ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:感染対策( 21 )

e0255123_15244139.png
■聴診器が汚いことは誰もが認識してると思いますが,じゃあどのくらい汚いのかというところまでは認識されておらず,そこまで院内感染の原因にまではなるまいという認識の医師は多いのではないでしょうか?首にかける,ポケットに入れる等の先生は多いですが,これも汚染されるもとです.私はICUでは原則聴診器は持ち歩かず極力個々の患者専用のものを使用し,一般病棟ではアル綿消毒を使用しています(もちろん手指衛生とセットです).聴診を指導する際には是非聴診器の消毒についても指導してください.

■今回手と聴診器の汚染レベルを比較した報告がでたので以下に紹介するとともに,聴診器と菌汚染に関するレビューを行いました.聴診器と菌汚染については「臨床に直結する感染症診療のエビデンス(文光堂)」にエビデンスレビューがあるのですが,論文が3報しかなかったので,そんなに多くないだろうと思って探してみたらたくさん見つかってまとめるのが大変でした.案外研究されてるんですね.
診察後の聴診器と医師の手の汚染
Longtin Y, Schneider A, Tschopp C, et al. Contamination of stethoscopes and physicians' hands after a physical examination. Mayo Clin Proc 2014; 89: 291-9
PMID:24582188

Abstract
【目 的】
医師の手と聴診器の汚染レベルを比較し,聴診器の使用による微生物の交叉伝播リスクを検討する.

【方 法】
スイスの大学病院で2009年1月1日から2009年5月31日まで83例の入院患者を登録した前向き研究を行った.標準的な診察後に,医師の手袋をしたあるいはしていないきき手の4箇所と,聴診器の2箇所を選択的あるいは非選択的培地にプレスし,489表面の検体を得た.全好気性コロニー数と全メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)CFU数を評価した.

【結 果】
指先,母指球,小指球,手背,聴診器膜部,聴診器チューブの全好気性コロニー数中央値はそれぞれ467,37,34,8,89,18であった.聴診器膜部の汚染レベルは指先の汚染レベルより低かったが(p<0.001),母指球の汚染レベルよりは高かった(p=0.004).聴診器膜部のMRSA汚染レベルは母指球のMRSA汚染レベルより高かった(7CFUs/25cm^2 vs 4CFUs/25cm^2; p=0.004).全好気性コロニー数およびMRSA CFU数の相関解析では,聴診器膜部の汚染レベルは指先の汚染レベルと関連していた(スペアマン順位相関係数 ρ=0.80; p<0.001,ρ=0.76; p<0.001).同様に,聴診器チューブの汚染レベルは,全好気性コロニー数およびMRSA CFU数の指先の汚染レベルの増加に伴い増加した(ρ=0.56; p<0.001, ρ=0.59; p<0.001).

【結 論】
これらの結果から,1回の診察後の聴診器の汚染レベルは相当なものであり,医師のきき手の各部位の汚染に匹敵することが示された.
1.感染対策上の聴診器の心得

■聴診器は医療スタッフが手で触り,かつ患者の体にあてる医療器具であり,消毒もあまりなされないことから菌汚染リスクは高く,手の汚染度に匹敵するとした今回の研究結果は納得がいくものである.患者の体表にあてる膜部は特に菌汚染が生じやすい.一般的に微生物は凹凸面よりも平滑面上の方が長く生存しうることが知られており,実際に,MRSAが聴診器に付着すると,60日後(消毒なし)でも15%の聴診器でMRSAを検出したと報告されている[1]

■聴診器表面に付着した細菌は,菌数を増やしながら細胞外多糖(EPS;extracellular polysaccharide)を産生し,接着がより強固になるとともに新たな菌付着の要因となる.さらにEPSはバリアーや各種物質の運搬経路の役目も果たし,いわゆるバイオフィルムを形成する.バイオフィルムが形成されると,環境変化,化学物質からの抵抗性が増す.このような菌としてブドウ球菌や緑膿菌は特に注意が必要である.

■感染症患者と診療で接触する以上,本来は聴診器は持ち歩くべきではなく,原則として聴診器は個々の患者専用とするのが望ましい(血圧計,体温計も)が,現実的には難しい面もある.このため聴診器を持ち歩くことが回避できないのが実際であり,聴診器の消毒と手指衛生を怠れば院内感染は容易に成立してしまうことを認識しなければならない.なお,ICU,血液内科病棟においては聴診器を個々の患者専用とすることは絶対条件とすべきであろう.

■首に聴診器をかける医師は非常に多いが,これは感染対策上行うべきではない(病院機能評価の際に見つかると評価員に注意されることがある).首は腋窩同様にグラム陽性菌のリザーバーの1つであり,聴診器汚染の原因となる.白衣のポケットに入れる方が無難ではあるが,白衣のポケットも手を入れる場所でもあり埃もたまるため,汚染しているリスクは高いと考えるべきである.

■聴診器を対象とした研究は,RCTはほとんどないものの観察研究等は数多く行われており,そのアウトカムは非常に参考となる.以下に文献のレビューを行った.

2.聴診器はどれだけ汚染されているか?

■聴診器の汚染率を調査した文献はPubMed検索で17報ヒットした[2-18].各研究ごとに培養の行い方が異なるため注意は必要であるが,abstractの記載データ(Free Full Textの場合は原文記載データまで収集)から(なんちゃって)メタ解析(n=2182)も以下に行った.

■聴診器の汚染率は27.5%から100%まで報告によって幅があり,中央値は78.5%であった.データを統合すると,汚染率は72.6%(95%CI 70.2-74.7%; 11研究1119例)であった.

■コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)検出率は27.5%から55%の幅であり,中央値は42.8%,データを統合すると45.5%(95%CI 41.6-49.4%; 4研究616例)であった.

■黄色ブドウ球菌(MRSA含む)検出率は1%から58.7%の幅であり,中央値は22.9%,データを統合すると30.1%(95%CI 27.9-32.4%; 12研究1530例)であった.

■MRSA検出率は0%から32%までの幅であり,中央値は7.3%,データを統合すると7.4%(95%CI 5.8-9.4%; 7研究799例)であった.

■以上から,聴診器が10本あれば,7本に菌汚染があり,5本にCNSが,3本に黄色ブドウ球菌が,1本にMRSAが付着しているというのがだいたいの頻度である.

■職種別では,聴診器汚染率は看護師より医師の方が高いという報告が複数ある[2,3,8,16].また,医学生,研修医,レジデントの聴診器汚染率は9割前後と高く,一方で麻酔科医は42.9%であったと報告されている[5].ここには医師,医学生の手指衛生遵守率の低さも関連していると思われる.

■病棟別では,Shiferawら[5]の報告では,聴診器汚染率はICUで100%,内科病棟で96%,病原菌でみるとICUで68.8%,産科病棟で35.3%であった.Unekeら[12]の報告では,聴診器汚染率は,ICU(66.7%),VIP病棟(50%),産科病棟(37.5%)であった.

■Zachary[19]らは,バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の保菌または感染者49例の観察研究を行ったところ,33例(67%)の診察・ケアに用いた手袋・ガウン・聴診器の少なくとも1つからVREを検出した.手袋の汚染率は63%,ガウンは37%,聴診器は31%であった.3つすべてからVREを検出したのは24%であった(多くは人工肛門形成術後または回腸造瘻術後の患者).手袋の汚染がなく,聴診器とガウンが汚染されていたのは1例のみ,また,アルコール消毒後の聴診器ではVRE検出例は1例のみであった.この研究から,手が汚染されなければ聴診器も汚染されることは稀であることが分かり,手指衛生の重要さが分かる.Unekeら[16]の報告でも,手洗いを行ったスタッフの聴診器の汚染率は9%であったのに対し,手洗いを行っていないスタッフでは86%であった.

3.聴診器の消毒は?

■聴診器の消毒はしばしば忘れられる.それゆえ,聴診器の汚染率に関連した論文の中には「あなたの聴診器で何を育てているの?」[20],「聴診器は味方なのか敵なのか?」[13],「Stethoscope or 'Staphoscope'?」[21]というタイトルのものもある.

■Jonesら[3]は,米国市中病院救急部の医療従事者150人の聴診器の消毒とブドウ球菌汚染について調査した前向き横断研究を行い,毎日あるいは毎週聴診器を消毒している医療従事者は48%,毎月は37%,年1回は7%,全く消毒しないのは7%であったと報告している.

■Tangら[6]は,ERスタッフ100名の聴診器を調べた前向き観察コホート研究(EXSSCITED pilot study)を行い,患者の聴診前後で消毒をしていた看護師は全体の8%しかおらず,聴診器を消毒しない理由としては,時間がない,多忙,忘れてしまう,といった理由が最も多かった.

■Merlinら[7]は,ERのスタッフの聴診器50本での前向き観察コホート研究を行い,32%のスタッフは最後にいつ聴診器の消毒をしたのか覚えておらず,最後に消毒した日からの日数とMRSA汚染には関連性が認められた.

■Gennéら[10]は62本の聴診器を調査し,医師の聴診器の消毒頻度は,頻回が32%,稀が46%,全く行わないが22%であったと報告している.この報告では,1日聴診器の消毒を行わないだけで汚染率は0%から69%まで上昇することから,少なくとも1日1回は消毒を行うべきであるとしている.

■Bukharieら[17]は,100本の聴診器を調査し,消毒頻度は毎日が21%,週に1回が47%,年に1回が32%であった.

■Núñezら[18]はERスタッフの聴診器122本の調査では42%が聴診器の消毒が年1回かまったくしない状態であった.

■聴診器の消毒によって菌汚染を減らすことができるとする報告は多く[2-5,7,9,10,16,19,20,22],約9割の汚染率減少効果がある.

■Parmarら[23]は,100本の聴診器において,消毒前群,ただちに66%エチルアルコール消毒する群,消毒しないまま4日経過した群,1日1回の消毒4日後群を比較した二重盲検RCTを行い,ただちに消毒すること,1日1回消毒することは菌汚染の減少に有意に関連しており(それぞれ28%,25%減少),コロニー数が10個未満だった聴診器はそれぞれ75%,84.7%であった(平均減少率5.2%,3.65%)であったことから消毒は有用であると結論づけている.Unekeら[12]は,各ケアごとに70%イソプロピルアルコールによる聴診器の消毒を行う訓練と教育を行うキャンペーンを施行し,前後で聴診器の汚染率を比較した前後比較研究を行ったところ,菌汚染率が78.5%から20.2%に有意に減少したと報告している.

■消毒に何を使うかについて比較検討した研究は3報あり,アルコール製剤が最も菌汚染を減らすとの報告が2報[2,3]であった.もう1報[24]はアルコール製剤どうし(エタノールベースのクレンザーとイソプロピルアルコール綿)を比較したコホート研究であり,2つの消毒法に有意差はなかった.

■なお,聴診器膜部の抗菌カバーは有用でないことが報告されている[25]

[1] Williams C, Davis DL. Methicillin-resistant Staphylococcus aureus fomite survival. Clin Lab Sci 2009; 22: 34-8
[2] Marinella MA, Pierson C, Chenoweth C. The stethoscope. A potential source of nosocomial infection? Arch Intern Med 1997; 157: 786-90
[3] Jones JS, Hoerle D, Riekse R. Stethoscopes: a potential vector of infection? Ann Emerg Med 1995; 26: 296-9
[4] Cohen HA, Amir J, Matalon A, et al. Stethoscopes and otoscopes--a potential vector of infection? Fam Pract 1997; 14: 446-9
[5] Shiferaw T, Beyene G, Kassa T, et al. Bacterial contamination, bacterial profile and antimicrobial susceptibility pattern of isolates from stethoscopes at Jimma University Specialized Hospital. Ann Clin Microbiol Antimicrob 2013; 12: 39
[6] Tang PH, Worster A, Srigley JA, et al. Examination of staphylococcal stethoscope contamination in the emergency department (pilot) study (EXSSCITED pilot study). CJEM 2011; 13: 239-44
[7] Merlin MA, Wong ML, Pryor PW, et al. Prevalence of methicillin-resistant Staphylococcus aureus on the stethoscopes of emergency medical services providers. Prehosp Emerg Care 2009; 13: 71-4
[8] Smith MA, Mathewson JJ, Ulert IA, et al. Contaminated stethoscopes revisited. Arch Intern Med 1996; 156: 82-4
[9] Sood P, Mishra B, Mandal A. et al. Potential infection hazards of stethoscopes. J Indian Med Assoc 2000; 98: 368-70
[10] Genné D, de Torrenté A, Humair L, et al. Level of stethoscope contamination in the hospital environment. Schweiz Med Wochenschr 1996; 126: 2237-40
[11] Bernard L, Kereveur A, Durand D, et al. Bacterial contamination of hospital physicians' stethoscopes. Infect Control Hosp Epidemiol 1999; 20: 626-8
[12] Uneke CJ, Ndukwe CD, Nwakpu KO, et al. Stethoscope disinfection campaign in a Nigerian teaching hospital:results of a before-and-after study. J Infect Dev Ctries 2014; 8: 86-93
[13] Zuliani Maluf ME, Maldonado AF, Bercial ME, et al. Stethoscope: a friend or an enemy? Sao Paulo Med J 2002; 120: 13-5
[14] Campos-Murguía A, León-Lara X, Muñoz JM, et al. Stethoscopes as potential intrahospital carriers of pathogenic microorganisms. Am J Infect Control 2014; 42: 82-3
[15] Gopinath KG1, Stanley S, Mathai E, et al. Pagers and stethoscopes as vehicles of potential nosocomial pathogens in a tertiary care hospital in a developing country. Trop Doct 2011; 41: 43-5
[16] Uneke CJ, Ogbonna A, Oyibo PG, et al. Bacterial contamination of stethoscopes used by health workers: public health implications. J Infect Dev Ctries 2010; 4: 436-41
[17] Bukharie HA, Al-Zahrani H, Rubaish AM, et al. Bacterial contamination of stethoscopes. J Family Community Med 2004; 11: 31-3
[18] Núñez S, Moreno A, Green K, et al. The stethoscope in the Emergency Department: a vector of infection? Epidemiol Infect 2000; 124: 233-7
[19] Zachary KC, Bayne PS, Morrison VJ, et al. Contamination of gowns, gloves, and stethoscopes with vancomycin-resistant enterococci. Infect Control Hosp Epidemiol 2001; 22: 560-4
[20] Schroeder A, Schroeder MA, D'Amico F. What's growing on your stethoscope? (And what you can do about it). J Fam Pract 2009; 58: 404-9
[21] Mitchell A, Dealwis N, Collins J, et al. Stethoscope or 'Staphoscope'? Infection by auscultation. J Hosp Infect 2010; 76: 278-9
[22] Fujita H, Hansen B, Hanel R. Bacterial contamination of stethoscope chest pieces and the effect of daily cleaning.
[23] Parmar RC, Valvi CC, Sira P, et al. A prospective, randomised, double-blind study of comparative efficacy of immediate versus daily cleaning of stethoscope using 66% ethyl alcohol. Indian J Med Sci 2004; 58: 423-30
[24] Lecat P, Cropp E, McCord G, et al. Ethanol-based cleanser versus isopropyl alcohol to decontaminate stethoscopes. Am J Infect Control 2009; 37: 241-3
[25] Wood MW, Lund RC, Stevenson KB. Bacterial contamination of stethoscopes with antimicrobial diaphragm covers. Am J Infect Control 2007; 35: 263-6
[PR]
by DrMagicianEARL | 2014-03-12 15:25 | 感染対策 | Comments(0)
※針刺し予防の内容のため,針刺し事故後の対応については今回は割愛しております.

■2013年7月に職業感染制御研究会は,8月30日を「8=針,3=刺し,0=ゼロ」の願いを込めて「針刺しゼロの日」に制定することを発表した.以下に,針刺し事故の実態を報告した文献をまじえて針刺し予防についてまとめた.

■欧米諸国では,血液・体液曝露予防のためのサーベランスデータの収集・解析システムであるEPINet(Exposure Prevention Information Network)が普及しており[1],針刺しのみならず,切創,皮膚・粘膜曝露に関して集積された情報をもとに感染対策への解析が進んでいる.このEPINetに約50病院から集積されたデータにより曝露防止対策が論理的に講じられ,個々の対策の有効性と限界をも明確にした.現在EPINetは米国,イタリア,カナダ,オーストラリア,ブラジル,日本などが採用し,曝露防止対策を推進している.本邦でも全国の医療機関が共有できる情報収集システムを構築する必要があり[2],職業感染制御研究会が日本版EPINetを立ち上げている.日本版EPINetの目的として,曝露実態の正確な把握,曝露原因の追究と曝露予防策の計画,実施された曝露予防策の評価がある.同時に,各施設の予防策のみならず,より安全性の高い鋭利器材の開発も推進しうる.

■日本版EPINetを用いることで,日本の針刺しの実態が明らかとなり,米国との比較もなされている[3].1997年時の針刺し,切創,皮膚・粘膜曝露の事象では,リキャップ時の針刺しが日本では25%であったのに対し米国はわずか3%であった.その米国も1986年時は25%であり,その後の対策によって米国では劇的にリキャップ時針刺し事故が減少したことが分かる.

※キャップを置き,そこに針付き注射針を挿入してすくいあげるようにしてリキャップを行うケースがある.比較的安全なように見えるが,斜めに入った状態でそのままリキャップした場合,実は注射針がプラスチックキャップを貫通し,キャップ外に針が突出した状態となり針刺しが生じることがある.

■1996-1998年の3年間のHIV研究班による本邦エイズ拠点病院を対象とした調査では,針刺し事故は11798件生じており,100床あたり4件であった.汚染源となった患者の感染症はHCVが7708件,HBVが1862件,HIVが88件であり,明らかな発症はHCVの28件であった.発生状況は,リキャップ時が26%,鋭利器材使用中が22%,使用後廃棄までが22%であった.使用目的別には,注射器を用いた経皮的注射が3053例(26%),静脈採血が2108例(18%),血管確保1933例(17%)の順に多く,これらのうち15-20%が病室の外で発生している.経皮的注射の針刺し事故3053例中1345例(44%)は病室内で発生し,そのうち60%がリキャップによるもので,「使い捨て注射器」「翼状針」「ペンあるいはカートリッジ式インスリン注射用針」であった.また,病室外発生では「リキャップ」「廃棄容器に入れる時」が多い.職種別では,7662例(65%)が看護師および准看護師,3017例(26%)が医師および研修医であった.

※中心静脈カテーテル挿入後の固定の際,縫合セットではなくピンク針を用いるケースがあるが,これも感染対策の観点から見れば当然ながら行うべきではない.

■和田らは,病床数と針刺し切創件数の関連性を報告している[4].日本版EPINetに参加している67病院のデータの解析で,1年間の100稼動病床あたりの針刺し件数を(針刺し件数)/(病床数)×100で算出したところ,400床未満で4.8(95%CI 4.1-5.6),400-799床で6.7(95%CI 5.9-7.4),800床以上で7.6(95%CI 6.7-8.5)であり,稼動病床数規模に応じて針刺し発生件数が有意に増加していた(p<0.01).

■布施は看護師323例を対象に針刺し事故の解析を行った[5].1年間の針刺し事故体験者は84例(27.7%)であった.針刺し回数は1回が49.0%,2回が22.0%,3回が18.0%,4回が1.2%,5回以上が9.6%であった.針刺し事故体験者は体験のないものに比べ,経験年数が有意に少なかった(8.9年vs11.6年, p<0.001).針刺し事故切傷部位の分布では,左第2指が35.7%,右第2指27.3%,右第1指9.5%,右第3指7.2%,左第3指7.2%であった.針刺し事故発生時の状況が日頃の勤務状況と異なったかについては,「違いなし」が67.9%,「あり」が27.4%であった.針刺し事故発生に影響を与えると考えられる日常業務14項目のうち,針刺し体験有無と有意な関連性があったのは,注射器操作の熟練度,針刺しのヒヤリ体験,穿刺後のリキャップであった.

■2011年に渋谷によって日本全国での訪問看護師1000名に対する針刺し事故の調査結果が初めて行われた[6].針刺し事故経験は35.7%にみられ,直近1年間での針刺し経験は5.0%であった.また,針刺し経験者のうち92.1%が手袋未着用であった.針刺し発生後,24時間以内に職場に報告した対象者の割合は66.4%,24時間以上経ってから報告した者は0.9%,何も報告しなかった者は23.0%であった.針刺しが起きた状況は,使用済み注射針のリキャップ時が31.9%と最も多かった.

■針刺し事故で特に問題となるのはB型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の3種である.これらは血液や体液が直接ヒト体内に入ることにより伝播するため,針刺し事故で感染しうる.これら3種のウイルスは予防策は同一であり,また,これらのウイルスの存在に関係なく,全ての血液・体液などを危険な感染物とみなして標準予防策を行う[7].それぞれウイルスの針刺し事故による感染リスクは「3の法則」で,HBV 30%,HCV 3%,HIV 0.3%と覚えるとよい.厳密には,HBV 1-62%[8],HCV 1.8%(Range 0-7%)[9-12],HIV 0.3%(95%CI 0.2%-0.5%)[13]である.HBVは感染源がHBs抗原(+),HBe抗原(+)であれば肝炎進展リスクは22-31%,血清学的進展リスクは37-62%であり,HBs抗原(+),HBe抗原(-)であれば肝炎進展リスクは1-6%,血清学的進展リスクは23-37%である[8]

■使用済み注射針は感染症の有無にかかわらず,原則としてリキャップをしないで使用した状態のまま(針の取り外しなどをしない),直ちに堅固な医療用廃棄物容器に廃棄する[14,15].医療用廃棄物容器については,廃棄物が容易に取り出せないような構造であることが望ましい.不用意な廃棄時の事故(手を容器内部に入れるなど)を防ぐため,容器の廃棄口径は各種器材の廃棄に適した必要最低限の大きさ(蓋付き)または安全な開閉デザイン(一定量で自動的に閉鎖)が望ましい.廃棄容器が満杯状態あるいは廃棄した鋭利器材が廃棄口から飛び出す場合など,廃棄時や廃棄後の針刺しの危険を生じるため,容量が80%程度で新しいものに交換する.また,多量の鋭利物を一度に廃棄する場合,押し込むことで廃棄容器の材質によっては過度の圧力や負荷に耐えられない場合もあり,無理をして余計な危険を招かないように注意する.なお,点滴作成台の上の針捨て用の廃棄物容器には患者に使用した後の針は捨ててはならない.

■また,安全器材の導入を積極的に進める必要もある[15,16].安全器材の導入は,同時に慣れていない新しい医療器材導入によるエラー発生リスクも生じうることを意味する.よって,医療現場で使いこなせることができるかどうかを検討し,器材メーカー主催での使用説明会を行い,その器材に慣れて徹底的に使いこなせるようにする必要がある.さらに,手術での器械の受け渡しによる受傷を防ぐため,鋭利な形状の器械を同時に2人以上が触れないことを原則にする.たとえば鋭利器材を渡すためにトレイなどを使い,トレイ上でのやり取りによって,直接の素手の交差を避けるなどのハンズフリーテクニックが必要である.同様に,床に落ちた鋭利器材を処理する上で磁石やしっかり把持できるクズバサミなどを使用する.

■針刺し事故時の感染リスクを下げるためにも手袋装着は重要である(感染リスクが半減する).

■米国では1998年に初めてカリフォルニア州で針刺し事故防止法が制定,2000年にはクリントン大統領により同法律が連邦法に格上げされ,安全器材の使用,針刺し報告と予防計画の作成が全米で義務付けられた.

■針刺し事故が生じた場合は,施行していた医療行為等をただちに中止し,血液・体液を速やかに除去する必要がある.具体的には,大量流水による洗浄と消毒薬(ポビドンヨードや消毒用エタノールが適しているとされる[17,18]).さらに,事故について上司,院内感染対策スタッフに直ちに報告し,日本版EPINetによる曝露報告書を院内感染対策委員会に提出する[16,19].曝露時の状況や曝露者の感染状況に応じて追跡検査は少なくとも1年間行う[20,21]

[1] University of Verginia Health System International Healthcare Worker Safety Center
http://www.healthcaresystem.virginia.edu/internet/epinet/
[2] 日本医科器械学会職業感染対策委員会.誤刺による感染防止に関するガイドライン.医器学 1996; 66: 46-85
[3] 木戸内清.針刺し事故の広域調査.Infection Control 1999; 8: 344-8
[4] 和田耕治,吉川徹,李宗子,他.エピネット日本版サーベイランス参加病院における稼動病床毎の針刺し切創件数.第28回日本環境感染学会総会O71-4
[5] 布施淳子.総合病院1施設の看護婦における刺傷事故の実態と発生要因.環境感染 1998; 13: 167-72
[6] 渋谷智恵.全国の訪問看護師の血液・体液曝露の実態と今後の課題.環境感染誌 2012; 37: 380-8
[7] Garner JS. Guideline for isolation precautions in hospitals. Part I. Evolution of isolation practices, Hospital Infection Control Practices Advisory Committee. Am J Infect Control 1996; 24: 24-31
[8] Werner BG, Grady GF. Accidental hepatitis-B-surface-antigen-positive inoculations: use of e antigen to estimate infectivity. Ann Intern Med 1982; 97: 367–9
[9] Alter MJ. The epidemiology of acute and chronic hepatitis C. Clin Liver Dis 1997; 1: 559–68
[10] Lanphear BP, Linnemann CC Jr., Cannon CG, et al. Hepatitis C virus infection in healthcare workers: risk of exposure and infection. Infect Control Hosp Epidemiol 1994; 15: 745–50
[11] Puro V, Petrosillo N, Ippolito G, et al; Italian Study Group on Occupational Risk of HIV and Other Bloodborne Infections. Risk of hepatitis C seroconversion after occupational exposure in health care workers. Am J Infect Control 1995; 23: 273–7
[12] Mitsui T, Iwano K, Masuko K, et al. Hepatitis C virus infection in medical personnel after needlestick accident. Hepatology 1992; 16: 1109–14
[13] Bell DM. Occupational risk of human immunodeficiency virus infection in healthcare workers: an overview. Am J Med 1997; 102(suppl 5B): 9–15
[14] Jagger J, Hunt EH, Brand-Elnaggar J, et al. Rates of needle-stick injury caused by various devices in a university hospital. N Engl J Med 1988; 319: 284-8
[15] Tan L, Hawk JC 3rd, Sterling ML. Report of the Council on Scientific Affairs: preventing needlestick injuries in health care settings. Arch Intern Med 2001; 161: 929-36
[16] Jagger J. Reducing occupational exposure to bloodborne pathogens: where do we stand a decade later? Infect Control Hosp Epidemiol 1996; 17: 573-5
[17] Bond WW, Favero MS, Petersen NJ, et al. Inactivation of hepatitis B virus by intermediate-to-high-level disinfectant chemicals. J Clin Microbiol 1983; 18: 535-8
[18] Kobayashi H, Tsuzuki M, Koshimizu K, et al. Susceptibility of hepatitis B virus to disinfectants or heat. J Clin Microbiol 1984; 20: 214-6
[19] Jagger J, Bentley MB. Injuries from vascular access devices: high risk and preventable. Collaborative EPINet Surveillance Group. J Intraven Nurs 1997; 20(6 Suppl): S33-9
[20] Ridzon R, Gallagher K, Ciesielski C, et al. Simultaneous transmission of human immunodeficiency virus and hepatitis C virus from a needle-stick injury. N Engl J Med 1997; 336: 919-22
[21] Ciesielski CA, Metler RP. Duration of time between exposure and seroconversion in healthcare workers with occupationally acquired infection with human immunodeficiency virus. Am J Med 1997; 102: 115-6
[PR]
by DrMagicianEARL | 2013-08-30 00:00 | 感染対策 | Comments(0)
2.抗菌薬適正使用,VAP予防,CRBSI予防
ICU関連感染症が疑われた重症外科患者において,初期抗菌薬を感染を疑った時点で積極的に投与するか細菌学的根拠が認められた場合のみに投与するかのbefore-after研究
Hranjec T, Rosenberger LH, Swenson B, et al. Aggressive versus conservative initiation of antimicrobial treatment in critically ill surgical patients with suspected intensive-care-unit-acquired infection: a quasi-experimental, before and after observational cohort study. Lancet Infect Dis 2012; 12: 774-80
PMID:22951600
ポイント:米国単施設外科ICUのbefore-after研究(762例 vs 721例).感染を疑ったら抗菌薬投与の積極群と細菌学的根拠が認められた場合のみ抗菌薬投与の保存群の比較で,保存群は積極群より全死亡率が有意に低く(13% vs 27%),抗菌薬治療が有意に適切であり(74% vs 62%),投与期間が有意に短かかった(12.5日間 vs 17.7日間).背景因子で調整すると,積極群の死亡リスクは保存群の2.5倍であった.

抗菌薬使用制限医師向け多面的柔軟教育プログラムの有効性
Butler CC, Simpson SA, Dunstan F, et al. Effectiveness of multifaceted educational programme to reduce antibiotic dispensing in primary care: practice based randomised controlled trial. BMJ 2012; 344: d8173
PMID:22302780,Free Full Text
ポイント:抗菌薬使用制限医師向け多面的柔軟教育プログラムの有効性の報告.年あたり経口抗菌薬使用は介入群で対照群比較において,総数で42%減少.コンサルテーション数日において入院数,7日以内の再診数は介入群と対照群の有意差認めず.

腸球菌による細菌尿の過剰治療
Lin E, Bhusal Y, Horwitz D, et al. Overtreatment of enterococcal bacteriuria. Arch Intern Med 2012; 172: 33-8
PMID:22232145
ポイント:375の培養陽性例の後ろ向き解析.腸球菌による無症候性細菌尿に対してしばしば過剰治療がなされており,32.8%が不適切に抗菌薬を投与されていた.膿尿のみは抗菌薬不適切使用リスクが3.27倍有意に増加した.

急性呼吸器感染症患者に対する外来での抗菌薬治療への介入
Rattinger GB, Mullins CD, Zuckerman IH, et al. A sustainable strategy to prevent misuse of antibiotics for acute respiratory infections. PLoS One 2012; 7: e51147
PMID:23251440
ポイント:3831例before-after比較研究.急性呼吸器感染症患者に対する外来での抗菌薬治療への介入により不適切な抗菌薬処方は減少したという報告.基本的には気管支炎であっても抗菌薬は不要であることがほとんどであり,また,細菌性感染症であっても必ずしも抗菌薬が必要というわけではない.また,経口第3世代セフェムはほぼ効果がほとんど得られないと考えもよい.

抗菌薬投与法を参照できるスマートフォンアプリの導入とその解析
Charani E, Kyratsis Y, Lawson W, et al. An analysis of the development and implementation of a smartphone application for the delivery of antimicrobial prescribing policy: lessons learnt. J Antimicrob Chemother. 2012 Dec.19
PMID:23258314,Free Full Text
ポイント:抗菌薬投与法を参照できるスマートフォンアプリを導入したところ,最初の1ヶ月で40%のジュニアドクターがダウンロードし,1年以内に100%に達した.71%の臨床医が抗菌薬に関する知識を改善できたと回答した.

プロカルシトニンは重症急性膵炎患者において抗菌薬治療期間を補助する有用なツール
Qu R, Ji Y, Ling Y, et al. Procalcitonin is a good tool to guide duration of antibiotic therapy in patients with severe acute pancreatitis. A randomized prospective single-center controlled trial. Saudi Med J 2012; 33: 382-7
PMID:22485232
ポイント:71例RCT.重症急性膵炎患者において,感染の臨床徴候・症状とプロカルシトニンにより抗菌薬投与開始・終了を決定する方法は,予防的抗菌薬を2週間投与する方法に比して有意に抗菌薬投与期間と入院期間を短縮し,コストを減少させた.

血液培養のコンタミ率の減少させる戦略の効果
Youssef D, Shams W, Bailey B, et al. Effective strategy for decreasing blood culture contamination rates: the experience of a Veterans Affairs Medical Centre. J Hosp Infect 2012; 81: 288-91
PMID:22749066
ポイント:血液培養の採血を担当した医療従事者のイニシャルをボトルに記載することをルーチン化し,その後個人にフィードバックすることでコンタミ率は2.6%から1年後には1.5%へ有意に(p<0.001)低下した.

短期間の抗菌尿道カテーテルは尿路感染症発症率を減少させない:多施設共同RCT
Pickard R, Lam T, MacLennan G, et al. Antimicrobial catheters for reduction of symptomatic urinary tract infection in adults requiring short-term catheterisation in hospital: a multicentre randomised controlled trial. Lancet 2012; 380: 1927-35
PMID:23134837
ポイント:14日間以内の抗菌尿道カテーテル(塗銀性,ニトロフラール)と通常尿道カテーテル(対照群)の3群を比較した英国24施設RCT:尿路感染症発症率に有意差なし.抗菌尿道カテーテルのルーティン使用は支持しない.

口腔ケアにおける歯磨きの人工呼吸器関連肺炎の予防効果:システマティック・レビュー&メタ解析
Gu WJ, Gong YZ, Pan L, et al. Impact of oral care with versus without toothbrushing on the prevention of ventilator-associated pneumonia: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Crit Care 2012; 16: R190
PMID:23062250
ポイント:4報RCT,828名のメタ解析.人工呼吸患者で,歯磨きなしの口腔ケアに比べて歯磨きありの口腔ケアは,有意にVAP発生率を減少させず,他の重要な臨床転帰も有意差なし.

人工呼吸器を装着した重症患者の口腔ケアにおける歯磨きの有効性:システマティックレビュー&メタ解析
Alhazzani W, Smith O, Muscedere J, et al. Toothbrushing for Critically Ill Mechanically Ventilated Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials Evaluating Ventilator-Associated Pneumonia. Crit Care Med 2012 Dec.19
PMID:23263588
ポイント:人工呼吸器を装着した重症患者の口腔ケアにおける歯磨きの有効性を検証した6報のRCT,計1408例のメタ解析.4報で歯磨き群は有意差ないがVAPリスクが低い傾向(RR 0.77, 95%CI 0.50-1.21, p=0.26)であった.バイアスリスクが低い報告に限定すると歯磨き群のVAPリスクは有意に低下した(RR 0.26, 95%CI 0.10-0.67, p=0.006).クロルヘキシジン消毒薬の使用はVAP予防における歯磨きの効果を有意に低下させていた.電動歯磨きと手動歯磨きでは有意差なし.歯磨きはICU滞在期間,ICU死亡率,院内死亡率には影響を与えなかった.

小児における口腔ケアとグラム陰性桿菌の咽頭・気道定着
Kusahara DM, Friedlander LT, Peterlini MA, Pedreira ML. Oral care and oropharyngeal and tracheal colonization by Gram-negative pathogens in children. Nurs Crit Care 2012; 17: 115-22
PMID:22497915
ポイント:PICUに入室した小児74名を0.12%クロルヘキシジン口腔ケア群とプラセボ群で比較した二重盲検RCT.咽頭・気道でのグラム陰性菌定着率に有意差はみられなかった.

ICU入院患者における口腔洗浄においてクロルヘキシジンとハーブ洗口液を比較したRCT
Baradari AG, Khezri HD, Arabi S. Comparison of antibacterial effects of oral rinses chlorhexidine and herbal mouth wash in patients admitted to intensive care unit. Bratisl Lek Listy 2012; 113: 556
PMID:22979913
ポイント:ICU患者60名におけるハーブ洗口液と2%クロルヘキシジンの口腔ケア効果を比較した二重盲検RCT:両製剤とも黄ブ菌と肺炎球菌に対して有意に抗菌効果があったが,製剤間比較ではクロルヘキシジンの方がより有意に効果的であった.

人工呼吸器関連肺炎(VAP)ガイドラインの実施:多施設共同前向き研究
Sinuff T, Muscedere J, Cook DJ, et al; Canadian Critical Care Trials Group. Implementation of Clinical Practice Guidelines for Ventilator-Associated Pneumonia: A Multicenter Prospective Study. Crit Care Med 2013; 41: 15-23
PMID:23222254
ポイント:VAPガイドラインの実行による成果:カナダ10施設,米国1施設の48時間以上人工呼吸器を装着している患者を4期に分けて評価(各330名).実行率上昇とともにVAP発生率は14.2%から8.8%まで有意に低下した.

ICUにおける人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防改善を維持するプログラムの実践
Caserta RA, Marra AR, Durão MS, et al. A program for sustained improvement in preventing ventilator associated pneumonia in an intensive care setting. BMC infect dis 2012; 12: 234
PMID:23020101,Free Full Text
ポイント:ICUにおける人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防改善を維持するプログラムの実践を行い,21894患者日数を解析.VAP予防バンドルの遵守率が90%以上をキープすることにより観察期間の間に数回発生率ゼロを達成しえた.

人手不足,過密状態,不適切な看護師/人工呼吸器患者比と院内感染
Schwab F, Meyer E, Geffers C, Gastmeier P. Understaffing, overcrowding, inappropriate nurse:ventilated patient ratio and nosocomial infections: which parameter is the best reflection of deficits? J Hosp Infect 2012; 80: 133-9
PMID:22188631
ポイント:182のICUにおける肺炎1313例,血流感染症513例の解析.看護師/人工呼吸器装着患者比の高さなどのスタッフ配置の良好性は院内感染を減少させる可能性がある.

カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の多施設解析
Timsit JF, L'Hériteau F, Lepape A, et al. A multicentre analysis of catheter-related infection based on a hierarchical model. Intensive Care Med 2012; 38: 1662-72
PMID:22797354
ポイント:51施設ICUの患者7188例(中心静脈カテーテル8626本)の後ろ向き観察研究.中心静脈カテーテルにおけるCRBSI・菌定着のリスク因子:免疫不全1.42倍,内科患者1.64倍,外傷患者2.54倍,鎖骨下静脈以外からの挿入2.1倍,カテーテル先端定量培養2.55倍,ポビドンヨードと比較したアルコール含有消毒0.68-0.69倍であった.

皮下埋め込み型CVポート造設術に予防的抗菌薬投与は必要か?
Covey AM, Toro-Pape FW, Thornton RH, et al. Totally implantable venous access device placement by interventional radiologists: are prophylactic antibiotics necessary? J Vasc Interv Radiol 2012; 23: 358-62
PMID:22365295
1183名の皮下埋め込み型CVポート造設術の後ろ向き解析で,93%の患者は予防的抗菌薬投与を受けていないが,全体のカテーテル関連血流感染症合併率は0.6%であった.CVポート造設術に予防的抗菌薬は推奨しない.

成人重症患者におけるカテーテル関連血流感染症(CRBSI)の予防におけるクロルヘキシジン含有スポンジの経済学的効果
Schwebel C, Lucet JC, Vesin A, et al. Economic evaluation of chlorhexidine-impregnated sponges for preventing catheter-related infections in critically ill adults in the Dressing Study. Crit Care Med 2012; 40: 11-7
PMID:21926570
ポイント:フランス7施設のDressing Studyのデータ解析.たとえCRBSIの発症率が低いICUであっても,クロルヘキシジン含有スポンジを動脈およびCVカテーテルのドレッシング剤として用いてその発症を予防することによりコスト削減につながっていた.

ドレッシング破綻はカテーテル関連感染症の主要な危険因子
Timsit JF, Bouadma L, Ruckly S, et al. Dressing disruption is a major risk factor for catheter-related infections. Crit Care Med 2012; 40: 1707-14
PMID:22488003
ポイント:1419患者(3275の動脈もしくは中心静脈カテーテル)で,296のカテーテルコロニぜーションを認め,29のカテーテル感染症(CRBSI)を認めた.カテーテルのドレッシング破綻はCRBSIの独立危険因子であり,2回目のドレッシング破綻後では3倍以上,最後のドレッシングが破綻すれば10倍以上に増加する.ドレッシング破綻件数とカテーテル周囲の皮膚のコロニー形成リスク増加が関連していた.
[PR]
by DrMagicianEARL | 2013-01-29 00:00 | 感染対策 | Comments(0)
1.環境感染対策
 本邦の感染防止対策の歴史は非常に浅い.日本に院内感染という言葉が出てきたのは1990年の富家恵美子著書「院内感染」が出版されたのが最初と思われる.本書では,夫が食道静脈瘤手術を受け,順調に回復している最中にMRSA感染症で亡くなった.本書では感染防止対策全般の必要性を訴えていた.この当時の日本はMRSA患者隔離の概念すらなかった時代である.内視鏡はブラシを用いない簡易洗浄のみで使いまわし,洗浄・消毒は1日の終わりにのみにしかしていなかった.結核患者に対してはサージカルマスクのみで対応していた.そのような中1996年に「隔離予防策のためのCDCガイドライン」が出版され,空気感染,飛沫感染,接触感染の考え方が初めて日本にもたらされた.その後,本邦でも手探りながら感染防止対策がとられるようになる.

 2012年の診療報酬改定により感染防止対策加算が加算1で500点が算定できるようになった.院内感染対策を行うための十分な資金が診療報酬として得られる環境が整ってきている.これに伴い,日本各地で感染対策の研究会が多数開催され,感染防止対策はいまや一大ブームとなっている.

 感染防止対策は環境感染対策と抗菌薬適正使用が主要な柱となっている.環境感染対策においては,2012年の最初に医療従事者における患者接触後の手袋・ガウンの多剤耐性菌汚染の実態調査が報告され(Crit Care Med 2012; 40: 1045-51),ICUにおける院内感染のリスクを推し量るよい指標が示された.人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防は特に重要視されており,Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012でも推奨項目に組み入れられている.VAP予防手段の一つとして様々な口腔ケアが提案されるもエビデンスの進展は依然として乏しい.カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は,近年管理技術の向上もあり,鼠径と内頚で感染率に差がなくなったという報告が増加している.また,1%クロルヘキシジンアルコール製剤が消毒薬として使用可能となり,CRBSI減少が期待されている.現在,1%クロルヘキシジンアルコール,0.5%クロルヘキシジンアルコール,ポビドンヨードの3種類の消毒薬の効果を比較する本邦の多施設共同オープンラベル無作為化比較試験JSEPTIC-CRBSI trialが行われている.

 感染防止対策のコンプライアンスについては対照的な2報がある.ICUでの感染対策において,細かく遵守項目を定めてもMRSAやVREの伝播は減少できなかった(N Engl J Med 2011; 364: 18)が,意識改革を行う手法ではMRSA感染を減少させることができた(N Engl J Med 2011; 354: 1419-30)としている.厳しく遵守を求めるのではなく,意識を向上させる方がむしろコンプライアンスが高まる可能性がある.

医療従事者における患者接触後の手袋・ガウンの多剤耐性菌汚染
Morgan DJ, Rogawski E, Thom KA, et al. Transfer of multidrug-resistant bacteria to healthcare workers' gloves and gowns after patient contact increases with environmental contamination. Crit Care Med 2012; 40: 1045-51
PMID:22202707,Free Full Text
ポイント:感染対策従事者,ICUスタッフは必読文献と思われる.6施設ICUにおける前向きコホート研究.接触感染対策を行っている患者の部屋に出入りする医療従事者の予防的衣服における多剤耐性菌のコンタミネーションの調査.ガウン2.3-12.6%,手袋10.0-29.3%で患者と同一菌を検出した.また,手袋を脱いだ手から1.7-4.2%で菌を検出した.手袋・ガウンからの菌検出リスク因子は,環境から培養陽性(OR 4.15),5分以上滞在(OR 1.99),診察した(OR 1.74),人工呼吸器に触った(OR 1.78)であった.環境のコンタミネーションは手袋やガウンを通じて容易に伝播される.汚染菌は上位からA.baumanii 32.9%,MDRP 17.4%,VRE 13.9%,MRSA 13.8%であった.独立危険因子は,環境培養陽性(OR 4.2),5分を超える在室(OR 2.0),身体診察(OR 1.7),人工呼吸器への接触(OR 1.8)であった.

手術室における細菌汚染
Loftus RW, Brown JR, Koff MD, et al. Multiple reservoirs contribute to intraoperative bacterial transmission. Anesth Analg 2012; 114: 1236-48
PMID:22467892
ポイント:米国3施設548症例の手術室における細菌汚染の検討で,三方活栓で細菌が確認されたのは23%であり,三方活栓の汚染は死亡リスクを有意に58.5倍増加させる.麻酔科医の手指よりもpop-offバルブ,気化器のダイアルなど環境汚染の関与が大きい.ICT必読文献.環境感染ラウンドの際の参考に.

米国ICUにおける耐性菌のサーベランス
Eagye KJ, Banevicius MA, Nicolau DP. Pseudomonas aeruginosa is not just in the intensive care unit any more: implications for empirical therapy. Crit Care Med 2012; 40: 1329-32
PMID:22425824
ポイント:米国13施設における前向き多施設サーベイランス研究で,ICUは非ICU病棟より多剤耐性検出率(12% vs 5%),カルバペネム非感受性緑膿菌検出率(35% vs 27%)が有意に高い.病棟別アンチバイオグラムは経験的治療方針決定に役立つ可能性がある.

多剤耐性菌の定義
Magiorakos AP, Srinivasan A, Carey RB, et al. Multidrug-resistant, extensively drug-resistant and pandrug-resistant bacteria: an international expert proposal for interim standard definitions for acquired resistance. Clin Microbiol Infect 2012; 18: 268-81
PMID:21793988
ポイント:多剤耐性菌(MDR,XDR,PDR)の定義.多剤耐性菌がからんだ論文or発表を行う場合のMDR,XDR,PDRの定義確認にオススメの文献.

多剤耐性結核菌感染患者にサージカルマスクを装着させたときの効果
Dharmadhikari AS, Mphahlele M, Stoltz A, et al. Surgical face masks worn by patients with multidrug-resistant tuberculosis: impact on infectivity of air on a hospital ward. Am J Respir Crit Care Med 2012; 185: 1104-9
PMID:22323300
ポイント:サージカルフェイスマスクは多剤耐性結核患者に装着させることで結核菌伝播を有意に減らすことができる(リスク56%減少).結核患者では慣習的に行われていることであるが,意外にもこれまでほとんど研究報告がなかった.

手指衛生改善戦略のシステマティック・レビュー
Huis A, van Achterberg T, de Bruin M, et al. A systematic review of hand hygiene improvement strategies: a behavioural approach. Implement Sci 2012; 7: 92
PMID:22978722,Free Full Text
ポイント:手指衛生の向上戦略を報告した41報のシステマティックレビュー.知識・認識・行動制御・促進といった因子だけでは手指衛生の改善には十分ではない.行動の変化の決定要素に焦点をあてることでより有効な手指衛生の改善がはかれる.

環境清掃のための不織布への細菌汚染
Oie S, Arakawa J, Furukawa H, et al. Microbial contamination of a disinfectant-soaked unwoven cleaning cloth. J Hosp Infect 2012: 82; 61-3
PMID:22854353
ポイント:山口大学からの報告.ICUの調査で環境清掃に使用されている0.2%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩溶液含浸レーヨン不織布の開封済みパックがBurkholderia cepacia,緑膿菌などに汚染されていた.未開封パック42サンプル中5サンプルからもBurkholderia cepaciaが検出された.

ナーシングホームにおける経腸栄養の細菌汚染における感染制御プログラムの効果
Ho SS, Tse MM, Boost MV. Effect of an infection control programme on bacterial contamination of enteral feed in nursing homes. J Hosp Infect 2012; 82: 49-55
PMID:22765960
ポイント:効果的な感染制御プログラムにより経腸栄養の細菌汚染を大幅に減少させることが可能である.ナーシングホームに感染制御プログラムを導入することが強く推奨される.汚染と手指衛生の不足は有意な関連性がみられた.

ノロウイルスアウトブレイク時の病棟区画化による有症状患者のコホーティング
Haill CF, Newell P, Ford C, et al. Compartmentalization of wards to cohort symptomatic patients at the beginning and end of norovirus outbreaks. J Hosp Infect 2012; 82: 30-5
PMID:22770470
ポイント:ノロウイルスアウトブレイクの開始時および終了時に,病棟を区画化して有症状患者をコホーティングすることによりアウトブレイク管理の効率が改善し業務の途絶が減少した.病棟全体閉鎖よりも区画化の方が日数が短縮した.

2病院における多剤耐性緑膿菌のアウトブレイク:病院の排水システムと汚染の関連
Breathnach AS, Cubbon MD, Karunaharan RN, et al. Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa outbreaks in two hospitals: association with contaminated hospital waste-water systems. J Hosp Infect 2012; 82: 19-24
PMID:22841682
ポイント:英国2病院でのMDRPアウトブレイク調査.排水システムがMDRPやその他の院内病原体のリザーバとなる可能性があることが示された.流し・シャワー・トイレの設計不良,汚物洗浄処理室付近での清潔な物品の保管,排水管の頻繁な詰まりや漏れが原因であった.制御対策として,流しとトイレを洗浄が容易で水はねしにくいモデルへ交換すること,詰まりや不適切な保管を減らすための職員教育,清掃手順の見直し,あふれを減少させるためのシャワーの流量低下などを実施した.これらの対策によりMDRP症例数が大幅に減少した.

パンデミック時の陰圧室の代わりに換気扇を使用した患者隔離
Yuen PL, Yam R, Yung R, Choy KL. Fast-track ventilation strategy to cater for pandemic patient isolation surges. J Hosp Infect 2012; 81: 246-50
PMID:22738612
ポイント:2003年SARS流行時調査で,急増した隔離を要する感染症患者を収容する隔離施設が不足した場合は,陰圧気流を創出するための簡易な窓用換気扇の設置などを既存の一般病棟に迅速かつ広範に設置することで感染伝播を防ぎえる可能性が示唆された.

外部固定装置への消毒薬別の効果
Stinner DJ, Beltran MJ, Masini BD, et al. Bacteria on external fixators: which prep is best? J Trauma Acute Care Surg 2012; 72: 760-4
PMID:22491567
ポイント:手術時に使用する外部固定装置への消毒効果について4%クロルヘキシジン,10%ポビドンヨードを検出菌で比較した40例RCT.両群間に有意差なし.スプレー式に変えても有意差はみられなかった.
[PR]
by DrMagicianEARL | 2013-01-28 13:01 | 感染対策 | Comments(0)
当院地区での加算1-2連携第3回感染防止対策会議+感染対策トピックスをピックアップ

■とある地区において加算1の感染対策専従看護師が夜勤を行っていることが発覚し,加算1が剥奪され,その下についていた加算2の病院もすべて感染防止対策加算が剥奪されるという事例が発生したとのこと.1つの病院がルール違反を行えば他の病院も巻き添えをくらうことが実例として明らかになった.厚生労働省が想定した以上にはるかに多くの病院が感染防止対策加算を取りに来ていることから,予算の関係もあり,わずかなルール違反であっても加算剥奪を躊躇なく行ってくると考えられる.

■ICTラウンドは以下の5種類
(1) 血液培養陽性例,耐性菌検出時
(2) 抗菌薬適正使用
(3) 感染症診療(コンサルテーション)
(4) 環境感染ラウンド
(5) リンクナース,リンクドクター等の現場責任者によるチェックラウンド

■環境感染ラウンドは多くの病院では看護師主体であり,医師がかかわることが少ないが,何度かは参加しておくべきである.概して医師の環境感染に関する知識は少ない.環境感染ラウンドで重要なのは写真撮影であり,必須とすべきである.また,環境感染ラウンドでは清掃委託業者と一緒にラウンドすることが望ましい.

■環境調査(環境培養)は以下の場合で行われる.
(1) アウトブレイク時
(2) アウトブレイク疑い時
 ① 特定の菌の検出
 ② 普段遭遇しない菌の検出
 ③ 耐性菌が継続的に検出
(3) ベースライン把握時
CDC環境感染対策ガイドライン[1]ではベースライン把握のための環境調査は推奨されていないが,ケースバイケースで行うべきかもしれない.

■本邦では,MDRAB(多剤耐性アシネトバクター),MDRP(多剤耐性緑膿菌)などの多剤耐性菌のほとんどは抗菌薬暴露による適応耐性であり,メタロβラクタマーゼ産生菌は極めて稀であり[2,3],MDRAB・MDRPのうちせいぜい0.3%程度である.

■病院建て替えの時はICTが必ず設計チェックを行うべきである.環境感染対策を無視したとんでもない設計が行われいたりすることはよくある.また,新病院建設時はアスペルギルスに注意が必要である.

■各病院でのスポンジの使用状況について,感染防止対策会議やICDアカデミーのパネルディスカッションで話題に上がった.「スポンジは緑膿菌の塊と思え」が最近の警鐘である.スポンジは内部の洗浄・乾燥が難しく,緑膿菌,アシネトバクターなどのグラム陰性菌が増殖しやすい環境である.また一度増殖した緑膿菌はバイオフィルムを形成するため,乾燥に対しても抵抗性を示す.実際に,このようなスポンジの微生物汚染について調べたところ,高頻度に緑膿菌で汚染されていたとの報告[4]があるため注意が必要である.この報告では,85%のスポンジに細菌の定着を認め,また,そのうち31.4%は緑膿菌であった.また,緑膿菌汚染を受けていたスポンジを2日間室温放置して乾燥させ,その後スポンジに付着した緑膿菌の生菌数を調べたところ,2日間室温放置して乾燥させたスポンジではすべて緑膿菌が生存していた.また,いくつかは2ヶ月間にわたって緑膿菌が生存していた.

■スポンジの使用後は70-80℃10分間などの熱水消毒,または洗浄後,0.1%次亜塩素酸ナトリウム(ヤクラックスD液1%など)に30分以上浸漬し消毒し,十分乾燥させる必要がある.ただし,一度汚染されると乾燥させても清潔にはならないので,長期間の使用は避け,できるだけ早く廃棄することが望ましい.スポンジ交換頻度は数日から2週間と病院によって様々である.東京女子医大では業者と交渉し,1個15円のスポンジを仕入れ,1回きりの使い捨てとしているとのことであった.スポンジはなくしていく方向に向かうべきものなのかもしれない.使い回しするスポンジの使用は避け,クロスなどディスポーザブルの清拭用具を用いることが望ましい.

■感染対策上,自動蓄尿器を使ってはならない.過去に東京大学で自動蓄尿器によって緑膿菌のアウトブレイクがあった.

■消化器内視鏡は非常に感染対策がよくなった.その一方,どの病院でも問題になっているのが部署持ちの内視鏡である.特に耳鼻咽喉科の内視鏡の感染対策は不透明なケースが多い.

■自動蓄尿器は使用すべきではない.すでに自動蓄尿器による緑膿菌のアウトブレイクが国内で報告されている.極力ディスポーザブルなものをマニュアルで使用すべきである.

■水道の配管内に滞留している水にレジオネラが増殖することがある.このため,出し始めの水は使用せず,ある程度流してから使用すべきである.

[1] Sehulster L, Chinn RY; CDC; HICPAC. Guidelines for environmental infection control in health-care facilities. Recommendations of CDC and the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC). MMWR recomm rep 2003; 52: 1-42
[2] Niki Y, Hanaki H, Matsumoto T, et al. Nationwide surveillance of bacterial respiratory pathogens conducted by the Japanese Society of Chemotherapy in 2008: general view of the pathogens' antibacterial susceptibility. J Infect Chemother 2011; 17: 510-23
[3] Ishikawa K, Matsumoto T, Yasuda M, et al.The nationwide study of bacterial pathogens associated with urinary tract infections conducted by the Japanese Society of Chemotherapy. J Infect Chemother 2011; 17: 126
[4] Oie S, Kamiya A. Contamination and survival of Pseudomonas aeruginosa in hospital used sponges.Microbios 2001; 105: 175-81
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-10-23 13:57 | 感染対策 | Comments(0)
■2012年4月より開始となった感染防止対策加算において,当院を含む二次医療圏全体で感染防止対策ネットワークが作られ,2回目の合同カンファレンス(本格的なネットワーク始動としては1回目)が7月上旬に行われた.5月時よりさらに加算2が5病院増え,加算1が6病院,加算2が16病院の計22病院という,国内最大規模ネットワークでの始動となった.

■合同カンファレンスは総勢100名以上となり,ネットワーク代表の大学病院の大講堂で開催された.大学病院感染制御の教授の進行で開始され,感染対策ネットワークの会則(案)を全開一致で採択.その後,年間予定,加算要件の再確認,加算1-1施設ラウンド報告が行われた.

■加算1-1ラウンドの報告はPowerPointを使い,写真を提示して発表された.全部のチェック項目をラウンドしてチェックするのは時間的にも不可能なため,自施設でA評価の項目はある程度省略してラウンドを行っている.具体的な改善点の指摘としては,植木鉢の配置(水や土を含むため,倒れたときのことも考え,置く場所や撤去も考慮),手術室廊下のゴミ箱,ゴム手袋箱の向き(取り出し口が上向きでは駄目),消毒薬の配置・向き,マスク着用などであった.

■その後,各専門職別カンファレンスが開かれ,医師・看護師・事務職部会と薬剤師部会と検査技師部会の3つに分かれて会議が行われた.病院によって感染防止対策のレベルは大きく異なり,加算2の病院においては,感染防止対策の経験がほとんどない病院ばかりであり,ラウンドやサーベランスなどもほぼ行われていない状況にある.このため,当面はこれらの病院の底上げ期間が必要になってくる.なお,検査技師部会では「耐性菌とは」という,基礎の基礎の勉強会から始まったとのことであった.

■次に行われたのは各1-2連携カンファレンス.当院を含む連携は加算1の大学病院と加算2の6病院.アンケート結果で各施設の感染対策状況がその場で公表されたが,当院以外の病院は明らかに感染防止対策に慣れておらず,これまで特になされていなかったようである.とりわけラウンドもサーベランスも行われていない病院も複数あるため,その病院への指導が行われた.実際,7病院中長年のサーベランスデータを持っているのは当院のみであった(大学病院はつい最近).まずは各病院での耐性菌の全数把握を行うところから始まることになった.
※竹末教授のいる兵庫医大は加算2の15病院と連携しているとのことだが,15病院ともかなりの感染防止対策レベルを有しているとのことである.さすがというところか.

■細菌検査室がない病院も多く,これは加算1の病院でもみられたことである.このような病院では,外注先からの報告を紙ベースではなく,Excel化してもらい,データ集積を行うことが提言された.まずは後向きにデータ解析が行える環境を全病院が整えることから開始となった.
※某教授との話ででてきたが,加算2病院の想定以上の増加があることから,医療費削減のために加算2の病院の厳格基準による切り落としと,加算報酬点数の減点が行われる可能性がありうると予想されている.また,加算1だが細菌検査室を持っていない病院は200点になるのではないかと予想された.

■アウトブレイク時の対応についてはマニュアル化する予定ではあるものの,まだまだ調整が必要そうである.MRSAとESBLに関しては「1ヶ月に1つの病棟で同一菌による感染症が4例以上」の時点でネットワークに報告,となっているが,この基準についてはまだまだ議論が必要である(より緩和すべき?).MDRP,MBL産生菌,VRSA,VRE,MDRABなどは「1例でも出た時点でネットワークへ報告対処」とする案になっていて,MDRPやMBL産生菌をはずそう,VISAは入れない,という大学病院の意見があった.小生はこの意見には反対している(local factorなども考慮するとはずすべきではないと考える).このあたりは疫学認識の違いであろう.

■ネットワークとしては,最終的に以下の内容のデータを揃えることでまとまり,閉会となった.
①各施設のカルバペネム系・抗MRSA薬使用量の提示
②各施設の耐性菌全数データの提示
③手指消毒薬使用量データの提示

■手指消毒薬使用量データに関しては,アルコール消毒薬(ヒビスコール®)の使用量で評価することになった.具体的には,1回あたりの使用量が3cc(ヒビスコール®では1プッシュ1.5ccで1回あたり2プッシュ必要)として,全使用量を患者数×期間で割った「1人の患者につき1日に使用される量」を算出する.15cc/患者人/日が標準ラインとされている.ただし,病室に入るときと出るときの最低2回を考えても,15cc/患者人/日だと消毒回数5回,すなわち2.5回しか病室に出入りがない計算になるため,これでも少ない.ところが実際の病院内のアルコール消毒薬使用回数はおそらく15ccをはるかに下回ることが予想される.実際,大学病院は3cc/患者人/日しか使用されていなかった,つまり病室に0.5人/日しか出入りがなかった計算になる.当院では2011年の使用量から2cc/患者人/日以下であることが分かり,現在使用推進中である.2012年4-5月の集計では2011年使用量より倍化してはいるものの,まだまだ足りていない状況にある.

※手指衛生に必要な場面は5つある.これはWHOが“Clean care is safer care”をスローガンに手指衛生の実施率改善に努めているものである.従来の一処置一手洗いは時に不必要な手洗いを含み,手荒れなどの弊害もでてきる.手洗いの目標は「病原体を持ち込まない,持ち出さない,移動させない」ことである.患者と患者に属する器具・器材および環境を「患者周囲環境(患者域)」とし,それ以外(診療域)と区別する.すなわち,患者ベッド,床頭台,輸液ポンプ,人工呼吸器などを患者域とし,手指衛生に必要な5つの場面を提示している.
①患者域に入る前
②無菌操作前
③血液・体液に触れた後,あるいは触れた可能性があった場合
④患者域から出た後
⑤患者域に属する器材などに触れた後
なお,手袋の着用は手洗いの代用ではなく,手袋の着用が手洗い不要の理由とはならない.手袋には微小孔(ピンホール)が医療従事者が考えているよりはるかに多く存在し,実際に手袋を脱いだ手から患者と同一菌が1.7-4.2%の割合で検出されている(CCM 2012; 40: 1045-51).手術時の滅菌グローブであっても少なくとも1.5%にピンホールが空いている(日本グローブ工業会website).

[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-07-17 00:59 | 感染対策 | Comments(0)
当院の抗菌薬適正使用ガイドライン(2012年5月発表)
各項目についてのガイドラインに記載した解説文はこのブログでは省略(抗菌薬の基本原則にだいたいの内容は記載している).ここではなぜこの項目にしたのかについてのみ下に記載した.
5.腎機能・肝機能の考慮
5-1.腎排泄系,肝排泄系の抗菌薬では,それぞれの臓器機能障害に合わせて投与量の減量を考慮する.

5-2.透析によって除去を受ける抗菌薬では投与量,投与設計の変更を検討する.
 解説では腎障害・肝障害時の各抗菌薬の使用法について提示している.腎機能障害に関しては,安全・中等度注意・高度注意の3群に分類した.

6.抗菌薬併用療法の検討
6-1.細菌性感染症の場合,通常は単剤投与で治療するのが原則である.

6-2.抗菌薬併用による効果は,薬剤耐性化の抑制,スペクトラムの拡大,相乗効果が期待できるが,薬剤耐性化,相乗効果については不確定であり,推奨する根拠に乏しく,医療コスト増大,副作用リスク増大というデメリットも存在するため,安易に併用の選択は行うべきではない.

6-3.骨髄炎や心内膜炎などの慢性感染症に対し,長期的な抗菌薬投与が必要な場合は,原因となる細菌によっては併用が薦められる場合もある.
 抗菌薬併用療法は,経験的治療(empiric therapy)においては,推定される病原菌を,ときには薬剤耐性菌を含めてカバーする目的で行われる.原因微生物が判明している場合においては,①単剤に比べて良い効果を期待して併用する,すなわち相乗効果(synergy effect)を狙う,②治療する上で原因菌の耐性化を防止する,③その他抗菌活性以外の特殊な効果を期待して,などの目的で行われるが,そのエビデンスの蓄積は十分でなく,一部のケースにおいて推奨されているに留まる.このようにエビデンスは少ないが,臨床現場では抗菌薬併用療法は頻繁に施行されており,EBMとの乖離があることは否めない.解説ではスペクトラム,耐性菌防止,相乗効果,特殊な効果を期待しての使用,の4つの観点でそれぞれのエビデンスの有無などを記載した.
7.薬物血中濃度モニタリング
7-1.以下の薬剤は薬物血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring:TDM)に基づき,投与量,投与間隔を設定する.
グリコペプチド系:VCM(バンコマイシン®),TEIC(タゴシッド®)
アミノグリコシド系:GM(ゲンタシン®),AMK(アミカシン®),ABK(ハベカシン®)

7-2.各抗菌薬の目標とするピーク値,トラフ値を以下に示す.
VCM:トラフ値 15-20μg/mL
TEIC:トラフ値 ≧17μg/mL
GM(1日1回投与法):ピーク値 16-24μg/mL,トラフ値 <1μg/mL
AMK(1日1回投与法):ピーク値 56-64μg/mL,トラフ値 <1μg./mL
ABK(1日1回30分投与法):ピーク値 8-12μg/mL,トラフ値 <2μg/mL

7-3.目標ピーク値,トラフ値を達成するためにも,薬剤課に血中濃度シミュレーションの依頼を検討する.

7-4.TDMを必要とする抗菌薬では,オーダー時に抗菌薬投与時刻指定を必ず行う.
 日本TDM学会ガイドライン正式発表前であり,この院内ガイドライン発表時はTSM学会ガイドラインは未考慮の状態である.このため,今後改訂する可能性はある.VCM,TEICについてはhigh targetを標準とした.
8.小児への抗菌薬投与
8-1.小児では薬剤ごとに吸収に差があるため注意が必要である.

8-2.乳幼児では主要血漿タンパクのアルブミンが低値であるため,薬剤が遊離型の状態で存在しやすく,効果が強く出やすいため注意が必要である.

8-3.小児は成人と比べ肝機能や腎機能が未熟であるため注意が必要である.
 解説では小児で特に注意すべき抗菌薬副作用について解説した.
9.妊婦への抗菌薬投与
9-1.妊婦感染症に比較的安全に投与しうる薬剤として,使用経験が豊富で胎児への有害作用がみられないペニシリン系,セフェム系,マクロライド系が挙げられる.その他,CLDM(ダラシン®),FOM(ホスミシン®)も安全性が高い.

9-2.テトラサイクリン系,アミノグリコシド系,ニューキノロン系,ST(バクタ®)は胎児への影響を考慮し,使用すべきではない.
 妊娠中は,腎クリアランスが高まり,分布容積が増加し,タンパク結合率が低下する薬物があるので,難治性感染症の治療では体内動態の変化を考慮する.
10.高齢者への抗菌薬投与
10-1.加齢に伴う薬物動態の変化を考慮して投与量,投与方法を選択する必要がある.

10-2.高齢者においては合併症のために多種の薬剤を併用されていることが多く,薬物間相互作用についての十分な注意も必要となる.
 高齢者での抗菌薬投与については下記文献参照.
Crossley KB, Peterson PK. Infections in the elderly. Principles and practice of infectious disease, 6th ed. Mandell GL, Bennett JE, Dolin R, eds. New York: Elsevier Churchill Livingstone 2004; 3164-9
 解説には記載しなかったが,高齢者の耐性菌リスクの考慮をどこまで行うかは今後議論の余地がある.とりわけ肺炎においては耐性菌リスクはあくまでも検出菌による疫学データからだされたものであり,真の起因菌での疫学データではない.このため,耐性菌リスクを考慮した抗菌薬治療が過剰なスペクトラムカバーとなり,さらなる耐性菌誘発を助長させる懸念もある.

■本章での引用文献数は26

院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第3章.初期抗菌薬の選択(1)
→院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第4章.抗菌薬の継続・変更・中止」

[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-07-16 14:22 | 感染対策 | Comments(0)
当院の抗菌薬適正使用ガイドライン(2012年5月発表)
各項目についてのガイドラインに記載した解説文はこのブログでは省略(抗菌薬の基本原則にだいたいの内容は記載している).ここではなぜこの項目にしたのかについてのみ下に記載した.

第3章.初期抗菌薬の選択
1.スペクトラム
1-1.その病態に対して抗菌薬を初めて投与する際は,経験的治療(empiric therapy)として,原因感染症を推定し,その感染症で疫学的に頻度の高い原因菌をカバーできる抗菌薬の投与を行う.

1-2.重症例や免疫抑制状態の場合,抗菌薬の選択は想定される微生物を網羅する広域抗菌薬の投与が推奨される.

1-3.軽症,中等症で,感染防御能が正常であるときは,その感染症において特に頻度の高い病原微生物を網羅できる範囲で,できるだけ狭域の抗菌薬を選択すべきである.

1-4.広域抗菌薬の多用は,宿主環境や病院環境における耐性菌の増加を誘導し,次に生じる感染症をより難治なものにすることを留意する.

1-5.グラム染色,塗抹鏡検所見を参考にして原因菌を推定し,抗菌薬の狭域化を図ることを検討する.

1-6.年齢,基礎疾患,最近の抗菌薬使用歴,過去の検出菌等を参考にして耐性菌リスクを考慮する.

1-7.特に嫌気性菌活性を有する抗菌薬を使用する際は,腸内細菌叢破綻による薬剤性関連下痢症(特にClostridium difficile関連下痢)を誘発するリスクを考慮し,probiotics製剤の併用を考慮する.

1-8.TFLX(オゼックス®)以外のニューキノロン系抗菌薬,LZD(ザイボックス®)は抗結核菌活性を有するため,結核が考慮されうる状態に対してはその除外がなされるまでは使用すべきではない.
 起因菌推定,患者背景,重症度の3点をベースにスペクトラム選択方法を提示した.ただし,過剰広域となりすぎないよう,グラム染色を使用した狭域化の努力を行うことも明記した.

 腸内細菌叢温存を重視し,probiotics製剤併用も明記している.これは今後作成予定の院内早期経腸栄養ガイドラインへのリンクも目的とした項目である.この項目に関しては特に以下の文献を重要視し,提示した.
Vollaard EJ, Clasener HA. Colonaization resistance. Antimicrob Agents Chemother 1994; 38: 409-14
Shimizu K, Ogura H, Tomono K, et al. Patterns of gram-stained fecal flora as a quick diagnostic marker in patients with severe SIRS. Dig Dis Sci 2011; 56: 1782-8
Hempel S, Newberry SJ, et al. Probiotics for the prevention and treatment of antibiotic-associated diarrhea: a systematic review and meta-analysis. JAMA 2012; 307: 1959-69

 市中肺炎などにおいて,第一選択でキノロン系を使用するケースがよく見られるが,本ガイドラインにおいてはその使用を非推奨としている.実際に当院呼吸器内科においては,肺炎に対する経験的治療としてニューキノロン系を第一選択にすることはほとんどなく,使用しないことで治療に難渋したケースもほとんどない.肺結核が空洞形成や上肺野に形成されたりなど典型的画像所見をとっていれば分かりやすいが,実際には通常の肺炎像と鑑別が困難なケースも多数存在する.とりわけ,AIDSなど免疫力が低下した患者における結核像は非典型的であることが多い.以上から安易なニューキノロン投与には警鐘を鳴らすべきである.開業医においてはニューキノロン系を経験的治療により第一選択で投与されるケースが非常に多く,初期は奏功したもののあとになって再燃し,当院に紹介となり結核であったケースがあとをたたない.
 同様に,LZD(ザイボックス®)も抗結核菌活性を有するため同様の注意が必要であり,肺炎のみならず,椎体炎などでもMRSAであるとは限らず(とりわけTh12の椎体炎は結核を疑うべきである),グラム染色や抗酸菌染色を活用して結核を除外する必要がある.
2.臓器・組織移行性
2-1.抗菌薬投与の際は,感染巣である臓器・組織への移行性を考慮する.

2-2.マクロライド系,ニューキノロン系,テトラサイクリン系,CLDM(ダラシン®),RFP(リファンピン®),ST(バクタ®)は組織移行性がよく,細胞内や組織内の濃度が血中濃度より高濃度になる.

2-3.膿瘍を形成している場合は,抗菌薬移行性は悪く,ドレナージ,デブリードマン,デバイス除去などの外科的処置も検討する.
 解説では各臓器と抗菌薬の移行性のよい組み合わせ,悪い組み合わせの表を提示した.バイオフィルムへの移行性については臨床的に考慮して使用されていることも多いが,in vivoでエビデンスが確立されているというわけではないため,項目としては示さず,解説に「マクロライド系,テトラサイクリン系,CLDM(ダラシン®)は菌のバイオフィルム透過性を亢進させるとのin vitroの報告があるが,in vivoでの有効性については現時点では結論が出ていない.」と記載するに留めた.

 膿瘍を含めた感染巣コントロールについては以下の文献を重要視して提示した.
Marshall JC, Maier RV, Jimenez M, et al. Source control in the management of severe sepsis and septic shock: An evidence-based review. Crit Care Med 2004; 32: S513-26
3.殺菌性の考慮
3-1.一般的に抗菌薬の殺菌性と静菌性の違いは多くの場合考慮する必要はないが,免疫力が重度に低下している患者や,敗血症,髄膜炎,感染性心内膜炎,重症ブドウ球菌感染症,重症グラム陰性桿菌感染症,好中球減少症においては殺菌性抗菌薬の検討が必要である.
 殺菌性と静菌性は日常診療ではまず考える必要はないが,特定の状況では考慮しなければならないため,単一項目として記載した.ただし,殺菌性と静菌性はあくまでも便宜上の分類であり,はっきりと区別できるわけではない.また,解説ではtoleranceについても記載している.
4.local factor / antibiogram
4-1.同じ感染症であっても,起炎菌の頻度や薬剤感受性は施設ごとに異なり,また,地域特有の感染症を考慮しなければならない場合もあることを留意する.

4-2.当院において検出される各菌の薬剤感受性を考慮する.
 抗菌薬適正使用を進める上でなくてはならない項目である.感染症に対するempiric治療は熱病などの書籍により選択することはできるが,実際には国,地域,施設,さらには病棟によってもその起因菌の頻度や感受性が異なる(以下の文献を特に重要視して提示している),いわゆるlocal factorが存在する.これを理解していなければ不必要に広域にカバーしたり,カバー漏れが生じる.
Souli M, Galani I, Giamarellou H. Emergence of extensively drug-resistant and pandrug-resistant Gram-negative bacilli in Europe. Euro Surveill 2008; 13; 47
Rhomberg PR, Jones RN. Summary trends for the Meropenem Yearly Susceptibility Test Information Collection Program: a 10-year experience in the United States (1999-2008). Diagn Microbiol Infect Dis 2009; 65: 414-26

 当院では院内サーベイランスが充実しており,antibiogramもその一環である.その年の1月に前年の院内antibiogramを全医師および各病棟に配布している.一般的に推奨されている抗菌薬がその菌に本当に有効であるかを判断する上でも重要である.

←院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第2章.抗菌薬使用で考慮すべき事項」
→院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第3章.初期抗菌薬の選択(2)」

[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-07-08 14:42 | 感染対策 | Comments(0)
当院の抗菌薬適正使用ガイドライン(2012年5月発表)
各項目についてのガイドラインに記載した解説文はこのブログでは省略(抗菌薬の基本原則にだいたいの内容は記載している).ここではなぜこの項目にしたのかについてのみ下に記載した.

第2章.抗菌薬使用で考慮すべき事項
1.抗菌薬選択基準と届出制
1-1.抗菌薬は以下の点を考慮して選択する.
① 推定あるいは同定された原因微生物の種類
② 薬剤感受性
③ 臓器移行性
④ 細胞内移行性(細胞内増殖菌)
⑤ 患者重症度(感染症,基礎疾患)
⑥ 患者臓器障害(腎機能障害,肝機能障害)
⑦ 既往歴(薬物アレルギー)
⑧ 副作用頻度
⑨ local factor / antibiogram
⑩ コスト

1-2.以下の抗菌薬の使用に際しては,必ず抗菌薬使用届けを提出する.
①抗MRSA薬:ABK(ハベカシン®),VCM(バンコマイシン®),TEIC(タゴシッド®),LZD(ザイボックス®),DPT(キュビシン®)
②カルバペネム系抗菌薬:IPM/CS(チエナム®),MEPM(メロペン®),DRPM(フィニバックス®)
※DPT(キュビシン®)は2012年5月現在未採用

1-3.以下の抗菌薬の使用に際しては,抗菌薬使用届けは不要であるが,その耐性化率,広域なスペクトラムから,熟慮の上選択することが望ましい.
TAZ/PIPC(ゾシン®),FMOX(フルマリン®),CMZ(セフメタゾン®),SBT/CPZ(スルペラゾン®),CAZ(モダシン®),CFPM(マキシピーム®),TFLX(オゼックス®),PZFX(パズクロス®),CPFX(シプロキサン®),LVFX(クラビット®),GRNX(ジェニナック®),GM(ゲンタシン®),AMK(アミカシン®)
 抗菌薬使用届けが本当に必要かについては賛否両論がある.「一部の適正使用できていない医師のためにやっている届出制で真面目にやってる先生にとっては無駄に仕事が増えるだけ」という意見もあったが,その意見には小生は耳を貸していない.なぜなら,当院においては適正使用できていない医師は“一部”ではなく“ほとんど”だからである.

 本届出制によりカルバペネム系の処方数が少なくなる一方で他の広域抗菌薬の処方数が増加するという現象は当院では生じていない.ただし,届出制に含まれていない広域抗菌薬についてもあまりスペクトラムを把握されずに使用されている現状は多い.これらのこともあって届出制に関する記載を冒頭にもってきている.なお,2012年5月から当院では月ごとに抗菌薬使用届けを提出していない医師名が医局に張り出されるようになった.

 届出用紙にはなぜその抗菌薬を選択したかの理由を記載する欄があり,ICTが介入を行う際はそこをチェックするが,「必要だから」の一言だけなど,主治医がなぜその抗菌薬を選択したのかがさっぱり分からないこともよくある.この書き方で提出しておきながらICTにコンサルトをしてくるのはどうなのだろうか.
2.PK/PDによる抗菌薬の分類
2-1.病原微生物を効果的に殺滅するため,薬物動態(PK:Pharmacokinetics)的思考と薬力学(PD:Pharmacodynamics)的な思考を行い,抗菌薬投与設計を行うことが推奨される.

2-2.時間依存的抗菌薬は一度に高用量を投与するよりも分割して投与回数を増やすことで効果が得られる抗菌薬である.このような抗菌薬には以下のものがある.
ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系,CAM(クラリス®),EM(エリスロシン®),CLDM(ダラシン®)

2-3.濃度依存的抗菌薬は分割投与よりも1回投与量を増加させることで効果が得られる抗菌薬である.このような抗菌薬には以下のものがある.
ニューキノロン系,アミノグリコシド系,DPT(キュビシン®),メトロニダゾール製剤(発売予定)

2-4.時間・濃度両方に依存的な抗菌薬は投与総量を増やすことで効果が得られる抗菌薬である.このような抗菌薬には以下のものがある.
VCM(バンコマイシン®),TEIC(タゴシッド®),AZM(ジスロマック®),LZD(ザイボックス®)

2-5.時間依存的要素を持つ抗菌薬の投与時間については,理論上投与時間を長くすれば効果が上昇するとされているが,適切な投与時間を推奨する根拠は不十分であるが,多くの抗菌薬では投与時間は最低でも投与時間は1時間かけるべきである.

2-6.重症敗血症,人工呼吸器,低アルブミン血症(毛細血管からの血漿漏出),心不全,体外循環(例;血漿交換,人工心肺),手術で留置されたドレーン,重症熱傷,好中球減少などにおいては体内分布容積が増加するため,抗菌薬の用量が不十分となりえることを留意する.

2-7.播腫性血管内凝固症候群(DIC)を併発している場合は,微小血栓により病巣に抗菌薬が到達できない可能性があり,DIC治療を検討する.DIC治療については当院のDIC診療ガイドライン,敗血症診療ガイドラインを参照のこと.
 解説ではPK/PD理論のおおまかな原則を記載している.また,各抗菌薬の動態のみならず,PK/PDに影響を与える因子についても記載している.DICについても言及したのはオーバーではあるが,本項目を記載したのは,他の院内ガイドラインとの連携や認知を高める目的もあるからである.
3.抗菌薬が不要な病態の判断
3-1.抗菌薬が必要な病態かを判断し,不要な投与は極力避けるべきである.

3-2.抗菌薬投与を白血球,CRPだけで判断してはならない.感染部位・臓器特異的が明らかでないならば,敗血症もしくは重症状態でない限り抗菌薬を投与せず責任病巣・起因菌の検索を行うことが推奨される.

3-3.ほとんどの風邪症候群(感冒,咽頭炎,副鼻腔炎,気管支炎)はウイルス感染症であり,重症例でない,もしくは明らかな細菌感染の徴候がない場合,抗菌薬投与は推奨されない.

3-4.既に抗菌薬を投与していて感染症が否定された場合は直ちに抗菌薬投与を中止すべきである.

3-5.保菌を治療しない.
 医療現場で使用されている抗菌薬の半数は不必要あるいは不適切であると報告されており,実際に当院の臨床現場で抗菌薬が不要の状態に対して抗菌薬が使用されているケースは非常に多い.現在風邪症候群に対する抗菌薬投与を明確な理由なしに行わないようICTから呼びかけを行っている.なお,当院ではプロカルシトニンは採用していない.

■本章内容解説においての引用文献数20.

←院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第1章.序論」
→院内抗菌薬適正使用ガイドライン「第3章.初期抗菌薬の選択(1)」
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-07-06 15:55 | 感染対策 | Comments(0)
2012年4月27日に院内の全職員を対象として院内抗菌薬適正使用ガイドライン案の概要発表+パネルディスカッションを行った。以下はそのガイドライン案の序論。

1.はじめに
 2010年12月3日に米国カリフォルニア州のモノ湖でGFAJ-1という新種の細菌を発見したとNASAが発表した.この細菌は地球上の既知の生物とは異なり,リンの代わりにヒ素を摂取してDNAとタンパク質を作り出すという前代未聞の生命体であった.このような極限環境における新種の微生物は数年に1度出現する.細菌にとって極限環境で生き抜く手段を得るのはそう難しいことではなく,様々な抗菌薬に曝露されるようになった昨今においても同様である.
※【2012年7月9日追記】スイス連邦工科大チューリヒ校と米プリンストン大の各研究チームが別々に,この細菌はヒ素濃度が高い環境でも生存できるだけで低濃度のリンを利用していることを実験で確認したとする報告が2012年7月8日のSicenceネット版に掲載された.

 米国でポピュラーな感染症診療の教科書であるInfection Diseasesは,Frederick Southwickの「われわれは抗菌薬の時代の終焉にいるのか?」という衝撃的な見出しから始まっており,抗菌薬の乱用により数多くの薬剤耐性菌が発生し,院内に留まらず,その地域にまで拡大しており,その速度は医師の想像の範疇を大きく越えるものである.

 1925年にAlexander Flemingがアオカビからペニシリンを発見し,1940年にはペニシリンが実用化となったが[1],それから20年足らずでペニシリン耐性黄色ブドウ球菌が急増した.しかし,実際にはペニシリン耐性菌は本剤が臨床で使用されるようになる以前から存在していたことが報告されている[2].自然環境においてはペニシリンをはじめとする抗菌物質を菌が産生することにより自分のなわばりのようなものを作ることが知られており,この抗菌物質に曝露される菌は多数存在しており,それらが生き延びるためには抗菌物質に対する耐性を持つ必要があった.すなわち,環境微生物に由来する抗菌性物質には古くから耐性菌が存在することは必然的なことであり,同時に抗菌薬に対する耐性獲得も時間の問題であったことは容易に想像できる.

 これに対し,キノロン系抗菌薬は自然界には存在しない化合物であったため[3],本剤耐性菌株が出現する可能性は低いと考えられていたが,この抗菌薬に対しても耐性菌が出現し,その頻度は上昇傾向にある[4]

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のアウトブレイクにより認識が広がりだした多剤耐性菌は,現在,ほとんどの抗菌薬が効かないESBL,NDM-1,KPC,MBLといった驚異的な耐性度をもつタンパクを有する菌が発見されるまでになっている.このような多剤耐性菌は日和見感染が主体であると考えられてきたが,近年,市中感染型MRSAが増加傾向にあり[5,6],2011年にドイツで食中毒により大流行した大腸菌O-104はESBL産生株であり[7],2011年に京都で発見された多剤耐性淋菌[8,9]も記憶に新しい.

 このように菌の耐性化の新規抗菌薬創薬のイタチゴッコが繰り広げられてきた中,抗菌薬開発はビジネスとしてリスクが高い割にはあまり収益が見込めない分野であり[10],採算性などの観点から最近は抗菌薬開発から撤退する企業が増加している[11].米国でも2020年までに新たな10種類の抗菌薬を開発するプロジェクトが行われているが,背景には1980年代以降,抗菌薬の数が減少し続けているという厳しい現状がある[12].加えて,医療現場で使用されている抗菌薬の半数は不必要あるいは不適切であるとされている[13]

 カルバペネムならグラム陰性桿菌にほとんど有効という時代は既に終わっており,本邦であってもカルバペネム耐性緑膿菌は珍しくはない[14,15].特に緑膿菌とAcinetobacter baumanniiは多剤耐性株の分離頻度も高まっており,通常利用可能なすべての抗菌薬が無効であることも経験される[16,17].器質拡張型βラクタマーゼextended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生によるカルバペネム以外のほとんどの抗菌薬に対する薬剤耐性は世界中に拡散しているが[18],近年,カルバペネムすら加水分解するβラクタマーゼを産生する腸内細菌科の細菌が日本でも臨床分離されている[19]

 各医師が思いのままに処方を繰り返して行ったら,仮にその処方がその症例の治療には正解であったとしても,近い将来,その施設がペニシリン開発以前の時代に逆戻りしてしまう可能性すらある[20].既にESBL産生大腸菌などで現実となっているように[21],病院由来の高度耐性菌が市中に拡散する危険性もある.カルバペネムを含むすべての抗菌薬が無効な大腸菌による尿路感染敗血症が市中で発生するというシナリオもかなり現実味を帯びてきている[22]

 これらを背景として抗菌薬の適正使用が必要な理由は耐性菌増加防止が第一に挙げられるが,これはあくまでも将来的予測,地域医療における理論である.

 大腸菌ESBL,VCM MIC 2のMRSA,多剤耐性アシネトバクターMDRAB,Stenotrophomonas maltophilia,これらの4種の菌が担当している肺炎患者の喀痰から出てきたらどうするか?これは現実に当院で2012年1月に起こったことである.抗菌薬の不適切な使用により高度な多剤耐性菌がそれも複数同時に検出するということは当院でも例外ではないということである.

 臨床現場においての適正使用の意義は,実際に投与する患者の臨床経過に大きく直結するものであり,患者の予後改善,副作用軽減,入院期間減少,医療コスト軽減に大きく関与する[23-25]ことも認識しなければならない.

2.2012年4月現在の当院の状況
 当院が所属する二次医療圏において当院のantibiogramはまだ優秀な方ではあるが,2010年を境にカルバペネム系抗菌薬の使用本数が倍増しており,現在も増加傾向にある.これは患者数増加による使用数増加も要因ではあるが,倍増の理由の全てを説明しうるものではない.

 経口抗菌薬では経口第3世代セフェム系抗菌薬の処方数が全体の44%を占めており,ニューキノロン系,マクロライド系の使用量も多い.経口抗菌薬が処方される状況において,発熱や感冒症状が対象となっていると推察される.本邦での経口第3世代セフェム系抗菌薬はその大多数が誤用と言われている.現在,経口の第3世代セフェム系抗菌薬は,その体内利用率の低さと移行性の低さ,耐性菌誘発率の高さから,使用が推奨される状況はほとんどなくなってきており,使用法は見直されるべきであろう.

 周術期,パスにおいては使用される予防的抗菌薬が固定化されているが,感染対策委員会の積極的介入はなく,その抗菌薬が適正かの検討が必要であろう.周術期では予防的抗菌薬よりも術中の清潔操作,標準予防策がとりわけ重要であることは言うまでもない.

 2012年2月の当院の薬事審議会では感染対策委員会主体で抗菌薬の大幅な削減を行った.これは,在庫管理・コスト削減の問題のみならず,同系列薬剤を極力少ない種類におさめ,医療従事者間の混乱を予防し,医療従事者の感染症治療に対する知識の向上,ひいては感染症治療のレベルアップにつながる,などの副次的効果を期待してのことである.

 感染対策室としてはカルバペネム系,経口第3世代セフェム系等の抗菌薬使用数を減少させることが主目的ではない.初期治療の選択,de-escalationなどを考慮すれば,適正使用を行うことが目的であり,それにより使用数が大幅に減少できると考えている.

3.目 的
 抗菌薬適正使用については,米国疾病管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)のサイトで,“A Public Health Action Plan to Combat Antimicrobial Resistance”と名づけられたプランが解説されており,抗菌薬の適正使用を“Appropriate antimicrobial drug use is defined as use that maximizes therapeutic impact while minimizing toxicity and development of resistance.”のように明確に定義している.また,オランダの研究者で,抗菌薬の適正使用研究で知られるGyssensは“Maximal efficacy of the treatment should be combined with minimal toxicity at the lowest cost.”と定義している[26].これにより,抗菌薬適正使用は,①最大の効果,②最小の副作用,③抗菌薬耐性の最小化にまとめられる.抗菌薬適正使用はこれらを実現するための活動ということになる.

4.ガイドライン・ポリシー
 当院の抗菌薬適正使用ガイドラインは私が当院に就職する前の2007年の第4版が最終改訂であり,それ以降は改訂がなされていない.今回は全面的に大幅改訂を行い,ほぼ一から作り直している.これまで定めていなかった緩和ケア患者に対する抗菌薬使用の項目を作成したことも新たな変更点である.

 本ガイドラインは可能な限りの最新のエビデンスに基づいた抗菌薬の使用法を提示するものであり,本邦あるいは当院の事情に合わせた指針として作成している.適正使用という観点においては推奨されるべきものではあるが,必ずしも全患者においてその使用法が第一選択として適応されるものとは限らない.あくまでも個々の患者での状況を踏まえた的確かつ適切な使用が行われるべきであり,それにより患者が得る利益が損なわれないのであれば,本ガイドラインより優先すべきである.また,多岐の領域に渡る感染症において,各医師にエキスパート並みの抗菌薬使用法を要求するのは非現実的であり,常識の範囲で必要最低限度の抗菌薬適正使用のための原則を記載している.

 本ガイドライン施行にあたり,その有効性を適宜フィードバックし,かつ診療に影響を与えうる新たな知見・根拠が得られた場合,新たな抗菌薬を採用した場合は適宜考察し,ガイドラインの改善点を抽出し,改訂を行うことが望ましい.

[1] Bush K. The coming of age of antibiotics: discovery and therapeutic value. Ann N Y Acad Sci 2010; 1213: 1-4
[2] Abraham EP, Chain E. An enzyme from bacteria able to destroy penicillin. 1940. Rev Infect Dis 1988; 10: 677-8
[3] Ball P. Quinolone generations: natural history or natural selection? J Antimicrob Chemother 2000; 46: S17-24
[4] Yamaguchi K, et al. In vitro susceptibilities to levofloxacin and various antibacterial agents of 12,919 clinical isolates obtained from 72 centers in 2007. Jpn J Antibiot 2009; 62: 346-70
[5] Naimi TS, LeDell KH, Como-Sabetti K, et al. Comparison of community- and health care-associated methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. JAMA 2003; 290: 2976-84
[6] Moran GJ, Krishnadasan A, Gorwitz RJ, et al. Methicillin-resistant S. aureus infections among patients in the emergency department. N Engl J Med 2006; 355: 666-74
[7] Christina F, et al. Epidemic Profile of Shiga-Toxin–Producing Escherichia coli O104:H4 Outbreak in Germany. N Engl J Med 2011; 365:1771-80
[8] Ohnishi M, Saika T, et al. Ceftriaxone-resistant Neisseria gonorrhoeae, Japan. Emerg Infect Dis 2011; 17: 148-9
[9] Ohnishi M, Golparian D, et al. Is Neisseria gonorrhoeae initiating a future era of untreatable gonorrhea?: detailed characterization of the first strain with high-level resistance to ceftriaxone. Antimicrob Agents Chemother 2011; 55: 3538-45
[10] Livermore D. Can better prescribing turn the tide of resistance? Nat Rev Microbiol 2004; 2: 73-8
[11] French GL. What’s new and not so new on the antimicrobial horizon? Clin Microbiol Infect 2008; 14: S19-29
[12] Infectious Diseases Society of America. The 10 x ’20 Initiative: pursuing a global commitment to develop 10 new antibacterial drugs by 2020. Clin Infect Dis 2010; 50: 1081: 3
[13] Hughes JM. Preserving the lifesaving power of antimicrobial agents. JAMA 2011; 305: 1027-8
[14] Kirikae T, Mizuguchi Y, Arakawa. Investigation of isolation rates of Pseudomonas aeruginosa with and without multidrug resistance in medical facilities and clinical laboratories in Japan. J Antimicrob Chemother 2008; 61: 612-5
[15] Ishii Y, Yamaguchi K. Evaluation of the susceptibility trends to meropenem in a nationwide collection of clinical analysis from 2002 to 2006. Diagn Microbiol Infect Dis 2008; 61: 346-50
[16] Sekiguchi J, Asagi T, Miyoshi-Akiyama T, et al. Outbreaks of multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa in community hospitals in Japan. J Clin Microbiol 2007; 45: 979-89
[17] Paterson DL. The Epidemiological pofile of infections with multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa and Acinetobacter Species. Clin Infect Dis 2006; 43: S43-8
[18] Paterson DL, Bonomo RA. Extended-spectrum β-lactamases: a clinical update. Clin Microbiol Rev 2005; 18: 657-86
[19] Queenan AM, Bush K. Carbapenemases: the versatile β-lactamases. Clin Microbiol Rev 2007; 20: 440-58
[20] Paterson DL, Lipman J. Returning to the preantibiotic era in the critically ill: the XDR problem. Crit Care Med 2007; 44: 159-77
[21] Rodriguez-Bano J, Alcala JC, Cisneros JM, et al. Community infections caused by extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli. Arch Intern Med 2008; 168: 1897-902
[22] Schwaber MJ, Carmeli Y. Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: a potential threat. JAMA 2008; 300: 2911-3
[23] Cosgrove SE, Qi Y, Kaye, et al. The impact of methicillin resistance in Staphylococcus aureus bacteremia on patient outcomes : mortality, length of stay, and hospital charges. Infect Control Hosp Epidemiol 2005; 26: 166-74
[24] Cosgrove SE. The relationship between antimicrobial resistance and patient outcomes: mortality, length of stay, and health care costs. Clin Infect Dis 2006; 42: S82-9
[25] Kwa AL, Low JG, Lee E, et al. The impact of multidrug resistance on the outcomes of critically ill patients with Gram-negative bacterial pneumonia. Diagn Microbiol Infect Dis 2007; 58: 99-104
[26] Gyssens IC. Quality measures of antimicrobial drug use. Int J Antimicrob Agents 2001; 17: 9-19
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-06-03 11:57 | 感染対策 | Comments(0)

by DrMagicianEARL