HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の検証記事の御紹介 ~「薬害騒動」の真相~
■ワクチンでは副反応が問題とされやすい.ワクチンはその性質上,免疫系の副反応を多少ともなうことは避けられない.また,ワクチンは健康な人間に接種されるため,病気を発症している患者に投与される薬剤とは異なり,副反応に関するハードルは高くなってしまい,過剰にたたかれる要因となっている.ワクチン接種後に発生した疾患や死亡に関して,ワクチンとの関連性を判定することは基本的には不可能であり,あくまでも前後関係に過ぎない.しかしながらこれらが因果関係ととられる誤解が生じ,結果的にワクチンの風評を生み出していることも少なくない.
■このような性質をもつワクチンは,いわゆる薬害団体や反医療主義者,科学的根拠のない医療推進者の餌食となりやすく,過剰なまでの反ワクチン主義をもたらし,ワクチン接種の妨げの一因となっている.厄介なことに,ワクチン反対論者は製薬メーカーのビジネスとからめた陰謀論を唱え,常に科学的研究法や科学的研究論文の査読を拒絶する特徴がある.これがエスカレートし,中には医師が反ワクチン団体から利権をもらうケースも存在する.
■子宮頸がんワクチンにおいてはその傾向が顕著に表れた.危惧されるのは,これらの反ワクチンの支援団体が被害者をプロパガンダとして利用するケース,さらにはそこに群がるニセ医療の集団である.結果的にこれらは,ワクチンによる真の副反応の病態解明を阻み,適切な治療救済すら受けられなくなることである.ここに嵌ればまず後戻りはできなくなる.
■ワクチン接種後に生じた有害事象をすべてワクチンが原因と短絡的に決めつければ,当然ながら真の副反応以外のノイズが大きくなってしまい,感度特異度の高い検査・診断が困難となる.そのためにも他の疾患を除外する必要があり,当然ながらそこには精神疾患や思春期特有の心因性のものが含まれてくる.これらの患者を除外していくことでより正確な副反応の解明につながり,治療法発見の契機になると思われる.しかし,これらの「心因性」「精神疾患」は,これも重要な他疾患のサインであるにもかかわらず,おおむね被害者家族には受け入れがたいようである.科学的検証はここでストップしてしまっているとも言える.
■より科学的検証を,と医師が声をあげても,被害者支援団体ががっちりガードするどころか,むしろ返ってくるのは陰謀論も含む誹謗中傷であるケースはよくあり,実際私もワクチン関連でのエビデンスを述べると,誹謗中傷が飛んできたばかりか勤務先を教えろという脅迫にも近い発言を受けたことがある.
■以下に紹介するのは,医師でありジャーナリストである村中璃子氏によるHPVVの記事である.おそらく,この視点から記事を書くことは相当な覚悟が必要であっただろうし,反ワクチン団体からの激しいバッシングが出てくることも容易に想像できる.だが,この視点で子宮頸がんワクチンの問題にメスを入れる必要は確実にある.長文3篇ではあるが,是非読んでいただきたい記事である.
あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 日本発「薬害騒動」の真相(前篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5510
子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか 日本発「薬害騒動」の真相(中篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5525
子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか 日本発「薬害騒動」の真相(後篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5530