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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

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2011年12月20日作成
2014年1月29日更新


敗血症と栄養管理(1) 早期経腸栄養の重要性
Summary
・腸管内において腸内細菌と腸管上皮細胞はCross-talkの関係にあり,これらは生体の免疫機能の70%を司り,免疫能維持において極めて重要である.
・生体侵襲下では腸管において細菌,PAMPs,AlarminsによるBacterial Translocationが生じうる.
・高度侵襲下では蛋白の異化が高度に亢進し,autophagy,autophagocytosisなどによる血中蛋白や細胞内蛋白の再利用システムが進み,さらにはapoptosisに至る.
・米国ASPEN/SCCMガイドラインにおいては,経腸栄養は栄養状態改善のみならず,腸管細胞と腸管免疫機能の改善が得られるとしている.
・過去の知見では,24時間以内に開始する早期経腸栄養によって感染症合併率が減少し,一部死亡率の改善が得られるとの報告もある.
・平均動脈圧が60mmHg未満,カテコラミンの使用を開始,または増量しようとする場合には経腸栄養を控えるべきかもしれない.
・腸蠕動音や排便・排ガスを経腸栄養開始基準としてはならない.
・経腸栄養そのものがストレス潰瘍予防となっている可能性がある.

1.早期経腸栄養はなぜ必要か?病態生理からのアプローチ

■腸管内には多数の常在菌が存在する.従来生物はこの常在菌に常時曝されていることで免疫力を維持しており,腸管のみならず全身の免疫を調整しており,腸管上皮細胞と腸内細菌は相互に作用し合い,恒常性の維持を可能にするバランスのとれたCross-talkを確立している.すなわち,異種生物である微生物の構成成分(LPS,リポ蛋白,ペプチドグリカン),そのDNAなどの微生物間で保存された共通の分子パターン(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)[1]をリガンドとして自己の細胞内シグナルを伝達,または制御している.事実,無菌で育成されたマウスは多くの免疫異常をきたす.腸管は生体の免疫の70%を司る最大の免疫維持システムである.

■しかし,生体に敗血症などのような大侵襲が加わると,①腸管蠕動運動の低下による腸内微生物の異常増殖と細菌叢の変化,②腸管の免疫細胞から分泌される分泌型IgAの不足,③血管透過性亢進による腸管浮腫に加えて,Fas,TNF-R1,caspase3の発現からアポトーシスが誘導されることによる腸粘膜細胞脱落,④CARS(copensatory anti-inflammatory response syndrome;代償性抗炎症反応症候群)[2,3]による免疫能力低下からの侵入微生物の全身播種,が生じる.この理論をBacterial Translocation(BT)とよぶ[4].このように,BTによって,もともと敗血症であった患者が別の要因でさらに感染症を続発することになり,日和見感染とも戦わなくてはならず,最初から投与している抗菌薬が効かない病原体が二次感染症を引き起こし,どの抗菌薬が有効でどの抗菌薬が無効なのか分からない状態に陥ってしまう.腸管を使用しないことは全身免疫にかかわることを肝に銘じる必要がある.

■また,Alexanderらは,生菌だけでなく死菌やエンドトキシン(いわゆるPAMPs)の生体内の移行(microbial translocation)もBTの概念に含めるべきとしており[5],PAMPEMIAという概念も近年Tsujimotoらによって提唱されている[6].さらにMainousらは,PAMPsによって腸管関連リンパ組織や腸間膜リンパ節で産生されるAlarmins[1,7]の動態も考慮すべきであると提唱している.

■大侵襲下ではSIRS状態により各臓器に存在する炎症警笛細胞(Alert Cell)[8]での大量のサイトカイン産生のためタンパクの需要が急激に増大する.低栄養状態になると,蛋白のリサイクルを行うため,これらのAlert Cellは自らの蛋白質を分解する自己融解(autophagy)[9]をおこし,自らのアミノ酸を他の細胞に譲り渡す.さらに,Alert Cellや他の血管内皮細胞はサイトカイン活性変化によりプログラム細胞死(apoptosis)をきたす.また,低蛋白血症が重度になれば,血小板に対する抗血小板抗体が出現し,血小板が破壊・成分を貪食されることで蛋白補充される.このような一連の異化亢進が生じている状態では蛋白の補給が急務である.

■米国静脈経腸栄養学会/米国集中治療学会(ASPEN/SCCM-G)[10]では,経腸的な栄養の投与は,腸管細胞間のtight junctionの維持,血流の増加,コレシストキニン,ガストリン,ボンベジン,胆汁酸塩などの消化に関連する内因性物質の分泌の促進,腸絨毛を維持し,IgAを分泌する免疫担当細胞を維持することによる腸管の構造の保持,腸管関連リンパ組織(GALT,パイエル板,腸間膜リンパ節,粘膜固有層,腸管上皮間リンパ球,クリプトパッチなど),リンパ球のホーミングに基づく遠隔臓器(肺,腎,肝など)における粘膜関連リンパ組織(MALT)の維持に有効であるとしている.そして,重症であればあるほど,経腸的な栄養投与が感染症と臓器不全の抑制,病院滞在日数の短縮に重要であると解説している.

■また,早期から濃度の高い経腸栄養を投与することで,小腸から余分な水分を腸管内に引き込んで腸管浮腫を改善させることができる.この際の下痢はある程度許容すべきであるとされる.仮に必要以上に小腸から水を引いてしまっても,大腸で水分が吸収され,あたかも尿細管再吸収のような機構が働くことで水分出納量をコントロールしているという考え方もある.

■SIRS病態,特にショック状態では腸管は血液再分配機構(redistribution)による血液灌流量減少状態にあり,経腸栄養を行うことで腸管循環の改善につながるとする意見もある.

2.早期経腸栄養はなぜ必要か?臨床研究からのアプローチ

■ICUの重症患者の管理において経腸栄養(EN;enteral nutrition)で管理するか経静脈栄養(TPN;total parenteral nutrition)で管理するか,いずれがよいのかについてはほぼ決着がついたと言っていいかもしれない.過去の早期経腸栄養を行うか否かを比較したメタ解析を以下に示す[11-20]
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■これらを見て分かる通り,多くのメタ解析で感染症合併率の減少がみられており,一部のメタ解析では死亡率改善の結果も得られている.他にも病院滞在日数の短縮や医療コスト削減[14]も報告されている.

■「Feed th gut, not feed to the patient」というように,集中治療における経腸栄養の早期の段階は患者の栄養(feed to the patient)のためというより,むしろ患者の小腸の栄養(feed the gut)のためである.まず小腸を改善し,その後徐々に経腸栄養レベルをあげて患者を栄養する,そのためにも早期から開始しておかないと患者への十分量の蛋白・栄養補給はさらに後退してしまう.よって,近年では24時間以内に経腸栄養を開始するのが主流であり,施設によっては12時間以内を目標としているところもある.

■以上より,24時間以内の早期経腸栄養が推奨される.この投与開始直後の期間は過少栄養許容期(Permissive underfeeding)であり,経腸栄養開始72-96時間で目標カロリーの60-80%を目指すことになる.その後,ストレス侵襲による炎症反応の改善とともに100%を目指す.

■敗血症などの重症病態では常に腸管を含む虚血,再灌流障害の危険にさらされているが,このような患者の経腸栄養における腸管虚血の可能性は1%以下でそれほどおそれる必要はない[21].ASPEN/SCCM-Gでは,平均動脈圧が60mmHg未満,カテコラミンの使用を開始,または増量しようとする場合には経腸栄養を控えるべきとしている.少量のカテコラミン投与時には経腸栄養は可能であるが[22],腹部膨満,経鼻胃管の排液量,胃内残渣の増量などがあれば中止を検討してもよいというスタンスが無難であるが,一部の専門家は高用量カテコラミン下でも投与可としている.これは,経腸栄養によってむしろ腸管血流が増加するため,腸管虚血には陥りにくくなるという考え方からきている.

■ICU患者の30-70%に消化管機能不全がみられ,その原因は①腸管粘膜の破綻,②蠕動の低下と腸管粘膜の萎縮,③GALTの減少の3つである.腸蠕動音や排便・排ガスはこれらの指標にはならず,開始基準としてはならない.

■重症患者における経腸栄養の副次的メリットに胃のストレス潰瘍予防がある.近年のMarikらのメタ解析[23]では,ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の消化管出血予防効果は全体では認められるが(OR 0.47; 95%CI 0.29-0.76; p<0.002),経腸栄養を施行した患者に限定したサブ解析ではH2RA投与有無で消化管出血リスクに影響はなく(OR 1.26; 95%CI 0.43-3.7),経腸栄養そのものが上部消化管出血を予防する可能性を示唆する結果となっている.これは,経腸栄養によって消化管血流が改善してストレス潰瘍発生の予防に関連していること,胃内pHが経腸栄養によって希釈されることなどが理由と考えられる.さらに,H2RAは全体では肺炎(OR 1.53; 95%CI 0.89-2.61; p=0.12),死亡率(OR 1.03; 95%CI 0.78-1.37; p=0.82)を増加させなかったが,経腸栄養患者ではH2RAを投与した方が肺炎(OR 2.81; 95%CI 1.20-6.56; p=0.02)や死亡率(OR 1.89; 95%CI 1.04-3.44; p=0.04)が増加している.以上から,経腸栄養はストレス潰瘍に対する予防効果があり,経腸栄養施行患者へのストレス潰瘍予防薬投与は合併症リスクが増加する可能性があることを考慮すると必要性は低くなると考えられる.ただし,これらの結果はあくまでもサブ解析にとどまっており,消化管出血予防をプライマリアウトカムとした経腸栄養患者での前向き臨床試験は現時点では存在せず,今後の研究が待たれる.

→敗血症と栄養管理(2) 投与カロリー,静脈栄養併用

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by DrMagicianEARL | 2014-01-29 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
エビデンスレベルは高くないですが,集中治療領域でのスタチンについてブルージャーナルに面白い報告があったので紹介します.
重症疾患におけるスタチンの使用とせん妄リスク
Page VJ, Davis D, Zhao XB, et al. Statin Use and Risk of Delirium in the Critically Ill. Am J Respir Crit Care Med 2014 Jan 13
PMID:24417431

Abstract
【背 景】
集中治療室(ICU)の患者におけるせん妄はよく知られており,予後不良予測因子であり,神経炎症が機序と考えられている.スタチンの抗炎症作用はせん妄を減じるかもしれない.

【目 的】
スタチン療法を受ける重症疾患患者がスタチン療法を受けない患者よりもせん妄リスクが減少するかについて検討する.

【方 法】
2011年8月から2012年2月まで英国の内科外科混合ICUに入室した連続したICU患者データの前向きコホート解析を行った.ICUに入室中のせん妄のない日数を各患者ごとにCAM-ICUを用いて評価した.せん妄のない日数,毎日のスタチン投与とC反応性蛋白(CRP)を記録した.

【結 果】
2011年8月から2012年2月まで,スタチン投与を受けた患者151例を含む417例の連続的ICU患者が観察された.ランダムエフェクト多変量ロジスティック回帰を用いると,前日夕のスタチン投与はその後のせん妄無発症(OR 2.28; 95%CI 1.01-5.13; p<0.05)と低いCRP(β=-0.52; p<0.01)に関連していた.スタチンとせん妄無発症をCRPで調整すると,エフェクトサイズは有意ではなくなった(OR 1.56; 95%CI 0.64-3.79; p=0.32).

【結 論】
重症患者において,スタチン療法継続は毎日の低いせん妄リスクと関連していた.本研究を受けて,現在進行中の臨床試験でスタチンが重症疾患におけるせん妄の潜在的治療になるかについて検討している.
■集中治療領域においてスタチンの抗炎症作用[1]が注目されており,また,炎症とせん妄の関連については近年多数の報告がでている[2]ことから,スタチンの抗炎症作用がせん妄を減じるという仮説が三段論法で成り立つわけで,この仮説を検証したのが今回のコホート研究であり,共同著者にはICUせん妄の第一人者でもあるEly先生が名を連ねている.せん妄を抑制するならば,長期予後において差がでるかもしれない.

■CRPとせん妄については,ZhangらがICU患者223例の前向き観察研究を行っている[3].単変量解析ではせん妄発症患者の方が非発症患者よりCRPが有意に高かった(12.05 vs 5.75 mg/dL; P=0.0001).背景因子で調整した多変量ロジスティック回帰においても,CRPはせん妄と有意に関連していた(OR 1.07; 95%CI 1.01-1.15).24時間以内のCRP>8.1mg/dLはせん妄リスクを有意に増加させた(OR 4.47; 95%CI 1.28-15.60).

■ステロイドも抗炎症作用を有するが,ステロイドの場合は中枢神経系に対する直接作用を有し,レム睡眠を短縮させてしまい,むしろせん妄の要因となってしまう.他の抗炎症作用が期待されているマクロライド系抗菌薬,リコンビナント・トロンボモデュリン,β遮断薬については現時点ではせん妄リスクに与える影響についてのエビデンスがない.

■敗血症へのスタチンを検討したRCTで,死亡率を改善したとする報告はまだなく[4],人工呼吸器関連肺炎でのRCTではスタチン群で死亡率の悪化傾向が見られたため試験が中止されている[5].その一方で,コホート研究においては,スタチンを以前から内服している患者では死亡率が低いことが複数報告されている[4].おそらくスタチンを内服していない患者が感染症罹患と同時にスタチンを開始すると,脂質代謝系で悪影響がでる可能性があるのかもしれない.血管内皮細胞ではエネルギー源の70%を脂質に依存しており[6],重症病態下においてミトコンドリア機能不全による糖質代謝系の障害が起こりうることも考慮すると,脂質系への新規のスタチン介入は血管内皮細胞にとって決していいことばかりではないということも理論上考えられる.よって,脂質低下作用をもたないスタチン製剤の創薬が必要なのかもしれない(もしくはまもなく本邦にも登場するα-リノレン酸を主体とした脂質製剤をスタチンに併用するのがbetter?).

[1] Kouroumichakis I, Papanas N, Proikaki S, et al. Statins in prevention and treatment of severe sepsis and septic shock. Eur J Intern Med 2011; 22: 125-33
[2] DrMagicianEARL. 敗血症とせん妄(1) ~定義と評価,予後との関連~. EARLの医学ノート 2013 Nov.12 http://drmagician.exblog.jp/21312727/
[3] Zhang Z, Pan L, Deng H, et al. Prediction of delirium in critically ill patients with elevated C-reactive protein. J Crit Care 2014; 29: 88-92
[4] DrMagicianEARL. 【文献+レビュー】スタチンは敗血症の予後を改善するか? EARLの医学ノート 2014 Jan.15 http://drmagician.exblog.jp/21555736/
[5] Papazian L, Roch A, Charles PE, et al; STATIN-VAP Study Group. Effect of statin therapy on mortality in patients with ventilator-associated pneumonia: a randomized clinical trial. JAMA 2013; 310: 1692-700
[6] Dagher Z, Ruderman N, Tornheim K, et al. Acute regulation of fatty acid oxidation and amp-activated protein kinase in human umbilical vein endothelial cells. Circ Res 2001; 88: 1276-82
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by DrMagicianEARL | 2014-01-27 17:23 | 文献 | Comments(0)
ARDSに対する腹臥位療法の有用性を大幅な死亡率の改善をもって示したPROSEVA trialが昨年発表されました.そして,先月Critical Care Medicineに,今月Intensive Care Medicineにメタ解析が1つずつ報告されました.それぞれ異なる角度からアプローチしていますので,両方を紹介します.
急性呼吸窮迫症候群における腹臥位換気の有効性と安全性:11報無作為化対照比較試験のメタ解析
Lee JM, Bae W, Lee YJ, et al. The Efficacy and Safety of Prone Positional Ventilation in Acute Respiratory Distress Syndrome: Updated Study-Level Meta-Analysis of 11 Randomized Controlled Trials. Crit Care Med 2013 Dec 23
PMID:24368348

Abstract
【目 的】
急性呼吸窮迫症候群での人工呼吸中の腹臥位の生存有益性が議論されている.最近の多施設共同無作為化比較試験では急性呼吸窮迫症候群の人工呼吸中の腹臥位療法が28日死亡,90日死亡の減少に有意に関連していることが示された.我々はこのトピックにおいてメタ解析の更新を行い,腹臥位の全死亡への有効性と関連合併症を評価した.

【方 法】
2013年5月までのPubMed,EMBASE,BioMed Central,Cochrane Central Register of Controlled Trials,ClinicalTrials.govをデータソースとした.対象は,急性呼吸窮迫症候群の患者における腹臥位と仰臥位の全死亡率を比較した無作為化対照比較試験とした.データは,患者集団,介入,アウトカム,バイアスリスクを抽出した.事前決定した一次評価項目は,各研究で観察可能な最も長い期間を用いた全死亡率とした.95%信頼区間(CI)を用いたオッズ比を効果指標とした.

【結 果】
本解析では11報の無作為化対照比較試験,1142例の腹臥位による換気を行った患者を含む計2246例の成人患者が対象となった.人工呼吸中の腹臥位はランダムエフェクトモデルにおいて全死亡リスクを有意に減少させ(OR 0.77; 95%CI 0.59-0.99; p=0.039; I=33.7%),その効果は腹臥位が短時間のサブグループと比較して10時間/回以上の時間のサブグループにおいて特に顕著であった(OR 0.62; 95%CI 0.48-0.79; p=0.039; p=0.015).腹臥位は圧迫潰瘍(OR 1.49; 95%CI 1.18-1.89; p=0.001; I=0.0%),主要な気道合併症(OR 1.55; 95%CI 1.10-2.17; p=0.012; I=32.7%)と有意に関連していた.

【結 論】
重症急性呼吸窮迫症候群の患者において,腹臥位による人工呼吸換気は全死亡を有意に減少させた.十分な腹臥位の時間は全死亡の減少に有意に関連していた.腹臥位はまた,圧迫潰瘍と主要な気道合併症と有意に関連していた.
低1回換気時代において腹臥位療法は急性呼吸窮迫症候群の死亡率を減少させる:メタ解析
Beitler JR, Shaefi S, Montesi SB, et al. Prone positioning reduces mortality from acute respiratory distress syndrome in the low tidal volume era: a meta-analysis. Intensive Care Med 2014 Jan 17
PMID:24435203

Abstract
【目 的】
ARDSでの腹臥位は臨床的有益性の確たる根拠がないまま数十年行われてきた.最近報告された多施設試験では初めて腹臥位による死亡率の有意な減少が示された.本メタ解析は既存の文献や試験によるこれらの知見を統合し,1回換気量の違いがこれまでの無作為化試験の異なる結果を説明しうるかについて検討した.

【方 法】
研究はMEDLINE,EMBASE,Cochrane Register of Controlled Trials,LILACS,文献レビューを用いて検索した.ARDSにおける標準的人工呼吸換気中の腹臥位と仰臥位の死亡率への影響を比較検討した無作為化試験を登録した.一次評価項目はランダムエフェクトモデルを用いたメタ解析による60日死亡の危険率とした.ベースラインでの1回換気量が高い(>8mL/kg理想体重)か低い(≦8mL/kg理想体重)かでの層別解析を事前に設定した.

【結 果】
2119例の患者(うち1088例が腹臥位療法を受けた)を含む7報の試験が抽出された.全体では,腹臥位療法は死亡の危険率と有意に関連しなかった(RR 0.83; 95%CI 0.68-1.02; p=0.073; I^2=64%).1回換気量が高いか低いかで層別化すると,ベースラインの1回換気量が低い研究においてのみ腹臥位は有意に死亡の危険率を減少させた(RR 0.66; 95%CI 0.50-0.86; p=0.002; I^2=25%).1回換気量による層別化は,非層別化解析において観察された半分以上の研究の間の異質性を説明しえた.

【結 論】
腹臥位は低1回換気時代でのARDSへの死亡の減少に有意に関連していた.研究間での相当な異質性は1回換気量の違いによって説明しえた.
■P/F比<150のARDS患者において腹臥位が死亡リスクを半分以下に減少させたRCTであるPROSEVA study[1]が2012年にNew England Journal of Medicine誌に報告され大きな話題となった.「にわかには信じがたい」「おフランススタディだ」と揶揄する声もあったが,この規模でここまでの結果をだしたことはエビデンスとしては大きな前進といえる.このPROSEVA studyを含めたメタ解析が今回の2つの報告である.

■2つとも死亡率を一次評価項目としており,加えて,LEEらは腹臥位の施行時間によるサブ解析と合併症のメタ解析を,Beitlerらは1回換気量が研究の異質性であるとして,1回換気量によるサブ解析を行っている.全体として言えることは,
①腹臥位療法は重症度の高いARDSで死亡率を改善しうる.
②1回あたりの腹臥位時間が長いほど(10時間以上)死亡率改善効果が得られやすい.
③低1回換気療法を行っていなければ腹臥位療法の有益性は得られにくい.
④合併症としては特に圧迫潰瘍,気道トラブルに注意が必要である.

なお,腹臥位療法は決して簡単な手技ではなく,慣れが必要である.安易に行うのは避けた方がよい.PROSEVA studyおよび腹臥位療法のレビューについては以下を参照されたい.
【文献】腹臥位療法は重症ARDSの予後を改善する(PROSEVA study)
http://drmagician.exblog.jp/20609207/


[1] Guérin C, Reignier J, Richard JC, et al; the PROSEVA Study Group. Prone Positioning in Severe Acute Respiratory Distress Syndrome. N Engl J Med 2013; 368: 2159-68
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by drmagicianearl | 2014-01-21 17:03 | 敗血症性ARDS | Comments(0)
■現在米国で開催されている集中治療医学会において,SCCM,ACCP,AACN,ATSの4学会合同の「ICUでやってはいけない5つの約束」声明が発表された.詳細は以下を参照.

The 43rd Critical Care Congress
January 9-13, 2014, Moscone Center South, San Francisco, California, USA
Critical Care Societies Collaborative – Critical Care
Five Things Physicians and Patients Should Question

http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/critical-care-societies-collaborative-critical-care/

約束1.定期的間隔で(毎日など)診断的検査をオーダーしない.特異的な臨床的疑問が生じた場合にのみ行うこと.

約束2.結構動態が安定し,出血がない,ヘモグロビン濃度が7g/dLより高いICU患者に赤血球輸血しない.

約束3.ICU入室後最初の7日間以内の十分な栄養状態にある重症患者に経静脈栄養を使用しない.

約束4.特別な理由がなく,毎日の浅い鎮静の試みなしに,人工呼吸器患者に深い鎮静は行わない.

約束5.患者やその家族に症状緩和のための代替治療を提案することなしに患者やその家族に死亡や機能回復が極めて困難なリスクが高い患者に生命維持の治療を継続しない.
■日頃からエビデンスを知っていれば当たり前の内容ではあるが,はたして現時点でこれらの5つの約束はどこまで守られているか?知らなかったという方は是非復習を.

■約束1についてはICUに限らず,一般病棟・外来(救急を含む)でも言えること.その患者の治療方針になんら影響を与えない検査は極力削るべきである.採血ひとつをとってみても,貧血の原因になることがすでにいくつも報告されており[1-5],不要な採血を減らすことでこの貧血の予防,ライン感染予防,さらにはスタッフの針刺し損傷予防につながる.被曝やポータブルで体を動かすことによるトラブルリスクを有する胸部X線もルーティンに撮影する必要はなく,必要時撮影というようにすれば安全に施行回数を減らすことができることが複数のRCTで示されている[6-8].こういった不適切なルーティンの見直しはコストや仕事量を減じるのみならず安全性の確保や侵襲を減じることにもつながる.

■約束2については,現在の推奨としては,急性経過での貧血では赤血球輸血開始基準はHb<7.0 g/dLとすべきで,Hb>7.0 g/dLでの投与は控えるべきであり,また,赤血球輸血でHb>9.0まで回復過剰な補正は避けるべきであるとされており,これは本ブログでもレビュー[9]を行っている.多発外傷やコントロール困難な大量出血があるのであれば別であるが,そうでなければ,消化管出血や心筋梗塞を含む内科疾患での輸血過剰はむしろ予後を悪化させることは知っておく必要がある.輸血製剤の副作用を聞くと,アレルギー反応,TRALI(輸血関連急性肺傷害),TACO(輸血関連循環過剰負荷),製剤汚染による感染症を想定する医師は多いが,重症患者においてはその他の機序による予後悪化や合併症も非常に多い.感染症増加,血栓のみならず死亡リスクも増加することが知られており[10-15],さらに近年の報告では心筋梗塞再発率増加[11],長期予後悪化として筋力低下[16]も報告されている.

■高度侵襲時は内因性エネルギーが生じるため,安静時エネルギー消費量よりも少ないカロリー量を目標としたエネルギー投与を行うpermissive underfeeding(低栄養許容)は今やゴールデンスタンダードであるが,経腸栄養への経静脈栄養の併用は米国ASPENと欧州ESPENで意見が対立している[17].約束3の内容はEPaNIC trial[18]の結果そのものを反映したものであることは明白だろう.今回のこの声明は米国の4学会の集まりであり,欧州の学会(ESPEN寄り)は含まれていないことから,ASPEN寄りの推奨をだしたということになる.実際に本研究は規模・質ともに非常に高く,このエビデンスはなかなかくつがえりにくいと思われる.このEPaNIC trialに対して早期の経静脈栄養の有用性を示唆する研究が2012年の欧州集中治療医学会でSwiss study[19]として発表され,EPaNIC trialの研究グループと激論がかわされたとのことである.もっともこの研究はday3で目標カロリーの60%を経腸栄養で達成できなかった患者集団を対象としており,投与カロリー不足している患者での経静脈栄養を追加するか否かで比較した検討であり,追加した方が感染症が少なかったと報告していることから,EPaNICとはやや目的が異なる研究であることから,必ずしもEPaNICの否定とはならない.Swiss studyでの経腸栄養管理はunderfeeding過ぎた可能性があり,このため経静脈栄養で適度なunderfeedingになったとも考えられる.投与カロリーの視点から見ればEPaNIC trialもSwiss studyも根本の目標は同じであろう.もっともSwiss studyは規模がEPaNICに比してかなり少ないが.

■約束4は,まさに「成人ICU患者の疼痛,不穏,せん妄の管理に関する臨床ガイドライン」[20]の通りであり,本ブログでもICUせん妄についてレビューを行っている[21-23].深い鎮静は人工呼吸器装着期間の延長,人工呼吸器関連肺炎や人工呼吸器関連肺傷害,記憶障害,せん妄の原因となり,さらには身体・精神・認知機能等への悪影響であるPost-Intensive Care syndrome[24,25]の原因となりうる.また,せん妄は死亡率を悪化させることはすでにいくつもの報告で示されており[26-30],せん妄の評価と予防・治療を含む適切なプロトコルを組む必要がある.それでもやむを得ずRASS -4以下の深い鎮静とするならば,1日1回の鎮静中断による評価を行うべきである.

■約束5については,いわゆるEnd-of-Lifeの概念で,慢性疾患終末期患者のみならず集中治療領域でもQuality of LifeならぬQuality of Death,さらにはGood Deathという考え方が必要となってきている.日本はかなり遅れている内容であるが,実際に判断が難しいという現状もある.どの時点で積極的治療を撤退するのかのラインについての判断が求められ,慎重に検討した上で家族へ提示しなければならない.2013年末にNEJM誌に心停止患者の低体温療法と常温療法を比較したTTM trial[31]が発表されたが,本研究では,延命治療を中止のプロトコルを採用していることが特徴であり,治療の中止された患者へのアプローチが詳細に記載されているため,参照されたい.また,海外でのICUにおけるEnd-of-Lifeの取り組みが日本にそのまま適応できるわけではない.そこには医療の違いのみならず,倫理的・経済的・社会的・法的・宗教的側面を考慮しなければならないからである.先日,尊厳死法案が国会に提出され,日本でも人工呼吸器をはずす行為に法的バックがつく可能性がある.同時に,緩和ケアの知識を集中治療に携わるスタッフも学んでおく必要がある.こういった積極的治療の差し控えによる延命の回避を行うためには家族との対話の機会をより多くもっていく必要がある[32]と同時に,家族のケアとして,そのキャラクターや知的水準等を加味しておく必要もある[33].ICUにおけるEnd-of-Lifeについては是非Intensibist誌第13号「End-of-life」を参照されたい.

■これらは,ICUにはびこる不適切なルーティンの現状からでた声明と思われ,他にも様々な不適切ルーティンがあるのが現状である.以下にその他不適切ルーティンをいくつか列挙してみた(あくまでも盲目的にルーティンで行っているなら不適切と考えられるケース).あてはまる場合は再考をした方がよいかもしれない.
不適切と考えられるルーティンの例
・換気をあげるため人工呼吸患者の1回換気量を多くする
・酸素化悪化時のFiO2 1.0への増量
・看護指示での「SpO2>○○%を維持するように酸素増減」
・看護指示での「発熱時血液培養検体採取」
・看護指示での「血圧低下時ドパミン開始」
・2時間ごとの気道吸引
・全例で中心静脈カテーテル抜去時のカテーテル先端の培養提出
・発熱あれば全例解熱薬投与
・経腸栄養はとりあえずGFOから開始
・出血があればトラネキサム酸(トランサミン)投与
・不穏時の薬剤ルーティン投与
・指先尖刺血での血糖測定による血糖値判断
・ICU患者全例にPPIまたはH2RAを投与,ICU退室後や退院後まで継続


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[PR]
by DrMagicianEARL | 2014-01-15 19:49 | 敗血症 | Comments(0)
 すでに実臨床で使用されているスタチンの免疫修飾作用が敗血症で期待されていますが,大晦日にPLoS OneからRCTのメタ解析がでましたので紹介します.ちょっと変なメタ解析ですが・・・
敗血症患者の死亡率におけるスタチンの効果:無作為化比較試験のメタ解析
Pasin L, Landoni G, Castro ML, et al. The effect of statins on mortality in septic patients: a meta-analysis of randomized controlled trials. PLoS One 2013; 8: e82775
PMID:24391721

Abstract
【目 的】
スタチンは世界中で最も処方されている薬剤であり,近年では向炎症サイトカイン産生やケモカイン発現を阻害し,凝固系における敗血症の有害作用を打ち消すといった抗炎症作用が発見されている.我々は,敗血症患者へのスタチン療法の生存および入院期間における効果を評価するため,公表された無作為化比較試験のメタ解析を行った.

【方 法】
4名のトレーニングを受けた研究者が,コンセンサスによって相違を解決することで文献を評価した.BioMedCentral,PubMed,Embase,Cochrane Central Registerから関連する研究を検索した.登録基準は,敗血症患者において,スタチンとそれ以外に治療を無作為に割り付けた試験とした.

【結 果】
5報の無作為化比較試験から650例のデータが解析された.スタチン群と対照群で死亡率に差はなかった(スタチン群44/322[14%] vs 対照群50/328[15%]; RR=0.90; 95%CI 0.65-1.26; p=0.6).入院期間にも差はみられなかった(p=0.7).

【結 論】
スタチン療法の公表データでは,スタチン療法は成人敗血症患者全体の集団において死亡における効果は認められなかった.敗血症患者でのスタチンの役割における科学的根拠はまだ限られており,より,このトピックにおいてより大規模な無作為化比較試験を行うべきである.
■結果はネガティブ.ただし,敗血症じゃない患者集団を含むRCTも拾っているようで,abstactだけ見るとちょっと意味合いが変わってくると思われる.また,死亡率を見ると患者集団の重症度はそれほど高くないと推察されることから,より重症度の高い集団でのスタチンによる恩恵があるかは今後の検討課題であるが,少なくとも,SIRS基準を満たしただけの敗血症患者に対するスタチンは,死亡率と入院期間をアウトカムとした場合は有用ではないのかもしれない.以下はスタチンと敗血症に関するレビューである.

1.スタチンの抗炎症作用

■日本で遠藤章氏がアオカビから発見[1]したスタチン(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A (HMG-CoA)還元酵素阻害薬)は今や生活習慣病領域で大量に処方されており,2013年のACC/AHAによるガイドライン[2]では,投与推奨基準が極めて甘くなり,成人の3人に1人がスタチン投与推奨対象になるという事態になっている(米国は高脂質な集団であることを考慮すれば妥当という見方もあるかもしれないが,日本にこの推奨は適応すべきではないと思われる).

■スタチンは脂質低下作用が主体であるが,1999年にStandbergらが冠疾患患者におけるCRP低下を報告[3]して以降,抗炎症作用が注目されるようになる.この抗炎症作用はGGPP産生を抑えることによりRac1活性化が阻害され,CRP転写を阻害するイソプレノイド経路と,血管内皮細胞におけるeNOS発現を亢進させるPI3K-Akt経路(いわゆる血管内皮保護作用)の2つがある.

■その後はさらに研究がすすみ,スタチンの抗炎症作用,抗酸化作用,免疫修飾作用,抗アポトーシス作用,肝ミトコンドリア機能不全の改善といった脂質低下作用以外の効果が期待され[4,5],さらには抗菌作用[6]まで示唆されており,感染症・敗血症病態での有用性が期待されていた.

2.コホート研究で相次いだ有用性の報告

■スタチン服用患者が非常に多いため,スタチン服用群と非服用群のコホート研究が行いやすく,感染症・敗血症において有用性を検討した報告は多い.最近の報告をいくつか紹介する.

■Hackamらは,冠動脈疾患,虚血性脳卒中,血管再生術で入院した65歳以上で,スタチン服用群と非服用群を傾向スコアでマッチングさせた34584ペアを比較した後ろ向きコホート研究を行った[7].スタチン服用群の方が敗血症発症リスクが有意に低く(71.2 vs 88.0 events/10000人/年; HR 0.81; 95%CI 0.72-0.91),敗血症リスクを含む患者背景で調整しても同様の結果であった(HR 0.81; 95% CI 0.72-0.90).

■55歳以上の223例の熱傷患者を対象とした後ろ向き研究[8]では,スタチン服用が院内死亡リスクを83%有意に減少させ(OR 0.17; 95%CI 0.05-0.57; p=0.004),敗血症発症リスクも統計学的に有意ではないが50%減少させていた(OR 0.50; 95%CI 0.20-1.30; p=0.155)

■JUPITER trialのサブ解析として行われた17802例の中央期間1.9年間の追跡[9]では,スタチン製剤投与により肺炎頻度は17%減少したと報告されている.

■肺炎患者121254例の解析[10]では,院内での肺炎患者に対するスタチン投与はスタチン非投与肺炎患者と比較してICU入室を減少させ(15.7% vs 18.1%, p<0.001),人工呼吸器装着を減少させ(6.9% vs 9.3%, p<0.001),院内死亡率を減少させる(3.9% vs 5.7%, p<0.001).スタチンは傾向スコア調整後で死亡リスクを24%減少,傾向スコアマッチングで10%減少させた.

■Mortensenら[11]は,65歳以上の肺炎入院患者50119名のコホートデータを用いて,11498ペアの傾向スコアマッチングを行った1498例を解析し,スタチン内服歴は死亡リスクを26%低下,人工呼吸器装着リスクを32%有意に低下すると報告している.

■心臓手術前のスタチン投与有無でのアウトカムを検討した6報のコホート研究のメタ解析[12]では,心臓手術前のスタチン製剤投与と術後感染症減少の有意な関連性は認められなかった(OR 0.8; 95%CI 0.64-1.01).しかし,このメタ解析の報告のすぐ後に冠動脈バイパス術の術前スタチン製剤投与は術後感染症を26%有意に減じる(OR 0.74; 95%CI 0.60-0.90)としたKayani WTらの6253例の後ろ向き報告[13]が発表されており,この報告が加わると有意差がでる可能性がある.

■肺炎患者におけるスタチン内服について検討した13報コホート研究254950例のメタ解析[14]では,死亡リスクを2/3に有意に減少させた(OR 0.62; 95%CI 0.54-0.71,調整後OR 0.66; 95%CI 0.55-0.79).ただし,前向き試験に限定するとその効果は減弱していた.

3.RCTでの評価

■コホート研究が相次ぐ中,スタチンのRCTが開始された.そこで,今回のメタ解析に組み込まれた敗血症に対するスタチンの有効性を検討した単盲検または二重盲検のRCT5報[15-19]を以下に示す.5報のうち,多施設検討は1報[17],二重盲検は3報[15,16,18]重症敗血症での検討は1報[17],肺炎による敗血症に限定した検討が1報[19]であった.

■Novackら[15]は,内科病棟および内科ICUに入室した83例の感染症患者に対して,スタチン群(シンバスタチン40mg/日で開始,20mg/日で継続)と42例プラセボ群41例を比較したRCTを行った.重症敗血症に進展したのは両群とも2例ずつであった(有意差なし).TNF-α,IL-6濃度はスタチン群は有意に減少した(それぞれp=0.02,0.02)一方で,プラセボ群では有意な減少は認めなかった(それぞれp=0.35,0.39).

■Krugerら[16]は,ICUおよび一般病棟に入室した150例の感染症患者において,スタチン群(アトルバスタチン20mg/日)75例とプラセボ群75例を比較したRCTを行った.ベースラインの時点で両群とも重症敗血症は32%にみられた.ベースライン時と比較して,重症敗血症のオッズ比は両群とも減少しており(プラセボ群day3 0.43→0.14,スタチン群day14 0.50→0.12),重症敗血症減少率は両群で同等であった(OR 1.17; 95%CI 0.56-2.47; p=0.7 Day 3/OR 0.85; 95%CI 0.21-3.34; p=0.8 Day 14). IL-6とCRPの減少も両群で有意差はなかった(それぞれp=0.7,0.2).院内死亡率は6.6%であり,両群間で有意差はみられなかった(スタチン群6/75 [8%] vs プラセボ群4/75 [5.3%]; p=0.75).

■Krugerら[17]は,重症敗血症患者250例においてスタチン群(アトルバスタチン20mg/日)とプラセボ群を比較した多施設共同RCT,Phase II studyであるANZ-STATInSを行った.両群間でIL-6濃度(主要評価項目)に有意差はなみられなかったが(p=0.76),登録前スタチン服用歴がある患者のベースラインのIL-6濃度は有意に低かった(129 [87-191] vs 244 [187-317] pg/ml; p=0.01).入院期間,SOFAスコア,ICU死亡率,院内死亡率,28日死亡率,90日死亡率(15% vs 19%),有害事象に有意差はみられなかった.登録前のスタチン服用者77例においては,スタチン群はプラセボ群より28日死亡率が有意に低く(28% vs 5%; p=0.01),90日死亡率もスタチン群が低い傾向がみられたが,統計学的に有意ではなかった(28% vs 11%; p=0.06).

■Patelら[18]は,敗血症患者100例においてスタチン群(アトルバスタチン40mg/日)49例とプラセボ群51例を比較したRCT,ASEPSIS trial,PhaseⅡを行った.スタチン投与群はプラセボ群と比較して重症敗血症進展率(4%vs24%,p=0.007,NNT 5),血漿コレステロール値(p<0.0001),Alb/Cr比(p=0.049)が有意に低下した.ICU入室,入院期間,死亡率,再入院率,有害事象に有意差はみられなかった.

■Choiら[19]は,肺炎による敗血症患者67例において,スタチン群(アトルバスタチン10mg/日)33例プラセボ群34例を比較した単盲検RCTを行った(学会発表されたが未論文化).院内死亡率は16/33 vs 18/33(OR 0.92; 95%CI 0.57-1.47)で有意差はみられなかった.

■これらのRCTを見ても分かる通り,非常に軽症例を多く含む集団であり(Choiらの報告の詳細は入手できず,死亡率が高すぎる印象もあり判断困難),むしろ重症敗血症進展の予防を見ている研究が多い.コホート研究と登録集団の重症度が異なるのかもしれない.Maらはスタチンと感染症死亡リスク減少についての41報のメタ解析を行った[20].全報告での解析では,スタチンは死亡リスクを29%減少させ,ケースコントロールスタディは42%減,後ろ向きコホートは34%減,前向きコホートは29%減,RCTでは有意な減少認めなかった.全死亡リスクは,菌血症では60%減少,敗血症では39%減少,肺炎では31%減少しており,他の感染症では有意な減少を認めなかった.30日死亡リスクは38%減少,90日死亡リスクは32%減少,院内死亡リスクは29%減少,1年以上の長期死亡リスクは有意な減少を認めなかった.

■これまでの報告を加味すると,やはり登録集団の違いでかなり左右される印象がある.また,メタ解析といっても,死亡率改善を得るのであれば,その傾向がみられるものとして参考となるRCTはANZ-STATInS[17]しかなく,この報告でもプラセボ群の死亡率はわずか5.3%程度である.高い死亡率改善効果(敗血症,菌血症を対象とし,死亡率OR<0.5で抽出)を示したコホート研究を見ると,対照群の死亡率は,Krugarらの報告[21]では23.1%(スタチン群10.6%),Liappisらの報告[22]では28%(スタチン群6%),Thomsenらの報告[23]では22.4%(スタチン群16.8%),Dobeshらの報告[24]では48.4%(スタチン群31.7%)であり,RCT5報よりも比較的死亡率の高い集団であると同時に,近年の重症敗血症の死亡率を考慮すれば妥当な数値といえる.

■RCTとコホート研究を加味すると,スタチンを登録前から内服していた患者が内服を続けることで恩恵を受けやすい傾向が見られる.逆にそうでない場合はスタチンの恩恵が得られにくく,人工呼吸器関連肺炎患者RCT[25]では300例での中間解析の時点でスタチン群の方が死亡率が高い傾向がみられたため(21.2% vs 15.2%; p=0.10; HR 1.45;95% CI 0.83-2.51)試験が中止されていることから,必ずしも安全ともいえない治療法である.

■上記5つのRCT以外ではMakrisら[26]の2施設共同オープンラベルでのRCTがある.この研究はICUに48時間以上入室し,人工呼吸器を装着した患者152例を対象に,プラバスタチン投与群71例と対照群81例を比較している.30日間で肺炎発症率はスタチン群で22.5%,対照群で34.5%であった(p=0.11).APACHEⅡスコア≧15に限定したサブ解析では,人工呼吸器関連肺炎のない日数はスタチン群の方が多い傾向がみられた(p=0.06).30日死亡率はスタチン群で8.45%,対照群で19.85%(p=0.06),ICU死亡率はスタチン群で14.1%,対照群で29.1%であった(p=0.03).APACHEⅡスコア≧15に限定すると,スタチン群は対照群よりも30日死亡率が有意に低かった(p=0.04).

■以上より,重症敗血症でスタチン内服歴がありかつ予想される死亡率が20%以上の患者集団を対象とし,死亡率を主要評価項目とした多施設大規模二重盲検RCTが望ましいかもしれない.

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by DrMagicianEARL | 2014-01-15 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
■多数の医療関係者が批判している塩野義製薬のインフルエンザの啓蒙CMについて,既に青木眞先生をはじめ多数の医師がブログで問題点を指摘しているため,もうブログ記事にしなくてもいいか,とも思ったが,インフルエンザ診療に携わる医師としてここは声をあげておく必要があるかと思い記事をアップした.

■問題のCMはこちらから見ることができる.
「ちゃんと知ろうインフルエンザ治療のこと」http://www.shionogi.co.jp/influ/
このCMでは,子供をもつ主婦+尾木ママの女子トークで始まる.「インフルエンザって早期治療がいいんだって」のセリフで始まり,尾木ママが「点滴薬まであるんだって」と加わり,最後は「インフルエンザ 早期治療 で検索を」で終わる.さらに,このサイトでは,インフルエンザがどのような病気か,かかったらどうしたらいいか,どんな治療薬があるか,について解説している.おそらく多くの一般市民はこれの何が問題なのかと思うだろうが,医療従事者から見ればおおいに問題である.

問題点1.「抗インフルエンザ薬は不要」という希望選択肢がない

■先述の啓蒙サイトを見ると,「どの治療を受けたいか」で注射薬,内服薬,吸入薬の3択になっている.なぜか「抗インフルエンザ薬は不要」という選択肢がない.投与して当たり前という認識を一般市民に持たせかねない.「インフルエンザに対して有効な薬剤があるならそれを投与すればよい」というほど感染症とは単純な疾患ではない.その病原体に効く薬剤があるからといって,それを投与すればより効果的とは限らないのが感染症の難しいところで,そこを理解していないと薬剤の乱用につながる.薬である以上は副作用を考慮する必要があり,副作用を上回る有用性が得られぬなら,安易にその薬剤は投与すべきではない.

■抗インフルエンザ薬(ここではタミフル®,リレンザ®,イナビル®,ラピアクタ®の4種類のノイラミニダーゼ阻害薬のことをさす)を投与されることによって重症化リスクのない健常成人では21時間の罹病期間短縮という恩恵が得られる一方で重症化率低下や死亡率低下といった有用性は認められないことが2つのメタ解析で示されており[1,2],この結果からは免疫力がある健常成人においては抗インフルエンザ薬を投与せずともさほど影響はないと考えられ,少なくともインフルエンザ患者全員に一律に抗インフルエンザ薬を投与する必要性はないであろう.インフルエンザは多くの場合,自然治癒しうる疾患である.

■その一方で,インフルエンザで重症化しやすい,あるいは死亡率が高まる集団がある.65歳以上の高齢者,妊婦,慢性肺疾患(COPD,喘息,肺線維症,肺結核など),心疾患(僧帽弁膜症,うっ血性心不全など),腎疾患(慢性腎不全,血液透析患者,腎移植患者など),代謝異常(糖尿病,アジソン病など),免疫不全状態の患者といったいわゆるインフルエンザ重症化ハイリスク群の患者である.また,これらのハイリスク群ほどではないが,小児も重症化リスクが若年成人より高い.前述の2つのメタ解析[1,2]で注意しなければならないのは,死亡リスクの高い患者をあらかじめ除外したRCTのみを扱っている点である(RCTを行う以上,リスクの高い患者を組み入れることが困難であった).米国CDCは,「規制当局が保有する臨床試験のみでタミフル®の効果を結論づけるべきではなく,観察研究で評価されるべきである」としてコクランのメタ解析を批判する声明をだしている.

■これらのハイリスク群に対しては抗インフルエンザ薬投与によりメリットが大きくなる可能性が数多く報告されており,Hsuらのタミフル®についての大規模観察研究74報のメタ解析[3]では,ハイリスク群において死亡率を77%減じ,入院を25%減じるとしている.また,2009年の新型インフルエンザH1N1pdm2009のパンデミック時の各国の死亡率をみると,日本が他国と比して非常に低い.これは,海外の他の国では,インフルエンザ罹患時は自宅待機し,タミフル®は服用しない方針であったのに対し,日本においては早期に病院を受診し,タミフル®を処方されていたことが関係しているとされる.これにより,これまでタミフル®処方に対して否定的見解を示してきたWHO,CDCもタミフル®使用検討に方針変更となっている.最も高い死亡率となった米国も「H1N1pdm2009時は日本のようにタミフル®を積極投与をすべきであった」との反省を示している[4]

■抗インフルエンザ薬を使用するとそのインフルエンザに対する抗体が作られにくくなることが報告されており[5,6],このため同一シーズンに2回同じウイルスに罹患しうるということが起こりうる.

■以上のように,抗インフルエンザ薬を使用すれば劇的によくなる,というわけでもなく,副作用のリスクもあり,罹患したのに抗体ができなくなるというデメリットも有する.3割負担でも薬剤だけで1000円以上かかるということもあり,これらを説明した上で患者と相談し,抗インフルエンザ薬を使用しないという選択肢もあってしかるべきであろう.健常成人であれば,重症例でない限りは抗インフルエンザ薬が不要な可能性もあり,それならばわざわざ早期受診する必要性にもおおいに疑問がもたれる(受診せず自宅養生という選択肢もある).一方で重症化リスクの高い患者では早期治療を積極的に考慮すべきであろう.

問題点2.周囲への感染の危険性が考慮されていない

■インフルエンザウイルスの感染経路は飛沫感染である.感染危険距離は1mであり,ヒトが吸い込む飛沫の直径は0.5-5μmであるが,たった1個の飛沫でも感染が成立する.また,ヒトがよく触る部位にウイルスが付着し,それを触った場合はそこから何らかの経緯で気道内に入り込むことがある.咽頭にウイルスが付着した場合,15秒以内にうがいを行わなければ粘膜内に浸潤してしまう(このため,原則としてうがいではインフルエンザは予防できないとされる).それほどインフルエンザウイルスの感染力は強い.

■このようなインフルエンザ患者が病院に来院することは他の患者への危険も伴う.病院には上述のハイリスク群に含まれる患者が多く存在し,その患者に院内で感染することはなんとしても避けなければならない.塩野義製薬はCMやサイトでラピアクタ®という抗インフルエンザ薬の点滴そのものを宣伝したわけではないが,点滴薬の存在を強調しており,サイトでも希望治療薬の一番上に点滴薬を持ってきており,なんとかして間接的にラピアクタ®を強調しようとしていることがうかがえる.日本は点滴が大好きな文化が根付いており,「抗インフルエンザ薬の点滴があるならすごく効きそう」という先入観を与えかねない.このCMやサイトによって抗インフルエンザ薬の点滴を希望する患者が増える可能性は十分にあると思われる.

■ラピアクタ®の点滴時間は15分以上かけて行う必要があり,院内に余計にインフルエンザ患者を長く留め置くことになってしまう.隔離可能な部屋を有する病院ならまだいいが,そうでないならば感染対策上ラピアクタ®を外来で使用することは禁止とすべきだろう.これは何もラピアクタ®に限ったことではない.空気感染,飛沫感染の可能性がある患者に対する外来点滴治療は感染対策上細心の注意を払う必要があり,行わないという選択肢があるならば行うべきではない.

※抗インフルエンザ薬ではないが,ジスロマック®注射製剤の点滴は2時間を要する.外来で投与されるとき,ほとんどの場合は原因菌が確定していないケースがほとんどであり,そのような患者を外来点滴で2時間院内にとどめる場合,感染対策上問題がある.特にインフルエンザ,結核の除外がなされていない状況では問題である.非定型肺炎の診断基準では結核もあてはまってしまうという欠点がある.また,画像検査で結核は否定できない.肺結核において上肺野に病変を認めるのは,免疫正常者では68.1%であり,免疫不全者に至っては38.4%に過ぎない[7]

■病院としてはインフルエンザ患者は帰宅できるのであればさっさと薬剤を処方してできる限り早く帰宅させることが原則で,点滴によって院内滞在時間を長引かせるようなことはすべきではない.

※当院ではラピアクタ®を採用してはいるが,上述の理由により,院内感染対策室の方針で外来でのラピアクタ®投与を禁止している.よって患者からの希望があってもラピアクタ®を外来では使用できないようになっている.

問題点3.耐性化リスクを考慮していない

■微生物の環境適応性は我々の想像をはるかに超えており,今や世界中に抗菌薬耐性の細菌が蔓延している状態にあるが,これはウイルスであっても例外ではない.現在の抗インフルエンザ薬主要4剤が発売されるまではアマンタジンが唯一のインフルエンザ治療薬であった.しかし,インフルエンザウイルスはM2蛋白質の5箇所のアミノ酸のうち1つでも変異が起これば耐性化する.実際にin vitro研究ではアマンタジン存在下でたった1回の継代培養で耐性ウイルス株が検出された.アマンタジン耐性株は2003年に中国で増加傾向となり,わずか3年後には香港型H3N2株の91%が耐性化している.このため,米国CDCはインフルエンザ治療の目的でアマンタジンを使用すべきではないと勧告した.

■アマンタジンの後に登場したのがタミフル®である.このタミフル®は当初は耐性株が出現しにくいと考えられていたが,2004年には小児の入院患者などでタミフル®による治療後に香港型H3N2の18%が耐性化していたと報告されている[8].さらに,2007-2008年シーズンにはソ連型H1N1において高頻度にH275Y変異による耐性株が北欧で出現し,2008年に入って南半球で,2008-2009年シーズンは日本でもH275Y変異による耐性ウイルスが100%でみられるようになった.ラピアクタ®については耐性株の増加は報告されていないものの,やはりH275Y株では感受性低下が示されており,インフルエンザウイルスの耐性化に注意が必要である.リレンザ®,イナビル®も今のところ耐性株の報告はほとんどなく,耐性化しにくいと考えられているが,タミフル®発売時と同様に耐性化しないという楽観論は危険であると思われる.

■医療従事者にとって,感染症における抗菌薬,抗ウイルス薬の適正使用は目の前の患者の治療のみならず,10年・20年先の未来の患者における耐性株感染リスクを減少させるための治療でもある.乱用をすれば耐性ウイルスが増加する可能性がある以上,全患者に抗インフルエンザ薬をすすめるという安易な考えでインフルエンザ診療を行うべきではない.

その他問題点

■この他にも,医療費の圧迫(ラピアクタ®は抗インフルエンザ薬の中でも一番高い),他の疾患(ノロウイルスによる感染性胃腸炎,心筋梗塞,肺炎などなど)の患者でもごった返すシーズンに点滴を施行することによる病院スタッフの仕事量の増加,医師と患者のインフルエンザに対する認識のズレを悪化させてしまう,など塩野義製薬のCM・サイトの問題点は多い.なんとかして感染対策にかかわる医療従事者が苦労して治療薬を適正使用するよう推進し,一般市民にも正しい知識を啓蒙している中で,製薬会社が臨床現場の意図とは真逆の内容をCMやサイトで一般市民に発信するのは遺憾と言わざるを得ない.塩野義製薬は医療関連感染対策研修サポートツールも作成して医療機関に配布している製薬会社でもあるだけに,実に残念である.

■ラピアクタ®は決して不要な薬ではなく,重症例においては積極的に使用すべき薬剤である.しかしながら,上述の様々な問題点を無視し,「早期受診」「早期治療」という聞こえのいいうたい文句での情報発信は啓蒙とは言いがたい.

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by DrMagicianEARL | 2014-01-12 18:20 | 感染症 | Comments(2)
Summary
・70歳以上の肺炎は抗菌薬が進歩しても予後は改善しておらず,その原因は宿主の状態にあり,特に誤嚥は予後不良因子である.
・医療介護関連肺炎分類による抗菌薬の推奨は根拠が乏しく,広域抗菌薬の乱用につながりかねない.
・超高齢者肺炎は心不全,嚥下機能障害を含む廃用症候群,認知症,低栄養状態,電解質異常などを合併した,加齢に伴う種々の機能低下であるfrailty,あるいはpost-frailtyの状態を呈する症候群であり,感染症のみでとらえるべきではない.
・抗菌薬治療は延命効果と急性期の症状緩和効果がある一方で,長期のQOLを悪化させる要因になりえ,入院治療はさらに長期QOLを悪化しうる.
・その一方で,終末期の緩和ケアであれば,苦痛緩和目的での抗菌薬治療も有効であれば許容されるべきかもしれない.その上でオピオイドをはじめとする症状緩和も併用されるべきであろう.
・急性期病院における超高齢者肺炎の診療は治療と同時に大きな侵襲となり,大幅なADL・QOLの低下を招く.
・本邦では超高齢者肺炎患者の多くの家族は嚥下機能低下を過小評価しやすく,その受け入れは初期はしばしば困難であり,十分な説明をもって時間をかけて家族に伝える必要がある.
1.高齢者の肺炎は感染症か?

■肺炎は感染症であり,その治療の主軸は抗菌薬であるとされている.このため,若年者では肺炎で死亡することはまず経験されない.しかしながら,超高齢者肺炎では抗菌薬を投与すれば解決するというものではない.実際に厚生労働省の統計では,70歳を境に肺炎死亡率は増加し始める.日本呼吸器学会が定めた肺炎重症度分類A-DROP[1]でも,男性は70歳以上が,女性は75歳以上が重症度リスクとして挙げられている.また,1970年から1991年までの肺炎死亡率の動向[2]を見てみると,70歳未満は肺炎死亡が減少傾向を示したのに対し,70歳以上は増加している様子がよく分かる.

■この70歳をカットオフとした死亡の増加減少の違いは何か?これは抗菌薬の発達とともに若年層は死亡率が低下したが,70歳以上の高齢者は抗菌薬の進歩の恩恵を受けていないことが推察される.実際に,厚生労働省の人口動態推計の疾患別死亡率を見ると,ペニシリン系抗菌薬が発売された1950年頃,マクロライド系抗菌薬が発売された1965年頃は肺炎死亡率は減少傾向を示しており,若年層の肺炎死亡が大幅に減少したことを反映してのものである.一方,1975年以降にセフェム系,カルバペネム系,キノロン系が発売されたが,死亡率は増加の一途をたどっている.高齢化により70歳以上の人口が増え,これらの集団が抗菌薬では治癒しえない何らかの要因で死亡していることを物語っているものと思われる.

■近年,医療介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン[3]が日本呼吸器学会から発表され,重症度,耐性菌リスクにより,抗菌薬使用について4クラスに分類がなされた.この中で,中等度のC群,重症のD群では広域抗菌薬が推奨され,MRSAリスクのある患者については抗MRSA薬の併用まで推奨がなされている.しかしながら,実際にはC群では推奨抗菌薬を使わずとも予後は変わらない,SBT/ABPCを使用すれば8割は治癒しうる,という報告が学会等で発表されるようになった.これは耐性菌が単なる検出菌であるのか原因菌であるのかについて明確な根拠なしに広域抗菌薬が推奨されてしまった経緯がある.
※当院では,NHCAP診療ガイドラインは広域抗菌薬によるover treatmentにつながること,抗菌薬治療以外について重視していないことから,研修医には一切ガイドラインについて教えていない.

※MRSAを含む薬剤耐性菌を有する患者の予後が悪いことは多くの研究で示されている.しかしながら,高齢者肺炎において抗菌薬の奏功度を見ているとこれらの菌が肺炎起因菌となっていることは実際にはかなり少ないと思われる.耐性菌検出の意味は起因菌であるか否かよりも,その患者の身体機能の衰えを反映しているのではないかと考えている.


■NHCAP診療ガイドラインのお手本である,米国の医療ケア関連肺炎(HCAP)ガイドラインについては,その分類に疑問を呈する報告が相次いでおり,Britoら[4]はHCAPに関するレビューを行い,HCAPガイドラインは広域抗菌薬が不必要な患者にまで広域抗菌薬が投与されており,耐性菌リスクを有する肺炎症例すべでに必ずしも併用療法を行う必要はないとする内容を述べている.Attridgeら[5]もレビューにおいて,HCAPガイドラインを遵守した治療が予後を改善する根拠はないとしている.さらに,Kettらは,薬剤耐性菌を疑われた患者集団においてガイドラインで推奨された広域カバーの抗菌薬併用療法を行ったガイドライン遵守群が非遵守群より死亡率が有意に高かったと報告している[6].2013年にはCharmersらの24報22456例メタ解析[7]において,「HCAPの概念は主に低い質のエビデンスに基づいており,耐性菌を正確に検出していない.HCAPにおける死亡率は耐性菌の高い頻度を反映しない」と結論づけられている.広域抗菌薬や抗MRSA薬は70歳以上の高齢者肺炎においてそれほど大きな意味をなさない,抗菌薬の選択は予後に影響を与えていない可能性が高い.

■ではこの70歳以上という年齢にはどういう特徴があるのか.Teramotoら[8]は,本邦の肺炎患者の多施設前向き研究を行い,年齢別の誤嚥関与の頻度を報告している.これを見ると,50歳から誤嚥は始まっており,60歳代では約半数,70歳代では70%以上,80歳以上では90%前後に達している.70歳以上での誤嚥の関与がいかに多いかであるが,この誤嚥という因子が肺炎の予後決定因子であることも報告されている.使用すべき抗菌薬がほぼ同じになるであろう肺炎球菌肺炎予後を,市中肺炎群(CAP群)と医療ケア関連肺炎(HCAP群)で比較した228例コホート研究PROCORNEU study[9]では,30日死亡率は7.6% vs 29.5%(p<0.001)であり,起因菌と使用する抗菌薬が同一であるにもかかわらずHCAP群で有意に高い結果となった.この中で,誤嚥因子は死亡リスクを5.65倍増加することが示されている.同様に,CAPであろうが,HCAPであろうが,誤嚥が死亡リスクを上昇させる要因であることを示す報告が複数でてきている[10,11]

■誤嚥は嚥下機能低下というベースの合併症の存在に他ならない.さらに誤嚥は数多くの機能低下の氷山の一角に過ぎず,超高齢者肺炎には様々な合併症がつきまとう.心不全,嚥下機能障害を含む廃用症候群,認知症,低栄養状態,電解質異常などであり,抗菌薬治療が予後に関連せず,これらの宿主因子が予後に関連していることは既に多くの報告が示す通りである.これらの患者はいわゆるfrailtyと呼ばれる状態かそれ以下の状態(私はpost-frailtyと表現している)にあり,肺炎治療で実際に難渋するのは肺炎ではなくこれらの背景病態の管理である.すなわち,超高齢者肺炎は感染症というよりも加齢による種々の機能低下による症候群に他ならず,肺炎はその急性増悪病態と考えてよいかもしれない.同様に,超高齢者心不全についても同様の議論はなされるべきと思われる.
※当院では肺炎が治癒せず遷延して死亡するというケースはまず経験することがなく,肺炎が直接死因となることは基本的にない.多くの場合,ベースの慢性心不全の増悪による難治化で,肺炎治癒後も心不全が遷延するケースが死亡する.死亡統計では原疾患が死因として集計されるため,肺炎そのものが直接死因として多いと認識されがちであるが,私はそれには懐疑的である.

2.超高齢者肺炎に抗菌薬治療は意味があるか?

■超高齢者肺炎に抗菌薬治療を行うか行わないかでその後の予後はどう違うのであろうか?そのひとつの答えとなる可能性があるのがGivensらのCASCADE study[12]である.この報告は米国22の介護施設の認知症が進行した肺炎患者225例の前向き観察研究を行ったものである.患者背景を見ると,「Do-not-hospitalised order(入院しない意思表示) 114 (50.7%)」とある.延命治療拒否の意思表示は日本でもDNAR(Do Not Attempt Resuscitate)として知られているが,入院拒否のDNHは日本では馴染みがないだろう.この米国の研究ではこのDNHの意思表示をあらかじめしている患者が約半数にのぼる(もちろん医療保険等の社会的背景の日米での違いはあるが).全患者のうち,抗菌薬を投与しなかった患者は8.9%であった.抗菌薬を投与することで死亡リスクは80%減少し,DNHの意思表示は死亡リスクを2.21倍に有意に増加させた.本研究では,人生の最後(End-of-life)のQOLを快適に過ごせたかについて評価するスケールを用いており,抗菌薬治療を行わなかった患者に比して抗菌薬治療を行った患者はQOLが低く,入院した患者ではさらにQOLが低下していた.

■なお,このCASCADE studyのコホートデータにおいて,保険会社Medicadeの診療ごとの支払いシステム利用者とMedicadeがケアをマネージメントしたシステム利用者を比較した解析[13]では,マネージメント群の方がDNHが多く,急性疾患での病院搬送が少なく,侵襲的介入も少なかったと報告している.

■救命・延命という点では抗菌薬治療や入院は有用かもしれないが,それと引き換えに著しいQOLの低下を伴っており,抗菌薬も病院への入院も患者への侵襲となっていることを示している.実際に誤嚥やDNHの意思表示のないことは侵襲的治療に関連した因子であることが報告されている[14].van der Steenら[15]は,米国とオランダの介護施設の認知症を伴う下気道感染症932例の前向きコホート研究を行い,行動抑制はADLを低下させ,経口抗菌薬治療は3ヶ月死亡率を改善させないと報告している.2012年に米国集中治療医学会からPICS(Post-Intensive Care Syndrome)の概念が提唱されたが,これは疾患そのものの侵襲のみならずICUでの医療行為による侵襲がICU退室後の種々の長期予後を悪化させていることを示しており[16,17],超高齢者肺炎においてもPost-Hospitalized Syndromeとも呼ぶべき問題がある.すべての医療・介護従事者は入院自体が侵襲であることを認識する必要がある.

■逆に抗菌薬治療の差し控えは認知症を進行させる,重症肺炎を惹起させる,食物・水分の経口摂取量が減る,脱水が進行するなどの弊害があることを指摘する報告[18]や,肺炎による死亡の直前は認知症患者において著しい苦痛を伴い,死が差し迫っている状況での抗菌薬の使用はこれらの不快さを減じるかもしれないとする報告[19]もあり,必ずしも抗菌薬を投与しないことがよりよい余生を過ごすことにつながるとは限らない.また,病院の介入は,その患者の終末期において,呼吸困難や疼痛といった苦痛の緩和目的でのオピオイドをはじめとする各種薬剤の投与も(病院によっては)可能であるという一面も有する[20].抗菌薬治療を行わないことは症状面での苦痛を増大させるが,死までの時間は短く[21],ここに入院による緩和ケアの意義はあるかもしれない.

■超高齢者肺炎において,抗菌薬を使うべきか,入院すべきか否かについては個々の患者での熟慮も必要であり,そこには社会的背景や個人の思想・宗教もからんでくるため,今後も答えはなかなかでない問題といえる.「抗菌薬の選択は予後に影響を与えない」は「抗菌薬投与有無は予後に影響を与えない」という意味ではないことに注意が必要であり,抗菌薬を投与しても無駄という風潮を危険視する意見もある[22].まとめると,抗菌薬治療は延命効果と急性期の症状緩和効果がある一方で,長期のQOLを悪化させる要因になりえ,入院治療はさらに長期QOLを悪化しうる.その一方で,終末期の緩和ケアであれば,苦痛緩和目的での抗菌薬治療も許容されるべきかもしれない(ただし,抗菌薬投与による副作用で死亡率が悪化することも知られており,無目的かつ漫然とした使用は避けるべきである).その上でオピオイドをはじめとする症状緩和も併用されるべきであろう.

3.高齢者肺炎における急性期病院の役割は?

■高齢者自身はどう考えているか.認知機能が保たれた介護施設患者へのアンケート調査[23]では,誤嚥性肺炎を繰り返した場合どうするかについて,61.5%が入院を希望し,73.1%が抗菌薬治療を希望した.69%は経鼻胃管栄養を希望せず,71%は胃ろうを希望しなかった.59.6%は再誤嚥のリスクがあっても経口摂取がしたいと答えた.

■当院では軽症であっても肺炎はすべて呼吸器内科で診療を行っている.急性期は積極的加療を行い,抗菌薬に加え,嚥下困難例は早期から一時的に経鼻胃管や中心静脈カテーテルを挿入して栄養管理を行いながら嚥下・運動リハビリテーションを行い,ときにアルブミン製剤を使用することもある.敗血症性ショック例もICUで治療を行わない場合であってもプロトコル導入により一般病棟の治療でも救命率が向上した.急変時no CPR希望が多いため,利尿薬(フロセミド)にすら反応しない心不全合併例の救命は困難であることが多かったが,トルバプタン(サムスカ)の登場によりこれらの難治例も救命できるようになり,死亡率は非常に低くなった.このように急性期の救命という意味では非常に超高齢者肺炎の治療成績がよくなったが,さて,はたしてこれらの当院の治療成績向上は意味があるのだろうか?仮に超高齢者肺炎の平均死亡率よりも当院の死亡率が非常に低かったとしても,それはよりよい医療を提供しているわけではないのではないか?そんな疑問を抱きながら肺炎治療を今日も行っている.

■リハビリと口腔ケアを積極導入することにより早期回復・退院をめざす医療介入を行っても,嚥下困難となり,依然として超高齢肺炎患者の約4割(当院の場合)が経口摂取以外の栄養経路が必要となってしまう現実がある.これらの患者層は可逆的なfrailtyという状態を超えたpost-frailtyという状態にあり,その機能を戻すことはもはや困難な患者集団である.難治例の救命はそれだけ患者に侵襲を与え,身体機能・精神機能を大幅に低下させ,post-frailty状態の患者を生み出しているという現状が急性期病院の肺炎診療にあたる医療従事者につきつけられている.しかしながら米国で導入されているDNHという概念を本邦で普及させるには法整備と自宅や介護施設で看取れる社会環境の変革がまず必要であり,加えて,日本の国民への「老衰」への認識を考えてもらう必要がある.健康日本21で日本国民に周知させるためにメタボリックシンドロームや糖尿病,COPDがとりあげられているが,今の日本国民により必要なのはこの老衰の認識ではないか.残念ながら老化に関しては「アンチエイジング」の認識しか広まっていない.日本人は,風邪ひとつをとってみても分かる通り,「点滴」「病気になったら病院へ」の文化が定着している民族であり,DNHという考え方はなかなか根付かないだろう.

■高齢者肺炎で救急搬送されてくる患者の家族はそのほとんどが患者の嚥下機能の衰えを認識しておらず,肺炎が治れば元通りになると考えている家族は非常に多い.それゆえ,肺炎は治療したが嚥下機能は廃絶していることを告げると,あたかも癌告知のようなショックを受ける家族もおり,誤嚥性肺炎を起こすことは,たとえそれが初めての誤嚥性肺炎であっても嚥下機能がギリギリの状態にまで衰退している場合も少なくはなく,癌の進行と似たようなものなのかもしれない.少なくとも,患者の機能がここまで衰えていること,余生についてそろそろ考えるべき時期がきていることを十分な説明をもって時間をかけて家族に伝えるという意味での入院・救命の意義はあるかもしれない.

※「窒息してもいいから食べさせて」と言う家族もたまにいる.当然ながら“倫理的問題”により病院や施設ではそのようなことは不可能で,嚥下機能廃絶患者に危険を承知で経口摂取してもらうなら自宅で家族に行ってもらうしかない.しかし,人間にとって三大欲のひとつ「食欲」の手段である経口摂取をさせないことは“倫理的問題”にはならないのか?

※現在私は,超高齢者肺炎では,肺炎が治癒しても約4割が経口摂取困難になること,その際は他の栄養摂取経路の選択(末梢点滴,胃ろう,中心静脈ポート)が必要になることを入院時の家族へのムンテラで説明している.さらに,急性期にできるだけ早い改善をもって回復期のリハビリと早期退院でADLを落とさないようにするため,一時的に経鼻胃管や中心静脈カテーテル,アルブミン製剤を使用して(実際に中心静脈カテーテルを挿入するのは末梢点滴がとれないケースがほとんど)短期間の集中的治療を行うことを説明している(これらの退院・転院までの一連の流れはより効率化させるため,TAPERing projectと称する回復期介入のガイドライン/プロトコルを作成し,現在クリニカルパスとして運用を開始している).抗菌薬は耐性菌リスクがあってもほとんどのケースはABPC,SBT/ABPC,CMZで治療(過去に緑膿菌感染の既往があればPIPCまたはTAZ/PIPCを考慮することもある.抗MRSA薬が最初から投与されることはまずない)しており,治療開始4日目前後の奏功度と培養結果を見て継続かescalationするかを決定している(普段はde-escalationを行っているが,超高齢者肺炎だけは例外的に狭域で開始して必要に応じてescalationを行っている).このescalationについて近々コホート研究として報告を検討している.


超高齢者肺炎患者の入院や抗菌薬治療には意味があるか?(2) ~ヒトは肺炎で死ぬのか?~ はこちら

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[23] Low JA, Chan DK, Hung WT, et al. Treatment of recurrent aspiration pneumonia in end-stage dementia: preferences and choices of a group of elderly nursing home residents. Intern Med J 2003; 33: 345-9
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by DrMagicianEARL | 2014-01-06 10:41 | 肺炎 | Comments(3)
 新年明けましておめでとう御座います.今年も宜しく御願い申し上げます.

 今年の最初の記事は,まだ論文化されていない研究内容として,2014年1月9日から13日まで米国サンフランシスコで開催される米国集中治療医学会の抄録集から(個人的に)興味深い内容のピックアップです.

The 43rd Critical Care Congress
January 9-13, 2014
Moscone Center South, San Francisco, California, USA
President: Carol L. Thompson, PhD, ACNP, CCRN, FCCM
Crit Care Med 2013; 41 Suppl
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集中治療室入室が必要ではない可能性がある患者の検出モデル
Sadaka F, Cytron M, Fowler K, et al. A model for identifying patients who may not need intensive care unit admission. SCCM Congress 2014 Oral 1
ICUに入室した全患者を後ろ向きに解析し,APACHEアウトカムデータベースを用いて,day1に1つ以上の生命維持のための積極的加療を受けた患者を検出し,低リスク群(初日に積極的加療を要さず,その後も積極的加療を要するリスクが10%以下の患者)2293例と積極的加療群(ICU入室中に1つ以上の積極的加療を受けた患者)を比較.APACHEⅣスコアは低リスク群34.3±13.4,積極的加療群58.7±25(p<0.0001).ICU在室日数は低リスク群1.6±1.7日,積極的加療群4.3±5.3日(p<0.0001).ICU死亡率は低リスク群0.7%,積極的加療群9.6%(OR 15.0; 95%CI 9.2-24.8; p<0.0001).院内死亡率は低リスク群1.8%,積極的加療群15.2%(OR 9.8; 95%CI 7.1-13.4; p<0.0001).
 米国でも集中治療コストは年間800億ドルに達しており,今後も増加することが見込まれている.限られた医療資源,ベッド,スタッフでICUを運営するためにもICUが必要でない患者を抽出していくシステムは必要で,本研究でもICU全入室患者の29.7%に及ぶ患者が低リスク群に該当している.
外傷性脳損傷におけるHMGB-1トランスロケーションと小膠細胞活性化はミノサイクリンによって減少する
Simon D, Aneja R, Lewis J, et al. HMGB1 translocation and microglial activation after pediatric TBI attenuated by minocycline. SCCM Congress 2014 Oral 10
重症外傷性脳損傷モデルラット17例での動物実験で,ミノサイクリンがHMGB-1トランスロケーションと小膠細胞活性化を阻害した.
 第2世代テトラサイクリン系抗菌薬のミノサイクリンには抗菌作用以外に神経保護作用が知られている.本研究でも指摘された小膠細胞阻害作用については実は早稲田大学の研究で男性の浮気防止効果としてプラセボ対照RCTで有用性が示されている(Watabe M, et al. Sci Rep 2013; 3: 1685).
早期リハビリテーション(mobilization)は脳神経外科ICU患者のアウトカムを改善するか?
Klein K, Mulkey M, Bena J, et al. Does early mobilization improve neuroscience ICU patient outcomes? SCCM Congress 2014 Oral 11
Neurosurgical ICUに入室した637例で,看護師始動の早期リハビリテーション開始プロトコル介入を検討した前向き前後比較研究.介入後は有意に歩行障害,人工呼吸器装着日数,血流感染,圧迫潰瘍,不安,抑うつが減少した.多変量解析では,早期リハビリテーショの方がより運動能があり,ICU在室期間や入院期間が短縮し,自宅退院が多く,不安が少なかった.死亡率,深部静脈血栓症,その他臨床アウトカムには有意差はみられなかった.
 今流行のnurse drivenの早期リハビリテーションプロトコルの有用性研究.血流感染症まで減少したのは意外.死亡率については長期予後でみると有意差がつくのかもしれない.
蘇生後心筋機能におけるβ遮断薬,β遮断+α1遮断薬の効果
Yang M, Hu X, Lu X, et al. The effects of β- and β-, α1- adrenergic blocking agents on post-resuscitation myocardial function. SCCM Congress 2014 Oral 18
心室細動蘇生後モデルラット24例での動物実験.β遮断薬(プロプラノロール),あるいはβ遮断薬とα1遮断薬(プラゾシン)の併用は蘇生後心筋機能障害を減少させ,心筋傷害バイオマーカー放出を減少させた.
 敗血症性ショックでのβ遮断薬については既にPhaseⅡまで有用性が示されているが,心肺蘇生後にもβ遮断薬の研究がでてきた.
ECMOを受ける重症心不全の成人患者において高体重は死亡率を増加させる
Ryan K, Lynch W, Wypij D, et al. Higher body weight increases mortality in adults with severe cardiac failure supported with ECMO. SCCM Congress 2014 Oral 25
米国の2005年から2011年までの多施設ECMOレジストリデータから,体重分布80%タイル以上の肥満群(男性100kg以上,女性90kg以上)と40-60%タイルの非肥満群(男性75-85kg,女性65-75kg)を比較した1611例後ろ向きコホート研究.調整前の死亡率は54% vs 51%(p=0.4)で有意差なし.サブ解析では,心原性(68% vs 54%, p=0.002)と心肺蘇生(84% vs 60%, p=0.03)においては肥満群の方が有意に死亡率が高かった.多変量解析では,肥満が死亡に関連した有意な独立危険因子であった(OR 1.4; 95%CI 1.1-1.7).
 近年の肥満パラドックスとは間逆の結果.ただ,日本人からしてみると40-60%タイル群でもかなり高体重な印象.
重症疾患における血清鉄レベルと血流感染症の関連性
Christopher K, Hajifathalian K, Chanchani S, et al. The association of serum iron levels and bloodstream infections in the critical ill. SCCM Congress 2014 Oral 42
2施設ICUの18歳以上の成人患者4703例の観察研究.血流感染症は18.4%に生じ,そのうち35.2%が敗血症と診断された.30日全死亡率は23.5%.入院前の血清鉄レベル>170μg/dLは60-169.9μg/dLの集団と比して血流感染症リスクが1.38倍(95%CI 1.00-1.92; p=0.050),調整後で1.41倍(95%CI 1.01-1.97; p=0.041),調整後敗血症リスクが1.39倍(95%CI 1.05-1.84; p=0.022),30日死亡リスクが1.42倍(95%CI 1.02-1.96; p=0.035)であった.
 鉄剤静注による感染症増悪は有名だが,入院前の血清鉄濃度で血流感染症発生率のみならず30日死亡率まで増加するとの結果.過剰な鉄剤投与は控えるべきであろう.
重症疾患患者の初期ビタミンD濃度と90日死亡リスク
Quraishi S, Bittner E, Blum L, et al. Vitamin D status at innitiation of care in critically ill patients and risk of 90-day mortality. SCCM Congress 2014 Oral 49
2施設の外科ICU患者100例を前向きに登録したビタミンDについての観察研究.平均血清total 25(OH)Dは17±8ng/mL,total 1,25(OH)2Dは32±19ng/mL.平均生体利用25(OH)Dは2.5±2.0ng/mL,1,25(OH)2Dは6.6±5.3ng/mL.90日再入院率は24%,90日死亡率は22%.Poisson回帰解析では,total 25(OH)Dが1ng/mL増加するごとに入院期間は2%短縮する(OR 0.98; 95%CI 0.97-0.98).共変量調整後,total 25(OH)Dが1ng/mL増加するごとに,90日再入院リスクは16%減少(OR 0.84; 95%CI 0.74-0.95),90日死亡リスクは16%減少(OR 0.84; 95%CI 0.73-0.95).外科ICU患者においてビタミンD補充が予後を改善するかについて無作為化比較試験が必要である.
 ビタミンDが低いと予後悪化に関連するとの結果.
重症疾患生存者におけるICU入院中のせん妄の長期予後
Wolters A, van Dijk D, Pasma W, et al. Long-term outcome of delirium during ICU admission in survivors of critical illness. SCCM Congress 2014 Oral 50
内科外科混合ICUに入室した1101例前向き観察コホート研究.412例(37%)がICU入室期間中にせん妄エピソードを有した.そのうち198例(18%)がICU入室から12ヶ月以内に死亡している.12ヶ月後の調査回答率は64%であった.ICU入室期間中の疾患重症度を含む共変量で調整すると,せん妄と12ヶ月死亡率に有意な関連性はみられなかった(HR 1.25; 95%CI 0.92-1.69).同様に調整するとせん妄は12ヶ月健康関連QOLとも関連性はみられなかった(β -0.04; 95%CI -0.10 to 0.01).しかし,中等度から重度の認知機能障害は共変量調整後でも有意に関連性がみられた(中等度認知機能障害OR 2.41; 95%CI 1.57-3.69,重度認知機能障害OR 3.10; 95%CI 1.10-8,74).
 PICS関連研究.せん妄が長期死亡率を悪化させる報告が近年複数でており,この研究では有意な増加はみられないものの,HR 1.25であり注意が必要.
敗血症性ショックにおける蘇生バンドル遵守:遅くとも行わないよりはよい
Sadaka F, Tannehill D, Trottier S, et al. Resuscitation bundle compliance in septic shock: better late than never. SCCM Congress 2014 Oral 57
2011年7月から2013年1月までの大学病院における敗血症性ショック395例を,6時間以内にSSCGに順じた蘇生プロトコルを施行した群(C6群)95例,6時間以上18時間以内に蘇生プロトコルを遵守した群(C18群)85例,18時間時点で蘇生プロトコルが達成されていない群(NC群)215例を比較した前向き観察コホート研究.3群間で年齢,体重,SOFAスコアに有意差なし.疾患重症度とベースラインで調整したCoxハザード解析では,NC群と比較した院内死亡リスクはC6群で55%減少(HR 0.45; 95%CI 0.24-0.85; p=0.01),C18群で88%減少(HR 0.12; 95%CI 0.04-0.39; p<0.001)した.
 たとえ6時間以内に達成できなくともプロトコルを行わないよりはマシ,という結果.
妊婦における重症敗血症―全国解析
Kumar G, Ahmad S, Dagar G, et al. Severe sepsis in pregnancy - A national analysis. SCCM Congress 2014 Oral 58
米国の2000-2009年までの18歳以上の妊婦の入院患者データを用いた解析.45107956例の妊婦データが得られ,そのうち19351例(0.04%)が重症敗血症であった.年間の重症敗血症発生率は2000年の21/100000から2009年の74/100000に増加していた.重症敗血症の原因の50%は出産時の感染であった.妊婦の重症敗血症の院内死亡率は6.8%であり,2000年から2009年まで変化していない.その一方で,妊婦でない女性の院内死亡率は30.3%であった.重症敗血症は妊婦の全死亡原因のうち23%であった.敗血症のない妊婦の入院期間が2.6日間であったのに対し,重症敗血症発症妊婦は12.9日間であった.
 妊婦の敗血症発生率と死亡率は低いが,死亡率はこの9年間で変わっておらず,死亡原因の1/4を重症敗血症が占めるという結果.
小児における重症敗血症:小児医療情報システムデータベースでみた傾向と予後
Ruth A, McCracken C, Hall M, et al. Severe sepsis in children: trands and outcomes from the pediatric health information system database. SCCM Congress 2014 Oral 59
2004-2012年の小児病院関連小児医療情報システムのデータベースからPICSに入室した新生児でない小児の重症敗血症の解析.全561937例の入室のうち,重症敗血症は7.0%(39372例)であった.併存疾患は76%にみられた.全死亡率は15.1%であった.小児重症敗血症患者のうち,心血管疾患の合併が最も多かった(28.3%,死亡率19.8%).多変量解析では,悪性新生物を有する小児重症敗血症が最も死亡リスクが高かった(OR 2.2; 95%CI 2.1-2.4; p<0.001).血流感染が最も多い感染巣であった(61.2%).PICU在室日数中央値は7日(IQR 3-19),入院日数中央値は18日(IQR 9-39).10-19歳と比較すると,1歳未満が最も死亡リスクが高かった(死亡率19.5%,OR 1.24; p<0.001).ブドウ球菌属は最も多い原因菌であり(10.8%),次いで連鎖球菌属が多かった(5.8%).真菌感染症は多くなかったが(0.6%, n=239),死亡率は16.7%と高かった.3つ以上の臓器障害は死亡のハイリスクであった(死亡率47%; OR 13.4; 95%CI 12.1-14.9; p<0.01).2004年から2012年で小児重症敗血症発生率は有意に増加し(5.1% vs 5.8%; p<0.001),コストも$211784から$232138に有意に増加した(p=0.002).しかし,死亡率は有意に低下していた(19.2% vs 13.2%; p<0.001).
 近年の小児敗血症のデータを知るための重要な研究である.おおむね成人データと同様の傾向が示されている.
敗血症診断日の低体温は低リンパ球血症遷延を予測する
Drewry A, Skrupsky L, Fuller B, et al. Hypothermia on the day of sepsis diagnosis predicts persistent lymophopenia. SCCM Congress 2014 Oral 63
敗血症または菌血症の成人患者445例の後ろ向きコホート研究.免疫疾患既往や免疫抑制薬使用歴のある患者は除外とした.24時間以内の体温で分類し,低体温は36.0℃未満,発熱は38.3℃と定義した.低リンパ球血症は培養後4日目でリンパ球数<1.2細胞/μL×1000と定義した.183例(41.1%)が正常体温,58例(13.0%)が低体温,204例(45.8%)が発熱であった.正常体温群と比較して,28日死亡率は低体温群で有意に高く(48.3% vs 30.6%; p=0.015),高体温群で有意に低かった(21.1% vs 30.6%; p=0.03).診断日の低体温は正常体温と比較して低リンパ球血症遷延と有意に関連していた(調整後OR 2.42; 95%CI 1.03-5.69; p=0.028).生存退院した患者においては,各群で二次感染発症率に有意差はないが,発熱群で低い傾向がみられた.
 敗血症において低体温が最も予後が悪いことはこれまで複数のコホート研究で示されており,今回低体温とリンパ球減少の関連性が示唆された.低体温による免疫力低下は心肺蘇生後の低体温療法の合併症としても知られている.
夜間騒音減少バンドルとアラーム設定調整によるICUの騒音と夜間のアラームの減少
Mattingly AM, Valcin EK. Reduction of ICU noise and alarms with a night-time noise reduction bundle and modified alarm profile. SCCM Congress 2014 Poster 111
内科ICUにおいて,夜間騒音減少バンドルとアラームの調整を組み合わせた介入による前後比較研究.バンドル構成要素は,時間アラームを小さくし,患者の個室を閉じ,輸液ポンプとモニターの音を小さくし,アラームを鳴らすようなワークフローを調整し,テレビやラジオを消し,スタッフの声を小さくすることである.新しいアラーム設定は,アラーム基準を最も厳しくすることで迷惑なアラーム音を減少させるよう調整した.24時間での音の強さは有意に減少し(中央値54.3 to 53.0 dB; p<0.0005),夜間の音の強さも有意に減少した(中央値52.8 to 51.3; p<0.0005).非不整脈によるレッドアラームが増加したにもかかわらず,全アラーム,全イエローアラーム,不整脈によるレッドアラームは有意に減少した.モニター音量,輸液ポンプ音量,時間音量は有意に改善したが,テレビはつけられることが多くなった.ラジオとドア閉めは変化がなかった.
 音による睡眠障害はICUせん妄の大きな要因であるにもかかわらず,多くの施設においては基準をはるかに上回る音量がなっており,睡眠障害が生じていることが報告されてきている.本研究ではなんとかしてICUの騒音を減少させようとする取り組みを提示し,ある程度の統計学的に有意な減少を示したが,臨床的に意味のある減少量かは判断しづらい.また,患者への有用性,安全性についての検討がなされていないところが問題点と思われる.
日本の集中治療におけるFCCSコースの評価
Atagi K, Fujitani S, Ishikawa J, et al. Evaluation the Fundamental Critical Care Support course in critical care education in Japan. SCCM Congress Poster 131
米国でICUをローテーションするレジデントのための訓練コースを日本の臨床に合わせたFCCSコース(2日間のoff-the-jobトレーニング,プレテスト・ポストテストによる評価)の評価.4年間で受講者は増加し,1804名に達した.70%近くの参加者は医師であり,それ以外で最も多かったのは看護師であった.創設した最初の年は臨床経験年数が5年を上回る医師は50%を超えていたが,徐々に減少した.その一方で,レジデントと看護師が増加した.半数近くの参加者が人工呼吸器について有益なセッションと考えていた.プレテストで既に平均点は高かったが(78.8±14.1点),ポストテストでは有意に改善していた(82.0±6.6点; p<0.01).集中治療管理のいかなる分野においても受講者の信頼度は5ポイントスケールでほぼ4ポイントであった.
 日本各地で開催されているFCCSの評価である.私自身も参加したいのだが,いろいろな日程と重なっていまだに1度も参加できずにいる(ただし呑み会だけは1度参加した(^^;)).このコースの特徴は集中治療医というより,むしろそれ以外の医療スタッフを対象にしていることである.集中治療医でなくとも是非一度は受講しておきたいコースである.
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by DrMagicianEARL | 2014-01-03 00:37 | 文献 | Comments(0)

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