【文献】Ⅰ型呼吸不全に対するナーザルハイフローカヌラのRCT(FLORALI study)
■ただし,ハイフローナーザルカヌラで注意しなければならないのは,NPPVと同じく,粘り過ぎないことです.175例の後ろ向き観察研究ですが,ハイフローナーザルカヌラで治療失敗となった患者において,48時間以内に挿管する方が48時間以降に挿管するよりも死亡率が低かったと報告されています(Intensive Care Med 2015; 41: 623-32).
急性低酸素性呼吸不全に対するハイフローナーザルカヌラ(FLORALI study)
Frat JP, Thille AW, Mercat A, et al; FLORALI Study Group and the REVA Network. High-Flow Oxygen through Nasal Cannula in Acute Hypoxemic Respiratory Failure. N Engl J Med. 2015 May 17. [Epub ahead of print]
PMID:25981908
【背 景】
急性低酸素性呼吸不全患者において非侵襲的換気を行うべきか否かについて議論されている.ナーザルカヌラによる高流量酸素療法は低酸素の患者における選択肢を提供する可能性がある.
【方 法】
我々は,急性低酸素性呼吸不全かつPaO2/FiO2比が300mmHg未満で高炭酸ガス血症を有さない患者を,高流量酸素療法,フェイスマスクによる標準酸素療法,非侵襲的陽圧換気に無作為に割り付けた多施設共同オープンラベル試験を行った.主要評価項目は28日時点での挿管率,副次評価項目はICUおよび90日時点での全死亡,28日時点での人工呼吸器を装着していない日数とした.
【結 果】
全部で310例が解析された.挿管率(主要評価項目)は高流量酸素群で38%(40/106),標準群で47%(44/94),非侵襲的陽圧換気群で50%(55/110)であった(全体の比較でp=0.18).28日時点での人工呼吸器を装着していない日数は高流量酸素群で有意に多かった(高流量酸素群24±8日 vs 標準酸素群22±10日,非侵襲的陽圧換気群19±12日; 全体の比較でp=0.02).90日死亡の危険率は高流量酸素と比較して標準酸素群で2.01(95%CI 1.01-3.99, p=0.046),非侵襲的酸素群で2.50(95%CI 1.31-4.78, p=0.006)であった.
【結 論】
高炭酸ガス血症のない急性低酸素性呼吸不全の患者において,高流量酸素,標準酸素,非侵襲的換気では挿管率に有意差はみられなかった.90日死亡においては高流量酸素の有用性が有意差をもって示された.