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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

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■2014年7月29日の日経メディカルにこのような記事がでていた.プライマリケアの現場における経験ならではの考え方なのかもしれないが,特に症例集積での検討も提示されているわけではなく,正直な話この処方を参考にされるのはさすがに避けていただきたいと思いここにとりあげた.日経メディカルも,専門家による査読があるわけではないので難しい部分はあるだろうが,せめてガイドラインや薬剤添付文書を確認した上で記事掲載を考えていただきたいものである.
COPDの増悪を防ぐ“かぜ薬セット”
生命を脅かす急性増悪 ステロイドで早く炎症抑える

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201407/537531.html
■ここでとりあげられている症例は69歳のヘビースモーカーでⅢ度のCOPD患者,定期処方薬はアドエア®,スピリーバ®レスピマット,クラリス®(長期低用量マクロライド療法),サルタノールインヘラー®(頓用)である.COPDでは去痰薬が有効であるとしてガイドライン上推奨されているのであるが,定期処方されてはいないようである.ただ,実際の喀痰の評価が書かれていないため必要性の推定は困難ではある.

■それよりも気になるのが増悪時の処方である.
「プレドニン®5mg 6錠分3,PL顆粒® 3g分3,テオドール®100mg 3錠分3,フスコデ配合錠® 9錠分3,クラビット®500mg 1錠」

■プレドニン®の処方は妥当であるが,問題はそれ以外の処方である.簡単に言うと,COPD急性増悪病態への有効性が疑問であるばかりか有害事象リスク,薬物相互作用のオンパレードである.理由を以下に述べる.

■PL顆粒®はいわゆる風邪薬であり,はたしてそもそも風邪に有効なのかは疑わしい部分もあるが,これが仮に風邪に有効であったとしても本症例では使用すべきではない.本患者は抗コリン薬であるスピリーバを使用しており,PLと併用すると抗コリン薬の作用が増強され,副作用リスクが高まる.本患者で心疾患の評価がなされたかは不明であるが,死亡率上昇が指摘[1-3]されたスピリーバ®レスピマットは心血管リスクを有する患者においてはまだ安全とは言い難い状態にあり(TIOSPIR study[4]は心血管リスクを有さない患者も含まれているため評価できない),抗コリン薬の作用を増強するような薬剤は避けるべきである.なお,ガイドラインにはPLの記載はどこにもない.

■テオドール®などのいわゆるメチルキサンチンは,入院率,入院期間,自覚症状を改善させる結果は得られず,有効域と有害域が近いため嘔気,嘔吐の副作用も多く[5],COPD急性増悪においては日本呼吸器学会[6],GOLD[7],NICE[8],ATS/ERS[9],豪州[10],カナダ[11]のすべてのガイドラインで第一選択で推奨はされていない.有害性を考慮すれば,使用するとすれば他の気管支拡張薬に対する効果が乏しいときのみ静注で使用とされており,基本的には使用すべきでないという意見の方が多いようである[12].また,本患者では普段からテオドールを使用しておらず,急性増悪時に有効性を得ようとするならば静注によるローディングが必要となるため,テオドール®100mgの3錠分3の内服に効果があるのかは疑問である.さらに,本患者はマクロライド系抗菌薬のクラリス®を定期内服しており,おまけにニューキノロン系抗菌薬クラビット®も処方されている.これらの抗菌薬併用によりテオドールの血中濃度が予期せぬレベルに上がるリスクもあり,クラビット®の痙攣リスクも上昇する.以上から本患者においてはテオドール®を使用するメリットが少ないばかりか有害性が上回るリスクをはらんでいる.

■フスコデ®は鎮咳去痰配合剤であり,ジヒドロコデインリン酸塩を含む.COPD患者に対してはRCTで効果が既に否定されている.併用により抗コリン薬スピリーバ®の血中濃度が上昇するリスクがあり,また,COPD急性増悪に鎮静・呼吸抑制作用を有する薬剤は避けるべきであろう.急性増悪にルーティンで本剤を処方する必要性は疑問である(なお気管支喘息発作に対しては禁忌である).

■クラビット®も本患者においては推奨できない.本患者はCOPDであり,気道クリアランスが低下しているため,下気道に菌が定着しやすく[13],結核発生リスクが2.5-24.9倍[14,15]まで増加することが報告されている.加えて吸入ステロイド(アドエア®に含まれる)を定期吸入しており,Dongら[16]の25報22898例のメタ解析ではCOPD患者のステロイド吸入により結核のリスクが2.29倍増加することが報告されている.

■クラビット®をはじめとするキノロン系抗菌薬は結核菌に対する抗菌活性を有しており,肺結核ではキノロン投与により3日前後で65.8-83%で臨床症状が軽快してしまい[17,18],その後耐性化して再増悪する.結核診断前のキノロン暴露では上記一時的症状改善のみならず喀痰中結核検査の陽性率が73%低下する[19]などで診断が遅れ,最終的に結核治療開始は入院から21-34日後まで遅れる[17,20](キノロン非曝露群では入院から平均で5日後に治療が開始される).結核菌の分裂増殖は遅く,最適環境下でも10-15時間に1回程度である.しかし,この速度で増殖しても19日後には10^9個という致死的菌量に達しうる.治療開始がもし21-34日間遅れればどうなるかは想像するにたやすく,実際に結核診断前のキノロン曝露により死亡リスクは1.8-6.9倍に増加すると報告されている[17,21]

■なお,結核は胸部X線,ときにはCT撮影であっても除外できない.「上肺野の空洞陰影を伴う肺炎像」という教科書的な典型的像をとらないこともしばしばあるからであり,呼吸器内科医といえども画像だけでは判断に迷うことも多い.肺結核において上肺野に病変を認めるのは,免疫正常者では68.1%であり,免疫不全者に至っては38.4%に過ぎない[22]

※プライマリケアの場において結核を考慮せずに安易なキノロン系抗菌薬投与が行われた結果,再増悪して入院し,喀痰からの検出が遅れ,最終的に死亡に至る症例を経験した医師は少なくないだろう.同時に院内感染対策上も非常に問題となる.一般的にキノロン系抗菌薬が呼吸器感染症で第一選択として使用する必要性はむしろ低く,増悪時に患者に服用させるためにあらかじめ持たせておくという方法は決して行うべきではない.

[1] Singh S, loke YK, et al. Mortality associated with tiotropium mist inhaler in patients with chronic obstructive pulmonary disease: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2011; 342: d3215
[2] Dong YH, Lin HH, Shau WY, et al. Comparative safety of inhaled medications in patients with chronic obstructive pulmonary disease: systematic review and mixed treatment comparison meta-analysis of randomised controlled trials. Thorax 2013; 68: 48-56
[3] Verhamme KM, Afonso A, Romio S, et al. Use of tiotropium Respimat Soft Mist Inhaler versus HandiHaler and mortality in patients with COPD. Eur Respir J 2013; 42: 606-15
[4] Wise RA, Anzueto A, Cotton D, et al; TIOSPIR Investigators. Tiotropium Respimat inhaler and the risk of death in COPD. N Engl J Med 2013; 369: 1491-501
[5] Barr RG, Rowe BH, Camargo CA Jr. Methylxanthines for exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease: meta-analysis of randomised trials. BMJ 2003; 327: 643
[6] 日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会編.COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版.大阪:メディカルレビュー社,2013
[7] NHLB/WHO Workshop Report : Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive lung disease. Updated 2006
[8] CG101 Chronic obstructive pulmonary disease (update) : NICE guideline 21 June 2010 http://www.nice.org.uk/nicemedia/live/13029/49397/49397.pdf
[9] Celli BR, MacNee W; ATS/ERS Task Force. Standards for the diagnosis and treatment of patients with COPD: a summary of the ATS/ERS position paper. Eur Respir J 2004; 23: 932-46
[10] Australian and New Zealand guidelines for the management of chronic obstructive pulmonary disease 2010. http://www.wdhs.net/sites/default/files/pph-cc-resp-x-plan2010.pdh
[11] O'Donnell DE, Aaron S, Bourbeau J, et al. Canadian Thoracic Society recommendations for management of chronic obstructive pulmonary disease - 2007 update. Can Respir J 2007;14 Suppl B: 5B-32B
[12] Town GI. Aminophylline for COPD exacerbations? Not usually. Thorax 2005; 60: 709
[13] Ernst P, Gonzalez AV, Brassard P, et al. Inhaled corticosteroid use in chronic obstructive pulmonary disease and the risk of hospitalization for pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2007; 176: 162-6
[14] Kim JH, Park JS, Kim KH, et al. Inhaled corticosteroid is associated with an increased risk of TB in patients with COPD. Chest 2013; 143: 1018-24
[15] Lee CH, Lee MC, Shu CC, et al. Risk factors for pulmonary tuberculosis in patients with chronic obstructive airway disease in Taiwan: a nationwide cohort study. BMC Infect Dis 2013; 13: 194
[16] Dong YH, Chang CH, Wu FL, et al. Use of Inhaled Corticosteroids in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and the Risk of Tuberculosis and Influenza: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Chest 2014 Feb 6
[17] Wang JY, Hsueh PR, Jan IS, et al. Empirical treatment with a fluoroquinolone delays the treatment for tuberculosis and is associated with a poor prognosis in endemic areas. Thorax 2006; 61: 903-8
[18] Dooley KE, Golub J, Goes FS, et al. Empiric treatment of community-acquired pneumonia with fluoroquinolones, and delays in the treatment of tuberculosis. Clin Infect Dis 2002; 34: 1607-12
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[22] Kobashi Y, Mouri K, Yagi S, et al. Clinical features of immunocompromised and nonimmunocompromised patients with pulmonary tuberculosis. J Infect Chemother 2007; 13: 405-10
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by DrMagicianEARL | 2014-07-29 21:53 | Comments(0)
■ちょっと古いものも含まれますが,ARDSおよびECMO(その他体外生命維持装置含む)に関する重要文献2つを紹介します.1つ目はAnnals Intensive Care誌に掲載されたガイドライン(2013年12月に欧州のコンセンサスカンファレンスで取り決められたARDS患者における体外生命維持装置に関する65の推奨がGRADEシステムを用いて示されました).これは全文フリーで閲覧できますので是非御参照ください.もう1つはIntensive Care Medicine誌に掲載されたARDS治療に関する過去のRCT,メタ解析のすべてがつまった網羅的レビューで,文献整理にも非常に便利です.
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者における体外式生命維持装置:コンセンサスカンファレンスレポート
Richard C, Argaud L, Blet A, et al. Extracorporeal life support for patients with acute respiratory distress syndrome: report of a Consensus Conference. Ann Intensive Care 2014; 4: 15
PMID:24936342
全文フリー閲覧可

Abstract
2009年のインフルエンザH1N1エピデミックは相当数の人々が重症急性呼吸窮迫症候群と難治性低酸素血症に進展した.これらの患者において,体外式膜型人工肺(ECMO)が可及的酸素化治療として用いられた.いくつかの無作為化臨床試験や観察研究では,肺保護換気療法と関連するECMOはアウトカムを改善できることを示唆したが,その効果はいまだに不明確なままである.Société de Réanimation de Langue Française (SRLF),Société Française d'Anesthésie et de Réanimation (SFAR),Société de Pneumologie de Langue Française (SPLF),Groupe Francophone de Réanimation et d'Urgences Pédiatriques (GFRUP),Société Française de Perfusion (SOFRAPERF),Société Française de Chirurgie Thoracique et Cardiovasculaire (SFCTV),Sociedad Española de Medecina Intensiva Critica y Unidades Coronarias (SEMICYUC)で組織されたコンセンサスカンファレンスが2013年12月に開催され,急性呼吸窮迫症候群の患者における体外式生命維持装置の位置づけに必要な,次に示す5つの疑問点についての回答として,13人のメンバーが65の推奨を記載した.
1) 利用可能な体外式生命維持装置は何か?
2) どの患者が体外式生命維持装置の恩恵を受けうるか?
3) 体外生命維持をどのように行うか?
4) いつ,どのように体外式生命維持を中止するか?
5) どの組織が推奨を行うべきか?
推奨を記載する上で,科学的根拠に基づいた医療(GRADE法),専門家の意見,コンセンサスカンファレンスの13人のメンバー全員の共有決定が考慮されている.
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の生存における介入効果:159の無作為化試験と29のメタ解析の網羅的レビュー
Tonelli AR, Zein J, Adams J, et al. Effects of interventions on survival in acute respiratory distress syndrome: an umbrella review of 159 published randomized trials and 29 meta-analyses. Intensive Care Med 2014; 40: 769-87
PMID:24667919

Abstract
【目 的】
多数の介入が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)において試みられている.我々はARDSにおいて死亡率を報告している,出版された無作為化比較試験(RCT)または各メタ解析のすべての項目を検討した.

【方 法】
我々は,2013年7月まででPubMed,the Cochrane Library,Web of Knowledge untilから検索を行った.英語で出版されたARDSのRCTを登録した.新生児や小児,あるいは短期介入,ARDS予防,外傷後肺傷害の試験は除外した.また,死亡率を明示しているRCTのメタ解析もレビューを行った.治療法は5つのカテゴリー(人工呼吸管理戦略と呼吸ケア,経腸または静脈栄養,吸入・経気管的薬剤投与,栄養支持療法,循環動態モニタリング)に分類した.

【結 果】
159の出版されたRCTが抽出され,そのうち93報は全死亡率を報告しており(n=20671),44報は主要評価項目として死亡率を報告していた(n=14426).統計学的に有意な生存有益性は8報(7つの介入)で観察され,2報は有害事象を報告していた.少なくとも1つの治療アームにおいて50例以上の死亡を有するRCTでは,2報が介入(低1回換気,腹臥位)により死亡率の統計学的に有意な改善を示し,1報(筋弛緩薬cisatracurium)は統計学的に有意な死亡率改善効果を調整解析においてのみ示し,1報(HFOV)が有意な有害性を示した.29報のメタ解析では,最も一貫していたエビデンスは低1回換気と重症ARDSにおける腹臥位においてのみ見られた.

【結 論】
ARDSにおいて死亡率を改善しうる特異的介入を支持するエビデンスは限られている.低1回換気と重症ARDSにおける腹臥位は効果的である一方で,死亡率減少を示唆する介入の大部分の知見はメタ解析を含む大規模エビデンスにおいて一貫して補強されていない.

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by drmagicianEARL | 2014-07-28 16:36 | 敗血症性ARDS | Comments(0)
■ICU患者に対する早期リハビリテーションにおいて,標準的リハビリテーションよりもさらに先進的なもの(強化した有酸素運動や電気刺激などなど)をがっつりと取り入れるのはむしろよくないようです.副次評価項目とはいえ,RCTで長期死亡リスク1.74倍は無視できません.入院早期はやりすぎず,標準的リハビリテーションにとどめておくべき,というsuggestionになります.More is not always betterの原則はリハビリテーションにも適応されるということでしょう.
慢性呼吸器疾患の増悪による入院中の回復を強化するための早期リハビリテーション介入:無作為化比較試験
Greening NJ, Williams JE, Hussain SF, et al. An early rehabilitation intervention to enhance recovery during hospital admission for an exacerbation of chronic respiratory disease: randomised controlled trial. BMJ 2014; 349: g4315
PMID:25004917

Abstract
【目 的】
慢性呼吸器疾患増悪による入院急性期における早期リハビリテーション介入が12ヶ月以上での再入院リスクを減少させ,身体機能や健康状態への悪影響を減少させるかを検討する.

【方 法】
研究デザインは前向き無作為化比較試験である.研究は大学病院の急性期循環呼吸器ユニットと地区総合病院の急性期内科ユニットで行った.慢性呼吸器疾患増悪で入院してから48時間以内の45歳から93歳までの患者389例を,早期リハビリテーション介入群(196例)と標準ケア群(193例)に無作為に割り付けた.主要評価項目は12ヶ月時点で再入院率とした.副次評価項目は入院日数,死亡率,身体機能,健康状態とした.主要解析はITT(Intent-to-treat)で行い,二次アウトカムとしてPP(per--protocol)解析を行った.早期リハビリテーション群の患者は入院から48時間以内に開始し,6週間の介入を受けた.介入は,規定された,積極的有酸素運動,抵抗,神経筋電気刺激トレーニングが含まれた.また,患者は自己管理と教育パッケージも受けた.

【結 果】
389例のうち,320例(82%)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断された.233例(60%)は追跡年のうちに少なくとも1回は再入院した(介入群62%,対照群58%).両群間に有意差はみられなかった(HR 1.1; 95%CI 0.86-1.43; p=0.4).1年時点で介入群において死亡率の増加がみられた(OR 1.74; 95%CI 1.05-2.88; p=0.03).退院後に両群において身体機能,健康状態は有意に回復したが,1年時点で両群間に有意差はみられなかった.

【結 論】
慢性呼吸器疾患での入院中の早期リハビリテーションは,12ヶ月以上のイベント追跡において,再入院リスクを減少させず,身体機能回復を増強しなかった.12ヶ月時点での死亡率は介入群の方が高かった.この結果は,最近の標準的リハビリテーションを超えた先進的運動リハビリテーションを急性疾患早期に開始すべきではないことを示唆する.

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by DrMagicianEARL | 2014-07-17 00:00 | 文献 | Comments(0)
2013年4月16日作成
2014年7月16日改訂(2014年7月13日に日本救急医学会・日本集中治療医学会共催の大阪敗血症セミナーで私が講演した内容を追記して改訂しております)

Summary
・敗血症のアウトカムを28日死亡率で評価することは妥当ではなく,より長期の生命予後・機能予後の評価が必要であることが近年指摘されている.
・ICUでの治療後の長期アウトカム悪化に関連しうる障害の集合概念としてPICS(post-intensive care syndrome)が提唱された.
・PICSは基礎疾患による侵襲みならず,医療行為・ICU環境・患者の精神的要因による侵襲の関連も示唆されており,ICUにおける侵襲の長期予後への影響を認識し,これらを予防する対策を講じる必要がある.
・現時点でPICSはSSCGにも日本版敗血症診療ガイドラインにも組み込まれていないが,2016年の日本版敗血症診療ガイドラインの改訂で初めて組み込まれる予定である.
・特定の医療行為がPICSの原因であるとする報告は多数あるが,質の低い観察コホート研究やRCTの二次解析しかなく,各種バイアスや統計学的解析手法の限界を考慮する必要がある.
・長期の予後は様々な社会的要因が関係しているとされ,国や地域,個人によっても大きく異なりうる.このため,本邦独自の調査が必要である.
Key Word
・PICS:post-intensive care syndrome
・ICUAW:ICU-acquired weakness
・長期予後:long-term mortality

■PICS「ピックス」という言葉を聞いたことがあるだろうか?PICSはPost-Intensive Care Syndromeの略であり,一言で言えば「ICUから生存退室した後の後遺症」である.まだ登場して間もないこのPICSの概念は,PubMedで文献検索してもヒット数は20件にも満たない.もっとも,「ICU退室後の慢性期の概念なのであれば救急・集中治療医は関係ない」と思われるかもしれない.しかし実際にはそうではなく,むしろICU在室中が深くかかわってくる概念である.ここにPICSについて概説する.

1.敗血症患者のアウトカムをどうとらえるか?

■「重症敗血症患者に治療薬Xを投与したところ,対照群と比較して28日死亡率が有意に改善した.」「当院における重症敗血症患者の28日死亡率は15%であった.」このような論文や学会発表を目にしたことはないだろうか.この28日死亡率とは何か?

■以下に2つの症例を提示する.
症例1.80歳女性.ADL自立,認知症なし,糖尿病既往.急性腎盂腎炎による敗血症性ショックでICUに入院,APACHE II score 30点,SOFA score 12点.28日後も生存.

症例2.80歳女性.ADL自立,認知症なし,糖尿病既往.急性腎盂腎炎による敗血症性ショックでICUに入院,APACHE II score 30点,SOFA score 12点.28日後も生存.
この2つの症例は1字1句まったく同じであり,いずれも治療によって28日間生存している.次に各症例の2年後をみてみる.
症例1.車椅子生活となり,認知症が進行し,ADL低下による誤嚥性肺炎の入退院を繰り返し,心不全を併発して死亡.

症例2.杖歩行ではあるが外出も可能.認知症はごく軽度で,来週家族と旅行に行く.
この2つの症例は何が違ったのか?年齢,背景,既往,疾患,重症度すべて同じにもかかわらず,2年後にこのような違いがなぜでてくるのであろうか?

■Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)により敗血症の予後は大きく改善し,敗血症診療は次なる目標に舵を切り始めている.近年,敗血症の死亡率は28日死亡率だけでなく90日死亡率でも評価している報告が多い.これは,28日死亡率はプライマリエンドポイントとしては妥当でない可能性が指摘されており[1],退院後もQOLの障害は続き,これが死亡率に影響を与える可能性がある.実際に,初期治療が不十分なケースや臓器不全を残したケースにおいては28日以上生存することも珍しくはなく,90日という期間で見れば28日死亡率より悪化しうることはよく知られている事実である.また,退院後でも後遺症が発端となって状態が悪化して再入院,死亡に至るケースなどもある.このことから,より長期的な患者状態の評価をアウトカムとする流れがでてきている.

2.長期的アウトカムに影響を与えるのは疾患そのものによる侵襲だけか?

■6ヶ月の長期予後を検討した初めての前向き研究が2013年にNesselerら[2]により報告されている.これはフランス単施設での敗血症性ショック96例の観察研究であり,6ヶ月死亡率は45%であり,生存者は死亡者に比べて,有意に若く,乳酸値とSAPSⅡが低く,腎代替療法やステロイド使用頻度が少なく,入院期間が長い傾向があった.一方で,生存者でも6ヶ月後のQOLは低下していた.

■さらに,近年,敗血症をはじめとする,ICU退室後の生存者の長期的機能予後について非常に多数の観察研究が報告されるようになっている.例えば,ICUからの生存患者は長期的な認知機能や運動機能を悪化させる[3,4],PTSDの発生はレイプ,戦争の次にICU入院が多い[5,6],重症敗血症生存者は非重症敗血症患者と比較して1年間の福祉利用が増加する[7]など,ICU退室後の長期的なQOLの低下を示唆する報告は多い.

■これらの長期的アウトカムの悪化について,「敗血症という疾患そのものが重症なのだから,後遺症で長期的機能予後が悪化することは仕方がない.」とこれまで考えられてきたが,はたしてそうであろうか?ひとつの研究を紹介する.Givensら[8]は,米国の22の介護施設で認知症が進行した肺炎患者225例の前向き観察研究(CASCADE study)を行っており,登録された患者のうち,DNH希望(Do-not-hospitalized order;入院しない意思表示)が50.7%を占めていた.当然ながら,肺炎であることから抗菌薬を投与することで死亡リスクは80%減少し,DNHの意思表示は死亡リスクを2.21倍に有意に増加させた.一方,この研究はQOLも評価しており,人生最期のQOLを評価したEnd-of-Lifeスコアは抗菌薬投与や入院により著しく低下していたのである.このような身体機能が衰えだしたfrailtyの状態にある高齢患者は医療介入による影響が非常に大きい.すなわち,入院,医療行為もまた侵襲であることを我々は認識しなければならない.ICU患者においては医療介入による侵襲は非常に大きく,疾患そのものによる侵襲以外にも我々医療従事者が患者に与える侵襲の大きさを認識しなければならない.

■これらの教訓として,救命のためなら予後改善のエビデンスが乏しい治療でもとりあえずやっておこう,保険が通っているからとりあえずやっておこう,という安易な考えは避けるべきであると思われる.有益性が得られないどころか長期的に有害性が生じる可能性もあるのであれば,そのような治療を漫然と行うべきではない.

3.PICSという概念の登場

■ここまで述べた通り,急性期は救命できても,長期的には死亡率上昇やQOLが低下しているという事実が無視できない状況であることが明らかにされてきた中で,2010年の米国集中治療医学会(SCCM;Society of Critical Care Medicine)の合同カンファレンスにおいて,ICU退室後の長期アウトカムを改善する指針が提示された[9].その中で,PICS(Post Intensive Care Syndrome;直訳すると集中治療後症候群)という概念が初めて提唱された.このPICSは,PCAS(Post Cardiac Arrest Syndrome;心停止後症候群)[10,11]に続く用語として好ましいとされている.PICSの概念図を以下に示す.
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■PICSはICUで集中治療を受けた生存患者のみならず家族をも巻き込んでしまうこと[12-16],呼吸障害や神経筋障害[17-19]などの身体的障害や認知機能障害のみならず精神的障害[6]も生じうることを重要視している.救命のために不可避な治療行為の侵襲性は想像している以上に患者の長期予後に大きな影響を与えており,救命という短期予後改善の引き換えに医原性の長期予後悪化を伴うというジレンマが生じている.

■これまで,ICUで治療を受けた敗血症患者は救命か治療限界かの2択と考えられてきた.しかし,敗血症の治療成績が向上し,多くの重症敗血症患者が救命されるようになってきた中で,ICU退室後に一般病棟に移ってそのまま軽快退院し,社会復帰するとは限らない患者,すなわちPICSに陥った患者も増加してきた.PICS患者には著しい機能低下により余生をどう過ごすかの判断が迫られる患者も存在し,慢性期のEnd-of-Lifeケアの対象となることがある.その一方で,リハビリテーションなどを積極的に行い,PICSから社会復帰を目指すこともできる.これまで救命のみを目指してきた救急・ICUの治療から脱却し,その先にある社会復帰を目指す上でPICSという概念は非常に重要である.
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■現在,救急・集中治療分野において,PICSはEnd-of-Lifeと双璧をなす新たな課題となっているが,残念ながら2012年に発表された日本版敗血症診療ガイドライン[20]もSSCG 2012[21]にもその点に関しては一切触れられていなかった.しかし,2016年に改訂予定の日本版敗血症診療ガイドラインにおいて,PICSは新たに大項目として追加される予定であり,敗血症ではSSCGにもない推奨を日本が先陣を切って発信することになるかもしれない.

4.PICSの原因となる医療介入と予防・治療

■長期アウトカムに影響を与える因子は数多くの報告があり,またそれらの因子に影響を与える因子も様々であるため,PICSの原因は非常に多岐にわたる.つきつめていけば,ほとんどすべての医療介入はPICSの原因となりうるのである.これらの原因を大きく3つに分けるならば,①検査・治療・ケア因子,②環境因子,③精神因子が挙げられる.PICSの予防・治療に関するエビデンスはまだまだ乏しいが,これまで培われてきたICUにおける様々な取り組みを活用することでPICSを予防・治療できる可能性があり,幸いなことにこれらを達成するための各種エビデンス,ガイドラインが存在する.

■①検査・治療・ケア因子としては,各種薬剤(薬剤の副作用),過剰輸液,血液浄化療法,挿管人工呼吸,各種カテーテル,各種血液製剤,体位変換,気道吸引,各種侵襲的検査などであり,ほぼすべてが何らかの侵襲を伴う.これらの対策として,根拠の乏しい治療の回避,低侵襲治療,ABCDEバンドルを活用した人工呼吸器・ICU早期離脱,PADガイドラインを活用したせん妄予防,リハビリテーション,各種ルーチンの見直しなどが考えられる.

※余談であるが,治療薬の中でQOLがむしろ改善したとする珍しい報告がある.Rubleeら[22]は敗血症患者に対するアンチトロンビン製剤を検討した大規模二重盲検RCTであるKyberSept trial[23]の二次解析を行い,ヘパリンを投与されていないアンチトロンビン製剤投与患者はプラセボ群より有意にQOLが高かったと報告している.この報告はなぜか研究会や学会どころかアンチトロンビン製剤のメーカーの宣伝ですらほとんど引用されていないが,はたしてDIC治療がPICS予防に寄与するのか非常に興味深いところではある.

■②環境因子としては,アラーム音,閉塞空間,ICU環境菌による二次感染リスクなどがある.これらの対策としてICU環境整備,耳栓,接触感染予防の徹底などがある.

■③精神因子としては,不眠,ICU滞在による精神ストレス,自身の病状や社会的・経済的背景等に対する不安などがある.これらの対策として,患者や家族のメンタルケア,日記をつける,面会時間を見直す,などがある.

■現在,敗血症生存者に対する,退院時管理およびエビデンスに基づいた敗血症後遺症のケアが長期的(最大24ヶ月)健康関連QOLを改善するかについて評価する多施設共同RCTであるSMOOTH study[24]が開始されている.

■PICS予防にあたり,リハビリテーションはかなり有効であろうと考えられ,中核的位置づけになると思われるが,標準的リハビリテーションを超えた,強化有酸素運動や電気刺激等の先進的強化リハビリテーションを入院早期から行っても身体機能回復は標準的リハビリテーションと有意差なく,むしろ1年死亡リスクが1.74倍に増加したというRCTが報告されており[25],やりすぎないよう注意が必要である.

5.PICSのエビデンスの注意点
■特定の医療介入が長期アウトカム悪化の原因となりうることを示唆する研究は多数存在するが,これらには注意が必要である.PICS関連を主要評価項目として検討したRCTは実はほとんど存在せず,観察コホート研究かRCT二次解析研究(多数の脱落例が生じる可能性あり)しかない.すなわち,質の低い研究結果にもとづいていることになる.

■さらに,これらの研究では多変量解析(重回帰,propensity matching解析など)を用いた研究が多いが,事後で組み込む変数を決定しているために恣意的バイアスがかかることになり,また,統計学的処理の限界により,重症患者に優先的に行われる医療介入が長期予後を悪化させるという偏った結果を招いてしまう懸念もある.

■さらに,長期予後の評価に伴う多数の交絡因子の存在による信頼性の限界も存在する.そこには社会的要素もおおいに関与してくる可能性もあり,国や地方,患者の社会的背景にも左右されうると推察されている.その一方で,重症敗血症の国際コホートデータであるPROGRESS(Promoting Global Research Excellence in Severe Sepsis) registry[26]の二次解析(24カ国7022例,死亡率49.2%,最低死亡率30.6%,最高死亡率80.4%)が行われた[27]が,多変量解析では,先進国であるか発展途上国であるかは関係がなく,一人当たりの国民総生産高も関係がないという結果であった.加えて,重症度の予後の既知のすべてのマーカーは死亡率の国際的差異を十分には説明しえなかった.

■以上から,他の組織的あるいは構造的要因が患者診療と転帰の格差を生む出している可能性もあり,極めて複雑な交絡因子が存在する可能性が推察される.このため,日本独自の長期予後の検討も必要である.しかしながら,長期予後の評価は追跡調査が必要なため非常に難しく,特にコホートシステムが乏しい本邦ではさらに困難となることが予想される.それを補助する手段としてDPC診療データの解析が目安になりうる.ただし,DPC診療データは検査値などが含まれず,病名がアップコーディングされているケースもあるため,評価が難しい側面を有する.これらのことから長期予後の現状を把握するのは困難といえる.最良の評価方法はRCTということになるが,長期的に追跡しながらQOLを評価するアンケート調査を行うのは非常に難しい.現実的には大規模かつ質の高い前向きコホート研究に頼らざるを得ないと推察される.

■長期予後評価においてはQALYs[28]の概念を知っておく必要がある.これはとりわけ薬剤経済学(Pharmacoeconomics)において重要視されている.QALYs(Quality Adjusted Life Years;質調整生存年)とは,生存年数とQOLを統合した指標である.すなわち,横軸に生存年数,縦軸にQOLを設定したときのKaplan-Meier曲線下面積がQALYsに相当する.今後このような指標での評価も必要となるだろう.

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[27] Silva E, Cavalcanti AB, Bugano DD, et al. Do established prognostic factors explain the different mortality rates in ICU septic patients around the world? Minerva Anestesiologica 2012; 78: 1215-25
[28] Raisch DW. Understanding quality-adjusted life years and their application to pharmacoeconomic research. Ann Pharmacother 2000; 34: 906-14
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by DrMagicianEARL | 2014-07-16 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
さあ,今年もついにこの季節がやってまいりました.明日からの臨床に役立たない(一部役に立つかも?)論文を私の独断と偏見で40報選んできました.小ネタとして使うもよし,抄読会に使うもよしです.

ドリップコーヒーは慢性C型肝炎患者の肝機能を改善させるが,他のコーヒーではダメ
Sasaki Y, et al. Effect of caffeine-containing beverage consumption on serum alanine aminotransferase levels in patients with chronic hepatitis C virus infection: a hospital-based cohort study. PLoS One 2013; 8: e83382
C型肝炎ウイルスRNA陽性患者376例においてALTとコーヒー消費量を調査.毎日のドリップコーヒーは用量依存性にALTを低下or正常値を維持させる効果がある.缶コーヒー,インスタントコーヒー,ノンカフェインコーヒーでは効果乏しい.

お香もタバコと同様に体に毒?
Cohen R, et al. Hazard assessment of United Arab Emirates (UAE) incense smoke. Sci Total Environ 2013; 458-460: 176-86
ヒト肺細胞をお香の煙に曝露させるとタバコの煙と同様の炎症反応が生じた.
※お香は必ずしもいいわけではないようです.喫煙者がお香に曝露されると発癌リスクが増加するという論文もあります→Environ Health Perspect 2011; 119: 1641-6

トラベルミンで背が伸びる?
Matsushita M, et al. Meclozine facilitates proliferation and differentiation of chondrocytes by attenuating abnormally activated FGFR3 signaling in achondroplasia. PLoS One 2013; 8: e81569
メクロジン(トラベルミン)に骨の伸長促進作用があることが判明.
※人間で実証はされてませんよ.

怒りっぽい人は心血管疾患再発リスクが少ない?
Nakamura S, et al. Prognostic value of depression, anxiety, and anger in hospitalized cardiovascular disease patients for predicting adverse cardiac outcomes. Am J Cardiol 2013; 111: 1432-6
心血管疾患で入院した患者414例の追跡調査.心血管疾患再発および死亡リスクは,怒りやすい性格の患者で66%有意に少なく,抑うつ患者では2.62倍に増加する.
※意外な結果でした.すぐ怒る人はストレスをためこまないということでしょうか?

虫垂は無用の長物ではなく,残せるなら残した方がよい?
Masahata K, et al. Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch. Nat Commun 2014; 5: 3704
虫垂のリンパ組織が粘膜免疫で重要な免疫グロブリンIgAを産生しており,腸内細菌叢の制御に関与している.マウスモデル研究.

夫婦円満の秘訣は血糖値?
Bushman BJ, et al. Low glucose relates to greater aggression in married couples. Proc Natl Acad Sci U S A 2014; 111: 6254-7
血糖値が低いと怒りの感情や攻撃性が増すため,幸せな結婚生活を送りたい夫婦にとっては好ましいことではない.107組夫婦の朝食前と就寝前の血糖値を21日間測定した前向き観察研究.
※「恋人を怒らせたらスイーツを」の原則ですね.

論文のWikipediaからの引用
Bould MD, et al. References that anyone can edit: review of Wikipedia citations in peer reviewed health science literature. BMJ 2014; 348: g1585
インパクトファクターが高い主要医学誌も含め,論文にWikipediaからの引用がみられた.Wikipediaから引用した記事を出版する際,エディターやレビュアーは注意すべきである.1008医学誌1433報告の検討.

若い血液を輸血すると若返る?
Villeda SA, et al. Young blood reverses age-related impairments in cognitive function and synaptic plasticity in mice. Nat Med 2014; 20: 659-63
ヒトの年齢で20~30歳に相当する生後3か月のマウスから輸血を複数回行ったところ,同56~69歳に相当する生後18か月のマウスの脳の構造に変化がみられ,また機能的な改善もみられた.
※ドラキュラ理論でしょうか.実は類似する研究がさらに2つ報告されています.人身売買に利用されなければいいですが・・・

動物実験と研究者の性別
Sorge RE, et al. Olfactory exposure to males, including men, causes stress and related analgesia in rodents. Nat Methods 2014; 11: 629-32
男性や男性が着たTシャツが存在するとき,マウスは無痛覚,ストレスホルモンの増加,体温の上昇,脱糞など恐怖の兆候を示した.実験動物は男性研究者の匂いでストレスを感じる可能性.
※研究者の性別がバイアスになってくる時代がくるのでしょうか

変わった人が異性に魅力的にうつることもある
Janif ZJ, et al. Negative frequency-dependent preferences and variation in male facial hair. Biol Lett 2014; 10: 20130958
異性の注目を引く上で変わった人に見えることは最悪の結果をもたらすと思われがちだが,実際には異性にとって魅力的に映る場合もある.ある種の特徴が少人数にのみ備わっている場合は魅力になる.
※変人がモテることもあるということでしょう.

かゆいところをかく意義
Kardon AP, et al. Dynorphin acts as a neuromodulator to inhibit itch in the dorsal horn of the spinal cord. Neuron 2014; 82: 573-86
脊髄から分泌されるダイノルフィンは掻痒感を抑える.掻痒部をひっかいたり冷やしたりする行為はダイノルフィン分泌を促進させることで掻痒感を抑制する.マウスモデル研究.
※かゆいところをかく行為にはちゃんと意味があったんですね.

携帯電話使用は脳腫瘍発生リスクを増加させる
Coureau G, et al. Mobile phone use and brain tumours in the CERENAT case-control study. Occup Environ Med 2014; 71: 514-22
携帯電話通話時間の合計が896時間以上で神経膠腫発生リスクが2.89倍,髄膜腫発生リスクが2.57倍に有意に増加する.また,携帯電話に18360回以上コールがあると神経膠腫発生リスクが2.10倍有意に増加する.携帯電話の頻回使用は脳腫瘍の危険因子である.脳腫瘍患者447例と対照群892例を比較した症例対照研究.
※院内PHSはどうなんでしょうね?

夢を見ながらこれは夢だと気づく明瞭夢
Voss U, et al. Induction of self awareness in dreams through frontal low current stimulation of gamma activity. Nat Neurosci 2014; 17: 810-2
明瞭夢(夢の最中に「あ,これは夢だ」と気がつく夢)の経験がない成人27例で,レム睡眠に入ってから2分後に前頭葉に微弱電を30秒間与えると77%が明瞭夢を見た.
※明瞭夢は私もよく経験するんですが,見れる人って意外に少数派なんですね.

他人への不信と認知症
Neuvonen E, et al. Late-life cynical distrust, risk of incident dementia, and mortality in a population-based cohort. Neurology 2014; 82: 2205-12
他人への不信が重度の人は認知症リスクが3.13倍に増加する.死亡リスクも統計学的に有意ではないが増加する傾向がみられた.1449例解析

脳と筋肉のバランス進化論
Bozek K, et al. Exceptional evolutionary divergence of human muscle and brain metabolomes parallels human cognitive and physical uniqueness. PLoS Biol 2014; 12: e1001871
人間の脳は全エネルギーの20%を消費する高い基礎代謝率が必要となり,筋肉の退化と引き換えに脳が進化し,高い認知能力を得た.人間,チンパンジー,マカクザル,マウスの比較研究.
※進化論の観点からも,文武両道ってすごいと思うんです.

チンパンジーの短期記憶,パターン認識能力,視覚的判断は人間より優れている
Martin CF, et al. Chimpanzee choice rates in competitive games match equilibrium game theory predictions. Sci Rep 2014; 4: 5182
かくれんぼのコンピュータゲームをヒトとチンパンジーにプレイさせたところチンパンジーが勝った.チンパンジーは優れた短期記憶,パターン認識の能力,素早い視覚的判断によりゲーム理論の理解でヒトより優れている.
※自然の中で生き抜く力としての情報の単純化把握はヒトよりチンパンジーの方が優れているということでしょうか.

なぜ舌を噛まずに食物を摂取できるのか?
Stanek E 4th, et al. Monosynaptic premotor circuit tracing reveals neural substrates for oro-motor coordination. Elife 2014; 3: e02511
舌を噛まずに食物を摂取できるメカニズム解明.
※蛍光する遺伝的に無毒化したバージョンの狂犬病ウイルスでタグづけして筋と神経の作用を観察しています.狂犬病ウイルスが神経をたどっていく性質を利用しているようです.

背が低い男性の方が長生きする?
He Q, et al. Shorter Men Live Longer: Association of Height with Longevity and FOXO3 Genotype in American Men of Japanese Ancestry. PLoS One 2014; 9: e94385
背の低い男性は長寿と関連性があるFOXO3遺伝子を持つ傾向がある.ハワイのオアフ島に住む8006人の日系アメリカ人男性を対象とした観察研究.

アメフトは脳海馬減少と関連する
Singh R, et al. Relationship of collegiate football experience and concussion with hippocampal volume and cognitive outcomes. JAMA 2014; 311: 1883-8
アメフトでの脳震盪は脳海馬の減少と関連していた.アメフトの経験年数は反応速度低下と関連していた.アメフト選手50例と背景因子でマッチした非アメフト選手対照25例の横断研究.
※米国やカナダではアメフトやアイスホッケーでの脳機能の研究がさかんです.

記憶の回復
Parra-Damas A, et al. Crtc1 activates a transcriptional program deregulated at early Alzheimer's disease-related stages. J Neurosci 2014; 34: 5776-87
記憶に関係する脳の海馬にアルツハイマー病で阻害されるタンパク質を生成する遺伝子Crtc1を注入すると失われた記憶が回復する.アルツハイマー病マウスモデル研究.

カフェイン摂取で記憶力向上
Borota D, et al. Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans. Nat Neurosci 2014; 17: 201-3
カフェイン摂取で記憶力が向上する.健常ボランティア73例での二重盲検RCT.
※カフェインが海馬に作用するようです.私は論文読んでるときはよくブラックガムをかんでいるですが,正解?

電気ショックは不愉快な記憶を消す?
Kroes MC, et al. An electroconvulsive therapy procedure impairs reconsolidation of episodic memories in humans. Nat Neurosci 2014; 17: 204-6
重症うつ病患者42例に2枚の写真を見せ,その後そのうち1枚の写真を思い出してもらう瞬間に脳に電気ショックを与えるとその1枚を思い出せなくなった.もう1枚は明確に思い出せた.脳電気ショックは不愉快な記憶を消す可能性がある.

早漏症の定義変更
Serefoglu EC, et al. An evidence-based unified definition of lifelong and acquired premature ejaculation: report of the second international society for sexual medicine ad hoc committee for the definition of premature ejaculation. J Sex Med 2014;11:1423-41
国際性医学学会による科学的根拠に基づいた早漏の定義と診療ガイドラインの改訂.先天性なら1分以内,後天性なら3分以内と定義された.
※国際性医学学会は不妊や夫婦間問題など様々な性の問題をまじめに研究している学会で,早漏症はかなり重要な問題だそうです.治療薬にはSSRIが有効とされている他,スプレー製剤もあります.

アダルトビデオを見る人は脳の一部が小さい
Kühn S, et al. Brain Structure and Functional Connectivity Associated With Pornography Consumption: The Brain on Porn. JAMA Psychiatry 2014 May 28
ポルノ鑑賞頻度が高くなるにつれて線条体右尾状核の灰白質体積が小さくなる.64例観察研究.
※考察では,脳線条体体積が小さいと快楽を経験するための外部刺激をより多く必要とするの可能性があり,そのためにより多くの報酬としてポルノ鑑賞を経験している可能性がある,とのことです.

女性名がつけられたハリケーンだと死亡リスク3倍?
Jung K, et al. Female hurricanes are deadlier than male hurricanes. Proc Natl Acad Sci U S A 2014; 111: 8782-7
女性名がつけられたハリケーンは,男性名のハリケーンに比べ人々が脅威を感じにくいため,死者の数が3倍になっている.1950-2012年のコホート研究.
※日本も台風に「初○ミ○」とか女性名つけたら死亡リスク上がっちゃうんでしょうか?

牛肉より鶏肉を食べた方が乳癌になりにくい?
Farvid MS, et al. Dietary protein sources in early adulthood and breast cancer incidence: prospective cohort study. BMJ 2014; 348: g3437
成人早期の赤肉を多く摂取すると乳癌発生リスクを22%増加,家禽類を多く摂取すると乳癌発生リスクを27%減少させる.閉経前女性88803例前向きコホート研究.
※若い女性のみなさん,牛肉より鶏肉の方が乳癌になりにくいかもですよ

早食いは太る
Hamada Y, et al. The number of chews and meal duration affect diet-induced thermogenesis and splanchnic circulation. Obesity 2014; 22: E62-9
健常若年男性10例を早食い群と遅食い(よくかむ)群で比較.遅食い群の方が消化管血流が増加し,消化吸収活動が増え,エネルギー消費量も高くなる.
※「早食いが太る原因」「よくかんで食べよ」の実証.データを見ると遅食いの方がエネルギー消費量が25倍です.

肉を炭火で焼くと発癌物質が発生するが,ビール漬けしてから焼くと発生しにくくなる
Viegas O, et al. Effect of beer marinades on formation of polycyclic aromatic hydrocarbons in charcoal-grilled pork. J Agric Food Chem 2014; 62: 2638-43
肉を炭火で焼くと発癌物質であるPAHが発生する.豚肉を4時間ビール漬けし炭火で焼くとPAHが減少する.ビール別ではブラックエールなら53%,ピルスナーなら13%,ノンアルコールのピルスナーなら25%減少する.

うがいの水は飲み込まない方がよい
Arimatsu K, et al. Oral pathobiont induces systemic inflammation and metabolic changes associated with alteration of gut microbiota. Sci Rep 2014; 4: 4828
歯周病の原因菌を飲み込むと腸内細菌が変化して様々な臓器や組織に炎症を引き起こす.これは歯周病が糖尿病や動脈硬化を進行させる原因である.Porphyromonas gingivalisを用いたマウスモデル研究.
※一時期飲み込んだ方がいいなんてテレビで言ってた方がおられましたが,よくないようです.ちなみにPorphyromonas gingivalisは今では関節リウマチの原因菌として知られています.

飲酒時のウコンは肝臓によくない
Zhao HL, et al. Negative effects of curcumin on liver injury induced by alcohol. Phytother Res 2012; 26: 1857-63
クルクミン(ウコンの成分)はアルコールと同時に投与されると,濃度依存的にアルコール性肝障害を増悪させる.マウスモデル研究.
※なお,ついでにヘパリーゼについても.ヘパリーゼは副作用はほとんどないけど人間での有用性を検討した論文が実は1個もありません.動物実験結果からはアルコール摂取に対する有効量は体重1kgあたりヘパリーゼW1本ぶんに相当しますので,体重50kgなら50本一気呑みしなきゃいけないですね.

「赤ワインはポリフェノールが入っているので体にいい」は嘘?
Semba RD, et al. Resveratrol Levels and All-Cause Mortality in Older Community-Dwelling Adults. JAMA Intern Med 2014 May 12
赤ワインに豊富に含まれているポリフェノールであるレスベラトロールは,炎症マーカー,心血管疾患,癌,死亡率を減らさず,人を長生きさせる効果はない.783例前向きコホート研究.
※ついに赤ワイン健康説が人間を対象とした研究で否定されました.フランス人が脂肪食をよく摂取するのに心臓病が少ないというフレンチパラドックスを赤ワインが説明しうるPMID:11373252)というのを御存知の方もおられるでしょうが,その後,実際の心臓病発生率は他国と変わらないことをWHOが指摘しています(PMID:19364995).なお,赤ワイン100mLあたりのレスベラトロール量は0.3mgです.過去に人間においてレスベラトロールが脂肪関連にいい影響を与えたとする二重盲検RCTで最も投与量が少なかった研究では1日250mg.赤ワイン換算で毎日83リットル呑めば効きます.呑めますか?

肉類・油ものを摂取したときは赤ワインよりもビールやお茶?
Nekohashi M, et al. Luteolin and quercetin affect the cholesterol absorption mediated by epithelial cholesterol transporter niemann-pick c1-like 1 in caco-2 cells and rats. PLoS One 2014; 9: e97901
ポリフェノールの一種であるルテオリンとケルセチンは腸管からコレステロール吸収とコレステロール輸送を阻害する.マウスモデル研究.
※赤ワインのポリフェノールはレスベラトロールだから別です.ビールとお茶にはケルセチンが入っています.

緑茶は認知症リスクを減少させる
Noguchi-Shinohara M, et al. Consumption of green tea, but not black tea or coffee, is associated with reduced risk of cognitive decline. PLoS ONE 2014; 9: e96013
緑茶は認知症や軽度認知機能障害の発症リスクを,毎日飲むことで68%減少,週に1-6日飲むことで53%減少させる.認知症発症リスクに限定すると74%減少させる.コーヒーや紅茶では効果なし.60歳以上の日本人490例コホート研究.

レモンでダイエット?
Hiramitsu M, et al. Eriocitrin ameliorates diet-induced hepatic steatosis with activation of mitochondrial biogenesis. Sci Rep 2014; 4: 3708
ヒトと遺伝子配列や肥満のメカニズムが似る小型熱帯魚ゼブラフィッシュを太らせ,レモンに多く含まれるエリオシトリンを投与すると,肝臓脂肪が減少した.また,ヒトから取り出した肝細胞にエリオシトリンを添加すると脂肪蓄積が抑制された.

断食は免疫を活性化する?
Cheng CW, et al. Prolonged Fasting Reduces IGF-1/PKA to Promote Hematopoietic-Stem-Cell-Based Regeneration and Reverse Immunosuppression. Cell Stem Cell 2014; 14: 810-23
6カ月毎に2-4日間の断食を行うことで老化や腫瘍成長のリスクと関連するプロテインキナーゼAが減
少する.断食が幹細胞を活性化し,免疫細胞を再生する.
※癌患者への有用性は…?

ウォッカ飲みすぎは早死にする
Zaridze D, et al. Alcohol and mortality in Russia: prospective observational study of 151,000 adults. Lancet 2014; 383: 1465-73
ロシアの成人20万人の前向きコホート研究.ウォッカはロシア成人の早死にリスクの主要原因.
※まあ当たり前な結果ではあるんですが,論文見ると,飲んでる量が桁違いです.週何本とかいうレベルですので.

ウォッカ一気飲みでエンドトキシン血症に
Bala S, et al. Acute binge drinking increases serum endotoxin and bacterial DNA levels in healthy individuals. PLoS One 2014; 9: e96864
体重あたり2mL/kgの40%ウォッカを一気飲みすると,腸粘膜の透過性亢進により血中エンドトキシン濃度が上昇する.得られた濃度上昇では理論上,TNFα,IL-6,ケモカイン,MCP-1の濃度上昇をきたしうる.健常成人25例観察研究.
※ウォッカのショットグラス2杯一気飲みでエンドトキシン血症になるようです.お酒による末梢血管拡張も伴うため,一種の敗血症性ショックモデルになるかもですね.

毎日の多量飲酒で精神機能,認知機能が低下する
Sabia S, et al. Alcohol consumption and cognitive decline in early old age. Neurology 2014; 82: 332-9
多量飲酒を毎日続ける人の精神機能はアルコール摂取量が少ない人に比べて1年半から6年間分ほど衰えが早い.36g/日以上アルコールを摂取する人は記憶や脳機能が急激に低下した.7153例コホート研究.
※毎日飲むなら1日1杯までにしておいた方がよいようです.

脱法ハーブは脳細胞を死滅させる
Tomiyama K, et al. Cytotoxicity of synthetic cannabinoids on primary neuronal cells of the forebrain: the involvement of cannabinoid CB1 receptors and apoptotic cell death. Toxicol Appl Pharmacol 2014; 274: 17-23
脱法ハーブで確認された合成カンナビノイド系化合物のうち8種類の成分をマウスの脳神経細胞に与えたところ,脳神経細胞のアポトーシス誘導するなど強い毒性が示された.
※国立精神・神経医療研究センターからの報告です.脱法ハーブは救急医療においてはかなり深刻な問題になってきています.法律上の対策が急務です.
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by DrMagicianEARL | 2014-07-02 21:30 | 文献 | Comments(0)

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