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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:感染対策( 24 )

■私も参加した多施設共同RCTであるJSEPTIC-CRBSI trialがCritical Care誌にpublishされたので紹介させていただきます.本研究は中心静脈・動脈カテーテル挿入時・管理中に使用する消毒薬(0.5%または1%クロルヘキシジンアルコール,ポビドンヨード(イソジン®))を比較したものです.本邦においてクロルヘキシジンを浸透させるためには,あらためて本邦発のデータとして0.5%クロルヘキシジンアルコールの10%ポピドンヨードに対する優位性を示す説得力のあるデータを出すことが必要であり,また,どの濃度のクロルヘキシジンアルコールが推奨されるべきなのか決着をつけるために0.5%と1%クロルヘキシジンアルコールの直接比較も必要であるとして本研究が組まれました.2012年11月13日にkick off meetingを行い,5年を経てpublishです.結果は,クロルヘキシジンアルコールがポビドンヨードよりも有意にコロナイゼーション(菌汚染)が少ないという結果であり,カテーテル挿入時の消毒はポビドンヨードよりもクロルヘキシジンが推奨されるものと考えます.オープンアクセスですので是非ご参照いただき,各施設でのクロルヘキシジン推奨にご活用ください.
https://ccforum.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s13054-017-1890-z?site=ccforum.biomedcentral.com

■主要評価項目をカテーテルコロナイゼーションとしているのは,既存の研究のほとんどがこのアウトカムを主要評価項目としていること,CRBSIの発生率はもともと低いため,消毒薬間で有意差を出すには必要となるサンプル数が非常に多くなってしまうことが理由です.カテーテルコロナイゼーションの発生率とCRBSIの発生率は相関することが既に報告されており(Clin Infect Dis 2002; 35: 1053-8),カテーテルコロナイゼーションの発生率に対する有用性を示すことでCRBSI発生率減少への有用性へと結びつけることが可能であると考え,主要評価項目に設定しています.実際に本研究ではCRBSI発生率に有意差はありませんでしたが,クロルヘキシジン群の方が少ない傾向がみられています.

■プロトコルですが,消毒薬はクロルヘキシジンで30秒間×2回,ポビドンヨードで2分間×2回行い,中心静脈カテーテルを挿入する際にはマキシマルバリアプレコーションを,動脈圧ラインを挿入する際にはマスク・手袋・ドレープでプレコーションを行い,カテーテルを挿入しました.挿入後は清潔にポリウレタン性の非抗菌フィルムドレッシング剤でカテーテル刺入部を覆い,交換は7日毎,ただし,カテーテル挿入部付近の浸出が多い場合には清潔なガーゼドレッシングに変更としました.ドレッシング交換時は割り付けられた消毒薬と同様のものを使用しています.

■なお,余談ですが,「ポビドンヨード(イソジン®)消毒時は乾くまで待て」と教えられた先生方はけっこうおられるのではないでしょうか?これは間違いです.ポビドンヨードは2分間たたなければちゃんと作用してくれませんので,乾けば2分未満でもOKというものではありません.そういう意味でも30秒ですむクロルヘキシジンはおすすめです.最近は色付きのクロルヘキシジンがありますので消毒範囲も見えるようになっています.あと,これは私がSNSで医療従事者にアンケートをとってみたのですが,「イソジン®の一般名はポ『ピ』ドンヨードかポ『ビ』ドンヨードか?」で699名中475名(68%)の方が間違っているポピドンヨードを選択されていました.ポリビニルピロリドンの略でポビドンヨードが正解です.
カテーテルコロナイゼーション予防のための3種類の局所消毒薬の効果の比較:多施設共同無作為化比較試験(JSEPTIC-CRBSI trial)
Yasuda H, Sanui M, Abe T, et al; for Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care (JSEPTIC) Clinical Trial Group. Comparison of the efficacy of three topical antiseptic solutions for the prevention of catheter colonization: a multicenter randomized controlled study. Crit Care 2017; 21: 320

Abstract
【背 景】
血管内カテーテルコロナイゼーション予防のための3つの消毒薬[0.5%および1.0%のクロルヘキシジンアルコール(CHG)と10%ポビドンヨード(PVI)]の効果の比較を行うため,我々は日本の16施設ICUの患者で無作為化比較試験を行った.

【方 法】
中心静脈および動脈カテーテル挿入を行う成人患者を,カテーテル挿入およびドレッシング交換の際に使用する3つの消毒薬の1つに無作為に割り付けた.主要評価項目はカテーテルコロナイゼーションの発生率,副次評価項目はカテーテル関連血流感染症(CRBSI)の発生率とした.

【結 果】
無作為化された1132本のカテーテルのうち,796本(70%)が解析に組み込まれた.カテーテルコロナイゼーション発生率は0.5%CHG,1%CHG,PVIで1000カテーテル-日あたりそれぞれ3.7,3.9,10.5であった(p=0.03).群間でのカテーテルコロナイゼーションの対比較では,PVI群でカテーテルコロナイゼーションリスクが有意に高かった(0.5%CHG vs PVI: HR 0.33 [95%CI 0.12–0.95], p=0.04; 1.0%CHG vs PVI: HR 0.35 [95%CI 0.13–0.93], p=0.04).多重代入法による全患者を含んだ感度解析では,一貫した定量的結果を示した(0.5%CHG vs. PVI: HR 0.34, p=0.03; 1.0%CHG vs PVI: HR 0.35, p=0.04).群間のCRBSIの発生率に有意差はみられなかった.

【結 論】
血管内カテーテルコロナイゼーションの予防のための0.5%および1.0%CHGは10%PVIより優れていた.

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by DrMagicianEARL | 2017-12-23 17:43 | 感染対策 | Comments(0)
2016年11月1日作成
2017年11月1日改訂

11月は薬剤耐性(AMR)対策推進月間です

■世界保健機関WHOにより2015年から11月18日を含む週が世界抗菌薬啓発週間(World Antibiotic Awareness Week)と定められました(2017年は11月13~19日).この流れに合わせる形で,日本政府は2016年から,11月を「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」と定めて対策強化に乗り出しています.

1.薬剤耐性菌の脅威

■これまで多数の抗菌薬が開発されてきましたが,なかでも1970年代以降は広範囲の菌に有効な抗菌薬が多数登場し,一時は「これで細菌感染症は撲滅できる」という楽観的な予測をしていた専門家もいたくらいでした.しかし,近年状況は大きく変わりました.米国でポピュラーな感染症診療の教科書であるInfection Diseasesは,Frederick Southwickの「われわれは抗菌薬の時代の終焉にいるのか?」という衝撃的な見出しから始まっています.抗菌薬の乱用により数多くの薬剤耐性菌(抗菌薬が効かない菌)が発生し,病院内に留まらず,その地域にまで拡大しており,その速度は医師の想像の範疇を大きく越えるものでした.感染症に対する武器である抗菌薬を手にしたにもかかわらず,我々は今抗菌薬を失い始めています.
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■1925年にAlexander Flemingがアオカビからペニシリンを発見し,1940年にはペニシリンが実用化となりました[1].ペニシリンの登場は多くの人の命を救い,日本でも肺炎患者の死亡者数が激減しています.1945年,Flemingはノーベル賞を受賞することになりますが,その受賞レクチャーの中で,耐性菌出現を予言していました.その予言は的中することになります.実際に,ペニシリン実用化から20年足らずでペニシリンが効かない黄色ブドウ球菌が急増したのです.しかし,ペニシリン耐性菌は本剤が臨床で使用されるようになる以前から存在していたことも報告されています[2].自然環境においてはペニシリンをはじめとする抗菌物質を菌が産生することにより自分のなわばりのようなものを作ることが知られていて,この抗菌物質に曝露される菌は多数存在しており,それらが生き延びるためには抗菌物質に対する耐性を持つ必要がありました.つまり,環境微生物に由来する抗菌性物質には古くから耐性菌が存在することは必然的なことであり,同時に抗菌薬に対する耐性獲得も時間の問題であったということです.

■これまでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のアウトブレイクにより認識が広がりだした多剤耐性菌は,現在,ほとんどの抗菌薬が効かないESBL,NDM-1,KPC,MBLといった驚異的な耐性度をもつタンパクを有する菌が発見されるまでになっています.このような多剤耐性菌は免疫が弱った患者が感染するものと考えられてきましたが,近年,一般市民に感染するMRSAが増加傾向にあり[3,4],2011年にドイツで食中毒により大流行した大腸菌O-104はESBL産生株という耐性菌であることも分かっており[5],2011年には京都でほとんどの抗菌薬が無効の淋菌が報告されています[6,7].最近では,「スーパー耐性菌」として米国等で高度耐性菌の発生がメディアで報じられるようになりました.

■現在世界では,耐性菌によって(低く見積もっても)年間70万人が死亡していると推計されています.これらの死亡原因が敗血症(年間600万人死亡)であるならば,敗血症患者の10人に1人以上が耐性菌が原因ということになります.耐性菌の現状をこのまま放置すれば,2050年には年間1000万人が死亡すると推計されており[8],世界で5秒に1人が耐性菌による敗血症で死亡する時代がきてしまうかもしれません.
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■これまで多数の抗菌薬が開発されてきましたが,そのほとんどの抗菌薬が開発から10年以内,早ければ数年程度で耐性化した菌が検出されています[9].このように菌の耐性化と新たな抗菌薬創薬のイタチゴッコが繰り広げられてきた中,抗菌薬開発はビジネスとしてリスクが高い割には(ジェネリック医薬品の登場もあり)あまり収益が見込めない分野であり[10],採算性などの観点から最近は抗菌薬開発から撤退する企業が増加しています[11].米国でも2020年までに新たな10種類の抗菌薬を開発するプロジェクトが行われていますが,その背景には,1980年代以降,新規開発の抗菌薬の数が減少し続けているという厳しい現状があります[12].2016年のEUの報告書でも,2003年から2013年にかけての医薬品ベンチャー投資のうち抗微生物薬開発に充てられたのはわずか5%未満でした[13].抗菌薬の効果を維持するとともに,新薬を開発するため,資金を含めた各国政府の支援と求める宣言を85の製薬会社が共同で発表しています[14]

2.耐性菌危機に対する急速な世界の動き~AMR対策アクションプラン~

■2015年にWHO(世界保健機関)はWHO AMR Global Action Plan 2015を発表しました.この発表では耐性菌対策のための「啓発・教育」「サーベランス・モニタリング」「感染予防・管理」「抗微生物薬の適正使用」「研究開発」の5本柱を提示しており,これを基に,世界各国に2年以内のアクションプランの立案とその履行を求め,また,アクションプランの実行と達成度の評価を行い,2年ごとにWHOに報告することとしました.これを受けて,同年6月にドイツはシュロス・エルマウで開催されたG7首脳会議(サミット)においては,抗菌薬の効かない薬剤耐性(AMR;Antimicrobial Resistance)の菌の拡大を防ぐため,先進7カ国(G7)が協調して新薬を開発し,家畜への抗菌薬の不適切な使用を減らすなどの対策強化を盛り込んだ共同声明が出されました.
G7共同声明要旨・WHOのAMR Global Action Planを支持する・自国の国別Action Planの策定・見直・効果的な実施とともに,他国のアクションプラン策定を支援する・ヒト及び動物の健康,農業並びに環境など全分野を含むOne Health Approachに強くコミットする・抗生物質の適正使用を促進し,基礎研究,疫学研究,感染予防促進,新規創薬,代替的治療,ワクチン及び迅速検査の開発に取り組む・国別アクションプランの策定または見直し及び共有に当たり薬剤耐性と戦う共同の努力を考慮することにコミットする
■2016年9月の神戸で行われたG7保険大臣会合でも4つの共同声明の中で3番目に薬剤耐性(AMR)対策が盛り込まれています[15].また,同時期に行われた国連総会でも,薬剤耐性菌についてのハイレベルミーティングが行われました[16].さらに,世界銀行は,「薬剤耐性菌感染症は未来の経済への脅威である」というレポートを出しています[17].このように,世界首脳の集まりにおいて重要な議案に取り上げられるほどに事態は危機を迎えつつあります.
2016年国連総会ハイレベルミーティングの内容
(1) 人,動物に対する抗菌薬の使用・販売量のサーベイランスと規制の仕組みを充実させる.
(2) 新規抗菌薬の開発や迅速診断の改善のため革新的な研究を推進する.
(3) 薬剤耐性菌の感染症をいかに防ぐかについて医療従事者や市民の教育を行う.
■また,これらの問題は単にヒトの医療のみにとどまりません.ヒトの衛生のみならず,家畜の衛生,環境の衛生の関係者が連携して対策に取り組むべきであるとする「One Health」の理念が普及・推進されています.2016年11月10・11日に北九州市で「第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議」が開催されます.

■今や耐性菌対策は国家レベルの問題となっており,現在世界各国がアクションプランを開始しています.新規の抗菌薬開発を促進させること,抗菌薬を適切に使用すること,感染症を予防することで抗菌薬使用を減少させることが必要であり,今ある抗菌薬を未来に残す必要があります.

3.日本での対策

■世界の流れに日本が乗り遅れていた中,日本では2015年の抗菌薬啓発週間から感染症医の有志によるキャンペーンが行われました.さらに,2016年2月には感染症関連の8学会(日本感染症学会,日本化学療法学会,日本環境感染学会,日本臨床微生物学会,日本細菌学会,日本薬学会,日本医療薬学会,日本TDM学会)合同創薬促進検討委員会・抗微生物薬適正使用推進委員会が厚労省,文科省,経産省への提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」[18,19]を出しています.
8学会合同の提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」の主な内容
(1) 戦略的な耐性菌サーベイランスの実施
(2) 院内感染対策・制御のさらなる徹底
(3) 行政との連携による抗菌薬適正使用支援の推進
(4) 新規創薬を促進するための施策・連携・協力(日本版GAIN法制定など産官学連携施策が必要)
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■日本政府もようやくこれらの問題に対応する形で,2016年4月5日に我が国の行動計画(アクションプラン)が策定・公表され[20,21],「抗菌薬の使用量を3分の2に減らす」「耐性菌に効果のある新薬の開発」など具体的なプランを立て始めました.
日本政府が提示した2020年までの目標
(1) 2020年の人口千人当たりの1日抗菌薬使用量を2013年水準の3分の2に減少させる.
(2) 2020年の経口セファロスポリン系(≒セフェム系),フルオロキノロン系,マクロライド系の人口千人あたりの1日使用量を2013年水準から50%削減する.
(3) 2020年の人口千人当たりの1日静注抗菌薬使用を2013年水準から20%削減する.
(4) 2020年の肺炎球菌のペニシリン耐性率を15%以下に低下させる.
(5) 2020年の黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を20%以下に低下させる.
(6) 2020年の大腸菌のフルオロキノロン耐性率を25%以下に低下させる.
(7) 2020年の緑膿菌のカルバペネム(イミペネム)耐性率を10%以下に低下させる.
(8) 2020年の大腸菌および肺炎桿菌のカルバペネム耐性率0.2%以下を維持する.
■また,日本での耐性菌の調査・研究を行う新たな組織を国立感染症研究所と国立国際医療研究センターに2つ設置し,2017年度予算の概算要求に2組織の設置など耐性菌対策費5.7億円を盛り込んでいます.

■さらに,タレントの篠田麻里子さんやJOYさんをAMR対策の応援大使に任命し,また,機動戦士ガンダムともコラボしたポスターを作るなど国を挙げて普及活動に取り組んでいます.
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■医療従事者による普及啓発の動きもあります.有志によって作られた抗微生物薬啓発週間のサイト[22]では,普及啓発に関する情報がまとまっていますので,是非ご参照ください.
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4.一般市民の方へ

■一般市民レベルでは,抗菌薬の不適切使用をなくし,感染症を防ぐことが必要です.
(1)風邪などのウイルス感染症に抗菌薬は効きません.
■抗菌薬が効かない風邪やインフルエンザなのに,よく外来で「抗菌薬がほしい」とおっしゃる患者さんは大勢おられます.中には,抗菌薬を使わなくても普通に治っただけなのに,病院で処方された抗生剤を飲んだタイミングでよくなったから「抗生剤がよく効いた,今後も飲もう」なんて勘違いされるケースもよくあります.2016年に内閣官房が行った一般市民アンケート結果では,半数弱が「抗菌薬はウイルスをやっつける」,4割が「抗菌薬は風邪やインフルエンザに有効」と思っていることがわかりました.これは間違いです.
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■もちろんこれは一般市民の方が悪いわけではありません.抗菌薬が不要な患者さんに漫然と抗菌薬を処方してきた医療側に大きな問題があり,これが医療・市民の両方で慣例化してしまっているという現状があります.実際には,医療現場で使用されている抗菌薬の半分~2/3は不必要あるいは不適切であるとされています[23,24]

■本記事は世界的な耐性菌対策として書いてはいますが,不必要な抗菌薬を処方しない理由としては耐性菌以外にも理由はあります.急性呼吸器感染症153万例の研究[25]では,肺炎による入院は抗菌薬投与群で18例/10万回受診,非投与群で22例/10万回受診であり,1人の入院を予防するために12255人に抗菌薬を投与する必要があるとの結果で,抗菌薬はほぼ効果がないに等しい数値であり,むしろアレルギーや下痢などの副作用(場合によってはアナフィラキシーショックや重症の腸管感染症を引き起こして腸切除に至るケースもあります)のリスクの方がはるかに高いです.要するに,風邪程度で抗菌薬を服用するのは害の方が益を上回る可能性が高く,当然ながらコストもかかります(ただし,A群溶血性連鎖球菌による咽頭扁桃炎や百日咳では抗菌薬は必要です).

■風邪と思っても抗菌薬が必要となるケースも中にはありますが,それを正確に判断することは困難です.しかし,最初はただちに抗菌薬を処方せず症状軽減の薬剤のみを処方して様子を見て,その後悪化したときだけ使用する,という方法が,抗菌薬を最初から処方する場合と比較して症状の期間にほぼ差はなく,抗菌薬使用量が減少した,と報告されています[26]
(2)抗菌薬は医師から処方されたときのみ服用しましょう.(たとえ家族であっても)他人に抗菌薬をあげない・もらわないようにしましょう.
■家に昔病院でもらった抗菌薬が残っていたり,友人・知人・家族から抗菌薬をもらったりすることがあるかもしれません.あるいは最近は抗菌薬をインターネットで海外から購入することもできます.しかし,医師の診察による感染症の診断なしに勝手に抗菌薬を内服するのは効果も安全性もまったく保障できないばかりか診断を遅らせてしまう要因になりかねません.必ず病院を受診して感染症の診断を受け,抗菌薬の必要性有無を判断してもらい,その上で処方をされたときだけ内服しましょう.
(3)処方された抗菌薬は途中でやめず,必ず処方内容通りきっちり内服しましょう.
抗菌薬は効果を考えて投与間隔や投与期間を設定して処方されます.勝手にやめてしまったり服用を忘れたりすると効果が不十分になったり,菌が抗菌薬に耐性を獲得してしまう可能性があります.
(4)手洗いは感染症の予防となり,抗菌薬の使用を減少させます.
■手洗いが感染症を予防することは既に数多くの報告がなされており,日常生活で最も簡単な予防手段です.当然ながら抗菌薬が必要となる感染症の予防にもつながりますし,耐性菌が体内に入ることも防いでくれます.

5.2020年に向けて

■日本は島国ということもあり,海外で見られるようなほとんどの抗菌薬が効かないような耐性菌を検出することはまだ稀ではあります.日本は1990年代から急速に発展した感染対策と感染症診療により耐性化を抑えており,いい意味でガラパゴス化しており[27],この現状を悪化させてはいけません.しかし,近年,医療ツーリズムによる海外からの患者の入院に加え,外国人観光客が急増しており,また,日本人の海外への旅行も活発化していて,美容整形のための渡航も増えています.当然ながらこのような人の動きは感染症の伝播の要因となっており,耐性菌伝播も例外ではありません.世界中に感染症が伝播する原因として非常に大きなイベントが2つ挙げられます.1つはメッカの巡礼であり,もう1つはオリンピックです.2020年に日本は東京オリンピックを迎えます.我々はこの外からの耐性菌の流入の可能性を踏まえて迎え撃たなければなりません.

■AMR対策アクションプランは2020年までの目標を掲げています.また,感染症の最重症病態である敗血症においても,2017年5月24日にWHO総会で「世界的に解決すべき課題」として認められ,その声明の中でも耐性菌対策が掲げられています.2020年まであと3年足らずしかありませんが,未来の感染症,敗血症死亡の予防のために,できる限りアクションプランの数値目標をクリアできるよう,産官学民の総力戦で対策に取り組む必要があります.

[1] Bush K. The coming of age of antibiotics: discovery and therapeutic value. Ann N Y Acad Sci 2010; 1213: 1-4
[2] Abraham EP, Chain E. An enzyme from bacteria able to destroy penicillin. 1940. Rev Infect Dis 1988; 10: 677-8
[3] Naimi TS, LeDell KH, Como-Sabetti K, et al. Comparison of community- and health care-associated methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. JAMA 2003; 290: 2976-84
[4] Moran GJ, Krishnadasan A, Gorwitz RJ, et al. Methicillin-resistant S. aureus infections among patients in the emergency department. N Engl J Med 2006; 355: 666-74
[5] Christina F, et al. Epidemic Profile of Shiga-Toxin–Producing Escherichia coli O104:H4 Outbreak in Germany. N Engl J Med 2011; 365:1771-80
[6] Ohnishi M, Saika T, et al. Ceftriaxone-resistant Neisseria gonorrhoeae, Japan. Emerg Infect Dis 2011; 17: 148-9
[7] Ohnishi M, Golparian D, et al. Is Neisseria gonorrhoeae initiating a future era of untreatable gonorrhea?: detailed characterization of the first strain with high-level resistance to ceftriaxone. Antimicrob Agents Chemother 2011; 55: 3538-45
[8] Antimicrobial Resistance: Trackling a crisis for health and wealth of nations, the O'Neill Commission, UK, December 2014
[9] Cecchini M, et al. Antimicrobial resistance in G7 countries and beyond: economic issues, policies and options for action. 2015
[10] Livermore D. Can better prescribing turn the tide of resistance? Nat Rev Microbiol 2004; 2: 73-8
[11] French GL. What’s new and not so new on the antimicrobial horizon? Clin Microbiol Infect 2008; 14: S19-29
[12] Infectious Diseases Society of America. The 10 x ’20 Initiative: pursuing a global commitment to develop 10 new antibacterial drugs by 2020. Clin Infect Dis 2010; 50: 1081: 3
[13] https://english.eu2016.nl/documents/reports/2016/02/10/2016-report-on-antibiotic-rd-initiatives
[14] http://www.bbc.com/news/health-35363569
[15] http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kokusai/g7kobe/communique.html
[16] http://www.bbc.com/news/health-37420691
[17] http://www.worldbank.org/en/topic/health/publication/drug-resistant-infections-a-threat-to-our-economic-future
[18] 門田淳一,館田一博,二木芳人.新規抗菌薬の開発に向けた8学会提言「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」—提言発表の背景と目的ー.日化療会誌 2016; 64: 131-2
[19] 創薬促進検討委員会・抗微生物薬適正使用推進委員会.世界的協調の中で進められる耐性菌対策.日化療会誌 2016; 64: 133-7
[20] http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/pdf/yakuzai_gaiyou.pdf
[21] http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/pdf/yakuzai_honbun.pdf
[22] https://antibioticawarenessjp.jimdo.com/
[23] Hughes JM. Preserving the lifesaving power of antimicrobial agents. JAMA 2011; 305: 1027-8
[24] Fleming-Dutra KE, Hersh AL, Shapiro DJ, et al. Prevalence of Inappropriate Antibiotic Prescriptions Among US Ambulatory Care Visits, 2010-2011. JAMA 2016; 315: 1864-73
[25] Meropol SB, Localio AR, Metlay JP. Risks and benefits associated with antibiotic use for acute respiratory infections: a cohort study. Ann Fam Med 2013; 11: 165-72
[26] de la Poza Abad M, Dalmau GM, Bakedano MM, et al; for the Delayed Antibiotic Prescription (DAP) Group. Prescription Strategies in Acute Uncomplicated Respiratory Infections: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med 2016; 176: 21-9
[27] 朝野和典.敗血症の予防と早期発見.世界敗血症デー関連敗血症セミナー,東京.2013 Sep.8

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by DrMagicianEARL | 2017-10-31 18:44 | 感染対策 | Comments(0)
■ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン;通称「子宮頸がんワクチン」)が世に出てからかなりの年月が経ち,ついに長期追跡結果がでてきました.今回紹介する論文はLancetにonline firstでpublishされた9価HPVワクチン(ガーダシル9®)と4価HPVワクチン(ガーダシル®)を比較したRCTの追跡結果になります.結果は有意な有効性を示しており,「ワクチンで世界の子宮頸がんの90%を予防しうる」と結論づけています.

■日本では有害事象が相次いだとして係争中の状態にあり,現在HPVワクチンの接種推奨はストップしている状況です.その中で,日本からもHPVワクチン接種によって子宮頸がん発生に関連するタイプのHPVの感染率に9倍の差がみられたとするデータが報告され,日本産科婦人科学会は国に接種推奨再開を求める声明を発表しています.現在の接種推奨ストップの状況が続けば,子宮頸がんの領域において日本は後進国になってしまうでしょう.有害事象に関しては真にワクチンの副反応であったかについて議論されている状態ですが,ワクチン未接種群でも同様の症状が一定数見られていること,これまでの調査結果ではワクチンの副反応であったと結論づける結果はでておらず,引き続き調査が行われています.同時に有害事象が見られたが回復された患者の聞き取り調査も開始されています.
16-26歳の女性における9価ヒトパピローマウイルスワクチンの有効性,免疫反応,安全性の最終解析:無作為化二重盲検比較試験
Huh WK, Joura EA, Giuliano AR, et al. Final efficacy, immunogenicity, and safety analyses of a nine-valent human papillomavirus vaccine in women aged 16-26 years: a randomised, double-blind trial. Lancet. 2017 Sep 5. [Epub ahead of print]
PMID: 28886907

Abstract
【背 景】
16-26歳の若年女性における研究の主要解析で,感染やHPV 31, 33, 45, 52, 58に関連する疾患に対する9価ヒトパピローマウイルス(9vHPV; HPV 6, 11, 18, 31, 33, 45, 52, 58)ワクチンの有効性と,4価HPV(qHPV; 6, 11, 16, 18)ワクチンとの比較におけるHPV 6, 11, 16, 18に対する抗体反応の非劣性が示されている.我々の目的は,最初の投与後の6年間までの9vHPVワクチンの有効性と5年間の抗体反応を報告することである.

【方 法】
我々は,18ヶ国の105の研究施設で9vHPVワクチンの無作為化二重盲検での有効性,免疫原性および安全性試験を行った.健常で,異常な子宮頸部細胞診の病歴がなく,以前の異常な子宮頸部生検結果がなく,性的パートナーが4人を超えていない16-26歳の女性を,9vHPVまたはqHPVのワクチンを6ヶ月間で3回筋肉注射で接種するよう中央無作為化およびブロックサイズ4となるように無作為に1:1に割り付けられた.全ての被験者,本研究者,研究施設員,検査スタッフ,スポンサーの研究チームメンバー,病理学的診断スタッフはワクチングループ情報をマスクされた.主要評価項目はHPV 31, 33, 45, 52, 58に関連した高いグレードの子宮頸部疾患(子宮頸部上皮内腫瘍グレード2または3,腺癌,浸潤性子宮頸癌),外陰疾患(外陰上皮内腫瘍グレード2/3,外陰部癌),膣疾患(膣上皮内腫瘍グレード2/3,膣癌)の発生率,および抗HPV6, 11, 16, 18の幾何平均(GMT)抗体価の非劣性(1.5倍の減少を除く)とした.組織検体は組織病理学的診断で判定し,HPV DNA検査を行った.血清抗体反応は競合的ルミネックスイムノアッセイで評価した.有効性の主要評価は,有効性集団のper-protocolでの優越性解析で行い,支持的有効性は調整intention-to-treat集団での解析で行い,免疫の主要評価は非劣性解析で行った.本試験はClinicalTrials.govのNCT00543543で登録されている.

【結 果】
2007年9月26日から2009年12月18日の間に,14215例の参加者を9vHPVワクチン(7106例)とqHPVワクチン(7109例)に無作為に割り付けて登録した.per-protocol集団では,HPV 31, 33, 45, 52, 58に関連した高いグレードの子宮頸部,外陰,膣疾患は,9vHPV群で0.5例/10000患者-年,qHPV群で19.0例/10000患者-年であり,97.4%の効果(95%CI 85.0-99.9)を示した.HPV 6, 11, 16, 18 GMTはワクチン接種後1ヶ月から3年において9vHPV対qHPVで非劣性であった.両群間で重篤な有害事象の臨床的に意義のある差は見られなかった.研究追跡期間の間に11名の参加者(9vHPV群6例,qHPV群5例)の死亡があったが,ワクチンに関連すると考えられた死亡はなかった.

【結 論】
9vHPVワクチンはHPV 31, 33, 45, 52, 58に関連した感染,細胞診異常,高いグレードの病変,子宮頸部処置を予防する.9vHPVワクチンとqHPVワクチンはHPV 6, 11, 16, 18における免疫反応は同等であった.ワクチンの有効性は6年目でも持続していた.9vHPVワクチンは9vHPVワクチンは,潜在的に広い範囲をカバーし,世界中の子宮頸癌症例の90%を予防しうる.

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by DrMagicianEARL | 2017-09-19 11:03 | 感染対策 | Comments(0)
■入院患者の院内感染を疑った時,その鑑別疾患に末梢静脈カテーテル関連血流感染症は入っているでしょうか?中心静脈カテーテルであれば意識する方は多いですが,末梢静脈カテーテルでも血流感染は起きます.Makiら(Mayo Clin Proc 2006; 81: 1159-71)のシステマティックレビューによれば,末梢静脈カテーテルでも中心静脈カテーテルの約1/5の頻度で感染が起こるとされています.

■よく経験されるのは,アミノ酸輸液製剤(特にビーフリード®)に薬剤を混注する際にBacillus cereus(アルコール製剤耐性)が混入し増殖して感染を起こすケースです.また,皮膚定着菌による感染も生じることがあり,黄色ブドウ球菌だと厄介です.

■今回御紹介する論文は,末梢静脈カテーテル関連血流感染症62例をまとめた報告になります.
末梢静脈カテーテル関連血流感染症は重篤な合併症と潜在的死亡に関連する:後ろ向き観察研究
Sato A, Nakamura I, Fujita H, et al. Peripheral venous catheter-related bloodstream infection is associated with severe complications and potential death: a retrospective observational study. BMC Infect Dis 2017; 17: 434
PMID: 28623882

Abstract
【背 景】
本研究の目的は末梢静脈カテーテル関連血流感染症(PVC-BSIs)の臨床的特徴と予後を抽出し,重篤な合併症や死亡のリスクについて検討することである.

【方 法】
東京の2つの大学附属病院において,2010年6月から2015年4月までの後ろ向き観察研究を行った.我々は,血液培養陽性でPVC-BSIsと診断された62例の入院患者について,臨床症状,基礎疾患,検査結果,治療方法,再発率,合併症について検討した.

【結 果】
入院から菌血症発生までの中央期間は17日間(範囲3-142日間)であり,カテーテル挿入から菌血症診断までは6日間(範囲2-15日間)であった.カテーテル挿入部位は腕が48例(77.4%),足が3例(4.8%),記録なしが11例(17.7%)であった.加えて,原因店異物は,グラム陽性菌が58.0%,グラム陰性菌が35.8%,カンジダが6.2%,複数菌種が25.8%であった.8例(12.9%)の患者が血液培養陽性から30日以内に死亡した.PVC-BSIsの死亡患者は,黄色ブドウ球菌感染の率が生存患者よりも高かった(OR 8.33; p=0.004)

【結 論】
PVC-BSIsは医療関連感染の明らかな原因となりうる.合併症で集中治療や抗菌薬の長期間治療を要する重篤なPVC-BSIsのケースが見られ,いくらかの患者が死亡している.PVC-BSIs患者において,黄色ブドウ球菌菌血症は予後に影響しうる可能性がある主要な問題である.

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by DrMagicianEARL | 2017-06-20 11:19 | 感染対策 | Comments(0)
■つい先日,天皇陛下も肺炎球菌ワクチンを接種されておられました.肺炎球菌感染症は,インフルエンザと同様に厚生労働省のB群予防疾患としてワクチン接種が推奨されています.このB群予防疾患は重症化予防を重点においていますが,海外では既に,65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種(プレベナー®)により重症化予防のみならず肺炎球菌肺炎発症予防効果もあることが84496例を登録した二重盲検RCTであるCAPITA studyで報告されています.

■今回,本邦において肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®)の肺炎球菌に対する予防効果を検討した研究が報告されましたので紹介します.結果は全ての肺炎球菌肺炎を27.4%,PPV23に合致する血清型では33.5%減少させる予防効果が示されました.日本において重症化予防のみならず発症予防効果をも示せたことは大変意義のあることです.
65歳以上の成人における肺炎球菌肺炎に対する23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンの血清特異的効果:多施設前向き症例対照研究
Suzuki M, Dhoubhadel BG, Ishifuji T, et al; Adult Pneumonia Study Group-Japan (APSG-J). Serotype-specific effectiveness of 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine against pneumococcal pneumonia in adults aged 65 years or older: a multicentre, prospective, test-negative design study. Lancet Infect Dis. 2017 Jan 23. [Epub ahead of print]
PMID: 28126327

Abstract
【背 景】
65歳以上の成人において,肺炎球菌肺炎に対する23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(PPV23)の血清特異的効果はまだ確立されていない.我々は本集団においてPPV23の効果を評価した.

【方 法】
本多施設共同前向き研究においては,2011年9月28日から2014年8月23日まで研究を行う日本の4つの病院を受診した65歳以上の市中肺炎全例を登録した.肺炎球菌は喀痰と血液検体から分離し,莢膜Quellung法によって血清型を決定した.喀痰検体は肺炎球菌DNA抽出のためPCRアッセイによってさらに検査を行い,陽性検体はナノ流体リアルタイムPCRアッセイによって50の血清型に判定した.尿検体は尿中抗原で検査を行った.血清特異的ワクチンの効果は症例対照デザインを用いて推定した.

【結 果】
研究病院に2621例の患者が受診し,そのうち585例は喀痰検体が得られず解析から除外となった.2036例の患者のうち419例(21%)は肺炎球菌感染が陽性であった.(喀痰培養で232例,喀痰PCRで317例,尿中抗原検査で197例,血液培養で14例).522例(26%)の患者はワクチン接種を受けていたと判定された.PPV23による予防効果は,全ての肺炎球菌肺炎を27.4%(95%CI 3.2 to 45.6),PPV23に合致する血清型では33.5%(5.6 to 53.1),PPV23に合致しない血清型を2.0%(-78.9 to 46.3)減少させた.サブグループでは有意差は見られなかったものの,75歳未満,女性,大葉性肺炎または医療ケア関連肺炎においてより高い予防効果がみられた.

【結 論】
PPV23は65歳以上においてワクチン血清型肺炎球菌肺炎に対する低~中等度の予防効果を示した.現在の肺炎球菌ワクチンプログラムを改善させるため,高齢者の異なる集団におけるPPV23効果の変動性についてさらなる検討が必要である.

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by DrMagicianEARL | 2017-02-01 14:30 | 感染対策 | Comments(0)
■ジャーナリストであり医師でもある村中璃子氏がウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した「日本の反ワクチンパニック拡散を止めること」の記事が日本語訳がでないとのことですので,本ブログでざっと日本語での要約と補足資料を置いておきます.全文および原文はWSJサイトで御確認ください.内容は主にHPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン:子宮頸がんワクチン)と池田修一氏の不適切な研究についてですが,MMRワクチンで自閉症を発症するという捏造を行い医師免許取り消しとなったウェイクフィールド氏にも触れています.

■読んでいただければ分かる通り,反HPVワクチン騒動は日本の問題のみではなくなってきているようです.ワクチンに限った話ではないですが,根拠なき恐怖がもたらす実害は想像をはるかに超えた大きなものとなりえます.
全文・原文
Stopping the Spread of Japan’s Antivaccine Panic
Riko Muranaka
http://www.wsj.com/articles/stopping-the-spread-of-japans-antivaccine-panic-1480006636
日本の反ワクチンパニック拡散を止めること
寄稿:村中璃子氏

主な内容

■2013年6月、HPVワクチンが全国予防接種プログラムに含まれてからわずか2カ月後に有害な副反応疑いの報告が多数明らかとなったため、日本政府は積極的接種推奨を中止し、接種対象年齢層の女子のワクチン接種率は約70%から1%以下に低下した。
※日本産婦人科学会が同様のデータを発表しています。

■子宮頸がんは日本では毎年約9,300例の浸潤性子宮頸癌があり3,000例が死亡しており、多くは、HPVワクチンによって予防することができるものである。HPVワクチンの効果、有効性、安全性は何度も証明されていて、世界保健機構(WHO)および日本の医療機関によって支持され推奨されている。
※疫学データ,ワクチンについての詳細は以下の国立がん研究センターサイト,厚生労働省ホームページが参考になります
http://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html

■日本の厚生労働省の厚生科学審議会が策定した「ワクチン副反応検討部会」は、HPVワクチンと症状に因果関係はなく、ほとんどの症例は心身症の可能性が高いと結論づけた。名古屋市での約7万例の解析でも、ワクチン誘発症状とHPVワクチンとの間には有意な関連性は見られなかった。
※名古屋市のデータに関しては以下を参照ください(Wedge2016年6月)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7148

■しかし、2016年3月16日に、有害事象を調査するために政府から委託された主任研究者である信州大学の池田修一氏が、厚生労働省の科学研究費補助金の委員会で誤解を招く遺伝子やマウスの実験データを提示し、同日にテレビで「間違いなく脳障害の徴候がある。この結果は、このような脳障害を訴える患者に共通する客観的な所見を明確に反映している」と語っている。

■Wedge誌(2016年7月号参照)で村中璃子氏が報告した通り、ワクチン接種患者に統計的に有意な遺伝型はないことが判明、また、自己抗体沈着の証拠として提示された緑色蛍光の脳切片はワクチンを接種されたマウスのものではなく、1匹のマウスのみが使用されたチャンピオンデータであった。この告発のもと、信州大学は調査委員会を設置して調査を行い、11月15日に、信州大学は村中璃子氏の告発内容に同意する内容の記者会見を行ったが、データ捏造にはあたらないとした。一方で池田氏は実験の再現性を実証することを要求され、厳重注意を受けた。
※厚生労働省ホームページ参照
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/tp160316.html
※2016年11月16日読売新聞を参照
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161116-OYTET50005/

■厚生労働省は「厚生労働省としては、厚生労働科学研究費補助金という国の研究費を用いて科学的観点から安全・安心な国民生活を実現するために池田班への研究費を補助しましたが、池田氏の不適切な発表により、国民に対して誤解を招く事態となったことについての池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っております。また、厚生労働省は、この度の池田班の研究結果ではHPVワクチン接種後に生じた症状がHPVワクチンによって生じたかどうかについては何も証明されていない、と考えております。」という前例のない声明を発表した。
※厚生労働省ホームページ参照
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/tp161124.html

■2016年7月以降、数十名の副反応疑いの被害者が、各地の地方裁判所に日本政府とワクチン製造会社に対して訴訟を起こした。日本のメディアはこの訴訟を取り上げたが、医学的根拠については無視しており、これは、原告の主張に対する信頼性を不当に高めている。

■HPVワクチンの問題は過去最大のワクチンスキャンダルであるウェイクフィールド事件を連想させる。1998年、アンドリュー・ウェイクフィールド氏はMMRワクチンが自閉症を引き起こしたという証拠としてLancet誌に「科学的データ」を発表したが、後に捏造であったことが判明し、2010年に論文は取り下げ、医師免許は取り消しとなっている。
※下の方にあるリンク参照

■今年の初めに、ウェイクフィールド氏は「Vaxxed:From Cover-Up to Catastrophe」という映画を発表した。自閉症の子どもをもつロバート・デ・ニーロがトライベッカ映画祭でこの映画を上映しようとした。これにより、米国での反ワクチン感情が再び高まった。
※補足:実際にはトライベッカ映画祭で上映されることが発表されると「科学的な信憑性が低い」との批判を浴び、上映中止となった。しかし、配給会社はマンハッタンのアンジェリカ・フィルム・センターで公開した。

■我々は傍観して科学的ではない主張が全世界の人命を危険にさらすような状況を許容すべきでない。日本政府はHPVワクチンの積極的な接種勧告を復活させ、他国もワクチンの不合理な恐怖がさらに勢いづく前に、肯定的な範を示すべきである。
【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析(Wakefieldの論文捏造の詳細含む)
http://drmagician.exblog.jp/22025386/

MMRワクチンと自閉症の関連性に関する2014年8月の騒動について(Brian Hookerの不適切論文撤回)
http://drmagician.exblog.jp/22464500/

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by DrMagicianEARL | 2016-12-19 11:06 | 感染対策 | Comments(0)
2012年10月15日作成
2014年10月15日改訂


世界手洗いの日(Global Handwashing Day)
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■10月15日は世界手洗いの日(Global Handwashing Day)である.これは,UNICEF・世界銀行などからなる「せっけんを使った手洗いのための官民パートナーシップ」が2008年から実施されているもので,感染症の予防のため、石鹸を使った正しい手洗いの方法を広めるための活動が世界各地で行われる.

1.医療従事者の手指衛生

(1) WHO,CDCの推奨

■世界保健機関(WHO)は,手洗い・手指衛生(hand hygiene)を「決して付加的な行為ではなく,それ自体が不可欠な医療行為である」としている.しかしながら手指衛生はどの病院においてもきっちり守られているとはいえない現状がある.WHOガイドライン作成者でもあるPittetらの報告では,手指衛生実施率はほぼ50%を下回っている[1].仕事が忙しい(=ケアの頻度が増す)につれて,通常ならば手洗いの必要回数が増えるにもかかわらず,実際には手洗い実施率が極端に低下することも報告されている[2].手指衛生は耐性菌保有患者に接触するときのみに行うものではなく,全患者のケアにおいてなされるべきものである.

■医療従事者の手指が媒体となり,病原体の感染伝播が発生する5段階についてPittetらは警鐘をならしている[3]
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第1段階:患者の皮膚や患者周囲環境に病原体が存在する
皮膚には100-100万個/cm^2の常在菌が存在し,腋窩部や鼠径部には特に多い.健常な皮膚からは1日に100万個の落屑があり,細菌と一緒に剥がれ落ちる.MRSAなどの耐性菌が皮膚に定着している患者においては患者の皮膚のみならず周囲の環境から大量に耐性菌が検出される.Kramerらが各病原体の乾燥環境下での感染性持続時間を報告しているので参考にされたい[4].この報告を見ても分かる通り,数ヶ月以上生存可能な菌は非常に多い.

第2段階:医療従事者の手によって微生物が運搬される
医療ケアを行えば医療従事者の手指は10-20%が病原体で汚染され,菌が100-1000CFU付着する.これが衣服,パソコンのキーボードやPHS,ドアの取っ手をはじめさまざまな部位に触ることで他の医療従事者にも伝播されていく.実際,聴診器,ネクタイ,あごひげ,ネクタイなども汚染されていることが多数報告されている[5-11].医療現場ではネクタイ着用はしないよう英国医師会が提案しており[12],あごひげがある男性も剃るべきである[10]

第3段階:微生物は手の皮膚上で最低数分間は生存している
手指に付着した病原体はアシネトバクター属で60分,緑膿菌で30分程度は生存している.

第4段階:医療従事者による手指衛生が未実施,または,不適切である

第5段階:汚染された手指が別の患者と直接接触,あるいは患者が直接触れる可能性のある環境に付着する.

■米国CDCの隔離予防策ガイドライン[13]においては,手指衛生は標準予防策の構成要素の第1番目に挙げられており,①血液・体液などに触れた後,②手袋を外した直後,③次の患者をケアする前,の3つのタイミングが示されている.WHOでは“Clean care is safer care〝をスローガンに手指衛生の実施率改善に努めており,手指衛生の必要な5つの具体的場面を設定している[14]
① 患者に接する前(Before Patient Contact)
② 無菌的処置を行う前(Before Aseptic Task)
③ 体液曝露の可能性があった後(After Body Fluid Exposure Risk)
④ 患者に接した後(After Patient Contact)
⑤ 患者周囲環境に接した後(After Contact With Patient Surroundings)

■手指衛生には通常石鹸または消毒薬成分含有石鹸(スクラブ剤など)と水による手洗いと,水をしようしないアルコールをベースにした製剤の使用が含まれる.特に前述のCDCガイドラインで挙げられた3つの場面での手指衛生の必要性を述べた報告は多い[15-20]

(2) 手袋は手洗いの代用とはならない

■手袋の着用は手洗いの代用ではなく,手袋の着用が手洗い不要の理由とはならない.手袋を外す際にどれだけ注意を払っても手指は汚染される.また,手袋には微小孔(ピンホール)が医療従事者が考えているよりはるかに多く存在し,着用後にもピンホールは生じうる.実際,未使用の手袋でも微小な穴が1-7%存在し,再生処理したものでは10-75%の微小孔を認めたと報告されている[21].日本グローブ工業会によると,たとえ手術時の滅菌グローブであっても少なくとも1.5%にピンホールが空いているとされている.実際に手袋を脱いだ手から患者と同一菌が1.7-4.2%の割合で検出されている[22]

※2014年10月,テキサス州でエボラ出血熱患者がでた際に,ケアにあたった看護師がエボラ出血熱に感染した.この看護師はPPE(シールド付きマスク,キャップ,ガウン,手袋)によるmaximal barrier precautionをしていたにもかかわらず感染しており,PPEを脱ぐ際に手指に付着した可能性が指摘されている.適切なPPE着脱のチェックが必要である.

(3) 手指衛生の方法,流水手洗い後の乾燥について

■手の除菌という観点からは多くの場合,消毒薬成分含有石鹸や速乾性手指消毒薬の使用が,普通石鹸による手洗いより優れている[23,24].よって,目に見える汚染がある場合には流水による手洗いが推奨されるが,簡便さや除菌効果を考慮すると,それ以外の場合にはアルコール系消毒薬を含有した速乾性手指消毒薬の使用が適している.また,石鹸と流水による手指衛生のエビデンスの多くが,手洗い時間が30秒~1分の検討であるのに対し,実際の臨床現場では平均15秒未満である.なお,時間が短いほど石鹸成分が残留し,手荒れの原因となる.

■また流水の場合,乾燥に時間もかかる.これに対し,特定の洗い場の必要がなく,即効性があり,自然乾燥に時間のかからないアルコール製剤は臨床現場の実情に合っており,手指衛生遵守率を上昇させる可能性が高い.手洗い後の手指の乾燥はしばしば軽視されており,ペーパータオル3枚程度を使わなければ十分な乾燥はできない.濡れた手は乾燥した手の100-1000倍の菌を運ぶ[25].また,不十分な乾燥ではその後の手袋装着時に手指に余計な刺激を与えたり手袋が損傷する原因となる.手荒れを最小限に抑えるため,温水は使用せず,品質のよい紙タオルで(ゴシゴシこするのではなく)軽く叩くようにして水気をきるようにする.

■ただし,ノロウイルスなどの一部のウイルスや芽胞(Clostridium difficileなど)などにはアルコール系消毒薬は効果が低いことを確認し,石鹸や流水による手洗いを適宜組み合わせることが望ましい.ノロウイルスにおいてはin vitroで,30分間のエタノール製剤曝露によっても除去できないことが報告されている[26]

Clostridium difficile関連下痢が治癒してから間もない患者の皮膚,特に腹部,胸部にはCDが保菌されていることが報告されている[27].下痢が治ってからClostridium difficileの保菌率が50%以下になるのに7日間を要している.これは今後の院内での感染対策において大きな影響がある可能性がある.下痢症状が治ってもなお皮膚にClostridium difficileが保菌されている場合,院内伝播のリスクが大きく,下痢が治ってからも接触感染対策の期間を考慮しなければならない.

■手指消毒薬に菌が耐性化することは通常濃度で使用される限りはありえないため,抗菌薬のように消毒薬をローテーションさせる必要はない.

■ICUでの手洗いの水の水質に関してはCDCガイドラインにもはっきりした記載はなく,水道水でも十分であるという意見もあり,水質の定期的な細菌培養検査を行って十分な監視体制がとられている施設では水道水でよいが,そうでない施設では滅菌水が望ましい.また,水道管内に滞留している水にレジオネラが増殖することがある.このため,水を使用するときは最初の水をある程度流してから使用すべきかもしれない.

(4) 手指衛生遵守率の実態とその改善のために何をすべきか?

■どの施設でも指摘されているが,手指衛生の遵守率が最も低いのは医師である.大学病院多施設調査では,手の汚染と遵守率が最もひどいのは教授であり,若い医師ほど手指衛生遵守率が高いとされている.しかしながらその若い医師ですら看護師と比較すると手指衛生遵守率ははるかに低いのが現状である.手指衛生を調査した本邦4施設共同3545例観察研究[28]では,適切な手指衛生順守率は19%(医師15%,看護師23%)と報告されている.

■この数値から,院内感染・耐性菌水平伝播の原因に手指衛生不足がかかわっている可能性がかなり高いことが伺える.中には患者に触れさえしなければ院内感染は起こらないと考えている医師すらいるが大きな間違いである.これらの意識啓発をベテラン医師に行ってもおそらくは遵守率改善は望めない.よって,「鉄は熱いうちに打て」の通り,研修医から手指衛生を体で覚えさせる必要がある.また,サーベランスで,同一主治医から同一耐性菌を検出している場合は,ICTからその医師に対して手指衛生指導を行う必要もあるだろう.

■医療従事者以外,すなわち患者や患者家族などの手指衛生はついつい忘れられがちである.病院訪問者の手洗いの順守率は25%と非常に低いが,積極的な手洗い励行の介入によって遵守率は68%まで著明に改善し,長時間訪問者では77%まで改善したと報告されている[29].感染対策上必要であることを説明し,病室の出入りの際の手指衛生実施に協力いただけるようにすべきである.

■手指衛生を改善するための方策をWHOが提案している.
① システム変更(インフラ整備)
・アルコール式手指消毒剤をケア現場のすべてに配置
・手洗い場には液体石鹸,ペーパータオル,ごみ箱の設置
② 訓練と教育
・WHOが推奨する手指衛生の必要な5つの場面に基づく定期的な教育と正しい手指衛生手技の訓練
③ 評価と還元
・職員間で知識を共有および手指衛生実施状況調査の実施とその還元
④ 現場に手洗いのポスター掲示
・手指衛生の重要性を忘れないための手技やタイミングに関するポスターの掲示
⑤ 施設での医療安全の文化づくり
・手指衛生の改善を最重要事項とし,患者の安全を意識させる環境づくり
※個々の医療スタッフが速乾性消毒剤を持ち歩くのも有効である.

■知識・認識・行動制御・促進といった因子だけでは手指衛生の改善には十分でなく,行動の変化の決定要素に焦点をあてることでより手指衛生の改善がより有効なものとなる[30]

■各病院の手指衛生の状況を数値化する最も簡便な手段は手指消毒薬使用量データであり,各病院の感染対策室はこの数値を算出すべきと思われる.これに関しては,アルコール消毒薬の使用量で評価すると参考になる.具体的には,1回あたりの使用量が3cc(ヒビスコール®では1プッシュ1.5ccで1回あたり2プッシュ必要)として,全使用量を患者数×期間で割った「1人の患者につき1日に使用される量」を算出する.一般的には15cc/患者人/日が最低の標準ラインとされている.ただし,病室に入るときと出るときの最低2回を考えても,15cc/患者人/日だと消毒回数5回,すなわち2.5回しか病室に出入りがない計算になるため,実はこれでも少ない.

■手指衛生用速乾性アルコール消毒薬の使用量を増加させる一手段として,各スタッフが携帯式の消毒薬を持つことであり,これにより多くの施設で消毒薬使用量が増加した.

■SHEA/IDSAによる手指衛生のガイドライン[31]が発表されているので参考にされたい.

[1] Pittet D. Improving adherence to hand hygiene practice : a multidisciplinary approach. Emerg Infect Dis 2001; 7: 234-40
[2] Hugonnet S, Perneger TV, Pittet D. Alcohol-based handrub improves compliance with hand hygiene in intensive care units. Arch Intern Med 2002; 162: 1037-43
[3] Pittet D, Allegranzi B, Sax H, et al. Evidence-based model for hand transmission during patient care and the role of improved practices. Lancet Infect Dis 2006; 6: 641-52
[4] Kramer A, Schwebke I, Kampf G. How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A systematic review. BMC Infect Dis 2006; 6: 130
[5] Hota B. Contamination, disinfection, and cross-colonization: are hospital surfaces reservoirs for nosocomial infection? Clin Infect Dis 2004; 39: 1182-9
[6] Marinella MA, Pierson C, Chenoweth C. The stethoscope. A potential source of nosocomial infection? Arch Intern Med 1997; 157: 786-90
[7] Jones JS, Hoerle D, Riekse R. Stethoscopes: a potential vector of infection? Ann Emerg Med 1995; 26: 296-9
[8] Parmar RC, Valvi CC, et al. A prospective, randomised, double-blind study of comparative efficacy of immediate versus daily cleaning of stethoscope using 66% ethyl alcohol. Indian J Med Sci 2004; 58: 423-30
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[10] McLure HA, Mannam M, Talboys CA, et al. The effect of facial hair and sex on the dispersal of bacteria below a masked subject. Anaesthesia 2000; 55: 173-6
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by DrMagicianEARL | 2016-10-15 07:00 | 感染対策 | Comments(0)
■米国ではワクチンによって麻疹が排除され,「日本人を見たら麻疹と思え」なんて言われていたこともありました.しかし,その後,「もはやワクチンは不要」と言わんばかりの手の平の返しようで麻疹ワクチンを非科学的根拠で叩く人たちが増え,その結果米国で麻疹のアウトブレイクが起こることとなりました.

■Wakefieldの論文(後に捏造と判明)によって起こってしまった反ワクチン主義の方々のデマの吹聴により,それを鵜呑みにした親がワクチンを接種しなくなってしまう,なんて現象は国内外でよく見られます(Wakefieldの捏造,およびBrian Hookerの不適切論文撤回は以下を参照).
【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析(Wakefieldの論文捏造の詳細含む)
http://drmagician.exblog.jp/22025386/

MMRワクチンと自閉症の関連性に関する2014年8月の騒動について(Brian Hookerの不適切論文撤回)
http://drmagician.exblog.jp/22464500/
■SNS上でも私はよく反ワクチン主義者から突然喧嘩をふっかけられますが,彼らの口からは科学的根拠がまったく出てこず,議論しても陰謀論しか出てきません(論文は全部嘘だの金儲けだの人口削減計画だの).知識の元も怪しいブログばかりからしか引用してこないので嘘ばかりでてきます.挙句の果てに職場を教えろだのワクチン推進してるなら医師失格だのまあいろいろ言われますよ(笑).ちなみに,残念なことに医療従事者でワクチン関連で陰謀論を言ってる人もたまにいます・・・

■今回紹介する論文は,JAMA誌に掲載された,米国での麻疹・百日咳のアウトブレイクとワクチン接種拒否との関連性についてのレビューです.ワクチンでその疾患がほとんどみられなくなってもワクチン拒否している人がいればそのうちアウトブレイクが起こるべくして起こるわけです.日本でも他人事ではありません.日本脳炎や狂犬病等・・・
米国におけるワクチン拒否とワクチンで予防可能な疾患の関連性:麻疹と百日咳のレビュー
Phadke VK, Bednarczyk RA, Salmon DA, et al. Association Between Vaccine Refusal and Vaccine-Preventable Diseases in the United States: A Review of Measles and Pertussis. JAMA 2016 Mar 15;315(11):1149-58
PMID:26978210

Abstract
【背 景】
親が子供へのワクチン接種を躊躇することは,ルーチンでの予防接種を遅らせたり,州が義務付けているワクチン接種の免除を求めたりする可能性がある.米国においてワクチンで予防可能な疾患の最近起こったアウトブレイクはこの現象が注目されている.ワクチン接種拒否とこれらの疾患の疫学との間の関連性について改善された理解が必要である.

【目 的】
最近米国でアウトブレイクが生じた,ワクチンによって予防可能な疾患である麻疹および百日咳のワクチン接種遅延・拒否・免除とその疫学との関連性を評価するため,出版された文献のレビューを行った.

【方 法】
米国において麻疹が排除されたと宣言されて以降(2000年1月1日以降)に生じた米国の麻疹アウトブレイクの報告,米国での百日咳発生率が最も低いとき以降(1977年1月1日以降)の百日咳のエンデミックおよびエピデミック,およびワクチン接種遅延や免除において疾患のリスクを評価した研究について2015年11月30日にPubMedでの検索を行った.

【結 果】
18報の麻疹の研究(9報の年次要約と9報のアウトブレイク報告)が抽出され,麻疹例は1416例(年齢幅2週-84歳;178例は12か月未満)であり,麻疹ワクチン接種歴のない患者が過半数(56.8%)であった.詳細なワクチンデータのある970例の麻疹例のうち,574例はワクチン接種可能であったにもかかわらずワクチンを接種しておらず,405例(70.6%)は非医学的な免除であった(医学的禁忌とは対照的に,例えば,宗教や信条による理由が全部で41.8%であった).百日咳アウトブレイクの32報では,ワクチン接種状態が報告されている10609例(年齢幅10日-87歳)が含まれ,5つの最大の州全体でのエピデミックではワクチン未接種またはワクチン接種不十分(追加接種を受けていない)な人がかなりの比率であった(24-45%).しかしいくつかの百日咳アウトブレイクはワクチン接種率の高い集団においても発生しており,免疫の減衰が示唆されている.9報(12件のアウトブレイクを記載)がワクチン非接種例の詳細なワクチンデータが得られており,そのうちの8つのアウトブレイクではワクチン未接種者の59-93%がワクチン接種を意図的に避けていた.

【結 論】
排除された後の年において,米国の麻疹例のかなりの割合が意図的にワクチン接種を避けていた.ワクチン拒否の現象は,ワクチンを拒否した人とワクチン接種を完了した人における麻疹リスク増加に関連していた.百日咳の再興は,免疫の減衰やその他の要因に起因しているが,ワクチン拒否はいくつかの集団における百日咳リスクの増加と関連していた.

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by DrMagicianEARL | 2016-04-13 11:57 | 感染対策 | Comments(0)
■子宮頸がんを予防する目的で日本でも導入されたヒトパピローマウイルスワクチン(HPVV,通称「子宮頸がんワクチン」)は、接種後に有害事象がでたことが問題となり,積極推奨からはずれることになった経緯がある.

■ワクチンでは副反応が問題とされやすい.ワクチンはその性質上,免疫系の副反応を多少ともなうことは避けられない.また,ワクチンは健康な人間に接種されるため,病気を発症している患者に投与される薬剤とは異なり,副反応に関するハードルは高くなってしまい,過剰にたたかれる要因となっている.ワクチン接種後に発生した疾患や死亡に関して,ワクチンとの関連性を判定することは基本的には不可能であり,あくまでも前後関係に過ぎない.しかしながらこれらが因果関係ととられる誤解が生じ,結果的にワクチンの風評を生み出していることも少なくない.

■このような性質をもつワクチンは,いわゆる薬害団体や反医療主義者,科学的根拠のない医療推進者の餌食となりやすく,過剰なまでの反ワクチン主義をもたらし,ワクチン接種の妨げの一因となっている.厄介なことに,ワクチン反対論者は製薬メーカーのビジネスとからめた陰謀論を唱え,常に科学的研究法や科学的研究論文の査読を拒絶する特徴がある.これがエスカレートし,中には医師が反ワクチン団体から利権をもらうケースも存在する.

■子宮頸がんワクチンにおいてはその傾向が顕著に表れた.危惧されるのは,これらの反ワクチンの支援団体が被害者をプロパガンダとして利用するケース,さらにはそこに群がるニセ医療の集団である.結果的にこれらは,ワクチンによる真の副反応の病態解明を阻み,適切な治療救済すら受けられなくなることである.ここに嵌ればまず後戻りはできなくなる.

■ワクチン接種後に生じた有害事象をすべてワクチンが原因と短絡的に決めつければ,当然ながら真の副反応以外のノイズが大きくなってしまい,感度特異度の高い検査・診断が困難となる.そのためにも他の疾患を除外する必要があり,当然ながらそこには精神疾患や思春期特有の心因性のものが含まれてくる.これらの患者を除外していくことでより正確な副反応の解明につながり,治療法発見の契機になると思われる.しかし,これらの「心因性」「精神疾患」は,これも重要な他疾患のサインであるにもかかわらず,おおむね被害者家族には受け入れがたいようである.科学的検証はここでストップしてしまっているとも言える.

■より科学的検証を,と医師が声をあげても,被害者支援団体ががっちりガードするどころか,むしろ返ってくるのは陰謀論も含む誹謗中傷であるケースはよくあり,実際私もワクチン関連でのエビデンスを述べると,誹謗中傷が飛んできたばかりか勤務先を教えろという脅迫にも近い発言を受けたことがある.

■以下に紹介するのは,医師でありジャーナリストである村中璃子氏によるHPVVの記事である.おそらく,この視点から記事を書くことは相当な覚悟が必要であっただろうし,反ワクチン団体からの激しいバッシングが出てくることも容易に想像できる.だが,この視点で子宮頸がんワクチンの問題にメスを入れる必要は確実にある.長文3篇ではあるが,是非読んでいただきたい記事である.
あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 日本発「薬害騒動」の真相(前篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5510

子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか 日本発「薬害騒動」の真相(中篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5525

子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか 日本発「薬害騒動」の真相(後篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5530

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by DrMagicianEARL | 2015-10-24 14:48 | 感染対策 | Comments(0)
■肺炎球菌は,インフルエンザと同様に厚生労働省のB群予防疾患としてワクチン接種が推奨されています.このB群予防疾患は重症化予防を重点においており,今回プレベナー13®でそれに見合った大規模RCTとindirect protectionまで検討した観察研究が報告されましたので紹介します.当院を含む地域では肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®ですが)が積極推奨された結果か,重症肺炎球菌肺炎は激減しつつあり,臨床的な感覚にも合致します.

■インターネット上では,何名かの開業医さんが自分のホームページにおいて肺炎球菌ワクチンを否定する内容を書いています.しかし,その根拠は自分の診療経験であり,「肺炎球菌ワクチンを接種しても肺炎になる患者がいるので当院では接種をやめた」という,細菌学的・疫学的考察も肺炎球菌ワクチンの目的も無視した勘違いもしくは根拠に欠ける内容が目立ちます.プライマリーケア最前線の現場で科学的根拠の欠落した情報発信をされているのは非常に残念としか言いようがありません.

■重症肺炎球菌肺炎の中には,適切かつ迅速な治療を行っても急速な増悪の経過をたどる劇症例が存在します.気管支鏡を行うと,気管支の奥の方から褐色の水のような喀痰がいくらでもわきでてきて,人工呼吸器を装着しても呼吸状態が維持できず,わずか24時間程度で死亡に至るようなケースを経験されている先生もおられるかと思います.また,このような劇症例でなくとも,敗血症に相当する重症例に罹患した高齢者は救命できてもその後の機能予後が著しく低下することはしばしば経験され,このような患者を減らす上でも肺炎球菌ワクチンを今後も推奨していく必要があると思います.

■また,ニューモバックス®,プレベナー®が推奨される流れで注意すべきは,カバーされていない他の肺炎球菌株によるブレークスルーが地域単位で生じてくる可能性です.実際に観察研究の方でそのブレークスルーの可能性が示されています.

成人の肺炎球菌肺炎に対する多糖類コンジュゲートワクチン(プレベナー13®),CAPITA study
Bonten MJ, Huijts SM, Bolkenbaas M, et al. Polysaccharide conjugate vaccine against pneumococcal pneumonia in adults. N Engl J Med 2015; 372: 1114-25
PMID:25785969

Abstract
【背 景】
肺炎球菌多糖類コンジュゲートワクチンは乳児において肺炎球菌感染症を予防するが,65歳以上の肺炎球菌による市中肺炎に対する効果は知られていない.

【方 法】
65歳以上の成人84496例を登録した本無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において,我々はワクチンタイプの肺炎球菌株による市中肺炎,非細菌性と非侵襲性の肺炎球菌による市中肺炎,侵襲性肺炎球菌感染症の最初のエピソードについて13価多糖類コンジュゲートワクチン(PCV13)の効果を検討した.標準的検査方法と血清型特異的尿中抗原検出アッセイを市中肺炎と侵襲性肺炎球菌感染症の検出に用いた.

【結 果】
ワクチンタイプの株による感染症の最初のエピソードのper-protocol解析において,市中肺炎はPCV13群で49例,プラセボ群で90例発生し(ワクチン効果45.6%; 95.2%CI 21.8-62.5),非細菌性と非侵襲性市中肺炎はPCV13群で33例,プラセボ群で60例発生し(ワクチン効果45.0%; 95.2%CI 14.2-65.3),侵襲性肺炎球菌はPCV13群で7例,プラセボ群で28例発生した(ワクチン効果75.0%; 95%CI 41.4-90.8).効果は試験期間中持続した(平均フォローアップ期間3.97年).調整したintention-to-treat解析でも同様の効果が観察され(ワクチン効果はそれぞれ37.7%,41.1%,75.8%),市中肺炎はPCV13群で747例,プラセボ群で787例発生した(ワクチン効果5.1%; 95%CI -5.1 to 14.2).重篤な有害事象や死亡は両群間で同等であったが,PCV13群で局所反応が多かった.

【結 論】
高齢者において,PCV13はワクチンタイプの肺炎球菌,細菌性,非細菌性の市中肺炎,侵襲性肺炎球菌感染症を予防するが,あらゆる原因での市中肺炎予防効果はみられなかった.
英国およびウェールズにおける,導入後4年間の侵襲性肺炎球菌感染症における13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの効果
Waight PA, Andrews NJ, Ladhani SN, et al. Effect of the 13-valent pneumococcal conjugate vaccine on invasive pneumococcal disease in England and Wales 4 years after its introduction: an observational cohort study. Lancet Infect Dis 2015 Mar 19 [Epub ahead of print]
PMID:25801458

Abstract
【背 景】
13価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV13)は,7価ワクチン(PCV7)のルーチン接種後に増加した血清型の増加を防ぐが,集団免疫や血清型のブレークスルーの可能性については不明確である.

【目 的】
本研究の目的は,英国およびウェールズにおいて導入後4年間の侵襲性肺炎球菌感染症に対する13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの効果を解析することである.

【方 法】
我々は,PCV13導入前およびPCV7導入前をベースラインとして,2013年7月から2014年6月までのワクチンタイプと非ワクチンタイプの侵襲性肺炎球菌感染症の発生率を推定するために,英国とウェールズにおける電子的報告および侵襲性肺炎球菌感染症例の血清型の国のデータセットを用いた.発生率は血清型データの欠落と時間の経過によるサーベランス感度の変化で補正した.発生率と信頼区間の推定は過分散ポアソンモデルを用いた.

【結 果】
2013/2014年の疫学的な侵襲性肺炎球菌感染症の発生率は,PCV13導入前に比して32%減少していた(2008-10年の発生率10.14/100000 vs 2013/14年の発生率6.85/100 000; 発生リスク 0.68, 95%CI 0.64-0.72),.これは,PCV7がカバーする血清型が86%減少したこと(1.46 vs 0.20/100000; 発生リスク 0.14, 95%CI 0.10-0.18),PCV13によってカバーされたさらなる6種類の血清型が69%減少したことによる(4.48 vs 1.40/100000; 発生リスク 0.31, 95%CI 0·28-0·35).PCV7導入前と比較すると,侵襲性肺炎球菌感染症は56%減少していた(15.63 vs 6.85/100 000; 発生リスク 0.44, 95%CI 0·43-0·47).PCV13導入前と比較すると,PCV13に含まれない血清型は,5歳未満の小児と45歳以上の成人において広い範囲の血清型の増加によりその発生率が増加していた(4.19 vs 5.25/100000; 発生率 1.25, 95%CI 1.17-1.35).5歳未満の小児において,2013/2014年のPCV13に含まれない血清型の発生率は2012/2013年よりも高かった(2歳未満: 12.03 vs 10.83/100000; 2-4歳: 4.08 vs 3.63/100000).

【結 論】
英国およびウェールズにおけるPCVの8年間の導入は侵襲性肺炎球菌感染症を50%以上減少させた.PCV7による集団免疫は持続しており,同様に間接的保護作用はPCV13によってカバーされる血清型が追加されたことで生じている.しかし,2014年においてPCV13に含まれない血清型による侵襲性肺炎球菌肺炎を,特に5歳未満の小児において増加していることが示された.もしこの増加が持続するのであれば,小児におけるPCV13プログラムの最大限の有益性は既に達成されている.

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by DrMagicianEARL | 2015-04-01 00:00 | 感染対策 | Comments(0)

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