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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:文献( 64 )

■私は普段から口酸っぱく「高酸素血症は(挿管処置時をのぞく)一利なしどころか有害,SpO2が98%以上なら投与酸素量はすみやかに下げるべき」と言っています.医療従事者は低酸素血症には敏感ですが,高酸素血症は放置してしまうことが多々あり,その根底には,高酸素血症は有害でないという勘違い,SpO2 98%以上はPaO2 100-500mmHgに相当することが周知されていない,SpO2が高いときにモニターアラームが鳴るような設定がほとんどされていない,ということが挙げられると思います.

■高酸素血症のデメリットは何かと聞くと,多くの人は高炭酸ガス血症による呼吸性アシドーシス,さらにはCO2ナルコーシスを挙げると思いますが,それ以外のデメリットを挙げられますか?これまで分かっている知見では,肺胞内酸素が急激に吸収されることによる肺胞虚脱,肺サーファクタントの減少が生じることによる気道閉塞,吸収性無気肺,さらにはこれらの影響によるずり応力(shear stress)による肺傷害(atelectrauma)から炎症を惹起してARDS悪化の要因となりえます.また,気管支繊毛が不全状態となり気道クリアランスが低下することによる感染リスク増大,急性心筋梗塞における冠血流量低下や梗塞範囲増加などがあります.実際,観察研究では高酸素血症で死亡率が増加している報告が救急集中治療領域でいくつも報告されており,そのうちのいくつかは低酸素血症よりも死亡率が高くなっています.

■今回御紹介するRCT,Oxygen-ICU trialは高酸素血症を回避する酸素療法プロトコル(SpO2 94-98%に管理)と,高酸素血症を許容する従来の酸素療法(SpO2 98-100%,上限PaO2 150mmHg)を比較したところ,高酸素を回避した方が死亡リスクが43%有意に低下したという結果(NNT 11.6)となり,これまでの観察研究結果を指示する結果となりました.ちなみに私はICU患者に対しては本研究の高酸素回避プロトコルよりもさらに低いSpO2(目標値88-92%)で管理しています.

■なお,高酸素血症の有害性等は以下の記事にまとめておりますのでご参照ください.
SpO2の落とし穴 ~酸素投与患者の「SpO2 99%」を見て安心してませんか?~
http://drmagician.exblog.jp/22262792/
集中治療室の患者の死亡率における保守的vs従来型酸素療法の効果:Oxygen-ICU無作為化比較試験
Girardis M, Busani S, Damiani E, et al. Effect of Conservative vs Conventional Oxygen Therapy on Mortality Among Patients in an Intensive Care Unit: The Oxygen-ICU Randomized Clinical Trial. JAMA 2016, Oct.5 [Epub ahead-of-print]

Abstract
【背 景】
不必要な酸素療法による潜在的有害性が示唆されているにもかかわらず,重症疾患患者は相当な期間高酸素血症状態となっている.動脈血酸素化のコントロール戦略は合理的ではあるが,臨床においては評価されていない.

【目 的】
酸素投与の保守的プロトコルは集中治療室(ICU)に入室した患者の予後を改善しうるかを評価する.

【方 法】
Oxygen-ICU試験は2010年3月から2012年10月までに,イタリアのモデナ大学病院の内科外科ICUに72時間以上入室することが予測された全患者を登録して行われた単施設オープンラベル無作為化臨床試験である.原案でのサンプルサイズは660例であったが,480例を登録した後,登録が困難との判断で早期中止となった.

【介 入】
患者は,PaO2を70-100mmHgまたは動脈血酸素飽和度SpO2を94-98%に維持するように酸素療法を受ける群(保守群)と,標準的ICUに沿ってPaO2を150mmHgまでまたはSpO2を97-100%まで許容する群(従来群)に無作為に割り付けられた.主要評価項目はICU死亡率とした.副次評価項目は,ICU入室から48時間以上後の新規の臓器不全と感染症の発生率とした.

【結 果】
計434例(年齢中央値64歳,188[43.3%]が女性)が,保守的(218例)または従来的(216例)の酸素療法を受け,修正intent-to-treat解析に登録された.ICU在室中の毎日の時間加重平均PaO2は,保守群(PaO2中央値87mmHg [四分位範囲79-97])よりも従来群(PaO2中央値102mmHg [四分位範囲88-116])の方が有意に高かった(p<0.001).ICU在室中に,保守的酸素療法群で25例(11.6%),従来型酸素療法群は44例(20.2%)が死亡した(絶対リスク減少[ARR] 0.086 [95%CI 0.017-0.150]; 相対リスク[RR] 0.57 [95%CI 0.37-0.90]; p=0.01).新規のショックエピソード(ARR 0.068 [95%CI 0.020-0.120]; RR 0.35 [95%CI 0.16-0.75]; p=0.006),肝不全(ARR 0.046 [95%CI 0.008-0.088]; RR 0.29 [95%CI 0.10-0.82]; P =0.02),新規の血流感染(ARR 0.05 [95%CI 0.00-0.09]; RR 0.50 [95%CI 0.25-0.998; P =0.049)の発生率はは保守的酸素療法群の方が低かった.

【結 論】
72時間以上ICUに在室する重症疾患患者において,保守的酸素療法プロトコルは従来型治療と比較して低いICU死亡率であった.これらの予備的知見は計画されていなかった試験の早期中止に基づいており,本アプローチの潜在的利益の評価のためにはより大規模の多施設試験が必要である.

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by DrMagicianEARL | 2016-10-17 00:00 | 文献 | Comments(1)
■ICUにおけるストレス潰瘍予防でPPIがよく使用されていますが,その適用範囲はあまり周知されていません.ガイドラインとしては17年前のものになりますが,American Society of Health-System Pharmacists(ASHP)からストレス潰瘍予防のガイドライン(Am J Health Syst Pharm 1999; 56: 347-79)が発表されており,ICU患者でのストレス潰瘍予防介入の適応基準(成人)が定められています.その後,各種RCTのメタ解析が行われ,PPIがH2RAよりもストレス潰瘍を予防するためPPIが推奨されるようになりましたが,このメタ解析においては,includeされたRCTはどれも有意差が出せていません.加えて,これらのRCTのほとんどは2000年以前のものであり,出血リスクが5%程度であるのに対し,2000年以降のストレス潰瘍による出血リスクは複数の観察研究で1%以下と報告されています.すなわち,集中治療の進歩とともにストレス潰瘍自体がかなり減少しており,現在では胃酸抑制薬の益は乏しくなり,むしろ肺炎やCDIといった感染症のリスクが問題となっています.それもあってか,敗血症でもSSCG 2008では積極推奨だったストレス潰瘍予防薬投与はSSCG 2012ではトーンダウンし,適用は出血リスクがない患者には投与すべきでないという推奨に変わりました.

■集中治療の進歩に伴ってストレス潰瘍出血率が低下してきた背景には早期経腸栄養の普及が関連していると言われています.実際,経腸栄養時にストレス潰瘍予防が必要かについては,経腸栄養を行った方がむしろ消化管出血を抑えるという報告が以前からあります.近年のMarikらのメタ解析(Crit Care Med 2010; 38: 2222-8)では,H2RAの消化管出血予防効果は全体では認められるが,経腸栄養を施行した患者に限定したサブ解析ではH2RA投与有無で消化管出血リスクに影響はなく,経腸栄養そのものが上部消化管出血を予防する可能性を示唆する結果となっています.

■これは,経腸栄養によってプロスタグランジン分泌と消化管血流が改善する,胃内pHが経腸栄養によって希釈され上昇する,ストレス起因性の迷走神経刺激伝達系を経腸栄養が抑制することなどが理由と考えられています.さらに,H2RAは全体では肺炎,死亡率を増加させなかったが,経腸栄養患者ではH2RAを投与した方が肺炎や死亡率が増加しています.以上から,経腸栄養はストレス潰瘍に対する予防効果があり,経腸栄養施行患者へのストレス潰瘍予防薬投与は合併症リスクが増加する可能性があることを考慮すると必要性は低いかもしれない,ということが言われるようになりました.

■今回紹介する論文はまさに早期経腸栄養患者でのPPIの必要性可否を問うものです.結果は,PPI群・プラセボ群いずれも臨床的に意義のある出血はゼロ,その他あらゆるアウトカムに有意差なしという結果.サンプル数が少ないですが,前述の流れも考慮すれば予想された結果ではあり,少なくともPPIをルーチンで使用する必要はないのかなという印象です.使用するにしてもASHPガイドラインの適用範囲を超えて使用する必要性はないと思われます.
ストレス潰瘍予防におけるパントプラゾールとプラセボ(POP-UP):無作為化二重盲検探索比較試験
Pantoprazole or Placebo for Stress Ulcer Prophylaxis (POP-UP): Randomized Double-Blind Exploratory Study. Crit Care Med 2016; 44: 1842–50

Abstract
【目 的】
パントプラゾールは消化管出血の予防として重症患者に頻回に投与されている.しかし,プラセボとの比較は不適切に評価されており,パントプラゾールは潜在的な有害を有する.我々の目的は,パントプラゾール投与の益と害を評価することである.

【方 法】
本研究は前向き二重盲検無作為化並行群間比較試験である.研究は大学病院の内科外科混合ICUで行った.患者は経腸栄養が適用となった人工呼吸器を装着した重症疾患患者である.我々は患者を毎日プラセボ静注群とパントプラゾール静注群に無作為に割り付けた.主要評価項目は臨床的に意義のある消化管出血,感染による人工呼吸器関連合併症もしくは肺炎,Clostridium difficile感染症とした.副次評価項目は明らかな出血,ヘモグロビン濃度,死亡率とした.

【結 果】
無作為化された214例の患者のうち,臨床的に意義のある消化管出血エピソードを有した患者はいなかった.3例(プラセボ群1例 vs パントプラゾール群2例)の患者は感染による人工呼吸器関連合併症または肺炎の基準を満たし,1例(0例 vs 1例)がClostridium difficile感染症と診断された.パントプラゾールの投与は明らかな出血率(6例 vs 3例; p=0.50),赤血球輸血施行で調整した毎日のヘモグロビン濃度(p=0.66)においていかなる差も認められなかった.死亡率は両群間で同等であった(log-rank検定 p=0.33: 調整後のパントプラゾールのハザードリスク 1.68 [95% CI0.97–2.90]; p=0.06).

【結 論】
経腸栄養を受ける人工呼吸器を装着した重症疾患患者に対するパントプラゾールの予防的投与において益と害の根拠は得られなかった.ストレス潰瘍予防のための重症疾患患者への酸抑制薬ルーチン投与のプラクティスについてはさらなる評価が必要である.

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by DrMagicianEARL | 2016-10-14 20:53 | 文献 | Comments(0)
■非心臓手術後のICU患者において,DEX(デクスメデトミジン,商品名プレセデックス®)がせん妄を予防するというRCTがLancetにonline publishされました.これまで,せん妄そのものにはDEXでは対処しきれないもののせん妄予防効果はさまざまな研究があるため,今回は予想された結果ではありますが,データを見ても,NNPは7.1と,予防的治療としてはなかなかすごい数値です.レジメンは,DEXを0.1μg/kg/hrで翌朝8時まで持続投与なので,実臨床でも無理のないやり方ですね.
非心臓手術後の高齢患者におけるせん妄予防としてのデクスメデトミジン:無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
Su X, Meng ZT, Wu XH, et al. Dexmedetomidine for prevention of delirium in elderly patients after non-cardiac surgery: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2016 Aug 16 [Epub ahead of print]
PMID: 27542303

Abstract
【背 景】
65歳以上の患者において,せん妄は頻回に生じる手術後の合併症であり,有害なアウトカムと予測される.我々はα2アドレナリン受容体高選択性アゴニストである低用量デクスメデトミジンの予防的投与が非心臓手術後の高齢患者においてせん妄発生を安全に減じることができるかについて検討した.

【方 法】
我々は中国北京の2つの三次医療病院において,無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った.インフォームドコンセントを得た,非心臓手術後に集中治療室に入室した65歳以上の患者を登録した.コンピューターで集約化した連続的な無作為化(1:1割り付け)を用いて,デクスメデトミジン静脈内投与(手術した日の集中治療室入室時から術後1日目の午前8時まで0.1μg/kg/hr)またはプラセボ(標準的生理食塩水静脈内投与)に無作為に割り付けた.参加者,治療にあたる医療従事者,研究者は,群割り付けをすべてマスクされた.主要評価項目は,手術後7日間で毎日2回ずつのConfusion Assessment Method for intensive care units(CAM-ICU)により評価されたせん妄発生とした.解析は,intention-to-treatと安全性評価の集団で行った.本研究はChinese Clinical Trial Registry, www.chictr.org.cn, number ChiCTR-TRC-10000802に登録された.

【結 果】
2011年8月17日から2013年11月20日までで,2016年に評価された700例が,プラセボ群(350例)またはデクスメデトミジン群(350例)に無作為に割り付けられた.術後せん妄の発生率はプラセボ群(350例中79例[23%])よりもデクスメデトミジン群(350例中32例[9%])の方が有意に低かった(OR 0.35, 95%CI 0.22-0.54; p<0.0001).安全性に関しては,高血圧の発生はデクスメデトミジン群(350例中34例[10%])よりもプラセボ群(350例中62例[18%])の方が有意に高かった(OR 0.50, 95%CI 0.32-0.78; p=0.002).頻脈もデクスメデトミジン群(350例中23例[7%])よりもプラセボ群(350例中48例[14%])の方が有意に高かった(OR 0.44; 95%CI 0.26-0.75; p=0.002).低血圧および徐脈の発生は両群間で差は見られなかった.

【結 論】
非心臓手術後に集中治療室に入室した65歳以上の患者において,予防的な低用量デクスメデトミジンは,手術後7日間のせん妄発生を有意に減少させた.その治療は安全であった.

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by DrMagicianEARL | 2016-08-29 21:12 | 文献 | Comments(0)
■最近の集中治療領域のリハビリテーションはなかなかいい結果がでませんね.今回はJAMA誌にpublishされたRCTですが,標準的リハビリテーション(毎日)は通常ケア(臨床チームが要請した場合のみ平日に理学療法)に比して入院期間,ICU在室日数,人工呼吸期間,その他多くのPICS関連項目に有意差はないという結果でした.ただし,PICS関連項目の結果の95%CIを見るに,標準的リハビリテーションの方がよい傾向はみられており,検出力が300例では足りなかった可能性も否定できません(とはいってもこれらは主要評価項目ではありませんが・・・).
急性呼吸不全患者における標準的リハビリテーションと入院期間:無作為化比較試験
Morris PE, Berry MJ, Files DC, et al. Standardized Rehabilitation and Hospital Length of Stay Among Patients With Acute Respiratory Failure: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016 Jun 28; 315(24): 2694-702
PMID: 27367766

Abstract
【背 景】
集中治療室(ICU)におけるリハビリテーションは急性呼吸不全患者のアウトカムを改善させる可能性がある.

【目 的】
急性呼吸不全において,標準的リハビリテーション(SRT)と通常ICUケアを比較する.

【方 法】
本研究はノースカロライナ州のウェイクフォレスト・バプティスト医療センターにおける単施設無作為化比較試験である.2009年10月から2014年5月までで人工呼吸器を要する急性呼吸不全でICUに入室した成人患者(平均年齢58歳;女性55%)をSRT群(n=150)と通常ケア群(n=150)に無作為化し,6ヶ月間追跡した.SRT群の患者は退院まで,受動的可動域訓練,理学療法,漸増抵抗運動を含む毎日のリハビリテーションを受けた.通常ケア群は,臨床チームから要請があったときにのみ平日に理学療法を受けた.SRT群では,リハビリテーションの中央日数(四分位範囲[IQR])は,受動的可動域訓練が8.0日(5.0-14.0),理学療法が5.0日(3.0-8.0),漸減抵抗運動が3.0日(1.0-5.0)であった.通常ケア群の理学療法の中央日数は1.0日(0.0-8.0)であった.両群とも,ICU退室時,退院時,2ヶ月,4ヶ月,6ヶ月時点で解析者盲検で解析を行った.主要評価項目は入院期間(LOS)とした.副次評価項目は人工呼吸日数,ICU在室日数,簡易身体能力バッテリー(Short Physical Performance Battery;SPPB),メンタルヘルスと身体機能スケールスコアにおける36項目Short-Form Health Surveys(SF-36),Functional Performance Inventory (FPI)スコア,Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア,握力,ハンドヘルドダイナモメーターによる筋力とした.

【結 果】
300例の患者が無作為化され,LOSはSRT群で10日間(IQR 6-17),通常ケア群で10日間(IQR 7-16)であった(中央値差 0日[95%CI -1.5 to 3], p=0.41).人工呼吸期間,ICUケア期間に差は見られなかった.6ヶ月時点での握力(差 2.0kg[95%CI -1.3 to 5.4], p=0.23),ハンドヘルドダイナモメーターによる筋力(差 0.4lb[95%CI -2.9 to 3.7], p=0.05),SF-36身体健康スコア(差 3.4[95%CI -0.02 to 7.0], p=0.05),SF-36メンタルヘルススコア(差 2.4[95%CI -1.2 to 6.0], p=0.19),MMSEスコア(差 0.6[95%CI -0.2 to 1.4], p=0.17)に効果はなかった.6ヶ月時点でのSPPBスコア(差 1.1[95%CI 0.04 to 2.1], p=0.04),SF-36身体機能スケールスコア(差 12.2[95%CI 3.8 to 20.7], p=0.001),FPIスコア(差 0.2[95%CI 0.04 to 0.4], p=0.02)はSRT群でより高いスコアがみられた.

【結 論】
急性呼吸不全で入院した患者において通常ケアと比較してSRTは入院期間を短縮させなかった.

試験登録:clinicaltrials.gov Identifier: NCT00976833.

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by DrMagicianEARL | 2016-07-07 09:34 | 文献 | Comments(0)
職場が東北に変わり,いろいろバタバタしていてブログ更新が滞っておりましたがようやく再開できそうです.再開1発目が宣伝を兼ねていて恐縮ですが,日本静脈経腸栄養学会雑誌の2016年5月号にPost-Intensive Care Syndrome(PICS)の総説とPICSに関連した栄養管理のエビデンスを執筆させていただきました.今回は兵庫医科大学救急・災害医学講座教授の小谷穣治先生による特集企画として,急性期栄養管理のこれからのトピックスや新しい研究等を紹介する内容になっています.
特集 急性期栄養療法 ~新たな展開と近未来像~
日本静脈経腸栄養学会雑誌(JJSPEN) 2016 May; Vol.31(No.3)

プロバイオティクス・プレバイオティクス
清水健太郎,小島将裕,小倉裕司,ほか.静脈経腸栄養 2016; 31: 797-802

重症患者における体組成評価の有用性とその限界
堤 理恵,大藤 純,福永佳容子,ほか.静脈経腸栄養 2016; 31: 803-6

重症患者における連続腸音解析システムの臨床応用
後藤順子,松田兼一,針井則一,ほか.静脈経腸栄養 2016; 31: 807-10

便移植
山田知輝.静脈経腸栄養 2016; 31: 811-6

Post-Intensive Care Syndromeと栄養管理
DrMagicianEARL.静脈経腸栄養 2016; 31: 817-20

急性血液浄化中の栄養療法
中村智之,西田 修.静脈経腸栄養 2016; 31: 821-6

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by DrMagicianEARL | 2016-05-30 16:01 | 文献 | Comments(0)
■院外心停止症例における低体温療法やアドレナリン投与は最近次々とネガティブな結果がでてきていますが,今度はアミオダロン(+リドカイン)ときました.救急隊が投与してますので,病院搬入されてからのケースよりも早く対応されているのですが,それでも生存退院や神経学的予後の改善が示されませんでした.しかも二重盲検RCTです.サブ解析では,目撃のある心停止であれば改善効果はあるようですが,目撃のない心停止では有意差なし.やはりこういうケースでは厳しいですね.
院外心停止におけるアミオダロン,リドカイン,プラセボ
Kudenchuk PJ, Brown SP, Daya M, et al; Resuscitation Outcomes Consortium Investigators. Amiodarone, Lidocaine, or Placebo in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. N Engl J Med. 2016 Apr 4. [Epub ahead of print]
PMID: 27043165

Abstract
【背 景】
電気ショック抵抗性の心室細動や無脈性心室頻拍において抗不整脈薬は一般的に使用されているが,
生存有益性は示されていない.

【方 法】
本無作為化,二重盲検試験において,我々は非外傷性の院外心停止,少なくとも1回の電気ショックおよび血管確保後の電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍を有する成人において,標準的ケアの下で注射のアミオダロン,リドカイン,生食プラセボを比較した.救急隊が10の北米地域において患者を登録した.主要評価項目は退院時の生存,副次評価項目は退院時の良好な神経学的機能とした.per-protocol(主要解析)集団は,適格基準を満たし,任意用量の試験薬投与を受け,心室細動や無脈性心室頻拍の初期の心停止リズムが電気ショックに抵抗性であった,すべて無作為に割り付けられた患者が含まれた.

【結 果】
per-protocol集団において,3026例の患者がアミオダロン(974例),リドカイン(993例),プラセボ(1059例)に無作為に割り付けられ,それぞれの退院時生存率は24.4%,23.7%,21.0%であった.生存率の差は,アミオダロンとプラセボで3.2%(95%CI -0.4 to 7.0; p=0.08),リドカインとプラセボで2.6%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.16),アミオダロンとリドカインで0.7%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.70)であった.退院時の神経学的予後は3群間で同等であった.心停止が目撃されたか否かについて治療効果に不均一性がみられ(p=0.05),バイスタンダーの目撃のある心停止の患者においては抗不整脈薬はプラセボよりも有意に高い生存率に関連していたが,目撃のない心停止では関連していなかった.もっとアミオダロンの投与を受けた患者は,リドカインまたはプラセボの投与を受けた患者よりもより多く一時的心臓ペーシングを必要とした.

【結 論】
電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍による院外心停止患者において,アミオダロンやリドカインは生存率や良好な神経学的予後においてプラセボよりも有意に高い結果とはならなかった.

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by DrMagicianEARL | 2016-04-07 17:47 | 文献 | Comments(0)
東日本大震災の津波による肺炎死・高齢者の障害に関する大規模調査
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■2011年3月11日の東日本大震災から5年が経ちました.21年前の阪神淡路大震災では死者6434名,東日本大震災ではその2倍以上の15894名が亡くなっています.阪神淡路大震災では家屋倒壊と火災による被害が主で,その後の耐震強化等の防災策が日本各地でとられ,その後の数多くの地震でも被害がおさえられてきました.しかしながら東日本大震災では津波による被害が甚大でした.さかのぼれば1993年の北海道南西沖地震では230名が死亡しましたが,そのほとんどは奥尻島による津波被害でした.

■津波に流されて溺死したケースがほとんどですが,救出されて救命救急センター等に搬送されるも激烈な肺炎で死亡した患者も多く知られています.津波肺の患者の救命率は著しく低く,Pseudallescheria boydiiScedosporidium apiospermumといった真菌に病院はかなり苦しめられたとのことです.

■今回紹介する2つの論文は東日本大震災における津波に関する疫学的な調査結果です.1つ目は津波による肺炎死亡の増加について,2つ目は津波による高齢者の長期機能障害についての調査結果です.今回の地震でいかに津波の影響が大きいかを物語るデータになります.震災からまだ5年.建物の復興は進みましたが,医療・福祉はまだまだ大変です.医師不足も深刻な東北地方ですが,このたび私も生まれてからずっと住んできた大阪を離れ,2016年4月より東北の病院に勤務することになりました.津波被害の影響を受けた地域の患者さんの診療にもあたることになるでしょう.少しでもお役に立てればと思います。
地震と津波の後の肺炎による死亡の特性:日本の131の市町村における570万人の生態学的研究
Shibata Y, Ojima T, Tomata Y, et al. Characteristics of pneumonia deaths after an earthquake and tsunami: an ecological study of 5.7 million participants in 131 municipalities, Japan. BMJ Open. 2016 Feb 23;6(2):e009190
PMID:26908515

Abstract
【背 景】
2011年3月11日,東日本大地震が日本を襲った.いくつかの研究では,地震は肺炎による死亡リスクを増加させることが示されているが,津波がそのリスクを増加させるか否か,どれくらい増加させるかについて報告した研究はない.我々は地震/津波後の肺炎死亡リスクを検討した.

【方 法】
本研究は生態学的研究である.日本の人口動態統計2010および2012,国勢調査2010,住民基本台帳2010と2012から集団および肺炎死のデータを得た.震災後1年の間に宮城県,岩手県,福島県に居住する約570万人を対象とした.全市町村(n=131)は,地震の影響を受けた地区である内陸部(n=93),地震と津波の影響を受けた沿岸部(n=38)に分類された.週あたりの肺炎死亡数は2010年3月12日から2012年3月9日までを集計した.観察された肺炎死亡数(O)と,性別および年齢ごとの予想される肺炎死亡数を乗じて観察集団における性別と年齢の群の合計数(E)を算出した.予想される肺炎死亡率は,前年の肺炎死亡率とした.標準化死亡比(SMRs)は,間接的な方法を用いて性別と年齢を調整し,肺炎死亡(O/E)により算出した.そして,SMRsは沿岸部と内陸部の市町村ごとで算出した.

【結 論】
地震後の1年間で6603例が肺炎で死亡した.SMRsは第1週から第12週目までの間に有意に増加した.第2週では,沿岸部と内陸部の市町村のSMRsはそれぞれ2.49(95%CI 2.02-7.64)と1.48(95%CI 1.24-2.61)であった.沿岸部の市町村のSMRsは内陸部の市町村よりも高かった.

【結 論】
地震は肺炎死亡リスクを増加させ,津波はそのリスクをさらに増加させる.
高齢者の機能障害における2011年の東日本大地震および津波の影響:日本の自治体おける障害有病率の縦断的比較
Tomata Y, Kakizaki M, Suzuki Y, et al. Impact of the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami on functional disability among older people: a longitudinal comparison of disability prevalence among Japanese municipalities. J Epidemiol Community Health. 2014 Jun;68(6):530-3
PMID:24570399

Abstract
【目 的】
2011年3月11日の地震と津波による深刻な影響を受けた地域は他の地域に比して障害有病率がより大きく増加しているという仮説を検討する.

【方 法】
日本の厚生労働省の公共統計データを用いた縦断的解析を行った.解析は,介護保険(LTCI)システムによってカバーされている1549の自治体が登録された.「災害地域」は3県(岩手,宮城,福島)と定義した.評価項目は,LTCI障害者認定を受けた高齢者(65歳以上)の数とした.2011年2月から2012年2月までの障害有病率における変化率は主要アウトカム変数として使用し,「沿岸被災地」「内陸被災地」「非被災地」との間の共分散分析によって比較した.

【結 果】
すべてのレベルにおける障害有病率では,沿岸被災地の増加率の平均値(7.1%)は,内陸被災地(3.7%),非被災地(2.8%)に比して高かった(p<0.001)

【結 論】
地震と津波による深刻な影響を受けた地域では,地震災害後の1年間における障害有病率が他の地域よりも有意に高い増加率であった.

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by DrMagicianEARL | 2016-03-11 00:00 | 文献 | Comments(0)
■もう既に話題になっていますが,ICM誌に当直後の認知機能悪化が報告されました.まあ経験的にみなさんも体感していることだと思います.私も当直後はそのまま日勤に連続して突入しますが,その日勤では極力検査・処置が入らないようにはしています.

■じゃあ実際に医療過誤が起こるか?というのが気になるところですが,カナダの1448名の外科医の調査では,処置・手術が日中と夜間で患者の死亡・再入院・合併症の複合アウトカムに差はないと報告しています(N Engl J Med 2015; 373: 845-53).差がつかなかった理由については経験でカバーしている,安全かどうか自分で判断している,という考察がなされています.ただし,夜間に複数回の処置・手術があると合併症頻度は1.14倍に有意に増加してはいます.また,夜勤明けの運転では37.5%が急ブレーキを使用し,半数近くが車を制御しきれず,その運転能力の低下は運転開始から15分以内に出現していたとの報告もあります(Proc Natl Acad Sci U S A 2016;113:176-81)
ICUの医師の夜勤は認知機能を低下させる
Maltese F, Adda M, Bablon A, et al. Night shift decreases cognitive performance of ICU physicians. Intensive Care Med. 2016 Mar;42(3):393-400
PMID:26556616

Abstract
【背 景】
疲労と医療過誤のリスクとの関係は一般的に知られている.本研究の主な目的は,集中治療医の集団の認知機能における集中治療室(ICU)夜間シフトの影響を評価することである.認知機能における専門的経験と睡眠量の影響も検討した.

【方 法】
3つのICU(シニア24名,研修医27名)から全51名の集中治療医が登録された.研究参加者は休みの夜の後と夜勤後を無作為に割り付けて評価した.Wechsler Adult Intelligence ScaleとWisconsin Card Sorting Testに基づいて4つの認知能をテストした.

【結 果】
作業記憶能力(11.3±0.3 vs 9.4±0.3; p<0.001),情報処理能力(13.5±0.4 vs 10.9±0.3; p<0.001),知覚推理能力(10.6±0.3 vs 9.3±0.3; p<0.002),認知柔軟性(41.2±1.2 vs 44.2±1.3; p=0.063)のすべての認知能が夜勤後で悪化していた.研修医とICU医師の間で認知機能障害のレベルでは有意差はみられなかった.認知柔軟性のみが2時間の睡眠後に回復していた.他の3つの認知能は夜勤中の睡眠量が十分でも低下していた.

【結 論】
集中治療医の認知能は,専門的経験量や夜勤中の睡眠時間に関係なくICUの夜勤後に有意に低下していた.患者の安全性と医師の健康への影響についてさらなる評価がなされるべきである.

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by DrMagicianEARL | 2016-02-18 17:42 | 文献 | Comments(0)
■アセタゾラミド(ダイアモックス®)を集中治療領域で使用したことのある先生はかなり少ないのではないでしょうか.この薬剤が挿管人工呼吸管理下にあるCOPD患者の代謝性アルカローシスに対して使用することで早く離脱できるのではないかとするRCTが報告されましたので紹介します.結果は,主要評価項目を含めてほとんどのアウトカムに有意差なしです.執筆者は結論で「統計学的には有意差はないけれど差の数値は臨床的に無視できない」と言いたげな書き方をしていますが,臨床的にも有意とは言い難い差と私は思います.確かにベクトルはいい方向に向いてはいますが,使うほどの差かと言うと微妙です.

■この薬剤の機序はNa利尿と尿中HCO3-の排泄増加ですので,機序的には代謝性アルカローシスを改善させることになります.代謝性アルカローシスは代償反応として低換気が起こりますので,アセタゾラミドで換気刺激を促してやろうというものです.なお,本邦においては「肺気腫における呼吸性アシドーシス」に保険適用があります.どちらかというと呼吸性アシドーシスで私は使用することがごくたまにあって,NPPVでも治療しきれず,挿管拒否されているCO2ナルコーシスと高度の呼吸性アシドーシスの場合に苦し紛れの一手で投与をtryします.ただ,この研究のデータを見るにPaCO2もたいして下がらないようですね.
慢性閉塞性肺疾患患者における侵襲的人工呼吸器装着期間におけるアセタゾラミドvsプラセボの効果:無作為化比較試験(DIABOLO study)
Faisy C, Meziani F, Planquette B, et al; DIABOLO Investigators. Effect of Acetazolamide vs Placebo on Duration of Invasive Mechanical Ventilation Among Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Clinical Trial. JAMA 2016 Feb 2;315(5):480-8
PMID:26836730

Abstract
【背 景】
アセタゾラミドは慢性閉塞性肺疾患(COPD)と代謝性アルカローシスの患者において呼吸刺激薬として数十年使用されてきているが,この使用における大規模なプラセボ対照比較試験はない.

【目 的】
COPDで代謝性アルカローシスの重症患者における人工呼吸器装着期間をアセタゾラミドが減少させるかについて検討する.

【方 法】
本DIABOLO studyは,フランスの15の集中治療室(ICU)で2011年10月から2014年7月まで行われた無作為化二重盲検多施設共同試験である.24時間以上の人工呼吸管理を受けることが予想されたCOPD患者計382例をアセタゾラミド群とプラセボ群に無作為に割り付け,380例がintention-to-treat解析に組み込まれた.アセタゾラミド(500-1000mgを2回/日)とプラセボは代謝性アルカローシスの症例において静脈内投与することとし,ICU入室48時間以内に導入され,最大28日間までICU在室中継続した.主要評価項目は気管挿管もしくは気管切開による侵襲的人工呼吸器装着期間とした.副次評価項目は動脈血ガスと呼吸パラメーター,weaning期間,有害事象,抜管後の非侵襲的人工呼吸器の使用,weaning成功率,ICU在室期間,ICU死亡率とした.

【結 果】
無作為化された382例の患者のうち,380例(平均年齢69歳,男性272例[71.6%],気管挿管379例[99.7%])が試験を完遂した.プラセボ群(193例)に比して,アセタゾラミド群(187例)は人工呼吸器装着期間中央値(-16.0時間; 95%CI -36.5 to 4.0時間; p=0.17),人工呼吸器からのweaning期間(-0.9時間; 95% CI -4.3 to 1.3時間; p=0.36),分時換気量の毎日の変化(-0.0L/min; 95%CI -0.2 to 0.2 L/min; p=0.72),動脈血二酸化炭素分圧(-0.3mmHg; 95%CI -0.8 to 0.2 mmHg; p =0.25)に有意差はみられなかったが,血清重炭酸濃度の変化(群間差 -0.8mEq/L; 95%CI -1.2 to -0.5mEq/L; p<0.001),代謝性アルカローシスの日数(群間差 -1; 95%CI -2 to -1日間; p<0.001)はアセタゾラミド群で有意に減少した.他の副次評価項目では両群間に有意差はみられなかった.

【結 論】
侵襲的人工呼吸管理を受けるCOPD患者において,アセタゾラミドの使用はプラセボに比して侵襲的人工呼吸器装着期間を統計学的有意には減少させない結果であった.しかしながら,差の大きさは臨床的に重要であり,本研究は統計学的有意性を検出する上で検出力不足であった可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2016-02-08 18:27 | 文献 | Comments(0)
■ICU患者での栄養管理の論文はよく読みますが,より広い範囲の「急性期の患者」というくくりでの論文はあまり読んだことがなく,今回そのRCTのメタ解析が出たので紹介します.ただでさえICU患者でも栄養療法で有意差をつけることが難しい上に,ICU患者に比して重症度がかなり低くなりますから,当然ながら臨床ハードアウトカムに差はつかないだろうなと思いながら読んでみたらやはり死亡率を含めほとんどのアウトカムで有意差なし.ただし,副次評価項目ではあるものの再入院では有意差がついているので,長期アウトカムの設定にするといろいろ差が見えてくるんじゃないかなと.
低栄養の入院患者における栄養サポートと予後:システマティックレビューとメタ解析
Bally MR, Blaser Yildirim PZ, Bounoure L, et al. Nutritional Support and Outcomes in Malnourished Medical Inpatients: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2016 Jan 1;176(1):43-53
PMID:26720894

Abstract
【背 景】
急性疾患において,栄養療法は低栄養状態あるいはそのリスクのある内科入院患者において広く行われている.しかし,我々の知る範囲では,この介入が患者に対して有効性および有益性を示した包括的な研究はない.

【目 的】
無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューにおいて低栄養あるいはそのリスクを有する内科入院患者の予後における栄養療法の効果を検討する.

【方 法】
Cochrane Library,MEDLINE,EMBASEを用いた.研究期間は1982年10月5日から2014年4月30日までに各国で行われたもの(ほとんどは欧州)を登録した.我々の解析は2015年3月10日から2015年9月16日にかけて行った.予め指定されたコクランプロトコルに基づいて,我々は入院患者における対照群と比較した栄養療法(カウンセリングや経口摂取・経腸栄養を含む)の効果を検討したRCTを体系的に検索した.2人のレビュワーが研究の背景,方法,結果のデータを抽出した.意見の不一致は合意により解決した.主要評価項目は死亡率とした.副次評価項目は医療関連感染,あらゆる原因での再入院,機能予後,入院期間,毎日のカロリーおよび蛋白の摂取量,体重変化とした.

【結 果】
計3736例の患者を含む22報のRCTを登録した.全体的に研究の質は低く,バイアスリスクが不明確なものがほとんどであり,RCT間の異質性は高かった.介入群は対照群に比して有意に体重(平均差0.72 kg; 95%CI 0.23-1.21 kg),カロリー接種量(平均差397 kcal; 95%CI, 279-515 kcal),蛋白接種量(平均差20.0 g/d; 95%CI 12.5-27.1 g/d)が増加した.死亡率(9.8% vs 10.3%; OR 0.96; 95%CI 0.72-1.27),医療関連感染(6.0% vs 7.6%; OR 0.75; 95%CI 0.50-1.11),機能予後(平均Barthel指数差 0.33ポイント; 95%CI -0.88 to 1.55ポイント),入院期間(平均差 -0.42日; 95%CI -1.09 to 0.24日)は介入群と対照群間で有意差がみられなかった.再入院は介入群で有意に減少させた(20.5% vs 29.6%; RR 0.71; 95%CI 0.57-0.87).

【結 論】
内科入院患者において,栄養療法はカロリーと蛋白の摂取量,体重を増加させる.しかしながら,再入院を除き,臨床アウトカムにおいてはわずか効果しかみられなかった.このギャップを満たすため,より質の高いRCTが必要である.

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by DrMagicianEARL | 2016-01-05 16:31 | 文献 | Comments(0)

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