【RCT】ラメルテオンはICU関連せん妄を予防し,ICU在室期間を短縮させる傾向
■睡眠薬として用いられるメラトニン受容体作動薬であるラメルテオン(ロゼレム®)がICU患者のせん妄を予防し,ICU在室期間を短縮させる傾向がみられたという報告が名古屋大学からCritical Care Medicineにpublishされましたので紹介します.
■2014年と2017年に順天堂大学などのDERILIA-J groupがラメルテオン(JAMA Psychiatry 2014; 71: 397-403)やスボレキサント(J Clin Psychiatry 2017; 78: e970-9)がせん妄を予防したというRCTを報告しています.しかし,この2つのRCTの対象は急性期病院に救急入院となった65-89歳の薬剤経口摂取可能な患者です.高齢者以外でも有効か,(経口摂取ができない)より重症なICU挿管患者ではどうかということは分かっていません.今回の名古屋大学の研究はICU患者が対象ですので,よりICU関連せん妄に対する効果を見る上では妥当なものかと思います.サンプル数が88例と検出不足感はありますが,より大規模なRCT検討のtriggerとなるかもしれません.
ICU在室期間におけるメラトニン受容体作動薬ラメルテオンの投与効果:単施設無作為化プラセボ対照試験
Effect of Administration of Ramelteon, a Melatonin Receptor Agonist, on the Duration of Stay in the ICU: A Single-Center Randomized Placebo-Controlled Trial. Crit Care Med. 2018 Mar 27.[Epub ahead of print]
PMID: 29595562
【目 的】
ICUでのせん妄の発生はICU在室の長期化に関連している.メラトニン受容体作動薬であるラメルテオンの使用が重症疾患患者において,せん妄を予防し,ICU在室期間を短縮するかについて検討した.
【方 法】
本研究は大学病院ICUで行われた単施設三重盲検無作為化プラセボ対象試験である.患者は入室から48時間以内に薬剤の経口摂取または経鼻胃管投与が可能なICU患者とした.介入群はラメルテオン(8mg/日),対照群はプラセボ(ラクトースパウダー1g/日)をICU退室まで毎日20時に投与を受けた.
【結 果】
計88例がラメルテオン群(45例)またはプラセボ群(43例)に無作為化された.主要評価項目では,プラセボ群(5.86日)に比してラメルテオン群(4.56日)でICU在室期間の短縮傾向がみられた(調整前p=0.082,調整後p=0.028).副次評価項目では,せん妄の発生率(24.4% vs 46.5%; p=0.044)とせん妄期間(0.78日 vs 1.40日; p=0.048)がラメルテオン群で統計学的有意に低かった.ラメルテオン群の非挿管患者では,夜間の覚醒が有意に少なく,覚醒していない夜の比率が有意に高かった.
【結 論】
ラメルテオンはICU在室期間を短縮させる傾向があり,また,せん妄の発生率およびせん妄期間を統計的に有意に減少させた.