【文献】重症急性膵炎に対するプロテアーゼ阻害薬の膵動注療法は有効性なし
■一方で,RCTはポーランドで行われた78例をオープンラベルRCTがあり,CRAI群と非CRAI群に割り付け,死亡率5.1% vs 23.1%でCRAI群の方が優れているという結果でした.ただし,症例数が少ないことに加え,患者背景や重症度評価は非CRAI群の方が不利な条件となっており,輸液量の記載すらもなく,これでここまでの死亡率の差がつくことは信頼性がやや欠けると言わざるを得ません.
■2015年にHoribeらが報告したメタ解析では,CRAIが死亡率や外科手術介入必要度を改善させるという結果となっています.
■これらを見るに,CRAIは有用そうなのですが,実際に各施設の先生に聞いてみると,CRAIを用いない施設でも死亡率に遜色はないようで,日本でもCRAIを行わない施設が多数存在します.やはり観察研究であっても多施設での検討が必要ということでしょう.今回,JSEPTIC-CTGにおいて検討された本邦大規模観察研究が報告されたので紹介します.CRAIを検証する上で重要な研究であると同時に,貴重な重症急性膵炎の大規模データベースです.今後も様々なpost-hoc解析がなされることでしょう.結果は,CRAIの有効性は示せずでした.Propensity score matching解析を用いなかったのは意外でしたが・・・.あと,これはDICに対するrTMでもそうですが,これまでの研究や今回のJSEPTICの結果を見るに,ルーチンでCRAIをやる必要はなさそうだけど,重症度が高い症例ほど有効な可能性はあるかなと感じました.
重症急性膵炎の治療におけるプロテアーゼ阻害薬の持続局所動注は有効性なし
Horibe M, Sasaki M, Sanui M, et al. Continuous Regional Arterial Infusion of Protease Inhibitors Has No Efficacy in the Treatment of Severe Acute Pancreatitis: A Retrospective Multicenter Cohort Study. Pancreas. 2016 Dec 13. [Epub ahead of print]
PMID:27977624
Abstract
【目 的】
本研究の目的は,急性壊死性膵炎を含む重症急性膵炎(SAP)の患者におけるプロテアーゼ阻害薬の持続局所動注(CRAI)の効果を評価することである.
【方 法】
本研究は2009年から2013年までの日本の44施設において行われた後ろ向き研究である.日本の厚生労働省研究班(2008年)の基準によりSAPと診断された18歳以上の患者を連続的に登録した.我々はプロテアーゼ阻害薬のCRAIと死亡率,感染症発生率,外科手術介入の必要度の関連性を多変量ロジスティック回帰解析を用いて評価した.
【結 果】
1159例の患者が登録され,必要なデータが全て揃っている1097例の患者が解析に組み込まれた.プロテアーゼ阻害薬のCRAIを施行された患者は374例(34.1%)であり,施行されていない患者は723例(65.9%)であった.多変量解析では,プロテアーゼ阻害薬のCRAIは死亡率(OR 0.79, 95%CI 0.47-1.32, p=0.36),感染症発生率(OR 0.97, 95%CI 0.61-1.54, p=0.89),外科手術介入の必要度(OR 0.76, 95%CI 0.50-1.15)の減少に関連していなかった.
【結 論】
SAP患者の治療においてプロテアーゼ阻害薬のCRAIに有効性は見られなかった.

