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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

<   2016年 03月 ( 6 )   > この月の画像一覧

■ICTによる抗菌薬適正使用のラウンドにおいて,その患者の発熱が薬剤熱であるかどうかも鑑別する必要があります.感染症を治療しているけど発熱が持続,でも気が付けばその発熱は感染症ではなく薬剤が原因になっている,なんてことがあって,薬剤熱を疑わなければ漫然と抗菌薬を使用されてしまいます.今回紹介するのは薬剤熱の単施設後ろ向き研究です.考察もよくまとまっていておすすめです.

■薬剤熱のうち最も多い機序は過敏反応で,抗原抗体複合体,T細胞性免疫反応など様々な要因があり,薬剤投与から数日~3週間以内に生じやすいとされています.ときには投与開始から数年後に発症したり,複数の薬剤が組み合わさることで生じることもあり,診断が容易ではないこともしばしばあります.また,投薬中止から3-4日以内に解熱するのが一般的ですが,1週間ほどかかるケースもあります.抗菌薬としてはβラクタム系,ST合剤が特にこれにあてはまります.また,そのほかの抗菌薬による薬剤熱の機序としては,静注投与に特異的なもの(薬剤溶液のエンドトキシンなどの外因性発熱物質による汚染,化学性静脈炎,投与部位の炎症や無菌性膿瘍など)としてペンタゾシン,アンホテリシンBが,薬剤作用(Jarisch-Herxhemier反応)などが知られています.

■特徴としては,発熱のわりに元気で頻脈もそれほどなく(比較的徐脈),CRPも軽度上昇程度にとどまっていることが多いです.問診上は過去の薬剤使用歴はもちろんアトピー性皮膚炎の既往もヒントになります.皮疹(斑状丘状皮疹maculopapular)がでることもあります.検査所見では白血球数上昇(左方移動も多い),赤沈亢進,肝機能異常,軽度CRP上昇などが特徴です.
感染症コンサルテーション中に診断された薬剤熱の後ろ向き解析
Yaita K, Sakai Y, Masunaga K, et al. A Retrospective Analysis of Drug Fever Diagnosed during Infectious Disease Consultation. Intern Med 2016; 55(6): 605-8

【目 的】
日本での薬剤熱に関する現在の状況を明確にするために,我々の施設において感染症のコンサルテーションを受けた患者を後ろ向きに解析した.

【方 法】
2014年4月から2015年3月までに,久留米大学附属病院で感染症のコンサルテーションがあった388例の患者から薬剤熱の患者の記録を抽出した.我々は患者のカルテをレビューし,薬剤熱の特性をまとめた.

【結 果】
本研究は16例の患者の記録が登録された.既知の報告から臨床徴候(比較的徐脈,薬剤投与から発熱までの期間,薬剤中断と解熱までの期間),血液検査(多様な白血球数,CRP低値,トランスアミナーゼの軽度上昇)が適合した.薬剤確認例では,一般的でない原因と考えられた5例がグリコペプチド系(バンコマイシン3例,テイコプラニン2例),他の5例はβラクタム系であった.加えて,プロカルシトニンを計測された11例のうち10例においてプロカルシトニンレベルは陰性または低値であった(0.25≦ng/mL).

【結 論】
我々の知見は,βラクタム系と同様にグリコペプチドが薬剤熱の要因となる可能性を示した.さらに,プロカルシトニンは,他の詳細な所見との併用においてのみであるが,薬剤熱の診断の補助となる可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2016-03-15 12:27 | 抗菌薬 | Comments(0)
東日本大震災の津波による肺炎死・高齢者の障害に関する大規模調査
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■2011年3月11日の東日本大震災から5年が経ちました.21年前の阪神淡路大震災では死者6434名,東日本大震災ではその2倍以上の15894名が亡くなっています.阪神淡路大震災では家屋倒壊と火災による被害が主で,その後の耐震強化等の防災策が日本各地でとられ,その後の数多くの地震でも被害がおさえられてきました.しかしながら東日本大震災では津波による被害が甚大でした.さかのぼれば1993年の北海道南西沖地震では230名が死亡しましたが,そのほとんどは奥尻島による津波被害でした.

■津波に流されて溺死したケースがほとんどですが,救出されて救命救急センター等に搬送されるも激烈な肺炎で死亡した患者も多く知られています.津波肺の患者の救命率は著しく低く,Pseudallescheria boydiiScedosporidium apiospermumといった真菌に病院はかなり苦しめられたとのことです.

■今回紹介する2つの論文は東日本大震災における津波に関する疫学的な調査結果です.1つ目は津波による肺炎死亡の増加について,2つ目は津波による高齢者の長期機能障害についての調査結果です.今回の地震でいかに津波の影響が大きいかを物語るデータになります.震災からまだ5年.建物の復興は進みましたが,医療・福祉はまだまだ大変です.医師不足も深刻な東北地方ですが,このたび私も生まれてからずっと住んできた大阪を離れ,2016年4月より東北の病院に勤務することになりました.津波被害の影響を受けた地域の患者さんの診療にもあたることになるでしょう.少しでもお役に立てればと思います。
地震と津波の後の肺炎による死亡の特性:日本の131の市町村における570万人の生態学的研究
Shibata Y, Ojima T, Tomata Y, et al. Characteristics of pneumonia deaths after an earthquake and tsunami: an ecological study of 5.7 million participants in 131 municipalities, Japan. BMJ Open. 2016 Feb 23;6(2):e009190
PMID:26908515

Abstract
【背 景】
2011年3月11日,東日本大地震が日本を襲った.いくつかの研究では,地震は肺炎による死亡リスクを増加させることが示されているが,津波がそのリスクを増加させるか否か,どれくらい増加させるかについて報告した研究はない.我々は地震/津波後の肺炎死亡リスクを検討した.

【方 法】
本研究は生態学的研究である.日本の人口動態統計2010および2012,国勢調査2010,住民基本台帳2010と2012から集団および肺炎死のデータを得た.震災後1年の間に宮城県,岩手県,福島県に居住する約570万人を対象とした.全市町村(n=131)は,地震の影響を受けた地区である内陸部(n=93),地震と津波の影響を受けた沿岸部(n=38)に分類された.週あたりの肺炎死亡数は2010年3月12日から2012年3月9日までを集計した.観察された肺炎死亡数(O)と,性別および年齢ごとの予想される肺炎死亡数を乗じて観察集団における性別と年齢の群の合計数(E)を算出した.予想される肺炎死亡率は,前年の肺炎死亡率とした.標準化死亡比(SMRs)は,間接的な方法を用いて性別と年齢を調整し,肺炎死亡(O/E)により算出した.そして,SMRsは沿岸部と内陸部の市町村ごとで算出した.

【結 論】
地震後の1年間で6603例が肺炎で死亡した.SMRsは第1週から第12週目までの間に有意に増加した.第2週では,沿岸部と内陸部の市町村のSMRsはそれぞれ2.49(95%CI 2.02-7.64)と1.48(95%CI 1.24-2.61)であった.沿岸部の市町村のSMRsは内陸部の市町村よりも高かった.

【結 論】
地震は肺炎死亡リスクを増加させ,津波はそのリスクをさらに増加させる.
高齢者の機能障害における2011年の東日本大地震および津波の影響:日本の自治体おける障害有病率の縦断的比較
Tomata Y, Kakizaki M, Suzuki Y, et al. Impact of the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami on functional disability among older people: a longitudinal comparison of disability prevalence among Japanese municipalities. J Epidemiol Community Health. 2014 Jun;68(6):530-3
PMID:24570399

Abstract
【目 的】
2011年3月11日の地震と津波による深刻な影響を受けた地域は他の地域に比して障害有病率がより大きく増加しているという仮説を検討する.

【方 法】
日本の厚生労働省の公共統計データを用いた縦断的解析を行った.解析は,介護保険(LTCI)システムによってカバーされている1549の自治体が登録された.「災害地域」は3県(岩手,宮城,福島)と定義した.評価項目は,LTCI障害者認定を受けた高齢者(65歳以上)の数とした.2011年2月から2012年2月までの障害有病率における変化率は主要アウトカム変数として使用し,「沿岸被災地」「内陸被災地」「非被災地」との間の共分散分析によって比較した.

【結 果】
すべてのレベルにおける障害有病率では,沿岸被災地の増加率の平均値(7.1%)は,内陸被災地(3.7%),非被災地(2.8%)に比して高かった(p<0.001)

【結 論】
地震と津波による深刻な影響を受けた地域では,地震災害後の1年間における障害有病率が他の地域よりも有意に高い増加率であった.

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by DrMagicianEARL | 2016-03-11 00:00 | 文献 | Comments(0)
■先日の第43回日本集中治療医学会で発表されたJSEPTIC-DIC studyの結果が早くもonline publishとなりました.敗血症のデータベースとしては日本救急医学会や日本集中治療医学会が行ったSepsis Registryがありますが,本研究で得られたデータは症例数が1桁違う最大かつ最新のものです.以前にTagamiらが報告しているDPCデータのpropensity score解析と同じく,propensity scoreによるマッチング法,IPTW法,層別解析法を用いており,いずれにおいても遺伝子組み換えトロンボモデュリン(rhTM)が敗血症性DICの死亡率を有意に改善するという結果でした.ICUにおける細かいデータが入っているため,DPCデータ解析よりもより信頼性は高いと思われます.もちろんJSEPTIC-DIC studyはRCTではありませんが,これまでの集中治療領域の研究では,RCTとpropensity score解析の研究とでeffect sizeは違えどそのベクトルは同じとの傾向が知られています.これを裏付けられるかどうかは海外で現在行われているPhaseⅢにかかっています.

■以前に本ブログでrhTMに関するレビュー記事(http://drmagician.exblog.jp/22868432/)を書いた際に,RCTで死亡率改善効果がみられず,観察研究では改善が得られているのは,研究デザイン以外に患者の重症度が関与していることを述べました.軽症の感染性DICはDIC治療薬を用いずとも抗菌薬治療のみであっさり改善することは日常的に経験されますから,このような軽症患者を含む集団でrhTMの効果を検証したRCTを行っても有意差がつくはずがありません.これまでの研究結果から,せめてAPACHEⅡスコア20~25以上でなければ有意差はつかないでしょう.この傾向はJSEPTIC-DIC studyの別の解析においてもみられています.rhTMの海外PhaseⅢがpositiveにでるか否かは登録された患者の重症度にかかっていると考えています.
敗血症性DICにおける遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリンと死亡率:多施設共同後ろ向き研究(JSEPTIC-DIC study)
Hayakawa M, Yamakawa K, Saito S, et al; Japan Septic Disseminated Intravascular Coagulation (JSEPTIC DIC) study group. Recombinant human soluble thrombomodulin and mortality in sepsis-induced disseminated intravascular coagulation. A multicentre retrospective study. Thromb Haemost. 2016 Mar 3;115(6). [Epub ahead of print]
PMID: 26939575

Abstract
【背 景】
遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモデュリン(rhTM)は播種性血管内凝固を治療する抗凝固薬の新しいクラスの薬剤である.日本中の臨床現場においてrhTMは広く使用されているにもかかわらず,敗血症性DIC患者におけるrhTMの使用を支持する臨床エビデンスは限られている.さらに,rhTMは他の国のDIC治療においては承認されていない.

【目 的】
本研究の目的は,重症患者におけるrhTMの投与の生存利益を明らかにすることである.

【方 法】
2011年1月から2013年12月までに重症敗血症および敗血症性ショックの治療を受けるため42のICUに入院した3195例の連続的な成人患者のデータを後ろ向きに解析し,1784例が日本救急医学会DICによるスコアリングアルゴリズムに基づいてDICと診断された(rhTM群645例,対照群1139例).

【結 果】
傾向スコア(Propensity score)マッチングにより452のペアが作られ,傾向スコアマッチング集団においてロジスティック回帰解析により,rhTM投与と低い院内全死亡率との間に有意な関連性がみられた(OR 0.757; 95 %CI 0.574-0.999; p=0.049).傾向スコア逆数重みづけ(IPTW法)と四分位層別解析においても,rhTM投与と低い院内全死亡率との間には有意な相関がみられた.傾向スコアマッチング後rhTM群における生存期間は,傾向スコアマッチング後対照群よりも有意に長かった(HR 0.781; 95%CI 0.624-0.977, p=0.03).出血合併症頻度はrhTM群においてより多いことはなかった.

【結 論】
結論として,本研究は,rhTMの投与が敗血症性DIC患者において院内全死亡率減少に関連していることを示した.

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by DrMagicianEARL | 2016-03-10 09:00 | 敗血症性DIC | Comments(0)
p<0.05時代はついに終焉か?米国統計学学会による声明

■米国統計学学会(the American statitional Association:ASA)がp値の適切な使用と解釈に基づく6原則による「統計学的有意性とp値に関する声明」を発表した.6原則は以下の通り.
(1) P-values can indicate how incompatible the data are with a specified statistical model.
P値はデータが特定の統計モデルにどの程度適合しないかを示すことができる.

(2) P-values do not measure the probability that the studied hypothesis is true, or the probability that the data were produced by random chance alone.
P値は,研究仮説が真である確率あるいはデータがランダムな偶然によってのみデータが得られる確率を示さない.

(3) Scientific conclusions and business or policy decisions should not be based only on whether a p-value passes a specific threshold.
科学的な結論とビジネスや政策の意思決定が,P値が特定の閾値を超えるかどうかのみにに基づいてなされるべきではない

(4) Proper inference requires full reporting and transparency.
適切な推論は,完全な報告と透明性を必要とする.

(5) A p-value, or statistical significance, does not measure the size of an effect or the importance of a result.
P値もしくは統計学的有意性は,効果の大きさや結果の重要性を測るものではない.

(6) By itself, a p-value does not provide a good measure of evidence regarding a model or hypothesis.
P値そのもののみでモデルや仮説に関するエビデンスの良好な尺度は得られない.
■まず,P値について,その解釈等は医療における学会・研究会発表や論文を読む際にかなり誤解されている部分があるため,P値について簡単に解説しておく.

1.統計学的有意性を論じる際のP値とは?

■比較統計においては帰無仮説を理解しておく必要がある.帰無仮説は比較統計の共通の原則である.薬剤Aと薬剤Bの有効性に差があると感じていても,その差は偶然かもしれない.この差を論じるにあたり,2種類の仮説が成り立つ.「差がある」とする仮説と「差がない=同じ」とする仮説である.差があることを統計学的に証明するならば,どの程度の差があればよいかを規定する必要があるが,未知であるはずの差を事前に規定している時点でバイアスが入ってしまうことになる.よって,差を証明したい場合,仮説は「同じ」と設定することになる.この仮説を帰無仮説(null hypothesis)と呼ぶ.よって,薬剤Aが薬剤Bより有効性が高いことを示すのであれば,「薬剤Aと薬剤Bの有効性は等しい」という前提=帰無仮説のもとに統計解析を行い,統計学的な有意差がみられたら,「薬剤Aと薬剤Bの有効性が等しいとする帰無仮説が棄却された」ということになる.

■コインを投げたところ6回以上連続で表か裏しかでない確率はいくらであろうか?確率の答えは2×(1/2)^6=1/32=0.03125(3.125%)以下であり,この確率0.03125はP値(P-value)である.コイン投げで表と裏の出る確率はそれぞれ50%と等しく,結果が正しく記録されることが100%確実とする前提が必要であり,P値がいかに小さくとも,帰無仮説が真であることは100%確実であることを意味する.一方,手品等でコインに何らかのトリックがある場合,これらの前提は成り立たない,すなわち,帰無仮説が偽であることが100%確実な可能性がある.つまり,P値が小さいということの解釈は前提となる科学的内容に依存する.

■ある症状Xを有する患者を,薬剤A投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた比較試験を行い,薬剤A投与群の症状改善率は60%,プラセボ投与群の改善率は40%,P値が0.01であったとする.この結果をどう解釈するか?P値を解釈する場合,帰無仮説を定義する必要がある.この研究では,「薬剤Aとプラセボの症状改善効果が同等であり,改善率の差は偶然の結果である」という帰無仮説になる.この帰無仮説が真であるとすれば,「ランダムなサンプリングがこの研究でプラセボ対照群で観察されたのと同程度以上の改善率の差を生じる確率はどの程度か?」を表したのがP値である.

2.P<0.05による解釈の功罪

■P値0.05をカットオフとしてその結果を二値的に判断することはデメリットも大きい.そういう意味では今回の米国統計学学会の声明は大いに納得できるものであるが,同時に,カットオフがないことによるデメリットも存在するため,非常に難しい問題である.

■研究においては,P値がいくら以下であれば差が偶然でないかをあらかじめ設定しておく必要がある.この閾値が有意水準(significance level)αである.もし,有意水準を0.05に設定していた場合,P値が0.01であれば0.05より小さいため,統計学的に有意であることになる.つまり,薬剤Aとプラセボの改善率の差は偶然ではないであろうということになり,帰無仮説は棄却される.しかし,この結論はあくまでも有意水準を0.05と設定した場合であることに注意されたい.現在ほとんどの研究において有意水準は0.05とされているが,この0.05という数値はRonald Fisherから始まった単なる慣習でしかないことを知っておくべきであり,0.05という数値に特別の意味をこめてP値を眺めることは避けるべきである

■有意水準を0.05に設定した場合,p=0.049ならば統計学的な有意差を示し,p=0.051ならば統計学的有意差は示されない.しかし,p=0.049とp=0.051の間に実際には大きな差はない.つまり統計学的有意性は0.05という慣習に基づいた恣意的解釈に過ぎないことを理解しておかなければならない.P値が有意水準近辺にある場合,差があるかないかの2択ではなく,中間のカテゴリーとして「結論できない」を加えた3択にするとよいが,このアプローチは必ずしも一般的ではない.

■もちろん有意水準を非常に小さい値に設定すれば,結果が統計学的に有意であると誤る確率は低くなる(第1種の過誤が少なくなる)が,有意差を見逃す確率は高くなる(第2種の過誤の確率が高くなる).つまり,その差が偶然に得られたものでないという信頼性が増すぶん,差の感度が落ちることになる.逆に有意水準を大きい値に設定すれば,差の感度は増すが,信頼性は落ちる.これらの両方のデメリットを少なくする唯一の手段はサンプル数を増やすことである.このように,研究の際は第1種・第2種の過誤のバランスを見て有意水準を適切な値に変更するべきであるが,実際にはほぼすべての研究において0.05に設定されている.

■また,P値が0.05より大きければ統計学的に有意差はないと解釈されるが,これは「差がない」ことを意味しないことに注意が必要である.この場合,実際のデータを見て絶対的差がどれくらいあるかを判断する必要があり,統計学的有意差がなくても臨床的には有意な数字であることも多い.たとえばあるRCTにおいて死亡率が介入群21%,対照群15%,P=0.15であった場合,統計学的有意差はないが,安全と言えるだろうか?6%の絶対差は無視できず,臨床的には有意な差とも言える.

■ランダムデータを解析する場合は,平均的に20の比較のうち1つは偶然が生じる,すなわち,偶然P値が0.05を下回る可能性がある.よって,比較を行う際にあまりに多数のアウトカムで検定を行っている場合,誤った有意性を拾い上げてしまうリスクがある.このため,あらかじめ研究前に検定を行うアウトカム(特にprimary outcome)が設定されているかが重要となる.これは前向き研究の方が信頼性が高まる理由の1つでもある.

■多数のアウトカムを比較してしまう多重比較については,過去にも教訓的な報告がある.カナダのオンタリオ州の住民1000万人のデータベース解析で,223の異なる入院理由と各患者の星座について調べたところ,72の疾患が特定の星座の患者群で統計学的に有意に多かった(p<0.05).これは偶然か否か?223の異なる入院理由について星座(12種類)で調べたとなると,223×12=2676の比較が行われることになる.有意水準を0.05と設定した場合,2676×0.05=134の疾患において特定の星座が偶然多くなる可能性があり,実際に多かったとされる疾患数が72であることを考えると,これは偶然の範疇となる.

■結果のP値が0.04~0.05の論文の数と0.05~0.06の論文の数は等しいはずであるが,実際に調べてみると0.04~0.05の論文が0.05~0.06の論文より5倍多いとの報告がある(BMJ 2006; 333: 231-4).これには,P値が0.05を下回らなければ論文として発表しない(publish bias),P値を0.05より小さくするためのトリックを用いている,などの理由が挙げられる.

■このようにP値が0.05に固定化されているがゆえの弊害は多い.確かに論文を読む際はP値にこだわらずデータをより深く見て解釈する必要があるのは事実である.しかし,この有意水準で意思決定をする,結論をだす,というルールがなくなった場合に想定される混乱もかなり大きいと思われる.統計的に得られたデータは連続的であり,本来ならその解釈もある程度連続性をもつのが理想ではあるが,どこかで一定の決定ラインがなければその解釈は難解かつ不均一となるため,統一された品質管理は困難となりやすい.もしこれまで有意水準0.05がなければ,今頃は効くかどうかも分からない薬剤がより多く承認されてしまっていたかもしれない.ガイドライン作成においてもその意思決定はより困難を極めるであろう.このように有意水準0.05がある一定の医療水準維持に貢献してきたこともまた事実である.

■P<0.05の代わりとなる指標はあるのか?本学会声明においてはP値に依拠しない新たなアプローチの例として,予測値を重視するアプローチ,ベイジアンモデリング,決定理論的アプローチ,false discovery rate等を用いるべきとしている.
※このあたりは私もまだよく分かりません
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by DrMagicianEARL | 2016-03-09 14:16 | 論文読み方,統計 | Comments(0)
2011年10月18日投稿
2012年11月17日改訂
2016年3月8日改訂

Summary
・SIRSは炎症性サイトカインなどのメディエーターの過剰状態を反映しており,体温,脈拍,呼吸数,白血球数から規定され,その病態は感染症,外傷,手術,急性膵炎,広範囲熱傷,心機能低下,虚血再灌流障害,Bacterial Translocation(BT)などが挙げられる.
・SIRSは多臓器不全MOF/MODSの原因となる.
・2016年2月の敗血症の定義改訂に伴いSIRS基準はなくなったが,新基準の方がより敗血症診断精度が優れているかについては明らかではない.
・SIRSと相反する免疫抑制病態CARSも敗血症の重症化に寄与しており,二次感染の原因となる.
■SIRSの概念は敗血症とともに広まったが,Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012ではその姿は消え,2016年2月の敗血症の定義改訂でもSIRSは完全に姿を消した.ではSIRSははたしてその役目を終えたのか?について.

1.SIRS基準とは?

■SIRS(Systemic Inflammatory Rseponse Syndrome:全身性炎症反応症候群)は以下の4項目のうち2項目以上該当すれば診断される[1]
(1) 体温 >38℃ or <36℃
(2) 脈拍 >90 回/分
(3) 呼吸数 >20 回/分 or PaCO2<32mmHg
(4) 白血球数 >12000/mm^3 or <4000/mm^3 or 桿状好中球 > 10%

■SIRSの病態は,以下のように3段階で進行し,本来は有益であるはずの炎症反応が過剰となった状態である.sepsisは感染症によって生じたSIRSとされる[2]
Stage I
侵襲に対して,局所でサイトカインが産生され,炎症反応を惹起し,創治癒と網状内皮系の活性化を促す.
Stage II
局所で産生されたサイトカインは,循環内へ放出され,これによってgrowth factor が刺激され,マクロファージと血小板が産生される.この急性期の反応は,炎症を惹起する因子と内因性の拮抗因子によってコントロールされ,恒常性が維持されている.
Stage III
炎症反応のコントロールが破綻し,炎症が局所に留まらず全身へ波及した場合,サイトカインは生体の保護因子ではなく,むしろ破壊因子として働き,多数のカスケードと網状内皮系が活性化され,循環動態が破綻するため,臓器不全が生じる.

■SIRSをきたす病態は感染症,外傷,手術,急性膵炎,広範囲熱傷,心機能低下,虚血再灌流障害, Bacterial Translocation(BT)などが挙げられる.そのシンプルな診断基準ゆえに特異度は低いが感度が非常に高く,sepsisにおいては早期診断治療が可能となるメリットがある.
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敗血症の定義についてはこちらをクリック

■炎症性サイトカインは,主要臓器局所の濃度上昇(血中の1000-10000倍)による近傍作用(パラクライン作用)に加え,この極度に高められたサイトカインが血管内に流入することにより血中濃度上昇をきたし,遠隔臓器作用(エンドクライン作用)を示す.これによりSIRSが多臓器不全を導く.

■SIRSが発表された後,これに対しさまざまな異論が述べられた.Vincent[3]は,SIRS基準では,①感度が高過ぎ,ICU患者の2/3がSIRSに該当し,また特異性にも欠け,患者がSIRSであると呼ぶことは“critically ill”患者であるというのに近く,患者群が不均一となり,炎症反応のモデュレーション治療などの有効性が隠蔽されてしまう,②SIRSは病態生理の理解に役立たない,③病態の変化を反映しない,等の問題点を挙げ,最後に,④SIRSには意味がなく,役立たないばかりかしばしば背後に潜む感染源を探ろうという意欲を削ぐ結果に繋がることが懸念されると結論づけている.

■このVincent意見に対し,Dellinger,Boneは,本来SIRSは,臨床的に感染病巣が明らかでない場合でも,全身性の炎症反応を呈する患者をもれなく包含する目的を達成するものであり,この観点では,SIRS基準は全身性炎症反応の最低限レベル(閾値レベル)を捉えており妥当であると反論している[4].また、本来,感染,熱傷,膵炎,外傷といった患者の臨床像を全く考慮せずにSIRSの判定を行うべきものではなく,一方,判定では簡単かつ客観的な生理学的指標を用いるため,多施設研究に適している点もあらためて指摘している.そもそもACCP/SCCM合同カンファレンスの論文[1,5]にもその有効性を示すデータのほか,その限界も併記されており,改善の余地を残すものであることも明言されている.

■SIRSにおける体温上昇は,脳血液関門(BBB)がない視床下部に炎症性メディエータ受容体が発現しており,SIRS状態では誘導型シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の転写段階からの産生亢進によるプロスタグランディンE2(PGE2)の産生により発熱反応が誘導される[6].一方,敗血症初期には種々の血管拡張性物質が産生され,血管が強く拡張される.これに対して意識下では交感神経緊張により血漿カテコラミン濃度が上昇し,体血管抵抗をを保つことで血圧を維持しようとするが,このような代償機構を保ちにくい高齢者などでは,拡張した末梢血管より熱放散が高まり,体温が低下する.敗血症での低体温が死亡リスクを高めることは既に報告があり[7-10],高体温よりも死亡率は高い.

■敗血症では頻脈が惹起されるが,これは①内因性カテコラミン,②心房筋でのオータコイド産生(プロスタグランディンやヒスタミン),③相対的循環血液量低下による反射性頻脈,④アドレナリン作動性β2受容体の増加,の主に4つの要因が関与する[11].とりわけ敗血症性ショックにおいては,心拍数上昇が予後悪化と関連することが報告されている[12-17]

■SIRSや敗血症初期では呼吸数が増加するが,これは①乳酸アシドーシスに対する呼吸代償,②組織酸素需要量増大に伴う低酸素応答,③交感神経緊張,の3つの要因が関与しており,最も早くに現れる異常である.SIRS基準からqSOFAに変わってもなお呼吸数はスクリーニングツールに入っており,早期認知の重要な指標であり続けている.

■SIRSにおいては転写因子NF-κBによってG-CSFやM-CSFの産生が転写段階より調節されることで白血球数が上昇する.また,sepsis病態の骨髄細胞ではToll-like受容体(TLR)の細胞内シグナルとしてInterferon Regulatory Factor(IRF)が活性化し,感染症における白血球系細胞の分化を多様化している[18,19].これらの骨髄産生系の加速に比較して,末梢での白血球浸潤が強い場合,末梢血採血の白血球は見かけ上減少する.このような場合においても,末梢血に幼弱球が検出できる.

■Asayamaらの報告[20]によると,救急車で来院する全患者を診療する慶應義塾大学附属病院ERでの検討では,傷病ごとのSIRS発症率は,感染症73%,肝胆膵疾患44%,呼吸器疾患42%,代謝性疾患31%,消化管疾患22%,循環器疾患20%であり,細菌感染症がSIRSを発症しやすいことが分かる.来院時に15%の患者が,病院滞在期間中のいずれかの時点で18%がそれぞれSIRS基準を満たしている.また,SIRS患者と非SIRS患者の比較では,入院率は56.0%vs15.4%,死亡率は12.3%vs1.4%でいずれもSIRS患者が有意に高かった.SIRS該当項目数で見ても,入院率,死亡率は項目数が増えるごとに有意に増加した.この傾向は海外の報告[21]でも同様である.

2.敗血症の新定義によりSIRSは消えるのか?

■Intensivist誌の2014年7月号の特集「Severe Sepsis & Septic Shock」は志馬先生の「さよならSIRS」から始まる.確かにSIRSは前述の通り感度が高く特異度が低いがゆえの問題点をはらんでいる.ANZICSからの大規模観察研究[22]ではSIRS基準では重症敗血症の8人に1人を見逃すとしている(感度87.9%).しかし,この精度ははたしてそれほどよくないと言えるだろうか?感染+SIRS+臓器障害で9割近くの感度はむしろ優れたスクリーニングツールとも言えないこともない.後ろ向きにデータベースを見れば当然ながらSIRS基準からの漏れは見つかるし,それをもって不完全と言うのはたやすいが,実臨床では完璧なスクリーニングツールなど存在しない.また,後ろ向きで見ているとはいえ,敗血症には絶対基準が存在しない以上,この数字はいかようにも変わる.

■となれば,2016年2月の敗血症の新しい診断基準[23]もまた,正確に敗血症という病態を診断する完璧なものではない.そしてその検証研究は後ろ向きのデータベースを28日死亡とICU在室日数をアウトカムとした精度(AUROC)で評価しており[24],このアウトカムでもともと広いスクリーニングツールを想定しているSIRSより優れているとするのは違和感がある.SIRS+臓器障害のくくりと新定義がはたしてどちらがより病態を的確にとらえているのかは今後の検証しだいとなるだろう.

■もっとも,qSOFAはSIRS基準よりもよりさらに簡便かつシンプルになっており,特にSIRSにはあった白血球の項目がなくなったことで採血が不要になるため,ベッドサイドで完結できるスクリーニングツールとなる.

■SIRSからの脱却は,敗血症の診断・治療において炎症を重視しすぎてきたという事情がある.しかしながら,敗血症という病態において炎症が働くことは動かざる事実であり,同時に,免疫抑制状態のCARS,さらにはSIRSとCARSの混合病態であるMARSも既に提唱されており,敗血症病態の解明を目的として,概念としてのSIRSは今後も残っていくと思われる.

3.免疫系におけるSIRSとCARS

■SIRSはCARS(compensatory anti-inflammatory response syndrome:代償性抗炎症反応症候群)とセットで理解する必要がある.通常は炎症が高まっている状態で更なる感染症が生じることは考えにくい.しかし,敗血症ではその臨床経過中に更なる感染症を発症して重症化する病態が知られている[25,26].これは,炎症性サイトカインの産生により惹起された炎症反応を沈静化しようとして引き起こされる抗炎症性サイトカインの過剰産生により発症する免疫抑制が深く関わっていることが知られており,immunoparalysisと呼称されている[27,28].これは熱傷,膵炎等でも同様である.

■Immunoparalysisの発症は,免疫細胞のアポトーシスの増加,アネルギーやHLA-DRを発現している単球の割合の減少などで診断される.Immunoparalysisの発症にはさまざまな因子が関与しているが,抗炎症性サイトカインの過剰産生も重要な因子である[27].CARSは1996年にRoger Boneにより提唱された血清学的病態概念であり[29],CARSは炎症性サイトカイン産生の高まるSIRSに拮抗する病態として,自己免疫抑制状態と考えられている.

■抗炎症性サイトカインの代表的なものとしては,TGF-β(transforming growth factor-β) super family,IL-4,IL-6,IL-10,IL-11,IL-13やα-MSH(α-melanocyte stimulating hormone)などがある.抗炎症性サイトカインが活性化されるCARSの病態では,①皮膚アレルギー所見の出現,②単球やリンパ球の活性低下,③炎症性サイトカインの産生抑制,④TGF-βを介した組織線維化や組織増殖などが特徴となる.

■CARSで主に取り上げられるIL-10はSIRSの転写因子の主体であるNF-κBやAP-1,そしてカテコラミンによるcAMP response elementに依存して,転写が高まる.このため,炎症性サイトカインと同様の機序として,早い時期よりTh1細胞,B細胞,マクロファージや樹状細胞などでIL-10産生が上昇する.一方,このIL-10が作用するIL-10受容体は,血管内皮細胞,Ⅱ型肺胞上皮細胞,心房筋障害などの主要臓器細胞にはほとんど検出できない.IL-10受容体の発現は白血球系細胞に限られるので,IL-10を介したCARSは白血球機能の抑制にのみ作用する.これにより細菌,真菌を含めた異物の生体内侵入が容易となる.

■一方,CARSの別の主役であるIL-4やIL-13は転写因子NF-κBではなく,主に転写因子NFAT(nuclear factor of activated T-cell)で転写調節される.SIRSにおいて,NFATはNF-κBより遅れて活性を上昇させる傾向があるため,IL-4やIL-13は炎症性サイトカインより遅れて産生されてくる.これがSIRSとCARSが必ずしも並行ではない機序の一つである.IL-4,IL-13の受容体は白血球系の細胞に加えて,血管内皮細胞にも存在する.IL-4,IL-13は白血球系細胞では炎症性サイトカインの産生を抑制するが,血管内皮細胞では炎症性サイトカインの産生を高めるという逆作用をもつこと,血管内皮細胞にアポトーシスを誘導し,血管の線維化にも関与することが示唆されている.

■IL-6は,IL-1βにより刺激された単球/マクロファージ,血管内皮細胞,線維芽細胞,ケラチノサイトなどから産生され,これまで炎症性サイトカインと考えられてきたが,近年,抗炎症性サイトカインとしての役割も注目されている.IL-6受容体は,白血球系細胞以外にも,血管内皮細胞や主要臓器細胞にも存在し,NF-κB活性を下げ,炎症性サイトカインシグナルを負に調節している.すなわち,IL-6はCARSに関与しているサイトカインである.

■このように,CARSは白血球細胞の活性を低下させる一方で,血管内皮細胞などの炎症を独自に進行させ,SIRSにおける血管拡張病態を血管収縮状態にシフトさせるように作用する.CARSが持続している病態では,①白血球系細胞の機能低下により易感染性となること,②感染性2nd attackによりSIRS再燃の可能性があること,③血管内皮細胞障害進展の可能性があることに留意する.

■SIRSは症候学的定義により,評価しやすい病態である.しかし,CARSは症候学的定義がなく,あくまでも血清学的病態に過ぎず,抗炎症性サイトカインを測定しない限り明確に評価できない.実際の臨床では,SIRSとCARSがともに生じていると考え,MARS(mixed antagonistic response syndrome;混合性拮抗反応症候群)として対応している[30]

■近年,CARS病態では制御性T細胞(Treg)が注目されている.TregはCD4+で免疫を制御するT細胞として1995年にSakaguchiらの研究[31]で発見されており,その誘導は現在癌治療で注目されているPD-1/PD-Lシグナルが関与していることが分かっている.Tregの末梢での生存維持は,CD4+CD25-T細胞と比較して,IL-2への依存度が高いが[32],その一方でTreg自身はIL-2の産生を低下させてTh0の分化を抑制するnegative feedback作用を有する.敗血症患者の初期の末梢血においてはIL-2産生が高まるが,この後にTregが30-40%にまで上昇し[33],Th2優位な状態となり,CARSに至る.

■Hirakiらは,CLP敗血症マウスモデルにおいてTregの増加し,抗IL-10中和抗体,抗TGF-β中和抗体を投与することでTregを制御すると予後が改善したと報告している[34].また,Onoらは,腹腔感染症による敗血症患者32例において,PMX-DHPを施行することで,死亡例より生存例の方がTregが有意に減少していたと報告している[35].これらの報告からも敗血症病態においてはTregによるCARSがむしろ生体に不利に働く可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2016-03-08 15:08 | 敗血症 | Comments(0)
2011年10月17日作成
2012年10月29日改訂
2016年3月7日改訂
Summary
・敗血症において菌血症は必要条件でもなければ十分条件でもない.
・敗血症の診断基準としては1991年基準(SIRS),2001年の基準があるが,感度・特異度の問題があり,2016年2月に第3の定義・診断基準が定められた.
・新しい定義・診断基準ではより重症度が高い患者集団に限定された.
・SIRS基準が消え,従来の重症敗血症以上が敗血症と定義された.
・新基準ではICU発症とICU以外での発症で診断基準が異なることに注意が必要である.ICU発症では感染症が疑われSOFAスコアの2点以上の増加,ICU以外ではqSOFAスコア2点以上で敗血症疑い(かつSOFAスコア2点以上で敗血症)と診断される.
・qSOFAは呼吸数22回以上,収縮期血圧100mmHg以下,意識障害(GCS<15)で規定される.
・感染症診断,スコアリングの間隔,臓器障害が慢性か急性か,アウトカム設定の問題,日本と米国のICU環境の違いなどの問題点を考慮する必要がある.
・敗血症性ショックは急速輸液負荷でも反応しない平均血圧65mmHg未満かつ乳酸値2mmol/L以上で診断される.
■本記事では,過去の敗血症の定義も含めた解説であり,SIRS基準等も掲載している.新しい定義・基準は後半に記載があり,そちらを参照されたい.

1.SIRSに始まる敗血症の定義・診断基準の変遷

■sepsisの語源はギリシャ語のseptikosであり,「崩壊」「腐敗」の意味
※sepsisの発音は英語なら「セプシス」,ドイツ語なら「ゼプシス」になる模様.

■古い敗血症の概念は1914年にSchottmullerらが定義した「敗血症は,微生物が局所から血流に侵入し,病気の原因となっている状態」であるが[1],これは現在の敗血症とは異なる.よく勘違いされるが,敗血症は「細菌(真菌)が血液中に侵入して生じるもの」ではない.菌血症は敗血症の必要条件でもなければ十分条件でもない.その後の敗血症の定義は生体反応である炎症を主体とするもに変遷していき,Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012[2]では「全身症状を伴う感染症,あるいはその疑い」とされた.

■1989年にBoneらは“sepsis syndrome”という概念を提唱した[3].これをもとに米国集中医療学会(SCCM)と米国胸部医学会(ACCP)が合同で発表したものが敗血症の定義の定義として十数年にわたって使用されてきたものである[4].ここで,感染症は微生物の存在,もしくは本来は無菌である組織への微生物の侵入に対する炎症反応と定義され,全身性炎症反応症候群Systemic Inflammatory response syndrome(SIRS)の概念が生まれた.SIRSについてのまとめはこちら

■SIRSは以下の4項目のうち2項目以上該当すれば診断される[3]
(1) BT >38℃ or <36℃
(2) HR >90 bpm/min
(3) RR >20 bpm/min or PaCO2<32mmHg
(4) WBC >12000/mm^3 or <4000/mm^3 or immature leukocyte > 10%
このときの敗血症の定義は感染によって発症した全身性炎症反応症候群(SIRS),すなわちinfection-induced SIRSである.

■severe sepsis(重症敗血症)の診断基準[4]
Sepsisの中でも以下の項目を1つでも満たす.
(1) 臓器障害
(2) 臓器灌流障害
  乳酸アシドーシス:lactate>2mmol/L
  乏尿:1時間以上の尿量低下(<0.5mL/kg/H)
  意識混濁
(3) 低血圧(収縮期血圧<90mmHgまたは通常血圧から40mmHg以上の低下)

■septic shock(敗血症性ショック)の診断基準[4]
severe sepsisの中で,血圧低下があり,十分な急速輸液負荷を行っても血圧が回復しないもの

■その後,2001年にSCCM,ACCP,ヨーロッパ集中医療学会(ESICM),米国胸部疾患学会(ATS),外科感染症学会(SIS)で集まったInternational Sepsis Definitions Conferenceで定義の再検討が行われ,SIRSは有用な概念であるが,感度過剰かつ非特異的だとして,生体反応を細かく評価する方法が提唱され,以下の新しい診断基準[5]が発表された.
感染症の存在が確定もしくは疑いであり,かつ下記のいくつかを満たす(項目数規定なし)
(1) 全身所見
・発熱:深部体温>38.3℃
・低体温:深部体温<36℃
・頻脈:心拍数>90回/分,もしくは>年齢平均の2SD
・頻呼吸
・精神状態の変化
・明らかな浮腫または体液過剰:24時間以内でのプラスバランス20mL/kg
・高血糖:糖尿病の既往が無い症例で血糖値>120mg/dL
(2) 炎症所見
・白血球上昇>12000/μL
・白血球低下<4000/μL
・白血球正常で>10%の幼若白血球を認める
・CRP>基準値の2SD
・プロカルシトニン>基準値の2SD
(3) 循環所見
・血圧低下:収縮期血圧<90mmHg,平均血圧<70mmHg,もしくは成人で正常値より>40mmHgの低下,小児で正常値より>2SDの低下
・混合静脈血酸素飽和度(SvO2)<70%
・心係数(CI)>3.5L/min/m^2
(4) 臓器障害所見
・低酸素血症:P/F(PaO2/FiO2)<300
・急性の乏尿:尿量<0.5mL/kg/hrが少なくとも2時間持続
・クレアチニンの増加:>0.5mg/dL
・凝固異常:PT-INR>1.5,もしくはAPTT>60秒
・イレウス:腸蠕動音の消失
・血小板減少<10万/μL
・総ビリルビン上昇>4mg/dL
(5) 組織灌流所見
・高乳酸血症>1mmol/L
・毛細血管の再灌流減少,もしくはmottled skin(斑状皮膚)

■しかしながら,この2001年の診断基準は1991年の診断基準(SIRS基準)より精度が特段向上したわけでもなく[6,7],24項目におよぶ上に項目数の規定がないなど非常に使いづらいものであり,精度報告も少ない.一方でSIRS基準は敗血症の疫学や治療介入を研究するためのentry criteriaの役割が主体で提唱されてはいるものの,そのスクリーニングツールとしての簡便さからSIRS基準は現場では用いられ,敗血症診療における中心的概念であり続けた.

2.Sepsis-3/敗血症の再定義と新しい診断基準

■敗血症の病理生物学的研究が進み,敗血症を単なる炎症だけでは説明できなくなってきている.実際にはSIRSという炎症過剰に引き続き,CARSという免疫抑制も生じることが分かっており,敗血症ではより複雑な免疫の多様な変化が生じていることから,炎症を過剰に重視しすぎることが問題視され,その視点をより臓器障害に向ける必要性が指摘されていた.

■また,EGDTをはじめとする多くの治療法が検討されていく中で,敗血症の死亡率は減少してきている[8-15].この中で,最重症病態である敗血症性ショックの近年の死亡率は20-30%まで低下しており,さまざまな治療介入をRCTで検証しても有意差はつかないということが相次いでいる.また,敗血症死亡率の疫学的推移を異とする主張もある.疫学研究においてはコーディング化された病名を拾いあげていくが,その際に過剰診断によるアップコーディングがあると敗血症患者が増えることになる[16].結果的にこれまでの基準では軽症例まで拾い上げていることもあり,死亡率をアウトカムとする場合,今後の治療介入の検証の妨げとなる.ならばより重症度の高い集団を敗血症と定義しなおす必要もあった.

■2016年2月22日,米国フロリダ州はオーランドで開催された第45回米国集中治療医学会(SCCM;Society of Critical Care Medicine)において,米国集中治療医学会・欧州集中治療医学会合同セッションで敗血症の新しい定義が発表され,同時にJAMA誌に新定義の論文1報[17]とその検証論文2報[18,19]がpublishされた.Sepsis-3と名付けられた新定義はこれまでの内容から大幅に変更となっている.
Sepsis-3新定義・新診断基準の概略

・敗血症の新定義:「感染症に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害」
旧敗血症(SIRS+感染症)→敗血症から除外
旧重症敗血症(敗血症+臓器障害)→敗血症(重症はつけない)

・敗血症の新診断基準:ICU患者とそれ以外(院外,ER,一般病棟)で区別
(1) ICU患者:感染症が疑われSOFAスコアが2点以上増加
(2) 非ICU患者:quick SOFAスコア(qSOFA)で2点以上(疑い)→SOFAスコア2点で敗血症
qSOFAスコア:「呼吸数22回/分以上」「意識障害(GCS<15)」「収縮期血圧100mmHg以下」が各1点ずつ

・敗血症性ショックの定義・診断基準
新定義:「実質的に死亡率を増加させるに十分に重篤な循環,細胞,代謝の異常を有する敗血症のサブセット」
新診断基準:適切な輸液負荷を行ったにもかかわらず平均血圧65mmHg以上を維持するための循環作動薬を必要としかつ血清乳酸値の2mmol/L(18mg/dL)超過
■これまでのSIRS基準は消え,SIRS+感染症で敗血症としていたのが,重症敗血症以上で敗血症とし,なおかつ重症敗血症という用語が消滅した.これにより,敗血症(Sepsis)と敗血症性ショック(Septic shock)の2つになりシンプルになったと言える.
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■新しい診断基準はICUとそれ以外で診断基準が異なるというややトリッキーな内容となった.大規模検証研究において,ICU患者ではSOFAスコアがqSOFAやSIRSよりも院内死亡予測妥当性(AUROC)が有意に高かったのに対し,それ以外の患者ではqSOFAがSOFAスコアよりも有意に高かったことによる[18].ICUではSOFAスコアをルーティンでつけている施設も多いと思われるが,ICU以外では通常評価されないものであり,ICU以外で迅速に認知して対応する上でqSOFAがシンプルな3項目になっており,かつ採血が不要でベッドサイドですぐに評価できる因子で構成されているのは非常に実用的かと思われる.これは,ICUに比して,特に一般病棟や院外のプライマリケアの現場において敗血症が見逃され治療開始が遅れていることが顕著であることにも起因する.

■加えて,ICU患者では既に何らかの重症疾患で入院しており,qSOFAでみられるような異常は敗血症でなくとも頻繁にみられる.そこで,SOFAスコアの2点以上の増加という臓器障害度の変化をもってICU発症の敗血症を拾い上げることになる.

■しかし,この改良された診断基準にも問題点はまだまだあるため,以下の問題点を把握して判断する必要がある.
(1) 本検証が既に感染症と診断,あるいはその疑いがもたれた患者を対象に行っていることであり,感染症であることをどのように診断もしくは疑うとするのかは定められていない.このため,まずは感染症の見逃しを事前に防ぐ必要がある.
(2) SOFAスコアの変化をどの程度の変化をもって判断すべきかが示されていない.さらに採血を毎日行うわけでもない以上はSOFAスコアで2日以上は評価できないこともある.
(3) 検証研究において,臓器障害が慢性か急性かの区別が評価されていない(たとえば,認知症患者ではベースラインを知らな得ればqSOFAで1点と数えられてしまう過剰診断リスクが生じる).
(4) 本検証研究のアウトカムは院内死亡率またはICU在室日数3日以上としており,敗血症診断の感度特異度を評価した精度解析ではないことである(そういう意味ではSIRSより本当に優れているのかは評価しづらい).これらの指標は敗血症ではよく使用されるものの,あくまでも代替指標に過ぎない.もっとも敗血症に絶対指標がないためこの問題点を解決することは不可能とも言えるが,本診断基準が何を見ているのかは常に頭に置いておく必要がある.また,院内死亡率は全死亡率であり,その死亡原因は時期によってもかなり異なり[20],敗血症が原因でない場合も含まれるため,必要な治療介入が敗血症治療でない患者集団を含んでしまう.
(5) qSOFAで敗血症と診断したとしてもICUに入室させるかはその病院環境によって異なる.とりわけ回転が速く病床数の多い米国ICUと日本のICUを比較したとき,qSOFAをもって全例をICU入室適応とするのは妥当とは言いにくく,よりつっこんだ評価が必要であろう.

■敗血症性ショックの基準についても検証研究がなされている[19].収縮期血圧ではなく平均血圧を見ていること,乳酸値をより重要視することが推奨されており,これは血圧の下がったショック(Overt Shock)のみならず潜在的ショック(Cryptic Shock)もカバーする上で重要である.収縮期血圧は左室後負荷と動脈性出血リスクに関与する一方,平均血圧は心臓以外の臓器灌流の決定因子である.敗血症において血圧が低いことが問題になるのは臓器血流量が減少するからであり,それを決定するのは冠血流を除いては平均血圧である.平均血圧は以下の式から推測する.
 MAP=DBP+(SBP-DBP)/3=SBP/3 + DBP×2/3
 MAP:平均血圧
 DBP:拡張期血圧
 SBP:収縮期血圧
実際に敗血症においてはMAPが60mmHgと28日死亡率の関連が強く,SBPと死亡率の関連閾値は見出せなかったと報告されている[21]

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by DrMagicianEARL | 2016-03-07 18:32 | 敗血症 | Comments(0)

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