【RCT】バイオマーカーに基づいたアルゴリズムによる抗真菌薬早期中断(S-TAFE study)
■結果は,バイオマーカーによるアルゴリズムを用いた方が早期に抗真菌薬を中断できたという結果です.単施設研究であり,もう少し検証は必要ですが,7日以内に約半数が安全に抗真菌薬を終了できるのであればかなり心強いエビデンスになります.気になるのは,バイオマーカー群は中央値にしてほぼ半分の投与期間であるにもかかわらず,コストに有意差がなかったことです.何にそこまでコストがかかったんでしょうね?
重症患者における経験的抗真菌薬の早期中断のためのバイオマーカーに基づいた戦略:無作為化比較試験(S-TAFE study)本研究のバイオマーカー群のアルゴリズム
Rouzé A, Loridant S, Poissy J, et al; S-TAFE study group. Biomarker-based strategy for early discontinuation of empirical antifungal treatment in critically ill patients: a randomized controlled trial. Intensive Care Med 2017 Sep 22 [Epub ahead of print]
PMID: 28936678
Abstract
【目 的】
本研究の目的は,経験的抗真菌薬の早期中断におけるバイオマーカーに基づいた戦略の影響を検討することである.
【方 法】
この前向き無作為化比較単施設非盲検研究は混合ICUで行われた.計110例の患者が,経験的抗真菌薬投与期間を,0日目と4日目に(1,3)-β-D-グルカン,マンナン抗原,抗マンナン血清アッセイの測定によって決定する戦略群(バイオマーカー群)か,14日間治療を推奨している国際ガイドラインに基づいたルーチンケア群に無作為に割り付けた.バイオマーカー群では,早期中止の推奨を,バイオマーカー計測結果に基づいたアルゴリズムを用いて決定した.主要評価項目は,経験的抗真菌薬を7日目までに中止と定義された早期中止を行った生存者の割合とした.
【結 果】109例の患者が解析された(1例が治療中止(withdrawal)で同意).経験的抗真菌薬の早期中止は,ルーチンケア群で55例中1例であったのに対し,バイオマーカー群で54例中29例であった(54% vs 2%, p<0.001, OR 62.6, 95%CI 8.1–486).全抗真菌薬投与期間はルーチンケア群と比較してバイオマーカー群の方が有意に短かった(中央値(四分位範囲) 6日(4–13) vs 13日(12–14), p<0.0001).両群間で,侵襲性カンジダ感染確定診断,人工呼吸管理のない日数,ICU滞在日数,コスト,ICU死亡の患者の割合に有意差はみられなかった.
【結 論】
バイオマーカーに基づいた戦略の使用は,侵襲性カンジダ感染症が疑われた重症患者における経験的抗真菌薬の早期中止の割合を増加させた.本結果は,経験的抗真菌薬の早期中止が予後にネガティブな影響を与えなかったことを示唆する既知の知見を裏付けるものである.しかしながら,この戦略の安全性を確認するためにはさらなる研究が必要である.本研究はClinicalTrials.gov NCT02154178で登録した.