急変前のバイタルサインでは呼吸数計測が最も欠落しやすい.このため,呼吸数の生理学的意義の教育が急務である.
・SpO2のみで呼吸状態を評価せず,モニターではなく患者から直接呼吸数を計測すべきである.
・高酸素血症はCO2ナルコーシス,活性酸素による肺傷害,吸収性無気肺などの有害事象リスクがある.重症患者において高酸素血症は死亡リスクが増加する報告が多数あり,低酸素血症よりも死亡率が高まる報告も複数ある.
・酸素投与患者においては「SpO2 100%=PaO2 100mmHg」ではない.SpO2 98%でPaO2 100mmHgに相当し,SpO2 98-100%のときはPaO2 100-500mmHgまでの幅をとりうる.このためSpO2≧98%のときは高酸素血症が生じている可能性が高く,少なくとも97%以下に制限すべきであるとされる.
・人工呼吸器患者での至適SpO2目標値のエビデンスは乏しいが,近年の研究から,90-92%での管理が今後推奨される可能性がある.
・COPD急性増悪患者においてはSpO2 88-92%での管理が望ましい.
・終末期患者の緩和ケアにおいて,SpO2が正常でありながら呼吸困難を訴えることは多いが,このような患者において酸素投与は室内気吸入と比較して症状緩和効果は変わらない.しかし,患者の呼吸困難症状自体は軽減されており,酸素投与は考慮してもよい選択肢である.
・終末期患者においてはSpO2目標値を定めるよりも快適さを重視すべきである.
・終末期患者においては病態を考慮した上でNPPVの使用も検討してもよい.

■血中酸素濃度を計測する上でパルスオキシメータは非常に便利である.パルスオキシメータは日本光電工業の青柳卓雄氏が発明し[1],1977年に旧ミノルタ社(現在のコニカミノルタ)が初号機MET-1471を発売している.それまで血中酸素濃度は呼吸数,唇の色,採取検体や術中出血の血液の色でしかその場では判断できなかった中,パルスオキシメータによって定量評価が可能となったことは画期的であった.Severinghaus氏[2]は2007年のAnesthsia and Analgesia誌において 「青柳氏の開発したパルスオキシメータは,ノイズを有益な情報に転換する天才の発想」と評している.1990年代に入るとパルスオキシメータは大幅に小型化し,今では医療において様々な場で用いられている.その便利さの一方で,パルスオキシメータが普及したことにより生じている問題点がある.

1.SpO2を計測すれば呼吸数が不要になるわけではない
症例1.不明熱精査で入院した85歳の認知症男性(意思疎通不可).
「頻呼吸になっているが,SpO2は96%あるから大丈夫だろう.」

→30分後にショック状態となり,SpO2は83%まで低下
→頻呼吸は腸腰菌膿瘍による敗血症の徴候だった

症例2.肺炎で入院した72歳男性.夜間就寝中.
「SpO2が91%と低めだから酸素を増量しよう.」

→SpO2は95%を維持していたが,10分後に呼吸停止の状態で発見される.実は巡回時は呼吸数が10回/分しかなく,CO2ナルコーシスによる呼吸抑制だった.

■SpO2は呼吸数の代償パラメータとはならない.血中酸素濃度が低下傾向になると生体は呼吸数を増加させて酸素取り込みを増大させ,血中酸素濃度を維持しようとする.すなわち,SpO2は呼吸数で代償しきれなくなったときに低下が始まるため,呼吸数の反応よりも遅れることになる.このため,呼吸数は鋭敏なマーカーとして非常に重視されており,たとえば敗血症の診断基準に用いられてきたSIRS基準[3],肺炎重症度CURB-65[4]などで,項目の中にSpO2やPaO2ではなく呼吸数が含まれている.

■パルスオキシメータの普及によりバイタルサイン計測の際に呼吸数が測られていないことは,よく経験される.Chenら[5]は,急変が起こる前のバイタルサイン記録で特に呼吸数の記載が欠落していることを指摘している.また,Cretikosら[6]は「呼吸数:無視されたバイタルサイン」,Hoganら[7]は「なぜ看護師は患者の呼吸数をモニターしないのか」というタイトルのレビューを報告している.バイタルサインの生理学的意味の教育を行うとともに,測定方法,呼吸数評価の上での意思決定などを医療スタッフに指導していく必要がある.

■心電図モニターに呼吸数が表示されるが,胸郭の動きで見ているもので正確にでないことも多い.また,人工呼吸器のモニターの呼吸数も,患者のトリガーが拾えていない場合は過小評価になり頻呼吸を見逃すリスクが生じる.呼吸数評価は必ず患者から直接計測すべきである.なお,近年,正確に呼吸数を計測できる機器であるBioHarnessが開発された[8]が,なかなか普及には至らないであろう.

■呼吸数増加が意味するものは,①代謝性アシドーシスに対する呼吸代償,②組織酸素需要量の増大,③交感神経興奮状態(心因性の過喚起症候群を含む)である.一方,呼吸数の低下が意味するものは呼吸中枢の抑制(麻薬・鎮静薬,CO2ナルコーシス,中枢神経障害)である.

2.酸素投与患者のSpO2≧98%は安全ではない
症例3.呼吸困難で救急搬送された80歳女性.来院時血液ガス分析ではCO2蓄積なし.急性心不全の診断でNPPVを装着,CPAP modeでFiO2 100%で開始し,SpO2 99%を維持

→30分後にCO2ナルコーシスによる呼吸抑制でSpO2が大きく低下.血液ガス分析を行うと,PaO2 205mmHg,PaCO2 64mmHgであった.
※人工呼吸管理を要する急性心不全患者の30%はCOPDを基礎疾患に持っている

症例4.尿路感染症による敗血症性ショックと呼吸不全で挿管人工呼吸管理(PEEP 5cmH2O)となった64歳女性.SpO2が急激に低下したため,FiO2を50%から100%に増量

→SpO2がさらに低下
→PEEPを15cmH2Oに変更するとSpO2改善.
■モニター機器はSpO2が低値ではアラームが鳴るが,SpO2高値ではアラームは鳴らない.つまり,モニターは高酸素血症を教えてはくれないのである.低酸素血症の危険性は多くの医療従事者が認識している一方で,高酸素血症の危険性はCO2ナルコーシス以外ではあまり認知されていないと思われる.

■CO2ナルコーシスは特にCOPD病態で生じやすい.COPD患者は必ずしもCT画像所見上肺気腫を呈しているとは限らない.また,肺の加齢性変化によってもCO2が蓄積しやすくなることは知っておく必要がある.よって,このような患者では特に過剰酸素を回避しなければならない.

■酸素毒性についてはKalletら[9]が2013年のRespiratory Care誌に非常によくまとまったレビューをだしている.これによると,空気中の酸素濃度(21%)を超えると活性酸素が増加し,細胞傷害に関連する.高濃度酸素により肺細胞傷害が生じ,ARDSの原因となると同時に,喀痰クリアランスが低下し,免疫細胞の殺菌力が障害され,肺炎の原因となる.高酸素性肺傷害はPaO2 450mmHg以上,またはFiO2>0.6で特に生じやすい.

■また,肺胞に必要以上の高濃度の酸素が投与されると,肺胞内酸素が急激に吸収されることで肺胞が虚脱したり,肺サーファクタントの減少が生じることによる気道閉塞が起こりやすくなり,吸収性無気肺が生じて,酸素濃度が低下する[9,10].このような肺胞虚脱はずり応力(shear stress)[11]による肺傷害(atelectrauma)から炎症を惹起してARDS悪化の要因となる[12].このため,人工呼吸管理で高濃度酸素が必要な状態では同時に高いPEEPが必要となる[13]

■他にも,急性心筋梗塞に対する酸素投与による高酸素血症は冠動脈血流量を7.9-28.9% 有意に減少させるとする報告もある[14]

■高酸素血症が実際に臨床アウトカムにどの程度影響を与えるかについては,近年,死亡率を増加させるという報告が重症患者,特に心筋梗塞,心肺蘇生後,脳外傷の患者においていくつも報告があり,そのうちのいくつかは低酸素血症よりも予後が悪いことを報告している[15-21].これらのことからも,高酸素血症はできる限り回避すべきである.

■では,高酸素血症はSpO2ではどの程度か.以下はSpO2とPaO2の関係を表す酸素解離曲線である.
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■教科書の中には,SpO2 100%=PaO2 100mmHgであるかのようなグラフを掲載しているものもあるが,これは大間違いであり注意されたい.実際の酸素解離曲線はSpO2 98%程度でPaO2 100mmHgとなり,酸素投与患者におけるSpO2 98-100%はPaO2では100-500mmHgほどの幅がある.よって,SpO2が98%程度以上であれば,投与酸素量は積極的に下げていくべきである.
※看護指示で酸素投与量を「SpO2>97%維持」といった書き方は避けるべきである.
※原則として酸素投与下でSpO2 100%が許容されるのは緊急挿管時のみである.


3.酸素投与患者・人工呼吸器患者・COPD患者での目標SpO2は?

■前述の通り,高酸素血症を避ける上でも目安としてSpO2上限は少なくとも97%以下にとどめておくべきであり,98%以上であれば酸素投与量を下げるべきである.

■人工呼吸器患者においては,より低いSpO2での管理でよいと考えられているが,明確なコントロール域の検討はなされていない[22].実臨床ではSpO2>98%の時間が長い患者が多いなど,過剰な酸素投与が頻繁に行われている実態も観察研究として報告されている[23,24].近年のSuzukiら[25]の予備前後比較研究では90-92%での管理でも問題はなかったと報告されており,また,ICUスタッフへのアンケート[26]では90-92%での管理プロトコルは容易であったとの回答が9割以上であった.この管理域がbestであるかについて今後予備RCTが組まれる予定である.

■COPD患者においては酸素投与でCO2ナルコーシスが生じるリスクがある.しかし,臨床現場では「COPDだから一定以上の酸素量を投与してはならない」という誤解がよくあり,中には看護指示で「酸素は最大5L/分まで.改善なければドクターコール」としている医師もみかける.しかし,COPD患者では血中酸素濃度が上昇しすぎることが問題であり,呼吸不全に陥っている場合は酸素投与を躊躇してはならず,酸素投与量よりもSpO2を見て判断すべきである.

■Austinら[27]は,COPD急性増悪患者の救急搬送時にSpO2 88-92%管理群と酸素8-10L/分投与群を比較した405例RCTを行い,SpO2管理群の方が死亡率が有意に低かった(2% vs 9%; RR 0.42; 95%CI 0.20-0.89; p=0.02).Plantら[28]は,COPD急性増悪患者でPaO2>75mmHgの患者の多くが呼吸性アシドーシスを示しており,低酸素血症と呼吸性アシドーシスを回避するためにはSpO2を92%以下にコントロールすべきとしている.GOLDのガイドライン[29]においても,COPD急性増悪に対してはSpO2 88-92%を推奨している.

4.終末期患者の呼吸困難の緩和ケアにおけるSpO2と酸素投与

■緩和ケアを受ける終末期患者において,低酸素を呈する器質的病変がなく,SpO2が正常範囲であるにもかかわらず呼吸困難症状を訴えることは多く,SpO2と患者の呼吸症状が乖離することはしばしば経験される.当然ながらSpO2が正常という理由をもって何もしないのは論外である.

■このような患者における主な治療選択はオピオイドということになるが,酸素はどうすべきか.低酸素血症のない患者において酸素投与は高酸素血症を招くため有害となりうることは前述の通りであるが,このような患者においては酸素投与はすべきであろうか.一般的には癌患者の疼痛管理でプラセボは使うべきではないとされるが,呼吸困難症状に対しては明らかではなく,酸素投与で安心する患者がいることも事実である.また,終末期患者において求めるべきアウトカムは生命予後とは限らないことも考慮しなければならない.

■終末期患者において呼吸困難に対する緩和ケアは癌患者での報告がほとんどである(ただし,ICU多臓器不全患者,肺線維症,慢性心不全,COPD,肝硬変などの終末期患者においても推奨されるべきエビデンスと思われる).低酸素血症のない癌患者における酸素投与を検討した研究は複数のRCT[30-33]とシステマティックレビュー[34,35]があるが,これらでは酸素投与は呼吸困難症状を緩和しないと報告している.Abernethyら[33]のRCTは最も多いN数を有し,かつ最も新しい研究である.この研究は豪州,米国,英国の9施設で,余命いくばくもなく,死前期呼吸困難がみられ,PaO2が7.3kPa(≒54mmHg)以上の患者239例において,鼻カニューレでの酸素投与群120例と室内気投与群119例を比較している.呼吸困難改善度は両群間で有意差がなく,終末期の呼吸困難患者において,鼻カニューレでの酸素投与は何ら患者に症状緩和の利益をもたらさないと結論づけている.

■ただし,各群での呼吸困難症状改善度はいずれも施行によって有意な改善を得ており,全く何もしないよりは鼻カヌラをつけて室内気を流すだけでも効果は得られるとも考えられる(プラセボ効果ではあるが).室内気で流せないのであれば0.5L等の少量投与も検討してもよいかもしれず,最終的には個々の患者でその効果を評価しながら決定すべきであろう.基本原則として,このような終末期患者においてはSpO2の目標値を定めるよりも患者の快適性を求めるべきである[36]

■また,癌終末期患者の呼吸困難症状では,肺の状態(たとえば癌性リンパ管症)によってはNPPVが有効であるとの報告もあり[37,38],米国では推奨されている.ただし,このような患者がCO2ナルコーシスを呈していた場合にも使用すべきかについてはいまだ不明である[39](CO2ナルコーシス患者が呼吸困難による苦痛を感じているかは不明確である).

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by DrMagicianEARL | 2014-08-05 20:43 | Comments(0)
■2014年7月29日の日経メディカルにこのような記事がでていた.プライマリケアの現場における経験ならではの考え方なのかもしれないが,特に症例集積での検討も提示されているわけではなく,正直な話この処方を参考にされるのはさすがに避けていただきたいと思いここにとりあげた.日経メディカルも,専門家による査読があるわけではないので難しい部分はあるだろうが,せめてガイドラインや薬剤添付文書を確認した上で記事掲載を考えていただきたいものである.
COPDの増悪を防ぐ“かぜ薬セット”
生命を脅かす急性増悪 ステロイドで早く炎症抑える

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201407/537531.html
■ここでとりあげられている症例は69歳のヘビースモーカーでⅢ度のCOPD患者,定期処方薬はアドエア®,スピリーバ®レスピマット,クラリス®(長期低用量マクロライド療法),サルタノールインヘラー®(頓用)である.COPDでは去痰薬が有効であるとしてガイドライン上推奨されているのであるが,定期処方されてはいないようである.ただ,実際の喀痰の評価が書かれていないため必要性の推定は困難ではある.

■それよりも気になるのが増悪時の処方である.
「プレドニン®5mg 6錠分3,PL顆粒® 3g分3,テオドール®100mg 3錠分3,フスコデ配合錠® 9錠分3,クラビット®500mg 1錠」

■プレドニン®の処方は妥当であるが,問題はそれ以外の処方である.簡単に言うと,COPD急性増悪病態への有効性が疑問であるばかりか有害事象リスク,薬物相互作用のオンパレードである.理由を以下に述べる.

■PL顆粒®はいわゆる風邪薬であり,はたしてそもそも風邪に有効なのかは疑わしい部分もあるが,これが仮に風邪に有効であったとしても本症例では使用すべきではない.本患者は抗コリン薬であるスピリーバを使用しており,PLと併用すると抗コリン薬の作用が増強され,副作用リスクが高まる.本患者で心疾患の評価がなされたかは不明であるが,死亡率上昇が指摘[1-3]されたスピリーバ®レスピマットは心血管リスクを有する患者においてはまだ安全とは言い難い状態にあり(TIOSPIR study[4]は心血管リスクを有さない患者も含まれているため評価できない),抗コリン薬の作用を増強するような薬剤は避けるべきである.なお,ガイドラインにはPLの記載はどこにもない.

■テオドール®などのいわゆるメチルキサンチンは,入院率,入院期間,自覚症状を改善させる結果は得られず,有効域と有害域が近いため嘔気,嘔吐の副作用も多く[5],COPD急性増悪においては日本呼吸器学会[6],GOLD[7],NICE[8],ATS/ERS[9],豪州[10],カナダ[11]のすべてのガイドラインで第一選択で推奨はされていない.有害性を考慮すれば,使用するとすれば他の気管支拡張薬に対する効果が乏しいときのみ静注で使用とされており,基本的には使用すべきでないという意見の方が多いようである[12].また,本患者では普段からテオドールを使用しておらず,急性増悪時に有効性を得ようとするならば静注によるローディングが必要となるため,テオドール®100mgの3錠分3の内服に効果があるのかは疑問である.さらに,本患者はマクロライド系抗菌薬のクラリス®を定期内服しており,おまけにニューキノロン系抗菌薬クラビット®も処方されている.これらの抗菌薬併用によりテオドールの血中濃度が予期せぬレベルに上がるリスクもあり,クラビット®の痙攣リスクも上昇する.以上から本患者においてはテオドール®を使用するメリットが少ないばかりか有害性が上回るリスクをはらんでいる.

■フスコデ®は鎮咳去痰配合剤であり,ジヒドロコデインリン酸塩を含む.COPD患者に対してはRCTで効果が既に否定されている.併用により抗コリン薬スピリーバ®の血中濃度が上昇するリスクがあり,また,COPD急性増悪に鎮静・呼吸抑制作用を有する薬剤は避けるべきであろう.急性増悪にルーティンで本剤を処方する必要性は疑問である(なお気管支喘息発作に対しては禁忌である).

■クラビット®も本患者においては推奨できない.本患者はCOPDであり,気道クリアランスが低下しているため,下気道に菌が定着しやすく[13],結核発生リスクが2.5-24.9倍[14,15]まで増加することが報告されている.加えて吸入ステロイド(アドエア®に含まれる)を定期吸入しており,Dongら[16]の25報22898例のメタ解析ではCOPD患者のステロイド吸入により結核のリスクが2.29倍増加することが報告されている.

■クラビット®をはじめとするキノロン系抗菌薬は結核菌に対する抗菌活性を有しており,肺結核ではキノロン投与により3日前後で65.8-83%で臨床症状が軽快してしまい[17,18],その後耐性化して再増悪する.結核診断前のキノロン暴露では上記一時的症状改善のみならず喀痰中結核検査の陽性率が73%低下する[19]などで診断が遅れ,最終的に結核治療開始は入院から21-34日後まで遅れる[17,20](キノロン非曝露群では入院から平均で5日後に治療が開始される).結核菌の分裂増殖は遅く,最適環境下でも10-15時間に1回程度である.しかし,この速度で増殖しても19日後には10^9個という致死的菌量に達しうる.治療開始がもし21-34日間遅れればどうなるかは想像するにたやすく,実際に結核診断前のキノロン曝露により死亡リスクは1.8-6.9倍に増加すると報告されている[17,21]

■なお,結核は胸部X線,ときにはCT撮影であっても除外できない.「上肺野の空洞陰影を伴う肺炎像」という教科書的な典型的像をとらないこともしばしばあるからであり,呼吸器内科医といえども画像だけでは判断に迷うことも多い.肺結核において上肺野に病変を認めるのは,免疫正常者では68.1%であり,免疫不全者に至っては38.4%に過ぎない[22]

※プライマリケアの場において結核を考慮せずに安易なキノロン系抗菌薬投与が行われた結果,再増悪して入院し,喀痰からの検出が遅れ,最終的に死亡に至る症例を経験した医師は少なくないだろう.同時に院内感染対策上も非常に問題となる.一般的にキノロン系抗菌薬が呼吸器感染症で第一選択として使用する必要性はむしろ低く,増悪時に患者に服用させるためにあらかじめ持たせておくという方法は決して行うべきではない.

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by DrMagicianEARL | 2014-07-29 21:53 | Comments(0)
■1月末に小保方ら[1,2]によるSTAP細胞(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cell;刺激惹起性多能性獲得細胞)に関する研究結果がNature誌に報告された.ノーベル賞間違いなしと言われ,大々的ニュースとして日本のみならず世界でも報道がなされたが,2月中旬からインターネットで次々と論文不正疑いが指摘され事態は一転,共同研究者が論文撤回を呼びかけることになり,4月1日に理化学研究所(以下,理研)が最終調査報告として,論文不正を認定するに至った.これに対し,小保方氏はこの認定を不服として申し立てを弁護士を通じて4月8日に行い,4月9日に記者会見を行っている.

1.STAP細胞論文で指摘された不正疑惑

■小保方らのSTAP細胞論文については,Guo Jianliらの論文からの文章の剽窃や,Robert Blellochらの論文からの文章剽窃が指摘されているが,それ以上に,画像において疑義がでていることから捏造の疑いがもたれている.

■まず,この研究では生後1週マウスの脾臓由来のTリンパ球を用いており,TCR再構成をもって初期化を証明するものであったが,それを示すDNA電気泳動写真のレーン3の部分に切り貼りを行った形跡があり,GLバンドないことが指摘された.その後の理研のプロトコル発表ではTCR再構成がなくともSTAP細胞と呼んでよいという定義に変わっており,初期化ではなく単に元からあった幹細胞を選択(スクリーニング)しただけの可能性がある(そうであれば生後1週マウスでなければ成功しにくいことも納得がいくため,limitationが致命傷となりうる).これによりそもそもの「初期化あってこその大発見」という意義が失われてしまう.

■さらに3月9日に小保方博士の博士論文に使われた画像がSTAP細胞論文の画像と酷似していることが発見され,流用の疑いがもたれている.具体的には,博士論文の骨髄sphere由来のテラトーマ/Mesoderm免疫染色画像とSTAP細胞由来のテラトーマ/Mesoderm免疫染色画像が同一写真ではないかと指摘されている.この部分はSTAP細胞の多能性を示す重要な部分となるが,この2つの論文の研究はまったく関係がないものであり,もし画像流用であれば多能性すら示せておらず,捏造が確定ということになる.

■理研の最終調査報告では,DNA電気泳動写真の切り貼りを「改竄」,博士論文からの画像流用を「捏造」と認定した.これにより,STAP細胞の根幹となる初期化,多能性のいずれもが不正によって示されたものと認定されたことになる.

■さらに,共同研究者の若山照彦山梨大学教授は,特殊な処理をして凍結保存していたSTAP細胞2株で,若山教授がどんなマウスからでも作製が可能か調べるため,小保方氏に論文の実験で使ったのとは異なる129系統という種類のマウスを手渡し,作製を依頼した.小保方氏はシャーレの中で129系統のマウスの細胞を刺激したところ,状態のよいSTAP細胞の塊が2つ出来たとして若山教授に渡している.しかし,一連の問題を受けてこの2株の細胞の遺伝子を調べると,細胞は129系統のマウスのものではなく,いずれもこの実験には使っていないはずのB6とF1という2種類のマウスのものだったことが判明している.このことから,現時点では断定はできないが,STAP細胞ではなくES細胞が使われていたのではないかという疑惑がもたれている.記者会見では小保方博士は「ES細胞が混入するような環境ではなかった」と答えているが,マウスが異なることについてはまったく弁明できていない.

■また,STAP幹細胞の作成はオスのマウスのみであったはずだが,論文にはメスも記述されており,矛盾が指摘されている.

■なお,小保方氏の過去の論文においても多数の実験画像において不適切な文章剽窃,データ処理・加工・流用が疑われている状況にある.

2.STAP現象とSTAP細胞の混同

■今回の論文において重要なキーとなるのはSTAP現象である.STAP"現象"とは,何らかの刺激を与えられた細胞が多能性をもつことであり,STAP"細胞"とは多能性をもった細胞のことである.一般市民の間ではこのSTAP現象とSTAP細胞は非常に混同されて勘違いされているようで,マスコミも間違えて報道していることがある.

■STAP現象の確認,すなわち刺激を受けた細胞が多能性を有するかの確認のひとつにOct4とよばれる蛋白を確認する方法がある.Oct4とは幹細胞の自己複製と密接に関連している蛋白質であり,この蛋白が作られると同時に緑色傾向蛋白質のGFP(Green Fluorescent Protein)も作られるように遺伝子操作を行うことで,Oct4の発現を緑色の光として視覚的に確認することができる.

■しかし,Oct4はその細胞が死ぬ寸前にも発現する.これはOct4がアポトーシス(プログラム細胞死)を抑制する作用があるため,細胞死が生じる直前に発現してくるためである.よって,Oct4発現をもって多能性を確認した,と断定することはできない.実際に,複数の研究者が追試においてOct4発現(STAP現象)までは確認できているが,細胞が死んでしまっていることからSTAP細胞作成に至っていない.

■小保方氏は記者会見においてSTAP細胞作成に200回以上成功していると述べているが,既に多くの研究者から指摘されている通り,あの研究期間で200回以上作成を行うことは不可能である.しかし,STAP現象確認であれば200回以上というのは納得がいく(実際にはどういう意図で「200回以上」と述べたのかは不明である).

■共同研究者の笹井氏もメディアに対して「STAPは本物の現象だ」と述べているが,これはSTAP現象を指しているのかSTAP細胞を指しているのか分かりにくい.少なくともOct4発現というSTAP現象のみをもって「STAP細胞を作成できた」「STAP細胞は存在する」とは言えない.

3.小保方氏の反論と科学の危機

■4月8日に小保方氏は不服申し立てを行っているが,この不服申し立てにもいくつもの矛盾点が指摘されている(http://stapcells.blogspot.jp/2014/04/blog-post_9.html).さらに4月9日には小保方氏自らが記者会見を開き,アンケート調査では過半数が小保方氏を支持するという結果であった.記者会見内容は一般市民に対する心象操作が目的だったのだろうか?残念ながらあの記者会見ではSTAP細胞に関する検証は何一つ進展がなく,あの内容に納得した科学者はほぼ皆無であろう.おまけに「自己流」「能力を超えていた」「結果自体が変わらないので,影響を及ぼすとまでは考えていなかった.結果が正しく提示されていれば問題ないと考えていた」など驚愕の発言も次々と飛び出した.

■現時点でいかに小保方氏が「STAP細胞は存在する」「STAP細胞は何度も確認された真実」と口で述べても,存在することを証明できていない限りは「STAP細胞が存在する」とは言えないのが科学の原則であり,存在の証拠も再現確認も提示されてない以上はSTAP細胞の存在は現時点では仮説に過ぎない.また,小保方氏自身が,STAP現象,すなわちOct4発現が見られたことをもってSTAP細胞が作られたと考えているのかはいまだに不明である.もしそうなのであれば,単に死ぬ間際の細胞のOct4発現ばかりを確認していた可能性もある.

※科学者でない方が「『STAP細胞は存在しない』ことが証明されていないんだからSTAP細胞の存在は否定できないはずだ」という主張をされているのをネットでよく見かけるが,まずは存在を示さない限りは存在しないという反証もできない.悪魔の証明は科学の世界では通用せず,それがまかり通るのはむしろ宗教であろう.

■小保方氏の不服申し立てと記者会見は「悪意有無」を争点としている.しかし,実際には悪意有無や単なるミスであるかなど関係はなく,STAP細胞が存在するのかについての検証が優先されるべきであり,STAP細胞を本当に作れていたならばそれですべて解決する.「STAP現象が論文の体裁上の不備によって否定されるのではなく,科学的な実証,反証を経て研究が進んでいくことを心より願っております」と述べるならば,悪意有無を争点とすることには矛盾を感じざるを得ない.真実を明らかにすべき小保方氏が自ら真実を遠ざけているかのようである.

■現状況は日本の科学の危機的状態と指摘する科学者も少なくない.ある科学者がネットでこうつぶやいている.「魔女裁判の危機にあるのは小保方さんじゃなくて,あの会見に納得した層に裁かれる研究者の方.科学の言葉は通じず見せかけの感情が優先すれば,僕らは簡単に火炙りに合う存在」.実際に,記者会見を終えての一般市民と科学者の間には受け止め方に大きな乖離が生じている.ノバルティスファーマ社のディオバン不正論文事件のときの一般市民の反応は何だったのであろうか?一般市民の誤解した認識と感情論が科学を逆に追い詰め,真実が闇に葬られることがあってはならない.弁護士が介入し,悪意有無を争点として舞台が法廷に移ってもSTAP細胞問題は何ら解決せず,事態が泥沼化するのみである.このままでは多くの科学者達も小保方氏の主張に納得はしないだろう.科学者として生き残る道を自ら閉ざそうとしているように見えてならない.

[1] Obokata H, Wakayama T, Sasai Y, et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 2014; 505: 641-7
[2] Obokata H,Sasai Y, Niwa H, et al. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Nature 2014; 505: 676-80
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by DrMagicianEARL | 2014-04-12 16:16 | Comments(0)
■青木眞先生が「市中病院で見る世界の感染症セミナー」中止のお知らせをされていたので何事かと思い詳細を見てみると,原因は薬事日報3月4日の記事だった.リンクを見たらすぐ分かるので製薬メーカー名はもう伏せません.以下引用.抗菌薬適正使用を行っている先生方はこれを見ておそらくは頭にアラートが鳴るのではないだろうか?
【塩野義製薬】最も強い薬剤を短期投与‐抗菌薬適正使用でセミナー
http://www.yakuji.co.jp/entry35009.html

 塩野義製薬は2月26日,「グローバルにおける感染症治療」をテーマにマスコミ向けセミナーを開催し,竹安正顕海外事業本部長が,世界の感染症を取り巻く現況と治療薬の適正使用に対する同社の取り組みを語り,抗菌薬のグローバルスタンダードについて,「最も抗菌力の強い薬剤の短期間使用を地道に行うことにある」と強調した

 竹安氏は,日本では少ないカルバペネム耐性菌が米国や世界で問題になっている原因について、「日本は,最も抗菌力の強いカルバペネム抗菌薬を最初に短期間用いてきたが,米国や中国等では他の薬剤を先に使って同剤を最後に取っておく投与法を採用してきたことにある」と分析.抗菌薬療法のグローバルスタンダードは,「各病院ごとに出現する分離菌の状況,抗菌薬の感受性に従い,最も抗菌力の強い薬剤の短期間使用を地道に行うことにある」と提言した.
■塩野義製薬といえば,インフルエンザ啓蒙CM/サイトで多数の医療関係者から猛批判を浴びた(ついでに言えば「痛みはうつ」のCMも)ばかりだが,そこにきての今回のこのニュース.メーカー広報部はさすがに度が過ぎるのではないか.というわけで反論を書いておくべきと考えた.

※インフルエンザ啓蒙CM/サイト問題についてはこちら→http://drmagician.exblog.jp/21562162/

■セミナーの詳細までは掲載されていないが,「最も抗菌力の強い薬剤の短期間使用を地道に行うことにある」という台詞には違和感を感じる.好意的にとらえるなら,「その患者の状態に合って,推定病原菌に抗菌力を有する抗菌薬を(十分量)を用いて短期間で使用する」という意味で,一般人(ここではマスコミ関係者)向けに分かりやすく説明したのであれば問題はないが,そもそも「最も抗菌力の強い薬剤」という表現の時点で,感染症診療に理解があまりないのでは?と思われるし,後半でカルバペネムについて「最も強い抗菌薬」と言及している.

■基本的に抗菌薬を強い弱いという指標に分類するのは間違いである.たとえばメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に対してはセファゾリンがよく用いられるが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であれば当然効かず,バンコマイシンが有効となる.ではバンコマイシンはセファゾリンより強いかというとそういうわけではない.セファゾリンが有効か無効かは黄色ブドウ球菌側の耐性遺伝子の有無で決まっているのであり,セファゾリンの方がバンコマイシンよりもMSSAに対する抗菌活性が強い.このように,病原菌ごとに,さらには感染臓器ごとに得意とする抗菌薬は変わりうるため,一般化して「この抗菌薬は強い」という表現は不適切となる.

■となれば,この発言の意図するところは,「感染症治療の中核となるβラクタム系抗菌薬の中でも最も広域スペクトラムを有するカルバペネム系を使え」という推奨にしか見えてこないのである.塩野義製薬はカルバペネム系抗菌薬であるドリペネムを販売している以上,メーカーがマスコミ向けに自社製品アピールを暗に含んだ抗菌薬推奨をグローバルスタンダードとして語っていることになり,極めて危険なバイアスといえる.極端に言えば,これによりカルバペネム系抗菌薬を使用していないだけで,それが適切か不適切かに関係なくマスコミが「カルバペネム系を最初に使っていないのは医療ミスでは?」と騒ぎ出す報道を行いかねないわけである.これまでのいわゆる医療崩壊の進展の原因のひとつにマスコミの歪んだ報道が関与していることは紛れもない事実であり,「極端に言えば」と前置きはしたものの,現実的に十分に起こりえる話であると思われる.ましてや抗菌薬メーカーが感染症医療崩壊を誘導するなどあってはならない.インフルエンザのCMの一件といい,メーカーとしての体質を疑わざるを得ない.

1.「日本ではカルバペネム使用量が多いから耐性菌が少ない」は正しいか?

■日本では少ないカルバペネム耐性菌が米国や世界で問題になっている原因を「海外ではカルバペネムを最初に使用しないから」としたのはおそらくカルバペネム消費量のみで見た結果であろう(このような主張をされる方々はほとんどが消費量のみでしか考察していないのをよく見かける).しかし,各国の背景の違いを考慮せずに消費量の比較で判断することは誤った結論を導きかねず注意が必要である.また,抗菌薬消費量が増えれば耐性率が増す例がいくらでも存在することは,ペニシリン実用化からわずか20年でペニシリン耐性黄色ブドウ球菌が発見され,さらにはMRSAが出現し世界中に伝播してきた歴史が物語っている.

■例えば,バンコマイシンすら効かない腸球菌(VRE)は1989年から米国で急激に増加したが,このときバンコマイシンを使用していなかったからではなくむしろバンコマイシンの消費量は非常に増加していたのである.欧州でも家畜の発育促進物質であるavoparcin(バンコマイシン類似物質)が関与しており,この使用禁止によりVREのヒトからの検出頻度が大きく減少している.日本が他国よりVREが少なかったのはバンコマイシンがMRSAにしか適応がなく,乱用されていなかったためと考えられている.

■「カルバペネムを使用すると耐性菌が増えるする科学的根拠はない」と仰っている先生もおられるようだが根拠は文献として既に報告されている.Carmeliら[1]は,緑膿菌感染症患者271例のコホート研究を行い,緑膿菌の薬剤耐性増加リスクが,セフタジジム(CAZ)で0.8倍,ピペラシリン(PIPC)で5.2倍,シプロフロキサシン(CPFX)で9.2倍であったのに対して,カルバペネム系のイミペネム/シラスタチン(IPM/CS)で44.0倍と圧倒的に高かったことを報告している.Owensら[2]も抗菌薬使用と入院期間に関連したグラム陰性桿菌の薬剤耐性獲得率はアンピリシン/スルバクタム,第3世代セフェム,フルオロキノロン系に比してカルバペネム系のIPM/CSが高かった.カルバペネム系抗菌薬は薬剤耐性誘導の危険性が高いことはこのように臨床において既に知られていることである.

2.病原菌の抗菌薬耐性獲得はしばしば我々の予想を超える

■日本ではまだ耐性菌が少ないから,という油断は禁物である.ペニシリン耐性菌は本剤が臨床で使用されるようになる以前から存在していたことが知られている[3].自然環境においてはペニシリンをはじめとする抗菌物質を菌が産生することにより自分のなわばりのようなものを作ることが知られており,この抗菌物質に曝露される菌は多数存在しており,それらが生き延びるためには抗菌物質に対する耐性を持つ必要があった.すなわち,環境微生物に由来する抗菌性物質には古くから耐性菌が存在することは必然的なことであり,同時に抗菌薬に対する耐性獲得も時間の問題であったことは容易に想像できる.

■これに対し,キノロン系抗菌薬は自然界には存在しない化合物であったため[4],本剤耐性菌株が出現する可能性は低いと考えられていたが,この抗菌薬に対しても耐性菌が出現し,その頻度は上昇傾向にある[5].耐性化の速度は医師の想像の範疇を大きく越えるものであることを認識しておかなければならず,そのための抗菌薬適正使用でもある.ほとんどの抗菌薬が奏功しないNDM-1,KPC,MBLといった菌株の出現をカルバペネム系抗菌薬開発時に誰が想像しただろうか?当時は,「強力な抗菌薬が開発されたので,細菌感染症は撲滅できる」とまで主張した人もいたくらい楽観的予測だったのである.

3.カルバペネムをいつ使用するのか?

■私自身カルバペネム系を使用することはある.耐性菌が原因菌の可能性のある重症敗血症では選択肢に十分入ってくるし,原因菌不明の段階での壊死性筋膜炎でも使用を推奨する.一方で,「最初にカルバペネム系のような広域スペクトラムの抗菌薬を投与して,原因菌判明後にde-escalationする」という理論も見直す時期にきている.

■肺炎領域においては,初期抗菌薬治療は予後に関連しない,むしろ宿主の状態が予後に関連するという報告が多数でてきており[6-12],さらに広域カバーからのde-escalation戦略によって逆に予後が悪化したとする報告もある[13,14].重症感染症患者においてde-escalation戦略が予後を改善したとする報告は現時点では小規模のコホート研究しかなく[15-18],RCTは報告がない[19].以上から,de-escalationを行うなら初期はとりあえず広域カバーでもOK,という単純な話ではなくなってきているのが近年のエビデンスから分かる.耐性菌推定は大事ではあるが,より大事な抗菌薬選択因子は患者の状態評価であり,これをもって抗菌薬を選択すべきである.

■日本のカルバペネム使用量の多さが,真にカルバペネム必要度を反映しているのであればよいが,実際はそうではなく,不適切使用が非常に多いことは日本中のICTが感じていることだろう.医療現場で使用されている抗菌薬の半数は不必要あるいは不適切であるとされており[20],今後も耐性化を抑えていくためにも,抗菌薬適正使用は必要であり[21],ICT(感染制御チーム)や感染症専門医と協力して,有効かつ耐性菌を作らない抗菌薬適正使用が望まれる.同時に,カルバペネム系は他の抗菌薬に比してコストが高く,副作用リスクも高い部類に入るため,耐性菌以外の問題もかかえている抗菌薬である.

■このような中にあって日本の耐性菌の事情は現時点では海外よりは悪くない.MRSA分離率は近年低下傾向にあり,市中感染型MRSAの流行もまだわずかであり,VREやNDM-1なども数えられる程度しか検出されていない.カルバペネムに耐性化した大腸菌や肺炎桿菌を見ることもまずない.アシネトバクターのカルバペネム耐性化率を見ると,米国50%,欧州15%,サウジアラビア90%,インド17%,タイ75%,シンガポール46%,韓国70%,中国80-90%であるのに対し,日本は2%である.島国たる日本は1990年代から急速に発展した感染対策と感染症診療により耐性化を抑え,いい意味でガラパゴス化した感染制御を歩んできており[22],この現状を悪化させてはならない.一度耐性菌が増加し始めれば,菌株によっては日本全土に広がるのに数年で十分であろう.これは近年急激にカルバペネム耐性アシネトバクターが増加した韓国がいい例であるし,ESBL産生菌も2007年頃から瞬く間に日本全国に広がった.

■塩野義製薬には感染症治療薬を販売してきたメーカーであるならば,このようなミスリードを招きかねないアピールは自粛していただきたいところである.

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by DrMagicianEARL | 2014-03-08 17:23 | Comments(0)

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