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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:文献( 61 )

今年もあとわずかですが,年2回恒例の「明日からの臨床に役立たない(一部役に立つかも?)論文」を私の独断と偏見で40報選んできました.下半期+昔の論文少々あり.小ネタとして使うもよし,抄読会に使うもよしです.

リア充爆発しろ調査
Lewandowski G, et al. The Top 8 Reasons Why Relfies Are Good For You & Your Relationships. Science of Relationships 2014 Jul.1
Facebook等のSNSで特に恋人との関係をアピールしている投稿は友達から最も強く反感を買う.コホート研究.
※クリスマスは特に,ですね.

学歴と離婚
Schwartz CR, Han H. The Reversal of the Gender Gap in Education and Trends in Marital Dissolution. Am Sociol Rev 2014; 79: 605-29
学歴(教育レベル)が同じ夫婦は,夫の方が高学歴の夫婦に比べて離婚リスクが3分の1.後ろ向きコホート研究.

一目ぼれの機序
Tobari Y, Son YL, Ubuka T, et al. A new pathway mediating social effects on the endocrine system: female presence acting via norepinephrine release stimulates gonadotropin-inhibitory hormone in the paraventricular nucleus and suppresses luteinizing hormone in quail. J Neurosci 2014; 34: 9803-11
メスを見たオスの脳ではノルエピネフリンの放出が一過的に増加することで生腺刺激ホルモン抑制ホルモンが増加して生線刺激ホルモン濃度が低下し,テステステロンも低下する.ウズラモデル研究.

コンサートのヘドバンで脳出血
Pirayesh Islamian A, Polemikos M, Krauss JK. Chronic subdural haematoma secondary to headbanging. Lancet 2014; 384: 102
コンサートでのヘッドバング(頭を激しく振る行為)で慢性クモ膜下出血をきたした50歳男性の1例.
※ヘドバンのやりすぎに注意です.赤ちゃんの揺さぶられっこ症候群と同じことが大人でも起きるというこです.

携帯電話で精子の機能が落ちる
Adams JA, Galloway TS, Mondal D, et al. Effect of mobile telephones on sperm quality: a systematic review and meta-analysis. Environ Int 2014; 70C: 106-12
携帯電話(スマホ含む)が発する高周波の電磁波への曝露により,精子の運動能が8.1%有意に減少し,精子の生存率が9.1%有意に減少する.10報1492例メタ解析.
※男性は携帯電話をよくポケットに入れますので,注意が必要かもしれませんね.

後ろに誰かがいる感覚の再現
Blanke O, Pozeg P, Hara M, et al. Neurological and Robot-Controlled Induction of an Apparition. Curr Biol 2014; 24: 2681–6
突然背後に誰かいるように感じる霊的現象の感覚を実験室で再現することに成功.被験者は目隠しをされ,人差し指を前方の機械式アームロボットに繋がれている.この機械式アームはその動きをプログラムによって制御できる.また,被験者の背後には,別のロボットアームがあり,被験者らの背中を実際に触る.前方で人差し指をつないでいたロボットが指を押し,それと同時に背後のロボットが背中に触れると,被験者らはあたかも自分自身が指で背中に触れたように錯覚した.さらに,背中に触れるタイミングが指を押す動作から0.5秒遅れただけで,誰かに見られている,触れられているという感覚を感じた.

頭を悪くするウイルス発見?
Yolken RH, Jones-Brando L, Dunigan DD, et al. Chlorovirus ATCV-1 is part of the human oropharyngeal virome and is associated with changes in cognitive functions in humans and mice. Proc Natl Acad Sci USA 2014; 111: 16106–11
健常者92例の検査で43.5%に人間の思考力や注意力を低下させるウイルスACTV-1( Acanthocystis turfacea chlorella virus 1 )の感染を確認.脳の正確性および視覚処理のスピードを調べるテストでは感染者の方が点数が低かった.

太っている人に悪口を言うと体重がさらに増加?
Jackson SE, Beeken RJ, Wardle J. Perceived weight discrimination and changes in weight, waist circumference, and weight status. Obesity (Silver Spring) 2014; 22: 2485-8
太っていることに対して無遠慮な批判を受けたり差別的な態度をとられたりした人は体重増加リスクが6.67倍有意に増加する.50歳以上の英国人2944例観察研究.

テレパシーに成功
Grau C, Ginhoux R, Riera A, et al. Conscious brain-to-brain communication in humans using non-invasive technologies. PLoS One 2014; 9: e105225
数千キロ離れたインドとフランスにいる人同士が,心に思った簡単なメッセージを直接接触することなく低侵襲脳刺激によって相手に伝えるテレパシー実験に成功.
※ただ,このシステムだと心に思ったこと全部向うに伝わってしまいますね.

青色LEDは目によくない
Kuse Y, Ogawa K, Tsuruma K, et al. Damage of photoreceptor-derived cells in culture induced by light emitting diode-derived blue light. Sci Rep 2014; 4: 5223
青・緑・白の3色のLEDの光を6時間ずつマウスの目の細胞にあてたところ,緑の光をあてた視細胞はあまり変化がなかったが,白は約70%,青は約80%の細胞が死滅.マウスモデル研究.
※最近は青色の光で虫を殺すなんて研究もありました.どうやら青い光は生物には有害?

ジュースは100%果汁にしないと寿命が短くなる?
Leung CW, Laraia BA, Needham BL, et al. Soda and Cell Aging: Associations Between Sugar-Sweetened Beverage Consumption and Leukocyte Telomere Length in Healthy Adults From the National Health and Nutrition Examination Surveys. Am J Public Health 2014 Oct 16: e1-e7
米国成人5309例の細胞のテロメア(短くなると老化)の解析研究.甘い清涼飲料水でテロメアは短くなり,100%果汁ではテロメアは長い傾向.ダイエットソーダはテロメアの長さと相関見られず.

人工甘味料は生活習慣病リスクを増加させる?
Suez J, Korem T, Zeevi D, et al. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota. Nature 2014; 514: 181-6
菓子や清涼飲料に使われている人工甘味料は代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩し血糖値が下がりにくくする作用があり,糖尿病や肥満といった生活習慣病のリスクが高まる.マウスモデル研究.
※人工甘味料を使っているダイエットコーラはむしろ体に悪いというメタ解析が昨年でていましたね.

血液型がAB型だと認知症になりやすい?
Alexander KS, Zakai NA, Gillett S, et al. ABO blood type, factor VIII, and incident cognitive impairment in the REGARDS cohort. Neurology 2014; 83: 1271-6
血液型がAB型だと多変量解析で認知症リスクが1.82倍有意に増加.1082例症例対照研究.

最強のシルク
Kuwana Y, Sezutsu H, Nakajima K, et al. High-toughness silk produced by a transgenic silkworm expressing spider (Araneus ventricosus) dragline silk protein. PLoS One 2014; 9: e105325
クモが糸を作る遺伝子をカイコに導入することで天然シルクよりも1.5倍の切れにくさを持つクモ糸シルクを作ることに成功.鋼鉄の20倍とされるアメリカジョロウグモの糸と同程度の切れにくさ.
※テラフォーマーズを思い出しました.

自転車によく乗る男性は前立腺癌になりやすい
Hollingworth M, Harper A, Hamer M, et al. An Observational Study of Erectile Dysfunction, Infertility, and Prostate Cancer in Regular Cyclists: Cycling for Health UK Study. J Men's Health 2014; 11: 75-9
50歳以上の男性で自転車に乗る時間が週に3.75-8.5時間だと前立腺癌リスクが約3倍,8.5時間を超えると約6倍に増加する.自転車に乗る時間と勃起不全に関連はなかった.英国人男性5282例コホート研究.

性感帯のパラダイムシフト
Jannini EA, Buisson O, Rubio-Casillas A. Beyond the G-spot: clitourethrovaginal complex anatomy in female orgasm. Nat Rev Urol 2014; 11: 531-8
女性の性感帯としてのGräfenbergスポットは存在しない.より複雑な複合体かつダイナミックで敏感な構造体であるCUV(clitourethrovaginal)コンプレックスが提唱される.
※医学的にGräfenbergスポットという名称は今後なくなることになりそうです.桑田佳祐が歌っていたあの曲名も過去のものとなりますね.

マラリアに感染するとアトピー性皮膚炎が改善する?
Kishi C, Amano H, Suzue K, et al. Plasmodium berghei infection ameliorates atopic dermatitis-like skin lesions in NC/Nga mice. Allergy 2014; 69: 1412-9
マラリアに感染するとNK細胞が活性化することによりアトピー性皮膚炎が改善する.マウスモデル研究.
※だからといってアトピーを治すためにマラリアに感染させるわけにはいきませんが・・・NK細胞を活性化させるならインフルエンザワクチン接種でも可能です.

耳鳴り予防にコーヒー?
Glicksman JT, Curhan SG, Curhan GC. A prospective study of caffeine intake and risk of incident tinnitus. Am J Med 2014; 127: 739-43
カフェイン150mg/日(コーヒ237mL)未満の摂取者に比べ,450-599mg/日では,耳鳴り発生リスクが15%有意に減少.600mg/日以上では21%減少する.30-44歳女性65085例前向き観察研究.

コーヒーで死亡リスク減少?
Zhao Y, Wu K, Zheng J, et al. Association of coffee drinking with all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis. Public Health Nutr 2014 Aug 4: 1-13
1日あたりコーヒー1~5杯の摂取は全死亡リスクを10%以上有意に減少させる.この関連性は男性よりも女性でみられた.17報1054571例メタ解析.
※コーヒーで死亡率が減少,増加両方の論文が多数でていますが,メタ解析してみると減少との結果でした.

脳死患者にステロイド
Pinsard M, Ragot S, Mertes PM, et al. Interest of low-dose hydrocortisone therapy during brain-dead organ donor resuscitation: the CORTICOME study. Crit Care 2014; 18: R158
脳死患者に対するステロイド投与により臓器移植で使用可能となる臓器の数が有意ではないが増加した(92%vs88%, p=0.07).フランス22施設259例RCT.
※ステロイドを治療・救命のためではなく臓器移植に活かすための投与.フランスならではの研究?日本ではこのような研究は文化的にもできないでしょうね.ちなみに脳死患者への魚油経腸栄養を行えば活きのいい臓器がとれるんじゃないかという仮説を検討したRCTもあって,すでに試験は終了していますがなぜかまだ発表されていません.

脂肪吸引しても胸は大きくならない?
Swanson E. No Increase in Female Breast Size or Fat Redistribution to the Upper Body After Liposuction: A Prospective Controlled Photometric Study. Aesthet Surg J 2014; 34: 896-906
女性での脂肪吸引は胸の大きさや体上部への脂肪再分布を増加させない.82例前向きコホート研究.
※なぜこのような研究がでてきたのかと思って背景を読むと,過去のいくつかの研究では脂肪吸引した後に代償性に胸が大きくなることが示されていたんだそうです.脂肪吸引して腰がやせた上に胸が大きくなるとは一石二鳥ですが,今回はそうはならないという結果.

学力は遺伝か?
Krapohl E, Rimfeld K, Shakeshaft NG, et al. The high heritability of educational achievement reflects many genetically influenced traits, not just intelligence. Proc Natl Acad Sci USA 2014; 111: 15273-8
学力は62%が遺伝,38%が環境によって決まる.英国で就学中の一卵性双生児13306例調査.
※今年チンパンジーでも同様の研究がなされていて,知能の変異は,その約半分が遺伝子で決まっており,残りの半分が環境要因で決まるとのことです(Curr Biol 2014;24:1649-52).

日本人は麺類よりもお米を摂取した方が良質な睡眠がえられる?
Yoneyama S, Sakurai M, Nakamura K, et al. Associations between rice, noodle, and bread intake and sleep quality in Japanese men and women. PLoS One 2014; 9: e105198
日本人ではお米の摂取量が多いほど良質な睡眠に関連し,麺類の摂取量が多いほど睡眠の質は悪くなる.パンは睡眠の質に影響を与えない.グリセミック指数(炭水化物が糖に変換される速度)が高いほど良眠できる.20-60歳の日本人1848例解析.

咳嗽に対する気をそらすと咳嗽が減少する?
Janssens T, Silva M, Davenport PW, et al. Attentional modulation of reflex cough. Chest 2014; 146: 135-41
内的集中(咳嗽を数える等)は過剰な咳嗽を引き起こすが,外的な集中は過剰な咳嗽に対する抑制が期待される.24例健常成人研究.
※日常的に感じてることを論文化.何かに集中すると咳は少なくなり,咳を気にするとさらに咳がでやすくなるのはよく経験します.また,人が大勢集まっている中で誰かが咳をすると,咳が伝染していくのもこの理屈と思われます.

類は友を呼ぶ論文
Christakis NA, Fowler JH. Friendship and natural selection. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014; 111 Suppl 3: 10796-801
人は遺伝的に似ている相手を友人に選ぶ傾向があり,同じ交友関係の中にいる人は同じ遺伝子を約1%共有していた.これは5代前の祖先を共有する親戚たちで形成されているのと同等.1932例解析.

明瞭夢
Stumbrys T, Erlacher D, Johnson M, et al. The phenomenology of lucid dreaming: an online survey. Am J Psychol 2014; 127: 191-204
明瞭夢(夢の最中に「あ,これは夢だ」と気がつく夢)の経験者571例の調査.明晰夢の中でよくみる夢は,空を飛ぶ(最多),夢の登場人物と話す,セックスをする等.しかし常にそれらの意図を覚えていて実行に成功できるわけではない.
※明瞭夢が見れる人は実は少数派です.なお,明瞭夢をみたことがない人に,レム睡眠に入ってから2分後に前頭葉に微弱電流を30秒間与えると77%が明瞭夢をみれたという報告があります(Nat Neurosci 2014; 17: 8102).

雪男は存在しない
Sykes BC, Mullis RA, Hagenmuller C, et al. Induction of self awareness in dreams through frontal low current stimulation of gamma activity. Nat Neurosci 2014; 17: 810-2
雪男の正体はクマやヤギ.ビッグフットの正体はアメリカクロクマ,アライグマ,乳牛,ヤマアラシ,オオカミ,コヨーテ,犬など.毛髪のDNA解析.異例な霊長類試料の種同定をめぐる長年の不明確さに終止符.

重力の違いによるフライドポテトの味
Lioumbas JS, Karapantsios TD. Effect of increased gravitational acceleration in potato deep-fat frying. Food Res Int 2014; 55: 110-8
フライドポテトを無重力で作ると不味い.3G重力環境下で作ると最も最適な揚げ方になる.
※ポテト注文時は「ポテトM遠心重力装着3G揚げで」

インスタントラーメンの肥満リスク
Shin HJ, Cho E, Lee HJ, et al. Instant noodle intake and dietary patterns are associated with distinct cardiometabolic risk factors in Korea. J Nutr 2014;144:1247-55
週2回以上のインスタントラーメン摂取は,腹部肥満リスク1.41倍に増加し,特に女性ではメタボリックシンドロームリスクが1.68倍に増加する.これらは心血管・脳血管疾患リスクとなる.10711例観察研究.
※医者もよく食べますよね,お昼ご飯で

気管支喘息の女性は顔に特徴がある?
Al Ali A, Richmond S, Popat H, et al. The influence of asthma on face shape: a three-dimensional study. Eur J Orthod 2014; 36: 373-80
女性の気管支喘息の患者では尾翼幅や顔面高に統計学的に有意な変化がみられた.3428例症例対照研究.
※喘鳴時や普段の呼吸が違うから顔面が変形?

喫煙と勃起不全リスク
Cao S, Gan Y, Dong X, et al. Association of quantity and duration of smoking with erectile dysfunction: a dose-response meta-analysis. J Sex Med 2014; 11: 2376-84
勃起不全リスクは1日の喫煙本数が10本増加するごとに勃起不全リスクが14%ずつ増加,喫煙年数が10年増加するごとに15%ずつ増加する.10報5万例メタ解析.
※喫煙で性器の血流が悪くなることによるもの.昔,泌尿器科の先生「心筋梗塞の前にはチ〇チ〇梗塞が起こる」なんて言ってましたね.なお,勃起不全はビタミンD欠乏と有意に関連するという50例観察研究も同時に報告されていました(J Sex Med 2014, PMID:25092061).

永遠の命は不可能?
Antero-Jacquemin JD, Berthelot G, Marck A, et al. Learning From Leaders: Life-span Trends in Olympians and Supercentenarians. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2014 Aug 20
人間の寿命は延長傾向にあるが,永遠の命に対する生物学的障壁が存在し,目に見えない上限がある.2万例解析.

貧しい男性や空腹の男性ほど巨乳女性を好む
Swami V, Tovée MJ. Resource security impacts men's female breast size preferences. PLoS One 2013; 8: e57623
経済的に貧しい男性や空腹の男性は裕福な男性やお腹が満たされた男性と比較して巨乳女性を好む.266例および124例の前向き観察2研究.
※研究方法もこれまたシュールでして・・・.2年前には心理的ストレスを受けている男性はふくよかな女性への好みが増し,有意に高体重女性に最大の魅力を感じるとする報告もありました(PLoS One 2012;7:e42593).これと似たものがありますね.

ブラジャーのカップサイズと頸部・肩の疼痛の関連性
Oo M, Myint Z, Sakakibara T, et al. Relationship between brassiere cup size and shoulder-neck pain in women. Open Orthop J 2012; 6: 140-2
首や肩の痛みはブラジャーのカップサイズと有意に関連する(大きいほど痛みあり)が,痛みと胸囲は関連がみられなかった.三重大学病院女性職員339名の解析.
※三重大学でこんな研究やってたんですか.なお女性の85%が,自分で選んだりブラサイズ計測系を使って,自分に有意に合っていないサイズのブラジャーを身につけているとする104例横断研究もあります(J Sci Med Sport 2010;13:568-72).

巨乳の定義
Dundas KL, Atyeo J, Cox J. What is a large breast? Measuring and categorizing breast size for tangential breast radiation therapy. Australas Radiol 2007; 51: 589-93
Dカップ以上またはブラサイズが18以上(オーストラリア基準)を放射線治療における巨乳と定義することを推奨する.
※放射線治療においてはDカップ以上は結構大変なんだそうです.

ネギで導尿
吉田 淳史,吉田 宗一郎,中込 一彰,ほか.導尿目的で利用したネギによる膀胱尿道異物の1例 : 尿道カテーテルの歴史的考察.日本泌尿器科學會雜誌 2007; 98: 710-2
※論文タイトルの通りです.ネギ誤用の症例報告から尿カテの歴史へとつなげる壮大な論文です.読んでいただくと分かりますが,ネギのような植物が尿道カテーテルとして用いられていた時代もあったんですね.

膣内異物の1例報告
小川 仁,舟山 裕士,福島 浩平,ほか.治療に難渋した膣内異物による直腸膣瘻の1例.日本大腸肛門病学会誌 2004; 57: 455-9
18歳時に膣内にスプレー缶をつっこんだら抜けなくなり放置し,5年後に病院を受診した23歳女性の1例.直腸膣瘻が形成され,月経周期に合わせて下血が生じていた.瘻孔は難治性で,計6回の手術を要した.
※読んだときにわかには信じられませんでしたが,こういうこともあるようです.5年放置・・・

新しい禁煙治療?
Arzi A, Holtzman Y, Samnon P, et al. Olfactory Aversive Conditioning during Sleep Reduces Cigarette-Smoking Behavior. J Neurosci 2014; 34: 15382-93
睡眠中にタバコの煙と卵の腐った臭いをかがせると,翌朝,不快なにおいをかいだ記憶はないが,その後の喫煙本数が減少する.条件付けの応用.

喫煙者のいる家のPM 2.5濃度
Semple S, Apsley A, Azmina Ibrahim T, et al. Fine particulate matter concentrations in smoking households: just how much secondhand smoke do you breathe in if you live with a smoker who smokes indoors? Tob Control 2014 Oct 20
喫煙者のいる家のPM 2.5の濃度は喫煙者がいない家の濃度の約10倍であり,中国の北京の年間平均濃度以上であった.

若さの秘訣は自己暗示?
Stephan Y, Caudroit J, Jaconelli A, et al. Subjective age and cognitive functioning: a 10-year prospective study. Am J Geriatr Psychiatry 2014; 22: 1180-7
BMIが低く活動的な人は自分が実年齢より若いとのイメージを持ち続けていることが多い.自分は実年齢より若いと感じ続けることが記憶力や認知能力を維持するのに役立つ可能性がある.前向き観察研究.
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by DrMagicianEARL | 2014-12-20 17:59 | 文献 | Comments(0)
第42回日本救急医学会から帰ってきたらこんな論文がでていました.牛乳摂取量が増えると死亡リスクが増加する上に骨折を減らさない(むしろ増加させる傾向)という結果で,これまでの牛乳神話に影響を与えそうです.興味深いのはバイオマーカーで見ると牛乳摂取量と酸化ストレス・炎症が正の相関を示していること.おそらく摂取量が増えると牛乳のメリットを消してしまうほど有害になってしまうのでしょう.サプリメントでもそういう論文が最近よくでていますね(たとえばビタミンCは抗酸化作用を有するが,サプリメントで摂取すると過量となるためむしろ酸化作用が働いてしまうため逆効果となる).食品産業やサプリメント産業は薬剤に比して安全性等はゆるい上に欧米では信奉者も多く,なかなか受け入れられないでしょうね(スポンサーの問題もあるためマスコミはあまり報道しないでしょう).でも死亡リスクがここまで増加となると無視はできない論文です.
女性および男性における牛乳摂取と死亡・骨折のリスク:コホート研究
Michaëlsson K, Wolk A, Langenskiöld S, et al. Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies. BMJ 2014; 349: g6015

Abstract
【目 的】
牛乳摂取量が多いことは女性および男性において死亡や骨折と関連しているかについて検討する.

【方 法】
本研究デザインはコホート研究で,スウェーデン3地域で行った.患者は,食物頻度アンケートを導入した2つの大規模スウェーデン人コホート集団であり,1つは61433例の女性(1987-90年をベースラインとした39-74歳),もう1つは45339例の男性(1997年をベースラインとした45-79歳)である.主要評価項目は牛乳摂取と死亡や骨折までの期間の関連性を適応した多変量生存モデルとした.

【結 果】
平均追跡期間20.1年の間に,女性の15541例が死亡し,17252例が骨折し,そのうち4259例は股関節の骨折であった.男性コホートでは平均追跡期間11.2年で,10112例が死亡し,5066例が骨折し,そのうち1166例が股関節の骨折であった.女性において,牛乳摂取量が1日あたり1杯未満の場合に比して,1日あたり3杯以上の調整された死亡危険率は1.93倍(95%CI 1.80-2.06).牛乳摂取量が1杯増えるごとに,調整された全死亡危険率は女性で1.15(1.13-1.17),男性で1.03(1.01-1.04)であった.女性において,牛乳摂取量が1杯ずつ増えても,全骨折(1.02; 1.00-1.04)あるいは股関節骨折(1.09; 1.05-1.13)といった骨折リスクに減少は見られなかった.同様に男性において調整された危険率は1.01(0.99-1.03)と1.03(0.99-1.07)であった.2つのコホートのサブサンプルでは,両性別における尿中8-iso-PGF2α(酸化ストレスのバイオマーカー),男性における血清インターロイキン6(主要な炎症性バイオマーカー)と牛乳摂取量の間に正の相関が認められた.

【結 論】
牛乳摂取量が多いことは,女性コホート,男性コホートにおいてより高い死亡と関連していた.

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by DrMagicianEARL | 2014-10-30 19:46 | 文献 | Comments(1)
■ESICM weekの集中治療関連文献アップ第2弾は経腸栄養と静脈栄養のガチンコ勝負のCALORIES trialです.この結果を意外ととるか予想された結果ととるか,みなさんはどうでしたか?
成人重症患者における早期栄養療法の経路の試験(CALORIES trial)
Harvey SE, Parrott F, Harrison DA, et al; the CALORIES Trial Investigators. Trial of the Route of Early Nutritional Support in Critically Ill Adults. N Engl J Med 2014 Oct.1 [Epub ahead of print]
PMID:25271389

Abstract
【背 景】
成人重症患者の早期栄養療法の最も有効な投与経路については明らかではない.我々は経静脈投与が経腸経路よりも優れていると仮説をたてた.

【方 法】
我々は英国の33の集中治療室に入院した特に治療計画が立てられていない成人患者を登録した臨床的無作為化試験を行った.患者は静脈栄養と経腸栄養のいずれかに無作為割り付けられ,入室から36時間以内に栄養療法を開始し,5日間継続した.主要評価項目は30日全死亡率とした.

【結 果】
2400例の患者が登録され,2388例(99.5%)が解析に組み込まれた(1191例が静脈栄養群,1197例が経腸栄養群).30日時点で静脈栄養群では1188例中393例(33.1%)が,経腸栄養群では1195例中409例(34.2%)が死亡した(RR 0.97; 95%CI 0.86-1.08; p=0.57).経腸栄養群と比較して,静脈栄養群は低血糖(44例(3.7%) vs 74例(6.2%); p=0.006)と嘔吐(100例(8.4%) vs 194例(16.2%); p<0.001)が有意に少なかった.静脈栄養群と経腸栄養群で感染症合併平均数(0.22 vs 0.21; p=0.72),90日死亡(442/1184(37.3%) vs 464/1188(39.1%); p=0.40),その他14の副次評価項目,有害事象発生率に有意差はみられなかった.ほとんどの患者において目標投与量を達成しなかったが,両群間でカロリー投与量は同等であった.

【結 論】
成人重症患者の早期栄養療法の投与経路に関連した30日死亡率に有意差はみられなかった.

EPaNIC trialをふまえたCALORIES trialの結果

■これまで数多くのRCT,メタ解析[1-10]がなされ,静脈栄養(PN)よりも経腸栄養(EN)を選択することがゴールデンスタンダードという流れで,現在はENに早期からPNを併用すべきか否かが議論されている中,このCALORIES trialはPNがENよりも優れているという仮説をたててhead-to-headで勝負するという,10年以上前のClinical Questionに回帰する非常にチャレンジングなRCTである.サンプル数は2388例で,EPaNIC trial[11]の4640例には及ばないものの栄養療法を再考するには十分な根拠となる規模である.

■ただし,この結果はある意味予想通り,と言えないこともない.その理由はEPaNIC trialにある.2011年にvan den Burgheらは早期ENに早期PNを併用する群と後期(8日以降)からPNを併用する群を比較した大規模RCTであるEPaNIC trialを報告し,死亡率に有意差こそなかったが,平均ICU滞在日数(4日 vs 3日; p=0.02),感染症発生率(26.2% vs 22.8%; p=0.008),腎代替療法施行日数(10日 vs 7日; p=0.008),2日以上の人工呼吸器使用率(40.2% vs 36.3%; p=0.006),医療コストにおいて後期PN併用群が有意に優れており,「ENが可能であれば,早期PNによる補助で投与エネルギーゴールを目指す管理は一利もなく推奨されない」と結論づけた.

■このEPaNIC trialのpost hoc解析を行い,van den Burgheは様々な考察を行っており,ENかPNかといった投与経路は問題ではなくoverfeedingが問題であったととらえている.van den Burgheは2013年のCritical Care誌でのレビュー[12]において,このoverfeedingがautophagyの抑制を引き起こし,免疫低下を起こすことに言及しており,これが感染症増加の原因のひとつと考えているようである.さらに,重症度は早期静脈栄養の有害性とは関連がなく,投与カロリーは少ないほど予後が良く,糖よりもアミノ酸/蛋白の投与量の方が予後と関連したとしている[13]

■また,早期PN併用群でも骨格筋減少は食い止められず,むしろ骨格筋の中に脂肪が形成され,骨格筋の質が悪くなることも分かった[14].筋力低下(CUAW;ICU-acquired weakness )の評価[15]では,後期PN併用群が早期PN併用群より筋力低下が有意に少なく(34% vs 43%; absolute difference -9%; 95% CI -16 to -1; p=0.030),筋力低下からの回復も後期群の方が有意に早く,autophagyは早期PN併用群で抑制されていた.

■もうひとつ,EPaNIC trialの特徴は,van den BurgheらによるLeuven studyⅠ[16]で有用性が示された血糖値を80-110 mg/dLにコントロールする強化インスリン療法(intensive insulin therapy;IIT)をプロトコルに組み込んでいることである.IITははその後のメタ解析[17],VISEP trial[18],Glucontrol study[19],NICE-SUGAR study[20]でむしろ有害性が示されて姿を消すことになったものの,van den Bergheらは血糖コントロールをIITで十分に行いながら早期PN併用を開始すればよいアウトカムになるのではないかと考えてこの研究を行ったのではないかと推察されている.

■当然ながらIITを導入すればそれだけインスリン投与量も多くなる.体内インスリン総量が増加すると,そのインスリンが骨格筋タンパク分解抑制・ロイシンアミノ基転移反応抑制を誘導する結果,BCAA・アラニン(糖新生の主要な基質)・条件付き必須アミノ酸(グルタミン・アルギニン)の供給減少といった生理的なアミノ酸供給システムの障害が発現し,GLUT4経由で骨格筋に大量のグルコースが取り込まれてしまい,骨格筋細胞における酸化ストレス増強から筋タンパクの病的分解が発生することが報告されている[21,22]

■一方,今回のCALORIES trialではIITではなく,NICE-SUGAR trial発表以降に主流となりつつある,中等度の血糖管理(血糖値<180mg/dL)を用いている.そして,投与カロリーは25mg/kg/dayで開始し,48-72時間で目標カロリーを目指すようにしてoverfeedingを回避するようなプロトコルとなっている.

■CALORIES trialでもうひとつ注目すべきは,有害事象の感染症がPN群とEN群で有意差がなかったことである.これまではPN群で感染症が増加したとする報告が多かったことから考えれば意外ではある.また,通常ならば,ENでは胃食道逆流による肺炎,PN群ではカテーテル関連血流感染症が増加しそうであるが,感染症別で見ても全く差がない.これに関しては近年の人工呼吸器関連肺炎対策や血管ルート管理が進歩した結果だと執筆者らは考察で述べている.双方で生じうる有害事象がいずれもほぼ防止できており,感染対策もそこまで進歩したということの一傍証となる結果であろう.

[1] Moore FA, Feliciano DV, Andrassy RJ, et al. Early enteral feeding, compared with parenteral, reduces postoperative septic complications. The results of a meta-analysis. Ann Surg 1992; 216: 172-83
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[3] Marik PE, Zaloga GP. Early enteral nutrition in acutely ill patients: a systematic review. Crit Care Med 2001; 29: 2264-70
[4] Heyland DK, Dhaliwal R, Drover JW, et al; Canadian Critical Care Clinical Practice Guidelines Committee. Canadian clinical practice guidelines for nutrition support in mechanically ventilated, critically ill adult patients. JPEN J Parenter Enteral Nutr 2003; 27: 355-73
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[15] Hermans G, Casaer MP, Clerckx B, et al. Effect of tolerating macronutrient deficit on the development of intensive-care unit acquired weakness: a subanalysis of the EPaNIC trial. Lancet Respir Med 2013; 1: 621-9
[16] van den Berghe G, Wouters P, Weekers F, et al. Intensive insulin therapy in critically ill patients. N Engl J Med 2001; 345: 1359-67
[17] van den Berghe G, Wilmer A, Milants I, et al. Intensive insulin therapy in mixed medical/surgical intensive care units: benefit versus harm. Diabetes 2006; 55: 3151-9
[18] Brunkhorst FM, Engel C, Bloos F, et al; German Competence Network Sepsis (SepNet). Intensive insulin therapy and pentastarch resuscitation in severe sepsis. N Engl J Med 2008; 358: 125-39
[19] Preiser JC, Devos P, Ruiz-Santana S, et al. A prospective randomised multi-centre controlled trial on tight glucose control by intensive insulin therapy in adult intensive care units: the Glucontrol study. Intensive Care Med 2009; 35: 1738-48
[20] NICE-SUGAR Study Investigators, Finfer S, Chittock DR, Su SY, et al. Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients. N Engl J Med 2009;360:1283-97
[21] Yoneyama S, Terashima H, Yamaguchi R, et al. The manner of the inflammation-boosting effect caused by acute hyperglycemia secondary to overfeeding and the effects of insulin therapy in a rat model of sepsis. J Surg Res 2013; 185: 380-7
[22] 寺島秀夫.侵襲下の栄養療法は生体反応への介入であり,その攪乱を惹起する―特にグルコース投与とインスリン療法の功罪に関する新事実―.第29回体液・代謝管理研究会年次学術集会教育講演2 2014 Jan.25 名古屋
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by DrMagicianEARL | 2014-10-06 12:16 | 文献 | Comments(0)
■日本の脂肪乳剤は大豆由来であり,n-6系脂肪酸が炎症を悪化させる懸念があるため急性期に使いにくい製剤です.一方,海外の脂肪乳剤には魚油由来のものがあり,こちらはn-3系脂肪酸であるため炎症病態でも使用しやすく,近年その効果が期待されています.現在神戸の方でn-3系脂肪酸が開発されていると聞いていますが,日本での製剤化販売は実現するんでしょうか?今回,ICU患者を対象にしたn-3系脂肪酸のRCTが発表されたので紹介します.OMEGA studyで推奨度が多少下がりましたが,このICU Lipid studyで復活するでしょうか?
重症患者における院内感染と臨床アウトカムにおけるn-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含んだ脂肪乳剤:ICU Lipid study
Grau-Carmona T, Bonet-Saris A, García-de-Lorenzo A, et al. Influence of n-3 Polyunsaturated Fatty Acids Enriched Lipid Emulsions on Nosocomial Infections and Clinical Outcomes in Critically Ill Patients: ICU Lipids Study. Crit Care Med 2014 Sep.15 [Epub ahead of print]
PMID: 25226273

Abstract
【目 的】
外科患者においてn-3系多価不飽和脂肪酸(魚油を含む)は免疫修飾作用により,感染率と臨床アウトカムに有益であることが示されている.一方で,重症患者における魚油の投与の研究結果については議論がなされている.本研究の目的は,内科・外科重症患者での院内感染発生と臨床アウトカムにおけるn-3系多価不飽和脂肪酸の効果を検討することである.

【方 法】
研究デザインは,前向き多施設共同二重盲検無作為化比較試験である.研究は4年間で,スペインの17のICUで行われた.対象は,APACHE IIスコアが13以上で,高カロリー輸液を少なくとも5日間必要と予想される内科外科ICU患者159例である.高カロリー輸液を投与されている患者は,10%魚油含有脂肪乳剤または魚油を含まない脂肪乳剤のいずれかに割り付けられた.院内感染発生率はICU在室中の28日間で検出した.入院期間,院内死亡率,6か月死亡率について,ICU退室後から6か月フォローした.

【結 果】
院内感染を呈した患者数は魚油含有脂肪乳剤群の方が有意に減少し(21.0% vs 37.2%, p = 0.035),感染のない期間が長かった(21±2日 vs 16±2日, p = 0.03).ICU,院内,6カ月の死亡率に有意差は見られなかった.

【結 論】
本結果は,重症内科・外科患者において,n-3系多価不飽和脂肪酸の投与が院内感染リスクを減少させかつ感染のない期間を増加させることを示している.n-3系多価不飽和脂肪酸の投与は安全であり良好な忍容性がある.

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by DrMagicianEARL | 2014-09-17 18:35 | 文献 | Comments(0)
昨年,グルタミン,セレンがICU患者の経腸栄養での効果が否定(グルタミンに至っては死亡率増加)された大規模RCTのREDOXS studyが報告されましたが,今度は免疫調整栄養そのものを否定する論文がJAMA誌にでました.栄養士さんにはショックな論文かもしれませんね.免疫調整投与は感染症を減少させず,人工呼吸器装着期間,臓器不全やICU在室・入院日数日数は改善せず,内科患者に限定したサブ解析では死亡率がむしろ増加しています.先月BMJ誌に報告された,早期強化リハビリテーションが予後を悪化させる結果となったRCTと同様,More is not always better,余計なことはするな,シンプルにいけ,ということでしょう.ただ,この研究,新規感染症発生率が50%を超えているのはちょっと気になりますが・・・
ICUにおける免疫調整栄養豊富な高タンパク経腸栄養と標準的高タンパク経腸栄養の比較と院内感染症:無作為化比較試験
van Zanten RH, Sztark F, Kaisers US, et al; High-Protein Enteral Nutrition Enriched With Immune-Modulating Nutrients vs Standard High-Protein Enteral Nutrition and Nosocomial Infections in the ICU: A Randomized Clinical Trial. JAMA 2014; 312: 514-24

Abstract
【背 景】
免疫調整栄養(例えばグルタミン,オメガ-3脂肪酸,セレン,抗酸化物質)の経腸投与は感染症を減少し,重症疾患からの回復を促進することが示唆されていた.しかし,ガイドラインでコンセンサスが得られていないこともあり,免疫調整経腸栄養の使用においては議論がなされている.

【目 的】
人工呼吸器を装着した重症患者において,免疫調整栄養豊富な高タンパク経腸栄養(IMHP)が標準的高タンパク経腸栄養(HP)と比較して感染症発生率を減少させるかを検討する.

【方 法】
このMetaPlus studyは,オランダ,ドイツ,フランス,ベルギーの14の集中治療室(ICU)において2010年2月から2012年4月まで,6ヶ月の追跡期間を含めて行われた無作為化二重盲検多施設研究である.72時間以上の人工呼吸管理と72時間以上の経腸栄養を要することが想定された計301例の成人患者を,IMHP群(152例)とHP群(149例)に無作為化し,intention-to-treat解析,内科,外科,外傷のサブグループでも解析を行った.介入は,ICU入室から48時間以内にIMHPまたはHPを開始し,最大で28日間,ICU在室中に継続して行った.主要評価項目は疾病管理予防センター(CDC)の定義に準拠した新規感染症発症とした.副次評価項目は,死亡率,Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア,人工呼吸管理期間,ICU在室および入院期間,CDC定義に準拠した感染症のタイプとした.

【結 果】
新規感染症発生は,IMHP群で53%(95%CI 44-61%),HP群で52%(95%CI 44-61%)であり,統計学的有意差がなかった(p=0.96).内科サブグループにおいてはIMHP群の方が6ヶ月死亡率が有意に高く(IMHP群54%(95%CI 40-67%),HP群35%(95%CI 22-49%); p=0.04),年齢,Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II)スコアで調整した6ヶ月死亡のハザード比は1.57(95%CI 1.03-2.39; p=0.04)であり,それ以外の評価項目では有意差はみられなかった.

【結 論】
ICUで人工呼吸器を装着している成人患者において,HPと比較してIMHPは感染症合併率を改善せず,調整後6ヶ月死亡率を増加させることが示唆され,有害な可能性がある.この知見は,これらの患者においてIMHP栄養を使用することを支持しない.

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by DrMagicianEARL | 2014-08-06 18:45 | 文献 | Comments(0)
■ICU患者に対する早期リハビリテーションにおいて,標準的リハビリテーションよりもさらに先進的なもの(強化した有酸素運動や電気刺激などなど)をがっつりと取り入れるのはむしろよくないようです.副次評価項目とはいえ,RCTで長期死亡リスク1.74倍は無視できません.入院早期はやりすぎず,標準的リハビリテーションにとどめておくべき,というsuggestionになります.More is not always betterの原則はリハビリテーションにも適応されるということでしょう.
慢性呼吸器疾患の増悪による入院中の回復を強化するための早期リハビリテーション介入:無作為化比較試験
Greening NJ, Williams JE, Hussain SF, et al. An early rehabilitation intervention to enhance recovery during hospital admission for an exacerbation of chronic respiratory disease: randomised controlled trial. BMJ 2014; 349: g4315
PMID:25004917

Abstract
【目 的】
慢性呼吸器疾患増悪による入院急性期における早期リハビリテーション介入が12ヶ月以上での再入院リスクを減少させ,身体機能や健康状態への悪影響を減少させるかを検討する.

【方 法】
研究デザインは前向き無作為化比較試験である.研究は大学病院の急性期循環呼吸器ユニットと地区総合病院の急性期内科ユニットで行った.慢性呼吸器疾患増悪で入院してから48時間以内の45歳から93歳までの患者389例を,早期リハビリテーション介入群(196例)と標準ケア群(193例)に無作為に割り付けた.主要評価項目は12ヶ月時点で再入院率とした.副次評価項目は入院日数,死亡率,身体機能,健康状態とした.主要解析はITT(Intent-to-treat)で行い,二次アウトカムとしてPP(per--protocol)解析を行った.早期リハビリテーション群の患者は入院から48時間以内に開始し,6週間の介入を受けた.介入は,規定された,積極的有酸素運動,抵抗,神経筋電気刺激トレーニングが含まれた.また,患者は自己管理と教育パッケージも受けた.

【結 果】
389例のうち,320例(82%)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断された.233例(60%)は追跡年のうちに少なくとも1回は再入院した(介入群62%,対照群58%).両群間に有意差はみられなかった(HR 1.1; 95%CI 0.86-1.43; p=0.4).1年時点で介入群において死亡率の増加がみられた(OR 1.74; 95%CI 1.05-2.88; p=0.03).退院後に両群において身体機能,健康状態は有意に回復したが,1年時点で両群間に有意差はみられなかった.

【結 論】
慢性呼吸器疾患での入院中の早期リハビリテーションは,12ヶ月以上のイベント追跡において,再入院リスクを減少させず,身体機能回復を増強しなかった.12ヶ月時点での死亡率は介入群の方が高かった.この結果は,最近の標準的リハビリテーションを超えた先進的運動リハビリテーションを急性疾患早期に開始すべきではないことを示唆する.

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by DrMagicianEARL | 2014-07-17 00:00 | 文献 | Comments(0)
さあ,今年もついにこの季節がやってまいりました.明日からの臨床に役立たない(一部役に立つかも?)論文を私の独断と偏見で40報選んできました.小ネタとして使うもよし,抄読会に使うもよしです.

ドリップコーヒーは慢性C型肝炎患者の肝機能を改善させるが,他のコーヒーではダメ
Sasaki Y, et al. Effect of caffeine-containing beverage consumption on serum alanine aminotransferase levels in patients with chronic hepatitis C virus infection: a hospital-based cohort study. PLoS One 2013; 8: e83382
C型肝炎ウイルスRNA陽性患者376例においてALTとコーヒー消費量を調査.毎日のドリップコーヒーは用量依存性にALTを低下or正常値を維持させる効果がある.缶コーヒー,インスタントコーヒー,ノンカフェインコーヒーでは効果乏しい.

お香もタバコと同様に体に毒?
Cohen R, et al. Hazard assessment of United Arab Emirates (UAE) incense smoke. Sci Total Environ 2013; 458-460: 176-86
ヒト肺細胞をお香の煙に曝露させるとタバコの煙と同様の炎症反応が生じた.
※お香は必ずしもいいわけではないようです.喫煙者がお香に曝露されると発癌リスクが増加するという論文もあります→Environ Health Perspect 2011; 119: 1641-6

トラベルミンで背が伸びる?
Matsushita M, et al. Meclozine facilitates proliferation and differentiation of chondrocytes by attenuating abnormally activated FGFR3 signaling in achondroplasia. PLoS One 2013; 8: e81569
メクロジン(トラベルミン)に骨の伸長促進作用があることが判明.
※人間で実証はされてませんよ.

怒りっぽい人は心血管疾患再発リスクが少ない?
Nakamura S, et al. Prognostic value of depression, anxiety, and anger in hospitalized cardiovascular disease patients for predicting adverse cardiac outcomes. Am J Cardiol 2013; 111: 1432-6
心血管疾患で入院した患者414例の追跡調査.心血管疾患再発および死亡リスクは,怒りやすい性格の患者で66%有意に少なく,抑うつ患者では2.62倍に増加する.
※意外な結果でした.すぐ怒る人はストレスをためこまないということでしょうか?

虫垂は無用の長物ではなく,残せるなら残した方がよい?
Masahata K, et al. Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch. Nat Commun 2014; 5: 3704
虫垂のリンパ組織が粘膜免疫で重要な免疫グロブリンIgAを産生しており,腸内細菌叢の制御に関与している.マウスモデル研究.

夫婦円満の秘訣は血糖値?
Bushman BJ, et al. Low glucose relates to greater aggression in married couples. Proc Natl Acad Sci U S A 2014; 111: 6254-7
血糖値が低いと怒りの感情や攻撃性が増すため,幸せな結婚生活を送りたい夫婦にとっては好ましいことではない.107組夫婦の朝食前と就寝前の血糖値を21日間測定した前向き観察研究.
※「恋人を怒らせたらスイーツを」の原則ですね.

論文のWikipediaからの引用
Bould MD, et al. References that anyone can edit: review of Wikipedia citations in peer reviewed health science literature. BMJ 2014; 348: g1585
インパクトファクターが高い主要医学誌も含め,論文にWikipediaからの引用がみられた.Wikipediaから引用した記事を出版する際,エディターやレビュアーは注意すべきである.1008医学誌1433報告の検討.

若い血液を輸血すると若返る?
Villeda SA, et al. Young blood reverses age-related impairments in cognitive function and synaptic plasticity in mice. Nat Med 2014; 20: 659-63
ヒトの年齢で20~30歳に相当する生後3か月のマウスから輸血を複数回行ったところ,同56~69歳に相当する生後18か月のマウスの脳の構造に変化がみられ,また機能的な改善もみられた.
※ドラキュラ理論でしょうか.実は類似する研究がさらに2つ報告されています.人身売買に利用されなければいいですが・・・

動物実験と研究者の性別
Sorge RE, et al. Olfactory exposure to males, including men, causes stress and related analgesia in rodents. Nat Methods 2014; 11: 629-32
男性や男性が着たTシャツが存在するとき,マウスは無痛覚,ストレスホルモンの増加,体温の上昇,脱糞など恐怖の兆候を示した.実験動物は男性研究者の匂いでストレスを感じる可能性.
※研究者の性別がバイアスになってくる時代がくるのでしょうか

変わった人が異性に魅力的にうつることもある
Janif ZJ, et al. Negative frequency-dependent preferences and variation in male facial hair. Biol Lett 2014; 10: 20130958
異性の注目を引く上で変わった人に見えることは最悪の結果をもたらすと思われがちだが,実際には異性にとって魅力的に映る場合もある.ある種の特徴が少人数にのみ備わっている場合は魅力になる.
※変人がモテることもあるということでしょう.

かゆいところをかく意義
Kardon AP, et al. Dynorphin acts as a neuromodulator to inhibit itch in the dorsal horn of the spinal cord. Neuron 2014; 82: 573-86
脊髄から分泌されるダイノルフィンは掻痒感を抑える.掻痒部をひっかいたり冷やしたりする行為はダイノルフィン分泌を促進させることで掻痒感を抑制する.マウスモデル研究.
※かゆいところをかく行為にはちゃんと意味があったんですね.

携帯電話使用は脳腫瘍発生リスクを増加させる
Coureau G, et al. Mobile phone use and brain tumours in the CERENAT case-control study. Occup Environ Med 2014; 71: 514-22
携帯電話通話時間の合計が896時間以上で神経膠腫発生リスクが2.89倍,髄膜腫発生リスクが2.57倍に有意に増加する.また,携帯電話に18360回以上コールがあると神経膠腫発生リスクが2.10倍有意に増加する.携帯電話の頻回使用は脳腫瘍の危険因子である.脳腫瘍患者447例と対照群892例を比較した症例対照研究.
※院内PHSはどうなんでしょうね?

夢を見ながらこれは夢だと気づく明瞭夢
Voss U, et al. Induction of self awareness in dreams through frontal low current stimulation of gamma activity. Nat Neurosci 2014; 17: 810-2
明瞭夢(夢の最中に「あ,これは夢だ」と気がつく夢)の経験がない成人27例で,レム睡眠に入ってから2分後に前頭葉に微弱電を30秒間与えると77%が明瞭夢を見た.
※明瞭夢は私もよく経験するんですが,見れる人って意外に少数派なんですね.

他人への不信と認知症
Neuvonen E, et al. Late-life cynical distrust, risk of incident dementia, and mortality in a population-based cohort. Neurology 2014; 82: 2205-12
他人への不信が重度の人は認知症リスクが3.13倍に増加する.死亡リスクも統計学的に有意ではないが増加する傾向がみられた.1449例解析

脳と筋肉のバランス進化論
Bozek K, et al. Exceptional evolutionary divergence of human muscle and brain metabolomes parallels human cognitive and physical uniqueness. PLoS Biol 2014; 12: e1001871
人間の脳は全エネルギーの20%を消費する高い基礎代謝率が必要となり,筋肉の退化と引き換えに脳が進化し,高い認知能力を得た.人間,チンパンジー,マカクザル,マウスの比較研究.
※進化論の観点からも,文武両道ってすごいと思うんです.

チンパンジーの短期記憶,パターン認識能力,視覚的判断は人間より優れている
Martin CF, et al. Chimpanzee choice rates in competitive games match equilibrium game theory predictions. Sci Rep 2014; 4: 5182
かくれんぼのコンピュータゲームをヒトとチンパンジーにプレイさせたところチンパンジーが勝った.チンパンジーは優れた短期記憶,パターン認識の能力,素早い視覚的判断によりゲーム理論の理解でヒトより優れている.
※自然の中で生き抜く力としての情報の単純化把握はヒトよりチンパンジーの方が優れているということでしょうか.

なぜ舌を噛まずに食物を摂取できるのか?
Stanek E 4th, et al. Monosynaptic premotor circuit tracing reveals neural substrates for oro-motor coordination. Elife 2014; 3: e02511
舌を噛まずに食物を摂取できるメカニズム解明.
※蛍光する遺伝的に無毒化したバージョンの狂犬病ウイルスでタグづけして筋と神経の作用を観察しています.狂犬病ウイルスが神経をたどっていく性質を利用しているようです.

背が低い男性の方が長生きする?
He Q, et al. Shorter Men Live Longer: Association of Height with Longevity and FOXO3 Genotype in American Men of Japanese Ancestry. PLoS One 2014; 9: e94385
背の低い男性は長寿と関連性があるFOXO3遺伝子を持つ傾向がある.ハワイのオアフ島に住む8006人の日系アメリカ人男性を対象とした観察研究.

アメフトは脳海馬減少と関連する
Singh R, et al. Relationship of collegiate football experience and concussion with hippocampal volume and cognitive outcomes. JAMA 2014; 311: 1883-8
アメフトでの脳震盪は脳海馬の減少と関連していた.アメフトの経験年数は反応速度低下と関連していた.アメフト選手50例と背景因子でマッチした非アメフト選手対照25例の横断研究.
※米国やカナダではアメフトやアイスホッケーでの脳機能の研究がさかんです.

記憶の回復
Parra-Damas A, et al. Crtc1 activates a transcriptional program deregulated at early Alzheimer's disease-related stages. J Neurosci 2014; 34: 5776-87
記憶に関係する脳の海馬にアルツハイマー病で阻害されるタンパク質を生成する遺伝子Crtc1を注入すると失われた記憶が回復する.アルツハイマー病マウスモデル研究.

カフェイン摂取で記憶力向上
Borota D, et al. Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans. Nat Neurosci 2014; 17: 201-3
カフェイン摂取で記憶力が向上する.健常ボランティア73例での二重盲検RCT.
※カフェインが海馬に作用するようです.私は論文読んでるときはよくブラックガムをかんでいるですが,正解?

電気ショックは不愉快な記憶を消す?
Kroes MC, et al. An electroconvulsive therapy procedure impairs reconsolidation of episodic memories in humans. Nat Neurosci 2014; 17: 204-6
重症うつ病患者42例に2枚の写真を見せ,その後そのうち1枚の写真を思い出してもらう瞬間に脳に電気ショックを与えるとその1枚を思い出せなくなった.もう1枚は明確に思い出せた.脳電気ショックは不愉快な記憶を消す可能性がある.

早漏症の定義変更
Serefoglu EC, et al. An evidence-based unified definition of lifelong and acquired premature ejaculation: report of the second international society for sexual medicine ad hoc committee for the definition of premature ejaculation. J Sex Med 2014;11:1423-41
国際性医学学会による科学的根拠に基づいた早漏の定義と診療ガイドラインの改訂.先天性なら1分以内,後天性なら3分以内と定義された.
※国際性医学学会は不妊や夫婦間問題など様々な性の問題をまじめに研究している学会で,早漏症はかなり重要な問題だそうです.治療薬にはSSRIが有効とされている他,スプレー製剤もあります.

アダルトビデオを見る人は脳の一部が小さい
Kühn S, et al. Brain Structure and Functional Connectivity Associated With Pornography Consumption: The Brain on Porn. JAMA Psychiatry 2014 May 28
ポルノ鑑賞頻度が高くなるにつれて線条体右尾状核の灰白質体積が小さくなる.64例観察研究.
※考察では,脳線条体体積が小さいと快楽を経験するための外部刺激をより多く必要とするの可能性があり,そのためにより多くの報酬としてポルノ鑑賞を経験している可能性がある,とのことです.

女性名がつけられたハリケーンだと死亡リスク3倍?
Jung K, et al. Female hurricanes are deadlier than male hurricanes. Proc Natl Acad Sci U S A 2014; 111: 8782-7
女性名がつけられたハリケーンは,男性名のハリケーンに比べ人々が脅威を感じにくいため,死者の数が3倍になっている.1950-2012年のコホート研究.
※日本も台風に「初○ミ○」とか女性名つけたら死亡リスク上がっちゃうんでしょうか?

牛肉より鶏肉を食べた方が乳癌になりにくい?
Farvid MS, et al. Dietary protein sources in early adulthood and breast cancer incidence: prospective cohort study. BMJ 2014; 348: g3437
成人早期の赤肉を多く摂取すると乳癌発生リスクを22%増加,家禽類を多く摂取すると乳癌発生リスクを27%減少させる.閉経前女性88803例前向きコホート研究.
※若い女性のみなさん,牛肉より鶏肉の方が乳癌になりにくいかもですよ

早食いは太る
Hamada Y, et al. The number of chews and meal duration affect diet-induced thermogenesis and splanchnic circulation. Obesity 2014; 22: E62-9
健常若年男性10例を早食い群と遅食い(よくかむ)群で比較.遅食い群の方が消化管血流が増加し,消化吸収活動が増え,エネルギー消費量も高くなる.
※「早食いが太る原因」「よくかんで食べよ」の実証.データを見ると遅食いの方がエネルギー消費量が25倍です.

肉を炭火で焼くと発癌物質が発生するが,ビール漬けしてから焼くと発生しにくくなる
Viegas O, et al. Effect of beer marinades on formation of polycyclic aromatic hydrocarbons in charcoal-grilled pork. J Agric Food Chem 2014; 62: 2638-43
肉を炭火で焼くと発癌物質であるPAHが発生する.豚肉を4時間ビール漬けし炭火で焼くとPAHが減少する.ビール別ではブラックエールなら53%,ピルスナーなら13%,ノンアルコールのピルスナーなら25%減少する.

うがいの水は飲み込まない方がよい
Arimatsu K, et al. Oral pathobiont induces systemic inflammation and metabolic changes associated with alteration of gut microbiota. Sci Rep 2014; 4: 4828
歯周病の原因菌を飲み込むと腸内細菌が変化して様々な臓器や組織に炎症を引き起こす.これは歯周病が糖尿病や動脈硬化を進行させる原因である.Porphyromonas gingivalisを用いたマウスモデル研究.
※一時期飲み込んだ方がいいなんてテレビで言ってた方がおられましたが,よくないようです.ちなみにPorphyromonas gingivalisは今では関節リウマチの原因菌として知られています.

飲酒時のウコンは肝臓によくない
Zhao HL, et al. Negative effects of curcumin on liver injury induced by alcohol. Phytother Res 2012; 26: 1857-63
クルクミン(ウコンの成分)はアルコールと同時に投与されると,濃度依存的にアルコール性肝障害を増悪させる.マウスモデル研究.
※なお,ついでにヘパリーゼについても.ヘパリーゼは副作用はほとんどないけど人間での有用性を検討した論文が実は1個もありません.動物実験結果からはアルコール摂取に対する有効量は体重1kgあたりヘパリーゼW1本ぶんに相当しますので,体重50kgなら50本一気呑みしなきゃいけないですね.

「赤ワインはポリフェノールが入っているので体にいい」は嘘?
Semba RD, et al. Resveratrol Levels and All-Cause Mortality in Older Community-Dwelling Adults. JAMA Intern Med 2014 May 12
赤ワインに豊富に含まれているポリフェノールであるレスベラトロールは,炎症マーカー,心血管疾患,癌,死亡率を減らさず,人を長生きさせる効果はない.783例前向きコホート研究.
※ついに赤ワイン健康説が人間を対象とした研究で否定されました.フランス人が脂肪食をよく摂取するのに心臓病が少ないというフレンチパラドックスを赤ワインが説明しうるPMID:11373252)というのを御存知の方もおられるでしょうが,その後,実際の心臓病発生率は他国と変わらないことをWHOが指摘しています(PMID:19364995).なお,赤ワイン100mLあたりのレスベラトロール量は0.3mgです.過去に人間においてレスベラトロールが脂肪関連にいい影響を与えたとする二重盲検RCTで最も投与量が少なかった研究では1日250mg.赤ワイン換算で毎日83リットル呑めば効きます.呑めますか?

肉類・油ものを摂取したときは赤ワインよりもビールやお茶?
Nekohashi M, et al. Luteolin and quercetin affect the cholesterol absorption mediated by epithelial cholesterol transporter niemann-pick c1-like 1 in caco-2 cells and rats. PLoS One 2014; 9: e97901
ポリフェノールの一種であるルテオリンとケルセチンは腸管からコレステロール吸収とコレステロール輸送を阻害する.マウスモデル研究.
※赤ワインのポリフェノールはレスベラトロールだから別です.ビールとお茶にはケルセチンが入っています.

緑茶は認知症リスクを減少させる
Noguchi-Shinohara M, et al. Consumption of green tea, but not black tea or coffee, is associated with reduced risk of cognitive decline. PLoS ONE 2014; 9: e96013
緑茶は認知症や軽度認知機能障害の発症リスクを,毎日飲むことで68%減少,週に1-6日飲むことで53%減少させる.認知症発症リスクに限定すると74%減少させる.コーヒーや紅茶では効果なし.60歳以上の日本人490例コホート研究.

レモンでダイエット?
Hiramitsu M, et al. Eriocitrin ameliorates diet-induced hepatic steatosis with activation of mitochondrial biogenesis. Sci Rep 2014; 4: 3708
ヒトと遺伝子配列や肥満のメカニズムが似る小型熱帯魚ゼブラフィッシュを太らせ,レモンに多く含まれるエリオシトリンを投与すると,肝臓脂肪が減少した.また,ヒトから取り出した肝細胞にエリオシトリンを添加すると脂肪蓄積が抑制された.

断食は免疫を活性化する?
Cheng CW, et al. Prolonged Fasting Reduces IGF-1/PKA to Promote Hematopoietic-Stem-Cell-Based Regeneration and Reverse Immunosuppression. Cell Stem Cell 2014; 14: 810-23
6カ月毎に2-4日間の断食を行うことで老化や腫瘍成長のリスクと関連するプロテインキナーゼAが減
少する.断食が幹細胞を活性化し,免疫細胞を再生する.
※癌患者への有用性は…?

ウォッカ飲みすぎは早死にする
Zaridze D, et al. Alcohol and mortality in Russia: prospective observational study of 151,000 adults. Lancet 2014; 383: 1465-73
ロシアの成人20万人の前向きコホート研究.ウォッカはロシア成人の早死にリスクの主要原因.
※まあ当たり前な結果ではあるんですが,論文見ると,飲んでる量が桁違いです.週何本とかいうレベルですので.

ウォッカ一気飲みでエンドトキシン血症に
Bala S, et al. Acute binge drinking increases serum endotoxin and bacterial DNA levels in healthy individuals. PLoS One 2014; 9: e96864
体重あたり2mL/kgの40%ウォッカを一気飲みすると,腸粘膜の透過性亢進により血中エンドトキシン濃度が上昇する.得られた濃度上昇では理論上,TNFα,IL-6,ケモカイン,MCP-1の濃度上昇をきたしうる.健常成人25例観察研究.
※ウォッカのショットグラス2杯一気飲みでエンドトキシン血症になるようです.お酒による末梢血管拡張も伴うため,一種の敗血症性ショックモデルになるかもですね.

毎日の多量飲酒で精神機能,認知機能が低下する
Sabia S, et al. Alcohol consumption and cognitive decline in early old age. Neurology 2014; 82: 332-9
多量飲酒を毎日続ける人の精神機能はアルコール摂取量が少ない人に比べて1年半から6年間分ほど衰えが早い.36g/日以上アルコールを摂取する人は記憶や脳機能が急激に低下した.7153例コホート研究.
※毎日飲むなら1日1杯までにしておいた方がよいようです.

脱法ハーブは脳細胞を死滅させる
Tomiyama K, et al. Cytotoxicity of synthetic cannabinoids on primary neuronal cells of the forebrain: the involvement of cannabinoid CB1 receptors and apoptotic cell death. Toxicol Appl Pharmacol 2014; 274: 17-23
脱法ハーブで確認された合成カンナビノイド系化合物のうち8種類の成分をマウスの脳神経細胞に与えたところ,脳神経細胞のアポトーシス誘導するなど強い毒性が示された.
※国立精神・神経医療研究センターからの報告です.脱法ハーブは救急医療においてはかなり深刻な問題になってきています.法律上の対策が急務です.
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by DrMagicianEARL | 2014-07-02 21:30 | 文献 | Comments(0)
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■「First, Do No harm !」「Avobe All, Do No Harm !」(まず/何よりも,害を与えてはならない)という言葉は頻繁に使われており,ラテン語ではPrimum Non Nocereである.PubMedで「Do no harm」または「Primum non nocere」で検索すると1000を超える文献がヒットしており,この短く分かりやすい言葉がいかに引用されているかが分かる.ではこの言葉の由来についてはみなさんは御存知だろうか?

■「"First, Do No Harm"はヒポクラテス(Hippocrates)の誓いのひとつである」と由来を答える人がほとんどと思われる.しかし,ヒポクラテスの誓いにはこのような短文はない.ヒポクラテスの誓いの中には,英訳で「I will prescribe regimens for the good of my patients according to my ability and my judgment and never do harm to anyone.(自身の能力と判断に従って,患者に利すると思う治療法を選択し,害と知る治療法を決して選択しない.)」とあり,ここが類似している点である.確かにこの文章の一部としてDo No Harmを取り出したと考えることもできるかもしれない.しかしながら,意味がわずかながら異なってくること,ラテン語としては合わないことも指摘されている.そもそも頭につく「First」や「Above all」はいったいどこから来たのか?

■実は近年の由来の調査[1]では,この「Do No Harm」はヒポクラテスの言葉ではないとされている.弟子のガレン(Galen)という説もあったが,それも否定的であり,この言葉の由来は実はヒポクラテスの誓いにつながらない可能性が高いとされている.「First, Do No Harm」という言葉をヒポクラテスの言葉として引用すべきではなく,用いるならヒポクラテスの誓いからそのまま文章を引用すべきである.

■多くの人がこの言葉の由来を勘違いしている上に,教育現場でも不適切な引用が非常に多い.この言葉を批評というよりは象徴として用いていること[2]や,この言葉そのものに対する批判もでてきている.短い言葉ゆえに,しかも「First」や「Above all」が前に付いた結果,害を与えないことが前面に出すぎてしまいヒポクラテスの誓いが意図する意味と乖離し[3],害を過剰評価することで患者が得られるであろう利益とのバランスを考えなくなってしまうリスクがある[4].それゆえ「First, Do No Harmという短い言葉だけを示すのは不適切である」と指摘されている.
※私はこの「First, Do No Harm」という言葉は,原稿や講演会では使わないようにしています.

■話がやや脱線するが,私はエビデンスネガティブデータの扱いについて,とりわけ感染症・集中治療領域でここ1-2年間で感じていた,うまく言葉では言い表せない違和感をネット上で感じていた.これはFirst, Do No Harmというフレーズ(この言葉が出てきたわけではないが)の負の面を知らないうちに反映されていた心理的バイアスを感じ取っていたのではないかと考えている.

■たとえば薬剤の批判的吟味の際,有効性に関する報告は厳しく査読しつつ,ネガティブデータに関してはConclusionsだけに飛びついたかのような極端な発言がネット上で見受けられるのも事実である(仮にその先生がちゃんと読んで吟味していても,ネット上の発言はそう見えてしまうということ).私自身,2年くらい前はネガティブデータの論文の吟味が今よりかなり甘かったのも事実で,すぐに飛びついて過剰反応していた.リスクとベネフィットのバランスまでを深く考えていなかった部分もあった.そしてあるときに,「あれ?できる限りニュートラルに,と思っていたのに自分にバイアスがかかってる」と感じるようになり,ふとネットで周囲を見ると,そんなバイアスが全体的にかかっているようにも見えることに気がついた(私自身もそのバイアスが完全に消えたわけではなく,なかなか難しいところがある).

■要は,情報発信があったら,その元となる論文をちゃんと自分で確認し,自分で判断する,ということをちゃんと行うべきである.しかし,医療従事者全員がそうともいかず,理想がなかなか達成できない部分はある.英語を読むのが苦手な人もいれば,論文の吟味がまだ苦手な人や論文を読もうにも時間がない人も多い.自分の専門外領域の論文であれば読む優先順位が下がって後回しになることもあるかもしれない.そこに声が大きい先生の解釈等が提示されると,その通りに流れてしまう人もいて,おそらくその数は決して少なくない.そして,その傾向が特にネガティブデータ論文がでたときによく見られる.

■情報の受け取り側は相当ヘテロな集団である.「そんなことをいちいち気にしてたら情報発信もできなくなる」,と言われそうだが,情報発信と受け取りにおいてできる限り注意しておきたい部分である.
※と書きつつなんですが,このブログのこれまで書いてきた記事すべては極力ニュートラルな視点を心がけようとはしていますが,私の考えのフィルターがかかっているというバイアスリスクがあることが前提として読んでください.最近,いろんな病院の先生から「研修医が抄読会で先生のブログから記事を引っ張ってきてました(笑)」と言われることもあってちょっと気がかりにはなっているのですが,ちゃんと元論文を熟読・吟味してくださいね.

■First, Do No Harmについての由来等を検証した詳しい論文について読まれたい方は,ややマニアックな内容ではあるが以下の文献[1]がおすすめである.

[1] Smith MC. Origin and Uses of Primum Non Nocere - Above All, Do No Harm. J Clin Pharmacol 2005; 45: 371-7
[2] Brewin T. Primum non nocere ? Lancet 1994; 344: 1487-8
[3] Touhey JF. Balancing benefit and burden: merely avoiding harm does not carry out the intent of the Hippocratic oath. Health Prog 1989; 70: 77-9
[4] Lasagna L. The therapist and the researcher. Science 1967; 158: 246-7
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by DrMagicianEARL | 2014-06-25 20:30 | 文献 | Comments(0)
■慢性腰痛(Modic type 1)の原因がニキビの原因であるPropionibacterium acnes(アクネ菌)であったという報告[1,2]や,関節リウマチの原因が口腔内常在菌のPorphyromonas gingivalisであったという報告[3]など,予想外の疾患が感染症であるという報告が相次いでいます.今では常識となっている,胃潰瘍・胃癌とHelicobacter pylori(ピロリ菌)の関係も30年前の発見当時[4]はかなりの衝撃だったようです.今回紹介する論文は動脈硬化の進展にピロリ菌と同じHelicobacter属のHelicobacter cinaedi(シナディ菌)が関与していることを発見したものです.
マクロファージにおける向炎症反応促進するHelicobacter cinaediによる動脈硬化の進行
Khan S, Rahman HN, Okamoto T, et al. Promotion of atherosclerosis by Helicobacter cinaedi infection that involves macrophage-driven proinflammatory responses. Sci Rep 2014; 4: 4680
PMID:24732347

Abstract
Helicobacter cinaediはヒトの菌血症の原因となる最も一般的な腸肝Helicobacter属であるが,その病原性は明らかではなかった.我々は動脈硬化におけるH. cinaediの関連性をin vivoおよびin vitroで検討した.我々は高脂血症マウスにおいてH. cinaedi感染が動脈硬化を有意に増強させることを発見した.感染したマウスの大動脈部では,少なくとも局所的に細菌介在性の向炎症性遺伝子発現によって好中球とF4/80発現泡沫細胞の集積増加が認められた.感染が無症候性であるにもかかわらず,H. cinaediのCytolethal Distending Toxin RNAの検出が大動脈感染で生じた.培養したマクロファージでのH. cinaedi感染はコレステロール受容体の発現に変化をもたらし,泡沫細胞化を引き起こした.また,感染はTHP-1単球の分化も誘導した.これらのデータは経験的モデルでの動脈硬化におけるH. cinaediの病原的役割としての初めてのエビデンスを示しており,それによって動脈硬化や心血管疾患における腸肝Helicobacter属の果たしうる役割のさらなる研究を正当化するものである.
■ようするに,感染細胞ではコレステロールの取り込みが増え,かつコレステロールが細胞外に排出されにくくなるため,動脈硬化が進行するということである.

Helicobacter cinaedi(シネディ菌)は腸に多い菌であり,感染者は1-2割存在するとも言われている.1984年に初めてヒトへの感染が判明したが,分離や培養が難しいとされている[5-9].また,血流に入るにもかかわらず無症候性感染が多い[10-13].抗菌薬は奏功しやすいものの再発も多いことが特徴で,簡単には除菌とはいかないと思われる.

[1] Rahme R, Moussa R. The modic vertebral endplate and marrow changes: pathologic significance and relation to low back pain and segmental instability of the lumbar spine. AJNR Am J Neuroradiol 2008; 29: 838-42
[2] Albert HB, Sorensen JS, Christensen BS, et al. Antibiotic treatment in patients with chronic low back pain and vertebral bone edema (Modic type 1 changes): a double-blind randomized clinical controlled trial of efficacy. Eur Spine J 2013; 22: 697-707
[3] Scher JU, Abramson SB. Periodontal disease, Porphyromonas gingivalis, and rheumatoid arthritis: what triggers autoimmunity and clinical disease? Arthritis Res Ther 2013; 15: 122
[4] Unidentified curved bacilli on gastric epithelium in active chronic gastritis.
Lancet 1983; 1: 1273-5
[5] Kitamura T, Kawamura Y, Ohkusu K, et al. Helicobacter cinaedi cellulitis and bacteremia in immunocompetent hosts after orthopedic surgery. J Clin Microbiol 2007; 45: 31-8
[6] Iwashita H, Fujii S, Kawamura Y, et al. Identification of the major antigenic protein of Helicobacter cinaedi and its immunogenicity in humans with H. cinaedi infections. Clin Vaccine Immunol 2008; 15: 513-21
[7] Solnick JV. Clinical significance of Helicobacter species other than Helicobacter pylori. Clin Infect Dis 2003; 36: 349-54
[8] Uçkay I, Garbino J, Dietrich PY, et al. Recurrent bacteremia with Helicobacter cinaedi: case report and review of the literature. BMC Infect Dis 2006; 6: 86
[9] Vandamme P, Harrington CS, Jalava K, et al. Misidentifying helicobacters: the Helicobacter cinaedi example. J Clin Microbiol 2000; 38: 2261-6
[10] Fernandez KR, Hansen LM, Vandamme P, et al. Captive rhesus monkeys (Macaca mulatta) are commonly infected with Helicobacter cinaedi. J Clin Microbiol 2002; 40: 1908-12
[11] Fennell CL, Totten PA, Quinn TC, et al. Characterization of Campylobacter-like organisms isolated from homosexual men. J Infect Dis 1984; 149: 58-66
[12] Khan S, Okamoto T, Enomoto K, et al. Potential association of Helicobacter cinaedi with atrial arrhythmias and atherosclerosis. Microbiol Immunol. 2012; 56: 145-54
[13] Totten PA, Fennell CL, Tenover FC, et al. Campylobacter cinaedi (sp. nov.) and Campylobacter fennelliae (sp. nov.): two new Campylobacter species associated with enteric disease in homosexual men. J Infect Dis 1985; 151: 131-9
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by DrMagicianEARL | 2014-05-01 19:07 | 文献 | Comments(0)
2014年1月31日掲載
2014年3月10日追記・改訂
この記事は鳥取大学の研究について紹介したものですが,ちょうどSTAP細胞論文がNature誌からpublishされたニュースがでた頃と重なったため,Abstractの下にちょっとだけ言及しました.しかし,この1ヶ月ちょっとで事態がいろいろと変わり,STAP細胞論文そのものに疑いがもたれている状況にあるため,今回追記改訂しました.


■iPS細胞理論(というより体細胞の再プログラミング(初期化)による多能性獲得の理論)の応用で,癌細胞を正常細胞に戻すという,一般的抗癌剤や分子標的治療薬ではなしえなかった,これまでにない癌根絶治療のパラダイムシフトともいえる夢の治療法が見えてきたのかもしれません.しかも,この研究は日本(鳥取大学)からの報告です.
Hsa-miR-520dは幹性誘導により肝癌細胞を正常な肝組織に誘導する
Tsuno S, Wang X, Shomori K, et al. Hsa-miR-520d induces hepatoma cells to form normal liver tissues via a stemness-mediated process. Sci Rep 2014; 4: 3852
PMID:24458129

Abstract
【目的・方法】
ヒトncRNA遺伝子RGM249は癌細胞の分化度の範囲を制御し,293FT細胞をhiPSCsに転換する.この過程にある因子を特定するため,我々はin vitroで293FT細胞およびHLF細胞におけるレンチウイルスから誘導したmiR-520d発現の効果を検討した.続いて,我々は異種移植モデルにおいて腫瘍の形態を評価した.

【結 果】
移植されたHLF細胞は24時間以内にOct4およびNanogが陽性となり,p53のアップレギュレーションとヒトテロメレース逆転写酵素遺伝子(hTERT)のダウンレギュレーションを示し,ほとんどは移動能を失っていた.レンチウイルス感染後,細胞はマウス腹腔内に注入され,1ヶ月後の注入部位において,成熟(良性)奇形腫(6%),腫瘍なし(87%),成熟肝組織内の分化(7%)がみられた.

【結 論】
我々は単一のマイクロRNA(miRNA)の発現によってin vivoで癌細胞の悪性度を消失させることを初めて示した.このmiRNAは293FT細胞と肝臓癌細胞をhiPSC様細胞に転換させることに成功した.miR-520dによる悪性度の制御は,p53のアップレギュレーションを維持しつつ癌細胞を正常幹細胞に転換する.
■ここで登場している293FT細胞は京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞に使用した細胞である.この293FT細胞や未分化癌を幹細胞に変化させると,癌抑制遺伝子であるp53を高発現している.それまではmiR-302 familyやmiR-369,200cなど多数種のマイクロRNA併用による幹細胞への初期化が検討されているが,単一マイクロRNAでこのような結果が得られたことはこれまでなかった.この研究では未分化癌細胞にmiR-520dを導入すると,わずか12時間で細胞が変化し,癌細胞とはまったく異なる細胞に転換している.この検討は高分化の癌細胞でも検討されており,1ヶ月の期間を要して同様の変化がみられている.よって,悪性度が高い低分化の癌細胞ほど容易に良性化に転換しやすい特徴があることが分かる.このmiR-520dは極めて小さい分子であり,癌細胞への感受性が高い.

■本研究ではレンチウイルス(遺伝子導入ツールとしてよく用いられる)を使用しており,このウイルスを用いずに可能な技術なのかは考慮しておく必要があるかもしれない(レンチウイルスには癌化リスクもある).また,miR-520Rがどのように作用しているのかの機序の解明がまだ不明確なようである(8000以上の遺伝子を標的にしているようで,解明は困難を極めるかもしれない).

----- STAP細胞に関する内容ここから.文字がグレーの部分は1月31日の記事-----
■先日報道され話題になっているSTAP細胞(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cell;刺激惹起性多能性獲得)[1,2]についても少しとりあげておく.STAP細胞は理研発生・再生科学総合研究センター細胞リプログラミング研究ユニットの小保方晴子研究ユニットリーダーを中心とする研究ユニットと,同研究センターの若山照彦元チームリーダー,および米国ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授らの共同研究グループによる成果である.

■iPS細胞は遺伝子を導入することで初期化し,多能性をそなえた幹細胞であり,簡便に作製できるが,ES細胞ほどの能力を有さない.STAP細胞は遺伝子導入が不要で,刺激を与えるのみで作製が可能で,iPS細胞よりも作製効率が向上しているようである.さらに,STAP細胞は,試験管の中では細胞分裂増殖が生じない(iPS細胞やES細胞は試験管内増殖が可能).しかし,ACTH培養下,あるいはFGF4培養下ではSTAP細胞は細胞分裂による増殖が可能であった.興味深いことに,ACTH培養下では体の細胞を造る能力はあるが胎盤や羊膜を造る能力はなく,逆にFGF4培養下では体の細胞は造れず,胎盤や羊膜を造れる能力を有していた.胎盤や羊膜の細胞への変化はiPS細胞やES細胞では不可能であり,それゆえ今回のSTAP細胞は全能性の可能性があるとされている.

■このSTAP細胞研究のlimitationとしては,生後1週間のマウスを用いている点であり,実際には,大人のマウスでは成功率が極端に低くなってしまうとのことで(加齢による細胞劣化が原因とのこと),ここをクリアすることが1つの大きな検討課題となると思われる.また,試験管内では増殖できないゆえに大量調整ができないことも課題となっている.

■理研とSTAP細胞の共同研究を行ったハーバード大学研究チームは,脊髄損傷で下半身が不自由になったサルをSTAP細胞による治療実験を進めている.STAP細胞を作製し,これをサルの背中に移植したところ,サルが足や尻尾を動かせるようになっている(論文化予定とのこと).


以下追記

■このSTAP細胞論文について,Guo Jianliらの論文からの文章の剽窃や,Robert Blellochらの論文からの文章剽窃が指摘されているが,それ以上に,画像において疑義がでていることから捏造の疑いがもたれている.まず,この研究では生後1週マウスの脾臓由来のTリンパ球を用いており,TCR再構成をもって初期化を証明するものであったが,それを示すDNA電気泳動写真のレーン3の部分に切り貼りを行った形跡があり,GLバンドないことが指摘された.その後の理研のプロトコル発表ではTCR再構成がなくともSTAP細胞と呼んでよいという定義に変わっており,初期化ではなく単に元からあった幹細胞を選択(スクリーニング)しただけの可能性がある(そうであれば生後1週マウスでなければ成功しにくいことも納得がいくため,limitationが致命傷となりうる).これによりそもそもの初期化あってこその大発見という意義が失われてしまう.

■さらに3月9日に小保方博士の博士論文に使われた画像がSTAP細胞論文の画像と酷似していることが発見され,流用の疑いがもたれている.具体的には,博士論文の骨髄sphere由来のテラトーマ/Mesoderm免疫染色画像とSTAP細胞由来のテラトーマ/Mesoderm免疫染色画像が同一写真ではないかと指摘されている.この部分はSTAP細胞の多能性を示す重要な部分となるが,この2つの論文の研究はまったく関係がないものであり,もし画像流用であれば多能性すら示せておらず,捏造が確定ということになる.なお,理研で作ったSTAP細胞をハーバード大学に送ってテラトーマの写真を撮影したことになっており,テラトーマの写真についてはハーバード大学のバカンティ教授も把握しているはずである.この件についてバカンティ教授からの説明を求めることも必要であろう.

■なお,小保方博士の過去の論文においても多数の実験画像において不適切なデータ処理・加工・流用が疑われている状況にあるほか,脊髄損傷のサルをSTAP細胞移植で治療したと発表したバカンティ教授のグループの小島宏司氏の論文における不適切な画像流用が2件発覚しており,事態は予想以上に深刻な可能性がでてきている.

■現在,Nature誌のSTAP細胞論文はオープンとなり,理研およびハーバード大学が調査中であるが,第3者の詳細調査が必要であろう.なお,小保方博士とその共同執筆者からは現時点で説明はない.

[1] Obokata H, Wakayama T, Sasai Y, et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 2014; 505: 641-7
[2] Obokata H,1Sasai Y, Niwa H, et al. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Nature 2014; 505: 676-80
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by DrMagicianEARL | 2014-03-10 16:13 | 文献 | Comments(0)

by DrMagicianEARL