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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

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■Ronco先生がCritical Care誌にエンドトキシン吸着カラムを用いたPMX-DHPに関するレビューを書いています.どのような仕組みなのかが分かりやすい他,現時点でのエビデンスをコンパクトにまとめており,全文フリーで閲覧できます.
ポリミキシンB血液浄化:機械論的視点
Ronco C, Klein DJ. Polymyxin B hemoperfusion: a mechanistic perspective. Crit Care 2014; 18: 309
PMID:25043934

ポリミキシンBファイバーカートリッジによる血液浄化療法(PMX-DHP)は日本と一部に西ヨーロッパでは敗血症性ショックの治療戦略なっている.PMX-DHPは現在,敗血症性ショックでエンドトキシン活性分析で計測したエンドトキシン血症を伴った患者における重要な北米の無作為化試験(EUPHRATES)が行われている.この治療法の主要なメカニズムは循環血液中のエンドトキシンを除去することにある.PMX-DHPカラムによる循環エンドトキシンとの高い親和性結合は循環血液中エンドトキシンレベルを2回の標準的治療によって最大で90%減少させる可能性がある.基礎研究では,循環サイトカインレベルと腎尿細管アポトーシスを減少させることが示されている.臨床研究では,PMX-DHPは循環動態を改善し,酸素化や腎機能を改善し,死亡率を減少させることが示されている.用量,タイミング,そしてメカニズムに関するさらなる情報を得るのと同様に,PMX-DHPによって恩恵を受けるであろうエンドトキシン血症を合併する患者集団を定義するためにもさらなる研究が必要である.本レビューでは,臓器機能の回復におけるPMX-DHPの特異的効果と臨床的改善効果のエビデンスの蓄積の両方に焦点をあてながら,エンドトキシン血症を伴う敗血症患者におけるPMX-DHP使用によるエンドトキシン除去を目標とした戦略での機械論的根拠を提示する.
■PMX-DHPについては当ブログでも書かせていただきました.

EARLの医学ノート 2013年9月4日記事
敗血症とエンドトキシン計測&PMX-DHP(2) ~PMX-DHPは敗血症の予後を改善しうるか?~
http://drmagician.exblog.jp/20996440/
■ところで,PMX-DHPについては,予後改善効果があるのかまだまだ議論されている段階であり,その検証として2つの大規模RCTである欧州のABDO-MIXと米国カナダのEUPHRATESがあります.そのうおちのABDO-MIXは既に終了しており,実はその結果が今年の2014 ISICEM conferenceにおいて発表され,PMX-DHPに敗血症の死亡率改善効果なしとの結果でしたが,これについてRonco先生がこのレビューで以下の通り触れています(ざっと日本語訳).
ABDO-MIX

敗血症性ショックを伴う腹膜炎におけるPMX-DHPの効果は,28日死亡率を評価したフランスの無作為化オープンラベル多施設共同試験で検討された(ABDO-MIX; ClinicalTrials.gov NCT01222663).登録患者(240例)は術後36時間以内に標準治療群と標準治療+PMX-DHP群に無作為に割り付けられた.本研究はまだ出版されていないが,結果が2014年のISICEM conference(国際救急集中治療医学会議)で発表された.本研究は両群間で死亡率に差を示せなかったが,この研究はこの結果に影響を与えた可能性があるいくつもの潜在的問題をかかえていた.カートリッジの詰まり・失敗率が他の試験や臨床経験に比して劇的に高かった.また,観察された死亡率は予想より低く,差を検出するにはパワー不足であった.ABDO-MIXが出版されても,他のデータと照らし合わせて慎重に見る必要がある.
■敗血症の治療の進歩に伴い,対照群の死亡率が低くなり,特定の治療介入を行っても死亡率に差がでにくくなってきていることは近年報告されたProCESS trialやPROWESS-SHOCK study等を見ても分かることで,ABDO-MIXでもその傾向がでたということであろう.カートリッジの詰まりが異常に多かった原因の詳細はまだ不明である.使用した抗血栓薬の種類,用量用法がまずかったのか,DICの合併が多かったのか(フランスではDICはあまり治療されない.また,rTMを使うとカラムが詰まりにくくなったという報告はある)・・・.publishを待ちたい.
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by drmagicianEARL | 2014-08-15 19:58 | 敗血症 | Comments(2)
■敗血症におけるde-escalation療法を評価した初めてのRCTがようやく報告されました.de-escalationを否定する結果ですが,さてどうとらえますか?レビューもつけました.
重症敗血症におけるde-escalation vs 経験的抗菌薬継続:多施設共同非盲検無作為化非劣勢試験
Leone M, Bechis C, Baumstarck K, et al; For the AZUREA Network Investigators. De-escalation versus continuation of empirical antimicrobial treatment in severe sepsis: a multicenter non-blinded randomized noninferiority trial. Intensive Care Med. 2014 Aug 5. [Epub ahead of print]
PMID:25091790

Abstract
【背 景】
重症敗血症患者において,経験的抗菌薬治療のde-escalationの概念を検討した無作為化臨床試験はない.本研究の目的は,これらの患者において,適切な経験的治療の継続とde-escalation戦略を比較することである.

【方 法】
本研究は,重症敗血症患者をde-escalation群と経験的抗菌薬治療継続群に無作為に割り付けた多施設共同非盲検無作為化非劣勢試験である.患者は2012年2月から2013年4月までフランスの9つの集中治療室(ICU)で登録された.重症敗血症患者はde-escalation群(59例)または経験的抗菌薬治療継続群(57例)に割り付けられた.主要評価項目はICU在室期間とした.我々は,非劣勢マージンを2日間と定義した.継続群に割り付けられた患者と比較してde-escalation群に割り付けられた患者との差の95%信頼区間(CI)上限が2日間未満であれば,de-escalationは継続治療と比較して非劣勢であるとした.副次評価項目は90日死亡率,臓器障害発生,重複感染(菌交代)数,ICU在室中の抗菌薬投与日数とした.

【結 果】
ICU在室期間中央値は,それぞれde-escalation群で9日(四分位範囲5-22),継続群で8日(四分位範囲4-15)であった(p=0.71).平均差は3.4日(95%CI -1.7 to 8.5)であった.重複感染はde-escalation群で16例(27%),継続群で6例(11%)であった(p=0.03).抗菌薬投与日数は,それぞれde-escalation群で9日(7-15),継続群で7.5日(6-13)であった(p=0.03).死亡率は両群で同等であった.

【結 論】
経験的抗菌薬治療の継続と比較して,抗菌薬のde-escalationに基づく治療戦略は,ICU在室日数を延長させた.しかし,死亡率に影響は与えなかった.
■これまで敗血症におけるde-escalationの有用性を検討したRCTの報告はなかった[1]ため,この報告が初のRCTとなる.初期抗菌薬,感染臓器,検出菌,感受性,感染巣コントロールなどによって影響を受けるため,de-escalationをRCTで評価するのは難しく,かなりのN数が必要となると思われるが,本RCTはわずか116例の小規模検討であり,信頼性の高いエビデンスとは言い難い.また,de-escalationによって得られるであろう有益性として,耐性菌発生の抑制,コスト減少,副作用減少などが考えられるが,これらは残念ながら本RCTでは評価されていない.しかし,唯一のRCTであることから,de-escaltion戦略の再検討を行ってもよいかもしれない.これまでde-escalationはエビデンスが乏しいにもかかわらず強く推奨されてきた治療戦略であり,必ずしも安全なものとは限らないとする研究もあるからである.以下はde-escalationのレビューを行った.
※意外にも文光堂の「臨床に直結した集中治療のエビデンス」「臨床に直結した感染症診療のエビデンス」のいずれにもde-escalationのレビューはなかった.

1.抗菌薬のde-escalation

■抗菌薬の使用法には,予防的治療(prophylaxis therapy),先制攻撃的治療(pre-emptive therapy),経験的治療(empiric therapy),標的治療(definitive therapy)に分けられ,臨床現場で主に用いられるのは,想定される原因菌をカバーする広域抗菌薬による経験的治療と,判明した原因菌に有効な狭域抗菌薬による限定的治療の2つである.この,経験的治療から限定的治療に抗菌薬を変更するのが狭義のde-escalationである.他にも抗菌薬投与終了や,静注から経口へのスイッチも広義のde-escalationに含まれる.

■なぜde-escalationが推奨されているのか?de-escalationの目的は,常在細菌叢の撹乱による副作用減少,薬剤耐性菌選択・誘導による耐性菌発生防止,治療コスト減少が挙げられる[2].しかしながら,これらの個人的・集団的・社会的有用性のいずれにおいても,支持する明確なエビデンスはないのが現状である.de-escalation療法は,Surviving Sepsis Campaign Guidelines[3],ATS/IDSAの院内肺炎管理ガイドライン[4],日本呼吸器学会成人院内肺炎診療ガイドライン[5],日本版敗血症診療ガイドライン[6]などで推奨されており,院内感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用に慣れている医師はde-escalationのロジックをよく理解して行ってはいるが,実際のde-escalationの有用性・安全性の質の高いエビデンスはまだほとんどないことは注意しておかなければならない.また,薬剤耐性菌を減少させるとする長期的アウトカムに至っては評価した研究がいまだに存在しない[7]

2.de-escalationのエビデンス

■これまでde-escalationによって死亡率が増加した報告はなく,有意差なし[8-11]か改善[12-18]と報告している.当然ながら,起因菌が不明,あるいは耐性菌を検出した場合などが背景にあると,de-escalationは困難であり,死亡率が上昇することも予想され,背景因子で調整した検討が必要であるが,これを行ったのは1報のみである.

■その1報であるGarnacho-Monteroら[18]の報告は,ICUに入室した重症敗血症および敗血症性ショック患者712例を登録した前向き観察研究である.de-escalationは34.9%に適応され,多変量解析では,de-escalationが生存関連因子であったのに対し(OR 0.58, 95%CI 0.36-0.93),院内死亡に関連した独立因子は敗血症性ショック,培養結果判明日のSOFAスコア,不適切な初期抗菌薬治療であった.適切な経験的抗菌薬治療を受けた403例の解析では,de-escalationが生存関連因子であったのに対し(OR 0.54, 95%CI 0.33-0.89),培養結果判明日のSOFAスコアが死亡関連因子であった.傾向スコア調整ロジスティック回帰モデルにおいても,de-escalationは生存に関連した因子であった.de-escalationは90日予後においても生存関連因子であった.これらのことから,重症敗血症および敗血症性ショックにおけるde-escalation療法は低い死亡率と関連していた.この治療戦略の頻度を増やすことが強く支持されると結論づけている.

■de-escalationは初期抗菌薬の影響によって有用性が消失してしまう可能性もある.de-escalationを行うならば初期抗菌薬はいくらでも広域カバーしてもよいと考える医師もいるが,決してそうではないことが過去の報告から分かる.細菌学的な原因菌検索が十分なされた症例であっても,ICUで管理された患者のうち,薬剤耐性菌を疑われた患者集団においては,ガイドラインで推奨された広域カバーの抗菌薬併用療法を行った群が非遵守群より死亡率が有意に高かったことが報告されている[19].また,Kimらは院内肺炎を発症したICU患者109例において,IPM/CS+VCMで開始して起因菌が判明したらde-escalationする群(DE群)と,カルバペネム系もVCMも使用せずde-escalationを行わない経験的治療群(NDE群)を比較したRCTを行っており[20],初期抗菌薬適切性はDE群が有意に高いにもかかわらず,死亡率はDE群で高い傾向がみられ(有意差はなし),VCMが投与されているにもかかわらずMRSA肺炎患者の死亡率はDE群で高く,耐性菌発生率もDE群が有意に高かった.初期の広域カバーは副作用や常在細菌叢の破綻により予後を悪化させる可能性があり,この場合,de-escalationは安全の保障とはならないかもしれない

■de-escalationの後ろ向き観察研究においては,そのde-escalation施行率も同時に報告される.培養結果や主治医の方針の影響によるが,ほとんどの報告でde-escalationの施行率は30-60%程度である[9,10,13,15-18].抗真菌薬においても,エキノキャンディン系抗真菌薬投与患者でFLCZに感受性を有するカンジダが検出されてもFLCZにde-escalationされたのは40%未満であったと報告されている[21].また,院内発症の重症敗血症患者に対する抗菌薬治療では,集中治療医と感染症専門家の協力がある環境においてもde-escalationの実施は50%未満であったと報告されている[22]

■Hibbardらは,外科ICUにおいて人工呼吸器関連肺炎に対するde-escalation療法レジメンの導入前後で比較したbefore-after studyを行っており,導入後に菌の耐性化率が高まることはなく,最終的にde-escalation遵守率が92%まで高まったと報告している[23].起因菌が不明の場合でもde-escalationは可能とする報告[15]もあることから,患者の状態評価を行いながらであればHibbardらの報告のような遵守率達成は可能かもしれない.

de-escalation療法は全ての症例で受け入れ可能というわけではなく,必ず安全に行えることが前提であり,患者の総合的評価なしに一辺倒に行ってはならない.以下の条件を満たす場合に,de-escalationを考慮すべきである.
① 経験的治療開始前に良質な微生物学的検体の採取が行われている[17]
② 臨床的に臓器障害,重症度などの改善がある[4]
③ 同定された起炎菌が,より狭域の抗菌薬に感受性である.
④ 他の感染巣が否定できる.
⑤ 持続する好中球減少症(<1,000/mm3)などの重篤な免疫不全がない.
⑥ 選択する狭域抗菌薬が感染巣に移行しえる.

3.de-escalationの有用性を報告した過去の観察研究

■以下にde-escalationの有用性を評価した他の報告[8-17]を列挙しておく.

■人工呼吸器関連肺炎でのde-escalationにおいてはMicekらが290例のRCTを行っており[8],de-escalation群で抗菌薬投与期間が有意に短縮した(6.0±4.9日 vs 8.0±5.6日,p=0.001).院内死亡率(32.0% vs 37.1%,p=0.357),ICU在室期間(6.8±6.1日 vs 7.0±7.3日,p=0.798)に有意差はなかった.

■Morelらは経験的抗菌薬治療を受けた入室から72時間以内のICU患者116例の後ろ向き観察研究を行っている[9].45%がde-escalation療法を受けており,使用している抗菌薬の種類の減少としてのde-escalationは重症敗血症および敗血症性ショックの患者の52%で行われていた.適切な経験的治療とアミノグリコシド系抗菌薬の使用がde-escalationと独立して関連していた.さらに,de-escalationは感染症再発を有意に減少させていたが(5% vs 19%, p=0.01),死亡率に有意差はなかった.

■Gonzalezらは,ICU患者229例(de-escalation施行率51%)の後ろ向き観察研究を行い[10],初期抗菌薬が適切であることのみがde-escalation施行に関連した唯一の独立因子であり(OR 2.9, 95%CI 1.5-5.7, p=0.002),一方で,不適切な初期治療(OR 0.1, 95%CI 0.0-0.1, p<0.001),多剤耐性菌の検出(OR 0.2, 95%CI 0.1-0.7, p=0.006)がde-escalation阻害因子であったと報告している.なお,ICU死亡率,1年死亡率,ICU在室日数,抗菌薬投与期間,人工呼吸器装着期間,ICU関連感染症発生率,緊急性のある多剤耐性菌検出率に対してde-escalation療法は影響を与えなかった.

■Eachemapatiらは外科ICUに入院した外傷患者で人工呼吸器関連肺炎を発症した138例の後ろ向きコホート研究を行っており[11],de-escalation施行群は,非施行群と比較して,肺炎再発率(27.3% vs 35.1%),全死亡率(33.8% vs 42.1%)を統計学的に有意には改善しなかったと報告しているが,逆に言えば敗血症性ショックであってもde-escalationは安全であると結論づけている.

■Kollefらは人工呼吸器関連肺炎398例の前向きコホート研究を行っており[12],死亡率の比較では,de-escalation群17.0%,escalation群42.6%,非変更群23.7%であり,de-escalation群が有意に低かったと述べている(p=0.001)(この結果はχ2検定を用いている.3群比較なので本来ならばpost hoc testが必要であるはずだが・・・).

■Shimeらはメチシリン感性黄色ブドウ球菌,ペニシリン感性肺炎球菌,βラクタム薬感性の大腸菌または肺炎桿菌の菌血症患者で,初期経験的治療が適切であった270例の解析を行っている[13].74%がde-escalationについて検討され,実際にde-escalationが行われたのは39%であった.de-escalationを受けた患者は,受けなかった患者と比較して,死亡率(1% vs 5%),治療失敗率(4% vs 10%)が低い傾向であった.

■De Waeleらは,ICUに入室し,MEPMで治療を開始した患者113例の後ろ向きコホート研究を行っており[14],de-escalation施行群の方が死亡率が低い傾向がみられた(7% vs 21%, P = 0.12)と報告している.

■JoungらはICU関連肺炎患者137例(de-escalation施行率32.1%)の後ろ向きコホート研究を行っており[15],de-escalation施行群は非施行群と比較して,肺炎関連14日死亡率(2.3% vs 10.8%, p=0.08),30日死亡率(2.3% vs 14%, p=0.03)が有意に低かった.ただし,多変量解析では,APACHEⅡスコアと5日後の改訂臨床肺感染スコア(CPIS)がICU関連肺炎による死亡に独立して関連しており,この2つの因子は非施行群で有意に高い結果となっており,背景因子により死亡率に差がでたと考えるのが妥当かもしれないが,de-escalationは安全に施行できると結論づけている.なお,20.4%で病原菌が培養で検出されなかったが,そのうち42.9%はde-escalation療法を受けていた.

■Shimeらは,SPACE(Serratia,Pseudomonas,Acinetobacter,Citrobacter,Enterobacter)による菌血症患者133例の後ろ向きコホート研究を行い[16],適切な初期抗菌薬治療を受けた79例のうち,49例がde-escalationするか検討され,そのうち28例(57%)がde-escalation療法を受けた.de-escalation療法を受けた患者では治療失敗がなかったのに対し,de-escalation療法を受けなかった患者は11例中2例(18%)が死亡していた(p=0.13).

■人工呼吸器関連肺炎患者143例において,BALによる検体採取群と気管吸引による検体採取群でde-escalation率を比較した前向き観察研究[17]では,de-escalationは40.5%で行われ,de-escalationを行った方が15日死亡率(5.1% vs 31.7%),28日死亡率(12% vs 43.5%)が有意に低く,ICU在室日数(17.2±1.2日 vs 22.7±6.3日),入院期間(23.8±2.8日 vs 29.8±11.1日)が有意に短かかった.この傾向は両群に分けても同様であったが,de-escalation達成率は21% vs 66.1%で,BAL群の方が高い結果となった.

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[2] Camargo LF. The "de-escalation concept" and antibiotic de-escalation: a missed opportunity? Shock 2013; 39 Suppl 1: 29-31
[3] Dellinger RP, Levy MM, Rhodes A, et al; Surviving Sepsis Campaign Guidelines Committee including the Pediatric Subgroup. Surviving sepsis campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2012. Crit Care Med 2013; 41: 580-637
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[6] 日本集中治療医学会Sepsis Registry委員会.日本版敗血症診療ガイドライン.日集中医誌 2013; 20: 124-73
[7] Masterton RG. Antibiotic de-escalation. Crit Care Clin 2011; 27: 149-62
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[16] Shime N, Kosaka T, Fujita N. De-escalation of antimicrobial therapy for bacteraemia due to difficult-to-treat Gram-negative bacilli. Infection 2013; 41: 203-10
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[23] Hibbard ML, Kopelman TR, O'Neill PJ, et al. Empiric, broad-spectrum antibiotic therapy with an aggressive de-escalation strategy does not induce gram-negative pathogen resistance in ventilator-associated pneumonia. Surg Infect (Larchmt) 2010; 11: 427-32
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by DrMagicianEARL | 2014-08-07 20:01 | 敗血症 | Comments(0)
昨年,グルタミン,セレンがICU患者の経腸栄養での効果が否定(グルタミンに至っては死亡率増加)された大規模RCTのREDOXS studyが報告されましたが,今度は免疫調整栄養そのものを否定する論文がJAMA誌にでました.栄養士さんにはショックな論文かもしれませんね.免疫調整投与は感染症を減少させず,人工呼吸器装着期間,臓器不全やICU在室・入院日数日数は改善せず,内科患者に限定したサブ解析では死亡率がむしろ増加しています.先月BMJ誌に報告された,早期強化リハビリテーションが予後を悪化させる結果となったRCTと同様,More is not always better,余計なことはするな,シンプルにいけ,ということでしょう.ただ,この研究,新規感染症発生率が50%を超えているのはちょっと気になりますが・・・
ICUにおける免疫調整栄養豊富な高タンパク経腸栄養と標準的高タンパク経腸栄養の比較と院内感染症:無作為化比較試験
van Zanten RH, Sztark F, Kaisers US, et al; High-Protein Enteral Nutrition Enriched With Immune-Modulating Nutrients vs Standard High-Protein Enteral Nutrition and Nosocomial Infections in the ICU: A Randomized Clinical Trial. JAMA 2014; 312: 514-24

Abstract
【背 景】
免疫調整栄養(例えばグルタミン,オメガ-3脂肪酸,セレン,抗酸化物質)の経腸投与は感染症を減少し,重症疾患からの回復を促進することが示唆されていた.しかし,ガイドラインでコンセンサスが得られていないこともあり,免疫調整経腸栄養の使用においては議論がなされている.

【目 的】
人工呼吸器を装着した重症患者において,免疫調整栄養豊富な高タンパク経腸栄養(IMHP)が標準的高タンパク経腸栄養(HP)と比較して感染症発生率を減少させるかを検討する.

【方 法】
このMetaPlus studyは,オランダ,ドイツ,フランス,ベルギーの14の集中治療室(ICU)において2010年2月から2012年4月まで,6ヶ月の追跡期間を含めて行われた無作為化二重盲検多施設研究である.72時間以上の人工呼吸管理と72時間以上の経腸栄養を要することが想定された計301例の成人患者を,IMHP群(152例)とHP群(149例)に無作為化し,intention-to-treat解析,内科,外科,外傷のサブグループでも解析を行った.介入は,ICU入室から48時間以内にIMHPまたはHPを開始し,最大で28日間,ICU在室中に継続して行った.主要評価項目は疾病管理予防センター(CDC)の定義に準拠した新規感染症発症とした.副次評価項目は,死亡率,Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア,人工呼吸管理期間,ICU在室および入院期間,CDC定義に準拠した感染症のタイプとした.

【結 果】
新規感染症発生は,IMHP群で53%(95%CI 44-61%),HP群で52%(95%CI 44-61%)であり,統計学的有意差がなかった(p=0.96).内科サブグループにおいてはIMHP群の方が6ヶ月死亡率が有意に高く(IMHP群54%(95%CI 40-67%),HP群35%(95%CI 22-49%); p=0.04),年齢,Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II)スコアで調整した6ヶ月死亡のハザード比は1.57(95%CI 1.03-2.39; p=0.04)であり,それ以外の評価項目では有意差はみられなかった.

【結 論】
ICUで人工呼吸器を装着している成人患者において,HPと比較してIMHPは感染症合併率を改善せず,調整後6ヶ月死亡率を増加させることが示唆され,有害な可能性がある.この知見は,これらの患者においてIMHP栄養を使用することを支持しない.

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by DrMagicianEARL | 2014-08-06 18:45 | 文献 | Comments(0)
Summary
・パルスオキシメータ普及により,臨床現場においてバイタルサイン計測の際,呼吸数は計測されないことが多い実態がある.SpO2は呼吸数の代替指標にはならず,急性変化においては呼吸数がより早期に鋭敏に反応するが,急変前のバイタルサインでは呼吸数計測が最も欠落しやすい.このため,呼吸数の生理学的意義の教育が急務である.
・SpO2のみで呼吸状態を評価せず,モニターではなく患者から直接呼吸数を計測すべきである.
・高酸素血症はCO2ナルコーシス,活性酸素による肺傷害,吸収性無気肺などの有害事象リスクがある.重症患者において高酸素血症は死亡リスクが増加する報告が多数あり,低酸素血症よりも死亡率が高まる報告も複数ある.
・酸素投与患者においては「SpO2 100%=PaO2 100mmHg」ではない.SpO2 98%でPaO2 100mmHgに相当し,SpO2 98-100%のときはPaO2 100-500mmHgまでの幅をとりうる.このためSpO2≧98%のときは高酸素血症が生じている可能性が高く,少なくとも97%以下に制限すべきであるとされる.
・人工呼吸器患者での至適SpO2目標値のエビデンスは乏しいが,近年の研究から,90-92%での管理が今後推奨される可能性がある.
・COPD急性増悪患者においてはSpO2 88-92%での管理が望ましい.
・終末期患者の緩和ケアにおいて,SpO2が正常でありながら呼吸困難を訴えることは多いが,このような患者において酸素投与は室内気吸入と比較して症状緩和効果は変わらない.しかし,患者の呼吸困難症状自体は軽減されており,酸素投与は考慮してもよい選択肢である.
・終末期患者においてはSpO2目標値を定めるよりも快適さを重視すべきである.
・終末期患者においては病態を考慮した上でNPPVの使用も検討してもよい.

■血中酸素濃度を計測する上でパルスオキシメータは非常に便利である.パルスオキシメータは日本光電工業の青柳卓雄氏が発明し[1],1977年に旧ミノルタ社(現在のコニカミノルタ)が初号機MET-1471を発売している.それまで血中酸素濃度は呼吸数,唇の色,採取検体や術中出血の血液の色でしかその場では判断できなかった中,パルスオキシメータによって定量評価が可能となったことは画期的であった.Severinghaus氏[2]は2007年のAnesthsia and Analgesia誌において 「青柳氏の開発したパルスオキシメータは,ノイズを有益な情報に転換する天才の発想」と評している.1990年代に入るとパルスオキシメータは大幅に小型化し,今では医療において様々な場で用いられている.その便利さの一方で,パルスオキシメータが普及したことにより生じている問題点がある.

1.SpO2を計測すれば呼吸数が不要になるわけではない
症例1.不明熱精査で入院した85歳の認知症男性(意思疎通不可).
「頻呼吸になっているが,SpO2は96%あるから大丈夫だろう.」

→30分後にショック状態となり,SpO2は83%まで低下
→頻呼吸は腸腰菌膿瘍による敗血症の徴候だった

症例2.肺炎で入院した72歳男性.夜間就寝中.
「SpO2が91%と低めだから酸素を増量しよう.」

→SpO2は95%を維持していたが,10分後に呼吸停止の状態で発見される.実は巡回時は呼吸数が10回/分しかなく,CO2ナルコーシスによる呼吸抑制だった.

■SpO2は呼吸数の代償パラメータとはならない.血中酸素濃度が低下傾向になると生体は呼吸数を増加させて酸素取り込みを増大させ,血中酸素濃度を維持しようとする.すなわち,SpO2は呼吸数で代償しきれなくなったときに低下が始まるため,呼吸数の反応よりも遅れることになる.このため,呼吸数は鋭敏なマーカーとして非常に重視されており,たとえば敗血症の診断基準に用いられてきたSIRS基準[3],肺炎重症度CURB-65[4]などで,項目の中にSpO2やPaO2ではなく呼吸数が含まれている.

■パルスオキシメータの普及によりバイタルサイン計測の際に呼吸数が測られていないことは,よく経験される.Chenら[5]は,急変が起こる前のバイタルサイン記録で特に呼吸数の記載が欠落していることを指摘している.また,Cretikosら[6]は「呼吸数:無視されたバイタルサイン」,Hoganら[7]は「なぜ看護師は患者の呼吸数をモニターしないのか」というタイトルのレビューを報告している.バイタルサインの生理学的意味の教育を行うとともに,測定方法,呼吸数評価の上での意思決定などを医療スタッフに指導していく必要がある.

■心電図モニターに呼吸数が表示されるが,胸郭の動きで見ているもので正確にでないことも多い.また,人工呼吸器のモニターの呼吸数も,患者のトリガーが拾えていない場合は過小評価になり頻呼吸を見逃すリスクが生じる.呼吸数評価は必ず患者から直接計測すべきである.なお,近年,正確に呼吸数を計測できる機器であるBioHarnessが開発された[8]が,なかなか普及には至らないであろう.

■呼吸数増加が意味するものは,①代謝性アシドーシスに対する呼吸代償,②組織酸素需要量の増大,③交感神経興奮状態(心因性の過喚起症候群を含む)である.一方,呼吸数の低下が意味するものは呼吸中枢の抑制(麻薬・鎮静薬,CO2ナルコーシス,中枢神経障害)である.

2.酸素投与患者のSpO2≧98%は安全ではない
症例3.呼吸困難で救急搬送された80歳女性.来院時血液ガス分析ではCO2蓄積なし.急性心不全の診断でNPPVを装着,CPAP modeでFiO2 100%で開始し,SpO2 99%を維持

→30分後にCO2ナルコーシスによる呼吸抑制でSpO2が大きく低下.血液ガス分析を行うと,PaO2 205mmHg,PaCO2 64mmHgであった.
※人工呼吸管理を要する急性心不全患者の30%はCOPDを基礎疾患に持っている

症例4.尿路感染症による敗血症性ショックと呼吸不全で挿管人工呼吸管理(PEEP 5cmH2O)となった64歳女性.SpO2が急激に低下したため,FiO2を50%から100%に増量

→SpO2がさらに低下
→PEEPを15cmH2Oに変更するとSpO2改善.
■モニター機器はSpO2が低値ではアラームが鳴るが,SpO2高値ではアラームは鳴らない.つまり,モニターは高酸素血症を教えてはくれないのである.低酸素血症の危険性は多くの医療従事者が認識している一方で,高酸素血症の危険性はCO2ナルコーシス以外ではあまり認知されていないと思われる.

■CO2ナルコーシスは特にCOPD病態で生じやすい.COPD患者は必ずしもCT画像所見上肺気腫を呈しているとは限らない.また,肺の加齢性変化によってもCO2が蓄積しやすくなることは知っておく必要がある.よって,このような患者では特に過剰酸素を回避しなければならない.

■酸素毒性についてはKalletら[9]が2013年のRespiratory Care誌に非常によくまとまったレビューをだしている.これによると,空気中の酸素濃度(21%)を超えると活性酸素が増加し,細胞傷害に関連する.高濃度酸素により肺細胞傷害が生じ,ARDSの原因となると同時に,喀痰クリアランスが低下し,免疫細胞の殺菌力が障害され,肺炎の原因となる.高酸素性肺傷害はPaO2 450mmHg以上,またはFiO2>0.6で特に生じやすい.

■また,肺胞に必要以上の高濃度の酸素が投与されると,肺胞内酸素が急激に吸収されることで肺胞が虚脱したり,肺サーファクタントの減少が生じることによる気道閉塞が起こりやすくなり,吸収性無気肺が生じて,酸素濃度が低下する[9,10].このような肺胞虚脱はずり応力(shear stress)[11]による肺傷害(atelectrauma)から炎症を惹起してARDS悪化の要因となる[12].このため,人工呼吸管理で高濃度酸素が必要な状態では同時に高いPEEPが必要となる[13]

■他にも,急性心筋梗塞に対する酸素投与による高酸素血症は冠動脈血流量を7.9-28.9% 有意に減少させるとする報告もある[14]

■高酸素血症が実際に臨床アウトカムにどの程度影響を与えるかについては,近年,死亡率を増加させるという報告が重症患者,特に心筋梗塞,心肺蘇生後,脳外傷の患者においていくつも報告があり,そのうちのいくつかは低酸素血症よりも予後が悪いことを報告している[15-21].これらのことからも,高酸素血症はできる限り回避すべきである.

■では,高酸素血症はSpO2ではどの程度か.以下はSpO2とPaO2の関係を表す酸素解離曲線である.
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■教科書の中には,SpO2 100%=PaO2 100mmHgであるかのようなグラフを掲載しているものもあるが,これは大間違いであり注意されたい.実際の酸素解離曲線はSpO2 98%程度でPaO2 100mmHgとなり,酸素投与患者におけるSpO2 98-100%はPaO2では100-500mmHgほどの幅がある.よって,SpO2が98%程度以上であれば,投与酸素量は積極的に下げていくべきである.
※看護指示で酸素投与量を「SpO2>97%維持」といった書き方は避けるべきである.
※原則として酸素投与下でSpO2 100%が許容されるのは緊急挿管時のみである.


3.酸素投与患者・人工呼吸器患者・COPD患者での目標SpO2は?

■前述の通り,高酸素血症を避ける上でも目安としてSpO2上限は少なくとも97%以下にとどめておくべきであり,98%以上であれば酸素投与量を下げるべきである.

■人工呼吸器患者においては,より低いSpO2での管理でよいと考えられているが,明確なコントロール域の検討はなされていない[22].実臨床ではSpO2>98%の時間が長い患者が多いなど,過剰な酸素投与が頻繁に行われている実態も観察研究として報告されている[23,24].近年のSuzukiら[25]の予備前後比較研究では90-92%での管理でも問題はなかったと報告されており,また,ICUスタッフへのアンケート[26]では90-92%での管理プロトコルは容易であったとの回答が9割以上であった.この管理域がbestであるかについて今後予備RCTが組まれる予定である.

■COPD患者においては酸素投与でCO2ナルコーシスが生じるリスクがある.しかし,臨床現場では「COPDだから一定以上の酸素量を投与してはならない」という誤解がよくあり,中には看護指示で「酸素は最大5L/分まで.改善なければドクターコール」としている医師もみかける.しかし,COPD患者では血中酸素濃度が上昇しすぎることが問題であり,呼吸不全に陥っている場合は酸素投与を躊躇してはならず,酸素投与量よりもSpO2を見て判断すべきである.

■Austinら[27]は,COPD急性増悪患者の救急搬送時にSpO2 88-92%管理群と酸素8-10L/分投与群を比較した405例RCTを行い,SpO2管理群の方が死亡率が有意に低かった(2% vs 9%; RR 0.42; 95%CI 0.20-0.89; p=0.02).Plantら[28]は,COPD急性増悪患者でPaO2>75mmHgの患者の多くが呼吸性アシドーシスを示しており,低酸素血症と呼吸性アシドーシスを回避するためにはSpO2を92%以下にコントロールすべきとしている.GOLDのガイドライン[29]においても,COPD急性増悪に対してはSpO2 88-92%を推奨している.

4.終末期患者の呼吸困難の緩和ケアにおけるSpO2と酸素投与

■緩和ケアを受ける終末期患者において,低酸素を呈する器質的病変がなく,SpO2が正常範囲であるにもかかわらず呼吸困難症状を訴えることは多く,SpO2と患者の呼吸症状が乖離することはしばしば経験される.当然ながらSpO2が正常という理由をもって何もしないのは論外である.

■このような患者における主な治療選択はオピオイドということになるが,酸素はどうすべきか.低酸素血症のない患者において酸素投与は高酸素血症を招くため有害となりうることは前述の通りであるが,このような患者においては酸素投与はすべきであろうか.一般的には癌患者の疼痛管理でプラセボは使うべきではないとされるが,呼吸困難症状に対しては明らかではなく,酸素投与で安心する患者がいることも事実である.また,終末期患者において求めるべきアウトカムは生命予後とは限らないことも考慮しなければならない.

■終末期患者において呼吸困難に対する緩和ケアは癌患者での報告がほとんどである(ただし,ICU多臓器不全患者,肺線維症,慢性心不全,COPD,肝硬変などの終末期患者においても推奨されるべきエビデンスと思われる).低酸素血症のない癌患者における酸素投与を検討した研究は複数のRCT[30-33]とシステマティックレビュー[34,35]があるが,これらでは酸素投与は呼吸困難症状を緩和しないと報告している.Abernethyら[33]のRCTは最も多いN数を有し,かつ最も新しい研究である.この研究は豪州,米国,英国の9施設で,余命いくばくもなく,死前期呼吸困難がみられ,PaO2が7.3kPa(≒54mmHg)以上の患者239例において,鼻カニューレでの酸素投与群120例と室内気投与群119例を比較している.呼吸困難改善度は両群間で有意差がなく,終末期の呼吸困難患者において,鼻カニューレでの酸素投与は何ら患者に症状緩和の利益をもたらさないと結論づけている.

■ただし,各群での呼吸困難症状改善度はいずれも施行によって有意な改善を得ており,全く何もしないよりは鼻カヌラをつけて室内気を流すだけでも効果は得られるとも考えられる(プラセボ効果ではあるが).室内気で流せないのであれば0.5L等の少量投与も検討してもよいかもしれず,最終的には個々の患者でその効果を評価しながら決定すべきであろう.基本原則として,このような終末期患者においてはSpO2の目標値を定めるよりも患者の快適性を求めるべきである[36]

■また,癌終末期患者の呼吸困難症状では,肺の状態(たとえば癌性リンパ管症)によってはNPPVが有効であるとの報告もあり[37,38],米国では推奨されている.ただし,このような患者がCO2ナルコーシスを呈していた場合にも使用すべきかについてはいまだ不明である[39](CO2ナルコーシス患者が呼吸困難による苦痛を感じているかは不明確である).

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by DrMagicianEARL | 2014-08-05 20:43 | Comments(0)
2012年1月10日作成
2014年8月4日改訂
Summary
・ICU患者では入室24時間以内からストレス潰瘍が生じるため,H2RAやPPIなどの胃酸分泌抑制薬の予防的投与が検討される.
・ASHPガイドライン,SSCG 2012では,ICU患者・敗血症患者の全例にストレス潰瘍予防が必要であるとはされていなく,ストレス潰瘍出血リスクの高い患者においてのみ推奨されている.
・これまでのメタ解析ではPPIがH2RAより優れているとの結果であるが,近年のRCTでは有意差がついていない.
・集中治療の進歩によりストレス潰瘍出血のリスクは大きく低下してきており,ストレス潰瘍予防の必要性については適応を再検討すべき時期にある.
・経腸栄養はストレス潰瘍予防効果を有する可能性がある.
・近年の報告等ではPPIがH2RAより優れているかについては疑問がもたれる.
・胃酸分泌抑制薬の合併症としては特に肺炎などの感染症に注意が必要である.
・ICU退室後は特にストレス潰瘍出血リスクがないのであればPPIやH2RAの投与は終了すべきである.

1.ストレス潰瘍と胃酸分泌抑制薬の登場

■ICU患者は疾患そのものによる高度な侵襲性ストレスを受けているが,これに対する救命治療もまた医原性の侵襲性ストレスとして患者が受けることになる.この侵襲性ストレスにより胃・十二指腸をはじめとする消化管にストレス潰瘍が生じることが知られている.

■ストレス潰瘍の頻度は,内視鏡検査が行われるようになってからの報告では急速に増加し,ICU患者においては入室後24時間以内に75-100%の患者で粘膜病変が形成され[1],予防手段を受けていなければ5-25%で出血が生じていると報告されており[1,2],臨床的に意義のある消化管出血(循環動態が悪化した,輸血が必要,あるいは手術が必要なケース)は1-4%であると報告されている[1,3-5]

■ストレスの要因としては,①心理的・精神的ストレス,②身体的ストレスがあり,ICU患者のストレス潰瘍ではこの両者が関与しうる.また,ICUで使用されるNSAIDsやステロイドも薬剤性の消化性潰瘍の原因となる.さらに,多臓器不全の病態そのものが消化性潰瘍を引き起こしうることも知られる.心理的・精神的ストレスによるストレス潰瘍は保存的治療によく反応し,予後が良好であることが知られていた[6].その一方で,中枢神経障害や熱傷,敗血症などに合併する消化管出血の予後は悪く,死亡率は20-30%に達すると報告されている[7,9].また,臨床的に意義のある消化管出血がある患者は出血のない患者と比較して死亡率が有意に高いとも報告されている[3].これらのことから,高度侵襲病態におけるストレス潰瘍の予防が必要であることが広く周知されてきた.

■1972年にH2RAのmetiamide発見され[9],1976年にこのmetiamideでストレス潰瘍の予防と治療の臨床での有効性が報告され[10],1977年にシメチジンが使用可能となってからはその報告が急激に増加し,ストレス潰瘍の予防や治療は大きな転機を迎えた.さらに1980年代には強力な胃酸分泌抑制薬であるPPIが登場し[11],集中治療領域におけるストレス潰瘍予防はPPIとH2RAの一騎打ちの時代に突入していった.

2.ストレス潰瘍のガイドライン,SSCG

■まず,前提として,ストレス潰瘍予防のエビデンスは,抗潰瘍薬が投与されているか否かでの比較が必要となるが,さまざまなリスク因子がこれまで報告されてきた中で新たに特定の因子について検証を行うことは倫理的にも難しい状況にある.このため,予防がそこまで一般的でなかった時代の古いエビデンスに頼るところが大きいことを認識しておかなければならない.

■1998年にAmerican Society of Health-System Pharmacists(ASHP)からストレス潰瘍予防のガイドライン[12]が発表されており,ICU患者でのストレス潰瘍予防介入の適応基準(成人)が以下のように定められている.
絶対適応(1つでも該当すれば適応)
凝固障害(血小板<50000 /mm3,PT-INR>1.5,APTTが正常時の2倍以上)
48時間以上の人工呼吸器管理
1年以内の上部消化管潰瘍または出血
GCS≦10(または簡単な指示に従えない)
体表面積>35%の熱傷
肝部分切除後
多発外傷(Injury Severity Score≧16など),移植患者周術期,肝不全,脊椎外傷に該当

相対適応(2つ以上該当すれば適応)
敗血症
1週間以上のICU在室
6日間以上の潜血
高用量コルチコステロイド治療(ヒドロコルチゾン250mg/日相当量以上)
■敗血症ではどうであろうか?前述の通りASHPガイドラインでは敗血症のみではストレス潰瘍予防の適応とはなっていない.敗血症ガイドラインのSSCG(Surviving Sepsis Campaign Guidelines)にはストレス潰瘍予防の項目がある.
SSCG 2008[13]ストレス潰瘍の予防目的に,H2RA(1A)またはPPI(1B)を投与する.ストレス潰瘍の予防の利益と人工呼吸器関連肺炎の進展の可能性を比較検討しなければならない.

SSCG 2012[14]
出血リスクの高い重症敗血症/敗血症性ショックの患者に対して,ストレス潰瘍の予防としてH2RAやPPIの投与を推奨する(1B).ストレス潰瘍の予防には,H2RAよりもPPIのほうが望ましい(2C).危険因子のない患者には予防を行うべきではない(2B).
■2008年と2012年で推奨が変わっている.SSCG 2008では肺炎の合併症に言及しつつもできる限りストレス潰瘍予防を行うよう推奨しており,薬剤はPPIよりH2RAを推奨している.しかし,SSCG 2012では,出血リスクの高い患者に限定し,リスクのない患者には予防を行わないことを推奨している.さらに,PPIとH2RAの優先順位が逆転しており,PPIが推奨されている.以上から,敗血症においては,全例でストレス潰瘍が必要というわけではない.なお,SSCG 2012では出血リスクについて具体的な項目は明示されていないが,リスク因子である人工呼吸器装着や凝固障害,低血圧が重症敗血症,敗血症性ショック患者には多いとする文献[3,15]を提示している.

3.ストレス潰瘍予防のエビデンスの疑問点

■PPIとH2RAの2種類の薬剤によるICU患者でのストレス潰瘍予防効果の比較についてはメタ解析が複数報告[16-19]されている.臨床的に意義のある上部消化管出血の予防効果をアウトカムとした報告は3報あり,いずれもPPIが有意に予防効果が高かったと報告している.これを受けて2008年改訂時点ではH2RAを第一選択として推奨していたSSCGも2012年の改訂ではPPIを第一選択とする推奨に変更されている.

■これらのメタ解析から,単純にPPIとH2RAのいずれがいいのかという議論には終わらない問題点が見えてくる.まず,過去のRCT 12報のうち,実はPPIとH2RAで有意差がついたのは1報しかなく,その1報では出血率は6.2%vs31.4%という,現在では考えられない出血率の高さである.この報告以外の11報は有意差がなく,メタ解析という統計処理を用いてはじめて有意差がついている.次に,近年は消化管出血発生率そのものが低く,治療ではなく予防として薬剤を投与していることから,統計学的な有意差を検出するには大きなサンプルサイズを要することである.しかしながら,これまでの報告で登録患者数が比較的多いRCTでは有意差はない.

■ICUでの消化管出血に関する近年の観察研究の報告では,2000年以降の消化管出血発生率はほぼ1%以下であり[4,5,20-22],前述の4つのメタ解析において5%前後と報告されていることも考慮すると,1999年以前と比較してかなり低下してきていることがうかがえる.この10-20年で集中治療は大きく変化してきており,ストレス潰瘍予防効果が指摘されている経腸栄養も現在ではICUで一般的に行われていることもストレス潰瘍の発生率に影響を与えている可能性がある.以上から,2000年以降のストレス潰瘍の発生率について再検討が必要である.

■集中治療の進歩に伴ってストレス潰瘍出血率が低下してきた背景には早期経腸栄養の普及が関連していると言われている.実際,経腸栄養時にストレス潰瘍予防が必要かについては,経腸栄養を行った方がむしろ消化管出血を抑えるという報告が以前からある.近年のMarikらのメタ解析[23]では,H2RAの消化管出血予防効果は全体では認められるが,経腸栄養を施行した患者に限定したサブ解析ではH2RA投与有無で消化管出血リスクに影響はなく,経腸栄養そのものが上部消化管出血を予防する可能性を示唆する結果となっている.

■これは,経腸栄養によってプロスタグランジン分泌と消化管血流が改善する[24,25],胃内pHが経腸栄養によって希釈され上昇する[26],ストレス起因性の迷走神経刺激伝達系を経腸栄養が抑制する[27,28]ことなどが理由と考えられている.さらに,H2RAは全体では肺炎,死亡率を増加させなかったが,経腸栄養患者ではH2RAを投与した方が肺炎や死亡率が増加している.以上から,経腸栄養はストレス潰瘍に対する予防効果があり,経腸栄養施行患者へのストレス潰瘍予防薬投与は合併症リスクが増加する可能性があることを考慮すると必要性は低いと言えるかもしれない.ただし,これらの結果はあくまでもサブ解析にとどまっており,消化管出血予防を主要評価項目とした前向き検討のエビデンスは現時点では存在せず,現在進行中のRCT(EN vs EN+H2RA)の結果が待たれる.

■過去の報告では,胃に留置すれば胃内は栄養剤投与による希釈によりアルカリ化されるが,十二指腸/空腸に留置すれば希釈されることなく胃酸分泌刺激が生じ,胃内pHが胃に留置した場合より低くなるかもしれないとする報告[29]もあるが,Alhazzaniら[30]の19報RCT,1394例のメタ解析では,消化管出血リスクに有意差はなかった(RR 0.89; 95%CI 0.46-1.42; p=0.64).

4.出血リスクの高い敗血症患者でのストレス潰瘍予防の第一選択は本当にPPIか?

■前述の通り,メタ解析の結果を受けてSSCG 2012はPPIを第一選択として推奨しているが,これまで述べてきたことを踏まえると必ずしもそうとは限らないのではないかという疑問がわく.実際,近年のRCTでは有意差がついていない.

■H2RAは胃酸分泌を速く抑制するが,PPIより効果は劣る.また,H2RA使用により胃酸分泌耐性を生じることが分かっており,投与開始72時間程度で胃酸pHを高く維持することが困難となることがある.PPIは胃内pH上昇維持ではH2RAより有効であり,また長期使用での耐性も生じないことが,薬効の立ち上がりはH2RAよりも遅くなり,肺炎の合併率はH2RAよりも高い.

■近年のストレス潰瘍出血率の低下,経腸栄養のストレス潰瘍予防効果の仮説,そしてストレス潰瘍がICU入室24時間以内に生じることをふまえると,治療に反応して改善していく患者においてはICU入室早期がストレス潰瘍リスクが最も高く,そこさえ抑えればあとはリスクは大きく低下すると考えられる.よって,立ち上がりが遅く,長期間効果がもつPPIよりも,立ち上がりが早く,短期間しか作用しないH2RAの方が,“現在の”ICUにおけるストレス潰瘍予防と肺炎合併リスクにおいてより有利ではないかという推測も成り立つ.この推測を支持する研究が2014年に報告された.MacLarenら[31]は,71施設のICUでPPIまたはH2RAの投与を受けた35312例のコホート研究を行い,傾向スコア調整前,調整後のいずれにおいてもH2RAはPPIよりも消化管出血,肺炎,Clostridium difficile感染が有意に少ないという結果であった.

■これはRCTではないが,昔ではなく現在のICUにおいてPPIが真にH2RAよりもbetterであるのかに疑問を呈する結果である.古いRCTを組み込んだメタ解析のエビデンスは現在のICUに適応されない可能性は十分にあり,こういった面からもストレス潰瘍予防は再検証が必要である.

5.ストレス潰瘍予防薬の合併症

■ICUにおいて胃酸分泌抑制薬で特に問題視されている有害事象は感染症である.胃内pHは4以上となると胃内細菌の増殖を助長され[32],胃酸分泌抑制薬により胃内コロニゼーションが生じてくることが知られており[33],これが感染症の原因となる.実際にこれまで胃酸分泌抑制薬,特にPPIにおいて肺炎が生じることが多数報告されており,院内肺炎でみても,大規模コホート研究で同様の結果が報告されている[34].ICU患者においては,RCTのメタ解析でPPIとH2RAに有意差はないが[16-19],コホート研究では,PPIで人工呼吸器関連肺炎リスクが高まることが示唆されている[35]Clostridium difficile感染症についても,ICU患者に限定した報告はないものの,胃酸分泌抑制薬による増加が報告されており[36,37]注意が必要である.

■H2RAに特有の有害事象としては,長期間の反復静脈内投与による耐性,脳障害や頭部外傷患者での効果減弱,血小板減少,肝機能障害,間質性腎炎などが報告されている.とりわけ腎機能障害を有する患者ではクリアランスが減少する.また,H2RAには,特に腎機能障害を有する高齢者においてせん妄をはじめとする中枢神経症状が生じうることが知られている[38]

■多くのPPIはCYP450により代謝される.このため,シクロスポリン,ジアゼパム,フェニトイン,ワーファリンなどで薬物相互作用が生じることが知られており,注意が必要となる.この他にも,腹痛,悪心,下痢(特にランソゾールによるcollagenous colitis),頭痛などがある.

■これらの合併症を防ぐ上でも,ストレス潰瘍予防尾は病態が改善すれば終了すべきである.ICU管理下でのストレスを定量化する確立されたツールはなく,ストレス潰瘍予防のための胃酸分泌抑制薬の適切な投与期間も現時点では知られていないため,エビデンスに基づいたストレス潰瘍予防薬の投与期間の提言はできない.ただし,多くの専門家は,潰瘍出血リスクのある患者ならばICU在室期間中は投与しておくべきであると考えており[39],近年のストレス潰瘍出血率が非常に低下してきていることもふまえれば,ICU離脱後は特に大きなリスクがないのであればストレス潰瘍予防薬投与を中止すべきであろう.

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by DrMagicianEARL | 2014-08-04 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
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■MDRPのアウトブレイクから始まり,フィリピン輸入株の麻疹流行,大阪でのNDM-1産生腸内細菌の制御困難なアウトブレイク(おそらく大阪全域に既に拡散されているものと予想されてもいます)など2014年の日本の感染症業界は暗いニュースばかりですが,海外でもいろいろと大変なことが起こっています.今年NEJM誌に報告された3つの感染症の文献を紹介します.
Plasmodium. falciparumマラリアにおけるアルテミシン耐性
Ashley EA, Dhorda M, Fairhurst RM, et al; for the Tracking Resistance to Artemisinin Collaboration (TRAC). Artemisinin Resistance in Plasmodium. falciparum Malaria. N Engl J Med 2014; 371: 411-23
 東南アジアおよびアフリカのマラリア患者1241例の血液サンプルの解析を行ったもので,マラリア治療薬であるアルテミシンに耐性をもつマラリア原虫Plasmodium. falciparumがカンボジア,ミャンマー,ラオス,タイ,ベトナムで検出された.アルテミシンの単独治療はより強く回避すべきであろう.既に飛行機等を経由してマラリア媒介蚊が本邦に侵入してきている懸念もあり,高度耐性を有するマラリアが上陸すればかなり厄介なものとなるだろう.
市中感染型MRSAにおける伝達可能なバンコマイシン耐性
Rossi F, Diaz L, Wollam A, et al. Transferable vancomycin resistance in a community-associated MRSA lineage. N Engl J Med 2014; 370: 1524-31
PMID:24738669
 ブラジルで発見された,プラスミド伝達されるバンコマイシン耐性遺伝子van Aを有する市中感染型MRSA(米国で猛威をふるった強毒性PVLを産生するUSA300株の系統に関連)の世界初の報告.菌と菌が接触するだけでバンコマイシン感性株が耐性化してしまうプラスミド伝達があるため,菌の細胞分裂増殖をはるかに上回る爆発的な耐性菌数増加が生じうる.加えて菌種を越えて伝達しうるため,腸球菌等にまで耐性が伝達される可能性もある.

 一般的に感染症はオリンピックやメッカの巡礼などで世界中に拡散されるとされている.たとえば中東で流行しているMERSコロナウイルスも今年のメッカの巡礼を経て島国のインドネシアで十数人の感染者がでている.今回NEJM誌に報告されたすぐ後にブラジルでワールドカップが開催,さらには2年後にオリンピックも開催予定であり,プラスミド伝達型バンコマイシン耐性MRSAの世界中への拡散が懸念される.
ギアナにおけるエボラウイルス疾患の緊急事態(予備レポート)
Baize S, Pannetier D, Oestereich L, et al. Emergence of Zaire Ebola Virus Disease in Guinea - Preliminary Report. N Engl J Med 2014 Apr 16 [Epub ahead of print]
PMID:24738640
 2014年2月から西アフリカ地域でアウトブレイクしたエボラ出血熱は,過去の同疾患の中でも最悪の感染拡大となっており,既に感染者は1000人以上,死亡者は600人以上にのぼり,死亡率は約6割で,現地で治療にあたっている医師も感染・死亡している.同地域ではさらに感染が拡大,制御困難な状態に陥っており,7月31日に米国CDCは3カ国(ギニア,リベリア,シエラレオネ)について警戒レベルを最も高い「不要な渡航を控える勧告」に引き上げた.

 エボラウイルス自体は感染力は強くなく,主たる感染経路は接触感染である(ただし感染患者が嘔吐した場合等は,飛散により感染範囲が飛沫感染距離以上となりうる)ため,隔離と標準予防策・接触/飛沫感染予防を徹底すれば終息させることは難しくない.西アフリカでの感染拡大はアウトブレイク認知が遅れたことにより隔離が遅れたためと推察されている.地域丸ごと封鎖するか国境封鎖を行わなければ現在の流行地域での感染拡大は防げないだろう.

 一方,すでに世界中に認知された現在,おそらく世界レベルでのパンデミックは起こりにくく,海を越えて本邦に侵入してきたとしても感染対策で制圧は難しくないだろう.ただし,各国でのワクチンによる予防対策の準備は必要である.現時点でワクチンや治療薬は開発段階であり,使用できるものはなく,早急な開発が急がれる.
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by DrMagicianEARL | 2014-08-01 00:00 | 感染症 | Comments(0)

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