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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】インフルエンザウイルスは呼気からでも排出されている(空気感染の可能性)

■インフルエンザは飛沫感染として知られ,咳嗽やくしゃみなどで排出され,他者への感染の要因となる,とされていますが,通常の呼吸でも呼気にインフルエンザウイルスは普通に含まれており,空気感染(飛沫核感染:≦5µmの微粒子となっても病原性を保持して1mを超えて移動)しうる可能性があるとの研究結果がPNASに報告されましたので紹介します.もっともこのような報告は今回が初めてではなく,数は少ないものの,インフルエンザの感染経路として空気感染もありえるデータはでてきています.ただし,実際に感染しうるかどうかについては私がさらっとですが探した限りではまだ見つかってません.
大学コミュニティでの症候性季節性インフルエンザ症例の呼気における感染性ウイルス
Yan J, Grantham M, Pantelic J, et al. Infectious virus in exhaled breath of symptomatic seasonal influenza cases from a college community. Proc Natl Acad Sci U S A 2018; 115: 1081-6
PMID: 29348203

Abstract
【目 的】
呼気に含まれるインフルエンザウイルスの量と感染力についてはあまり知られていない.これは,インフルエンザの空気感染による伝播の重要性に関する不確定性の要因となっている.

【方 法】
我々は,急性呼吸器疾患の症状を有するボランティア355例をスクリーニングし,インフルエンザ感染症と確認された142例において,218の鼻咽頭および30分間の呼気のサンプル(粗大>5µm,微細≦5µmに分類)を発症後1-3日目で採取した.全サンプルのウイルスRNAコピー数を分析し,鼻咽頭スワブと微細なエアロゾルの培養を行った.

【結 果】
有効な培養物から52(39%)の微細なエアロゾルと150(89%)の鼻咽頭スワブから感染性のウイルスを回収した.幾何平均RNAコピー数は,微細サンプルで3.8×10^4/30min,粗大サンプルで8.2×10^8/30min,鼻咽頭スワブで8.2×10^8であった.調整モデルでは,微細・粗大エアロゾルのウイルスRNAコピー数は,肥満指数(BMI),咳嗽の回数と正の相関がみられ,発症からの日数とは負の相関がみられた.微細エアロゾルウイルスRNAコピー数はまた,最近と以前のシーズンの両方でのインフルエンザワクチン接種と正の相関がみられた.鼻咽頭スワブのウイルスRNAコピー数は上気道症状と正の相関がみられ,年齢と負の相関がみられたが,これらは微細あるいは粗大エアロゾルのウイルスRNAコピー数や予測因子とは有意な関連性はみられなかった.くしゃみは稀であり,感染性エアロゾルの発生にはくしゃみと咳嗽は必要ではなかった.

【結 論】
我々の知見は,上下気道におけるインフルエンザ感染が区画化され,独立していることを示唆している.

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by DrMagicianEARL | 2018-02-08 14:40 | 感染対策 | Comments(0)