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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

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■非心臓手術後のICU患者において,DEX(デクスメデトミジン,商品名プレセデックス®)がせん妄を予防するというRCTがLancetにonline publishされました.これまで,せん妄そのものにはDEXでは対処しきれないもののせん妄予防効果はさまざまな研究があるため,今回は予想された結果ではありますが,データを見ても,NNPは7.1と,予防的治療としてはなかなかすごい数値です.レジメンは,DEXを0.1μg/kg/hrで翌朝8時まで持続投与なので,実臨床でも無理のないやり方ですね.
非心臓手術後の高齢患者におけるせん妄予防としてのデクスメデトミジン:無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
Su X, Meng ZT, Wu XH, et al. Dexmedetomidine for prevention of delirium in elderly patients after non-cardiac surgery: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2016 Aug 16 [Epub ahead of print]
PMID: 27542303

Abstract
【背 景】
65歳以上の患者において,せん妄は頻回に生じる手術後の合併症であり,有害なアウトカムと予測される.我々はα2アドレナリン受容体高選択性アゴニストである低用量デクスメデトミジンの予防的投与が非心臓手術後の高齢患者においてせん妄発生を安全に減じることができるかについて検討した.

【方 法】
我々は中国北京の2つの三次医療病院において,無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った.インフォームドコンセントを得た,非心臓手術後に集中治療室に入室した65歳以上の患者を登録した.コンピューターで集約化した連続的な無作為化(1:1割り付け)を用いて,デクスメデトミジン静脈内投与(手術した日の集中治療室入室時から術後1日目の午前8時まで0.1μg/kg/hr)またはプラセボ(標準的生理食塩水静脈内投与)に無作為に割り付けた.参加者,治療にあたる医療従事者,研究者は,群割り付けをすべてマスクされた.主要評価項目は,手術後7日間で毎日2回ずつのConfusion Assessment Method for intensive care units(CAM-ICU)により評価されたせん妄発生とした.解析は,intention-to-treatと安全性評価の集団で行った.本研究はChinese Clinical Trial Registry, www.chictr.org.cn, number ChiCTR-TRC-10000802に登録された.

【結 果】
2011年8月17日から2013年11月20日までで,2016年に評価された700例が,プラセボ群(350例)またはデクスメデトミジン群(350例)に無作為に割り付けられた.術後せん妄の発生率はプラセボ群(350例中79例[23%])よりもデクスメデトミジン群(350例中32例[9%])の方が有意に低かった(OR 0.35, 95%CI 0.22-0.54; p<0.0001).安全性に関しては,高血圧の発生はデクスメデトミジン群(350例中34例[10%])よりもプラセボ群(350例中62例[18%])の方が有意に高かった(OR 0.50, 95%CI 0.32-0.78; p=0.002).頻脈もデクスメデトミジン群(350例中23例[7%])よりもプラセボ群(350例中48例[14%])の方が有意に高かった(OR 0.44; 95%CI 0.26-0.75; p=0.002).低血圧および徐脈の発生は両群間で差は見られなかった.

【結 論】
非心臓手術後に集中治療室に入室した65歳以上の患者において,予防的な低用量デクスメデトミジンは,手術後7日間のせん妄発生を有意に減少させた.その治療は安全であった.

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by DrMagicianEARL | 2016-08-29 21:12 | 文献 | Comments(0)
■現在,敗血症性ショックにおける昇圧薬としてはノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が第一選択であり,cold shockでなければバソプレシン追加が考慮されうる(もっとも本邦ではステロイドの方が好まれ,バソプレシンは四肢末梢虚血の経験が原因で敬遠されがちではある).しかし,ノルアドレナリンはドパミンほどではないものの炎症増加作用を有するカテコラミンであり,バソプレシンの方が24時間後のサイトカイン濃度が低かったとする394例の研究がある(Am J Respir Crit Care Med 2013;188:356-64)

■死亡率評価では,現時点ではどちらが予後良好という明確なものはなく,7報RCT(2323例)メタ解析では死亡リスクのみならず心拍数,平均動脈圧,心係数,全身血管抵抗係数,DO2,VO2に有意差はみられていない(Mil Med Res 2014; 1: 6)

■敗血症性ショックに対するノルアドレナリンとバソプレシンVASST studyの二次解析においては,ステロイド非使用下ではノルアドレナリンの方が予後良好だが,ステロイド使用下ではバソプレシンの方が予後良好という結果が得られおり(Crit Care Med 2009; 37: 811-8),他にもステロイドとバソプレシンの併用が予後良好に関連したとする報告(Intensive Care Med 2011; 37: 1432-7)はあるが,近年Gordonらが報告した二重盲検RCT(61例のpilot study)では,バソプレシンに対するステロイド併用はバソプレシンの投与量・投与期間を減少させるものの,死亡率や臓器不全については有意差がみられなかった(Crit Care Med 2014;42:1325-33)

■今回紹介するVANISH trialは,敗血症性ショックに対するノルエピネフリンvsバソプレシン,およびステロイド併用有無での腎不全を同時に評価した2x2機能RCTであり,前述のpilot studyを報告したGordonらが検討している.今回はステロイドに関しては報告はなく,結果は,バソプレシンの方がやや好ましい傾向がみられるも有意差はなし,腎代替療法導入はバソプレシンの方が有意に少ないという結果であった.
敗血症性ショック患者の腎不全における早期のバソプレシンvsノルエピネフリン:VANISH trial
Gordon AC, Mason AJ, Thirunavukkarasu N, et al; VANISH Investigators. Effect of Early Vasopressin vs Norepinephrine on Kidney Failure in Patients With Septic Shock: The VANISH Randomized Clinical Trial. JAMA 2016 Aug 2; 316(5): 509-18
PMID:27483065

Abstract
【背 景】
ノルエピネフリンは敗血症性ショックにおいて,循環作動薬の第一選択として近年推奨されているが,早期のバソプレシン使用が代替として提案されている.

【目 的】
敗血症性ショック患者の腎不全における早期のバソプレシンとノルエピネフリンの効果を比較する.

【方 法】
本研究は,2013年2月から2015年5月に英国の18の成人ICUで行われた,ショック発症後最大6時間以内に輸液蘇生を行っても循環作動薬を要する敗血症性ショックの成人患者を登録した,二重盲検無作為化機能(2x2)試験である.患者は無作為に,バソプレシン(0.06 U/分まで漸増)とヒドロコルチゾン併用群(101例),バソプレシンとプラセボ併用群(104例),ノルエピネフリンとヒドロコルチゾン併用群(101例),ノルエピネフリンとプラセボ併用群(103例)に割り付けられた.主要評価項目は,(1)腎不全に全く進展しなかった患者の比率,(2)腎不全を発症または死亡した患者の生存中に腎不全のなかった日数の中央値として計測された,無作為化から28日までの期間で腎不全がない日数とした.腎代替療法,死亡,重篤な有害事象の頻度を副次評価項目とした.

【結 果】
計409例の患者(年齢中央値66歳,男性58.2%)が本研究に登録され,試験薬の投与時間中央値はショック診断後から3.5時間であった.腎不全に全く進展しなかった生存者数は,バソプレシン投与群で165例中94例(57.0%),ノルエピネフリン群で157例中93例(59.2%)であった(絶対差 -2.3% [95%CI -13.0% to 8.5%]).腎不全を発症または死亡した患者の腎不全のない日数の中央値は,バソプレシン投与群で9日間(四分位範囲[IQR], 1 to -25),ノルエピネフリン投与群で13日間(IQR 1 to -25)であった(絶対差 -4日 [95%CI -11 to 5]).バソプレシン投与群はノルエピネフリン投与群に比して腎代替療法の施行が少なかった(25.4% vs 35.3%; 絶対差 -9.9% [95%CI -19.3% to -0.6%]).死亡率は両群間で有意差は見られなかった.バソプレシン投与群では205例中22例の患者(10.7%),エピネフリン投与群では204例中17例の患者(8.3%)に重篤な有害事象があった(絶対差 2.5% [95%CI -3.3% to 8.2%]).

【結 論】
敗血症性ショックの成人において,バソプレシンの早期使用はノルエピネフリンと比して腎不全のない日数を改善しなかった.これらの知見は,本シチュエーションにおける初期治療として,ノルエピネフリンの代替としてのバソプレシンの使用を支持するものではないが,信頼区間は潜在的にバソプレシンの臨床的に重要な益を含んでおり,さらなる評価のため,大規模試験が必要である可能性がある.

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by DrMagicianEARL | 2016-08-17 12:12 | 敗血症性AKI | Comments(0)

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