【文献】電気ショック抵抗性のVfやVTによる院外心停止でアミオダロンの有効性示せず(RCT)
■院外心停止症例における低体温療法やアドレナリン投与は最近次々とネガティブな結果がでてきていますが,今度はアミオダロン(+リドカイン)ときました.救急隊が投与してますので,病院搬入されてからのケースよりも早く対応されているのですが,それでも生存退院や神経学的予後の改善が示されませんでした.しかも二重盲検RCTです.サブ解析では,目撃のある心停止であれば改善効果はあるようですが,目撃のない心停止では有意差なし.やはりこういうケースでは厳しいですね.
院外心停止におけるアミオダロン,リドカイン,プラセボ
Kudenchuk PJ, Brown SP, Daya M, et al; Resuscitation Outcomes Consortium Investigators. Amiodarone, Lidocaine, or Placebo in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. N Engl J Med. 2016 Apr 4. [Epub ahead of print]
PMID: 27043165
Abstract
【背 景】
電気ショック抵抗性の心室細動や無脈性心室頻拍において抗不整脈薬は一般的に使用されているが,
生存有益性は示されていない.
【方 法】
本無作為化,二重盲検試験において,我々は非外傷性の院外心停止,少なくとも1回の電気ショックおよび血管確保後の電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍を有する成人において,標準的ケアの下で注射のアミオダロン,リドカイン,生食プラセボを比較した.救急隊が10の北米地域において患者を登録した.主要評価項目は退院時の生存,副次評価項目は退院時の良好な神経学的機能とした.per-protocol(主要解析)集団は,適格基準を満たし,任意用量の試験薬投与を受け,心室細動や無脈性心室頻拍の初期の心停止リズムが電気ショックに抵抗性であった,すべて無作為に割り付けられた患者が含まれた.
【結 果】
per-protocol集団において,3026例の患者がアミオダロン(974例),リドカイン(993例),プラセボ(1059例)に無作為に割り付けられ,それぞれの退院時生存率は24.4%,23.7%,21.0%であった.生存率の差は,アミオダロンとプラセボで3.2%(95%CI -0.4 to 7.0; p=0.08),リドカインとプラセボで2.6%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.16),アミオダロンとリドカインで0.7%(95%CI -3.2 to 4.7; p=0.70)であった.退院時の神経学的予後は3群間で同等であった.心停止が目撃されたか否かについて治療効果に不均一性がみられ(p=0.05),バイスタンダーの目撃のある心停止の患者においては抗不整脈薬はプラセボよりも有意に高い生存率に関連していたが,目撃のない心停止では関連していなかった.もっとアミオダロンの投与を受けた患者は,リドカインまたはプラセボの投与を受けた患者よりもより多く一時的心臓ペーシングを必要とした.
【結 論】
電気ショック抵抗性の心室細動または無脈性心室頻拍による院外心停止患者において,アミオダロンやリドカインは生存率や良好な神経学的予後においてプラセボよりも有意に高い結果とはならなかった.