【文献】人工呼吸器装着患者へのビオフェルミン®のVAP予防効果の検討(RCT)
■結果は一応ポジティブなんですが,細菌学的定着を減じたという微妙なアウトカムで,これをもってVAPを予防したというのは違和感があります.実際に臨床的VAPや抗菌薬消費量,人工呼吸器装着期間,死亡率,入院期間はすべて有意差なしです.投与を推奨できるほどの結果ではないと感じます.
重症患者の人工呼吸器関連肺炎におけるプロバイオティクスの効果:多施設共同無作為化比較試験
Zeng J, Wang CT, Zhang FS, et al. Effect of probiotics on the incidence of ventilator-associated pneumonia in critically ill patients: a randomized controlled multicenter trial. Intensive Care Med. 2016 Apr 4. [Epub ahead of print]
PMID:27043237
Abstract
【目 的】
人工呼吸器関連肺炎(VAP)におけるプロバイオティクスの潜在的予防効果を評価する.
【方 法】
本試験は48時間以上の人工呼吸管理を受けると予想された重症成人患者235例を登録したオープンラベル無作為化対照多施設共同試験である.患者は(1)標準予防戦略に加え,生菌であるBacillus subtilisとEnterococcus faecalis (Medilac-S) 0.5 gを含有したプロバイオティクスカプセルを経鼻胃管から1日3回投与する,(2)標準予防戦略,に最大14日間無作為に割り付けられた.VAP発生は毎日評価され,ベースラインと週1~2回咽頭スワブと胃吸引物を培養した.
【結 果】
プロバイオティクス群の微生物学的に確認されたVAP発生率は対照群より有意に低かった(36.4% vs 50.4%; p=0.031).VAP進展の平均時間はプロバイオティクス群の方が対照群よりも有意に長かった(10.4 vs 7.5日; p=0.022).潜在的病原性微生物(PPMOs)の胃内定着患者の比率はプロバイオティクス群の方が対照群よりも低かった(24% vs 44%; p=0.004).しかし,咽頭と胃の両方でPPMOs定着が消失した患者の比率は二群間で有意差はみられなかった.プロバイオティクスの投与は臨床的に疑わしいVAP,抗菌薬使用量,人工呼吸期間,死亡率,入院期間ではいかなる改善もみられなかった.
【結 論】
プロバイオティクスのB. SubtilisとE. faecalisによる治療はVAPや胃内PPMOs定着の獲得を予防する意味で有効かつ安全であった.