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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:敗血症( 136 )

■欧州集中治療医学会がドイツで開催されていますが,それにあわせてNEJM誌やJAMA誌に集中治療系のRCTが多数online publishされており,随時当ブログでも紹介していきます.まず最初はARISE studyから.2014年3月の米国ProCESS studyから半年たって再度EGDTが死亡率を改善せずという結果がANZICSからでました.ただし,外的妥当性等,結果は慎重にとらえるべきと思われます.
早期の敗血症性ショックの患者における目標指向型蘇生(ARISE study)
The ARISE Investigators and the ANZICS Clinical Trials Group. Goal-Directed Resuscitation for Patients with Early Septic Shock. N Engl J Med. 2014 Oct 1. [Epub ahead of print]
PMID:25272316

Abstrct
【背 景】
早期目標指向型治療(EGDT)は救急で敗血症性ショックを呈した患者において死亡率を減少させる重要な戦略としてSurviving Sepsis Campaign Guidelinesで支持されている.しかし,その有効性は不明確である.

【方 法】
51施設(ほとんどはオーストラリアまたはニュージランド)で行われた本研究において,我々は救急で早期の敗血症性ショックを呈した患者をEGDTまたは通常治療のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は無作為化から90日後の全死亡率とした.

【結 果】
登録された患者1600例のうち,796例はEGDT群に,804例は通常治療群に割り付けられた.主要評価データは99%超過の患者で利用可能であった.EHDT群の患者は通常治療群に比して,無作為化から最初の6時間での平均輸液量(±標準偏差)が多く(1964±1415mL vs 1713±1401mL),循環作動薬投与が多く(66.6% vs 57.8%),赤血球輸血が多く(13.6% vs 7.0%),ドブタミン投与も多かった(15.4% vs 2.6%)(すべての比較においてp<0.001).無作為化後90日の時点で,EGDT群は147例,通常治療群は150例の死亡があり,死亡率はそれぞれ18.6%,18.8%であった(絶対リスク差は-0.3%; 95%CI -4.1 to 3.6; p=0.90).生存期間,院内死亡,臓器支持療法期間,入院期間に差はなかった.

【結 論】
救急で早期の敗血症性ショックを呈した重症患者において,EGDTは90日時点での全死亡率を減少させなかった.

1.本結果の解釈における注意

■本ブログではProCESS study[1]発表後,繰り返しEGDTを否定すべきではないと主張しており,今回のARISE studyがでてもその姿勢は変わらない.その理由は外的妥当性である.
EGDT,ProCESS studyについては当ブログのこちらの記事も参照
→EGDT:http://drmagician.exblog.jp/16904162/
→ProCESS study:http://drmagician.exblog.jp/21799999/

■ProCESSもARISEも以前までの敗血症性ショックのRCTに比して非常に低い死亡率となっており,対照群である通常治療の死亡率の低さは循環管理に長けた救急集中治療医のスキルによって担保されている.この対照群と同等以上の医療介入が可能ならばEGDTは行わずともよいが,集中治療医がいない施設ではそうはいかないと思われる(そういう施設ではPiCCOやEV1000などの便利なモニターを持っていることはむしろ稀であり,乳酸値すら計測できない施設も多い).いずれの研究もEGDTが死亡率を改善させなかっただけで悪化させたわけではなく,逆に考えればEGDTプロトコルを用いることで救急集中治療医管理による通常治療と同等の治療成績が出せるととらえることもできる.EGDTの採用をやめるか継続するかは施設の治療レベル,主治医やスタッフのスキルに合わせて慎重に判断すべきである.

■EBMの世界ではEGDTは推奨されない,という方向に向かうかもしれないが,かといってプロトコルなしで敗血症性ショックの循環管理を行うことは救急集中治療医がいない施設においては非常に酷であり,現実的ではない推奨である.現時点で代替案なしにSSCGや日本版重症敗血症診療ガイドラインが今後の改訂でEGDTを非推奨とする方向に向かうのであれば,非常に好ましくないと思われる.

■また,今回のARISE studyは有害事象についてはEGDT群7.1% vs 通常治療群5.3%で有意差なし(p=0.15)であり,予想通り中心静脈カテーテル挿入に伴う合併症は2.0% vs 0.1%(p=0.00013),肺水腫は1.8% vs 0.8%(p=0.076)でEGDT群の方が多く,これは納得がいく結果ではあるが,不整脈に関しては4.3% vs 5.1%(p=0.478)と有意差はないものの循環作動薬投与が少ない通常治療群の方が多い傾向がみられた.また,重篤な有害事象は実は0.5% vs 1.9%(p=0.019)で通常治療群の方が有意に多かった(データは本文には書いておらず,Supplementary Appendix見ないと分からない).この差は臨床的には有意ではないかもしれないが注意が必要かもしれない.

2.ProCESSとARISEの比較


■ProCESS studyはEGDT群と通常治療群以外に標準プロトコル群というアームがあったが,ARISEにはないため,標準プロトコル群を除いて比較した.
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■見ても分かる通り,ARISE studyではProCESS studyよりさらに重症度が低くなっており,それを反映してか死亡率も低く輸液量も少なくなっている.また,いずれの研究においても通常治療群の方が輸液量は少ない.近年,敗血症性ショック治療に伴う過剰輸液が予後を悪化させる可能性が指摘されており[2,3],Kelmら[3]は,第1病日で,患者の67%に過剰輸液がみられ,48%が第3病日まで輸液過剰が遷延したと報告している.通常治療群の輸液量は,EGDTによって生じる過剰輸液リスクを減じる可能性がある.

■ただし,そもそも「通常治療(usual-care)」が具体的にどのような管理であったのかはProCESSと同様,今回も分からなかった.おそらく心臓超音波検査,SVV等を用いたモニタリング,Passive Leg Raising testなどであろうが,特に治療介入方法に統一がなされていない患者集団である.EGDTに代わる治療プロトコルの検証が望まれる.

3.EGDTのメタ解析

■River's RCT[4],ProCESS,ARISEの3試験のメタ解析を行った結果は以下の通りである(統計解析はRを用いています).
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■また,River's RCTを除き,ProCESSとARISEのみでのメタ解析は以下の通りである.
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[1] ProCESS Investigators, Yealy DM, Kellum JA, Huang DT, et al. A randomized trial of protocol-based care for early septic shock. N Engl J Med 2014; 370: 1683-93
[2] Boyd JH, Forbes J, Nakada TA, et al. Fluid resuscitation in septic shock: a positive fluid balance and elevated central venous pressure are associated with increased mortality. Crit Care Med 2011; 39: 259-65
[3] Kelm DJ, Perrin JT, Cartin-Ceba R, et al. Fluid Overload in Patients with Severe Sepsis and Septic Shock Treated with Early-Goal Directed Therapy is Associated with Increased Acute Need for Fluid-Related Medical Interventions and Hospital Death. Shock 2014 Sep 22 [Epub ahead of print]
[4] Rivers E, Nguyen B, Havstad S, et al; Early Goal-Directed Therapy Collaborative Group. Early goal-directed therapy in the treatment of severe sepsis and septic shock. N Engl J Med 2001; 345: 1368-77
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by DrMagicianEARL | 2014-10-03 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
■敗血症におけるβラクタマーゼ阻害剤配合βラクタム系抗菌薬(BL/BLIs)とカルバペネム系抗菌薬を直接比較したRCTのメタ解析がJACにでたので紹介します.ESBL産生菌を含んだ患者集団ですが,死亡率に差はなく,下痢はBL/BLIsで多いけどCDIはカルバペネムで多いという結果.抗菌薬適正使用も上乗せすればBL/BLIsに軍配が上がりそうです.本邦ではTAZ/PIPC,ということになるでしょうか(SBT/CPZやSBT/ABPCはカバー不十分となる可能性もありあまり敗血症では用いられません).とはいえ,TAZ/PIPCがペニシリン系だからという理由でカルバペネム系より推奨されるとする考えには私は賛同していませんが(カルバペネムに匹敵する広域スペクトラムですので).
敗血症治療におけるβラクタマーゼ阻害剤配合βラクタム系抗菌薬vsカルバペネム系抗菌薬:無作為化比較試験のシステマティックレビューとメタ解析
Shiber S, Yahav D, Avni T, et al. β-Lactam/β-lactamase inhibitors versus carbapenems for the treatment of sepsis: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Antimicrob Chemother 2014 Sep 25 [Epub ahead of print]
PMID:25261419

Abstract
【背 景】
βラクタマーゼ阻害剤配合βラクタム系抗菌薬(BL/BLIs)とカルバペネム系抗菌薬の効果を比較したデータは乏しい.

【方 法】
本研究は敗血症治療において,あらゆるBL/BLIsとあらゆるカルバペネムを比較した無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューとメタ解析である.主要評価項目は全死亡率とした.文献検索は,言語,出版状態や日の制限なしで行った.2人のレビュアーが独立して登録基準を適応し,データを抽出した.バイアスリスクの評価はドメインに基づいたアプローチを用いて行った.サブグループ解析は異質性の検討を用いて,ESBL産生菌疑いを検出した患者集団で行った.

【結 果】
31報のRCTを登録した.BL/BLIsとカルバペネムでは,死亡率に有意差はなく,異質性はみられなかった(RR 0.98, 95%CI 0.79-1.20).臨床的または細菌学的治療失敗や重複感染に差はなかった.この結果はバイアスリスクの影響を受けていなかった.院内感染,グラム陰性菌感染,発熱性好中球減少の患者のサブグループにおいても差は見られなかった.投与中断を必要とした有害事象は下痢発生率の増加によりBL/BLIsで多かった.しかし,Clostridium difficile関連下痢症はカルバペネムの方が頻度が高く(RR 0.29, 95%CI 0.10-0.87),痙攣はイミペネムでより多かった(RR 0.21, 95%CI 0.05-0.93).

【結 論】
起因菌であるESBL産生菌の(未知であるが)特定の発生率を有する患者集団を含むRCTにおいて,BL/BLIsとカルバペネムに効果の差はみられなかった.

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by DrMagicianEARL | 2014-10-01 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
■敗血症性ショックにおける循環作動薬(ノルアドレナリン,バソプレシン,ドパミンなど)の有害事象に関する文献2つを紹介します.「ノルアドレナリンorバソプレシンで臓器虚血/腸管虚血/四肢末梢疎血が起こって痛い目にあった」というのを学会・研究会等で耳にするのですが,なぜそんなことが起こるのかと個人的にずっと不思議に思っていました.当然ながら末梢血管をしめる作用ですから機序的には理解できます.しかし,私自身はこれまでの敗血症性ショック治療経験においてそのような有害事象は経験したことはなく,血管内容量が十分充填されてないのに循環作動薬を始めちゃったからそういう有害事象が起こっちゃったのでは?と推測しています.

■私はある程度急速輸液をした後でないとノルアドレナリンは開始しませんし,バソプレシンを開始するときもやや多めに輸液を入れてから行います(研修医には「最初は循環作動薬をすぐに入れたくなるけどちょっと我慢した方がいい」と教えています.).末梢まで血管内容量を充填してから血管をしめあげる方が効果的であるし虚血も生じにくいと考えています(実はこの考えは医師国家試験受験前にTECOMの三苫先生の講義で聴講して以来変わってません).輸液は少なすぎても多すぎてもダメで,循環作動薬にも早すぎても遅すぎてもダメという適切なタイミングがあるんじゃないかと思います.そもそもEGDTモデルも1つのゴールを達成したら次のゴールを目指す,というスタンスなので,初期蘇生輸液と循環作動薬を同時開始はまずいんじゃないかなと.1つ目の文献の結果はそれを暗に示唆しているものかと思います(結論ではそれがすべてではないと述べていますが).
敗血症性ショックの死亡率における輸液と循環作動薬の相互作用:多施設共同観察研究
Waechter J, Kumar A, Lapinsky SE, et al; Cooperative Antimicrobial Therapy of Septic Shock Database Research Group. Interaction between fluids and vasoactive agents on mortality in septic shock: a multicenter, observational study. Crit Care Med 2014; 42: 2158-68
PMID: 25072761

Abstract
【目 的】
輸液と循環作動薬はいずれも敗血症性ショックの治療に用いられるが,これらの投与においてどのように相互作用が生じるのか,どのような投与方法が適切かについてはあまり知られていない.我々はこれらの2つの治療の併用が院内死亡にどのように影響を与えるかについて検討した.

【方 法】
本研究は,院内死亡と,循環作動薬導入および発症から0-1時間後,1-6時間後,6-24時間後の輸液量による分類について,相互作用を含め,潜在的共変量で調整した多変量ロジスティック回帰を用いた後ろ向き観察研究である.研究の場は3か国24病院のICUとした.患者は1989年から2007年に入院した,敗血症性ショック発症後から24時間以上生存した患者2849例である.

【結 果】
輸液と循環作動薬のには死亡と関連した強い相互作用がみられた(p<0.0001).死亡率は発症後1-6時間に循環作動薬を開始され,かつ輸液量がショック発症から最初の1時間において1L以上,1-6時間後で2.4L,6-24時間で1.6-3.5Lであると最も低かった.循環作動薬を発症から1-6時間後に開始することは最も低い死亡率と関連していた.

【結 論】
敗血症性ショックの蘇生の最初の1時間は積極的な輸液投与を行い,循環作動薬はその後に積極的輸液を継続しながら行うべきである.循環作動薬を最初の1時間で開始することは有害な可能性があり,その関連性のすべてが循環作動薬の早期導入による体液不足によるものであるわけではない.
敗血症性ショックにおけるバソプレシンとノルアドレナリンの注射による重篤な有害事象
Anantasit N, Boyd JH, Walley KR, et al. Serious adverse events associated with vasopressin and norepinephrine infusion in septic shock. Crit Care Med 2014; 42: 1812-20
PMID:24919159

Abstract
【目 的】
バソプレシンとノルアドレナリンの使用に関連した重篤な有害事象の頻度,危険因子,死亡率に関しては明らかではない.本研究の目的は,敗血症性ショック患者における重篤な有害事象の頻度,危険因子(遺伝子多型の同定を含む),予後について検討することである.

【方 法】
本研究は,大学病院ICUでの多施設データと単施設データを用いた後ろ向きコホート研究である.患者は,Vasopressin and Septic Shock Trial(VASST)データの敗血症性ショック597例とSt.Paul病院の533例である.介入は敗血症性ショックに対するバソプレシンとノルアドレナリンである.主要評価項目は重篤な有害事象有無での90日死亡率とした.副次評価項目は循環作動薬の遺伝子多型や血清バソプレシン濃度と重篤な有害事象との関連性とした.血清バソプレシン濃度はベースライン,循環作動薬投与開始から6時間後,24時間後,72時間後,7日後とした.敗血症性ショック患者は268の循環作動薬経路の一塩基多型に分類された.

【結 果】
重篤な有害事象はVASSTコホート,St. Paul病院コホートでそれぞれ10.5%,9.7%であった.重篤な有害事象が生じた患者ではそれがない患者よりも死亡率が高かった(p<0.01;年齢,乳酸値,APACHE IIスコア,第1病日でのノルアドレナリンの最大量で調整後で,VASSTコホートではHR 2.97; 95%CI 2.20-4.00, p<0.001,St. Paul病院コホートでHR 1.89; 95%CI 1.26-2.85, p=0.002).重篤な有害事象有無で血清バソプレシン濃度曲線下面積に差はなかった(p=0.1).AA遺伝子型rs28418396一塩基遺伝子多型(アルギニン・バソプレシン受容体1b遺伝子近傍)はいずれのコホートにおいても重篤な有害事象に有意に関連していた(それぞれp=0.001, p=0.04).

【結 果】
敗血症性ショック患者におけるバソプレシンとノルアドレナリンが関連した重篤な有害事象は死亡率と有病率増加に関連していた.アルギニン・バソプレシン受容体1b遺伝子近傍のAA遺伝子型rs28418396一塩基遺伝子多型は重篤な有害事象と関連していた.この関連性の機序については検討を要する.

※本文から:多かった有害事象は腸間膜虚血,心筋虚血,頻脈が上位にあがっていました

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by DrMagicianEARL | 2014-09-30 19:19 | 敗血症 | Comments(0)
βラクタム系抗菌薬に神経変性作用があるとは知りませんでした.感染症治療の主軸となるため投与は避けられませんが,不必要に長々と投与すべきではない,ということになるのでしょうか.認知症,せん妄,PICS/ICUAWと関連性があるのかについても知りたいところです.
ICUの敗血症患者において,βラクタム系濃度上昇は神経変性と関連する
Beumier M, Casu GS, Hites M, et al. Elevated Beta-lactam concentrations are associated with neurological deterioration in ICU septic patients. Minerva Anestesiol 2014 Sep 15 [Epub ahead of print]
PMID: 25220556

Abstract
【目 的】
βラクタム系抗菌薬は安全な治療薬と考えられているが,神経毒性が報告されている.本研究の目的は,ICUの敗血症患者においてβラクタム系濃度と神経変性の関連性を評価することである.

【方 法】
メロペネム(MEPM),ピペラシリン/タゾバクタム(TAZ/PIPC),セフタジジム・セフェピム(CEF)で治療を受け,少なくとも1回のβラクタム系トラフ濃度(Cmin)を規則した全ICU患者を対象とした後ろ向き研究である.薬剤レベルは高速液体クロマトグラフィーを用いて計測した.Cminは,各薬剤ごと(Cmin/MIC)の緑膿菌の臨床的ブレイクポイント(EUCASTの定義)を正常値とした.神経学的状態に変化は,神経学的SOFAスコアの変化(ΔnSOFA=nSOFA(TDMを施行した日)-nSOFA(ICU入室時))を用いた.神経学的状態の悪化は,入室時のnSOFAが0-2で,ΔnSOFA≧1と定義した.

【結 果】
199例の患者(MEPM 130例,TAZ/PIPC 85例,CEF 47例)から262のCmin値が得られた.入室時のAPACHE IIとGCSの中央値はそれぞれ17と15であった.ICU全死亡率は27%であった.神経学的状態の悪化は,各抗菌薬間で差はなかった(MEPM 39%,TAZ/PIPC 32%,CEF 35%).神経学的状態悪化の発生は,Cmin/MICの増加を伴っており(p=0.008),この相関はTAZ/PIPC(p=0.05)とMEPM(p=0.01)で見られたが,CEFでは見られなかった.Cmin/MICは神経学的状態悪化の独立した予測因子であった(OR 1.12, 95%CI 1.04-1.20).

【結 論】
ICUの敗血症患者において,高いβラクタムトラフ濃度と神経変性発生増加の間に相関を認めた.我々のデータは因果関係を断定しえないが,重症疾患で神経変性が生じたときにβラクタム系抗菌薬濃度のモニタリングが考慮されるべきである.

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by DrMagicianEARL | 2014-09-29 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
敗血症治療のEGDTに伴う輸液過剰に関して,死亡リスクが上昇することを示した後ろ向き観察研究を紹介します.最近このようなレビュー等がでてきて,初期蘇生における大量輸液がダメと勘違いしている医療従事者もたまにおられるようですが,そういうわけではありません.初期急速輸液は必要で,これを怠れば虚血により不可逆な臓器不全に進展します.問題は,どの程度の量まで輸液負荷をかけるべきかがまだ分かっていないことで,結果的に過剰輸液に至ってしまう患者群が存在します.CVPはもはやあてにはならず,PiCCOやEV1000などでの評価や,Passive Leg Raising Testが主流になりつつありますが,検証はまだまだ不十分で,大規模RCTがなされていない状況です.
Early-Goal Directed Therapyで治療された重症敗血症および敗血症性ショックの患者における輸液過剰は輸液関連医療介入の必要性や院内死亡の増加と関連している
Kelm DJ, Perrin JT, Cartin-Ceba R, et al. Fluid Overload in Patients with Severe Sepsis and Septic Shock Treated with Early-Goal Directed Therapy is Associated with Increased Acute Need for Fluid-Related Medical Interventions and Hospital Death. Shock 2014 Sep 22 [Epub ahead of print]
PMID: 25247784

Abstract
【背 景】
早期目標指向型治療(EGDT)は早期の積極的輸液蘇生からなり,敗血症の生存率を改善させることが知られている.EGDTがどれくらい過剰輸液を引き起こしているか,EGDT後の輸液過剰が患者の予後に影響を与えるかについては知られていない.我々は,EGDTで治療を受けた敗血症患者が輸液過剰リスクに曝されており,輸液過剰が有害なアウトカムに関連していると仮説を立てた.

【方 法】
2008年1月から2009年12月まで1つの三次救急施設の内科ICUに重症敗血症または敗血症性ショックで入院した患者405例の後ろ向きコホートを行った.患者背景,毎日の体重,輸液状態,輸液過剰の臨床的または画像的根拠,医療介入(胸水穿刺,利尿剤使用,限外濾過)がまとめられ,単変量,多変量ロジスティック,線形回帰解析で関連性を検討した.

【結 果】
第1病日で,患者の67%に過剰輸液がみられ,48%が第3病日まで輸液過剰が遷延した.輸液過剰についての評価者間の合意は十分であった(κ=0.7).輸液過剰遷延の臨床的・画像的根拠を有するが体液バランスが正と記録されていない患者においては体重の増加傾向がみられた.ベースラインの疾患重症度で調整すると,輸液過剰は輸液関連医療介入(胸水穿刺と利尿剤)の使用増加や院内死亡(OR 1.92; 95%CI 1.16-3.22)と関連していた.

【結 論】
重症敗血症,敗血症性ショックの患者において,臨床的に輸液過剰遷延はよく見られ,医療介入や院内死亡と関連していた.

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by DrMagicianEARL | 2014-09-26 16:53 | 敗血症 | Comments(0)
2.世界および日本の敗血症の現状

(1) 罹患率と死亡率,推移

■世界では年間約2700万人の敗血症が発生しており,その数は,世界的に多いとされる大腸癌と乳癌の死亡者数を合わせても足りない.そのうち,約800万人が死亡しており,2-3秒に1人が世界のどこかで敗血症により死亡している計算になる.これが,World Sepsis Dayでの「Around every 3rd heartbeat, someone dies of sepsis.(心臓が3回鼓動を打つごとに誰かが敗血症で亡くなっている)」というメッセージである.
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■世界規模で見た重症敗血症患者の転帰に関する最新の大規模調査としてPROGRESS研究(Promoting Global Research Excellence in Severe Sepsis)[1]があり,2002年12月から2005年12月までの患者が登録された.この研究は37カ国276ICUの重症患者12881例が登録されており,死亡率は30-80%であった.この死亡率のばらつきには様々な要因が考えられる.しかし,二次解析[2]で行われた多変量解析では,先進国であるか発展途上国であるかは関係がなく,一人当たりの国民総生産高も関係がないという結果であった.加えて,重症度の予後の既知のすべてのマーカーは死亡率の国際的差異を十分には説明しえなかった.

■死亡率の経年的変化としては,データは古くなるが,1979年から2000年までの米国の国家規模のデータベースを用いた敗血症10319418例の検討がなされている[3].この報告では,敗血症の発生率は22年間で82.7/10万から240.4/10万まで増加し,臓器障害数で示される重症度も増加していた.その一方で院内死亡率は27.8%から17.9%まで低下しており,抗菌薬をはじめとする治療の進歩の結果が現れている.同様の報告が2014年にオーストラリアおよびニュージーランドのANZICSグループからも報告されている[4]

■さらに,Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)により死亡率が改善したとの報告は数多く存在する[5]

■2002年から2008年にかけての10年間で,入院患者数で見た敗血症発生率は2倍以上と劇的に増加しており,心臓発作よりも多くの患者が敗血症に罹患している.そして,敗血症患者の20-40%は集中治療室(ICU)での治療を必要としている.また,米国の報告では,1997年から2006年にかけて,術後敗血症の患者数は3倍にまで増加している.コストで見ると,2008年の米国における敗血症入院によるコストの年間総額は146億ドルであり,1997年から年間11.9%ずつ増大している.

■Angusらの大規模コホート研究[7]では,米国7州にある847病院の重症敗血症患者192980例を登録している.ここからCDC,HCHA,AHAにもデータリンクして,米国での死亡統計が示されている.このデータモデルから日本にあてはめると,日本では年間38万4千人が重症敗血症に罹患していることになる.2011年の厚生労働省死亡統計では,敗血症が死因とされている死亡は11170例であり,全死亡の0.9%であった(2001年時は6179例であり1.8倍に増加).しかし,この数字は悪性腫瘍など他の基礎疾患が存在している患者が敗血症に罹患して死亡した場合などは反映されていない可能性が大きく,実際の死亡数はもっと多いものと推察され,米国モデルにあてはめるならば,おそらく日本の実際の敗血症死亡例は死亡統計の約10倍(年間10-20万人)と予想される.また,Angusらの研究では高齢者ほど罹患率,死亡率が高いことも示されており,超高齢化社会を迎えている日本ではさらに敗血症患者は増加すると思われる.

■ただし,これらの疫学的推移を異とする主張もある.疫学研究においてはコーディング化された病名を拾いあげていくが,その際に過剰診断によるアップコーディングがあると敗血症患者が増えることになる[8].実際には,米国では尿路感染症や腹腔感染症は不変,肺炎に至っては減少傾向,菌血症患者も不変であるにもかかわらず,敗血症が増加している.ただし,高齢化社会をむかえてきていることが敗血症の増加に寄与している可能性も十分にあると思われる.また,近年薬剤耐性菌が増加しており,初期抗菌薬が奏功せず感染症が悪化して敗血症に至るケースが増えてきていることも敗血症増加に寄与しているのかもしれない.

(2) 敗血症の認知度

■敗血症は非常にポピュラーな疾患である.米国・欧州の統計による疾患別年間発生率(10万対比)で見てみると,HIVが22.8,心疾患208,脳卒中223,癌331.8に対して敗血症は377である.
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■このような状況の中にあっても敗血症の認知度は非常に低い.欧州の調査[9]では,敗血症という名前を知っていた市民は12%であった.もっともこの研究ではドイツだけが53%と突出していたために12%という数字になっており,実際の他国の認知度はもっと低い数字であることが分かる.さらに,敗血症という言葉を知っていても,それが死亡しうる疾患であることを知っていたのは42%であった.当院自験例でも,重症敗血症患者42例の家族へのインフォームドコンセントの際に,敗血症という病名を知っていたのはわずか2例(4.76%)に過ぎなかった(家族が医療従事者である場合は除外).

■医療従事者であれば敗血症という病名はまず知ってはいるが,その治療法やSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)の存在となるとその認知度は非常に低い.529名の集中治療医を含む1058名の医師に対するSCCMと欧州集中治療医学会(ESICM)の調査報告[10]では,依然として67%の医師が敗血症の定義を認知しておらず,また正しい知識を持ち合わせていないために83%の医師が敗血症を誤診するという事態が発生していた.当院医師においても,敗血症プロトコル導入前の2011年時点では,敗血症の定義やSSCGの存在を知っていたのは10%に満たず,医師年数が長いほど知らない傾向が見られた.敗血症は感染症の重症病態であり,救急・集中治療・感染症領域の医師のみならず,内科・外科をはじめとするほとんどの科でかかわりうる致死的病態である.にもかかわらずその診療法が認知されていない現状は早急に改善する必要がある.

■こうした医師への認知度の低さを受けて,2001年には米国集中治療医学会SCCM,ESICM,ACCP,ATS,SISが敗血症の定義をより明確化し,正確な認知のもと正しい敗血症診療を励行するためにカンファレンスを開催した[11].同時期に米国では敗血症患者の診断と治療に関する正しい知識の普及の促進を目的にNISE(The National Initiative in Sepsis Education)が設立された.

■この流れの中で2002年にSCCM,ESICM,国際敗血症フォーラム(ISF)の合同カンファレンスがスペインのバルセロナで開催され,5年間で重症敗血症患者の死亡率を25%減らすという目標をかかげた国際的なキャンペーンであるSSC(Surviving Sepsis Campaign)が合意,開始された[12]

■そして,敗血症の認知度をさらに世界全体で医療従事者のみならず行政から一般市民まで広く高めようとする動きの中でWorld Sepsis Dayが制定された.World Sepsis Dayの最大の目的は「普及」である.まずは敗血症とそれに対する取り組みを知ってもらわなければ何も始まらない.一般市民レベルでの敗血症の認知は感染症予防としての衛生改善,ワクチン接種推進へとつながる.国際ガイドラインSSCG,日本版敗血症診療ガイドラインがあるにもかかわらず,それに目を通した医療従事者はほんの一握りに過ぎず,さらなる教育・指導・普及が必要である.また,これらの取り組みは行政の協力なくしては勧められず,そこには普及,医療資源投入のみならず研究・教育に至るまでの国家レベルでの取り組みが必要となる.
※World Sepsis Dayの日本のイベント,東京や横浜で開催されてますが,今後は関西で同時開催もやってほしいところです.
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敗血症の展望 to 2020 ~世界敗血症の日(World Sepsis Day)~(1)世界敗血症宣言

→敗血症の展望 to 2020 ~世界敗血症の日(World Sepsis Day)~(3)敗血症死亡率は改善できるか?

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by drmagicianearl | 2014-09-15 11:42 | 敗血症 | Comments(0)
■Ronco先生がCritical Care誌にエンドトキシン吸着カラムを用いたPMX-DHPに関するレビューを書いています.どのような仕組みなのかが分かりやすい他,現時点でのエビデンスをコンパクトにまとめており,全文フリーで閲覧できます.
ポリミキシンB血液浄化:機械論的視点
Ronco C, Klein DJ. Polymyxin B hemoperfusion: a mechanistic perspective. Crit Care 2014; 18: 309
PMID:25043934

ポリミキシンBファイバーカートリッジによる血液浄化療法(PMX-DHP)は日本と一部に西ヨーロッパでは敗血症性ショックの治療戦略なっている.PMX-DHPは現在,敗血症性ショックでエンドトキシン活性分析で計測したエンドトキシン血症を伴った患者における重要な北米の無作為化試験(EUPHRATES)が行われている.この治療法の主要なメカニズムは循環血液中のエンドトキシンを除去することにある.PMX-DHPカラムによる循環エンドトキシンとの高い親和性結合は循環血液中エンドトキシンレベルを2回の標準的治療によって最大で90%減少させる可能性がある.基礎研究では,循環サイトカインレベルと腎尿細管アポトーシスを減少させることが示されている.臨床研究では,PMX-DHPは循環動態を改善し,酸素化や腎機能を改善し,死亡率を減少させることが示されている.用量,タイミング,そしてメカニズムに関するさらなる情報を得るのと同様に,PMX-DHPによって恩恵を受けるであろうエンドトキシン血症を合併する患者集団を定義するためにもさらなる研究が必要である.本レビューでは,臓器機能の回復におけるPMX-DHPの特異的効果と臨床的改善効果のエビデンスの蓄積の両方に焦点をあてながら,エンドトキシン血症を伴う敗血症患者におけるPMX-DHP使用によるエンドトキシン除去を目標とした戦略での機械論的根拠を提示する.
■PMX-DHPについては当ブログでも書かせていただきました.

EARLの医学ノート 2013年9月4日記事
敗血症とエンドトキシン計測&PMX-DHP(2) ~PMX-DHPは敗血症の予後を改善しうるか?~
http://drmagician.exblog.jp/20996440/
■ところで,PMX-DHPについては,予後改善効果があるのかまだまだ議論されている段階であり,その検証として2つの大規模RCTである欧州のABDO-MIXと米国カナダのEUPHRATESがあります.そのうおちのABDO-MIXは既に終了しており,実はその結果が今年の2014 ISICEM conferenceにおいて発表され,PMX-DHPに敗血症の死亡率改善効果なしとの結果でしたが,これについてRonco先生がこのレビューで以下の通り触れています(ざっと日本語訳).
ABDO-MIX

敗血症性ショックを伴う腹膜炎におけるPMX-DHPの効果は,28日死亡率を評価したフランスの無作為化オープンラベル多施設共同試験で検討された(ABDO-MIX; ClinicalTrials.gov NCT01222663).登録患者(240例)は術後36時間以内に標準治療群と標準治療+PMX-DHP群に無作為に割り付けられた.本研究はまだ出版されていないが,結果が2014年のISICEM conference(国際救急集中治療医学会議)で発表された.本研究は両群間で死亡率に差を示せなかったが,この研究はこの結果に影響を与えた可能性があるいくつもの潜在的問題をかかえていた.カートリッジの詰まり・失敗率が他の試験や臨床経験に比して劇的に高かった.また,観察された死亡率は予想より低く,差を検出するにはパワー不足であった.ABDO-MIXが出版されても,他のデータと照らし合わせて慎重に見る必要がある.
■敗血症の治療の進歩に伴い,対照群の死亡率が低くなり,特定の治療介入を行っても死亡率に差がでにくくなってきていることは近年報告されたProCESS trialやPROWESS-SHOCK study等を見ても分かることで,ABDO-MIXでもその傾向がでたということであろう.カートリッジの詰まりが異常に多かった原因の詳細はまだ不明である.使用した抗血栓薬の種類,用量用法がまずかったのか,DICの合併が多かったのか(フランスではDICはあまり治療されない.また,rTMを使うとカラムが詰まりにくくなったという報告はある)・・・.publishを待ちたい.
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by drmagicianEARL | 2014-08-15 19:58 | 敗血症 | Comments(2)
■敗血症におけるde-escalation療法を評価した初めてのRCTがようやく報告されました.de-escalationを否定する結果ですが,さてどうとらえますか?レビューもつけました.
重症敗血症におけるde-escalation vs 経験的抗菌薬継続:多施設共同非盲検無作為化非劣勢試験
Leone M, Bechis C, Baumstarck K, et al; For the AZUREA Network Investigators. De-escalation versus continuation of empirical antimicrobial treatment in severe sepsis: a multicenter non-blinded randomized noninferiority trial. Intensive Care Med. 2014 Aug 5. [Epub ahead of print]
PMID:25091790

Abstract
【背 景】
重症敗血症患者において,経験的抗菌薬治療のde-escalationの概念を検討した無作為化臨床試験はない.本研究の目的は,これらの患者において,適切な経験的治療の継続とde-escalation戦略を比較することである.

【方 法】
本研究は,重症敗血症患者をde-escalation群と経験的抗菌薬治療継続群に無作為に割り付けた多施設共同非盲検無作為化非劣勢試験である.患者は2012年2月から2013年4月までフランスの9つの集中治療室(ICU)で登録された.重症敗血症患者はde-escalation群(59例)または経験的抗菌薬治療継続群(57例)に割り付けられた.主要評価項目はICU在室期間とした.我々は,非劣勢マージンを2日間と定義した.継続群に割り付けられた患者と比較してde-escalation群に割り付けられた患者との差の95%信頼区間(CI)上限が2日間未満であれば,de-escalationは継続治療と比較して非劣勢であるとした.副次評価項目は90日死亡率,臓器障害発生,重複感染(菌交代)数,ICU在室中の抗菌薬投与日数とした.

【結 果】
ICU在室期間中央値は,それぞれde-escalation群で9日(四分位範囲5-22),継続群で8日(四分位範囲4-15)であった(p=0.71).平均差は3.4日(95%CI -1.7 to 8.5)であった.重複感染はde-escalation群で16例(27%),継続群で6例(11%)であった(p=0.03).抗菌薬投与日数は,それぞれde-escalation群で9日(7-15),継続群で7.5日(6-13)であった(p=0.03).死亡率は両群で同等であった.

【結 論】
経験的抗菌薬治療の継続と比較して,抗菌薬のde-escalationに基づく治療戦略は,ICU在室日数を延長させた.しかし,死亡率に影響は与えなかった.
■これまで敗血症におけるde-escalationの有用性を検討したRCTの報告はなかった[1]ため,この報告が初のRCTとなる.初期抗菌薬,感染臓器,検出菌,感受性,感染巣コントロールなどによって影響を受けるため,de-escalationをRCTで評価するのは難しく,かなりのN数が必要となると思われるが,本RCTはわずか116例の小規模検討であり,信頼性の高いエビデンスとは言い難い.また,de-escalationによって得られるであろう有益性として,耐性菌発生の抑制,コスト減少,副作用減少などが考えられるが,これらは残念ながら本RCTでは評価されていない.しかし,唯一のRCTであることから,de-escaltion戦略の再検討を行ってもよいかもしれない.これまでde-escalationはエビデンスが乏しいにもかかわらず強く推奨されてきた治療戦略であり,必ずしも安全なものとは限らないとする研究もあるからである.以下はde-escalationのレビューを行った.
※意外にも文光堂の「臨床に直結した集中治療のエビデンス」「臨床に直結した感染症診療のエビデンス」のいずれにもde-escalationのレビューはなかった.

1.抗菌薬のde-escalation

■抗菌薬の使用法には,予防的治療(prophylaxis therapy),先制攻撃的治療(pre-emptive therapy),経験的治療(empiric therapy),標的治療(definitive therapy)に分けられ,臨床現場で主に用いられるのは,想定される原因菌をカバーする広域抗菌薬による経験的治療と,判明した原因菌に有効な狭域抗菌薬による限定的治療の2つである.この,経験的治療から限定的治療に抗菌薬を変更するのが狭義のde-escalationである.他にも抗菌薬投与終了や,静注から経口へのスイッチも広義のde-escalationに含まれる.

■なぜde-escalationが推奨されているのか?de-escalationの目的は,常在細菌叢の撹乱による副作用減少,薬剤耐性菌選択・誘導による耐性菌発生防止,治療コスト減少が挙げられる[2].しかしながら,これらの個人的・集団的・社会的有用性のいずれにおいても,支持する明確なエビデンスはないのが現状である.de-escalation療法は,Surviving Sepsis Campaign Guidelines[3],ATS/IDSAの院内肺炎管理ガイドライン[4],日本呼吸器学会成人院内肺炎診療ガイドライン[5],日本版敗血症診療ガイドライン[6]などで推奨されており,院内感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用に慣れている医師はde-escalationのロジックをよく理解して行ってはいるが,実際のde-escalationの有用性・安全性の質の高いエビデンスはまだほとんどないことは注意しておかなければならない.また,薬剤耐性菌を減少させるとする長期的アウトカムに至っては評価した研究がいまだに存在しない[7]

2.de-escalationのエビデンス

■これまでde-escalationによって死亡率が増加した報告はなく,有意差なし[8-11]か改善[12-18]と報告している.当然ながら,起因菌が不明,あるいは耐性菌を検出した場合などが背景にあると,de-escalationは困難であり,死亡率が上昇することも予想され,背景因子で調整した検討が必要であるが,これを行ったのは1報のみである.

■その1報であるGarnacho-Monteroら[18]の報告は,ICUに入室した重症敗血症および敗血症性ショック患者712例を登録した前向き観察研究である.de-escalationは34.9%に適応され,多変量解析では,de-escalationが生存関連因子であったのに対し(OR 0.58, 95%CI 0.36-0.93),院内死亡に関連した独立因子は敗血症性ショック,培養結果判明日のSOFAスコア,不適切な初期抗菌薬治療であった.適切な経験的抗菌薬治療を受けた403例の解析では,de-escalationが生存関連因子であったのに対し(OR 0.54, 95%CI 0.33-0.89),培養結果判明日のSOFAスコアが死亡関連因子であった.傾向スコア調整ロジスティック回帰モデルにおいても,de-escalationは生存に関連した因子であった.de-escalationは90日予後においても生存関連因子であった.これらのことから,重症敗血症および敗血症性ショックにおけるde-escalation療法は低い死亡率と関連していた.この治療戦略の頻度を増やすことが強く支持されると結論づけている.

■de-escalationは初期抗菌薬の影響によって有用性が消失してしまう可能性もある.de-escalationを行うならば初期抗菌薬はいくらでも広域カバーしてもよいと考える医師もいるが,決してそうではないことが過去の報告から分かる.細菌学的な原因菌検索が十分なされた症例であっても,ICUで管理された患者のうち,薬剤耐性菌を疑われた患者集団においては,ガイドラインで推奨された広域カバーの抗菌薬併用療法を行った群が非遵守群より死亡率が有意に高かったことが報告されている[19].また,Kimらは院内肺炎を発症したICU患者109例において,IPM/CS+VCMで開始して起因菌が判明したらde-escalationする群(DE群)と,カルバペネム系もVCMも使用せずde-escalationを行わない経験的治療群(NDE群)を比較したRCTを行っており[20],初期抗菌薬適切性はDE群が有意に高いにもかかわらず,死亡率はDE群で高い傾向がみられ(有意差はなし),VCMが投与されているにもかかわらずMRSA肺炎患者の死亡率はDE群で高く,耐性菌発生率もDE群が有意に高かった.初期の広域カバーは副作用や常在細菌叢の破綻により予後を悪化させる可能性があり,この場合,de-escalationは安全の保障とはならないかもしれない

■de-escalationの後ろ向き観察研究においては,そのde-escalation施行率も同時に報告される.培養結果や主治医の方針の影響によるが,ほとんどの報告でde-escalationの施行率は30-60%程度である[9,10,13,15-18].抗真菌薬においても,エキノキャンディン系抗真菌薬投与患者でFLCZに感受性を有するカンジダが検出されてもFLCZにde-escalationされたのは40%未満であったと報告されている[21].また,院内発症の重症敗血症患者に対する抗菌薬治療では,集中治療医と感染症専門家の協力がある環境においてもde-escalationの実施は50%未満であったと報告されている[22]

■Hibbardらは,外科ICUにおいて人工呼吸器関連肺炎に対するde-escalation療法レジメンの導入前後で比較したbefore-after studyを行っており,導入後に菌の耐性化率が高まることはなく,最終的にde-escalation遵守率が92%まで高まったと報告している[23].起因菌が不明の場合でもde-escalationは可能とする報告[15]もあることから,患者の状態評価を行いながらであればHibbardらの報告のような遵守率達成は可能かもしれない.

de-escalation療法は全ての症例で受け入れ可能というわけではなく,必ず安全に行えることが前提であり,患者の総合的評価なしに一辺倒に行ってはならない.以下の条件を満たす場合に,de-escalationを考慮すべきである.
① 経験的治療開始前に良質な微生物学的検体の採取が行われている[17]
② 臨床的に臓器障害,重症度などの改善がある[4]
③ 同定された起炎菌が,より狭域の抗菌薬に感受性である.
④ 他の感染巣が否定できる.
⑤ 持続する好中球減少症(<1,000/mm3)などの重篤な免疫不全がない.
⑥ 選択する狭域抗菌薬が感染巣に移行しえる.

3.de-escalationの有用性を報告した過去の観察研究

■以下にde-escalationの有用性を評価した他の報告[8-17]を列挙しておく.

■人工呼吸器関連肺炎でのde-escalationにおいてはMicekらが290例のRCTを行っており[8],de-escalation群で抗菌薬投与期間が有意に短縮した(6.0±4.9日 vs 8.0±5.6日,p=0.001).院内死亡率(32.0% vs 37.1%,p=0.357),ICU在室期間(6.8±6.1日 vs 7.0±7.3日,p=0.798)に有意差はなかった.

■Morelらは経験的抗菌薬治療を受けた入室から72時間以内のICU患者116例の後ろ向き観察研究を行っている[9].45%がde-escalation療法を受けており,使用している抗菌薬の種類の減少としてのde-escalationは重症敗血症および敗血症性ショックの患者の52%で行われていた.適切な経験的治療とアミノグリコシド系抗菌薬の使用がde-escalationと独立して関連していた.さらに,de-escalationは感染症再発を有意に減少させていたが(5% vs 19%, p=0.01),死亡率に有意差はなかった.

■Gonzalezらは,ICU患者229例(de-escalation施行率51%)の後ろ向き観察研究を行い[10],初期抗菌薬が適切であることのみがde-escalation施行に関連した唯一の独立因子であり(OR 2.9, 95%CI 1.5-5.7, p=0.002),一方で,不適切な初期治療(OR 0.1, 95%CI 0.0-0.1, p<0.001),多剤耐性菌の検出(OR 0.2, 95%CI 0.1-0.7, p=0.006)がde-escalation阻害因子であったと報告している.なお,ICU死亡率,1年死亡率,ICU在室日数,抗菌薬投与期間,人工呼吸器装着期間,ICU関連感染症発生率,緊急性のある多剤耐性菌検出率に対してde-escalation療法は影響を与えなかった.

■Eachemapatiらは外科ICUに入院した外傷患者で人工呼吸器関連肺炎を発症した138例の後ろ向きコホート研究を行っており[11],de-escalation施行群は,非施行群と比較して,肺炎再発率(27.3% vs 35.1%),全死亡率(33.8% vs 42.1%)を統計学的に有意には改善しなかったと報告しているが,逆に言えば敗血症性ショックであってもde-escalationは安全であると結論づけている.

■Kollefらは人工呼吸器関連肺炎398例の前向きコホート研究を行っており[12],死亡率の比較では,de-escalation群17.0%,escalation群42.6%,非変更群23.7%であり,de-escalation群が有意に低かったと述べている(p=0.001)(この結果はχ2検定を用いている.3群比較なので本来ならばpost hoc testが必要であるはずだが・・・).

■Shimeらはメチシリン感性黄色ブドウ球菌,ペニシリン感性肺炎球菌,βラクタム薬感性の大腸菌または肺炎桿菌の菌血症患者で,初期経験的治療が適切であった270例の解析を行っている[13].74%がde-escalationについて検討され,実際にde-escalationが行われたのは39%であった.de-escalationを受けた患者は,受けなかった患者と比較して,死亡率(1% vs 5%),治療失敗率(4% vs 10%)が低い傾向であった.

■De Waeleらは,ICUに入室し,MEPMで治療を開始した患者113例の後ろ向きコホート研究を行っており[14],de-escalation施行群の方が死亡率が低い傾向がみられた(7% vs 21%, P = 0.12)と報告している.

■JoungらはICU関連肺炎患者137例(de-escalation施行率32.1%)の後ろ向きコホート研究を行っており[15],de-escalation施行群は非施行群と比較して,肺炎関連14日死亡率(2.3% vs 10.8%, p=0.08),30日死亡率(2.3% vs 14%, p=0.03)が有意に低かった.ただし,多変量解析では,APACHEⅡスコアと5日後の改訂臨床肺感染スコア(CPIS)がICU関連肺炎による死亡に独立して関連しており,この2つの因子は非施行群で有意に高い結果となっており,背景因子により死亡率に差がでたと考えるのが妥当かもしれないが,de-escalationは安全に施行できると結論づけている.なお,20.4%で病原菌が培養で検出されなかったが,そのうち42.9%はde-escalation療法を受けていた.

■Shimeらは,SPACE(Serratia,Pseudomonas,Acinetobacter,Citrobacter,Enterobacter)による菌血症患者133例の後ろ向きコホート研究を行い[16],適切な初期抗菌薬治療を受けた79例のうち,49例がde-escalationするか検討され,そのうち28例(57%)がde-escalation療法を受けた.de-escalation療法を受けた患者では治療失敗がなかったのに対し,de-escalation療法を受けなかった患者は11例中2例(18%)が死亡していた(p=0.13).

■人工呼吸器関連肺炎患者143例において,BALによる検体採取群と気管吸引による検体採取群でde-escalation率を比較した前向き観察研究[17]では,de-escalationは40.5%で行われ,de-escalationを行った方が15日死亡率(5.1% vs 31.7%),28日死亡率(12% vs 43.5%)が有意に低く,ICU在室日数(17.2±1.2日 vs 22.7±6.3日),入院期間(23.8±2.8日 vs 29.8±11.1日)が有意に短かかった.この傾向は両群に分けても同様であったが,de-escalation達成率は21% vs 66.1%で,BAL群の方が高い結果となった.

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by DrMagicianEARL | 2014-08-07 20:01 | 敗血症 | Comments(0)
2012年1月10日作成
2014年8月4日改訂
Summary
・ICU患者では入室24時間以内からストレス潰瘍が生じるため,H2RAやPPIなどの胃酸分泌抑制薬の予防的投与が検討される.
・ASHPガイドライン,SSCG 2012では,ICU患者・敗血症患者の全例にストレス潰瘍予防が必要であるとはされていなく,ストレス潰瘍出血リスクの高い患者においてのみ推奨されている.
・これまでのメタ解析ではPPIがH2RAより優れているとの結果であるが,近年のRCTでは有意差がついていない.
・集中治療の進歩によりストレス潰瘍出血のリスクは大きく低下してきており,ストレス潰瘍予防の必要性については適応を再検討すべき時期にある.
・経腸栄養はストレス潰瘍予防効果を有する可能性がある.
・近年の報告等ではPPIがH2RAより優れているかについては疑問がもたれる.
・胃酸分泌抑制薬の合併症としては特に肺炎などの感染症に注意が必要である.
・ICU退室後は特にストレス潰瘍出血リスクがないのであればPPIやH2RAの投与は終了すべきである.

1.ストレス潰瘍と胃酸分泌抑制薬の登場

■ICU患者は疾患そのものによる高度な侵襲性ストレスを受けているが,これに対する救命治療もまた医原性の侵襲性ストレスとして患者が受けることになる.この侵襲性ストレスにより胃・十二指腸をはじめとする消化管にストレス潰瘍が生じることが知られている.

■ストレス潰瘍の頻度は,内視鏡検査が行われるようになってからの報告では急速に増加し,ICU患者においては入室後24時間以内に75-100%の患者で粘膜病変が形成され[1],予防手段を受けていなければ5-25%で出血が生じていると報告されており[1,2],臨床的に意義のある消化管出血(循環動態が悪化した,輸血が必要,あるいは手術が必要なケース)は1-4%であると報告されている[1,3-5]

■ストレスの要因としては,①心理的・精神的ストレス,②身体的ストレスがあり,ICU患者のストレス潰瘍ではこの両者が関与しうる.また,ICUで使用されるNSAIDsやステロイドも薬剤性の消化性潰瘍の原因となる.さらに,多臓器不全の病態そのものが消化性潰瘍を引き起こしうることも知られる.心理的・精神的ストレスによるストレス潰瘍は保存的治療によく反応し,予後が良好であることが知られていた[6].その一方で,中枢神経障害や熱傷,敗血症などに合併する消化管出血の予後は悪く,死亡率は20-30%に達すると報告されている[7,9].また,臨床的に意義のある消化管出血がある患者は出血のない患者と比較して死亡率が有意に高いとも報告されている[3].これらのことから,高度侵襲病態におけるストレス潰瘍の予防が必要であることが広く周知されてきた.

■1972年にH2RAのmetiamide発見され[9],1976年にこのmetiamideでストレス潰瘍の予防と治療の臨床での有効性が報告され[10],1977年にシメチジンが使用可能となってからはその報告が急激に増加し,ストレス潰瘍の予防や治療は大きな転機を迎えた.さらに1980年代には強力な胃酸分泌抑制薬であるPPIが登場し[11],集中治療領域におけるストレス潰瘍予防はPPIとH2RAの一騎打ちの時代に突入していった.

2.ストレス潰瘍のガイドライン,SSCG

■まず,前提として,ストレス潰瘍予防のエビデンスは,抗潰瘍薬が投与されているか否かでの比較が必要となるが,さまざまなリスク因子がこれまで報告されてきた中で新たに特定の因子について検証を行うことは倫理的にも難しい状況にある.このため,予防がそこまで一般的でなかった時代の古いエビデンスに頼るところが大きいことを認識しておかなければならない.

■1998年にAmerican Society of Health-System Pharmacists(ASHP)からストレス潰瘍予防のガイドライン[12]が発表されており,ICU患者でのストレス潰瘍予防介入の適応基準(成人)が以下のように定められている.
絶対適応(1つでも該当すれば適応)
凝固障害(血小板<50000 /mm3,PT-INR>1.5,APTTが正常時の2倍以上)
48時間以上の人工呼吸器管理
1年以内の上部消化管潰瘍または出血
GCS≦10(または簡単な指示に従えない)
体表面積>35%の熱傷
肝部分切除後
多発外傷(Injury Severity Score≧16など),移植患者周術期,肝不全,脊椎外傷に該当

相対適応(2つ以上該当すれば適応)
敗血症
1週間以上のICU在室
6日間以上の潜血
高用量コルチコステロイド治療(ヒドロコルチゾン250mg/日相当量以上)
■敗血症ではどうであろうか?前述の通りASHPガイドラインでは敗血症のみではストレス潰瘍予防の適応とはなっていない.敗血症ガイドラインのSSCG(Surviving Sepsis Campaign Guidelines)にはストレス潰瘍予防の項目がある.
SSCG 2008[13]ストレス潰瘍の予防目的に,H2RA(1A)またはPPI(1B)を投与する.ストレス潰瘍の予防の利益と人工呼吸器関連肺炎の進展の可能性を比較検討しなければならない.

SSCG 2012[14]
出血リスクの高い重症敗血症/敗血症性ショックの患者に対して,ストレス潰瘍の予防としてH2RAやPPIの投与を推奨する(1B).ストレス潰瘍の予防には,H2RAよりもPPIのほうが望ましい(2C).危険因子のない患者には予防を行うべきではない(2B).
■2008年と2012年で推奨が変わっている.SSCG 2008では肺炎の合併症に言及しつつもできる限りストレス潰瘍予防を行うよう推奨しており,薬剤はPPIよりH2RAを推奨している.しかし,SSCG 2012では,出血リスクの高い患者に限定し,リスクのない患者には予防を行わないことを推奨している.さらに,PPIとH2RAの優先順位が逆転しており,PPIが推奨されている.以上から,敗血症においては,全例でストレス潰瘍が必要というわけではない.なお,SSCG 2012では出血リスクについて具体的な項目は明示されていないが,リスク因子である人工呼吸器装着や凝固障害,低血圧が重症敗血症,敗血症性ショック患者には多いとする文献[3,15]を提示している.

3.ストレス潰瘍予防のエビデンスの疑問点

■PPIとH2RAの2種類の薬剤によるICU患者でのストレス潰瘍予防効果の比較についてはメタ解析が複数報告[16-19]されている.臨床的に意義のある上部消化管出血の予防効果をアウトカムとした報告は3報あり,いずれもPPIが有意に予防効果が高かったと報告している.これを受けて2008年改訂時点ではH2RAを第一選択として推奨していたSSCGも2012年の改訂ではPPIを第一選択とする推奨に変更されている.

■これらのメタ解析から,単純にPPIとH2RAのいずれがいいのかという議論には終わらない問題点が見えてくる.まず,過去のRCT 12報のうち,実はPPIとH2RAで有意差がついたのは1報しかなく,その1報では出血率は6.2%vs31.4%という,現在では考えられない出血率の高さである.この報告以外の11報は有意差がなく,メタ解析という統計処理を用いてはじめて有意差がついている.次に,近年は消化管出血発生率そのものが低く,治療ではなく予防として薬剤を投与していることから,統計学的な有意差を検出するには大きなサンプルサイズを要することである.しかしながら,これまでの報告で登録患者数が比較的多いRCTでは有意差はない.

■ICUでの消化管出血に関する近年の観察研究の報告では,2000年以降の消化管出血発生率はほぼ1%以下であり[4,5,20-22],前述の4つのメタ解析において5%前後と報告されていることも考慮すると,1999年以前と比較してかなり低下してきていることがうかがえる.この10-20年で集中治療は大きく変化してきており,ストレス潰瘍予防効果が指摘されている経腸栄養も現在ではICUで一般的に行われていることもストレス潰瘍の発生率に影響を与えている可能性がある.以上から,2000年以降のストレス潰瘍の発生率について再検討が必要である.

■集中治療の進歩に伴ってストレス潰瘍出血率が低下してきた背景には早期経腸栄養の普及が関連していると言われている.実際,経腸栄養時にストレス潰瘍予防が必要かについては,経腸栄養を行った方がむしろ消化管出血を抑えるという報告が以前からある.近年のMarikらのメタ解析[23]では,H2RAの消化管出血予防効果は全体では認められるが,経腸栄養を施行した患者に限定したサブ解析ではH2RA投与有無で消化管出血リスクに影響はなく,経腸栄養そのものが上部消化管出血を予防する可能性を示唆する結果となっている.

■これは,経腸栄養によってプロスタグランジン分泌と消化管血流が改善する[24,25],胃内pHが経腸栄養によって希釈され上昇する[26],ストレス起因性の迷走神経刺激伝達系を経腸栄養が抑制する[27,28]ことなどが理由と考えられている.さらに,H2RAは全体では肺炎,死亡率を増加させなかったが,経腸栄養患者ではH2RAを投与した方が肺炎や死亡率が増加している.以上から,経腸栄養はストレス潰瘍に対する予防効果があり,経腸栄養施行患者へのストレス潰瘍予防薬投与は合併症リスクが増加する可能性があることを考慮すると必要性は低いと言えるかもしれない.ただし,これらの結果はあくまでもサブ解析にとどまっており,消化管出血予防を主要評価項目とした前向き検討のエビデンスは現時点では存在せず,現在進行中のRCT(EN vs EN+H2RA)の結果が待たれる.

■過去の報告では,胃に留置すれば胃内は栄養剤投与による希釈によりアルカリ化されるが,十二指腸/空腸に留置すれば希釈されることなく胃酸分泌刺激が生じ,胃内pHが胃に留置した場合より低くなるかもしれないとする報告[29]もあるが,Alhazzaniら[30]の19報RCT,1394例のメタ解析では,消化管出血リスクに有意差はなかった(RR 0.89; 95%CI 0.46-1.42; p=0.64).

4.出血リスクの高い敗血症患者でのストレス潰瘍予防の第一選択は本当にPPIか?

■前述の通り,メタ解析の結果を受けてSSCG 2012はPPIを第一選択として推奨しているが,これまで述べてきたことを踏まえると必ずしもそうとは限らないのではないかという疑問がわく.実際,近年のRCTでは有意差がついていない.

■H2RAは胃酸分泌を速く抑制するが,PPIより効果は劣る.また,H2RA使用により胃酸分泌耐性を生じることが分かっており,投与開始72時間程度で胃酸pHを高く維持することが困難となることがある.PPIは胃内pH上昇維持ではH2RAより有効であり,また長期使用での耐性も生じないことが,薬効の立ち上がりはH2RAよりも遅くなり,肺炎の合併率はH2RAよりも高い.

■近年のストレス潰瘍出血率の低下,経腸栄養のストレス潰瘍予防効果の仮説,そしてストレス潰瘍がICU入室24時間以内に生じることをふまえると,治療に反応して改善していく患者においてはICU入室早期がストレス潰瘍リスクが最も高く,そこさえ抑えればあとはリスクは大きく低下すると考えられる.よって,立ち上がりが遅く,長期間効果がもつPPIよりも,立ち上がりが早く,短期間しか作用しないH2RAの方が,“現在の”ICUにおけるストレス潰瘍予防と肺炎合併リスクにおいてより有利ではないかという推測も成り立つ.この推測を支持する研究が2014年に報告された.MacLarenら[31]は,71施設のICUでPPIまたはH2RAの投与を受けた35312例のコホート研究を行い,傾向スコア調整前,調整後のいずれにおいてもH2RAはPPIよりも消化管出血,肺炎,Clostridium difficile感染が有意に少ないという結果であった.

■これはRCTではないが,昔ではなく現在のICUにおいてPPIが真にH2RAよりもbetterであるのかに疑問を呈する結果である.古いRCTを組み込んだメタ解析のエビデンスは現在のICUに適応されない可能性は十分にあり,こういった面からもストレス潰瘍予防は再検証が必要である.

5.ストレス潰瘍予防薬の合併症

■ICUにおいて胃酸分泌抑制薬で特に問題視されている有害事象は感染症である.胃内pHは4以上となると胃内細菌の増殖を助長され[32],胃酸分泌抑制薬により胃内コロニゼーションが生じてくることが知られており[33],これが感染症の原因となる.実際にこれまで胃酸分泌抑制薬,特にPPIにおいて肺炎が生じることが多数報告されており,院内肺炎でみても,大規模コホート研究で同様の結果が報告されている[34].ICU患者においては,RCTのメタ解析でPPIとH2RAに有意差はないが[16-19],コホート研究では,PPIで人工呼吸器関連肺炎リスクが高まることが示唆されている[35]Clostridium difficile感染症についても,ICU患者に限定した報告はないものの,胃酸分泌抑制薬による増加が報告されており[36,37]注意が必要である.

■H2RAに特有の有害事象としては,長期間の反復静脈内投与による耐性,脳障害や頭部外傷患者での効果減弱,血小板減少,肝機能障害,間質性腎炎などが報告されている.とりわけ腎機能障害を有する患者ではクリアランスが減少する.また,H2RAには,特に腎機能障害を有する高齢者においてせん妄をはじめとする中枢神経症状が生じうることが知られている[38]

■多くのPPIはCYP450により代謝される.このため,シクロスポリン,ジアゼパム,フェニトイン,ワーファリンなどで薬物相互作用が生じることが知られており,注意が必要となる.この他にも,腹痛,悪心,下痢(特にランソゾールによるcollagenous colitis),頭痛などがある.

■これらの合併症を防ぐ上でも,ストレス潰瘍予防尾は病態が改善すれば終了すべきである.ICU管理下でのストレスを定量化する確立されたツールはなく,ストレス潰瘍予防のための胃酸分泌抑制薬の適切な投与期間も現時点では知られていないため,エビデンスに基づいたストレス潰瘍予防薬の投与期間の提言はできない.ただし,多くの専門家は,潰瘍出血リスクのある患者ならばICU在室期間中は投与しておくべきであると考えており[39],近年のストレス潰瘍出血率が非常に低下してきていることもふまえれば,ICU離脱後は特に大きなリスクがないのであればストレス潰瘍予防薬投与を中止すべきであろう.

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by DrMagicianEARL | 2014-08-04 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
2011年11月21日作成
2014年6月24日改訂

Summary
・EGDTは敗血症性ショック治療の中心となる急性期循環管理プロトコルであり,6時間以内に循環動態を改善させることを目標としている.
・たとえ6時間たってEGDTが達成できていなくても,12-18時間以内であれば予後は改善しうるとする報告があり,6時間を超えてもあきらめずにEGDTは続けるべきである.
・敗血症性ショックでの急速大量輸液は必須であるが,輸液過剰となると予後を悪化させる可能性が指摘されていることは知っておく必要がある.
・過去の多くのコホート研究でEGDTが敗血症性ショックの死亡率を改善させたと報告している.
・ProCESS trialではEGDTがプロトコルを用いない治療法(通常治療群)に比して死亡率を改善させなかったが,全体の死亡率が低く,経験豊富な救急集中治療医が治療を行っていることが通常治療群の死亡率の低さを担保しており,EGDTが有用でないと判断すべきではなく,敗血症治療に慣れていない施設ではEGDTを推奨すべきである.
・ScvO2の代わりに乳酸クリアランスを評価したEGDT(ELGT)は有用であると思われる.

1.EGDTとは?

■EGDT(早期目標指向型治療;Early Goal-directed therapy)はSurviving Sepsis Campaignで推奨されている治療概念であり,抗菌薬治療とは独立した,敗血症性ショック治療の中心となる治療法である.これまで急性期循環管理にEGDTを導入したのは,1988年のShoemaker WCらの報告[1]にさかのぼり,その後の報告[2-5]によっても酸素消費量を改善するには至適な循環血流量の維持が必要であることが示されていた.

■EGDTの有用性を広く知らしめたのは2001年のRiversら[6]の報告である.この研究では,救急初療の段階で敗血症性ショックと診断された患者263例の患者をEGDT群と対照群で比較したRCTであり,カテコラミン投与に優先して十分な輸液を行い,中心静脈酸素飽和度を改善させるEGDTによって,末梢の虚血に伴う代謝性アシドーシスと乳酸産生を救急初療の段階で有意に軽減し,院内死亡率は30.5%vs46.5%(p=0.009)でEGDT群が有意に低かった.このEGDTでは,ショック初期6時間におけるScvO2≧70%達成率は94.9%vs60.2%,7-72時間後の人工呼吸器装着率は2.6%vs16.8%でいずれもEGDT群の方が低い結果となっており,敗血症性ショックに対するEGDTが有効であると結論づけている.

■このRiversらの報告では,ショックが進行性病態であり時間経過に伴い不可逆的循環不全へ移行する可能性があること,輸液の治療目標を具体的に定めるべきであること,初期の必要な輸液により院内死亡率を低下させる可能性を示したと考えられる.また,NNT 6.25と,他の敗血症治療よりもはるかに優れていることが示されている.それまで敗血症性ショックで有意な死亡率改善を示した大規模studyはほとんど存在しなかったが,本報告が与えた影響は絶大であり,その後,EGDTを導入したプロトコルで死亡率が改善したという報告が相次いでおり,SSCGにおいても初期蘇生の中心的治療と位置づけられている.

■EGDTに沿った治療法をICUに入室してから行うのは時間のロスが大きく,EGDTはERから直ちに治療を開始してICUに引継ぎ,来院から6時間継続して全身管理を完了させることが絶対目標となる.EGDTの周知徹底はICUスタッフだけでは足りない.敗血症患者に最初に接触するのはむしろERや一般病棟スタッフである.マンパワーや慣れしだいで患者予後は変わり,入室時刻や発症場所はその重要な要因となる.フィンランドのICU調査報告では,週末に入院した患者の死亡率は高く(OR 1.20),ICUにおける死亡は夜間に多かった(OR 6.89)[7].一般病棟から緊急ICU入室は,同じ重症度でも救急外来や手術室からのICU入室より死亡率が高い[8].敗血症患者はERを介して入院した方が,直接入院した場合より死亡率が低い[9].EGDTに含まれる循環作動薬については,3カ国28施設共同6514例コホート研究において,投与開始が1時間遅れるごとに死亡リスクは2%ずつ有意に増加すると報告されている[10].これらが示す通り,重要なのは初動である.敗血症は心筋梗塞などと違い突然心停止するといったことは起きないが,わずかな時間でも予後不良に直結する可能性がある.ICU以外のスタッフの初期治療とスピードは極めて重要である.

■EGDTは3段階のGoal方式であり,各段階のGoalを達成すれば次の段階の治療に移るというものである.
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■Sohnら[11]は敗血症性ショック患者332例の前向き観察研究を行い,蘇生バンドル達成までの時間が6時間以下,6-12時間,12時間超の3群の28日死亡率はそれぞれ13.3%,13.6%,29.5%であり,6時間を超えても,12時間までなら予後を改善しうることを示した.同様に,Cobaら[12]も,498例の前向きコホート研究において,蘇生バンドル達成までの時間について18時間でカットオフとすると,死亡率は18時間以内の方が有意に低いと報告している.このことから,たとえ6時間を超えてしまってもEGDTは継続すべきである.

■一方で,EGDTに対する批判もある.CVPから推測される血管内容量の信頼性は実際には低いとの指摘も多く,CVPのみに依拠した輸液管理には危険がある.また,敗血症では組織の酸素代謝障害をきたしやすく,ScvO2は組織酸素摂取率(O2ER)が決定因子であり,酸素代謝異常が存在する敗血症患者で低O2ERが著明になれば,組織酸素欠乏状態にも関わらずScvO2は高値を示してしまう.それゆえ,ScvO2が敗血症患者の循環管理指標として不適切という指摘も多い.

■なお,本記事では詳細は扱わないが,EGDTにおいて輸液過剰が生じることが近年問題視されていることは知っておく必要がある[13].More is not always betterの原則の通り,輸液が過剰となると逆に予後が悪化する可能性も指摘されており[14],敗血症性ショック病態において急速輸液は必須であるものの,どこまで投与するか,何をモニタリングするのがベストであるかの検証が今後の課題である.

2.RiversらのEGDTプロトコルの検証 ~ProCESS trial~

■画期的と言われたRiversらの研究は,その後CVPやScvO2の有用性が疑問視されても[15]なおSSCGにおいて蘇生プロトコルに最重要な治療戦略として組み込まれて続けている.この10年以上も前の古いプロトコルが推奨され続けてきた背景には,EGDTそのものの有効性を非EGDTと比較して評価したRCTが実はRiversらの報告以降1報もなかったという事情もある(個々の指標を評価したRCTはある).いかなるエビデンスもといえどもその妥当性はTPO(Time Place Occasion)の影響を免れない.質の高いシステマティックレビューによるエビデンスでも賞味期限1年以内が15%,2年以内が23%,賞味期限の平均期間はわずか5.5年(95%CI 4.6-7.6)しかなく[16],RiversらのEGDTプロトコルが再検証されるのは必然の流れであった.

■このような流れの中で3つの大規模多施設共同RCTであるProCESS,ARISE,ProMISeが進められた[17].この3つのRCTはデータを統合して解析可能であることも報告されており[18],最終的に3つの結果すべてが出揃えば精密なメタ解析がなされるものと思われる.

■そして,これらの3つのRCTのうちの1つ,ProCESS trialの結果[19]が2014年3月にthe New England Journal of Medicineにonline publishされ大きな話題となった.本研究は米国31施設のERで行われ,敗血症性ショック患者を6時間の蘇生において,EGDTプロトコル(Riversのプロトコル+尿量モニタリング)群,収縮期血圧(100mmHgでカットオフ),ショック指数(0.8でカットオフ),尿量を指標に輸液負荷,循環作動薬を投与した標準治療プロトコル群,プロトコルを用いない通常治療群の3群に割り付けた1341例の大規模RCTである.60日死亡率はEGDTプロトコル群21.0%,標準治療群18.2%,通常治療群18.9%(プロトコルvs通常治療 RR 1.04; 95%CI 0.82-1.31; p=0.83 / EGDTプロトコル vs 標準治療プロトコル RR 1.15; 95%CI 0.88-1.51; p=0.31)であり,有意差はみらず,また,90日死亡率,1年死亡率,臓器支持療法の必要性についても有意差はみられなかったことから,「ERで診断された敗血症性ショック患者へのプロトコルに基づいた蘇生は予後を改善させなかった」と結論づけている.

■Riversら研究の時とProCESS trialでは支持療法が異なる.とりわけ,敗血症の早期認知,早期の抗菌薬治療開始,NICE-SUGAR studyで示された中等度レベルでの血糖管理,低1回換気戦略といった部分で予後が当時よりさらに改善しており,死亡率が20%前後というのは歴代の敗血症性ショック患者を対象とした大規模RCTの中でも最もよい治療成績である(平均APACHEⅡスコアは20.7).これは研究前の予想死亡率,APACHEⅡスコアからの予測死亡率よりも低い.このような背景から死亡率に差がつかなかった可能性もある.

■このProCESS trialの結果から,「EGDTプロトコルは無効だった」という解釈をしている人が続出したが,これについては注意が必要である.このProCESS trialの結果はRiversらの功績を否定するものではない.事実,EGDTによって死亡率が低下したとするコホート研究の報告は数多く存在する.Wiraら[20]はこれらの25報3566例のメタ解析を行い,EGDTプロトコルによって死亡率が有意に改善した(25.8% vs 41.6%, p<0.0001)と報告している.敗血症治療の基礎が定まっていなかった時代,あるいは敗血症治療の知識・経験が乏しい施設においてはEGDTが救命に大きく寄与してきたことは事実である.さらに,EGDTの普及を通して敗血症の循環動態を,治療概念を多くの医師に認知させることによりさらなる救命率の向上と研究を発展させた功績は大きい.Riversらが研究を行った時代は7割の医師が敗血症の定義を認知しておらず,また正しい知識を持ち合わせていないために8割の医師が敗血症を誤診するという事態が発生していたのである[21].こういった時代背景の違いもアウトカムの違いに影響がでたものと思われる.

■よって,敗血症治療成績がまだ芳しくない不慣れな施設においては,まずはガイドライン(SSCGや日本版敗血症診療ガイドライン)に沿ったEGDTの推奨によって治療水準を標準レベルまで上げるべきである.少なくとも今回のProCESS trialはEGDTが通常治療と比較して死亡率を改善させなかったというものであり,EGDTが予後を悪化させたわけではない.また,対照群とされた通常治療群の治療の質は経験豊富な三次救急施設の救急集中治療医によって担保されており,そうでないならばEGDTプロトコルに従っておく方がbetterであろう.

3.乳酸値を指標としたEarly Lactate-Guided Therapy(ELGT)

■現在の臨床現場においてはこのRiversらのプロトコルをそのまま用いている施設はむしろ少ないのではないかと思われる.各施設でカスタマイズされたEGDTプロトコルを施行していることが予想され,このProCESS trialの結果を受けて現在の敗血症性ショックの診療スタイルを変える医師はそれほどいないのではないだろうか?現在では乳酸値を指標としたEGDTを行っている施設は多いだろう.実際,乳酸値がScvO2より重要と考えている救急集中治療医は多いことが報告されている[22]

■EGDTがガイドラインで推奨されていた中,敗血症治療における乳酸クリアランスに関する研究報告がだされ,それらの結果をもとに2010年にJansenらが敗血症のみならず高乳酸血症をきたしたICU患者において,EGDT群と,乳酸値を指標にしたprotocolを作成してEGDTに組み込んだEarly Lactate-Guided Therapy(ELGT)治療群のRCTであるLACTATE studyを行った結果が発表された[23].それによると,乳酸濃度,昇圧薬使用期間,腎代替療法使用率では有意差がなく,ELGT群では輸液量,血管拡張薬の使用頻度が有意に増加したが,最終的にICU入室期間を減少させ,SOFA score,死亡率を有意に改善させた(43.5%vs33.9%).サブ解析では死亡率改善は特に敗血症患者において顕著であった.このELGTにおいては,乳酸値を2時間ごとに8時間計測し,前値より20%低下させることを目標においている.これにより,輸液量は増加するものの死亡率の改善が示されている.また,高乳酸血症是正のために血管拡張薬を用いている.

■さらに同年,Jonesら[24]が重症敗血症,敗血症性ショックの患者300例を対象として,EGDTでの初期蘇生目標をScvO2≧70%とする群と乳酸クリアランス≧10%/2hrを目標にする群で比較したRCTを報告しており,院内死亡率は23% vs 17%で統計学的有意差はみられなかった.

■また,Nguyenら[25]は,重症敗血症の蘇生バンドルに乳酸クリアランスを導入することが予後を改善するかを検討した,アジアの8つの3次救急施設における556例前向きコホート研究を2011年に報告しており,乳酸クリアランスのバンドル項目は有意な予後関連独立因子であり,乳酸クリアランスが高い方が死亡率が改善していた.

■これらの結果から,SSCG 2012では乳酸値を正常化させることを目標とした蘇生が推奨されるようになっている.

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by DrMagicianEARL | 2014-06-24 00:00 | 敗血症 | Comments(0)

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