ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

カテゴリ:敗血症性DIC( 15 )

■先日の第43回日本集中治療医学会で発表されたJSEPTIC-DIC studyの結果が早くもonline publishとなりました.敗血症のデータベースとしては日本救急医学会や日本集中治療医学会が行ったSepsis Registryがありますが,本研究で得られたデータは症例数が1桁違う最大かつ最新のものです.以前にTagamiらが報告しているDPCデータのpropensity score解析と同じく,propensity scoreによるマッチング法,IPTW法,層別解析法を用いており,いずれにおいても遺伝子組み換えトロンボモデュリン(rhTM)が敗血症性DICの死亡率を有意に改善するという結果でした.ICUにおける細かいデータが入っているため,DPCデータ解析よりもより信頼性は高いと思われます.もちろんJSEPTIC-DIC studyはRCTではありませんが,これまでの集中治療領域の研究では,RCTとpropensity score解析の研究とでeffect sizeは違えどそのベクトルは同じとの傾向が知られています.これを裏付けられるかどうかは海外で現在行われているPhaseⅢにかかっています.

■以前に本ブログでrhTMに関するレビュー記事(http://drmagician.exblog.jp/22868432/)を書いた際に,RCTで死亡率改善効果がみられず,観察研究では改善が得られているのは,研究デザイン以外に患者の重症度が関与していることを述べました.軽症の感染性DICはDIC治療薬を用いずとも抗菌薬治療のみであっさり改善することは日常的に経験されますから,このような軽症患者を含む集団でrhTMの効果を検証したRCTを行っても有意差がつくはずがありません.これまでの研究結果から,せめてAPACHEⅡスコア20~25以上でなければ有意差はつかないでしょう.この傾向はJSEPTIC-DIC studyの別の解析においてもみられています.rhTMの海外PhaseⅢがpositiveにでるか否かは登録された患者の重症度にかかっていると考えています.
敗血症性DICにおける遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリンと死亡率:多施設共同後ろ向き研究(JSEPTIC-DIC study)
Hayakawa M, Yamakawa K, Saito S, et al; Japan Septic Disseminated Intravascular Coagulation (JSEPTIC DIC) study group. Recombinant human soluble thrombomodulin and mortality in sepsis-induced disseminated intravascular coagulation. A multicentre retrospective study. Thromb Haemost. 2016 Mar 3;115(6). [Epub ahead of print]
PMID: 26939575

Abstract
【背 景】
遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリン(rhTM)は播種性血管内凝固を治療する抗凝固薬の新しいクラスの薬剤である.日本中の臨床現場においてrhTMは広く使用されているにもかかわらず,敗血症性DIC患者におけるrhTMの使用を支持する臨床エビデンスは限られている.さらに,rhTMは他の国のDIC治療においては承認されていない.

【目 的】
本研究の目的は,重症患者におけるrhTMの投与の生存利益を明らかにすることである.

【方 法】
2011年1月から2013年12月までに重症敗血症および敗血症性ショックの治療を受けるため42のICUに入院した3195例の連続的な成人患者のデータを後ろ向きに解析し,1784例が日本救急医学会DICによるスコアリングアルゴリズムに基づいてDICと診断された(rhTM群645例,対照群1139例).

【結 果】
傾向スコア(Propensity score)マッチングにより452のペアが作られ,傾向スコアマッチング集団においてロジスティック回帰解析により,rhTM投与と低い院内全死亡率との間に有意な関連性がみられた(OR 0.757; 95 %CI 0.574-0.999; p=0.049).傾向スコア逆数重みづけ(IPTW法)と四分位層別解析においても,rhTM投与と低い院内全死亡率との間には有意な相関がみられた.傾向スコアマッチング後rhTM群における生存期間は,傾向スコアマッチング後対照群よりも有意に長かった(HR 0.781; 95%CI 0.624-0.977, p=0.03).出血合併症頻度はrhTM群においてより多いことはなかった.

【結 論】
結論として,本研究は,rhTMの投与が敗血症性DIC患者において院内全死亡率減少に関連していることを示した.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-03-10 09:00 | 敗血症性DIC | Comments(0)
■急性肝障害マウスモデルでのrTM投与効果とHMGB1や好中球集積抑制の基礎研究を紹介します(筆頭執筆者は私の大学時代の先輩です).これまでrTMがHMGB1を減少させるとした報告は基礎・臨床ともに複数ありますが,代謝による減少も考慮する必要がありました.肝虚血再灌流モデルにおいてはHMGB1が対照群よりも有意に消失しにくいという報告(Crit Care Med 2010; 38: 879-85)があり,HMGB1は肝代謝である可能性が指摘されています.よって,HMGB1の動態を調べるのであれば肝障害モデルがbetterなのではないかと私は思っています.

■今回の報告では,LPS/GalN誘発性急性肝障害モデルに対するrTMの投与でHMGB1や好中球集積が抑制され,生存が改善したという結果です.もっとも,rTMはNETs放出抑制作用もあるようですので機序としてはそちらの考慮も必要です.実臨床では急性肝障害に対してrTMはどうなのかというのは気になるところですが,DICに対するrTMの市販後調査ではやはり肝障害がベースにあると出血リスクが増加するというデータがでており,安全性の懸念はあります.
遺伝子組換えヒト可溶性トロンボモデュリンはマウスにおいてリポポリサッカライド/d-ガラクトサミン誘発性急性肝障害を改善する
Osumi W, Jin D, Imai Y, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin improved lipopolysaccharide/d-galactosamine-induced acute liver failure in mice. J Pharmacol Sci. 2015 Dec;129(4):233-9
PMID:26712705

Abstract
【背 景】
急性肝障害(ALF)における遺伝子組換えヒト可溶性トロンボモデュリン(TM-α)の効果は不明確であり,我々はマウスでのリポポリサッカライド(LPS)/d-ガラクトサミン(GalN)誘発性ALFにおいてTM-αの効果を解明した.

【方 法】
LPS/GalN投与1時間後にプラセボ(生理食塩水)またはTM-α(100mg/kg)を投与した.LPS/GalN投与24時間後に生存率を評価した.血漿および肝検体はLPS/GalN投与から1,3,7時間後に評価した.

【結 果】
生存率はプラセボ群よりもTM-α治療群の方が有意に高かった.LPS/GalN投与7時間後に血漿high-mobility group box 1タンパク(HMGB1)の有意な増強が観察された.TM-α治療マウスでは,血症HMGB1はプラセボ群よりも有意に低かった.プラセボ治療群では肝NF-κB p65の有意な増強が観察された一方,TM-α治療群ではプラセボと比較して有意な減少が観察された.TNF-αとミエロペルオキシダーゼの肝発現はプラセボ群で有意に増加しており,TM-α治療群では減衰していた.TM-α治療はLPS/GalN投与後に肝への好中球集積も有意に減じていた.

【結 論】
従って,TM-αはLPS/GalN誘発性のHMGB1レベルを減じることでALFの症状を減じる有用な治療戦略となる可能性がある.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-01-19 12:12 | 敗血症性DIC | Comments(0)
遺伝子組換えトロンボモデュリンは敗血症性DICに有効か?(2)臨床エビデンス

3.敗血症性DICに対するrTMのエビデンス

■本邦のエキスパートオピニオンでは,「本邦の敗血症治療成績は欧米の治療成績と比較して良好であり,本邦に特異的であるDIC治療が死亡率を下げている可能性がある」とする意見があるが,観察期間が異なる上に社会的・経済的背景も異なる他国との治療成績の差からDIC治療有無が予後の違いに影響を与えているというのは論理が飛躍しすぎていると思われる.加えてこれらは簡単に反証が出る.救急医学会Sepsis Registry特別委員会による多施設前向き観察研究(観察期間2010-2011年)では重症敗血症死亡率は29.5%であるのに対して,DIC治療を行っていない豪州およびニュージーランドの多施設後ろ向き観察研究(2000-2012年)では,一番最近での重症敗血症の死亡率は18.4%であり,観察期間が近いにもかかわらず本邦より約10%低い.

■現時点ではrTM以外のDIC治療薬も含めて,DIC治療が死亡率を改善させるとする質の高いエビデンスは存在せず,その死亡率の有意な改善効果は観察研究においてのみ報告されている.これを「死亡率が改善するエビデンスがないからDIC治療は意味がない」とするか「適切なデザインでのRCTがなされていないだけ」とするか,個々の医師によって考え方は異なるであろうし,その結果,国内ではDIC治療の考え方が大きく分かれている.だが,本邦のrTMの使用は著明に増加しているようである.Murataら[33]は本邦DPCデータを用い,2010年から2012年までの1041施設14324例における敗血症性DICに対する治療薬を調査したところ,ヘパリン類,AT,プロテアーゼ阻害薬は使用量が減少傾向であるのに対し,rTMは増加しており(2010年25.1%,2011年43.1%,2012年56.8%; p<0.001),病院の規模がrTM使用と有意に関連していたと報告している.

(1) RCT

■敗血症性DICに対するrTMに関するRCTはまだわずかである.前提として,海外ではDICは原疾患治療で対応し,DICそのものに対する治療が積極的に行われているわけではなく,DICに対する抗凝固療法は日本独特の治療である.それゆえ,海外で行われた大規模RCTであるATのKyberSept,rAPCのPROWESS,PROWESS-SHOCKはすべて非DIC患者も含めた敗血症患者を対象としたデザインとなっている.これに加え,本邦でのRCTの困難さが加わってのRCTの少なさである.

■本邦で施行された第Ⅲ相試験[34]は,DIC患者224例(感染症45%,造血器悪性腫瘍55%)に対して,rTM投与群(0.06mg/kg/dayを30分間で6日間投与)112例と未分画ヘパリン投与群(8U/kg/hrで持続投与を6日間)112例 を比較したダブルダミー二重盲検RCTである.主要評価項目はDIC離脱率であり,rTM投与群は未分画ヘパリン投与群より有意に高かった(66.1% vs 49.9%, p=0.02).臨床的な出血もrTM群の方が有意に少ない結果であった.死亡率は28.0% vs 34.6%で,rTM群の方が低い傾向があるも統計学的有意差はみられなかった(p=0.39).本試験では敗血症以外の原因が多数含まれている.敗血症性DICの80症例のサブ解析[35]では,DIC離脱率は67.5% vs 55.6%(p=0.35),28日死亡率は21.4% vs 31.6%(p=0.32)であり,統計学的有意差はないもののrTM群の方が優位な傾向がみられた.

■一方,海外多国間(日本は参加せず)で行われた第Ⅱ相試験[36]は,国際血栓止血学会DIC診断基準により診断した敗血症性DIC患者741例に対して,rTM投与群(0.06 mg/kg/dayを6日間)370例とプラセボ群370例を比較した二重盲検RCTである.主要評価項目の28日死亡率は17.8% vs 21.6%(p=0.273)であり,rTM投与群の方が死亡率が低い傾向がみられたものの統計学的有意差はみられなかった.また,本試験から得たサンプルの凝固関連マーカーの解析[37]では,rTMの投与でD-dimer,TAT,F1+2が有意に改善したと報告している.

■海外第Ⅱ相試験では統計学的有意差はみられなかったが,事前規定によりp<0.3であれば第Ⅲ相に進むこととなっていたため,現在第Ⅲ相試験[38]が行われている.本試験対象は敗血症で,心機能低下または呼吸不全を呈し,他に原因がないPT-INR>1.4を伴う凝固障害の患者であり,凝固障害はあるもののDICではない.この登録基準の根拠は,第Ⅱ相試験でのサブ解析結果に基づく.参加施設は北米・南米・欧州・中東,アジアの207施設に及ぶ(日本は非参加).予定登録患者数は800例を予定している.

(2) 観察研究

■本邦からはrTMに関する観察研究が多数報告されており[39-48],死亡率改善効果を示唆するものは多く,本邦第Ⅲ相試験よりも重症例を扱っていることは注目すべき点かもしれない.ただし,ほとんどが数十例の小規模研究であること,前後比較のデザインが多いこと(後の集団の方が治療成績がよくなる可能性)等それほど質の高い観察研究はなく,背景に大きなバイアスが存在する可能性がある.ここを解消するためにもやはり本邦で再度対象を吟味した上でRCTを組む必要性があると思われる.その上でどのような患者集団がrTMの効果が得られやすい可能性が高いかを考える上でこれらの観察研究は参考になるであろう.比較的N数が多いものを以下に挙げる.

■Ogawaら[40]は,rTM投与群41例と対照群45例の比較検討を行い,ベースラインの重症度はrTM群の方が高かったが(APACHEⅡスコア 27.0(21.5-32.5) vs 21.0(16.-24.0),p<0.001),90日生存率は63% vs 42%(p=0.038)でrTM群の方が有意に高かったと報告している.

■Yamakawaら[41]は,急性期DIC診断基準を見たし,臓器障害を有し,血小板数が8万/mm3未満で,人工呼吸器を要した敗血症性DIC患者162例を対象としてrTM投与群68例と非投与群94例を比較した3施設共同の後ろ向き観察コホート研究を行っている.背景因子は両群間で有意差はないが,APACHEⅡスコア,SOFAスコアはrTM群の方がやや高い傾向がみられた.調整前死亡率では院内,60日,90日でrTM群の方が死亡率が有意に改善していた(90日死亡率 37% vs 56%, p=0.021).propensity scoreで調整(マッチングではなくスコアをCox比例ハザード回帰変数に組込み)すると,rTMは死亡リスクを有意に改善させていた(HR 0.45; 95%CI 0.26-0.77; p=0.013).

■また,本研究は二次解析[42]も行われており, survival CART法により重症度のカットオフラインを決定し,propensity scoreで調整すると,rTMによる死亡リスク減少効果は重症群(APACHEⅡスコア24-29)で有意であり(HR 0.281; 95%CI 0.093-0.850; p=0.025),超重症群(APACHEⅡスコア≧30)でも統計学的有意ではないが同様の傾向がみられた(HR 0.529; 95%CI 0.202-1.387; p=0.195)が,中等症群(APACHEⅡスコア<24)では死亡リスク減少効果はみられなかった(HR 0.814; 95%CI 0.351-1.884; p=0.630).この傾向はSOFAスコアでもみられ,SOFAスコア≧11の重症群ではrTMによる有意な死亡リスク減少がみられた(p=0.042).以上から,rTMの死亡リスク減少効果は重症例であるほど発揮される可能性が示唆される.

■Katoら[43]は,敗血症性DICの43例を対象としてrTM投与群20例と非投与群23例を比較した後ろ向きコホート研究を行い,28日死亡率は8.3% vs 33.3%(p=0.075)であった.また,Cox比例ハザード回帰ではrTM投与とAKIが予後関連因子であった.

■梅垣ら[46]は,急性期DICスコアが5点以上,もしくは4点かつ血小板スコアが3点の敗血症性DICの73例に対して,rTM投与群33例とダナパロイド投与群40例を比較した.28日死亡率に対して有意差はみられなかった.一方,90日死亡ではrTM群の方が有意に死亡率が低く,AT投与を行った症例でのサブ解析においても同様であった.

■AT(アンチトロンビン)との併用有無ではどうであろうか?澤野ら[47]は,敗血症性DICの111例について,AT単独投与群とAT+rTM併用群の比較を行い,28日死亡率は併用群の方が有意に低かった.また,櫻井らは,敗血症性DICの60例について,rTM単独投与群とrTM+AT併用群の比較を行い,28日死亡率に有意差はみられなかった.櫻井ら[48]は,急性期DIC診断基準を満たした敗血症性DIC患者60例を対象としてrTM単独投与群とrTM+AT併用群を比較しており,28日死亡率に有意差はみられなかった.これらは結果だけ見ればATよりもrTMの方が優位であることを示唆するものである.

■これらとは別に,最近,Tagamiら[49]が本邦DPCデータを用いた大規模解析を行っている.この研究は,936施設の重症肺炎に伴う敗血症性DIC患者6342例を対象とし,propensity score matching解析でrTM投与群と非投与群の28日死亡率を比較したものであり,マッチした1140ペアの集団での比較(37.6% vs 37.0%; OR 1.01; 95%CI 0.93-1.10)およびその集団でのロジスティック回帰解析(OR 1.00;95%CI 0.87-1.22)において,rTMの予後改善効果はみられなかったとしている.

■ただし,本研究は他の観察研究とその種類がかなり異なる.DPCデータであるため詳細な検査値や重症度は不明であること,アップコーディング(DICでないのにDIC病名がついている)を除外できないこと,no CPRとなった症例を除外できないことはかなり大きなlimitationであると思われる.また,propensity scoreでの説明変数はDPCの性質上,すべて0か1の2つの値のみであり連続変数ではない.そもそもpropensity scoreは予後をアウトカムとするならばそれに影響を与えうる根拠のある説明変数をできる限り多く組み込む必要があるが,DPCデータから得られる変数では不十分であると思われる.さらに,マッチングにより2/3の集団がそぎ落とされており,どのあたりの集団を見ているのか注意が必要である.もしrTM投与群と非投与群の重なりが軽症側にかなり偏っていた場合,マッチングで得られるのはrTMの効果が得られにくい集団となっている可能性もある.このように,研究デザインによる限界を検証するにもDPCデータそのものに含まれる情報が少ないがために検証そのものが困難である.このような解析をするのであれば,詳細データも検討できるJIPADとDPCの統合データでの解析を待つべきではないだろうか.

(3) メタ解析

■Yamakawaら[51]は,敗血症性DICに対するrTMを検討した12研究(RCT3報838例,観察研究9報571例)のメタ解析を行っている.死亡における相対リスクは,RCTで0.81 (95%CI 0.62-1.06)と有意でない減少を示し,観察研究では0.59(95%CI 0.45-0.77)であった.回帰解析では,各研究において,rhTM治療の効果量とベースラインの死亡率に有意な負の相関がみられ(p=0.012),ベースラインのリスク増加に伴ってrhTM治療が有益となる確率が増加することを示唆している.重篤な出血合併症リスクはrhTM群と対照群で有意差はみられなかった.死亡率,重篤な出血におけるエビデンスの質を中等度と判定している.

■以上の知見をまとめる.
敗血症性DICに対するrTMのエビデンス
・大規模RCTにおいて死亡率改善を支持する根拠は乏しい.
・ただし,これらのRCTは,有意水準5%での死亡率を主要評価項目とした研究ではなく,死亡率評価のためのサンプル数としては不適切な可能性があること,死亡リスクの低い比較的軽症例が含まれていること,原疾患治療困難な血液悪性腫瘍患者や敗血症に至っていない感染性DICなど敗血症以外の疾患を含んでいることから,厳密な敗血症性DICに対するrTMの効果を検証するには不十分である.
・各施設で行われた後ろ向き観察研究では,RCTに比して重症例が多く登録されており,多くの報告がrTMによる死亡率改善効果を示唆する結果となっている.ほとんどがrTM発売を境とした前後比較研究であり,ベースの治療成績の変化など多大なバイアスの存在が危惧される.
・DPCデータのpropensity score matching解析については,大規模解析であるが,連続変数の評価ではない,アップコーディング,重症度不明,変数に組み込まれる予後規定因子が不十分など多数の限界があるため,現時点では結論がだせない.
・重症度が高い患者集団ほどrTMの死亡リスク改善効果が得られる可能性がある.

(4) 今後何を明らかにすべきか?

■ここからはほぼ私見になるが,これまでのエビデンスを見る限り,今後必要なrTMの研究としては,DIC診断基準を満たし,かつ敗血症の中でも重症度の高い集団を対象とした大規模二重盲検RCTであるのは明白である.特に重症度については,近年の敗血症の死亡率が低下していることから,軽症例まで含めば対照群の死亡率もかなり低くなることが予想され,有意差を検討するならばそれなりの重症度の患者を登録する必要がある.

■しかし,本邦の特性上,このようなRCTを組むことは困難を極める.その背景が如実にでたのが日本救急医学会DIC特別委員会による,敗血症性DICに対するATの効果を検討した13施設共同のRCTである.58例登録の時点で中間解析が行われ,AT群で有意なDIC改善効果がみられたものの,28日死亡率は有意差が認められなかった(10.7% vs 13.3%, p=1.00).本研究は死亡率で有意差をみるには検出力不足(4900例必要)と判定され,わずか60症例を登録するのに3年を要したことなどから,この中間解析をもって中止となった.さらに重症でない敗血症も登録可能であり,対照群はメシル酸ガベキサートを使用してもいいなど,これで死亡率改善効果を示すことはできないであろう.これが日本の集中治療領域におけるRCTができない現状である.

■ならば前述の海外で現在行われている第Ⅲ相試験はどうか.この試験で結果がポジティブであれば,rTMは海外市場進出となり,その後はさらなる臨床研究が進んでいき,新たなエビデンスが構築されていくだろう.しかし,私の個人的見解では海外第Ⅲ相試験のこの研究デザインではネガティブな結果になるのではないかと考えている.理由としては,登録基準がDICでないこと,サブ解析で得られた結果をもとに登録基準を定めたこと(これまで集中治療領域においてサブ解析の結果をもとにRCTを組んでポジティブな結果となったのはARDSに対する腹臥位療法の有効性を示したPROSEVA studyしかない)が挙げられる.ここで結果がネガティブであれば,STRIVE studyによって海外では使用されることがなくなったシベレスタットと同様の運命をたどることとなり,おそらく今後海外でRCTが組まれることはなくなるだろう.それだけになぜこのような研究デザインなのは残念ではある.

■また,同時に,rTMの投与タイミングなどを明らかにする必要もあるかもしれない.近年,炎症急性期の凝固反応は生理的防御機構を有するとする,いわゆるimmunothrombosis[52]の概念が提唱されており,DICではない状態でのrTM投与はむしろ生理的範囲の生体防御機構を攪乱し,逆効果となるかもしれない.Schoutenら[53]は,野生型マウスとTMのレクチン様ドメイン欠損マウス(いずれも非DIC状態)に肺炎球菌を感染させると,欠損マウスの方が生存率が低かったと報告している.さらに同研究グループは,DIC非合併の肺炎球菌肺炎においてEPCRは抗菌防御作用を障害し,炎症を増悪させるとも報告している[54].このように,炎症・凝固過剰状態でない状態ではrTMはむしろ生体に不利に働く可能性があり,菌クリアランスが低下していることも考慮すれば,生理的に必要な免疫を抑制してしまう可能性がある.

■実際,TM-PC凝固制御系は抗炎症性サイトカインIL-10をアップレギュレーションすることが知られているが[21],このIL-10はSIRSと相反する免疫抑制状態であるCARSに関連するサイトカインでもある.加えて,rTMがTreg(制御性T細胞)を増加させることも報告されている[55,56].Tregは敗血症病態においてはCARS病態への関与も指摘されており,Tregの増加が敗血症の予後を改善するかどうかは疑問である.実際に,Hirakiら[57]は,CLP敗血症マウスモデルにおいてTregが増加し,抗IL-10中和抗体,抗TGF-β中和抗体を投与することでTregを制御すると予後が改善したと報告している.また,Onoら[58]は,腹腔感染症による敗血症患者32例において,PMX-DHPを施行することで,死亡例より生存例の方がTregが有意に減少していたと報告している.rTMの早すぎる投与や,長々と投与することは免疫に対する過剰な負の影響を与える可能性を考慮し,投与開始・終了の適切なタイミングを検討する研究が必要である.

→遺伝子組換えトロンボモデュリンは敗血症性DICに有効か?(1)作用機序

[33] Murata A, Okamoto K, Mayumi T, et al. Recent Change in Treatment of Disseminated Intravascular Coagulation in Japan: An Epidemiological Study Based on a National Administrative Database. Clin Appl Thromb Hemost 2015 Mar 2
[34] Saito H, Maruyama I, Shimazaki S, et al. Efficacy and safety of recombinant human soluble thrombomodulin (ART-123) in disseminated intravascular coagulation: results of a phase III, randomized, double-blind clinical trial. J Thromb Haemost 2007; 5: 31-41
[35] Aikawa N, Shimazaki S, Yamamoto Y, et al. Thrombomodulin alfa in the treatment of infectious patients complicated by disseminated intravascular coagulation: subanalysis from the phase 3 trial. Shock 2011; 35: 349-54
[36] Vincent JL, Ramesh MK, Ernest D, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled, Phase 2b study to evaluate the safety and efficacy of recombinant human soluble thrombomodulin, ART-123, in patients with sepsis and suspected disseminated intravascular coagulation. Crit Care Med 2013; 41: 2069-79
[37] Hoppensteadt D, Tsuruta K, Cunanan J, et al. Thrombin generation mediators and markers in sepsis-associated coagulopathy and their modulation by recombinant thrombomodulin. Clin Appl Thromb Hemost 2014; 20: 129-35
[38] Phase 3 Safety and Efficacy Study of ART-123 in Subjects With Severe Sepsis and Coagulopathy. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT01598831
[39] Yamakawa K, Fujimi S, Mohri T, et al. Treatment effects of recombinant human soluble thrombomodulin in patients with severe sepsis: a historical control study. Crit Care 2011; 15: R123
[40] Ogawa Y, Yamakawa K, Ogura H, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin improves mortality and respiratory dysfunction in patients with severe sepsis. J Trauma Acute Care Surg 2012; 72: 1150-7
[41] Yamakawa K, Ogura H, Fujimi S, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin in sepsis-induced disseminated intravascular coagulation: a multicenter propensity score analysis. Intensive Care Med 2013; 39: 644-52
[42] Kato T, Sakai T, Kato M, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin administration improves sepsis-induced disseminated intravascular coagulation and mortality: a retrospective cohort study. Thromb J 2013; 11: 3
[43] Yamato M, Minematsu Y, Fujii J, et al. Effective combination therapy of polymyxin-B direct hemoperfusion and recombinant thrombomodulin for septic shock accompanied by disseminated intravascular coagulation: a historical controlled trial. Ther Apher Dial 2013; 17: 472-6
[44] 押領司友和,垣花泰之,安田智嗣,他.Disseminatedintravascular coagulation(DIC)治療における遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤併用療法の有用性の検討.日集中医誌 2011; 18: 583-90
[45] 梅垣岳志,西憲一郎,波多野貴彦,他.敗血症性disseminated intravascular coagulation(DIC)におけるリコンビナントトロンボモジュリンとダナパロイドナトリウムの臨床効果について.日集中医誌 2012; 19: 603-8
[46] 細見早苗,林下浩士.外科的介入を行った敗血症性disseminated intravascular coagulation(DIC)に対する遺伝子組み換え型ヒト可溶性トロンボモジュリンの併用効果.日集中医誌 2014; 21: 623-9
[47] 澤野宏隆,重光胤明,吉永雄一,他.敗血症性DICにおけるリコンビナントトロンボモジュリンとアンチトロンビン製剤の併用療法の有用性.日救急医会誌 2013; 24: 119-31
[48] 櫻井聖大,山田周,北田真己,他.感染性DICにおけるリコンビナントトロンボモデュリン単独投与と,アンチトロンビン併用投与の臨床効果の比較検討.日救急医会誌 2013; 24: 132-40
[49] Yoshimura J, Yamakawa K, Ogura H, et al. Benefit profile of recombinant human soluble thrombomodulin in sepsis-induced disseminated intravascular coagulation: a multicenter propensity score analysis. Critical Care 2015, 19:78
[50] Tagami T, Matsui H, Horiguchi H, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin and mortality in severe pneumonia patients with sepsis-associated disseminated intravascular coagulation: an observational nationwide study. J Thromb Haemost 2015; 13: 31-40
[51] Yamakawa K, Aihara M, Ogura H, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin in severe sepsis: a systematic review and meta-analysis. J Thromb Haemost 2015 Jan 10
[52] Engelmann B, Massberg S. Thrombosis as an intravascular effector of innate immunity. Nat Rev Immunol 2013; 13: 34-45
[53] Schouten M, de Boer JD, van 't Veer C, et al. The lectin-like domain of thrombomodulin hampers host defence in pneumococcal pneumonia. Eur Respir J 2013; 41: 935-42
[54] Schouten M, de Boer JD, Kager LM, et al. The endothelial protein C receptor impairs the antibacterial response in murine pneumococcal pneumonia and sepsis. Thromb Haemost 2014; 111: 970-80
[55] Kudo D, Toyama M, Aoyagi T, et al. Involvement of high mobility group box 1 and the therapeutic effect of recombinant thrombomodulin in a mouse model of severe acute respiratory distress syndrome. Clin Exp Immunol 2013; 173: 276-87
[56] Ikezoe T, Yang J, Nishioka C, et al. Thrombomodulin alleviates murine GVHD in association with an increase in the proportion of regulatory T cells in the spleen. Bone Marrow Transplant 2015; 50: 113-20
[57] Hiraki S, Ono S, Tsujimoto H, et al. Neutralization of interleukin-10 or transforming growth factor-β decreases the percentages of CD4+ CD25+ Foxp3+ regulatory T cells in septic mice, thereby leading to an improved survival. Surgery 2012; 151: 313-22
[58] Ono S, Kimura A, Hiraki S, et al. Removal of increased circulating CD4+CD25+Foxp3+ regulatory T cells in patients with septic shock using hemoperfusion with polymyxin B-immobilized fibers. Surgery 2013; 153: 262-71
[PR]
by DrMagicianEARL | 2015-03-11 21:18 | 敗血症性DIC | Comments(0)
遺伝子組換えトロンボモデュリンは敗血症性DICに有効か?(1)作用機序

1.rAPCの市場撤退とrTMの登場

■2001年に報告されたPROWESS study[1]で唯一の敗血症治療薬として注目を集めたrAPC(recombinant Activated Protein C:遺伝子組換え活性化プロテインC,Xigris®,Ely Lilly社)は,その後Surviving Sepsis Campaign Campaign Guidelines(SSCG)2004[2],2008[3]で推奨された.しかし,その後PROWESS studyに対する数多くの問題点が指摘され,再検証として行われたADDRESS[4],RESOLVE trial[5]でrAPCは効果を否定されていった.そして,大規模RCTであるPROWESS-SHOCK study[6]の中間解析において,rAPCは死亡率を改善させず出血を増加させる結果となり,販売元であるEly Lilly社が2011年秋に市場撤退を決めたことにより姿を消した.SSCG 2012[7]ではrAPCの推奨はなくなり,「遺伝子組み換え活性化プロテインCに関する推奨の歴史(History of Recommendations Regarding Use of Recombinant Activated Protein C)」という内容が掲載されたのは記憶に新しい.

■rAPCは日本では発売されることはなかった薬剤であるが,このrAPCと入れ替わるように登場したのが2009年から発売開始となったrTM(recombinant thrombomodulin:遺伝子組換えトロンボモデュリン,リコモジュリン®,旭化成ファーマ/ファイザー)であり,敗血症に対して現在使用可能な薬剤の中で最も期待されている薬剤の1つである.この背景には,日本がDIC(Disseminated Intravascular Coagulation:播種性血管内凝固)研究の最先進国であり,加えて近年の凝固炎症のCross talk[8]が注目されているという流れがある.現在,このrTMを敗血症性DICにおいて使用するかについて議論が続いている.これはDICの改善効果については疑う余地もないが,肝心の死亡率改善の質の高いエビデンスが得られていないという現状があるためである.DICを合併すると敗血症の死亡率は増加するが,DICを治療しても死亡率が改善する根拠はいまだ乏しい.

■本レビューでは敗血症性DICに対するrTMのこれまでの知見を検証する.なお,COIとして筆者はrTM製造販売メーカーである旭化成ファーマ/ファイザーの主催の研究会・講演会において,過去にrTM関連で3回講演(他に座長1回)を行って同社から講演料を受け取っていること,使用範囲を限定しているがrTMを実臨床で使用している医師であることを予め断っておく.

2.敗血症性DICに対するrTMの作用機序

■TM(thrombomodulin)は血管内皮細胞上に,1細胞あたり5-10万の数で分布して存在する分子量78000の糖蛋白質であり[9],NH2末端レクチン様ドメイン,EGF様ドメイン1-6,O型糖鎖結合ドメイン,細胞膜貫通ドメイン,細胞質内ドメインの5つの領域から構成されている[10-12].このTMのNH2末端レクチン様ドメイン~O型糖鎖結合ドメインの部分がrTMとして製剤化されている.
e0255123_21462559.png
■TMはPC(プロテインC)を介したTM-PC凝固制御系により血流を維持しており[13],これは凝固反応のnegative feedbackである.敗血症病態において生じた凝固反応でトロンビンが生成され,このトロンビンの活性中心近傍(exocite 1)が血管内皮細胞上のTMのEGF様ドメイン5,6に結合し[14],トロンビンとその基質のフィブリノゲン,凝固因子V,VIII,XIII,PAR-1(Protease-Activated Receptor-1)との相互作用が阻止される.このTMとトロンビンの結合は1:1であり,可逆的である.

■さらに,結合したトロンビンはPCを特異的に活性化できるようにトロンビンの基質選択性を変化させる.このTM-トロンビン複合体が近傍のEPCR(Endothelial Protein C Receptor;血管内皮プロテインC受容体)に結合しているPCの高分子量鎖のアミノ末端ペプチドを切断し,APC(Activated Protein C)を生じる[15,16].APCはPS(Protein-S)と複合体を形成し,凝固カスケードの律速因子である活性化凝固因子Va,VIIIaを分解・失活化させることで抗凝固活性を発揮する[17,18]

■同時に,APCはPAI-1(Plasminogen Activator Inhibitor-1)を抑制し,線溶促進作用も示す[19]が,TM-トロンビン複合体は線溶系阻害因子であるTAFI(Thrombin Activatable Fibrinolysis Inhibitor)を活性化することで,フィブリン血栓上のt-PA(tissue Plasminogen Activator;組織型プラスミノーゲン活性化因子)によるプラスミン生成反応を抑制することで過剰な線溶亢進状態を制御する方向に働く.APCによる活性化凝固因子VaとVIIIaの失活によりトロンビン生成量が減少するとTAFI活性化は抑制される.

■TMのもう一つの特徴として,抗炎症作用がある.TM-トロンビン複合体によって惹起されたAPCはEPCRに結合することでPAR-1を活性化する(通常,PAR-1の活性化は向炎症作用があるが,EPCRを介した活性化は逆に抗炎症に働く)[20].活性化されたPAR-1により血管内皮細胞での接着分子の産生阻害や好中球の活性化阻害を示す[13,21].また,細胞死やNETs(Neutrophil Extracellular Trapping system)によって放出されるヒストンをAPCが分解することで抗炎症作用を発揮する[22].さらに,EPCRによって活性化されたPAR-1はSphK1(Sphingosine Kinase 1)を活性化し,生成されたS1P(Sphingosine-1-Phosphate)の細胞外への有利を介してS1P1(S1P receptor-1)が活性化され,血管内皮細胞の抗アポトーシス作用,抗炎症作用を発揮する[23]

■また,TMの直接の抗炎症作用も知られている.エンドトキシンはTMのレクチン様ドメインに吸着されると報告されている[24].TMのレクチン様ドメインはHMGB-1(High Mobility Group Box-1)を吸着,中和させ[25,26],さらに,EGF様ドメイン4-6に結合したトロンビンによって分解・失活するとも報告されている[26].さらに,細胞外ヒストンもTMと結合し,中和されることが報告されている[27].加えて,DICは凝固カスケード反応によるトロンビンだけでは生じず,このHMGB-1やヒストンの増加を伴うことで生じることが近年示唆されており[28-30],TMはこの2つを中和作用による抗凝固作用も発揮していることになる.2015年1月の米国集中治療医学会においてはSugaらが,rTMがNETs formationを阻害することを報告している(SCCM Critical Care Congress 2015 O-62).

■生体においては上記メカニズムによって生体の恒常性を維持しているが,敗血症患者では好中球エラスターゼによって血管内皮細胞上のTMが切断される(このため初期は血中TM濃度が上昇する).加えて,TNFα等の炎症性サイトカインによって血管内皮細胞でのTM発現のダウンレギュレーションが生じる[31].同時に,線溶系もTNFαとエンドトキシンによって血管内皮細胞上のPAI-1の発現量の急激な増加により抑制される[32].これにより凝固線溶系の恒常性が破綻し,DICに進展する.この減少したTMを補う目的でrTMが投与される.

→遺伝子組換えトロンボモデュリンは敗血症性DICに有効か?(2)臨床エビデンス

[1] Bernard GR, Vincent JL, Laterre PF, et al. Efficacy and safety of recombinant human activated protein C for severe sepsis. N Engl J Med 2001; 344: 699-709
[2] Dellinger RP, Carlet JM, Masur H, et al. Surviving Sepsis Campaign guidelines for management of severe sepsis and septic shock. Crit Care Med 2004; 32: 858-73
[3] Dellinger RP, Levy MM, Carlet JM, et al. Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2008. Crit Care Med 2008; 36: 296-327
[4] Abraham E, Laterre PF, Garg R, et al. Drotrecogin alfa (activated) for adults with severe sepsis and a low risk of death. N Engl J Med 2005; 353: 1332-41
[5] Nadel S, Goldstein B, Williams MD, et al. Drotrecogin alfa (activated) in children with severe sepsis: a multicentre phase III randomised controlled trial. Lancet 2007; 369: 836-43
[6] Ranieri VM, Thompson BT, Barie PS, et al. Drotrecogin alfa (activated) in adults with septic shock. N Engl J Med 2012; 366: 2055-64
[7] Dellinger RP, Levy MM, Rhodes A, et al. Surviving sepsis campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2012. Crit Care Med 2013; 41: 580-637
[8] Matthay MA. Severe sepsis--a new treatment with both anticoagulant and antiinflammatory properties. N Engl J Med 2001; 344: 759-62
[9] Takada Y, Shinkai F, Kondo S, et al. Fluid shear stress increases the expression of thrombomodulin by cultured human endothelial cells. Biochem Biophys Res Commun 1994; 205: 1345-52
[10] Gomi K, Zushi M, Honda G, et al. Antithrombotic effect of recombinant human thrombomodulin on thrombin-induced thromboembolism in mice. Blood 1990; 75: 1396-9
[11] Hayashi T, Suzuki K. Monoclonal antibodies for human thrombomodulin which recognize binding sites for thrombin and protein C. J Biochem 1990; 108: 874-8
[12] Hayashi T, Zushi M, Yamamoto S, et al. Further localization of binding sites for thrombin and protein C in human thrombomodulin. J Biol Chem 1990; 265: 20156-9
[13] Macias WL, Yan SB, Williams MD, et al. New insights into the protein C pathway: potential implications for the biological activities of drotrecogin alfa (activated). Crit Care 2005; 9(Suppl. 4): S38-45
[14] Dittman WA, Majerus PW. Structure and function of thrombomodulin: a natural anticoagulant. Blood 1990; 75: 329-36
[15] Esmon CT, Esmon NL, Harris KW. Complex formation between thrombin and thrombomodulin inhibits both thrombin-catalyzed fibrin formation and factor V activation. J Biol Chem 1982; 257: 7944-7
[16] Dahlbäck B, Villoutreix BO. The anticoagulant protein C pathway. FEBS Lett 2005; 579: 3310-6
[17] O'Brien LM, Mastri M, Fay PJ. Regulation of factor VIIIa by human activated protein C and protein S: inactivation of cofactor in the intrinsic factor Xase. Blood 2000; 95: 1714-20
[18] Kalafatis M, Rand MD, Mann KG. The mechanism of inactivation of human factor V and human factor Va by activated protein C. J Biol Chem 1994; 269: 31869-80
[19] Sakata Y, Curriden S, Lawrence D, et al. Activated protein C stimulates the fibrinolytic activity of cultured endothelial cells and decreases antiactivator activity. Proc Natl Acad Sci U S A 1985; 82: 1121-5
[20] Schuepbach RA, Madon J, Ender M, et al. Protease-activated receptor-1 cleaved at R46 mediates cytoprotective effects. J Thromb Haemost 2012; 10: 1675–84
[21] Toltl LJ, Beaudin S, Liaw PC, et al. Activated protein C up-regulates IL-10 and inhibits tissue factor in blood monocytes. J Immnol 2008; 181: 2165-73
[22] Xu J, Zhang X, Pelayo R, et al. Extracellular histones are major mediators of death in sepsis. Nat Med 2009; 15: 1318-21
[23] Danese S, Vetrano S, Zhang L, et al. The protein C pathway in tissue inflammation and injury: pathogenic role and therapeutic implications. Blood 2010; 115: 1121-30
[24] Shi CS, Shi GY, Hsiao HM, et al. Lectin-like domain of thrombomodulin binds to its specific ligand Lewis Y antigen and neutralizes lipopolysaccharide-induced inflammatory response. Blood 2008; 112: 3661-70
[25] Abeyama K, Stern DM, Ito Y, et al. The N-terminal domain of thrombomodulin sequesters high-mobility group-B1 protein, a novel antiinflammatory mechanism. J Clin Invest 2005; 105: 1267-74
[26] Ito T, Kawahara K, Okamoto K, et al. Proteolytic cleavage of high mobility group box 1 protein by thrombin-thrombomodulin complexes. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2008; 28: 1825-30
[27] Hagiwara S, Iwasaka H, Goto K, et al. Recombinant thrombomodulin prevents heatstroke by inhibition of high-mobility group box 1 protein in sera of rats. Shock 2010; 34: 402-6
[28] Nakahara M, Ito T, Kawahara K, et al. Recombinant thrombomodulin protects mice against histone-induced lethal thromboembolism. PLoS One 2013; 8: e75961
[29] Ito T, Kawahara K, Nakamura T, et al. High-mobility group box 1 protein promotes development of microvascular thrombosis in rats. J Thromb Haemost 2007; 5: 109-16
[30] Hatada T, Wada H, Nobori T, et al. Plasma concentrations and importance of High Mobility Group Box protein in the prognosis of organ failure in patients with disseminated intravascular coagulation. Thromb Haemost 2005; 94: 975-9
[31] Lin FY, Tsai YT, Lee CY, et al. TNF-α-decreased thrombomodulin expression in monocytes is inhibited by propofol through regulation of tristetraprolin and human antigen R activities. Shock 2011; 36: 279-88
[32] Hack CE. Fibrinolysis in disseminated intravascular coagulation. Semin Thromb Haemost 2001; 27: 633-8
[PR]
by DrMagicianEARL | 2015-03-10 15:50 | 敗血症性DIC | Comments(0)
■大阪大学の山川先生による敗血症性DICに対する遺伝子組み換えトロンボモデュリン(リコモジュリン®)のメタ解析です.予想通りの結果,といったところでしょうか.実臨床での感覚と一致しています.米国で行われているPhaseⅢの結果がでるのはあと数年かかりますが,どのような結果になるでしょうか.

■RCTより観察研究のエビデンスを重視してはいけないわけですが,相対リスク比で見ると観察研究の方が死亡リスク減少効果が強いです.おそらくは前後比較研究による原疾患治療の変化,RCTよりも重症例を登録しているために死亡率に差がつきやすいなどの要因もあると思われます.また,観察研究に症例対照研究が含まれており,解釈に注意が必要かと思われます.後ろ向き症例対照研究においてはバイアスを考慮すると,いかにp値が小さく95%信頼区間が狭くとも,オッズ比が3-4以上または0.25-0.33以下でない限りその結果は懐疑的であるとする意見があります(Science 1995; 269: 164-9).

■ただ,最近,敗血症性DIC領域はアウトカムを死亡率だけで判断してよいのか個人的には疑問に思っています.KyberSept trialの二次解析を見ると,DIC治療は長期機能予後を改善させる可能性があるのではないか?と最近思っていて,そんな研究を今後やってみたいものです.
重症敗血症における遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリン:システマティックレビューとメタ解析
Yamakawa K, Aihara M, Ogura H, et al. Recombinant human soluble thrombomodulin in severe sepsis: a systematic review and meta-analysis. J Thromb Haemost. 2015 Jan 10 [Epub ahead of print]
PMID:25581687

Abstract
【背 景】
遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリン(rhTM)は,日本では播種性血管内凝固(DIC)に対する新しい抗凝固薬として広く使用されているが,敗血症性DICにおけるその臨床効果は明らかではない.

【目 的】
敗血症性DIC患者におけるrhTMの有益性と有害性を評価する.

【方 法】
敗血症性DICに対するrhTMを検討した無作為化試験(RCT)と観察研究(後ろ向き症例対照研究および前向きコホート研究)の各々において,システマティックレビューとメタ解析を行った.有効性として全死亡率(28-30日)を,有害事象として重篤な出血合併症を主要評価項目として評価した.GRADEアプローチを用いたアウトカムレベルでエビデンスの質を評価した.

【結 果】
12研究(838例/RCT3報,571例/9報観察研究)を解析した.
死亡における相対リスクは,RCTで0.81 (95% CI, 0.62-1.06)と有意でない減少を示し,観察研究では0.59 (95% CI, 0.45-0.77)であった.メタ回帰解析では,各研究において,rhTM治療の効果量とベースラインの死亡率に有意な負の相関がみられ(p=0.012),ベースラインのリスク増加に伴ってrhTM治療が有益となる確率が増加することを示唆している.重篤な出血合併症リスクはrhTM群と対照群で有意差はみられなかった.死亡率,重篤な出血におけるエビデンスの質を中等度と判定した.

【結 論】
rhTMは敗血症性DIC患者において28-30日死亡率を減少させる傾向に関連していた.臨床に組み込むことを明白にする前に,本知見を支持するか否かについてはさらなる大規模かつ厳密な試験が必要である.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2015-02-24 19:58 | 敗血症性DIC | Comments(0)
■今回はちょっと古い文献になりますが,基礎研究論文の紹介です.肺炎球菌肺炎の病態においてはα-エノラーゼによりNETsが過剰産生され,肺炎球菌の莢膜やリポテイコ酸によりNETsから回避しうることが知られており,rTM(リコモジュリン)投与は肺炎球菌肺炎に対する特異的な有益性があるだろうと考えていました.しかし,マウスモデル実験ではこのような結果.ヒトの場合とNETs産生の違いや,DIC病態に対する研究ではないことを考慮する必要はありますが,必ずしもトロンボモデュリンはいい働きばかりするとは限らないということでしょう.
肺炎球菌肺炎においてトロンボモデュリンのレクチン様ドメインは宿主の防御反応を妨げる
Schouten M, de Boer JD, van 't Veer C, et al. The lectin-like domain of thrombomodulin hampers host defence in pneumococcal pneumonia. Eur Respir J 2013; 41: 935-42

Abstract
【背 景】
トロンボモデュリン(TM)のレクチン様ドメインは無菌の炎症状態において重要な制御的役割をはたしているが,重症グラム陽性菌感染症における役割は分かっていない.肺炎球菌は市中肺炎の原因菌として最も一般的である.

【目 的】
本研究の目的は,マウスの肺炎球菌肺炎においてTMのレクチン様ドメインの役割を検討することである.

【方 法】
野生型(WT)マウスとTMのレクチン様ドメイン欠損(TM(LeD/LeD))マウスを鼻腔内に生きた肺炎球菌を感染させ,双方の生存の観察と感染後6,24,48時間後に安楽死を行った.

【結 果】
野生型マウスと比較して,TM(LeD/LeD)マウスは肺炎球菌肺炎での生存が著明に良好であった.肺炎球菌感染から48時間後で,TM(LeD/LeD)マウスは血液中および肝臓内の菌量が少なく,肺組織病理学的に見て肺の炎症もなく,好中球浸潤もなく,サイトカイン,ケモカイン濃度は低かった.向炎症性サイトカインの血漿レベルも感染曝露後のTM(LeD/LeD)マウスにおいて減少していた.

【結 論】
TMのレクチン様ドメインの除去は肺炎球菌肺炎の宿主防御を改善させた.TMのレクチン様ドメインはグラム陽性菌かグラム陰性菌に対する反応で異なる役割を有している可能性がある.

[PR]
by drmagicianearl | 2014-06-18 13:30 | 敗血症性DIC | Comments(0)
■敗血症性DICにおけるアンチトロンビン製剤(AT)の研究が2報発表されたので以下に紹介し,敗血症性DICにおけるATについてのレビューを行った.

敗血症性DIC患者におけるアンチトロンビン投与の治療効果と病理学的特徴の研究
Sakamoto Y, Inoue S, Iwamura T, et al. Studies on therapeutic effects and pathological features of an antithrombin preparation in septic disseminated intravascular coagulation patients. Yonsei Med J 2013; 54: 686-9
PMID:23549815,Free Full Text
概要:2000年から2008年までの敗血症性DIC患者88例(ヘパリンは非使用)において,AT投与群34例と非投与群54例を比較した後ろ向き解析.ATは1500-3000単位/日を3-5日間投与した(総量4500-15000単位).患者背景は,性別,年齢,APACHEⅡスコア,SOFAスコアに有意差はないが,急性期DIC診断基準スコアはAT群が有意に高かった.死亡率はAT投与群で有意に低かった(26.5% vs 42.6%, p=0.0045).佐賀大学からの報告.

■本報告は後ろ向きであることや,研究対象期間が2000年から2008年までであり敗血症治療の変遷による治療成績の変化が加味されていないことを踏まえると死亡率低下のエビデンスレベルは低いが,本邦で保険診療上使用可能な上限4500単位より多い量の投与により死亡率改善が得られている点がこれまでの国内からの報告と異なる点と言え,ATの予後改善効果の一傍証となるかもしれない.

急性期DIC診断基準で診断された敗血症性DICに対するアンチトロンビンの効果
丸藤哲,齋藤大蔵,石倉 宏恭,他.急性期DIC診断基準で診断された敗血症性DICに対するアンチトロンビンの効果.日本救急医会誌 2013; 24: 105-113
概要:日本救急医学会DIC特別委員会による,敗血症性DICに対するATの効果を検討した13施設共同のRCT.このRCTでは体重ごとにAT投与量が定められ,2000単位/日前後が投与されている.58例登録の時点で中間解析が行われ,AT群で有意なDIC改善効果がみられたものの,28日死亡率は有意差が認められなかった(10.7% vs 13.3%, p=1.00).本研究は死亡率で有意差をみるには検出力不足(4900例必要)と判定され,60症例登録に3年を要したことなどから,この中間解析をもって中止となった.

■このRCTは,第二次多施設共同前向き試験において各施設が任意に実施したDIC治療方法をpropensity 解析により検証した結果,感染症を基礎病態として発症する急性期DIC症例にアンチトロンビン製剤を早期投与すると症例の予後が改善する可能性が示唆された[1]ことや,KyberSept trialのサブ解析の結果をもとに行われたが,非常に低い死亡率であることからも分かる通り重症でない敗血症も登録可能であり,対照群はメシル酸ガベキサートを使用してもいいなど,研究デザインに問題があると思われる.

■ATの主な生理作用は抗凝固作用であり,血液凝固反応の制御において重要な生理的セリンプロテアーゼ阻害薬である[2].主にThrombinと活性型凝固第IXa,VIIa,Xa,XIa,XIIa因子を阻害し,血中Thrombinに対する阻害活性の75-80%がATの作用であると言われている[3].また,ATには,血管内皮細胞上のヘパラン硫酸や,好中球表面上に存在するシンデカン-4(ATに対する特異的受容体)にATが結合することで抗炎症作用が発揮されることが判明している[4].ただし,この抗炎症作用はAT活性値を生理的AT活性値以上(120%以上)に保持した場合にしか発現しない[5]

■ATの生体内半減期は健常人では約65時間である.ところが,DIC急性期などの凝固亢進状態下では,約7時間にまで短縮し[6],血中AT活性値は低下する.低下の原因としては,血液凝固亢進による消費,血管内皮・肝臓における産生能低下,エラスターゼによる分解,血管透過性亢進による血管外漏出(cappillary leak)などが関与している[7].AT活性値はSOFAスコアと有意な逆相関(y=13.4-0.09x, r=0.513, p<0.001, n=82)を示すことが知られており[8],AT活性値が50%未満のDIC患者は予後不良な重症患者群であることも判明している[9]

■これらのことから,AT補充療法がDICにおいて有用と考えられ,臨床で使用されるに至る.本邦では1500単位の3日間投与(総量4500単位)がスタンダードであり,AT活性値が70%以下での投与が推奨されてきた(近年はrecombinant thrombomodulin製剤の登場によりその投与基準値は下げられる傾向にある).しかし,この治療法の有効性は質の高い臨床的な研究では検証されておらず,実質としてエビデンスがなかった.そこで行われた日本救急医学会DIC委員会による上述のRCTが行われたわけであるが,研究デザインの問題もあってか失敗に終わっている.
※大阪DIC研究会での丸藤先生の講演によると,「AT活性値が40%の患者が一番AT製剤の投与効果がある.一方,30%以下ではcapillary leakもあり投与しても意味がないため,30%以下の患者では投与するなと言っている」とのことである.

■一方,重症敗血症を対象として海外ではATの臨床研究が行われてきたが,その投与量は3000-7500単位/日を4日間投与するというレジメンが多く,本邦の投与量をはるかに上回っている.最大規模の研究は,2314例の重症敗血症患者を対象とした,ATを4日間で総量30000単位投与するレジメンを検討したプラセボ対照二重盲検RCTであるKyberSept trial[10]であり,28日死亡率は両群で有意差がない(38.9% vs 38.7%, p=0.94)という結果であった.このことから,Leviらによる英国のDICガイドライン[11]では,「ATについてはさらなるRCTがでるまで態度を保留する」という立場をとっており,ATの使用を推奨していない.また,Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012においても「重症敗血症に対してATは使用すべきではない」としている.

■ただし,KyberSept trialが対象としているのはDICではなく重症敗血症患者である.また,Surviving Sepsis Campaign Guidelinesが発表される前の研究であり,原疾患治療の程度は現在のものと異なることに注意が必要である.その後,行われたサブグループ解析では,DICと診断できた患者のなかで,ATが投与された群がプラセボ群に比べて死亡率が有意低かった(25.4% vs 40.0%, p=0.02)[12]ことから,敗血症性DICにおいてはATが死亡リスクを低下させる可能性が示唆され,これはその後行われた3報RCT(うち2報はサブ解析)のメタ解析[13]でも示されている(OR 0.649, 95%CI 0.422-0.988).これらの結果を根拠としてAT使用が本邦では推奨され,科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス[14]では推奨度B1,日本版敗血症診療ガイドラインでもGrade 2Cで推奨となった.

■しかし,根拠となる報告は日本よりはるかに高用量のATを使用しており,サブ解析であることも考慮すれば,本邦でのAT 1500単位/日を3日間という使用量は,死亡リスクのアウトカムの観点からは何ら根拠がない.実際に,上述の通り,本邦のレジメンでのRCTではAT群と対照群で死亡率に有意差がついておらず,本記事で紹介した死亡率改善を示したSakamotoらの報告も,保険適応外の高用量レジメンである.よって,文献エビデンスに基づくならば,本邦のAT標準投与量が推奨される根拠はないということになる.保険診療上の適応用量を越えて高用量を投与すべきか,という問題もあるが,極めて高額なコスト(1バイアルあたり10万円弱)がかかることや大規模な前向きRCTがまだ行われていないことを考慮すればまだ推奨はされないものと思われる.よって,現時点ではATを使用する根拠は「ATが低い敗血症性ショック患者において臓器不全が進行し,予後不良に関連する」「高用量ではATが死亡リスクを改善する可能性が示唆されていることから(本邦の標準量である)低用量でも改善しうるかもしれないという推測」のみである.

■なお,日本のガイドラインを含む世界の3つのガイドラインを統一させたDICガイドライン[15]が2013年に発表となったが,このガイドラインではATは「将来的に無作為化比較試験による前向きのエビデンスが必要であるが,アンチトロンビン製剤や遺伝子組み換えトロンボモデュリン製剤の投与は特定のDIC患者において考慮されるかもしれない(Ungraded).」という扱いとなっている.

■AT製剤はAT欠乏症患者でのデータで1単位/kg投与によりAT活性値が1.01±0.30%/U上昇するとされている[16](1500単位投与ならば体重50kg患者では約30%上昇).ただし,敗血症患者では上述の理由によりATは急速に消費されていくことから,このデータは単純にはあてはまらない.敗血症患者での検討では,1単位/kg投与で敗血症で1.81±1.75%/U/kg,重症敗血症で1.36±1.65%/U/kg,敗血症性ショックで0.37±1.21%/U/kg上昇するとされる[17]

■Thrombinに対するATの阻害作用は,ヘパリン存在下で通常の約1000倍以上に促進することが判明している.一方で,ATとヘパラン硫酸の結合部位はヘパリンとの結合部位と同一であるため,ATとヘパリンの併用は抗炎症効果を厳弱させることが判明している[4].この2つの相反する作用がどう影響したかは不明であるが,KyberSept trial[10]のサブ解析では,AT使用中にヘパリンを併用しなかった患者において,AT群の90日死亡率が有意に改善し(44.9% vs 52.5%, p=0.03),ヘパリン併用は出血性リスクをむしろ増加させた(23.8% vs 13.5%, p<0.001).

■近年,本邦でATの分割投与(500単位×3回/日)や持続投与が少数の症例集積ながら相引らによって検討されている.そのひとつが,Shock誌に発表された,8時間毎のAT 500単位の投与は24時間間の一括投与よりATトラフ活性値を有意に上昇させたとする報告[18]である.この報告では,一括投与群の方が出血傾向が有意に高いことも報告されている.一方で,陵城らは,37例のDIC患者の検討で,非感染性DICにおいては分割投与群よりも一括投与群でAT活性値が有意に上昇しており,感染性DICでは両群間に有意差はみられなかったと報告している[19].これらの結果から,相引らは,敗血症性DICに対して,①APTT非延長例では1500単位を3分割し,8時間毎に投与,②APTT延長例では1500単位を3時間で投与した後1500単位を24時間持続投与,というレジメンを提唱している.また,敗血症性DICにおいては20%アルブミン製剤の後,ATを投与するとAT活性値がアルブミン非投与例よりも有意に増加するとされている(capirally leakを考慮したものと思われる).

[1] 齋藤大蔵,岡本好司,真弓俊彦,他: 第二次多施設共同前向き試験結果報告: 治療効果の分析.日救急医会誌 2007; 18: 262-72
[2] Rosenberg RD, Damus PS. The Purification and Mechanism of Action of Human Antithrombin-Heprin Cofactor. J Bio Chem 1973; 248: 6490-505
[3] Stein PE, Carrell RW. What do dysfunctional serpins tell us about molecular mobility and diseases? Nat Struct biol 1995; 2: 96-113
[4] Wiedermann CD. Clinical review. Molecular mechanisms underlying the role of antithrombin in sepsis. Crit Care 2006; 10: 209-17
[5] Inthorn D, Hoffmann JN, Hartl WH, et al. Effect of antithrombin III supplementation on inflammatory response in patients with severe sepsis. Shock 1998; 10: 90-6
[6] Aibiki M, Fukuoka N, Umakoshi K, et al. Serum albumin levels anticipate antithrombin III activities before and after antithrombin III agent in critical patients with disseminated intravascular coagulation. Shock 2007; 27: 139-44
[7] Ilias W, List W, Decruyenaere J, et al. Antithrombin III in patients with severe sepsis : a pharmacolinetic study. Intensive Care Med 2000; 26: 704-15
[8] 丸藤哲,射場敏明,江口豊,他.急性期DIC診断基準.多施設前向き検討結果報告.日救急医会誌 2005; 16: 188-202
[9] 石倉宏恭,上山昌史,江口豊,他.急性期DIC患者におけるアンチトロンビン活性値測定の意義.日救急医会誌 2007; 18: 261-7
[10] Warren BL, Eid A, Singer P, et al; The KyberSept Trial Study Group. High-dose antithrombin in severe sepsis. A randomized controlled trial. J Am Med Assoc 2001; 286: 1869-78
[11] Levi M, Toh CH, Thachil J, et al. Guidelines for the diagnosis and management of disseminated intravascular coagulation. Br J haematol 2009; 145: 24-33
[12] Kienast J, Juers M, Wiedermann CJ, et al; KyberSept investigators. Treatment effects of high-dose antithrombin without concomitant heparin in patients with severe sepsis with or without disseminated intravascular coagulation. J Thromb Haemost. 2006; 4: 90-7
[13] Wiedermann CJ, Kaneider NC. A systematic review of antithrombin concentrate use in patients with disseminated intravascular coagulation of severe sepsis.Blood Coagul Fibrinolysis 2006; 17: 521-6
[14] 日本血栓止血学会学術標準化委員会DIC部会:科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス.日血止会誌 2009; 20: 77-113
[15] Wada H, Thachil J, Di Nisio M, et al; The Scientific Standardization Committee on DIC of the International Society on Thrombosis Haemostasis. Guidance for diagnosis and treatment of DIC from harmonization of the recommendations from three guidelines. J Thromb Haemost 2013 Feb.4
[16] 中川雅夫,辻肇,松村弘人,他.先天性アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)欠乏症に対するATⅢ濃縮製剤(B16.013)輸注時のATⅢ血中動態とその臨床効果に関する検討.診療と新薬 1985; 22: 2139-46
[17] Hayakawa M, Sawamura A, Yanagida Y, et al. The response of antithrombin III activity after supplementation decrease in proportion to the severity of sepsis and liver dysfunction. Shock 2008; 30: 649-52
[18] Aibiki M, Fukuoka N, Nishiyama T, et al. Differences in antithrombin III activities by administration method in critical patients with disseminated intravascular coagulation: a pharmacokinetic study. Shock 2007; 28: 141-7
[19] 陵城成浩,川嶋隆久,石井昇,他.急性期DIC に対するAT-III 製剤投与法の検討.日救急医会誌 2008; 19: 1011-22
[PR]
by DrMagicianEARL | 2013-04-09 17:02 | 敗血症性DIC | Comments(0)
2012年9月2日大幅加筆・修正
Summary
・DIC発症にはトロンビン以外にHMGB-1,ヒストンも大きく関与している.
・HMGB-1は侵襲局所では止血,修復のメディエーターとして作用する.
・全身化したHMGB-1は敗血症における晩期の炎症性サイトカインであり,予後悪化に関与する重要な因子と考えられている.
・敗血症においてHMGB-1はRAGEに結合し,炎症反応増幅や細胞死を誘導し,「死のメディエーター」とも呼ばれる.
・トロンボモデュリンはHMGB-1と結合し,分解する.
・敗血症病態においては,血小板と好中球が複合体を形成し,好中球がNETsを放出し,細菌を捕捉・殺菌する.
・生体内凝固反応は白血球,血小板,血管内皮細胞の3者が相互連関した"cell-based process of hemostasis"として捉えることの重要性が提唱されている.
・histoneはNETsや細胞死により放出されうる.
■重要Key word
・HMGB-1:High-Mobility Group Box 1
・Th:Thrombin(トロンビン)
・RAGE:Receptor for Advanced Glycation Endproducts
・NETs:Neutrophil Extracellular Trapping system,Neutrophil Extracellular Traps

■DIC発症にはTh(Thrombin)が関与していることは疑う余地もないが,ThだけでDICが生じるかについては疑問も持たれていた.実際,以前よりDIC発症にはTh以外のコアファクターの関与が推定されていおり,近年,HMGB-1(high-mobility group box 1)とhistoneが注目されている.すなわち,Th単独ではDICの病態を形成しにくいが,HMGB1やhistoneがThと共存することで著しく凝固活性が高まる.

1.HMGB-1(high-mobility group box 1)
■マウスにエンドトキシンを投与してsepsisモデルを作製すると数日で死に至るが,これはすでに血中IL-1βやTNFαがピークを過ぎた時期であることや,TNFα欠損マウスにおいてもLPS投与後数日して死亡することから,これら炎症性サイトカイン以外のメディエータの存在が考えられた.そこで1973年にWangらはsepsisの後期に働いている致死的メディエータを探索し,HMGB-1を同定し,HMGB-1の敗血症におけるlate mediatorとしての機能,重症度のマーカーや治療標的としての有用性を報告した[1,2]

e0255123_1546137.jpg■HMGB-1(high mobility group box protein1)は全ての有核細胞の核内に存在する分子量30kDの非ヒストン核蛋白質であり,核内においてDNAと結合し,DNAを折り曲げ,NF-κB,ステロイドホルモン受容体など様々な転写因子の活性を間接的に調節している.HMGB1を欠損したマウスはグルココルチコイド受容体機能不全などにより生後まもなく低血糖で死亡する[3].このように,HMGB1は細胞の核内において,必要不可欠な役割を担う.しかし,生体侵襲時,特にSIRS(全身性炎症反応症候群)病態においては,HMGB-1は壊死細胞,あるいは活性化マクロファージからは細胞外に放出されて,周辺細胞のRAGE(receptor for advanced glycation endproducts)やTLR(toll-like receptor)-2,4に作用して炎症を惹起し,炎症性サイトカイン(Alarmins)として働く[2]

■RAGEはmulti-ligand receptorとして多くのリガンドと結合し,RAGEの細胞内ドメインに情報が伝達され,さまざまな細胞内情報伝達経路が活性化される[4].このため,TLRsと同様にPRRs(Pattern Recognized Receptor;パターン認識受容体)であると考えられている.そのリガンドの1つがHMGB-1である.RAGEは肺に高頻度に発現しており,血管内皮細胞,好中球,マクロファージでは比較的発現頻度が少ない.しかし,HMGB-1が増加すると,RAGEの発現も亢進する.これは,RAGEのプロモーター領域にNF-κBやSP-1の結合領域が存在し,リガンドや炎症性サイトカインによってRAGEの発現が促進されるからである.

■このHMGB-1がエンドトキシン血症時の後期メディエータであり,エンドトキシンショックで死亡した患者にはこの物質が血中で増加することから,致死的メディエータであることが報告されており[1],これが死のメディエータと呼ばれる所以である.マウスモデルにおいては,HMGB-1はエンドトキシン血症や敗血症を発症してから8時間で検出され始め,16-32時間でプラトーレベルに達する[5,6].敗血症性ショックにおいて抗HMGB-1抗体が出現した患者の生存率が高いことも報告されている[7].HMGB-1は,単球/マクロファージのみならず,ほとんど全ての細胞で発現している.発現の誘導刺激としても,エンドトキシンだけではなく,IL-1βやTNFαなどもHMGB-1の発現を増加させる.
e0255123_15465628.jpg

■このようにHMGB-1についてはかなり研究が進んできており,実際にHMGB-1とThが同時に血管内に存在すると,実験的にも臨床的にもDICが引き起こされることが示されている[8,9].実際に,敗血症生存例と死亡例の比較では,血中HMGB-1値は死亡例で有意に高値が遷延することが示されており,DICスコアとHMGB-1値の間には有意な相関が認められる[9].これらのことからも,HMGB-1はAlarminsの代表的分子として注目を集めている[10]

■HMGB-1は抗凝固系であるprotein C pathwayを抑制し,単球からのTF産生を刺激することが証明されていることからDICにおいても関与していることが証明されている.HMGB-1は局所で止血,自然免疫,修復のメディエーターとしても働きつつ凝固亢進による血栓で局所封鎖を行い,HMGB-1自らが全身に流出するのを防いでいる.ここに関与しているのがTM(Thrombomodulin)である[11].TMのN末端レクチン様ドメインにHMGB-1は結合し,このHMGB-1はEGF(epidermal growth factor)ドメインに結合したThによって分解される[12,13].このように,TMはThとHMGB-1という侵襲局所で生成される分子の血管内侵入と全身化を防いでいることが判明してきている.

■しかしながら,侵襲が強く,TMのバリアー能を上回るHMGB-1とThが生成されると,これらが循環血中に侵入し,凝固反応と炎症反応が全身化し,SIRSとDICを惹起する[8]

2.histone,NETs
■重症感染症においては,しばしば末梢血中の血小板数は低下を示す.これはDIC併発による血小板の消費が一因と考えられているが,肺や肝臓などに血小板が集積することによる循環血小板数の減少も関与していることが近年明らかになり,敗血症における凝固の役割を理解する上でも重要となってきている.

e0255123_15473717.jpg■敗血症においては,病原体の侵入に対し,まず血小板が炎症増強作用を発揮し[14].血小板自身が細菌処理機能を有することが分かっている[15].血小板上のTLR-4でPAMPs(Pathogen-Associated Molecular Patterns)を認識した血小板は好中球に結合し[16],活性化血小板がP-selectinを放出して,好中球に貪食促進のみならず,核内から放出されるクロマチンやヒストンと細胞質成分を融合(decondensation)させて構成されるNETs(neutrophil extracellular trapping system)[17]と呼ばれる網の放出を促進し,このNETsが細菌をトラップする[18,19].NETs産生の結果,好中球は死に至るが,この細胞死の過程はnecrosisでもapoptosisでもない,NETosisという新たな細胞死の過程として注目されている[20,21]

■2004年にBrinkmannらはNETsについて,"Neutrophil extracellular traps kill bacteria"として最初に報告した[22]
※右写真は2010年9月のNature Medicinの表紙に掲載されたもので,NETsが大腸菌をからめとっている像である.

■血中を流れる細菌の6割は肺や肝臓に集積した血小板好中球複合体によって捕獲される[16,23].NETsは好中球の貪食作用に比べ,より多くの微生物に対し,より長く殺菌作用を発揮できるという利点を有する.

■また,NETsに含まれるhistoneは血小板を凝集させる作用があり,NETsを足場として血小板血栓が形成される[24].さらにはNETsに含まれる好中球エラスターゼやカプテシンGは組織因子経路インヒビター(TFPI;tissue factor pathway inhibitor)を分解することによって血液凝固反応を促進し,さらなる血栓の成長を促す[25].これにより病原微生物の捕捉,血栓での局所封鎖により,病原微生物の全身播種を防ぐ.また,好中球下流に含まれるmyeloperoxidaseや好中球エラスターゼなどの殺菌物質は宿主細胞・組織に対しても有害であり,脱顆粒による細胞外への無秩序な殺菌物質の放出は宿主組織の傷害を惹起し得るが,NETsの場合は殺菌物質がDNAの網目構造に結合しており,宿主組織への傷害が起こりにくくなっている.

■白血球と血小板の活性化においては上記の通り相互作用が存在する.そして同様の相互作用は白血球-血管内皮細胞,血小板-血管内皮細胞の間にも存在する.また,血液凝固反応の亢進はこれらの間に介在する要因として重要であり,これらのことから生体内凝固反応を“cell-based process of hemostasis”として捉えることの重要性が提唱されている[26]

■すなわち,敗血症による微小血栓形成は,細菌播種を防ぐための局所封鎖だけが目的でなく,好中球NETsなどで侵入した細菌を積極的に処理することを目的ともしており[21],また,局所にて高濃度になった炎症性メディエータが全身に播種することも血栓による局所封鎖で防ぎうる.すなわち,凝固は感染に対する生体防御の一環であり,この防御機構が過剰になった病態が敗血症性DICである.

■細菌に関しては,グラム陽性球菌であるS. aureusS. pneumoniaeが,グラム陰性桿菌であるE. coliよりNETs産生誘導能が高いと報告されている[27,28]

■A群溶連菌は一般的には咽頭炎や皮膚感染症の原因となる細菌であるが,時としてM1T1株[29,30]による壊死性筋膜炎やA群溶連菌毒素性ショック症候群といった重篤な感染症(侵襲性A群溶連菌感染症)を惹起する.このM1T1株はDNA分解酵素であるSda1を有し,DNAで構築されているNETsも分解除去できる.M1T1株は通常は蛋白分解酵素SpeBによってSda1を抑制しているが,M1T1株の中に突然変異でSpeBが消失した株が出現し,この変異株はSda1の発現量が格段に上昇し,NETsを効率的に分解・除去することができ,感染組織から全身へと侵襲することができる[31].A群溶連菌以外にも,S. aureusS. pneumoniaeの病原性が細菌のもつDNA分解酵素活性と相関していると報告されている[32,33]

e0255123_1548914.jpg■histoneはヒトを含む真核生物のクロマチン(染色体)を構成する蛋白質の一群であり,DNAに結合する蛋白質の大部分を占める.このhistoneが細胞外に放出された場合,さまざまな生体反応を引き起こすことが近年判明しつつある.histoneはNETsの構成成分でもあり,殺菌物質の1つとして生体防御に寄与している.その一方で,敗血症における主要な増悪因子であることが近年報告された[34].この報告によると,
①histone H3, H4が内皮細胞に対して細胞毒性をもつこと
②マウスにhistoneを経静脈投与すると肺への好中球集積,細胞内出血,血栓形成が起こり,致死すること
③histone H4に対する抗体を投与することによって敗血症モデルマウスの予後が改善すること
④APC(Active protein C)はhistone H3, H4を分解することができ,APCの共投与によってhistoneによる細胞毒性や生体に対する致死性を軽減・消失することができた
と報告されている.敗血症の際,血流中に増加するhistoneは,傷害組織中のネクローシスした細胞・処理しきれなかったアポトーシス細胞のほかに,好中球により産生されたNETsより放出されると推測されるが,その寄与度は分かっていない.

■このように,HMGB1やhistoneは生体防御に貢献する一方で,その細胞傷害性のため,組織損傷を悪化させる原因となり得る二面性をもった蛋白質である.よって,感染が生じた局所のみにおいてこれらのメディエータが作用するのが理想であり,そのためにも血栓による局所封鎖でこれらのメディエータが全身に播種しない機構が働いているといえる.

[1] Wang H, et al. HMG-1 as a late mediator of endotoxin lethality in mice. Science 1999; 285: 248-51
[2] Wang H, et al. Extracellular role of HMGB1 in inflammation and sepsis. J Intern Med 2004; 255: 320-31
[3] Calogero S, et al. The lack of chromosomal protein HMG1 does not disrupt cell growth but causes lethal hypoglycaemia in new born mice. Nat Genet 1999; 22: 276-80
[4] Ramasamy R, Yan SF, Schmidt AM. Advanced glycation endproducts: from precursors to RAGE: round and round we go. Amino Acids. 2012; 42: 1151-61
[5] Wang H, Bloom O, Zhang M, et al. HMG-1 as a late mediator of endotoxin lethality in mice. Science 1999; 285: 248–51
[6] Yang H, Ochani M, Li J, et al. Reversing established sepsis with antagonists of endogenous high-mobility group box 1. Proc Natl Acad Sci USA 2004; 101: 296–301
[7] Barnay-Verdier S, et al. Emergence of autoantibodies to HMGB1 is associated with survival in patients with septic shock. Intensive Care Med 2011; 37: 957-62
[8] Ito T, et al. High-mobility group box 1 protein promotes development of microvascular thrombosis in rats. J Thromb Haemost 2007; 5: 109-16
[9] Hatada T, et al. Plasma concentrations and importance of High Mobility Group Box protein in the prognosis of organ failure in patients with disseminated intravascular coagulation. Thromb Haemost 2005; 94: 975-9
[10] Kono H, et al. How dying cells alert the immune system to danger. Nat Rev Immunol 2008; 8: 279-89
[11] Abeyama K, et al. The N-terminal domain of thrombomodulin sequesters high-mobility group-B1 protein, a novel antiinflammatory mechanism. J Clin Invest 2005; 115: 1267-74
[12] Ito T, et al. Proteolytic cleavage of high mobility group box 1 protein by thrombin-thrombomodulin complexes. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2008; 28: 1825-30
[13] Esmon C. Do-all receptor takes on coagulation, inflammation. Nat Med 2005; 11: 475-8
[14] von Hundelshausen P, Weber C. Platelets as immune cells: bridging inflammation and cardiovascular disease. Circ Res 2007; 100: 27-40
[15] Leslie M. Cell biology. Beyond clotting: the powers of platelets. Science 2010; 328: 562-4
[16] Clark SR, et al. Platelet TLR4 activates neutrophil extracellular traps to ensnare bacteria in septic blood. Nat Med 2007; 13: 463-9
[17] Remijsen Q, et al. Dying for a cause : NETosis mechanisms behind an antimicrobial cell death modality. Cell Death Differ 2011; 18: 581-8
[18] Massberg S, et al. Reciprocal coupling of coagulation and innate immunity via neutrophil serine proteases. Nat Med 2010; 16: 887-96
[19] Neeli I, et al. Histone deimination as a response to inflammatory stimuli in neutrophils. J Immunol 2008; 180: 1895-902
[20] Steinberg BE, Grinstein S. Unconventional roles of the NADPH oxidase : signaling, ion homeostasis, and cell deth. Sci STKE 2007; 379: 11
[21] Fuchs TA, et al. Novel cell death program leads to neutrophil extracellular traps. J Cell Biol 2007; 176: 231-41
[22] Brinkmann V, et al. Neutrophil extracellular traps kill bacterial. Science 2004; 303: 1532-5
[23] Ma AC, et al. Platelets, neutrophils, and neutrophil extracellular traps (NETs) in sepsis. J Thromb Haemost 2008; 6: 415-20
[24] Fuchs TA, et al. Extracellular DNA traps promote thrombosis. Proc Natl Acad Sci USA 2010; 107: 15880-5
[25] Massberg S, et al. Reciprocal coupling of coaglation and innate immunity via neutrophil serine proteases. Nat Med 2010; 16: 887-96
[26] 北島勲.凝固・線溶と臨床検査.日血栓止血会誌 2008; 19: 462-6
[27] Van Ziffle JA, Lowell CA. Neutrophil-specific delection of Syk kinase results in reduced host defense to bacterial infection. Blood 2009; 114: 4871-82
[28] Yamada M, et al. Interferon-gamma Production by Neutrophils during Bacterial Pneumonia in Mice. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183: 1391-401
[29] Wang Y, et al. Human PAD4 regulates histone arginine methylation levels via demethylimination. Science 2004; 306: 279-83
[30] Walker MJ, et al. Is plasminogen deployed as a Streptococcus pyogenes virulence factor? Trends Microbiol 2005; 13: 308-13
[31] Walker MJ, et al. DNase Sdal provides selection pressure for a switch to invasive group A streptococcal infection. Nat Med 2007; 13: 981-5
[32] Berends ET, et al. Nuclease expression by Staphylococcus aureus facilitates escape from neutrophil extracellular traps. J Immune 2010; 2: 576-86
[33] Beiter K, et al. An endonuclease allows Streptococcus pneumoniae to escape from neutrophil extracellular traps. Curr Biol 2006; 16: 401-7
[34] Xu J, et al. Extracellular histones are major mediators of death in sepsis. Nat Med 2009; 15: 1318-21
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-09-02 15:55 | 敗血症性DIC | Comments(0)
2012/8/30大幅改訂
Summary
・生体侵襲では組織因子(TF)による凝固活性化をtriggerとし,カスケード反応が進行していく.
・敗血症におけるDICでは,炎症性サイトカイン(Alarmins)やエンドトキシン(LPS)などのPAMPsが要因となり,組織因子が放出される.
・凝固カスケードの最終産物としてトロンビン(Th)が産生され,血栓形成を促進する.
・トロンビンは複数の経路によるpositive feedbackによりさらに産生量が増幅される.
・トロンボモデュリン(TM)はトロンビンと結合することにより血管内皮細胞の保護作用を発揮する.
・凝固と炎症はプロテアーゼ活性化受容体(PAR)を介してCross-talk(相互連関)しており,このPARの選択的リガンドとしてトロンビンは極めて重要な活性化プロテアーゼであり,凝固のみならず炎症反応も促進する.
■重要Key Wards
TF:Tissue factor,組織因子
Th:Thrombin,トロンビン
MP:microparticle,マイクロパーティクル
PS:P-selectin,セレクチン(接着因子)
VEC:Vessel Endothelial Cell,血管内皮細胞
Fbg:fibrinogen,フィブリノゲン
TM:Thrombomoduline,トロンボモデュリン
PAR:protease activated receptor,プロテアーゼ活性化受容体

■止血系はカスケード型の反応である[1].すなわち,活性型凝固因子が,基質である1つ下流の非活性型凝固因子を活性化する,という基本モジュールの重層によって成立している.そして特にビタミンK依存性凝固因子が活性化された血小板膜のホスファチジルセリン上にミセルを形成して立体配置され,反応は爆発的に増幅される.
e0255123_17133251.jpg

1.凝固因子(Tissue Factor;TF)
■凝固活性化はTF(tissue factor;組織因子)依存性に始まる.TFは血液に接する細胞(白血球,血小板,血管内皮細胞)には通常発現しておらず,血管外膜の線維芽細胞,中膜の平滑筋細胞に恒常的に発現している.また,TFはこれら以外の種々の細胞にも発現しており,凝固反応の開始に加え,血管新生や癌の進行・転移などにも重要な役割を果たしている.

■血中には凝固活性を有する微量のTF(blood-borne TF)が循環しており,この血中TFによる凝固系の活性化と増幅機序が注目されている[2].血中TFは,単球などから放出されるMP(microparticle)に結合しており,TF含有MPに存在するPS(P-selectin)のリガンド(P-selectin glycoprotein ligand-1;PSGL-1)などの接着因子を介して血管傷害部位に集積する[3].MP結合型TFの由来には,活性化単球やVEC(Vessel Endothelial Cell;血管内皮細胞)の膜断片,血小板や好酸球からの放出顆粒などが示唆されている.

■MPは0.1-1μmの膜断片で,活性化やアポトーシスなどを起こしたVEC,単球,血小板の細胞膜から生じる[4].MPの特徴は元の細胞がもつ膜蛋白質を保有している点である.血小板由来のMPはglycoproteinⅠbを膜上に提示している.エンドトキシンなどで刺激を受けた単球から生成するMPは膜上にTFを有する.MPのもうひとつの特徴は,凝固促進能をもつホスファチジルセリンがリン脂質二重層の外側に露出している点である.これは,MPが細胞の活性化やアポトーシスにより生じることからも支持される.TF含有MPの潜在的な凝固能の特性から,血栓性疾患の発症においてMPが果たす役割が注目されている.MPについては2011年にArterioscler Thromb Vasc Biol誌に5つの総説を特集している[5]

■正常時の血中TFは微量であり,生理的止血血栓形成への関与は明らかでない一方,種々の病態で血中TFは増加する.endotoxin血症で増加する血中TFは,単球や内皮細胞を含む種々の細胞から由来する.炎症局所に浸潤した好中球はTFを発現し,細胞死によりMP含有TFを放出するため,炎症初期の血中TFは好中球由来と考えられている.こうした病態時に増加する血中TFは,病的血栓の原因になるのか,病変の結果であるのか臨床的評価は定まっていない.

■敗血症などの感染症に合併したDICの発症にはサイトカインが大きな役割を果たす.単球はendotoxin(リポポリサッカライド;LPS),炎症性サイトカイン(TNFα,IL-1β),免疫複合体,P-selectin,血小板で活性化され,TFを発現する[6].VECはLPSやある種の炎症性サイトカインによりTFを発現する.TF遺伝子のプロモーター領域には転写因子であるNF-κBやAP-1が結合する塩基配列があり,これらの配列がTF mRNAの転写誘導に重要な役割を果たしている.このRNA遊離により血液凝固内因系が活性化される[7]

■凝固カスケードのtriggerは,VECが傷害され,剥離脱落して,血管壁のTFが血流にむき出しになることで生じ,これにF.VIIaが結合して外因系凝固が活性化される.この血管損傷部位ではコラーゲン線維もむき出しになり,これを血小板板上のGPVIが認識して,あるいはコラーゲン上に結合したvWF(von Willebrand Factor)を血小板上のGP1b/IX/Vが認識して,血小板は血管損傷部位に粘着し,次いで活性化・凝集が生じる.また,宿主細胞が障害されて細胞内からRNAが遊離してくると,血液凝固内因系が活性化される.

2.トロンビン(Thrombin;Th)
■凝固カスケードが進むと,最終的に大量のXa因子が産生され,Va因子を補酵素としてprothrombinに作用し,凝固カスケードの最終産物として凝固因子ⅡaであるTh(Thrombin)が産生される.Thは血栓形成に極めて重要なセリンプロテアーゼである.ThはFbg(fibrinogen)を切断してフィブリン網を形成する.さらにThは第XIII因子を活性化させる.第XIIIa因子はCa2+の存在下でフィブリン網から不溶性フィブリン架橋構造を形成して安定化フィブリンが完成する.さらにThは血小板活性化因子(PAF;platelet activated factor)の放出を促進して血小板を強力に活性化し,血小板はADP放出を行い,血小板インテグリンの活性化が起こり,血小板凝集を引き起こし,この血小板を安定化フィブリンが巻き込んで血栓を形成する.

■またThは,凝固カスケードの上流に位置する凝固第V,VIII因子の活性化を促進することで,Th自らの産生速度を10万~30万倍に亢進させるブースター効果を発揮する(凝固増幅反応)[8].同時に,Thによって活性化された血小板もMP(microparticle)を放出することで,凝固反応の場となるリン脂質を広範囲に供給し,Xa-Va-Ca2+-リン脂質からなる複合体であるprothrombinaseを形成し,Thの産生が亢進する.

■このようにThは極めて多彩な機能,それも凝固の進展や血小板の活性化といった血栓形成につながる機能をもつ.こういった機能をもつThの形成は十分に制御される必要がある.血管損傷の局所にThの形成を限定するため,血管の内側を覆うVECは,VIIとTFの結合を遮断するバリアとして働き,損傷部位以外での凝固の開始を阻止している.

■このようなThの過剰状態を制御する上で,血管内皮細胞上に発現しているTM(Thrombomodulin)が重要となる.TMはThと結合し,Th-TM複合体を形成してprotein CをAPC(activated protein C)に変換し,APCはPS(protein S)を補酵素としてVa,VIIIa因子を分解し,凝固反応を制御する.しかしながら,TMが遊離し,TM発現量が低下するとThを制御できなくなってしまう.

■一方,Thにはこれらの凝固系の活性化からまったく独立して血小板や白血球,あるいはVECや平滑筋などの細胞に対して直接的に作用し,様々な生理活性を惹起することが知られており,これら組織にはThに対する特異的レセプターの存在が推察されていた.1991年にCoughlinら[9]によりThに対する受容体のcDNAがクローニングされ,この受容体がTh以外にも種々の活性化プロテアーゼとも反応することが判明し,PAR(protease activated receptor;プロテアーゼ活性化受容体)と名づけられた.最初に発見されたレセプターはPAR-1と呼ばれ,その後1994年にPAR-2[10],1997年にPAR-3[11],1998年にPAR-4[12,13]が発見され,現在までに4つのPARファミリーメンバーがクローニングされている.ヒトにおいてこれらの4つのPARのアミノ酸配列は約30%の類似性を有していることも判明している.
e0255123_16251039.jpg

■通常のリガンド-受容体反応は,可溶性のリガンドが受容体に結合することで活性化シグナルが発動し,細胞内にsignal transductionが生じる.これに対して,PARのsignal transductionはユニークである.まず,Thなどの活性化プロテアーゼがPARの細胞外N末端ペプチド鎖に存在するビルジン様結合部位を限定分解する.これに伴い新たに露出したアミノ酸N末端ペプチド鎖がいわゆるtethered ligandとなり,この新たなリガンドがPAR自身の細胞外第2グループに結合することで,細胞内へのsignal transductionが成立する.細胞内シグナルはG蛋白を介して,最終的にphospholipase CやNF-κBなどの経路により伝達される.

■凝固反応と炎症反応はThをはじめとした凝固因子とPARによってうまくバランスをとり,生体の恒常性を維持している.PAR活性化に伴って生じる血小板,免疫細胞,VECなどの炎症反応と密接に関係している細胞や組織の生理作用としては,①形態変化,②炎症性サイトカインやケモカインの放出,③接着分子の発現,④細胞内物質の放出,⑤脱顆粒,⑥凝固・線溶因子の発現,⑦透過性亢進など炎症,免疫,疼痛,浮腫,組織修復など多岐にわたる[14].以上より凝固と炎症はPARを介してCross-talk(相互連関)しており,このPARの選択的リガンドとしてThは極めて重要な活性化プロテアーゼであり,凝固のみならず炎症反応も促進する.

[1] Mann KG, et al. Models of blood coagulation. Blood Cells Mol Dis 2006; 36: 108-17
[2] Giesen PL, et al. Blood-borne tissue factor : another view if thrombosis. Proc Natl Acad Sci U S A 1999; 96: 2311-5
[3] Furie B, et al. Role of platelet P-selectin and microparticle PSGL-1 in thrombus formation. Trends Mol Med 2004; 10: 171-8
[4] George FD. Microparticles in vascular diseases. Thromb Res 2008; 122 :S55-9
[5] Boulanger CM, Dignat-George F. Microparticles: an introduction. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2011; 31: 2-3
[6] Takeya, et al. Lipid mediators and tissue factor expression. In : Recent Advances in Thrombosis and Hemostasis, ed by Tanaka K, et al. Springer, New York 2008; 133-46
[7] Kannemeiser C, et al. Extracellular RNA constitutes a natural procoagulant cofactor in blood coagulation. Proc Natl Acad Sci U S A 2007; 104: 6388-93
[8] Furie B, Furie BC. Mechanisms of thrombus formation. N Engl J Med 2008; 359: 938-49
[9] Vu TK, Hung DT, Wheaton VI, et al. Molecular cloning of a functional thrombin receptor reveals a novel proteolytic mechanism of receptor activation. Cell 1991; 64: 1057-68
[10] Nystedt S, Emilsson K, Wahlestedt C, et al. Molecular cloning of a potential proteinase activated receptor. Proc Natl Acad Sic U S A 1994; 91: 9121-208
[11] Ishihara H, Connolly AJ, Zeng D, et al. Protease-activated receptor 3 is a second thrombin receptor in humans. Nature 1997; 386: 502-6
[12] Kahn ML, Zheng YW, Huang W, et al. A dual thrombin receptor system for platelet activation. Nature 1998; 394: 690-4
[13] Xu WF, Andersen H, Whitmore TE, et al. Cloning and characterization of human protease-activated receptor 4. Proc Natl Acad Sci U S A 1998; 95: 6642-6
[14] Ossovskaya VS, Bunnett NW. Protease-activated receptors : contribution to physiology and disease. Physiol Rev 2004; 84: 579-621
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-08-31 19:16 | 敗血症性DIC | Comments(0)
※2012年7月10日に投稿,8月3日 大幅加筆
Summary
・HITはDICに非常に類似した動静血栓症病態をとり,FDP,D-dimer,TATも上昇する.
・HIT発症はヘパリン使用から5-14日目に生じる.
・ヘパリン使用から100日間はヘパリン投与によるHITのリスクがある.
・治療用ヘパリンのみならず,ヘパリンフラッシュ(ヘパロック含む),カテーテルや回路などのヘパリンコーティングでもHITをきたしうる.
・検査所見,臨床経過に加え,4Tsを参考にHITを疑い,早期に治療を開始する.
・HIT抗体を計測し,確定診断を行う.
・治療の第一選択はヘパリン中止とアルガトロバン投与であり,APTTを指標として用い,基準値の1.5-3.0倍になるように調節する.
1.HITの病態
■播種性血管内凝固(DIC:disseminated intravascular coagulation)と鑑別が非常に紛らわしいものにヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin induced thrombocytopenia)がある.

■HIT は1960 年代から報告されている[1].HIT の発症メカニズムに関しては当初より免疫的機序が推察されていたが1992 年Meyer らがヘパリンと血小板第4 因子(Platelet Factor 4)の複合体に対する抗体(HIT 抗体)が本症の発症の中心的な役割を果たすことを報告してから[2]飛躍的に研究が進み,現在は非免疫的機序によるⅠ型と,HIT 抗体が出現し免疫的機序で発症するⅡ型に分類されている[3].このうち重症化し臨床的に問題となるのはⅡ型である.以下ではⅡ型HITをHITとして記載する.

■HITは本来血液凝固反応を阻止するヘパリンの投与がきっかけで発症する血栓性の血小板減少症であり,30-50%に動静脈血栓症を合併する,ヘパリンの出血に次ぐ重大な副作用であり,血栓症による死亡率は5%程度に及ぶとされている[5].臨床的にはヘパリン開始後約5-14日で,DICなど明確に説明できる状況がないにもかかわらず血小板減少が進行する,原因不明の血小板減少症として認識されることが多い.血小板数はヘパリン使用前の50%以下,または10万/μL以下に減少する.また,100日以内にヘパリンの投与歴があれば,急速発症,早期発症の様式を示す場合がある.HITの約50%に血栓塞栓症が発症し,動静脈血栓症(静脈の方が多い)や透析では回路内凝血が生じる.ときに突然発症タイプもあり,血小板減少以外に以下の急性全身反応が発症する場合がある.
 ・炎症反応:悪寒,発熱,発疹
 ・心肺症状:頻脈,高血圧(or低血圧),頻呼吸,呼吸困難,胸痛,心肺停止
 ・偽性肺梗塞:重篤な呼吸困難,肺不全,呼吸停止
 ・消化器症状:悪心,嘔吐,下痢
 ・神経症状:拍動性疼痛,一過性健忘
これらの症状はヘパリンの中止により急速に改善する.HITでは通常は血小板減少から始まるが,血小板減少前に血栓症が先行するケースもある.治療目的でのヘパリンのみならず,カテーテルルート開存性維持目的でのヘパリンフラッシュによってもHITが生じることがあるため,医師が,ヘパリン投与に気が付いていないこともあり注意が必要である.

■本邦ではHIT診断のためのHIT抗体が保険承認されておらず,結果としてHITの理解が進まない現状がある[4].このため本邦におけるHITの発生頻度調査は少なく,患者の病態によってHITの発症リスクが異なるため,病態別のHITの発症リスク管理が必要である.したがって,HIT発症の高リスク患者に対しては,血小板数の測定を隔日に実施するなどの対応が必要となる.
(1) 高リスク(発生頻度1%以上)
 ヘパリン投与を受けた心血管術後患者と整形外科術後患者.
(2) 中リスク(発生頻度1-0.1%)
 ヘパリンフラッシュを受けている術後患者,ヘパリン治療を受けている入院患者,透析導入期患者,低分子ヘパリンを投与されている術後患者.
(3) 低リスク(発生頻度0.1%)
 低分子ヘパリン(ダルテパリン;フラグミン®など)やヘパリンフラッシュのみの入院

■HIT発生が予測される病態と血小板測定推奨回数は以下の通り.
(1) ヘパリンによる血栓症の治療が行われている場合
 5-14日間(またはヘパリン中止まで)は隔日または2-3日間隔で実施
(2) 過去100日以内にヘパリン投与の既往歴がある場合
 ヘパリン投与前と投与後24時間以内は反復測定
(3) ヘパリン単回投与による急性全身反応(アナフィラキシー様反応)が発症した場合
 即刻血小板数を測定し,最近の血小板数と比較する
(4) フォンダパリヌクス(アリクストラ®)使用の場合
 通常は不要
(5) 透析導入時のヘパリン使用の場合
 ヘパリン透析では10-15回透析まで透析ごとに実施する

■HIT発症のメカニズムは,血小板が何らかの要因で継続的に活性化される病態ではα顆粒より血小板第4因子(Platelet factor 4:PF4)が血小板膜上や血中に放出される.PF4は陽性荷電をもち,投与されたヘパリンや内皮のヘパラン硫酸と結合し,PF4-ヘパリン複合体を形成する.これが抗原として認識され,PF4-ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)が産生され,PF4-ヘパリン複合体と免疫複合体を形成し,HIT抗体のFc部位が血小板膜上のFcγⅡa受容体と結合して血小板を活性化させ[6],血小板減少を引き起こす.ヘパリンとPF4が適度な濃度で存在しないとPF4の構造変化が起こらないことが指摘され,それがHIT抗体産生のリスク因子を規定している可能性が高いと報告されている[7]

■また,活性化された血小板より,凝固促進作用の強いマイクロパーティクルが放出され,Thrombinの産生により血液凝固が活性化され,凝固促進状態となる.血管内皮細胞や,単球に存在するヘパラン硫酸とPF4の複合体にもHIT抗体は結合し,その表面にTF(組織因子:Tissue factor)を発現させ,TFを介した血液凝固が活性化され,血栓症が生じる.このため,HITではDIC様の凝固亢進状態となり(TAT,FDPは上昇する),その後,動静脈血栓症が続発する.

■実際,血小板減少に伴い,ある程度のD-ダイマー産生が多くの症例で観察される.さらにHITを多く発症することが知られている血液透析の場合は,透析カラムの詰まりなどで血栓の存在を確認でき,メシル酸ナファモスタット(フサン®)に変更すると透析続行が可能な症例があることも知られている.このように免疫学的機序を介するため,発症まで5-14日を要する.

■HITはその病態メカニズムから一種の自己免疫疾患とも考えられるが,ヘパリン投与後5日目からとかなり早い段階から発症する.また,HIT抗体のなかのIgMやIgAではなく,IgGのみが血小板,単球,血管内皮細胞の活性化能をもち,病因となることが指摘されている[8].実際,外傷や整形外科術後で深部静脈血栓症のためにヘパリン投与を受けた患者で,HIT抗体を術後毎日測定した結果では,通常の免疫反応の場合,IgMの上昇から遅れてIgGの上昇がみられるが,HIT抗体の場合はIgM,IgA,IgGがほぼ同時にヘパリン投与開始後5日目から上昇してくることが報告され,HITの場合は通常の免疫反応と異なることが指摘されている[9].その理由として,PF4が陰性荷電を呈する微生物に対する防御システムのmisdirctionである可能性が指摘されている[10].したがって,ヘパリン投与によるHIT抗体の産生はたとてヘパリンの初回投与であっても二次応答として起こるため,IgM,IgA,IgGがほぼ同時に早期から産生されるものと理解できる.このように,HITの病因となるHIT抗体の産生は通常の抗原抗体反応とは異なる免疫学的システムと関連している可能性が示唆されている.

2.HITの診断
■HITの臨床診断として,Warkentinが提唱する,4項目のスコア化で行う方法(4T's scoreing)がよく用いられる[11,12]
(1) Thrombocytopenia(血小板減少)
 2点:50%以上の減少,または最低値2-10万/μL
 1点:30-50%の減少,または最低値1-1.9万/μL
 0点:30%未満の減少,または最低値1万/μL
(2) Timing(ヘパリン使用開始後,血小板減少の出現まで)
 2点:5-14日,またはヘパリン使用歴(30日以内)があり1日以内に血小板減少
 1点:14日以後あるいは時期不明,またはヘパリン使用歴(31-100日)があり1日以内に血小板減少
 0点:ヘパリン投与歴がなく4日以内の血小板減少
(3) Thrombosis(血栓,HITの皮膚症状)
 2点:血栓の新生,皮膚壊死,静注後の急性全身反応
 1点:血栓の進行か再発,紅斑様の皮膚症状,血栓の疑いが濃厚
 0点:なし
(4) oTher(血小板減少の他の原因)
 2点:他の原因なし
 1点:他の原因の可能性あり
 0点:他の原因あり
スコアの合計が6-8点ならHITの可能性が高い.4-5点ならHITの可能性は中等度.3点以下はHITの可能性が低い.ただし,本法は万能ではなく,救急領域など血小板減少が元来存在する領域で4Tsの利用しにくい症例があることも知られている[4,11,13].よって,overdiagnosisに注意しながら4Tsを用いるべきである.

■集中治療領域ではHITと鑑別が困難な疾患は多数存在し,ときには複数が重複していることもある.鑑別を要するものとして,敗血症,DIC,抗リン脂質抗体症候群(APL),血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),溶血性尿毒症症候群(HUS),薬剤性血小板減少症などがある.

■HITの診断においては,血小板減少や血栓形成などの病像に加え,血小板を活性化するHIT抗体が検出できることが臨床検査医学的に重要(なぜか保険承認がない)である[4,11].しかし,血小板を活性化するHIT抗体をその血小板活性化能としてとらえる感度のよい方法がないため,感度はよいが特異度の低いenzyme immunoassay(EIA)法を代用することが多いため,結果の解釈などで問題点が生じる.すなわち,臨床的にHITでない症例における偽陽性の問題がある.以下に各種HIT検査法を示す[13]

(1) IgG/IgA/IgM型抗体検出EIA:感度>95%,特異度74-77%
(2) IgG型抗体検出EIA:感度98-100%,特異度89-90%
(3) セロトニン遊離試験:感度>95%,特異度>95%
(4) HIT抗体による血小板活性化試験:感度80%,特異度>90%

■HITの第一人者であるWarkentinが最良とするセロトニン遊離試験はHIT抗体の血小板活性化能を放射性同位元素標識セロトニンで検出する方法で,感度,特異度とも非常に優れているが,欧米の一部の施設でしか行われず,本邦では施行できない.本邦で実際に主に行われている検査はIgG/IgA/IgM型抗体検出EIAであり,本邦で一部の施設でしか実施できないIgG型抗体検出EIAに比して特異性が劣る.よって,カットオフ値付近の検査結果は参考程度とし,他の血小板減少要因を除外診断しながらヘパリン中止で臨床症状が改善するかなどを慎重に見極め,治療を進めることが重要である.カットオフ値を大きく上回っていればHIT診断特異度が上がることが知られている[4,11].したがって,検査結果報告を受ける際は陽性・陰性のみならず,どの程度カットオフ値を上回るor下回るかを確認すべきである.

3.ヘパリン投与とHIT
■未分画ヘパリンはHITを最も発症しやすい.ダルテパリン(フラグミン®)などの低分子ヘパリンでも発症することが知られ,最近ではペンタサッカライドであるフォンダパリヌクス(アリクストラ®)でもHIT発症の報告がある.しかし,一方でフォンダパリヌクスをHIT治療薬として利用した際に有用であるとの報告もあり[11,12],フォンダパリヌクスに関する理解はいまだ明確な結論を得るに至っていない.

■HIT抗体は一過性にのみ存在し,ヘパリン投与中止後,HIT抗体は平均100日程度で陰性化することが明らかになっている[14].これは,ヘパリン投与が中止されるとPF4の構造変化が起こらなくなり,抗原が体内に存在しなくなるため,急速に抗体価が低下するものと推測されている.このことから,逆にHIT抗体が存在している時期であるヘパリン最終投与後1ヶ月間は血栓塞栓症発症のハイリスク期間となる.また,ヘパリン中止後,しばらくしてから(数日後に)発症する,あるいは数週間症状が遷延する遅延発症型が存在する[15].これらの症例の場合,HIT抗体の活性化能が非常に強く,症状が重篤化することも少なくなく,これらの症例のHIT抗体はしばしばex vivoアッセイでヘパリン非存在下でも血小板を活性化させうる.直近(少なくとも100日以内)のヘパリン投与によりHIT抗体を保持している患者に,ヘパリン再投与を行った場合,1日以内に急激に発症する急速発症型が存在する[14].HIT抗体存在時にヘパリン大量静注を行うと,5-30分後に発熱,悪寒,呼吸困難,胸痛,頻脈,悪心,嘔吐などを伴う強い全身症状と急激な血小板減少が起こることがある[10]

4.HITの治療
■HITの治療は当然ながらヘパリン中止が第一原則である.治療薬としてのヘパリンだけではなく,圧ライン確保などのためのヘパリン生食や,ヘパリンコーティング回路についても中止する必要がある.

■ヘパリン中止だけでは1日あたり約6%の患者が血栓塞栓症を発症すること,また代替の抗凝固療法を実施すれば血栓塞栓症の発症が劇的に減少することが報告されており[16],ヘパリンに代わる抗凝固剤投与が必要と言われている[17,18].また,HIT抗体検査は結果が返ってくるまでに日数を要するため,臨床的にHITを強く疑った場合は,HIT抗体検査結果を待たずに抗トロンビン薬を開始すべきとする報告もある[19]

■本邦ではHIT治療薬として抗トロンビン薬のアルガトロバン(ノバスタンHI®,スロンノンHI®)が保険で認められており,海外のコホート研究でその安全性と有効性が報告されている[20,21].HITに対するアルガトロバン投与量の調節にはAPTTを指標として用い,基準値の1.5-3.0倍で調節するようFDAでは推奨している.

■本邦では,心臓手術,血液浄化,PCPS維持の際にACT(Activated Coagulant Time)を指標としてアルガトロバンを安全に投与できたとする報告が多数ある[22-25]

■本邦ではHITに対してヘパラン硫酸であるダナパロイドナトリウム(オルガラン®)は承認されていないものの,海外では承認されている.HITに対する投与量については本邦では確立されていない.また,ダナパロイドの本邦での添付文書では,HITの既往歴のある患者で,ヘパリン抗体と本剤との交差反応性のある患者に対しては原則禁忌とされている.

■急性期HITに対してワーファリン単独投与を行った場合,凝固因子の低下より先に抗凝固因子(Protein C)の低下をきたすことで,逆に一時的に血栓経口に傾く可能性があり,急性期HIT患者に四肢壊疽を起こすリスクがあるため[26],ワーファリン単独療法は行わない.血小板数が回復した時点で,抗トロンビン薬と併用する形で投与を開始し,臨床症状が落ち着いた時点でワーファリン単独治療への切り替えを行う.

■DICの治療としてヘパリンが投与されることもあり,逆に10-20%のHIT患者がovert-DICに移行するとされており,その鑑別は容易ではない.しかし,HITの臨床的特徴(発症時期や,血小板数が2万/μL以下になることが少ない,出血傾向を示すことは稀など)を適確に把握し,そのうえで臨床的にHITが疑われる場合には,すべてのヘパリンを直ちに中止するとともに治療を開始し,HIT抗体の測定を行う必要がある.

■最近,HIT-associated consumptive coagulopathyでAPTTの延長が認められる症例で,HIT治療に対する懸念が生じている.HIT治療薬である抗トロンビン薬はその投与量をAPTTでモニターするが,HIT-associated consumptive coagulopathy患者においては特に強力な治療が必要である.しかし,APTTが過度に延長することでの出血の懸念により,抗トロンビン薬の投与量を減量してしまうことが発生する.この場合,HITの治療としてはunderdosingとなるため,HIT病態の悪化を招く可能性があると指摘されている[27]

[1] atelson EA, Lynch EC, Alfrey CP Jr, et al. Heparin induced thrombocytopenia. An unexpected response to treatment of consumption coagulopathy. Ann Intern Med 1969; 71: 1121-5
[2] Amiral J, Bridey F, Dreyfus M, et al. Platelet factor 4 complexed to heparin is the target for antibodies generated in heparin-induced thrombocytopenia. Thromb Haemost 1992; 68: 95-6
[3] Chong BH, Berndt MC. Heparin-induced thrombocytopenia. Blut 1989; 58: 53-7
[4] 松尾武文.ヘパリン起因性血小板減少症の診断における酵素免疫吸着法によるPF4/ヘパリン複合体抗体検査の意義と展望.日血栓止血学会誌 2011; 22: 275-80
[5] Warkentin TE, et al. Treatment and prevention of heparin-induced thrombocytopenia: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines(8th ed.). Chest 2008; 133: 340S-80S
[6] Reilly MP, et al. Heparin-induced thrombocytopenia/thrombosis in a transgenic mouse model requires human platelet factor 4 and platelet activation through FcγRIIA. Blood 2001; 98: 2442-7
[7] Warkentin TE, et al. Anti-PF4/heparin antibody formation postorthopedic surgery thromboprophylaxis: the role of non-drug risk factors and evience for a stoichiometry-based model of immunization. J Thromb Haemost 2010; 8: 504-12
[8] Warkentin TE, et al. Studies of the immune response in heparin-induced thombocytopenia. Blood 2009; 113: 4963-9
[9] Greinacher A, et al. The temporal profile od the anti-PF4/heparin immune respons. Blood 2009; 113: 4970-6
[10] krauel K, et al. Platelet factor 4 binds to bacteria-inducing antibodies cross-reacting with the major antigen in heparin-induced thrombocytopenia. Blood 2011; 113: 1370-8
[11] Warkentin TE. How I diagnose and manage HIT. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2011; 2011: 143-9
[12] Takemoto CM, et al. Heparin-induced thrombocytopenia screening and management in pediatric patients. Hematology Am Soc Hematok Educ Program 2011; 2011: 162-9
[13] Yoshika M et al. A difficult diagnosis case of prolonged thrombocytopenia with sepsis disseminated intravascular coagulation. Clin Appl Thromb Hematol 2011; 17: 410-3
[14] Warkentin TE, Kelton JG. Temporal aspects of heparin-induced thrombocytopenia. N Engl J Med 2001; 344: 1286-92
[15] Warkentin TE, Kelton JG. Delayed-onset heparin-induced thrombocytopenia and thrombosis. Ann Intern Med 2001; 135: 502-6
[16] Greinacher A, et al. Heparin-induced thrombocytopena wth thromboembolic complications: meta-analysis of 2 prospective trials to assess the value of parenteral treatment with lepirudin and its therapeutic aPTT range. Blood 2000; 96: 846-51
[17] Warkentin TE, Kelton JG. A 14-year study of heparin-induced thrombocytopenia. Am J Med 1996; 101: 502-7
[18] Wallis DE, Workman DL, LewisBE, et al. Failure of early heparin cessation as treatment for hearin-induced thrombocytopenia. Am J Med 1999; 106: 629-35
[19] Warkentin TE, Greinacher A. Heparin-induced thrombocytopenia: recognition, treatment, and prevention: the Seventh ACCP Conference on Antithrombotic and Thrombolytic Therapy. Chest 2004; 126: 311S-37S.
[20] Lewis BE, Wallis DE, Leya F, et al. Argatroban anticoagulaion in patients with heparin-induced thrombocytopenia. Arch Intern Med 2003; 163: 1849-56
[21] Kodityal S, Nguyen PH, Kodityal A, et al. Argatroban for suspected heparin-induced thrombocytopenia: contemporary experience at a large teaching hospital. J Intensive Care Med 2006; 21: 86-92
[22] 石田英樹,山崎武則.ヘパリン起因性血小板減少症合併心房中隔欠損症に対するargatroban使用下開心術.胸部外科 2009; 62: 122-4
[23] 河瀬 勇,笹山幸治.ヘパリン起因性血小板減少症が疑われた持続的血液濾過透析維持困難例にアルガトロバンが奏功した経験.日集中医誌 2008; 15: 335-6
[24] Furukawa K, Ohteki H, Hirahara K, et al. The use of argatroban as an anticoagulant for cardiopulmonary bypass in cardiac operations. J Thorac Cardiovasc Surg 2001; 122: 1255-6
[25] 熊澤敦史,方山真朱,他.ヘパリン起因性血小板減少症が疑われアルガトロバンを用いて経皮的心肺補助を施行した1症例.日集中医誌 2011; 18: 611-5
[26] Warkentin TE, et al. the pathogenesis of venous limb gangrene associated with heparin-induced thrmbocytopenia. Ann Intern Med 1997; 127: 804-82
[27] Greinacher A, Warkentin TE. The direct thrombin inhibitor hirudin. Thromb Haemost 2008; 99: 819-29
[PR]
by DrMagicianEARL | 2012-08-03 18:57 | 敗血症性DIC | Comments(0)

by DrMagicianEARL