【文献】末梢静脈カテーテル関連血流感染症の62例観察研究
■よく経験されるのは,アミノ酸輸液製剤(特にビーフリード®)に薬剤を混注する際にBacillus cereus(アルコール製剤耐性)が混入し増殖して感染を起こすケースです.また,皮膚定着菌による感染も生じることがあり,黄色ブドウ球菌だと厄介です.
■今回御紹介する論文は,末梢静脈カテーテル関連血流感染症62例をまとめた報告になります.
末梢静脈カテーテル関連血流感染症は重篤な合併症と潜在的死亡に関連する:後ろ向き観察研究
Sato A, Nakamura I, Fujita H, et al. Peripheral venous catheter-related bloodstream infection is associated with severe complications and potential death: a retrospective observational study. BMC Infect Dis 2017; 17: 434
PMID: 28623882
Abstract
【背 景】
本研究の目的は末梢静脈カテーテル関連血流感染症(PVC-BSIs)の臨床的特徴と予後を抽出し,重篤な合併症や死亡のリスクについて検討することである.
【方 法】
東京の2つの大学附属病院において,2010年6月から2015年4月までの後ろ向き観察研究を行った.我々は,血液培養陽性でPVC-BSIsと診断された62例の入院患者について,臨床症状,基礎疾患,検査結果,治療方法,再発率,合併症について検討した.
【結 果】
入院から菌血症発生までの中央期間は17日間(範囲3-142日間)であり,カテーテル挿入から菌血症診断までは6日間(範囲2-15日間)であった.カテーテル挿入部位は腕が48例(77.4%),足が3例(4.8%),記録なしが11例(17.7%)であった.加えて,原因店異物は,グラム陽性菌が58.0%,グラム陰性菌が35.8%,カンジダが6.2%,複数菌種が25.8%であった.8例(12.9%)の患者が血液培養陽性から30日以内に死亡した.PVC-BSIsの死亡患者は,黄色ブドウ球菌感染の率が生存患者よりも高かった(OR 8.33; p=0.004)
【結 論】
PVC-BSIsは医療関連感染の明らかな原因となりうる.合併症で集中治療や抗菌薬の長期間治療を要する重篤なPVC-BSIsのケースが見られ,いくらかの患者が死亡している.PVC-BSIs患者において,黄色ブドウ球菌菌血症は予後に影響しうる可能性がある主要な問題である.