ブログトップ

EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

<   2016年 04月 ( 6 )   > この月の画像一覧

2016年4月18日12時作成
2016年4月18日21時更新
2016年4月19日17時更新
2016年4月20日11時更新

■この度の熊本・大分の地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます.また,被災された方々の1日でも早い復興をお祈りいたします.

■さて,先日は仙台で開催された第90回日本感染症学会の後のICD講習会において,最後に学会長から「熊本で大きな地震があった.大規模災害では感染症が必発である.特にレジオネラと破傷風には気をつける必要がある」との特別発言がありました.とりわけ破傷風は致死率の高い感染症です.今後さらに医療支援やボランティアで被災地入りする人も多数でてきますが,必ず破傷風ワクチン接種を推奨してください(東日本大震災では災害ボランティアの感染例が報告されています).

■被災地での医療は通常の状況とはかなり異なり,疫学的状況が大きく変化します.以下に感染制御をはじめとする種々の医療関連マニュアルや各学会からの注意喚起を掲載します.被災地での活用や,今後の災害に備えての参考にしていただければ幸甚です.また,「こんなマニュアルもあるよ」というのがあれば御教授ください.こちらに掲載いたします.
【緊急】「平成28年熊本地震」への対応(日本内科学会)
http://www.naika.or.jp/saigai/kumamoto/
日本薬剤師会熊本地震専用ホームページ
http://www.nichiyaku.or.jp/saigai2016/index.html
大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き
http://www.kankyokansen.org/other/hisaiti_kansenseigyo.pdf


災害と感染症対策
http://www.kansensho.or.jp/disaster/index.html

やむを得ない場合の抗HIV薬内服中断の方法について(東日本大震災時情報)
http://www.acc.ncgm.go.jp/earthquake/020/110315_001.html

医療資源の限られた状況における敗血症治療の推奨(欧州集中治療医学会:英文,フルテキスト無料)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22349419
災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2014_shimokawa_h.pdf


循環器系学会からの被災地の皆様への注意とお知らせ~避難所生活の方と車中で避難をされておられる方へ~いわゆるエコノミークラス症候群の予防について
http://www.j-circ.or.jp/topics/20160418_vte.htm
厚生労働省からの周知依頼「平成28 年熊本地震で被災した妊産婦及び乳幼児等に対する支援のポイント」
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20160418_kumamoto.pdf
平成28年熊本・九州地震に伴う「日本糖尿病学会 熊本・九州地震対策本部」の設置について
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=62
高齢者災害時医療ガイドライン(試作版)第2版
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/member/kaikai/koku_saigai-guideline.html
日本透析医会災害情報ネットワーク
https://www.saigai-touseki.net/

熊本県透析施設協議会
https://www.saigai-touseki.net/?bid=100
リウマチ性疾患あるいは膠原病患者の内服薬について(東日本大震災時情報)
http://www.ryumachi-jp.com/info/news110314.html
熊本県災害時の栄養管理ガイドライン~市町村における避難所栄養管理のための手引き~
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_2574.html
災害精神保健医療マニュアル
http://www.ncnp.go.jp/nimh/seijin/H22DisaManu110311.pdf

子どもの心のケアのために(日本小児科医会)
http://jpa.umin.jp/download/kokoro/PTSD.pdf

災害時の発達障害児・者支援エッセンス-発達障害のある人に対応するみなさんへ-
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%85%90%E3%83%BB%E8%80%85%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/?action=common_download_main&upload_id=813
大規模災害リハビリテーション対応マニュアル
http://www.jrat.jp/images/PDF/manual_dsrt.pdf
災害ボランティアの安全衛生対策マニュアル VER4.1
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/volunteer/bousai-volunteer/link/pdf/anzen_manual_ver4.1.pdf

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-20 11:07 | Comments(0)
■敗血症患者では免疫抑制が生じることが知られていて,ICUで治療中に二次感染が生じやすくなります.ではその二次感染はどの程度死亡リスク上昇に関与しているのかについて検討した報告がJAMA誌にでました.その上昇リスクは絶対差で2%とわずかという結果でした.過去にも「ICU死亡のうちVAPが関与しているのは1.5%に過ぎない」という報告があり(Am J Respir Crit Care Med 2011; 184: 1133-9),ICU関連感染症自体の重症度はそれほどたいしたことはないのかもしれません.このあたりは重症度評価をきっちりはかる必要があります.

■ただし,この結果は二次感染を許容するものでは当然ありません.せん妄リスクや,入院日数・人工呼吸器装着期間,コストへの影響は大きい可能性がありますし,そのぶんだけPICSのリスクも増す可能性があります.
敗血症でICU入室後の二次感染の発生率,危険因子,死亡への寄与
van Vught LA, Klein Klouwenberg PM, Spitoni C, et al; MARS Consortium. Incidence, Risk Factors, and Attributable Mortality of Secondary Infections in the Intensive Care Unit After Admission for Sepsis. JAMA 2016 Mar 15 [Epub ahead of print]
PMID:26975785

Abstract
【背 景】
敗血症では,晩期死亡に関連した二次感染リスク増加を引き起こす免疫抑制が惹起されると考えられている.

【目 的】
敗血症のある,もしくはないICUに入室においてICU関連感染症の臨床的および宿主遺伝的な特性,発生率,死亡への寄与について検討する.

【方 法】
入室時診断(敗血症または非感染症)に応じた層別化を行った,2011年1月から2013年7月までのオランダの2つのICUにおいて48時間以上の連続的入院患者を登録した前向き観察研究である.主要評価項目はICU関連感染症(48時間超での発症)とした.寄与死亡リスク(感染に起因する危険因子の排除によって予防することができた死亡の割合)は,競合リスクを計算する時間事象モデルを用いて検討した.敗血症による入院のサブセット(461例)において,血液遺伝子発現(白血球における全遺伝子トランスクリプトーム)はベースラインとICU関連感染症(19例)と非感染(9例)事象の発症時に解析した.

【結 果】
主要コホートは1719例の敗血症入院を含んでいた(1504患者; 年齢中央値62歳; 四分位範囲[IQR] 51-71歳; 924例は男性(61.4%)).比較コホートは,最初の48時間で感染症を呈していない1921例の入院を含んでいた’(1821患者; 年齢中央値62歳; IQR 49-71歳; 1128例は男性(61.8%)).ICU関連感染症は敗血症によるICU入院の13.5%(232例),非敗血症によるICU入院の15.1%(291例)で生じていた.ICU関連感染症が生じた敗血症患者はICU関連感染症を生じなかった敗血症患者よりも,入院時(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation IV [APACHE IV]スコア中央値 90 [IQR 72-107] vs 79 [IQR 62-98]; p<0.001)およびICU滞在中の疾患重症度スコアが高かったが,ベースラインの遺伝子発現に差はみられなかった.敗血症患者におけるICU関連感染症の集団死亡寄与率は60日で10.9%(95%CI 0.9-20.6%)であり,敗血症患者とICU関連感染症のない患者の死亡率の推定差は60日で2.0%(95%CI 0.2-3.8%; p=0.03)と小さかった.非敗血症のICU入室において,ICU関連感染症の集団寄与死亡率は60日で21.1%(95%CI 0.6-41.7%)であった.ベースラインと比較すると,ICU関連感染症の発症における血液遺伝子発現は糖新生および解糖系における遺伝子発現の減少を示していた.

【結 論】
ICU関連感染症はより重症度の高い敗血症患者においてより多く発生していたが,このような感染症は全死亡への寄与はわずかであった.敗血症患者の遺伝子的反応は二次感染発症時の免疫抑制と一致していた.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-17 00:00 | 敗血症 | Comments(0)
■米国ではワクチンによって麻疹が排除され,「日本人を見たら麻疹と思え」なんて言われていたこともありました.しかし,その後,「もはやワクチンは不要」と言わんばかりの手の平の返しようで麻疹ワクチンを非科学的根拠で叩く人たちが増え,その結果米国で麻疹のアウトブレイクが起こることとなりました.

■Wakefieldの論文(後に捏造と判明)によって起こってしまった反ワクチン主義の方々のデマの吹聴により,それを鵜呑みにした親がワクチンを接種しなくなってしまう,なんて現象は国内外でよく見られます(Wakefieldの捏造,およびBrian Hookerの不適切論文撤回は以下を参照).
【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析(Wakefieldの論文捏造の詳細含む)
http://drmagician.exblog.jp/22025386/

MMRワクチンと自閉症の関連性に関する2014年8月の騒動について(Brian Hookerの不適切論文撤回)
http://drmagician.exblog.jp/22464500/
■SNS上でも私はよく反ワクチン主義者から突然喧嘩をふっかけられますが,彼らの口からは科学的根拠がまったく出てこず,議論しても陰謀論しか出てきません(論文は全部嘘だの金儲けだの人口削減計画だの).知識の元も怪しいブログばかりからしか引用してこないので嘘ばかりでてきます.挙句の果てに職場を教えろだのワクチン推進してるなら医師失格だのまあいろいろ言われますよ(笑).ちなみに,残念なことに医療従事者でワクチン関連で陰謀論を言ってる人もたまにいます・・・

■今回紹介する論文は,JAMA誌に掲載された,米国での麻疹・百日咳のアウトブレイクとワクチン接種拒否との関連性についてのレビューです.ワクチンでその疾患がほとんどみられなくなってもワクチン拒否している人がいればそのうちアウトブレイクが起こるべくして起こるわけです.日本でも他人事ではありません.日本脳炎や狂犬病等・・・
米国におけるワクチン拒否とワクチンで予防可能な疾患の関連性:麻疹と百日咳のレビュー
Phadke VK, Bednarczyk RA, Salmon DA, et al. Association Between Vaccine Refusal and Vaccine-Preventable Diseases in the United States: A Review of Measles and Pertussis. JAMA 2016 Mar 15;315(11):1149-58
PMID:26978210

Abstract
【背 景】
親が子供へのワクチン接種を躊躇することは,ルーチンでの予防接種を遅らせたり,州が義務付けているワクチン接種の免除を求めたりする可能性がある.米国においてワクチンで予防可能な疾患の最近起こったアウトブレイクはこの現象が注目されている.ワクチン接種拒否とこれらの疾患の疫学との間の関連性について改善された理解が必要である.

【目 的】
最近米国でアウトブレイクが生じた,ワクチンによって予防可能な疾患である麻疹および百日咳のワクチン接種遅延・拒否・免除とその疫学との関連性を評価するため,出版された文献のレビューを行った.

【方 法】
米国において麻疹が排除されたと宣言されて以降(2000年1月1日以降)に生じた米国の麻疹アウトブレイクの報告,米国での百日咳発生率が最も低いとき以降(1977年1月1日以降)の百日咳のエンデミックおよびエピデミック,およびワクチン接種遅延や免除において疾患のリスクを評価した研究について2015年11月30日にPubMedでの検索を行った.

【結 果】
18報の麻疹の研究(9報の年次要約と9報のアウトブレイク報告)が抽出され,麻疹例は1416例(年齢幅2週-84歳;178例は12か月未満)であり,麻疹ワクチン接種歴のない患者が過半数(56.8%)であった.詳細なワクチンデータのある970例の麻疹例のうち,574例はワクチン接種可能であったにもかかわらずワクチンを接種しておらず,405例(70.6%)は非医学的な免除であった(医学的禁忌とは対照的に,例えば,宗教や信条による理由が全部で41.8%であった).百日咳アウトブレイクの32報では,ワクチン接種状態が報告されている10609例(年齢幅10日-87歳)が含まれ,5つの最大の州全体でのエピデミックではワクチン未接種またはワクチン接種不十分(追加接種を受けていない)な人がかなりの比率であった(24-45%).しかしいくつかの百日咳アウトブレイクはワクチン接種率の高い集団においても発生しており,免疫の減衰が示唆されている.9報(12件のアウトブレイクを記載)がワクチン非接種例の詳細なワクチンデータが得られており,そのうちの8つのアウトブレイクではワクチン未接種者の59-93%がワクチン接種を意図的に避けていた.

【結 論】
排除された後の年において,米国の麻疹例のかなりの割合が意図的にワクチン接種を避けていた.ワクチン拒否の現象は,ワクチンを拒否した人とワクチン接種を完了した人における麻疹リスク増加に関連していた.百日咳の再興は,免疫の減衰やその他の要因に起因しているが,ワクチン拒否はいくつかの集団における百日咳リスクの増加と関連していた.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-13 11:57 | 感染対策 | Comments(0)
■敗血症病態においては全身性炎症反応症候群であるSIRSとその反対の抗炎症性に働くCARSが起こるとされており,その混合病態はMARSと呼ばれ,この状態は病状が落ち着いてからも遷延するとされています(PICS:Persistent Inflammation-immunosuppression Catabolism Syndrome).今回はそれに関する研究を紹介します.敗血症生存者は免疫能が低下していると考えた方がいいでしょう(免疫学的麻痺:immunoparalysis).
敗血症に起因する長期の免疫学的麻痺 - 記述的探索的研究結果
Arens C, Bajwa SA, Koch C, et al. Sepsis-induced long-term immune paralysis - results of a descriptive, explorative study. Crit Care 2016 Feb 29; 20(1): 93
PMID:27056672

Abstract
【背 景】
免疫系の長期的障害は敗血症生存後の晩期の死亡の根本的な原因として考えられている.我々は初回の敗血症の生存者において,免疫系の変化が遷延するという仮説を検証した.

【方 法】
本前向き横断予備研究では,カテコラミンを要した敗血症から生存した8例の元患者と年齢,性別,糖尿病,腎不全でマッチした8例の対照者を登録した.各参加者は既往,薬剤内服歴,感染症既往についてアンケートを行った.末梢血は,α-CD3/28,LPS,ジモサンによって刺激を加えた全血でⅰ)免疫細胞サブセット(CD4+,CD8+T細胞;CD25+CD127-制御性T細胞;CD14+単球),ⅱ)細胞表面受容体発現(PD-1,BTLA,TLR2,TLR4,TLR5,Dectin-1,PD-1L),ⅲ)HLA-DR発現,ⅳ)サイトカイン分泌(IL-6,IL-10,TNF-α,IFN-γ)を計測するため採取した.

【結 果】
敗血症生存後に,元患者は,免疫系の障害に典型的に関連した臨床的に明らかな感染症の数の増加を呈した.標準的な炎症マーカーは,元敗血症患者において低いレベルの炎症を示した.CD8+細胞表面受容体ならびに単球HLD-DR密度の数値は二群間で有意差はみられなかったが,一方でCD4+T細胞はPD-1およびBTLAによる負の免疫調節の対向機序の傾向がみられた.加えて,敗血症後群は単球表面の明確なパターン認識受容体の発現において変化が見られ,最も顕著だったのはTLR5発現の減少であった.自然免疫系(LPS,ジモサン)および獲得免疫系(α-CD3/28)の両方の重要な活性化因子への反応におけるサイトカイン分泌は元敗血症患者において弱まっていた.

【結 論】
免疫系の異なる活性化因子への反応としてのサイトカイン分泌は,敗血症生存者において総合的に障害されていた.とりわけ,これは明確な細胞表面受容体のダウンレギュレーションの傾向に基づいていた.我々の結果に基づくと,変化を特徴づけ,係合する潜在的な治療ターゲットを見つけることを目的としたより大きな検証研究の実施が可能と思われる.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-12 12:52 | 敗血症 | Comments(0)
■ICU領域でのprobioticsを検討したRCTが報告されましたので紹介します.本領域でのprobioticsのRCTはいくつもありますが,ほとんどが本邦では製剤化されていない菌株を用いています.今回の研究はBacillus subtilisEnterococcus faecalisを用いており,これは製品名で言えばビオフェルミン®に相当します.ただし,本邦でのRCTは3つあるものの,ビオフェルミンではなく,Bifidobacterium breveLactobacillus caseiです.

■結果は一応ポジティブなんですが,細菌学的定着を減じたという微妙なアウトカムで,これをもってVAPを予防したというのは違和感があります.実際に臨床的VAPや抗菌薬消費量,人工呼吸器装着期間,死亡率,入院期間はすべて有意差なしです.投与を推奨できるほどの結果ではないと感じます.
重症患者の人工呼吸器関連肺炎におけるプロバイオティクスの効果:多施設共同無作為化比較試験
Zeng J, Wang CT, Zhang FS, et al. Effect of probiotics on the incidence of ventilator-associated pneumonia in critically ill patients: a randomized controlled multicenter trial. Intensive Care Med. 2016 Apr 4. [Epub ahead of print]
PMID:27043237

Abstract
【目 的】
人工呼吸器関連肺炎(VAP)におけるプロバイオティクスの潜在的予防効果を評価する.

【方 法】
本試験は48時間以上の人工呼吸管理を受けると予想された重症成人患者235例を登録したオープンラベル無作為化対照多施設共同試験である.患者は(1)標準予防戦略に加え,生菌であるBacillus subtilisEnterococcus faecalis (Medilac-S) 0.5 gを含有したプロバイオティクスカプセルを経鼻胃管から1日3回投与する,(2)標準予防戦略,に最大14日間無作為に割り付けられた.VAP発生は毎日評価され,ベースラインと週1~2回咽頭スワブと胃吸引物を培養した.

【結 果】
プロバイオティクス群の微生物学的に確認されたVAP発生率は対照群より有意に低かった(36.4% vs 50.4%; p=0.031).VAP進展の平均時間はプロバイオティクス群の方が対照群よりも有意に長かった(10.4 vs 7.5日; p=0.022).潜在的病原性微生物(PPMOs)の胃内定着患者の比率はプロバイオティクス群の方が対照群よりも低かった(24% vs 44%; p=0.004).しかし,咽頭と胃の両方でPPMOs定着が消失した患者の比率は二群間で有意差はみられなかった.プロバイオティクスの投与は臨床的に疑わしいVAP,抗菌薬使用量,人工呼吸期間,死亡率,入院期間ではいかなる改善もみられなかった.

【結 論】
プロバイオティクスのB. SubtilisE. faecalisによる治療はVAPや胃内PPMOs定着の獲得を予防する意味で有効かつ安全であった.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-08 13:50 | 肺炎 | Comments(0)
■院外心停止症例における低体温療法やアドレナリン投与は最近次々とネガティブな結果がでてきていますが,今度はアミオダロン(+リドカイン)ときました.救急隊が投与してますので,病院搬入されてからのケースよりも早く対応されているのですが,それでも生存退院や神経学的予後の改善が示されませんでした.しかも二重盲検RCTです.サブ解析では,目撃のある心停止であれば改善効果はあるようですが,目撃のない心停止では有意差なし.やはりこういうケースでは厳しいですね.
院外心停止におけるアミオダロン,リドカイン,プラセボ
Kudenchuk PJ, Brown SP, Daya M, et al; Resuscitation Outcomes Consortium Investigators. Amiodarone, Lidocaine, or Placebo in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. N Engl J Med. 2016 Apr 4. [Epub ahead of print]
PMID: 27043165

Abstract
【背 景】
電気ショック抵抗性の心室細動や無脈性心室頻拍において抗不整脈薬は一般的に使用されているが,
生存有益性は示されていない.

【方 法】
本無作為化,二重盲検試験において,我々は非外傷性の院外心停止,少なくとも1回の電気ショックおよび血管確保後の電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍を有する成人において,標準的ケアの下で注射のアミオダロン,リドカイン,生食プラセボを比較した.救急隊が10の北米地域において患者を登録した.主要評価項目は退院時の生存,副次評価項目は退院時の良好な神経学的機能とした.per-protocol(主要解析)集団は,適格基準を満たし,任意用量の試験薬投与を受け,心室細動や無脈性心室頻拍の初期の心停止リズムが電気ショックに抵抗性であった,すべて無作為に割り付けられた患者が含まれた.

【結 果】
per-protocol集団において,3026例の患者がアミオダロン(974例),リドカイン(993例),プラセボ(1059例)に無作為に割り付けられ,それぞれの退院時生存率は24.4%,23.7%,21.0%であった.生存率の差は,アミオダロンとプラセボで3.2%(95%CI -0.4 to 7.0; p=0.08),リドカインとプラセボで2.6%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.16),アミオダロンとリドカインで0.7%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.70)であった.退院時の神経学的予後は3群間で同等であった.心停止が目撃されたか否かについて治療効果に不均一性がみられ(p=0.05),バイスタンダーの目撃のある心停止の患者においては抗不整脈薬はプラセボよりも有意に高い生存率に関連していたが,目撃のない心停止では関連していなかった.もっとアミオダロンの投与を受けた患者は,リドカインまたはプラセボの投与を受けた患者よりもより多く一時的心臓ペーシングを必要とした.

【結 論】
電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍による院外心停止患者において,アミオダロンやリドカインは生存率や良好な神経学的予後においてプラセボよりも有意に高い結果とはならなかった.

[PR]
by DrMagicianEARL | 2016-04-07 17:47 | 文献 | Comments(0)

by DrMagicianEARL