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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

INTENSIVIST特集「PICS」発刊

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■今回は宣伝です.INTENSIVIST最新号「PICS」が発刊となりました.私は2014年末頃からPICSについて興味を持ちはじめ,2015年の学会主催の敗血症セミナーin大阪でPICSについてショートレクチャーで講演させていただきましたが,当時はまだ概念が全然浸透しておらず,集中治療医学会でもシンポジウムや教育講演でPICSを見かけることはほとんどありませんでした.それが気が付けば日本版敗血症診療ガイドライン2016の一項目となり,学会,さらには地方の研究会レベルでもPICSの演題が増えてきました(ただし,残念ながら日本から原著論文はまだほぼ出ていません).JSEPTICセミナーに参加した時はアンケートの「今後取り上げてほしいトピックス」で私は毎回PICSと書き続けてきたので,実際にこうしてINTENSIVIST誌で特集が組まれ,自分も執筆陣の一員となれたことは非常に感慨深いものがあります(ただやっぱりINTENSIVISTの執筆は他の執筆よりもはるかに大変です.3回目ですがまだ慣れないというか毎回ヒットポイントゼロになります).

■実はINTENSIVISTからの執筆依頼が来たとき,他の書籍等も同時に依頼がきたため,夏から秋にかけてPICSの原稿を4つ平行して抱える状態にありました.PICSに関する講演依頼も増えて,日本でもだいぶhot topicsになったなと思っています.なお,今回もそうなんですが,PICSに対して「集中治療後症候群」という日本語訳をあてているケースがだいぶ増えてきましたが,学会等が公式に認定している日本語名ではありませんのでご注意ください(別に執筆した書籍でそのことを書きました).ちなみにネットで調べてみると,集中治療後症候群という言葉で一番古いソースはどうもこの私のブログのようです(汗).私のブログが見られていたからかどうかは分かりませんが,つい先日のGoogle検索仕様が変更されるまではPICSのネット検索では最上位にこのブログが来ていたので,それなりにこの言葉が露出していたようです.単に「直訳すれば」で書いただけなのですが・・・

■さて,今回の特集,日本版敗血症診療ガイドライン2016のPICS/ICUAWワーキンググループメンバーとJSEPTICの豪華メンバーによる執筆陣の力作で,PICSの初の日本語教科書を目指すべく250ページにわたり解説をしております.私は敗血症とPICSについて解説させていただきましたが,PICSの原因の代表格である敗血症は死亡率こそ大きく改善はしたものの,完全な社会復帰をとげられる患者は入院前にADLが自立していた患者に限定してもたったの1/3に過ぎません.それだけPICS患者が増加しているということです.ぜひ,PICSを知り,その予防とケアを臨床現場に活かすべく本書を手に取っていただければと思います.
INTENSIVIST 2018 Vol.10 No.1「PICS」

内容紹介
ICUにおける補助循環・呼吸装置の技術革新やガイドラインによる診療レベルの向上と標準化などにより,この20年で集中治療医学は劇的な進化を遂げ,ICU死亡率や28日生存率などICU患者の短期的なアウトカムは飛躍的に改善しました。しかし,ICU患者の長期予後やQOLはいまだ改善していません。ICU患者の多くは身体的および精神的な障害を抱え,それらが社会復帰や長期予後の障壁となり,集中治療後症候群Post−Intensive Care Syndrome(PICS)は世界中で進行する超高齢社会とICU患者の高齢化を背景に浮かび上がった,21世紀の集中治療医学の新たな問題点であるといえます。近年,このPICSやICU−AWなどの亜急性期から慢性期の病態がICUにおける重症敗血症患者にも密接に関与しているという報告がなされました。本邦でも世界的にも注目されつつあるPICSですが,いまだ最新知見がまとまった書籍がなく,医療従事者の多くがその最新知見を手に入れることが困難な状況です。本特集では,PICSおよびICU−AWの新しい病態の概要・診断・予防に関する最新の知見について,エキスパートが解説します。

Part 1 PICSとは何か

1. なぜ今PICSなのか:高齢社会のなかで重症患者救命後の長期予後改善を目指して
井上 茂亮(東海大学医学部付属八王子病院 救命救急医学)

Part 2 PICSの危険因子

2. PICSの疫学:発症率,予後と予防法
一二三 亨(香川大学医学部附属病院 救命救急センター)

3. 敗血症とPICS:生存率は改善した,次の目標は?
DrMagicianEARL(EARLの医学ノート管理人)

4. ARDSとPICS:PICSを防ぐ急性期治療とは
三反田 拓志・則末 泰博(東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門)

5. ICUケア・環境とPICS:環境因子と治療介入因子の調整によるPICS予防
和田 剛志(北海道大学病院 先進急性期医療センター 救急科/Department of Surgery, Brigham & Women's Hospital/Harvard Medical School)

6. 鎮痛・鎮静による譫妄予防とPICS:浅い鎮静と譫妄予防の薬物療法
矢田部 智昭(高知大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座)

Part 3 PICS 3要素

7.ICU−AW,運動機能・筋力低下
武居 哲洋 横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部

8.認知機能障害
近藤 豊(ハーバード大学 外科)

9.精神障害
竹内 崇(東京医科歯科大学医学部附属病院 精神科)

【コラム】PICS−F(family)とは何か?
新井 正康(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター・集中治療医学/北里大学病院 集中治療センター)

Part 4 PICSは予防できるのか?

10.ABCDEFGHバンドル:患者のQOL改善のためにICU在室中から行うべきこと
森川 大樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学)
藤谷 茂樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学/東京ベイ・浦安市川医療センター)

11.身体リハビリテーション:PICSの予防に有効か?
對東 俊介(広島大学病院 診療支援部 リハビリテーション部門)
志馬 伸朗(広島大学大学院医歯薬保健学研究科 救急集中治療医学)

12.呼吸リハビリテーション:長期予後の改善を見据えて
原 嘉孝・西田 修(藤田保健衛生大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座)

13.神経筋電気刺激:PICS/ICU−AW予防に有効か
畠山 淳司(横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部)

14.栄養管理:ICU患者の長期予後,PICS予防との関係
佐藤 格夫・安念 優・森山 直紀(愛媛大学大学院医学系研究科 救急航空医療学)

15.環境管理:日記,耳栓,メンタルケア,音楽療法
長友 香苗(自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部)

Part 5 コメディカル・地域におけるPICS

【コラム】PICS予防のための看護ケア実践:東海大学医学部付属八王子病院と自治医科大学附属病院における取り組み
剱持 雄二(東海大学医学部付属八王子病院 看護部)
井上 茂亮(東海大学医学部付属八王子病院 救命救急医学)

16.理学療法士から見たPICS:PICSの評価とリハビリテーションの可能性
神谷 健太郎(北里大学医療衛生学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻)

【コラム】ICUフォローアップ外来:歴史と現状藤内 まゆ子・林 淑朗(鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科)

17.多職種連携とPICS:各職種と患者・家族も含めた連携の重要性
櫻本 秀明(筑波大学附属病院 ICU/ER)

後書き:PICS:全人的そして家族も含めた究極的な予防医療への第一歩
藤谷 茂樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学/東京ベイ・浦安市川医療センター)

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by DrMagicianEARL | 2018-02-01 18:21 | 文献 | Comments(0)

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